竹内行夫裁判官の関与した判例

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竹内行夫裁判官は、現在、第2小法廷に所属している。平成20年10月21日に、麻生内閣により任命された。竹内氏は外務省官僚出身であり、国際法に詳しいことを理由として、行政官枠からの任命ということが推察される。



1.最判平成21年6月5日(第2小法廷)

<事例>

本件は,(1) 被告人両名が,共謀の上,外国犬を不当な価格で購入させられたことに気付いて売買代金の返還等を要求してきたAを,硝酸ストリキニーネを詰めたカプセルを飲ませて毒殺し,Bとも共謀の上,Aの死体を解体し焼損して投棄し,(2) 被告人両名が,共謀の上,A殺害を薄々察知して財産的な要求を繰り返してきたCを,その付き人であるDもろとも,硝酸ストリキニーネを詰めたカプセルを飲ませて毒殺し,Bとも共謀の上,両名の死体を解体し焼損して投棄し,(3) 被告人Xが,Eにしていた出資話が虚偽であることが露見して紛議が発生することを防止しようなどと考え,Eを,硝酸ストリキニーネを詰めたカプセルを飲ませて毒殺し,Bと共謀の上,Eの死体を解体し焼損して投棄したという,殺人,死体損壊・遺棄の事案である。

量刑として、原審の死刑判決の妥当性が争点となった。

<判断>

全員一致で、原審の死刑判決を支持。

<理由>

いずれの犯行も計画的なもので,動機に酌量の余地はなく,各被害者に猛毒の硝酸ストリキニーネを詰めたカプセルを栄養剤であるなどと偽って飲ませ,苦もんのうちに中毒死させた上,その死体を切り刻み焼却して,山や川に捨てるという犯行態様も,冷酷無慈悲で悪質極まりないものである。

被告人Xにおいては4名の,被告人Yにおいては3名の生命を奪い,その死体を損壊・遺棄したという結果は誠に重大である。

被告人両名は,不合理な弁解を繰り返しており,真しな反省の態度も認められない。

これらの事情に加え,各遺族の被害感情,本件が社会に与えた影響等に照らすと,被告人Xは,科料の前科があるのみであること,被告人Yは,上記(1)の実行行為には関与していないこと,前科がなく,被告人Xと出会うまでは問題のない社会生活を送っていたことなどの事情を考慮しても,被告人両名の罪責は極めて重大であり,被告人両名を死刑に処した第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。



2.最判平成21年3月27日(第2小法廷)

<事例>

譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することの可否が争点となった。

<判断>

全員一致で,当該債権者が無効の主張をすることができないと判断。

<理由>

民法は,原則として債権の譲渡性を認め(466条1項),当事者が反対の意思を表示した場合にはこれを認めない旨定めている(同条2項本文)ところ,債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は,債務者の利益を保護するために付されるものと解される。

そうすると,譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって,債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。



3.
最判平成21年3月9日(第1小法廷)

<事例>

以下、2点が争点となった事例

①わいせつな図書などの有害図書を販売している自動販売機が、福島県青少年健全育成条例16条1項にいう「自動販売機」に該当該当するか(上告人は本件機器は,対面販売の実質を有しているので,本条例にいう「自動販売機」に当たらないという主張をした)。

②該当するとして、監視センターにおける操作などにより,客が18歳未満でないことを監視して確認できる機器まで規制するのは,憲法21条1項,22条1項,31条に違反するか。

<判断>

全員一致。

①について、該当する。

②について、憲法には違反しない。

<理由>

①につき

本件機器が客と対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器である以上,「自動販売機」に該当する。

②につき

本件のような監視機能を備えた販売機であっても,その監視及び販売の態勢等からすれば,監視のための機器の操作者において外部の目にさらされていないために18歳未満の者に販売しないという動機付けが働きにくいといった問題があるなど,青少年に有害図書類が販売されないことが担保されているとはいえない。

その結果,青少年以外の者に対する関係においても,有害図書類の流通を幾分制約することにはなるが,それらの者に対しては,書店等における販売等が自由にできることからすれば,有害図書類の「自動販売機」への収納を禁止し,その違反に対し刑罰を科すことは,青少年の健全な育成を阻害する有害な環境を浄化するための必要やむを得ないものであって,憲法21条1項,22条1項,31条に違反するものではない。



4.最判平成21年1月14日(第2小法廷)

<事案>

自己の借金返済のため,妻(当時59歳)及び養母(妻の実母,当時84歳)に係る死亡保険金を取得する目的で,殺意をもって,妻及び養母が同乗していた乗用車を運転して海中に転落させ,妻及び養母をでき死させたという殺人の事案で、その量刑が、無期懲役か、死刑かが争われた。

<判断>

全員一致で、無期懲役とする原判決を支持。

<理由>

本件は,利欲性の高い犯行であり,借金が多額に上った理由も被告人の身勝手な行動の結果であって,被告人の借金返済のため被害者らに物心両面で多大な負担をかけた上,更にその生命を代償として借金返済の資金を入手しようとしたものであり,その動機は極めて悪質である。

また,犯行態様も,人目につかない夕刻の時間帯に,妻及び養母を同乗させた乗用車を自動車事故を装って海中に転落させて同人らを殺害し,保険金を取得しようとしたもので,確定的な殺意に基づく計画的な犯行であって,被告人のみが海中に沈みつつある車内から脱出し,意識ある被害者らを生きながらにして車内に残し,車両の沈むに任せてでき死させるという残酷,非情なものである。

2名の尊い命を奪った結果は重大で,また,親族であっても,遺族が厳しい処罰感情を抱くのも誠にもっともである。

しかしながら,被告人は,①犯行予定場所の下見もせず,同所到着後に具体的な犯行場所を探し回るなどしており,それほど緻密,周到な犯行計画を立てて実行したとまではいい難いこと,②被告人は,64歳に至るまで前科がなく,少なくとも殺人等の凶悪犯罪を起こす傾向も認められず,上記借金に関することを除けば,社会人として一応普通の生活を送っていたこと,③第1審途中で自白から否認に転じ,過失による事故を主張するようになったものの,原審においては保険金目的での殺害を認め,最終的には反省,悔悟の態度を示すに至ったことなど諸般の事情を考慮すると,被告人を無期懲役に処した原判決について,その量刑がこれを破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認めることができない。

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