宮川光治裁判官に対する評価(私見)

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※ 評価に当たっては、関与した重要判例が少ないため、民・刑・公という分類はせずに、①具体的妥当性を図っているかどうか、②判断理由を丁寧に説明しているかどうか、③法規の実質的な趣旨解釈をしているかなどを中心に評価する。また、宮川裁判官の評価に当たっては、既に関与した少ない判例の中でも、十分に同裁判官の評価ができるだけの資料があると判断し、他の資料の参照は行わない。

宮川光治裁判官は、最高裁第一小法廷に属している。平成20年9月3日、福田内閣により任命されている。

経歴は弁護士出身であり、法曹教育にも尽力してきた。裁判官に任命され、日が浅いものの、反対意見を示すこともあり、積極的に被害者救済を図ろうとする意識の高さを感じることができる。

那須裁判官とともに、司法制度改革における法曹教育に尽力してきたことが経歴から明らかである。1992年頃には、那須裁判官(当時弁護士)とともに、法曹人口の拡大を予測し、「変革の中の弁護士」という本の編者にもなっている。

まず、宮川裁判官は、中国残留婦人の国家賠償請求訴訟に対し、多数意見が理由を十分に示さずに、門前払い判決をしたのに対して、反対意見を付与し、被害者の救済という観点から、詳細になかば中国への強制移住という国の政策の本質的な問題を指摘した上で、実質的に祖国である日本での就労が困難になっているという事情を重視している点は、憲法の番人および最終裁判所たる最高裁の裁判官にふさわしい姿勢であり、高く評価すべきであると考える。

また、現状では支援が受けられているという点ではなく、20数年間支援が受けられなかった点に、立法裁量の違法がないか検討すべきという点を指摘しており、非常に説得的な理由づけがなされている。

したがって、実質的な紛争解決に向け、裁判官として、丁寧な検討をする姿勢が読み取れると考える。

過払い金の時効の起算点についても、「過払い金のそもそもの問題は債務者の側が、自分の支払いが過払いに至っていることがわからない状態で、支払い続けてしまう点に問題の本質がある」という実質的な視点から判断をしている。

この問題を形式的に判断して、被害者の救済を軽視し、消費者金融業者等を利するような判断ではなく、実質的な視点から、時効消滅による泣き寝入りから、被害者を救済した姿勢は高く評価すべきである。

また、この問題の本質につき、権利を行使する上での、単なる事実上の障害ではなく、法律上の障害であるというための理論構成を明確にしており、これについても丁寧な判決であると評価できる。

以上の点から、具体的妥当性を図ろうとする姿勢が読み取ることができる。

刑事事件においても、正当防衛の成立に際し、行為を細分化した因果関係の有無という観点から、その相当性を検討するのではなく、全体として1つの行為の中で行われた一部分に、その相当性があるとしても、全体としてみれば相当性を欠くという判断は、社会常識をもったバランス感覚のある判断だと考える。

したがって、私見は、宮川裁判官は最高裁判所裁判官として、理想的な人物であり、国民審査において罷免すべき理由は見当たらないと考える。

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