金築誠志裁判官に対する評価(私見)

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※ 評価に当たっては、最高裁判事として関与した重要判例が少ないため、民・刑・公という分類はしない。①具体的妥当性を図っているかどうか、②判断理由を丁寧に説明しているかどうか、③法規の実質的な趣旨解釈をしているかなどを中心に評価する。なお、金築裁判官は一番任官が遅いため、最高裁判決のみでは十分な人物像やどのような思想を持っているのか判断しがたい。そこで、いくつかの下級審裁判官時代に関与した判決も考慮して、同裁判官の適性を判断する。

金築裁判官は、前職は、大阪高裁長官であり、下級審裁判官時代は、民事裁判への関与が中心の経歴を持っている。長官まで上り詰めるということは、エリート裁判官であることに間違いはない。

最高裁判事として関与した判例を見ると、基本的には、多数意見に同調している判断が多く、補足意見、意見、反対意見は、同じ第一小法廷の宮川裁判官(平成20年9月3日に任命)に比べると、少なく、独自の見解を示すことに消極的なのかというようにも感じる

しかしながら、任命が平成21年1月26日であることを考慮すると、現段階で、国民に対する自身の意見表明に消極的だと断じることは、あまりにも性急であろう。

平成21年4月23日判決は、住民訴訟における弁護士費用の請求に関し、宇治市が得た利益を具体的に算定し、「相当と認められる額」について、実質的な視点から、住民訴訟をして、市の損害を回復した原告住民の救済を図っており、妥当な判断をしている。

なお、世間で冤罪ではないのかと注目を浴びている御殿場事件(最決平成21年4月13日)の上告棄却判決を全員一致(その他、櫻井裁判長裁判官、涌井裁判官、宮川裁判官が関与)で出している。

この点、社会的注目の集まっている事件であるにもかかわらず、「上告趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。」と言うのみの判断をしていることは、最終裁判所として期待される被告人に対する丁寧な判決理由と説明を尽くすという点からは、妥当性を欠くと言わざるを得ない。

もっとも、これについても、この判決のみを引き合いに、罷免相当と言えるかは疑問が残る。

金築裁判官の下級審判断を考察すると、基本的には妥当な判断をしており、判決理由も丁寧に述べられている。

したがって、今後の最高裁判決においても、形式的な門前払い判決にとどめるのではなく、極力上告棄却においても、実質的な理由づけを示す努力を期待したい。

以上より、私は金築誠志裁判官に対して、積極的に罷免相当とする事由を見つけ出しがたいが、かといって、近藤裁判官、那須裁判官のように、最高裁判事として理想的な職務をこなしていると高く評価することはできない。

また、宮川裁判官がいくつかの事件で、門前払い判決に対し反対意見を付与したり、補足意見を付与しているのに対し、金築裁判官には、現状では、それほどの積極性は認められないのもまた事実である。

そうすると、宮川裁判官のようにも、高く評価することも困難である。

結局のところ、可もなく不可もなくという評価に落ちづかざるを得ないのである。

したがって、仮に、「理想的な裁判官以外は罷免相当という基準」を用いるのであれば、金築裁判官は、罷免相当という評価になるし、「積極的に罷免相当事由がなければ、信任すべきという基準」を用いるのであれば、信任すべきということになるだろう

なお、私見は、前者の基準を採用した投票行動に出ることになるだろう。

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