竹崎博允最高裁長官に対する評価(私見)

>>「最高裁判所裁判官の国民審査について」に戻る

>>「竹崎最高裁長官が関与した判例」へ

※ 竹崎長官が関与した最高裁判決は少なく、関与した最高裁判決理由のみで評価するのは非常に困難であるため、その他の資料についても言及しつつ、評価していくことにする。なお、関与した判決の評価に当たっては、他の裁判官と同様、①具体的妥当性を図っているかどうか、②判断理由を丁寧に説明しているかどうか、③法規の実質的な趣旨解釈をしているかなどを中心に評価する。


1.最高裁判決理由からの評価

唯一、竹崎長官が関与した判例として、福岡県青年育成条例の合憲性が争われた事件である。確かに、この種の条例とわいせつ図書の販売規制という論点については、最高裁判例も多く、青少年との関係で、わいせつ図書販売業者の表現の自由(21条1項)、営業の自由(22条1項)などがある程度制約されるというのが判例通説として固まっている。

しかし、判例が個々の事件の紛争解決基準を示す機能を担っている趣旨からすれば、最高裁における判決理由は、丁寧な論述が求められるのであり、憲法上の権利が争われていることにかんがみると、判決理由としての丁寧さが欠けるのではないかと思われる。

判例の結論には賛同するが、主張されている憲法上の権利の重大性に鑑みれば、制約根拠をもっと丁寧に論じるべきであり、憲法訴訟における最高裁判断としては必ずしも適切な論述ができているとは言い難い。

判決のみからは、原告が主張している個別具体的憲法上の自由権の内容が必ずしも明らかではないが、最高裁としては、そうした本件事件における原告の個別、具体的自由を制約できる根拠を具体的に明示すべきであろう。



2.
その他の資料に基づく評価

竹崎長官の人物像を描く資料がごく限られており、最高裁HPの竹崎氏の紹介も、国民にどういう人物であるかをアピールするものとしては非常に弱く、評価の基礎となる資料が偏ってしまうことは最初に付言しておく。

朝日新聞グローブの記事によれば、竹崎長官は、典型的なキャリア裁判官であり、裁判官の方が弁護士より実力があると考えているという話があり、弁護士からの裁判官任用に消極的ではないかと推察される。記事は、「弁護士から裁判官を選んだ方がよいという発想には決してならない」とも言っている。

裁判員制度により、国民に負担への理解を求めつつ迅速な裁判の実現を目的としていることからすると、弁護士からの裁判官任用をはじめとした法曹三者の人材交流、流動化は特に必要なことであり、これに消極的な姿勢であるということは、司法行政の長でもある最高裁長官として適材と言えるかは疑問がある。

また、この記事に基づくと、裁判員制度を推進した竹崎長官は、「『裁判官は世間知らず』『官僚司法』という批判には同意しないが、「プロが当然と思っていることでも、素人と一緒に原点に返って検討するうちに新たな問題点に気づくこともある」と裁判員制度の効果も力説するようになった。」と評されている。

この記事が指摘する事実が真実であるとすれば、裁判員制度による国民参加の意義が単なる職業裁判官の判断の権威付けのためということになってしまうのであり、最高裁の長としては不適切な発想であると言わざるを得ない。

足利事件のように、疑問の残る鑑定を信用し過ぎてしまうという一般常識からかけ離れたプロの裁判官による冤罪をうむ現状が少なからずある以上、最高裁の長として、官僚司法の問題に向き合っていないという評価になりえるだろう。


3.結論


評価に当たり参考となる資料が限られているため、十分な人物像、最高裁判事として事件に取り組む姿勢を浮き彫りにするのが困難であるという前提で、以上の考察を基にすれば、最高裁長官として、憲法の番人の長であることはもちろん、司法行政の統括をする人物としては、官僚主義な裁判官としての一面が強く、その適性に疑問を感じざるをえない

また、小法廷に関与する姿勢は評価に値するが、小法廷判決(1件)を見る限り、憲法関連事件であるにもかかわらず、主張されている憲法上の制約原理をわかりやすく示そうとしたりするなど、他の裁判官(とりわけ那須弘平裁判官)と比べると、判決理由を丁寧に示そうという姿勢は見て取れない

したがって、私は、竹崎博充最高裁長官は、司法行政の長として、理想的な職務を遂行する人物かは疑問が残ると考える。

また、憲法の番人としても、上記判例を見る限り、丁寧な説明を国民に向けて行おうとする姿勢に疑問が残る。よって、罷免相当と考える。

※ なお、資料が少ない竹崎長官については、現時点での評価であり、他の判例や資料により別の人物像が明らかになった場合には、評価を変更する可能性がある。


>>「最高裁判所裁判官の国民審査について」に戻る 

>>「竹崎最高裁長官が関与した判例」へ