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12/31/2020

虚像が批判され本物が人気となった2020年

昨日久しぶりに更新したブログ記事「後手後手を先手先手という菅内閣の詭弁と国民の不信」は,現在の入国管理政策と水際対策の問題について分かりやすいとの声を頂いた。

BLOGOS上でも,Facebookの「いいね」が500件以上付いたようで,久しぶりの更新の割には,なかなか好評だったのではないだろうか。

そこで大晦日の今日も今年最後のブログ更新として,「虚像が批判され本物が人気となった2020年」と題し,2020年のポジティブな側面を論評してみたい。

1.半沢直樹と鬼滅の刃が人気となったのは本物だから

今年のポジティブな側面を振り駆る上で,この2つの作品の人気について触れないことはできない。コロナ禍により自宅で過ごすことが多かった大多数の人にとって,2020年はテレビやサブスクリプションの動画配信サービスなどを見る機会がいつも以上に多い年だったのではなかろうか。

腐るほどあるエンタメ作品の中でも,半沢直樹や鬼滅の刃が爆発的人気になったのは,これらの作品が「本物」によって作られた「本物」の作品だからであろう。

まず,半沢直樹は,前シリーズもそうであったが,役者が本物で固められた。全国的な知名度が低い役者も多く起用されており,これらの役者が半沢直樹の世界を本物に仕上げたと私は思っている。元々日本人は勧善懲悪が好きな国民性ではあるものの,半沢直樹が爆発的に人気のドラマになったのは,ストーリーが良いだけではなく,ちょっとした脇役を含め,すべてのキャストとスタッフが本物を作り上げるという意気込みが視聴者に伝わった作品だからこそだろう。

安易な人気俳優やアイドルなどを使うのではなく,本当に演技のできる俳優が参加し,濃い演技の歌舞伎俳優から,それを脇で支えるあっさりとした俳優たちが,それぞれの役割を存分に発揮したからこそ,このドラマは「本物」だと多くの視聴者を魅了したのだと思う。半沢直樹のキャストリストを改めてみると,誰一人無駄な役はいないし,それぞれの顔が直ぐに浮かんでくるあたりも,本物の演技をそれぞれの役者がし,それをスタッフがまとめ上げたといえる。

特に私は神谷機長を演じた木場勝己さんの起用とその演技は素晴らしいと思った。 コロナ禍であるにもかかわらず,クラスターなども発生させずに,一般視聴者が本当に喜ぶ本物の作品を作り上げたのは,本物のキャスティングが大きく寄与したと思う。

鬼滅の刃もアニメーションは昨年から人気にはなったものの,今年これ程の爆発的な人気となることを誰が予想したであろう。

私自身も鬼滅の刃にハマったのは,半沢直樹が終わった秋頃に,家族からAmazon Primeで見られるから見た方が良いと言われ,見始めたのが契機となった。名前は知っていたが,正直,見るまで,「あー,漫画ね。」,「どうせオタクに人気なんでしょ。」程度の感覚で馬鹿にしていた。そんな私も,今ではコミックスを大人買いし,一部の巻が見つけられず,本屋を探し回るようなことをしている。

この鬼滅の刃が本物の作品なのは,声優陣に「なんちゃって声優」の起用がいないことが一番の理由ではなかろうか。

私はあまり声優業界には詳しくないが,キャストに芸能人やタレントなどの「なんちゃって声優」がいないことが,本物の作品に仕上げていると感じる。炭治郎役の花江夏樹さんや善逸役の下野紘さんが作品を語る「鬼滅ラヂヲ」を聞いてわかったのだが,この作品でもサブのキャラクターのキャスティングが半沢直樹と同じで豪華であると言われている。

例えば,アニメーション2話のお堂の鬼は,スラムダンクの流川の声やドラゴンボールZで人造人間16号の声の緑川光さんだったり,一言二言しかない,かすがいがらすというカラスの声を独立した別の声優をキャスティングしているから驚きである。しかも,そのカラスの役は一匹一匹異なっており,声優の山崎たくみさん,檜山修之さん,高木渉さんという3人のベテラン声優を使っているという。

また,通称「パワハラ会議」として有名になったアニメーション第26話の最後の方に下弦の鬼たちが一瞬にして鬼舞辻無惨に殺されるシーンがあるが,その下弦の鬼たちも別の役をやった役者をそこで使うのではなく,新たに別の声優の方を投じている。例えば,下弦の参の病葉を演じたのは,アニメワンパンマンでイナズマックスを演じた保志総一朗さんである。

さらに,「チュン」というセリフしかないチュン太郎という雀の声も,他の役の声優が掛け持つのではなく,1人の専属の声優(石見舞菜香さん)が使われているというから驚きである。

こうした話を聞いて,私は鬼滅の刃は原作が素晴らしいことは格別,アニメーションの制作が本物志向で作られた本物の作品だからこそこれだけ今年人気を爆発させたのだと痛感した。

実際,視聴者は,チュン太郎の「チュン」という単純なセリフから様々な感情を視聴者は読み取れるのである。これは,本物の声優たちが声でしっかり演技しているからであろう。細かな所に一切の妥協をしない姿勢が,視聴者を本物の世界観に引き込んだのだと思う。

そう考えると,映画「鬼滅の刃無限列車編」が千と千尋の神隠しを抜いたのは必然的だったのかもしれない。もちろん,千と千尋の神隠しも良い作品ではあったが,良い大人が涙するような映画ではなかった。それに比べると,鬼滅の刃無限列車編は,子どもだけでなく,良い大人が涙するシーンが多い。

特に,炭治郎たちが映画の後半に,「これでもか!」というぐらいに熱い声の演技で次々に泣かせにかかってくる。これは,声優という声の役者のプロたちが,声のみで素晴らしい演技をし,アニメーションもその声の演技を最大限引き出す形でアニプレックスが細かいところに拘って美しい映像で届けてくれているからだろう。

このあたりの詳しい話は,鬼滅ラヂヲで炭治郎と善逸を演じた声優の花江夏樹さんと下野紘さんが色々語っているので,鬼滅の刃にハマった人間としては,こうした熱意を後から聞くと,なるほど,なぜこの作品は「本物」として化けたのかということが良く分かる。残念ながら鬼滅ラヂヲは数日前に公開された47回で一旦休止されるようであるものの,過去の放送はYouTubeで公式に公開してくれているのでぜひ鬼滅ファンには聴いてほしいと思う。

鬼滅の刃製作委員会に余計な団体が入っておらず,アニプレックス,集英社,ufotableの3社のみで構成し,余計な忖度が入らなかったのも良かったのかもしれない。下手にスペシャルゲストみたいな感じで有名芸能人や旬のイケメンやかわいい女優をアサインして話題性を狙うのではなく,作品の良さで,声のプロたちで勝負しているからこそ,幅広い多くの人々の心に響いているのである。

早くも実写化などという話も出ているが,ぜひ著作権者には,安易な実写化で,本物を偽物にしないようにしてもらいたいと願うのは,最近ハマった私だけではないだろう。

さらに,昨日は,レコード大賞にLisaさんの「炎」が選出された。

レコード大賞といえば,芸能界のドンとの癒着などが報じられ,多くの国民がここ最近は「白い目」でレコード大賞をとらえていたと思う。実際,放送前から嵐が特別賞を受賞することに批判の声などもあったようであるし,そもそもレコード大賞はオワコンとも報じられていた。

いずれにしても,レコード大賞にLisaさんの「炎」が選ばれたことに異議を唱える人はほとんどいないだろう。鬼滅の刃という本物の作品の一部を構成する彼女のこの歌を聞くだけで,映画の情景が思い浮かび,多くの人が感動を味わえる。

仮にLisaさん以外が受賞していたら,それこそ本物じゃない受賞として「炎上」していたのは火を見るよりも明らかである。そういう意味で,TBSがレコード大賞そのものを癒着の温床として利用できなかったのは,視聴者の本物志向に抗えなかったからではなかろうか。

なお,私のブログには鬼滅の刃についてアメリカ政治に絡めて論じた記事もあるので,興味があれば読んでほしい。

2.化けの皮が剥がれ虚像が批判されたもの

他方で,化けの皮が剥がれ,一瞬にして支持を失い批難を受けたものも多くあった。

例えば,「100日後に死ぬワニ」はその良い例かもしれない。電通案件として炎上した話は記憶に新しい。この女性自身の記事も「SNS上で自然発生的に生まれたムーブメントであることに魅力を感じでいた読者が多い中、企業によって仕組まれていたという事実に落胆を感じた人がいたのは事実 」と指摘しているが,このとおりで,欺くが如く仕掛けられたものに対して,多くの人が拒否反応を示したのが2020年だったように思う。

これはエンタメの世界だけでなく,政治においても同じだろう。

コロナ対策の持続化給付金の事務局の落札において電通関与の不透明な実態が批判された。ロイター通信の記事がこの事案について整理しているが,「ペーパーカンパニーじゃないか」,「無駄な税金の中間搾取だ」とサービスデザイン推進協議会が批判を受けたのも,やはり,国民がが癒着の実態に気が付き,公正なプロセスとされた選定手続きの化けの皮が剥がされたからである。

また,コロナ対策においても,メディアは当初,吉村大阪府知事を持ち上げたが,イソジン発言以降,彼に対する世間の評価が大きく変わった。そして,住民投票で否決されたのも,これを契機に市民が本質を見抜こうとし,彼や維新の本質的な軽さと思慮深さの無さが化けの皮が剥がされて露わになったからであろう。

さらに,検察官の定年延長問題や賭けマージャンの事案についても,政権,メディアと検察幹部の関係の化けの皮が剥がれ,黒川氏は辞職に追い込まれるとともに,一般市民で構成する検察審査会は強制起訴の第一歩となる「起訴相当」という決議を行った。強制起訴になった事案に無罪案件が多いのは事実だし,その点の批判もあるが,香港が共産主義国家に飲まれている姿を目の当たりにし,民主主義国家において市民感覚が反映される仕組みがあることは重要だと感じている。

2020年はネガティブな事柄も多かったし,志村けんさんや岡江久美子さんの新型コロナウイルス感染症による死去などショックで悲しい話題も多かった。私自身も帰省をすることもできず,海外にも一切行くことのできない異常な1年であった。

しかしながら,ポジティブな側面を考えると,2020年は,コロナ禍で私たちは何が本物なのかということをよく考えさせられた1年だったといえる。つまり,物事の本質を考えさせられる事が公私において多かったように感じている。私自身,仕事においても,これは無駄なのではないかということを自ら問う機会が多く,正直,今年1年は本当に仕事の質は高まったと思っている。

どうしても多くの人がネガティブに考える2020年だと思うが,私は,大晦日に2020年を振り返り,今年は「本質を見抜く力を多くの人が養うことができる1年だった」と少しでもポジティブに総括したい


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