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11/04/2020

アメリカ大統領選挙の行方

今日は,4年に一度のアメリカ大統領選挙の投票日。

多くのメディアはトランプ苦戦を報じてきたが,私も木村太郎氏と同じように私はトランプ大統領が再選すると考えている。

日本のメディアに登場する自称専門家の米国政治専門の大学教授などは隠れバイデン支持者が多くいる一方,隠れトランプ支持者が今回は少ないなどとリベラル的視点で希望的観測を述べているのをよく見てきたが,私は今回も大方のメディアは予測を外すと思っている。

つまり,トランプが再選するだろう。

私の友人の中にはアメリカ政府高官もいることからその友人からの情報については今まであまり鵜呑みにしてこなかったが,今回一般市民レベルのアメリカ人の友人たち(20~40代)がいわゆる隠れトランプ化していることからも,メディアが報じるほどトランプの人気が落ちているようには思えないのである。そしてこれらの友人たちが共通して言うのは,彼らはトランプの政策により生活が4年前よりも良くなっているし,トランプの政策は良いというのである。

多くの日本人はトランプに対して良いイメージを持っていないだろう。これはアメリカ人にとっても同じだと思う。ただ,大統領を選ぶ際にアメリカ人の大多数は,その人物が相応しいかというよりも,政策がどうかで判断している。換言すれば,生活が豊かになったか否かである。この点,木村太郎氏が早々に指摘していたが,56%のアメリカ国民がトランプ政権下で暮らしが良くなったと世論調査で答えている。これは非常に大きな点で,私のアメリカ人の友人を見ても,「個人的にトランプに大統領の資質があるとは思わないが,経済が良くなり,彼は仕事をしているから投票する」という20代後半から30代後半までの若い層が結構いる印象である。

また,この人たちが共通して言うのは,「大手メディアはバイアスが酷く信用できない。テクノロジー関係の大手企業が言論統制をしようとしている」というのである。つまり,隠れトランプを世論調査会社が把握できない状況は改善していない。なぜならば,彼らは大手メディアや世論調査会社を信用しておらず,敵視しているので彼らはまともに世論調査やメディアに対してその声を回答をしないためである。

例えば,私のニューヨークに住む20代後半の友人は,元々民主党支持者であったが共和党員になった。彼が強く主張していたのは,この数年の間にニューヨーク市をはじめとする民主党が首長を務める市や州において劇的に治安が悪化しているということであった。ニューヨーク市については,デモとは名ばかりで暴動と犯罪が急増しており,民主党の首長たちはこれを容認しているという強い不信感を語っていた。

また,日本ではもてはやされているクオモ知事についても,「ニューヨークを破壊している」と極めて低い評価をしていた。こういった声は日本のメディアでは報じられることはない。

面白いことに,こうした民主党所属の首長に対する批判については,私のアメリカ政府で高官を務める友人が同様のことを数年前から私に話していた点である。当時,私は「まあ,共和党の米国政府の高官だからそういうのだろう」という程度にしかとらえていなかった。しかし,一般市民であるニューヨーク州に住むアメリカ人からも同様の見解を聞くと,私たち日本人がメディアや自称専門家の大学教授たちなどから見聞きしているアメリカの虚像からは,かけ離れた事実がそこにはあるように感じる。

このニューヨークの20代後半のアメリカ人の友人は,オバマ支持者であったが前回の選挙でヒラリーを支持できず,トランプに投票したという。彼がいうには,4年前にヒラリーが嫌でトランプに投票した人は,今回もトランプに投票するだろうし,トランプが好きで投票した人は今回もそういう投票行動になるだろうという。さらには,黒人層はバイデン支持などという単純化は難しく,今回はより多くの黒人票がトランプに流れると予測していた。これはバイデンが何か強い政策やリーダーシップを示すことのできる強い候補者ではなく,トランプに対する批判しかできない候補という認識が強いことや2週間ほど前に木村太郎氏も紹介していたバイデン氏に対する疑惑がさらに深まっている点にあるという。

また,日本では報じられないが,アメリカ人の友人たちによれば,黒人の芸能人や著名人がトランプ支持を公言するケースが増えており,黒人の裕福な層には,トランプ支持が確実に増えているというのである。特に中産階級や自宅保持者に対して行われたトランプ政権の減税政策がバイデンが勝てば廃止されるため,これを嫌う黒人層はトランプ支持だという。

ではなぜ日本のメディアはこうした違う「声」を報道しないのだろうか。それは,日本のメディアはアメリカメディアが報じることを真実として報道するだけで,自分たちの情報リソースをきちんと持っていないからである。日本の外国メディアのほとんどが薄っぺらい日本の表層的な情報しか報じないのと同様に,アメリカにおいて外国メディアである日本のメディアにはこうした違う「声」を拾う能力はないのである。

次の疑問は,なぜアメリカのメディアがこうした情報を取り扱わないのか。それは,アメリカメディアがもはや自分たちが聞きたい情報以外を報じたくないという姿勢に陥ってしまっているのである。逆を言えば,リベラル色が強いメディアが自分たちが聞きたい情報のみを報じ続けてきた結果,多くの国民がメディアにそっぽを向いてしまったと言ってよいだろう。もちろん,リベラル層はそれが心地良いからますます事実が真実か否かを問わず,心地の良い情報しか報じられないのである。

例えば,トランプに都合の悪いロシア疑惑は前回の選挙からこの4年間ずっと報じられてきたが真実性を決定づける証拠がイマイチ出てこなかった一方で,バイデンに関する上記疑惑は大手メディアが報道を避けているという根強い批判が隠れトランプ支持層には多い。また,トランプ政権の成果とも言える中東の和平合意についても米国内ではほとんど報じられていないというのである。

こうしたメディアに対する強い不満がある層は圧倒的にトランプ支持であるという。私の友人の中には,今回の選挙ではトランプが圧倒的支持で勝つだろうという人もいた。

多くのメディアは,トランプがアメリカを分断などと報じているが,私はこの見方こそアメリカメディアが意図的に事実を歪めて報道しているのを日本のメディアが垂れ流しいる証拠だと思っている。

私は,アメリカの分断は,オバマ政権の誕生から始まったと見ている。そもそも,私が留学していた頃,ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)という政治家が下院院内総務などという重要なポジションにつくとはよもや思いもしなかった。それは彼女が当時は極左のような思想の持主でおよそ要職に付けるような人物ではなかったからである。しかしながら,オバマ政権を経て民主党はより左にシフトした。その結果,共産主義のような思想が幅を利かせることになり,穏健派や中庸を好む層は,民主党支持者から離れたという事実は無視できないが,メディアは何の実績もないオバマ政権について批判的検証を一切せず,トランプがアメリカを分断したと報じているのである。

現に,デモと称する暴動や犯罪を犯しているグループは,反トランプのグループのデモに起因しているし,Black Lives Matterの運動をしているグループの一部がそうした過激な行動に出ているのも皆わかっているが,なんとなくトランプが分断したというイメージのみが広がっているのも,メディアが問題の本質を報じていないからである。つまり,今のメディアには,あらゆる事象に対する偽善的リベラル主義がはびこっているのである。

ところで,ある日本の自称専門家の大学教授は今回の選挙が最高裁で揉めるなどと予想し,ロバーツ最高裁長官とLGBTに有利な判断をしたニール・ゴーサッチ判事がトランプを裏切りバイデンが・・・などという戯言を自称情報番組で語っていたが,こんな短絡的な話にはおよそならないと私は思う。

そもそも,アメリカ最高裁をリベラルと保守で分けるのが間違いである。アメリカ最高裁判事を分類するなら,憲法の趣旨を解釈してその範囲を広げる手法を取る判事か,制定当時の立法事実を重視して解釈を限定的に行う判事かという分類であって,保守かリベラルかというのはおよそ法律をわかっていない人間が短絡的思考で行うことである。

現に,米国連邦最高裁は,民主党に有利なノースカロライナ州での不在者投票の受付期限を6日間延長する措置を支持する判断を下しているが,評決は賛成5、反対3で、クラレンス・トーマス判事とニール・ゴーサッチ判事、サミュエル・アリート判事は延長に反対したとされているが,これもリベラルか,保守かの問題ではない。この3判事は極めて限定的に解釈する考え方の判事であるため結論が同じになっただけである。また,選挙前に判断すべきかどうかが争われており,これも判事の司法に対する考え方の違いが今回の結果にも表れており,終身の判事が短絡的に保守だからトランプ有利にとか,LGBTに有利な判断をしたからバイデンに有利になる可能性があるとか,そういう浅い,上っ面な解説は全くもって資質がないと言いたい。司法を保守かリベラルかで語る時点で司法の本質を分かっていない人なのであるが,そんな人が専門家として日本でいわゆるフェイクニュースを広めているかと思うと恐ろしい。

さて,私は,トランプが勝つのではないかと予想するが,マスメディアが今後のアメリカを報道していくのか注目していきたい。

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