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October 2019

10/17/2019

ラグビーワールドカップにみる電通の闇

テレビ各局などでは,殊更大きく取り上げているラグビーワールドカップのウルグアイ代表選手2名の事情聴取のニュースを伝えている。しかしながら,私はこの報道姿勢に疑問を感じている。

そして,不可思議なことに同じタイミングで発生した警察が「逮捕」という強制処分(より重い判断)に及んだ悪質な電通担当局長の逮捕という事案については,多くのメディア,特に,テレビメディアはまったく報じようとしていない。

そこで今日は私が大会関係者などから聴取した情報も併せて,この摩訶不思議な現象について,久しぶりに私見を発しようと思う。

ご存知の人が多いとは思うが,13日にはラグビーワールドカップ関連で,2つの事案が発生した。1つは,メディアが殊更大きく報じているウルグアイ選手2名が事情聴取を受けたという熊本でのトラブル事案である。

NHKの報道は次のとおりである。

警察などによりますと、この試合のあと、代表選手2人を含むウルグアイのチーム関係者およそ10人が市内の飲食店を訪れ、このうち一部が酒を飲んで暴れて店に通報されたということです。

警察によりますと、店側は、従業員の男性が選手からタックルをされたほか、店内の備品が壊されたと話しているということです。

警察は、関係したとみられるウルグアイの選手2人から任意で事情を聴いていて、詳しいいきさつを調べています。

大会の組織委員会は15日、店側に謝罪したということで、「ウルグアイ代表チームは非常に反省している。ワールドカップの代表選手が非人道的な行為を行ったことについて遺憾に思っている。今後は店とチームの間に立ち、誠意を持って対応していきたい」とコメントしています。

また,他のニュースメディアも同様に報じている。

ここでのポイントは,警察が直ぐに駆けつけたにも関わらず,「逮捕」という強制処分をすることなく,事情聴取をしたのみという点である。つまり,刑事事件として身柄拘束する必要があるとは司法警察職員の警察官は判断しなかったということである。現に,ウルグアイチームは,翌14日には熊本から東京に移動しており,15日に帰国している。この点,大会関係者から聞いたところによれば,そもそも15日に帰国することは決まっていたので,この事件の有無にかかわらず,15日の帰国は想定通りであった。

であるとすれば,警察も,もし本件が刑事事件として立件すべき事案と考えていれば,逮捕するなりして身柄拘束を当然していたと言える。つまり,メディアがこぞってこのトラブルを報じているが,その悪質性という点は低い事案とみるのが相当であろう。

この点,私が更に大会関係者から聞いた情報によれば,この飲食店はいわゆるナイトクラブのようなところで,そもそものトラブルの原因は,DJの音楽機械に飲み物をこぼしてしまったことにより,その音楽機器が壊れたというトラブルから発生したというのである。

実際,私は現場を見ていないし,警察内部の捜査情報がわかる立場にはないので,この情報が正しいとは断言できないが,報道されている情報との間に温度差を感じるのである。報道を見ると,あたかも,負けたウルグアイチームの一部の選手がヤケ酒を飲んで泥酔し,飲食店で暴れたというような印象を与える記事となっているが,私が関係者から聞いた情報によれば,ウルグアイチームはむしろ,釜石で1勝したことが彼らにとって奇跡的かつ伝説的な勝利で,喜ばしい結果で,ヤケ酒を飲んで暴れるという印象は実体から乖離しているようである。

むしろ,ナイトクラブでDJ機器に飲み物をこぼしたことに起因してトラブルとなったという話や警察が15日に帰国することを前提にその現場において逮捕という身柄拘束の強制処分を取らなかったことからすると,必ずしも,大暴れしたという印象を与えるような報道は,事実関係を正確に報じていないのではないかとの疑念が出ているのである。

さらに,特筆すべきは,同日(正確には前日)に発生したラグビーワールドカップの広報を担当する電通の局長が行った暴行行為に関する報道が極めて矮小されて報じられており,テレビメディアにおいてはほとんど取り上げていないという点である。

テレビメディアは電通に忖度しなければいけない事情でもあるのであろうか。

例えば,朝日新聞のウェブ版では,この2つ目の事案について,次のとおり報じている。

 ラグビー・ワールドカップの試合を観戦後、警備員を殴ったとして、神奈川県警に暴行容疑で現行犯逮捕された大手広告会社「電通」の〇〇〇・新聞局長(51)=東京都港区=について、横浜地検は勾留請求せず、釈放した。15日付。

 県警港北署によると、逮捕容疑は13日夜、横浜国際総合競技場(横浜市港北区)で、警備のアルバイトをしていた大学生の男性(21)の顔を平手打ちしたというもの。日本対スコットランドの試合を観戦後、競技場のゲートの柵に体当たりし、男性に注意されていたという。 

ここで注目すべきは,こちらの事案では,現行犯逮捕されているという点である。つまり,ウルグアイ選手のトラブル事案とは異なり,「逮捕」という強制処分が行われているのである。これは,現場にいた警察官が,暴行の態様から悪質と判断し,逮捕していると考えられるわけである。にもかかわらず,報道内容は,極めてアッサリとしていて,問題の本質に切り込もうとする姿勢は一切見えない。むしろ勾留請求されなかったことが強調され,あたかも事件が軽いものであったかのような印象すら与えようとしている。

私が大会関係者に確認した情報によれば,電通は今回のラグビーワールドカップの広報活動を担当しており,日ごろから担当の電通職員の態度が極めて横柄であって,今回の事案の発生は彼らの日頃の言動からすると起こるべくした起こった事案ということであった。

というのも,ラグビーワールドカップの広報を担当する電通職員は総じて「自分たちがいるからワールドカップも東京オリンピックもできるんだ」という極めて横柄な態度で接してくるというのである。

こういう話からすると,私は,この2つのニュースの取り上げ方の違いに一抹の疑惑を感じてしまう。

それは,注目を受けやすく帰国して反論することが実質的にできない海外選手のトラブルを前面に持ってきて,同じタイミングで起こった電通の不祥事を矮小化又は目立たなくしようとしているのではないかという疑惑である。

悪質性からすれば逮捕された事案の方が明らかに悪い。にもかかわらず、逮捕すらされていない事案に「非人道的行為」などと大袈裟な大会の発表にも電通への忖度がなされているようにすら疑ってしまう。なぜラグビーワールドカップは電通局長の事案について真摯に非難しないのであろうか。

ハッキリ言って,私は電通という会社がこのような大会に関与すること自体おかしいと感じている。なぜならば電通は東京オリンピック招致に係る贈収賄事件において,同社の関係会社がフランスの捜査機関から捜査対象となっているためである。

この点についても日本のメディアはあまり報道しないが,今年8月には,次のような記事が出ている。

国際スポーツビジネスを巡る汚職疑惑を捜査しているフランス検察当局は、摘発したスポンサー料の横領事件で、日本の大手広告代理店、電通のパートナーであるアスレティックス・マネジメント・アンド・サービシズ(AMS、本社スイス)が横領に利用された取引で「中心的かつ不可欠な役割」を果たしていたと判断、スイス当局にAMS本社の捜索と証拠の押収を要請した。ロイターが閲覧した文書と、捜査状況を知る関係者の話で明らかになった。

すなわち,電通は贈収賄事件に関与していた可能性が極めて高いのであってこのような疑惑のある会社に広報活動の業務を依頼すること自体,論外というべきではなかろうか。

現在はフランスの捜査機関のみが捜査していると報じられているが,当然,外国公務員腐敗防止法(FCPA)を有するアメリカ合衆国の捜査機関もこの問題については捜査していると考えられる。なぜなら電通やその関連会社を摘発すれば,膨大な罰金を米国司法省は手に入れることができるからである。

いずれにしても,このような贈収賄疑惑があるような会社が世界的大会の広報活動に関与しているというのは,我が国の組織委員会などにおける倫理精神が著しく欠如しているのではないだろうか。疑惑の法相が任命されたどこかのおかしな国を笑っていられる場合ではないかもしれない。

既存メディアは,利害関係をもって忖度した形でニュースを報道するのではなく,刑事処分の有無といった外形的事情から客観的に報道をすべきではなかろうか。このような利害関係丸出しの報道姿勢であれば,マスゴミと言われても仕方ないだろう。ラグビーワールドカップ関係者の間では,電通職員の態度が極めて横柄であるという話は,有名な話のようである。

起こるべくして起こったより重大な事案については切り込まず,外国選手の逮捕もされていないトラブル事案を殊更大きく報道する既存メディアの姿勢には国民の知る権利に資するための活動を行う者としての矜持が一切看取できない。マスゴミと言われても仕方ないだろう。今回の報道にみるマスコミの偏向は,ラグビーワールドカップなどの国際大会に電通という闇が存在することを改めて実感させてくれるものであった。

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