2020年に向けた企業イメージに潔い誠実な選手の活用を(ベルニャエフ選手やダンフィー選手の功績)
今朝の記事,「英国が愛するトム・デイリー(Tom Daley)選手と影に隠れても良いというグッドフェロー(Goodfellow)選手」では,日本メディアがあまり報じないイギリスのスター選手と彼のペアを組む謙虚な銅メダリストについて紹介した。予選1位の高得点で通過したデイリー選手だったが,準決勝では失敗が続いてしまい決勝には進めなかった。
前回大会銅メダリストで今大会ペアのシンクロでも銅メダルに輝いたイギリスのイケメン飛込み王子のまさかの事態にイギリスはショックを受けているようである。本人も「傷心しきっている(Truly heartbroken)」と述べている。
Truly heartbroken. but I will never give up on my dream of being an Olympic champion. pic.twitter.com/lflU8vACod
— Tom Daley (@TomDaley1994) 2016年8月20日
オリンピックには魔物が住んでいると良く聞くが,まさにその魔物がイギリスの期待の選手を襲ったのかもしれない。ただ,既に2020年の東京に向けて頑張るとの発言をインタビューでもしているようである。
さて,2020年の東京五輪に向け,多くの企業は五輪サポーターなどになり,企業イメージの向上のため日本で人気のある日本人選手を起用したCMが今後も多く流れるかもしれない。
しかし,日本は開催国である。
単に日本人アスリートが活躍し多くのメダルを獲得してほしいというだけでなく,多くの海外選手や海外からの観客を迎え入れる国家として,その企業も国際的なイメージ戦略を考えたCM起用が企業の先進的なイメージ戦略には重要であるのではなかろうか。
そこで,今朝の記事の続きであるこの記事では,私が考えるこの大会で最も日本人に注目され,今一番日本人の好感度が高いであろう海外トップアスリートに関する情報を紹介するとともに,そこまで日本では有名でなかった彼らを活用した企業イメージ戦略について私見を述べたい。
1.スポーツマンシップの象徴となったオレグ・ベルニャエフ選手
既に多くの人がご存じのとおり,体操の個人総合で銀メダル,平行棒で金メダルを獲得したウクライナのオレグ・ベルニャエフ(Oleg Verniaiev)選手は,今や日本人にとってはもちろん,世界的にもスポーツマンシップを体現したイケメン選手として注目を浴びている。
以下はベルニャエフ選手のInstagramの投稿。
日本ではスポーツについてあまり報道するイメージのない日経新聞までもが「敗れざる魂 体操男子・ベルニャエフ 採点「フェア」強く潔く 」と題した記事でベルニャエフ選手の精神を賞賛している。
ウクライナ政府と親ロシア派勢力による紛争で、中心地となった東部ドネツクの出身。疲弊した国から支援はほとんど受けられない。かつての代表仲間は好待遇の誘いを受けてロシアなどに国籍を変えたのに、自身は母国を背負う道を選んだ。
1点近いリードを手に迎えた最後の鉄棒。勝利を確信したかのような雄たけびを上げたが、着地が1歩動いた分だけ点数が伸びなかった。場内はブーイングも起きた。
試合後の記者会見。隣の内村に対して「あなたは審判から好意的に見られていると思うか」と質問が飛んだ。鉄棒の採点について聞いているのは明らかだった。
これに不快感を示したのはベルニャエフだ。「採点はフェアだと選手みんなが分かっている。無駄な質問だ」。潔い態度に拍手が起きた。
悔しさのにじむ表情が笑顔に変わったのは、内村から「次はもう勝てない」と言われた時。「恥ずかしいくらいうれしい。でも彼は絶対にそんなこと思っていないはずだよ」。良き敗者がいてこその名勝負だった。
日本のメディアだけではない。例えば,The Indian Expressは,次のようなベルニャニフ選手のコメントを掲載し,彼のフェアなスポークスマン精神を紹介している。
「金メダルを望んだし,それを意識しなかったとはいえないね。でも,上手くいかなかった。」
(“I hoped, and I can’t say I didn’t think about it,” he told reporters. “But it didn’t go that way.”)
22歳のウクライナ選手は,最終的には内村選手が金メダルを受ける価値のある演技をしたと述べた。
(Ultimately, Uchimura deserved the gold, the 22-year-old Ukranian said.)
「僕はこれまでどの選手もできなかった彼の得点に最も迫るということができた。彼は体操界のマイケル・フェルプスだからね。」
(“I have come as close as possible to him, as nobody has before,” he said. “He’s the Michael Phelps of gymnastics.”)
(略)
「金メダルを取れないんじゃないかと航平をとても不安にさせることができたことは結構嬉しいよ。次に向けて頑張ります。」
(“I’m quite happy that I managed to make Kohei very nervous,” he said. “We’ll be preparing for next time.”)
さらに米国のヤフースポーツのEric Adelson記者の英字記事は,試合後のベルニャエフ選手の態度や記者会見の様子を次のように具体的に紹介し,彼の敗者としての潔さを賞賛している。
ベルニャエフは採点に関する議論に対し火に油を注ぐようなコメントをすることもできた。金メダルを内村に奪われたという趣旨の主張だってできたし,そのようなコメントがなされることは十分想定できるような状況だった。しかし,彼はそのような主張をしなかった。
(Now it was up to Verniaiev to respond. He could have raised hell. He could have made the case that he was robbed of the gold, and it could have been a credible case. He didn’t go there.)
彼は,「スコアは公平なものだったと皆がそう思っています。こうした質問はこの場には不適切な質問です。」と述べたのである。
(“We all have feelings,” he said, “but we know the scores are fair. All the questions are superfluous here.”)
まさに敗者としての一流の言動であった。この姿勢は彼の真摯な姿勢から出たものであったように思われる。彼はスコアに対する疑義という問題から距離を取ることで一段と喝采を浴びたのである。
(It was a classy gesture by a defeated man, and it seemed a sincere one. He steered further away from the controversy and then added a layer of praise.)
ベルヤニフ選手は「体操界における航平は競泳界におけるフェルプス選手のようなものです。体操界にフェルプスがいるんですよ。」と述べた。
(“Kohei in gymnastics is like Phelps in swimming,” he said. “We have our own Phelps.”)
この瞬間,日本のメディアからは拍手が起こった。
(At that, the Japanese media applauded.)
これは少し不思議な状況だった。緊張感のある質問,拍手喝采,そして,ウクライナのレポーターの中には立ち上がり「ベルニャエフ選手は我々のチャンピオンだ」と発言する者もいた。
(It was a bit of a strange scene: the pressing question, the applause and there was even a Ukrainian reporter who stood up to say Verniaiev was “our champion.”)
最終的に,ほとんどの人がこうした会見での疑義に関する議論は忘れ去り,内村が作った歴史のみが皆の記憶に残るかもしれない。
(In the end, though, few will remember what came after the athletes left the podium. Uchimura’s history is what everyone will remember.)
ベルニャエフ選手は,さらに「メダルの数ということでいれば,内村はこれまでも伝説だったし,今も伝説的な人物です。」と付け加えた。
(“When it comes to the quantity of medals,” Verniaiev said, “he is a legend, he was already a legend.”)
それだけでスコアに対する議論が無意味であることが良く分かる。
(That much is beyond argument.)
様々な競技があり,様々な境遇にある選手が必死で人生を掛けて4年に一度の夢の舞台での勝利を目指し,想像を絶するトレーニングや苦痛を乗り越えてオリンピックの舞台に立っていることは,スポーツとは縁遠い私でも容易に想像できる。
それだけに,負けるというのは本当に悔しいことであろうし,直ぐに受け入れられない選手の心情も良く分かる。
しかし,私はベルニャエフ選手のような潔い敗者としての態度こそがオリンピック精神を体現する最もあるべき姿ではないかと思うし,これこそが全面的に賞賛されるべき姿であろう。そこには,ある種の武士道に通じる清々さがあるのであり,私は一観客として今回の五輪で彼から大変学ぶことができた。
これは,レスリング男子で審判の採点に疑義がついたものの抗議が認められず,銀メダルとなった樋口選手が「自分に何かが足りなかった」と語ったと真摯に語った姿にも良く表れていた。
Thank you to everyone for you're support today. I'm super proud of my race! Bring on #Tokyo2020 https://t.co/HaUmibiIXT
— Evan Dunfee (@EvanDunfee) 2016年8月19日
荒井選手によれば,彼は荒井選手に謝る必要がないにもかかわらず,荒井選手にあった際に,Sorryと謝罪しハグをしたという。このような謝罪があったのは,同じ選手として荒井選手の気持ちが良く分かったからであろう。
ダンフィー選手は次のような潔いコメントをカナダ国民に対して発表しており,本件は終局的解決となった。
日本メディアはあまり彼の誠実性に関する情報を報道していないことから,以下声明の一部を紹介する。彼のスポーツマンとしての誠実性の哲学が良く表れている文章である。
私にはスポーツ仲裁裁判所への上訴という手段を行うか否かという選択肢が残されていました。
しかし,選手村に戻り,今回の接触事件について見返した結果,私は更なる上訴を行わないことを決意しました。なぜならば,私はそれが正しい判断であると信じているからです。
(It was then left for me to decide whether to pursue this further with an appeal to the Court of Arbitration for Sport. Following my return to the village and my viewing of the incident I made the decision not to appeal, as I believe the right decision stood.)
約3時間半に及ぶ極限のレースにおける選手の痛みがいかなるものかというのは,あまり多くの人が理解できるものではないかもしれません。日本の選手と私自身との間で生じた接触により私の精神力が途切れてしまいました。そして,その集中力を失った時,私の足はもはやゼリー状のような状況だったのです。接触というのはこの競技の一部であり,明文か不文律であるかにかかわらず,それは良く生じることなのです。
また,私は今回の接触が悪意又は故意によりなされたものではないと信じています。仮に私がスポーツ仲裁裁判所に更なる上訴をし,それが認められたとしても,私はこの銅メダルを確たる自信を持って受け取ることはできません。そのような形で銅メダルを受領したとしても,それは私が胸を張って受けられるメダルではないのです。
(Not many people can understand the pain athletes are in three and a half hours into such a grueling race. I believe that both the Japanese athlete and myself got tangled up but what broke me was that I let it put me off mentally and once I lost that focus, my legs went to jello. Contact is part of our event, whether written or unwritten and is quite common, and I don’t believe that this was malicious or done with intent. Even if an appeal to CAS were successful I would not have been able to receive that medal with a clear conscience and it isn’t something I would have been proud of.)
今夜はぐっすり眠れると思います。そして,今後の人生においても,今回下した自分の決断が正しいものであったと思えるでしょう。私は,表彰されることではなく人生において誠実な行動をとることが正しいと考えています。
(I will sleep soundly tonight, and for the rest of my life, knowing I made the right decision. I will never allow myself to be defined by the accolades I receive, rather the integrity I carry through life.)
最後となりますが,皆さん私とチームメートのマチュ・ビロドウを応援してくれて有難うございました。競歩という競技について,これだけ広い層から反応してもらえたことは本当に素晴らしいことです。私のチームメートと競合選手はこの競歩という種目で,私を常に刺激してくれます。今日,私たちが彼らにも同じように刺激できるパフォーマンスを示すことができたのであれば幸いです。
(Finally, thank you to everyone who supported myself and my teammate Mathieu Bilodeau today. To see race walk receiving such a wide reception is absolutely amazing! My teammates and my competitors in this event never cease to inspire me and I hope that we have done the same to you today.)
彼の声明を見ても,選手としての潔さとともに競争相手であった荒井選手のことをおもんぱかる姿勢は,これも武士道精神に通じていると感じてならない。
#ClosingCeremony #WhyWeSport pic.twitter.com/pEhoNQRSCy
— Evan Dunfee (@EvanDunfee) 2016年8月21日
抗議は正当な結果を担保するために行われるべきである。
しかし,結果が確定した後は潔い姿勢を示すということこそがスポーツマンシップであり,五輪精神そのものであろう。
実際,日本のネットでも,かなりベルニャエフ選手やダンフィー選手を賞賛するコメントが相次いでいる。
ダンフィー選手は誠実性こそが最も重要であるという考え方を体現したような選手だったようである。
今から約1年前の2015年8月22日付けカナダメディアの記事によれば,彼は反ドーピングとクリーンなスポーツの実現をSNSで明確に訴え続けてきたようで,ニューヨークタイムズは彼を「自警団の競歩選手(Vigilante Race Walker)」と呼んでいるという。
そんな彼がだからこそ,自分自身にとっても誠実性という観点から,例え抗議を続けてメダルがもらえるとしても,それは自分が満足するものではないとして,潔さを選んだのかもしれない。ちなみに,彼は今年の3月神戸に来ていたようである。
Spoty wifi here in Kobe. But yes, we are happy! @ChrisErickson00 @InakiGomezG @JaredTallent @BKReading pic.twitter.com/jqMPxE5a9I
— Evan Dunfee (@EvanDunfee) 2016年3月24日
私はメダルの数や色よりも,ベルニャエフ選手やダンフィー選手,さらには日本の樋口選手のような潔い敗者の姿勢こそが賞賛されるべきであると思うし,後述のとおり,こうした選手への企業の投資こそが企業イメージの向上につながると考えている。
2.オリンピック精神を有しない外野が騒ぎ台無しにする ― 軽口で馬脚を現し大批判を浴びた小倉智昭氏
他方,外野であるメディアや我々"国民"や"観客"の姿勢はそこまで成熟してないと思わされる話が多い。
すなわち,外野がメダルの数とメダルの色にこだわり過ぎる結果,外野が五輪精神を台無しにしていると感じてならない。
その一例が競技の難しさなどを十分理解できていないにもかかわらず,安易に興奮して2位のベルニャエフ選手をディスり,大批判を浴びている小倉智明氏の姿勢や男子レスリングにおいて繰り返し,「審判が相手の選手が腕をつかんでいることを注意しなかったのはおかしい」などと言い続けて報じるNHKのアナウンサーなどの姿勢であろう。
さらには,大切な決勝戦で自国の選手の勝利を望むためにブーイングをして相手のフランス人ルノー・ラビレニ(Renaud Lavillenie)選手を侮辱したブラジル国民の姿勢は,極めて民度が低く,歴史に残る醜態と言っても過言ではない。没収試合にしても良いレベルではないだろうか。
このような行為を許容するからオリンピック精神から乖離したドーピングの蔓延や理事の不正という前代未聞の自体が今回のリオオリンピックでは噴出してしまっているのであろう。
この点,J-CASTニュースは小倉氏の問題に関し,「『内村リスペクト』の美談ブチ壊し 小倉智昭が体操銀メダリスト酷評」と題した記事で次のとおり報じている。
そんなベルニャエフ選手の鉄棒について、小倉さんはこう力説した。
「ベルニャエフのほうは、はっきり言うと鉄棒のまわりをただ回ってただけ。守りに入っちゃってたから、勝てるわけないです。これで15点ついたらおかしいぞって思ったら、やっぱりそのジャッジというのは正確なものですね。14.8しかつきませんでした」
その上で「堂々の逆転優勝だったですね、もう嬉しくて嬉しくて!」と喜びいっぱいに内村選手の金メダル獲得を祝した。
だが、小倉さんの「ただ回ってただけ」という発言は視聴者に歓迎されなかったようだ。放送直後からネット上には、
「小倉さんの発言ないわ、、、」
「失礼すぎてほんま腹立った」
「ちょっと小倉さん!最高のライバルに対して失礼ではないか?」
「うれしいのはわかるけど正々堂々と戦った選手に対してリスペクトがないなら何も発言するな」
といった批判的なコメントが相次ぎ投稿されるようになった。
手放し技中心の内村選手とひねり技中心のベルニャエフ選手を比べると、一見すれば前者は派手で、後者は地味に感じられるかもしれない。小倉さんの目に「ぐるぐる回ってただけ」に映ったのもそのせいだろう。
しかし、ひねり技メーンの構成が「守り」かというとそうではなく、アテネ五輪で団体チームの主将を務めた米田功さんは「ベルニャエフの鉄棒は、ひねり技が多く減点されやすい構成」と日刊スポーツ内のコラムで語っている。地味に見えてもリスクの高い構成だったようだ。
無知の知をしらない小倉氏の荒唐無稽ともいえるベルニャエフ選手への軽口ははっきり言って恥としか言いようがない。
彼が本件についてベルニャエフ選手に謝ったり,訂正するような発言は未だしていないが,このようなオリンピック精神が欠如したキャスターが偉そうに毎回知ったかぶりをして情報番組の司会を続けることには嫌悪感すら感じてしまう。彼が行った軽口は先のブラジルの観客が行ったブーイング行為とはっきり言って同じレベルのものである。
かつては斜に構えたコメントなどで既存のメディア司会者とはちょっと違う視点を提供してきた彼だけに,老いのせいなのか,内村選手が好き過ぎる結果の軽口なのかはわからないが,このような発言をして批判をされても平然としていられるような人物にオリンピックを報じる資格はないのではないだろうか。
このあたりが民意や世論に敏感になれず,視聴者を満足させられず低視聴率に陥っているフジテレビ精神が表れていると言っても過言ではないだろう。
3.欧米ではスポーツ選手のセクシーアピール化が進んでいる
ところで,皆さんは欧米を中心にスポーツ選手のセクシーアピール化が進んでいることはご存知であろうか。
前回の記事「英国が愛するトム・デイリー(Tom Daley)選手と影に隠れても良いというグッドフェロー(Goodfellow)選手」を読んだ読者の方は気が付いたかもしれない。
欧米では飛込みや競泳など露出度の高いオリンピック競技の視聴率が高いようで,ピーチバレーなどでも際どい姿でセクシーアピールが進んでいるという。
このセクシーアピール,従来は,男性の視聴者を意識したものが多かったようであるが,近年は,女性やゲイの人をターゲットにしているのだというのである。
アメリカ人の友人がいうには,Sex and the Cityというドラマの中である肉食系の女性キャラクターが「まずはゲイ,次に女性よ(First Gays. then Women)」とターゲットにすべき層を語っていたシーンがあるというのであるが,アメリカのショービジネスではまさにこの現象が進んでおり,その余波はスポーツビジネスにも及んでいるという。
その一例が,男子体操選手について上着なしで演技させるようにしてほしいという声があり,ウォールストリートジャーナルによれば,鍛えられた肉体美で新たなファンするため実際に米国の男子体操チームは上半身裸で演技することを提唱したというのである。
実際,ベルニャエフ選手が金メダルを獲得した男子平行棒のエキシビジョン(体操にエキシビジョンがあることを知らなかったが・・・)では,銀メダルを獲得したダネル・レイバ(Danell Leyva)選手が上半身裸となり,会場を沸かせたと報じられている。
US Gymnast @DanellJLeyva Strips Down at #Rio2016 (and Ukraine Follows Suit) - WATCH https://t.co/jQhTY7HxvA pic.twitter.com/gQK9rn7hRE
— Towleroad (@tlrd) 2016年8月18日
さらに,驚くことに,日本で賞賛されているベルニャエフ選手も金メダリストしてエキシビジョンに登場し,レイバ選手に呼応するかのように上半身裸になって観客に肉体美を披露した。
現に当該エキシビジョンの動画を見ると,シャツを脱いだ瞬間,歓声が上がっていたことから,この作戦は一定の効果があるのかもしれない。
ベルニャエフ選手もインスタグラムで犬と戯れる上半身裸の写真を投稿するなどしてファンへのセクシーアピールをしている。
特に,次の画像は前回ロンドン五輪の際にネット上に出回ったようで当時から可愛いと評判になっていたようである。
こうしたファンや観客へのセクシーアピールも競技を続けていくための資金集めには必要なのかもしれない。
4.企業によるスポンサーシップと企業イメージの向上という一石二鳥
さて,話を本題に戻すが,オリンピック精神を支えているのは,ある意味,敗者の潔さとお互いの気持ちを思いやる選手同士のスポーツマン精神であることは明らかであろう。
いかに外野が騒いだところで,武士道にも通じるような潔い選手の姿勢に勝る賞賛は存在しないと思う。
そのうえで私が提唱したいのは,こうした潔い選手に日本企業は2020年に向けてスポンサー契約やCM契約などをし,海外選手を日本でも紹介していくことで企業のイメージアップ効果を狙ってはいかがかということである。
このポイントは,日本でも海外でも知れ渡っているボルト選手やフェルプス選手などのスター選手ではない,あまり知られていないが潔さとスポーツマンシップで名を挙げた選手を起用するという点にある。
特に,一般世間に知られていない中小企業などが,誠実な姿勢で仕事をしていることをアピールするという観点からも,こうしたCMなどが増えれば面白いのではないだろうか。
特に,ベルニャエフ選手については,上記の日経新聞にもあったように,日本チームなどとは比べものにならないほど劣悪な環境で練習を続けているという。
演技の際,実況の方が,テーピング代金を稼ぐために大会の賞金を得るために多くの大会で出ているなどのエピソードを紹介していた。こういうエピソードこそ観客としては紹介してほしいし,知る権利に資するために存在するメディアとして果たすべき姿勢であろう。どこかの無価値な知ったかおじさん司会者とは全く違う。
日本のインターネット上では,劣悪な環境下でも母国に残ってこれだけの活躍を続ける愛国心に溢れた若きベルニャエフ選手を支援するためにウクライナ大使館寄付したいという声も出ている。
今回のオリンピックが日本とウクライナの関係強化という外交上の効果にもつながるとなれば,オリンピックの意義がまさに体現された瞬間といえるだろう。
こうした動きを日本企業も活用し,現代社会に求められる企業の誠実性,コンプライアンス,倫理観ということをアピールする手段として,こうした選手を支援していくというのは,2020年に東京オリンピックが行われる今,選手のセクシーアピールの傾向とも相まって企業イメージを向上し,新たな顧客層を確保するという点で企業のイメージ戦略として有効なのではないだろうか。
また,東京オリンピックはもはやコンパクトなオリンピックは実現できないのであるから誠実さというオリンピック精神を体現したオリンピックを実現するため,許容できないブーイング等が発生した場合の断固とした措置などについても組織員会は武士道の国家として提案してはどうであろうか。
今回のオリンピックは,スポーツ界の様々な問題が良く見える大会であった。他方で,今回紹介したような選手個々人の質の高さも感じ取れる大会であった。
新渡戸稲造が世界に紹介した日本の武士道の精神は,世界に誇るべき哲学である。
2020年東京五輪では,武士道発祥の国家として,選手の誠実性や潔さがより光るオリンピック精神の実現により近づける大会への改革が進むことを切望したい。
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