ジャーナリスト池上彰から敵前逃亡をした新都知事の情けなさ
やはり、池上無双などとネットで評価され続けたジャーナリスト、池上彰さんの伝説は健在であった。
2月9日の午後8時頃から始まったTOKYOMXの選挙特番。
この番組、選挙特番の司会者に池上彰さん以上の適任者はいないと断言できるほど大変面白いものだった。
一番の見どころは番組の冒頭に起こった。
冒頭、投票時間の締め切りと同時に舛添氏の当確報道が出る中、舛添候補が勝利宣言のために選対事務所に姿を現した直後である。
池上さんは、舛添候補に、離党した党から支持を受けて展開した選挙戦に関連し、自民党との関係を問いただした。
すると、舛添候補は当然予想されているような質問であるにもかかわらず、何故かイライラした姿を見せ、その回答も感情丸出しであった。
その後の質問にも、何故か余裕のなくイライラして答え、小物のような姿で応答する舛添要一氏。
そんなチキンな姿を晒してた舛添さんとのインタビューが終わると、池上さんは、突然、事前に舛添氏から、TOKYOMXのアナウンサーからの質問であれば、単独インタビューの都合はつくが、池上彰さんが質問するなら都合がつかないといわれ、池上さんの質問を拒否されたいたことを暴露したのである。
まさに、当確直後に、舛添候補の器の小ささを印象づけ、追い詰めたのである。
前回の国政選挙でも、公明党の候補者に政教分離と創価学会との問題を問い詰めたシーンは未だ記憶に新しいが、今回の当確直後の追い詰めシーンは、まさに池上無双伝説に残るワンシーンだろう。
そんな池上彰さんの池上無双ぶりは、TOKYOMXの特番だけにとどまらなかった。
0:30分から開始されたテレビ東京の選挙特番では、5分前まで他の番組の独占取材に応じていたにもかかわらず、池上さんが司会をするテレビ東京の特番が始まった途端、舛添候補が敵前逃亡したことを明らかにし、新都知事が厳しい質問に対してまともに答えようとしないチキン、いわば、いかに情けない人物であるかを開票直後の東京都民に知らしめたのである。
これほど選挙特番で切り込めるジャーナリスは他にはいない。
これには、番組のスタジオにいた自民党の石破幹事長も苦笑いするしかなかった。
私は他の番組の池上彰さんはそんなに面白くないと思うが、選挙特番の池上さんは大好きである。
相手が誰であろうと、日和見主義のジャーナリストにならず、まろやかな口振りでバッサリぶった斬る池上さんの姿勢は選挙の結果如何にかかわらず、いつも痛快である。
他のメディアが、それとない質問を候補者にぶつけ、どうでも良いやり取りで時間を無駄にする中、当選した候補者にも落選した候補者にも、なかなか聞きにくい質問を単刀直入にまろやかに口振りでぶつけ、その対応振りを視聴者に見せることで、その人物の人となり、器の大小、チキンか否かを視聴者に露呈させる手法は、まさに神がかり的と評しても過言ではないだろう。
ところで、舛添氏はなぜこんな敵前逃亡とも言われかねない情けない醜態を晒してまで池上氏からの質問を避けようとしたのであろうか。
池上さんの説明によれば、舛添新都知事は、池上さんが細川陣営寄りであると思い、質問を拒否しているというのである。
そうであるとしても、舛添新都知事の度量の小ささは、ジャーナリスト、池上彰によって、当選直後に白昼にさらされた言わざるを得ない。
仮に池上氏が細川寄りだったとしても、当選してこれから都政を司る公人として、選挙特番の取材を露骨に逃げるのは極めてチキンとしか言いようがない。仮に歪曲された質問や不公正な質問が投げかけられるのであれば、それに対して、しっかりと構えて、十分に反論すれば良いことである。
これから大都市東京の知事を務めるのであるから、その程度のことから逃げるとは何とも情けなくはなかろうか。
確かに、池上氏は厳しい質問をぶつけるし、答えにくい質問をする。
しかし、それに対してどう回答するかが政治家としての胆力であり、力量である。
どのような理由があるにせよ、5分前まで別の番組の単独取材に応じ、池上彰氏が司会を務めるテレビ東京の単独インタビューのみに応じないという印象を持たれてしまう行動をしてしまったこと自体、厳しい指摘にまともに反論する勇気がないからこんな醜態を晒して逃げると思われても仕方ないのであり、「情けない」の一言である。
当選直後にこのような醜態を演じる政治家はいまだかつていただろうか。
このようなチキンとの誹りを受けるような行動を当選直後に演じてしまう人物に投票してしまった有権者はこの事実にきちんと向き合ってもらいたいものである。
そもそも期待はしていなかったし、私は土曜日の宣言どおり、細川候補に投票したが、それにしても、新都知事に当確直後の晩からこれ程失望させられるとは思わなかった。
今後、池上無双から逃げた舛添という誹りを挽回できるチャンスはあるのだろうか。
これ以上失望させられないことを祈るばかりである。
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