スカイマークの制服にみる日本企業のあり方
私は今から約3年前、「スカイマークの問題について」という記事を書き、スカイマークには二度と乗りたくないと宣言した。
それ以降、どんなに高くても、JALやANAを乗るか、AIRDOなどの地域密着型エアラインを利用するようにしている。つまり、この宣言のとおり二度と乗っていないのであるが、昨年末に、益々このスカイマーク社の見識を疑うニュースを読んだので、そのニュースについて今日は取り上げてみたい。。
この記事にある写真の制服を一見して明らかであるが、この制服は非常に低俗の一言に尽きる。
このような丈の短いミニスカートをはかせることで、男性客の性的好奇心を駆り立て、顧客取り込みを図ろうとしているのであろうが、仮にそうであれば、同社は女性客室乗務員をキャバクラ嬢か何かと勘違いしており、航空業界という人の命を運ぶ社会的責任のある運送会社の姿勢として、私はその資質に疑問を感じざるを得ない。
航空業界で働く友人によれば、この制服を着るのが嫌でスカイマークの客室乗務員をやめたという人もいるという。
賢明な判断だろう。客室乗務員は緊急時の保安要員である。少なくともこのような低俗な制服に保安要員としての資質があると思わせる印象はゼロとしか言いようがない。
同社は、過去に常識では考えられないような様々なトラブルを起こし、所管である国土交通省から注意処分等を受けている。
そうした過去の経緯やこの法令順守意識が企業の存続にとって不可欠な時代において、未だ時代錯誤的に女性を性的なアピールの象徴としかみていないような制服の導入することについては、企業としてのコンプライアンスの体をなしていないのではないかとの印象を与える。
スカイマーク社がどのような意図でこのような低俗な制服を採用したか私には理解しがたいが、仮に、キャバ嬢風の制服で女性客室乗務員を性的アピールの象徴として利用し、集客を図ろうとしているとすれば、そのようなもので同社のフライトを選ぶような低俗な客層と一緒のフライトには乗りたくないと思う人が多いのではないだろうか。
また、労働者である客室乗務員には、「働きやすい職場環境の中で働く利益」(福岡地判平成4年4月6日労判607・6)があり、使用者である企業には、職場環境調整義務が課されている。
男女を問わず働きやすい職場環境を構築することが企業の社会的責任の一つであり、企業には職場環境調整義務という法的責任がある中で、このような制服を着させること自体が、社会通念に照らし異常な企業体質という印象を強く生じさせるのではなかろうか。
少なくとも、私はこのニュースに接し、同社のフライトは利用したくないと改めて思った。
今日、ロシアで冬季オリンピックが開催し、テレビメディアはその話題で一色であるが、東京オリンピックの開催がある中で、多くの外国人旅行者が日本を訪れることが想像できるが、このような低俗な制服が、女性を性的アピールの道具としか思っていない日本の男性社会の象徴として世界の目に触れ、女性に対する職場環境配慮義務を怠るのが日本社会であるとの印象を与えることを危惧してやまない。
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