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February 2014

02/21/2014

森東京五輪組織委員会会長の失言と浅田真央の底力

この発言を聞いて,日本中で怒り心頭の人が多いのではないだろうか。

それはもちろん,シンキロウこと,森喜朗東京オリンピック組織委員会会長の発言である。

既に多くのメディアにおいて報道されているところ,一部では,擁護するような意見も散見されたため,今日は,いかにこの発言が五輪精神の欠片もない醜悪なものであるかについて,私の意見を発するとともに,このような極めて醜悪かつ失敬な発言を完膚なきまでに叩き潰した浅田真央の素晴らしい演技に敬意を評して,記事を書くことにした。

まず,森氏の発言についてである。

産経新聞がその詳細を載せているので,これをベースに論じることとしたい。私は十中八九の人がこの発言を聞いたら,どのような意図があったにせよ極めて強い不快感を抱くのではないかと思う。しかしながら,ネット上では,この発言を擁護し,マスメディアの意図的な攻撃などという意見があったので目を疑った。

この発言はスポーツの素人である私からしても,選手の気持ちを一切考えていないメダル主義的というか,利己的な発言と言わざるを得ない。

まず,一番ひどいのはリード兄妹への発言である。これは侮辱に等しい。

オリンピックに出るだけでもその能力に対し我々は賞賛すべきであるし,まして東京オリンピック組織委員会の会長職の立場となれば,オリンピック精神を尊重し,このような選手の心を折るような発言は厳に慎むべきではなかろうか。

にもかかわらず,「アメリカの代表になれないから帰化させて出してやっている」というような傲慢な発言をした時点で,公の要職に就くことの資質がない人間であることは明らかであろう。

さらに,浅田選手は,再三,日本を代表しているという趣旨の発言を自らしている。国を代表して自分の演技をするために必死で頑張っている選手に対して,「銅メダルでもいいから,メダルを取るために,団体に出すべきでなかった。」「出したから失敗した。」と言わんばかりの森氏の発言は到底看過することのできない著しくオリンピック精神に違背する発言というべきである。

既に海外メディアでもこの件について日本の元首相が浅田真央を批判したとして,報じられている

我々日本人は,東京オリンピックの開催国の国民である以上,このような森氏の失言は絶対に許してはいけないし,このような発言をするような人物が東京オリンピック組織委員会の会長をしている事実について真摯に向き合い,引きずりおろすべく怒りの声を挙げるべきであろう。

今回の発言を森氏自身への批判に置き換えてこの発言への批判としたい。

「頑張ってくれと見ていましたけど(浅田)真央ちゃん、(SPで)見事にひっくり返りました。あの子、大事なときには必ず転ぶんですね」

「恥をかくような失言をしないでくれと見ていましたけど,シンキロウさん,見事に選手の気持ちを踏みにじる非常識な発言をしました。あのおっさん,不必要な場面で必ず失言失言するんですよね。」

 「日本は団体戦に出なければよかった。アイスダンスは日本にできる人がいない。(キャシー・リード、クリス・リードの)兄弟はアメリカに住んでいるんですよ。(米国代表として)オリンピックに出る実力がなかったから、帰化させて日本の選手団として出している」

「日本はオリンピックの組織委員会の役員に政治家なんか置かなければよかった。世界の顔としてオリンピックの組織員会の役員は日本にできる政治家がいない。森喜朗は失言ばっかりしていた支持の極めて低かった政治家なんですよ。国民の支持がなかったから,不透明な人選過程を通じて,東京オリンピック組織員会の会長として偉そうにしている。」

 「浅田さんが(団体戦に)出れば、3回転半をできる女性はいないから、成功すれば3位になれるかもとの淡い気持ちで出した。それで、見事にひっくり返ってしまった」

「森さんが要職に就けば,土建屋に利権を振りまくのはうまそうだから,成功すれば日本経済の成長になるかもと淡い気持ちで要職についているのを黙認した。それで,見事に五輪精神や選手の気持ちを踏みにじるような極めて醜悪な失言をして世界に恥をさらしてしまった。」

 「その傷が残っていたとすれば、ものすごくかわいそうな話。負けると分かっている団体戦に、浅田さんを出して恥をかかせることはなかった」

「過去の失言歴のことを考えれば,ものすごくかわしそうな話。失言して日本の恥を世界にさらすと分かっているのに,森さんを要職において恥をかかせることはなかった」

 「転んだ心の傷が残っているから、自分の本番の時には、何としても転んではいけないとの気持ちが強く出たのだと思いますね。勢いが強すぎて転んでしまいました」

「失言癖が残っているから,自分が目立つ場に立つ時は,何としてもリップサービスして失言しないという気持ちが強く出たのだと思いますね。その思いが強すぎて,取り返しのつかない失言をしてしまった。」

ただ,こんな発言をもろともしないのが浅田真央という選手だった。

私も生放送で見ていたが,まさに長野オリンピック銀メダリストのミシェル・クワンさんの発言にもあるとおり,浅田真央選手の演技は視聴者の心に響き涙を誘う忘れられない演技であった。

様々な気持ちが交差し,気持ちの整理すら難しい状況であろうと思われる中,浅田真央選手は,会場を,そして,視聴者を一体とするような素晴らしい演技を我々に見せてくれたのである。

浅田選手の演技は,日本人だけでなく,世界中の人々に感動を呼び,涙を誘ったようである。

ツイッターでも,浅田選手を絶賛する海外の人のつぶやきが多く,スポーツアスリートのパフォーマンスから生まれる感動というのは世界共通の価値観であることを改めて感じさせてくれた。

さらに,浅田選手の演技は,オリンピックがメダルの獲得数だけではないということを改めて教えてくれる演技であった。

世界中の選手が4年に一度の一瞬のために必死に過酷な練習をし,最大のパフォーマンスを発揮しようとする姿こそ感動を呼ぶのであって,その選手が最大の実力を発揮した後の表情には,メダルの有無にかかわらず,最大の賛辞が贈られるべきものであることを改めて気が付かせてくれた。

視聴者として,本当に素晴らしい演技を「ありがとう」と言いたい。

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02/11/2014

ジャーナリスト池上彰の凄さ(池上無双と言われる理由)

半年ぶりのブログ更新であったが、大変嬉しいことに、多くの人が土曜日に更新した「スカイマークの制服にみる日本企業のあり方」という記事を読んで下さったようである。

また、昨日のブログ記事、「ジャーナリスト池上彰から敵前逃亡をした新都知事の情けなさ」はライブドアニュースのポータルサイト、ブロゴス上でも1番人気の記事なったり、Facebookの「いいね!」の数がかなり多いなど大変人気を博しているようであり、多くの人の目にこの記事が触れたのは大変喜ばしい限りである。

他のメディアでも、池上彰さんの「池上無双」と称されるその様子は具体的に報じられ始めている。

そこで、今日は池上さんと舛添新知事やその他の人間とのやり取りをもう少し詳しく、具体的に紹介することで、いかに「池上無双」が凄かったかをもう少し詳しくお伝えしようと思う。

まずは、TOKYO MXでの舛添新都知事への質問の概要である。

(池上氏)

舛添さん。池上彰と申しますが、インタビューよろしいですか。

(舛添氏)

はい。どうぞ。

(池上氏)

あ、よろしいですか。今回はですね。舛添さん、過去には自民党を批判して離党されたわけですね。あるいは、除名処分を受けました。今回、自民党から支持を得て、まあ、もちろん他の方々からの支持もあって、当選ということいなりますけれども、そこである種の自民党に借りを作ってしまったということはありませんか

(舛添氏)

いやいやそういうレベルの話をもうするのはほとんど意味がないと思いますね。池上さん。つまりですね、政策を掲げて政策に賛成ですかと問うて賛成なんで、もう過去を見るより、先を見て投票どうするかを考える。自民党の皆さん方も、連合東京の皆さん方も、公明党の皆さん方も、その一点において力を合わせてやったからなんで、そりゃー、政治家ってのは、いろんな経歴がありますから、そんなこといちいちあげつらうような段階では、申し訳ないけども、もはやありません

このやり取りから、舛添氏が突かれたくない質問をされて、イライラしている気持ちがその回答ぶりに表れてしまっていることは明らかであろう。

しかしながら、この程度の質問は、事前に当然予想される程度の質問であって、池上氏の質問の仕方も、いわば、「素朴な疑問」をぶつけたに過ぎないが、そんな質問に対して、舛添氏は、のっけからイライラした感情を出してしまったのである。

候補者の「人となり」、つまり、「器の小ささ」や「政治家としての胆力のなさ」を当確直後に視聴者の目にさらした点において、池上氏のジャーナリストとしての凄さを感じずにはいられない

さらにインタビューは続く。

(池上氏)

なるほど。政治家にはそれぞれ色んな経歴、履歴があるというご発言でした。それで言いますと、例えば、エネルギー問題ですよね。原子力発電所に関して、舛添さんの先ほどのご発言、今のお立場、よくわかるんでありますが、過去のはですね。原発に関してはもう少し稼働又は原子力発電所をエネルギー源として活用していくというので、もう少し積極的な発言をされていたと思うのですが、今回、変わったのですか。

(舛添氏)

みなさんね。3・11福島の原子力発電所の事故の後、私だけでしょうか。変わったのは。圧倒的多数の日本国民があれにショックを受けたと思いますよ。ですから、皆が原子力エネルギーの専門家ではありません。だから、環境をどうするか、CO2の温暖化をどうするか、そういうことを総合的に考えて判断していましたけれども、しかしながら、ああいう事故を受けて、なんの感想もない。なんの意見も変わらないという方が私にとっては不思議なのであって、今あなたが言われたような質問もほとんど意味がないように思います。

(池上氏)

突然割り込んでしまって申し訳ありませんでした。

このやり取りでも、視聴者は舛添新都知事が普通に回答できず、イライラしながら、「ほとんど意味がない」などと無駄に攻撃的な回答をしていることに疑問を感じたはずである。

池上氏の質問は、特段、失礼であったり、攻撃的でもなかった。

にもかかわらず、普通に回答せず、イライラ感を全面に出したまま回答してしまう舛添新都知事の器量の無さを視聴者に見せつけた池上氏の質問は、ジャーナリストとしての真骨頂といっても過言ではないだろう。

しかし、まだまだ池上氏のジャーナリズム精神はこの程度では終わらない。

そこが、ダラダラと質問をするNHKの記者や、民放ニュースの司会者である宮根誠司や古館伊知郎、安藤優子などのとの違いである。

舛添氏の事務所からスタジオに戻った途端、池上氏は政治家とメディアとの駆け引きの内情を暴露するのである。

(池上氏)

舛添さん、インタビューはですね。実はかなり前からインタビューをお願いしますというところでですね。なぜか私もインタビューをするという予定の時は実は都合が付かないからということで、一度、MXテレビのインタビューをお断りになったんですね。で、改めて、風戸記者それから近藤キャスターが質問をしますと申し入れをしたら、今度はなぜか都合が付いたようでですね。インタビューに応じていただけるということでした。ですから、私は今回、途中から割り込んだという形になったのですが、何とかお答え頂けたということでした。

池上氏がこのような内幕をしっかり視聴者に伝えたことで、視聴者は、なぜ舛添氏が無駄に攻撃的な回答をしているのか一瞬にして「あー、なるほど」と分かったわけである

このやり取りを視聴者として目の当たりにすることで、私は、昨日のブログ記事にも書いたように、新都知事の「情けない」、「チキン」と評すべき言動を生の事実として捉えることができ、新都知事の当選直後の姿勢がいかに幼稚であるかを的確に把握することができた大変貴重な一言を池上氏は隠すことなく伝えたのである。

さらに、池上彰氏のジャーナリズムはここで終わらない。

次の標的となったのは、石原伸晃氏であった。

(池上氏)

今のインタビューの中で、舛添さんは都民の支持があるんだよというお話がありました。つまりは、勝てそうな候補だから舛添さんを選んだということなんじゃないですか。

(石原氏)

私どもは違う候補者を考えていたのですけれども、実はその方に断られてしまいまして。それでやはり政策的にどの方が一番我々に近いんでだろう。都議会の第一党ですから、候補者を立てないという選択肢はないわけです。そんな中で、舛添さんと都議会の皆さんが政策協定を結ぶことができました。(略)

池上氏が、石原伸晃氏に対して、「勝てそうな候補だから舛添さんを選んだのでは?」との問いをぶつけると、石原氏は思わず、「別の候補者を考えていましたが断られました。」と発言してしまった。つまり、舛添氏という勝ち馬に乗ろうとしたことを自民党都連幹部に認めさせたのである。

さらに、池上氏は、不用意な石原伸晃氏の「都の防災対策はガタガタ」という発言を見落とすことなく、その真意を追及した。

(池上氏)

今、石原さん、記者のインタビューに答えて、東京は防災対策がガタガタだとおっしゃいました。これまで自民党がずっと推薦してきた知事が東京都知事だったわけですよね。にもかかわらず、防災対策がガタガタということになりますと、過去の取り組みをかなり否定する発言になると思うのですがいかがですか。

(石原氏)

そういうことではなくて、やはり想定外の震災というものを私たちは3年前に体験しました。想定内の中では着実に防災対策を取り組んできましたけども、それよりも想定されないものが起こった時にも耐えうるものを作っていかなければならない。舛添候補がずっと言ってまいりましたが、やはり、火事が死傷者の最大の要因になる。しかし残念ながらそこの部分は、財産権の問題で、多くの方々が木造密集地、道路も本当に消防車も入ってくれないようなところに住んでいらっしゃる。こういう人たちにも万全の対策を取っていかなければ、大きな大きな災害になってしまう。(略)

石原氏の回答は、何ら、自民党が支援してきた知事が震災前も、震災後もずっと都知事であったにもかかわらず、「ガタガタ」と発言したことに対する答えにはなっていない

不用意な発言をしてその場しのぎのために、3・11が「想定外」だったと述べ、切り抜けようとしているが、そもそも、住宅密集地の問題は、「想定外」の地震に特有のものではない。阪神淡路大震災の時からずっと指摘されてきた問題である。

つまり、伸晃氏は、この鋭い指摘に、その場しのぎの詭弁ともいうべき内容でしか反論できなかったのである。

「ガタガタな防災対策」しかしてこなかった自民党が、何の反省もなく、無責任に「想定外」の震災のせいにしている姿を露呈させたのは、池上無双と称させる池上彰氏ならではのジャーナリズムスキルであろう。

池上氏の伝説はここでも終わらない。

ゲストで出演した松沢成文氏からもなかなか聞けない発言を引き出した。

(池上氏)

それにしましても、石原さんから出てくれと言われたから、じゃー出ようといったのに、石原さんご本人から、俺が出ると言われると、なんか梯子を外されたようなもんですよね。

(松沢氏)

まあ、でも、政治の世界はこうゆうことがあるもので、騙すほうも悪いけど、騙されるほうも悪いんですよね

(池上氏)

騙されたんですか。

(松沢氏)

まあ、そういうことになったと思います。(以下、略)

このように、鋭い質問でありながら、まろやかな口振りで、相手が安心して本音を言わせてしまうのは、やはり、池上彰さんならではのジャーナリストスキルである。

また、細川元総理を支持していた円より子氏に対しても、「都知事選挙を脱原発に利用して違和感と指摘する声もあったがどう思うか」と問いただすと、円氏はその質問にまともには答えようとすらせずに、違和感はなかったと言わんばかりに必死に反論していたが、その姿は視聴者に、「真摯に批判的な声に耳を傾けることのできない、プライドの高い、融通のきかないおばさん」との印象を与えたのではなかろうか

どの陣営に対しても、「批判的な声があることに対してどう思うか」という素朴な疑問をぶつけ、それに対する回答の仕方から、「政治家の力量」、「人となり」という生の事実を視聴者に見せてくれる池上彰さんの質問は、まさにジャーナリストというべき姿勢なのであって、選挙特番における池上氏は本当の意味でのジャーナリストが減っている日本の現状において、大変貴重な存在であると感じた。

そして、この番組の後、池上彰さんはTOKYO MXからテレビ東京に移動し、そのテレビ東京の冒頭で、昨日のブログ記事のような新都知事の敵前逃亡が報告されるのである。

ちなみに、この番組に出ていた石破氏は、のらりくらりと池上氏の切り込みを上手にかわしており、個人的にはあのしゃべり方などは好きではないが、それは別として、この点において、石破幹事長には、政治家としての安定感を感じた。

残念ながら、テレビ東京は、その報告のやりとりは、オン・デマンドで放送されているシーンからは削除されてしまっているため、ネットではそのやりとりを見ることはもうできない。

また、TOKYO MXも、昨日の夕方頃までは、この話題の選挙報道番組をYoutubeの公式チャンネルで公開中であったが、現在は残念ながら非公開になってしまったようである。

上記の池上氏と政治家とのやり取りについては、見逃した方も多いことを考慮し、かなり忠実に再現したつもりである。

今後も、選挙特番の度に、池上無双伝説が新たな1ページを刻み続けることを期待してやまない

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02/10/2014

ジャーナリスト池上彰から敵前逃亡をした新都知事の情けなさ

やはり、池上無双などとネットで評価され続けたジャーナリスト、池上彰さんの伝説は健在であった。

2月9日の午後8時頃から始まったTOKYOMXの選挙特番。

この番組、選挙特番の司会者に池上彰さん以上の適任者はいないと断言できるほど大変面白いものだった。

一番の見どころは番組の冒頭に起こった。

冒頭、投票時間の締め切りと同時に舛添氏の当確報道が出る中、舛添候補が勝利宣言のために選対事務所に姿を現した直後である。

池上さんは、舛添候補に、離党した党から支持を受けて展開した選挙戦に関連し、自民党との関係を問いただした。

すると、舛添候補は当然予想されているような質問であるにもかかわらず、何故かイライラした姿を見せ、その回答も感情丸出しであった

その後の質問にも、何故か余裕のなくイライラして答え、小物のような姿で応答する舛添要一氏

そんなチキンな姿を晒してた舛添さんとのインタビューが終わると、池上さんは、突然、事前に舛添氏から、TOKYOMXのアナウンサーからの質問であれば、単独インタビューの都合はつくが、池上彰さんが質問するなら都合がつかないといわれ、池上さんの質問を拒否されたいたことを暴露したのである。

まさに、当確直後に、舛添候補の器の小ささを印象づけ、追い詰めたのである。

前回の国政選挙でも、公明党の候補者に政教分離と創価学会との問題を問い詰めたシーンは未だ記憶に新しいが、今回の当確直後の追い詰めシーンは、まさに池上無双伝説に残るワンシーンだろう。

そんな池上彰さんの池上無双ぶりは、TOKYOMXの特番だけにとどまらなかった。

0:30分から開始されたテレビ東京の選挙特番では、5分前まで他の番組の独占取材に応じていたにもかかわらず、池上さんが司会をするテレビ東京の特番が始まった途端、舛添候補が敵前逃亡したことを明らかにし、新都知事が厳しい質問に対してまともに答えようとしないチキン、いわば、いかに情けない人物であるかを開票直後の東京都民に知らしめたのである

これほど選挙特番で切り込めるジャーナリスは他にはいない。

これには、番組のスタジオにいた自民党の石破幹事長も苦笑いするしかなかった

私は他の番組の池上彰さんはそんなに面白くないと思うが、選挙特番の池上さんは大好きである。

相手が誰であろうと、日和見主義のジャーナリストにならず、まろやかな口振りでバッサリぶった斬る池上さんの姿勢は選挙の結果如何にかかわらず、いつも痛快である。

他のメディアが、それとない質問を候補者にぶつけ、どうでも良いやり取りで時間を無駄にする中、当選した候補者にも落選した候補者にも、なかなか聞きにくい質問を単刀直入にまろやかに口振りでぶつけ、その対応振りを視聴者に見せることで、その人物の人となり、器の大小、チキンか否かを視聴者に露呈させる手法は、まさに神がかり的と評しても過言ではないだろう

ところで、舛添氏はなぜこんな敵前逃亡とも言われかねない情けない醜態を晒してまで池上氏からの質問を避けようとしたのであろうか

池上さんの説明によれば、舛添新都知事は、池上さんが細川陣営寄りであると思い、質問を拒否しているというのである。

そうであるとしても、舛添新都知事の度量の小ささは、ジャーナリスト、池上彰によって、当選直後に白昼にさらされた言わざるを得ない

仮に池上氏が細川寄りだったとしても、当選してこれから都政を司る公人として、選挙特番の取材を露骨に逃げるのは極めてチキンとしか言いようがない。仮に歪曲された質問や不公正な質問が投げかけられるのであれば、それに対して、しっかりと構えて、十分に反論すれば良いことである。

これから大都市東京の知事を務めるのであるから、その程度のことから逃げるとは何とも情けなくはなかろうか

確かに、池上氏は厳しい質問をぶつけるし、答えにくい質問をする。

しかし、それに対してどう回答するかが政治家としての胆力であり、力量である。

どのような理由があるにせよ、5分前まで別の番組の単独取材に応じ、池上彰氏が司会を務めるテレビ東京の単独インタビューのみに応じないという印象を持たれてしまう行動をしてしまったこと自体、厳しい指摘にまともに反論する勇気がないからこんな醜態を晒して逃げると思われても仕方ないのであり、「情けない」の一言である。

当選直後にこのような醜態を演じる政治家はいまだかつていただろうか。

このようなチキンとの誹りを受けるような行動を当選直後に演じてしまう人物に投票してしまった有権者はこの事実にきちんと向き合ってもらいたいものである

そもそも期待はしていなかったし、私は土曜日の宣言どおり、細川候補に投票したが、それにしても、新都知事に当確直後の晩からこれ程失望させられるとは思わなかった

今後、池上無双から逃げた舛添という誹りを挽回できるチャンスはあるのだろうか

これ以上失望させられないことを祈るばかりである。

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02/08/2014

いよいよ明日が投票日

明日は東京都知事選挙の投票日である。

私は特に脱原発を支持するわけではない。

むしろ、代替エネルギーの確保が十分にできない中では、即時の脱原発は実効性に欠けるし、火力発電等による地球環境への影響等を考えると、脱原発が本当に正しい方向なのかは正直分からないというのが私の原発問題に対する立場である。

しかしながら、今回の選挙では、細川護熙元総理へ投票をしようと思っている。

今回の私の投票基準は、オリンピック開催に伴う既得権益に群がる人間を排除できる候補者は誰か、東京都にはびこる既得権益に切り込めるのは誰かという点が極めて大きい。

いかなる選考基準によったのかわからないが、歴史的にも極めて不人気で、既得権益の象徴のような森喜朗元総理が東京オリンピック組織員会の会長になった時点で、東京オリンピックの歴史的失敗は目に見えていると私は思う。

この人事体制はまさに土建屋ジャパンといっても過言ではない。

小泉純一郎元総理が細川護熙元総理を支持したことによって、一番焦ったのは、シンキロウこと森喜朗である。それは、彼の「原発ゼロなら五輪は返上」とか、立候補したことそれ自体のみで、なぜか細川候補を「卑怯者」呼ばわりした発言事実からも明らかである

これらの発言はまさに自分の東京オリンピックに係るポスト、自分の既得権益を侵されることへの怯えからくる率直(単純)かつ正直な心情の吐露であろう

私はこれらの発言を聞いた時から、オリンピックを控える東京の都知事には細川候補が一番最適であろうと思った。

舛添候補や田母神候補が都知事になれば、この土建屋ジャパンともいうべき体制には何ら変更なく、バブル時代の再来を夢見る既得権益保持者によって、東京オリンピックは内弁慶的な世界に恥をさらすオリンピックになるのではないかと思えて仕方ない。

他方で、宇都宮候補には、政治的能力に疑問がある。宇都宮弁護士は、クレサラ問題や非弁提携問題で尽力し、その弁護士として業績は私も尊敬するところがあるが、しかし、政治家としての能力となると私は疑問符を付けざるを得ない。

それは彼の日弁連会長時代の功績が何かと聞かれた時に何も思いつかないことからも明らかである。日弁連会長として、大胆な法曹改革ができたという実績すらない人が都知事として、何かを達成できるとは到底思えないのである。

むしろ、彼の在任中に生じた北千住パブリック法律事務所の弁護士による577人の個人情報流出事件における対応を見ても、極めて官僚的であり、責任の所在とその取り方をうやむやにして、処分すら十分に行われずになんとなく終わった感じがしてならない。

弁護士という専門職の集団すら十分に統率することができていないとしか思えないような実績の人間を都知事にしたいとはまったくもって思えないのである。

また、舛添候補には人間的にも支持したくない理由がある。

舛添要一という人物がどういう人間なのかは、片山さつき議員が語っていることから明らかであろう。

片山氏が指摘する子どもに対する養育費の問題や実の姉の扶養義務拒否という指摘に対し、舛添氏は何ら説明責任を果たしていないし、マスコミがこの点を十分に指摘しないことには不満も残る。

このような人間を選ぶことのリスクは極めて高いのではなかろうか。

にもかかわらず、安倍自民党はそうした事情を十分把握せず、勝ち馬に乗りたいからと、人間的誠実さを著しく欠いていると思われる舛添要一氏を支持し、さらには、片山さつき候補に応援を依頼したというのであるから呆れるにもほどがある。安倍自民党がいかに何も考えていないかが如実に表れているといって過言ではないだろう。

いずれにしても、阿保っぽい「アベノミクス」という得体のしれない、かつ、既得権益にしがみつく層しか恩恵を受けられないような現政権の政策に対して、やはり、都民はおかしいぞという声を上げなければならないだろう。

土建屋ジャパンからの脱却に一番効果的な候補は誰かと考えた時、私は、細川護熙候補への一票を投じるという結論に至った。

今日は驚くような大雪である。

この影響があるかもしれないが、明日は数多くの人が自分の投票基準が何かをしっかり考え、それぞれの投票基準に自信をもって投票をしてもらいたい

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スカイマークの制服にみる日本企業のあり方

私は今から約3年前、「スカイマークの問題について」という記事を書き、スカイマークには二度と乗りたくないと宣言した。

それ以降、どんなに高くても、JALやANAを乗るか、AIRDOなどの地域密着型エアラインを利用するようにしている。つまり、この宣言のとおり二度と乗っていないのであるが、昨年末に、益々このスカイマーク社の見識を疑うニュースを読んだので、そのニュースについて今日は取り上げてみたい。。

この記事にある写真の制服を一見して明らかであるが、この制服は非常に低俗の一言に尽きる。

このような丈の短いミニスカートをはかせることで、男性客の性的好奇心を駆り立て、顧客取り込みを図ろうとしているのであろうが、仮にそうであれば、同社は女性客室乗務員をキャバクラ嬢か何かと勘違いしており、航空業界という人の命を運ぶ社会的責任のある運送会社の姿勢として、私はその資質に疑問を感じざるを得ない。

航空業界で働く友人によれば、この制服を着るのが嫌でスカイマークの客室乗務員をやめたという人もいるという。

賢明な判断だろう。客室乗務員は緊急時の保安要員である。少なくともこのような低俗な制服に保安要員としての資質があると思わせる印象はゼロとしか言いようがない。

同社は、過去に常識では考えられないような様々なトラブルを起こし、所管である国土交通省から注意処分等を受けている。

そうした過去の経緯やこの法令順守意識が企業の存続にとって不可欠な時代において、未だ時代錯誤的に女性を性的なアピールの象徴としかみていないような制服の導入することについては、企業としてのコンプライアンスの体をなしていないのではないかとの印象を与える。

スカイマーク社がどのような意図でこのような低俗な制服を採用したか私には理解しがたいが、仮に、キャバ嬢風の制服で女性客室乗務員を性的アピールの象徴として利用し、集客を図ろうとしているとすれば、そのようなもので同社のフライトを選ぶような低俗な客層と一緒のフライトには乗りたくないと思う人が多いのではないだろうか。

また、労働者である客室乗務員には、「働きやすい職場環境の中で働く利益」(福岡地判平成4年4月6日労判607・6)があり、使用者である企業には、職場環境調整義務が課されている。

男女を問わず働きやすい職場環境を構築することが企業の社会的責任の一つであり、企業には職場環境調整義務という法的責任がある中で、このような制服を着させること自体が、社会通念に照らし異常な企業体質という印象を強く生じさせるのではなかろうか。

少なくとも、私はこのニュースに接し、同社のフライトは利用したくないと改めて思った。

今日、ロシアで冬季オリンピックが開催し、テレビメディアはその話題で一色であるが、東京オリンピックの開催がある中で、多くの外国人旅行者が日本を訪れることが想像できるが、このような低俗な制服が、女性を性的アピールの道具としか思っていない日本の男性社会の象徴として世界の目に触れ、女性に対する職場環境配慮義務を怠るのが日本社会であるとの印象を与えることを危惧してやまない。

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