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August 2012

08/30/2012

映画、アベンジャーズ(The Avengers)の評価

前回のブログ記事では、アメリカのエンターテイメント業界で成功を目指す若者たちの新たな資金調達方法を紹介ライブドアのブロゴス版)したが、今日もエンターテイメントに関する話題を取り上げてみたい。

今日は、映画、「アベンジャーズ(The Avengers)」を観た感想を紹介しようと思うが、まだ観ていない人が多いと思うので、ストーリー内容には極力触れず、映画の論評をしようと思う。

動画はマーベル社公式チャンネルの予告。

端的に感想を言えば、アメリカンコミックのヒーローもの映画としては、かなり原作のキャラクターの個性はもちろん、既に個々のキャラクター映画として上映され、成功している「キャプテン・アメリカ、ザ・ファースト・アベンジャー(Captain America, the First Avenger)」、「アイアンマン(Iron Man)」、「マイティー・ソー(Thor)」、「インクレディブル・ハルク(Incredible Hulk)」といったそれぞれの映画の世界観が融合し、かつ、調和のとれた作品となっており、ヒーローもの映画としては、まさに、「素晴らしい(Marvelous)」の一言に尽きる

ハリウッドの一大事業ともいうべき壮大なプロジェクトとアメリカ特有のユーモアに基づいて制作されており、原作の版権元であるマーベル(Mervel)社の作品として恥じない出来であった。

ただ、アメリカンコミックに親しみのない日本人にとっては、始めてこの映画を観ると、100%この映画の完成度を楽しむことは少し難しいかもしれない。

もっとも、私も、アメリカンコミックに詳しいわけではなく、アメリカに住んでいた時に、キャラクターを知ったという程度だったり、後述で紹介する映画を観たことによって知っている程度であるが、この映画をしっかり楽しみたい人は、ぜひ、既にDVDやブルーレイが出ている「マイティー・ソー」「Captain America」「アイアンマン(Iron Man)」「アイアンマン2」「インクレディブル・ハルク(Incredible Hulk)」を観た上で行くと、この映画の世界観とこれらそれぞれの映画との調和やコラボレーションのあり方が十二分に楽しめると思う。

動画はマーベル社公式チャンネルの予告。

何が「壮大なプロジェクトか」ということを具体的に説明すると、「アベンジャーズ(The Avengers)」は、前述のすべての映画の集大成として作られているということである。

まず、舞台設定を理解するうえでは、「マイティー・ソー」のSFの世界観がこの映画のストーリ展開のベースとなっている。

「マイティー・ソー」で繰り広げられた、地球を含む全宇宙の成り立ちに関する舞台設定を知ることが、「アベンジャーズ」の本質を理解する上では欠かせない

また、「アベンジャーズ」において、「そもそもどうして地球が危機にさらされるのか」という根本的な答えは、北欧の神話を元に作られた「マイティー・ソー」の中にあるのである。

次に、当然こうした壮大なSF映画においては、良く出てくる話ではあるが、地球に住む人間の側の落ち度が危機を招いたという側面が描かれることが多い。

アベンジャーズにおいても、その要素があるのだが、その答えは、「キャプテンアメリカ」の中で描かれている内容に関連するのである。

したがって、5つも事前に映画を観ている余裕がないという人は、「マイティーソー」と「キャプテンアメリカ」を観た上で映画を観に行くと、何も観ないで行った場合に比べ、2倍は楽しめるのではないだろうか。

しかしながら、「アイアンマン」や「ハルク」を知らなくてよいというわけではない。

「アベンジャーズ」を100%楽しむには、これらも観た方が良い。

特に、「アイアンマン」の主人公、ロバート・ダウニー・Jrが演じるトニー・スタークの父親、ハワード・スタークは、「キャプテンアメリカ」で、キャプテンアメリカ誕生に関わる重要な任務を担っているし、トニー・スタークがハワード・スタークの息子だということは、「アイアンマン2」でも重要な意味を持ってくる。

また、「アベンジャーズ」に登場するスカーレット・ヨハンソンが演じるブラック・ウィドーは、そもそも「アイアンマン2」に登場する。

ちなみに、「キャプテンアメリカ」で、若き日のハワード・スターク役を演じる、ドミニク・クーパー(Dominic Cooper)はなんとなくロバート・ダウニー・Jrに似ている姿で描かれているのも、すべては「アベンジャーズ」につながる布石なのである。

「インクレディブル・ハルク」の中でも、ロバート・ダウニー・Jrが演じるトニー・スタークが登場し、アベンジャーズに関係する計画について触れるシーンがある。

また、「アベンジャーズ」の一人、フォークアイは「マイティーソー」に登場する。

そして、これらのすべてのキャラクターをつなぐのが、サミュエル・ジャクソン演じるニック・フューリーSIELD長官とクラーク・グレッグが演じるフィル・コールソンの2人である。

このコールソンというキャラクターが脇役ながら、「マイティー・ソー」でも、「アイアンマン」でも重要な役回りを演じており、「アベンジャーズ」でも、ストーリーの展開上、重要な人物である。クラーク・グレッグの脇役としての目立たないが印象に残る演技も素晴らしい

このように、それぞれの映画がいわば、パズルのように重なり合って完成した集大成が「アベンジャーズ」といえるだろう。

私が、「壮大なプロジェクト」と称賛する理由は、それぞれの映画がそれぞれ個々に完結しているにもかかわらず、それがすべて「アベンジャーズ」への布石となっている点にある。

つまり、これらの映画を観てから「アベンジャーズ」を観ると、さらに深く理解でき、映画が描く世界感を本質的に理解することができるのである。

ところで、この映画で私がもっとも光っていた演技をしていたと感じたのが、悪役、ロキ(Loki)を演じた、トム・ヒドルストン(Tom Hiddleston)というイギリス人俳優である。

スティーヴン・スピルバーグ監督の「戦火の馬」では、全く正反対のいわゆる「良い人」として描かれているニコルズ大尉を演じ、「アベンジャーズ」のロキ役とは全く違った演技を見せている。

このロキという悪役は、通常の悪役とは異なり、同情すべき過去とそれに伴う複雑な感情を抱いているキャラクターであるが、この複雑な感情の変動をトム・ヒドルストンは見事に演じている

彼の演技で注目すべきは、「マイティー・ソー」のロキと「アベンジャーズ」のロキでは、後者がより邪悪さが増しているという点である。

前者は、兄の陰に隠れてきた嫉妬心とともに、自分の今までの人生が偽りによるものだったことに対する怒りにより、悪へと突き動きながらも、その根底は悪というより、父親に認められたいという感情による行動という形で描かれていたのに対し、後者では、より自分の欲望に駆られて、支配への欲望という悪の道を進むロキという姿が見事に描かれている

「アベンジャーズ」のロキも、邪悪でありながらも、どこか悪に染まり切れない側面を見せてくれる

つまり、この悪役ロキは、「キャプテン・アメリカ」に登場するレッド・スカルなどのいわゆる「ザ・悪役」とは違い、境遇に悩む人間味が溢れたキャラクターといえる。その意味では、オペラ座の怪人に登場するファントム(怪人)に近いものがあるかもしれない。

これは、トム・ヒドルストン自身が演じる上でも意識していた点のようで、彼はTotal Film社の「一番ホットな俳優」(Total Hotlist Award)に選ばれた授賞式後のメディアのインタビューで、「ロキの鋼鉄のように冷たいベニヤ詐欺師のような魅力の根底には、ぜい弱性と傷つきやすさがあるんです。つまり、見捨てられた弟、見捨てられた子として傷ついた心です。ロキの心は(懐いているように見えて油断をすると爪で引掻くといったような)捨て猫のようなものなんですよ。でも、僕はロキのキャラクターが大好きです。(Underneath the steely cold veneer of his trickster charm is a certain vulnerability and sensitivity – the wounded fragility of an outcast brother and son. His mind IS a box of cats though! But I love him.)」と答えている。

動画はTotal Film社公式チャンネル上のトム・ヒドルストンの受賞後のコメント。

彼の演技は世界的にも評価が高く、悪役を演じているにもかかわらず、ロバート・ダウニーJrを抑えて、「一番ホットな俳優」に選ばれるなど、今、英米で注目の俳優となっている。

Youtubeにいくつかメディアの公式チャンネルで公開されているインタビューの動画があったので紹介しておこう。

こちらのインタビューでは、アベンジャーズの具体的な内容に関する発言をしているので、まだ観ていない人は観てから見てみると面白いだろう。

トム・ヒドルストンは、来年(2013年)公開予定の「マイティー・ソー2(The Thor, The Dark World)」で再び、ロキ役を演じることとなっているのだが、報道によれば、悪役ロキを上回る悪役が二人も登場するという。Examinar.comのDaniel Souto氏は、「ロキとソーがチームを組んで強大な敵に立ち向かうのではないか」との推測をしている。

「マイティー・ソー」、「アベンジャーズ」とそれぞれ感情の変化が見事に描かれたロキであったが、今度はどのよう形で、ロキの人間味あふれるキャラクターを演じてくれるのか、トム・ヒドルストンの今後の演技にも注目したい

このように、マーベル社が同社が版権を持つコミックのキャラクターを映画化し、そのそれぞれの映画がさらなる映画への布石として続く壮大な映画プロジェクトはまだまだ続くのである

今回の「アベンジャーズ」はその中間点といっても良いだろう。今後3年以上かけて行われるこのプロジェクトを見逃すのはもったいないではなかろうか。

未だ映画、「アベンジャーズ」を観ていない人はぜひ、上記DVDを観て予備知識をつけて行くと、マーベル社が作り上げた壮大な映画プロジェクトがより一層楽しめるだろう。

なお、唯一残念に感じたのは、ハルク役が前作のエドワード・ノートンが引き継いでいない点である。もっとも、今回ハルク役を演じたマーク・ラファエロの演技も素晴らしいのである(アメリカメディアもマーク・ラファエロの演技について高評価である)が、当初は、エドワード・ノートンがこの役を引き続き演じるとされ、交渉も進められていただけに残念であった。

この点からもわかるように、映画のシリーズをまたいで、主役を演じた俳優が引き続きその役を演じるのは、金銭面等も絡むために難しいが、こうしたいわゆる大人の事情を乗り越えながら継続するこのプロジェクトには今後も期待したい。


以下、前述した「アベンジャーズ」をより楽しむための映画DVDを紹介する。

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08/26/2012

手軽な資金調達サイトと若者たちの挑戦

今日は、アメリカを中心に、近年凄まじい人気を誇っている、気軽な資金調達(「クラウド・ファンディング(Crowd Funding)」)サイトの1つ、「Indiegogo」というウェブサイトサービスを紹介したい。

アメリカのエンターテイメントといえば、音楽、映画、ミュージカル、演劇、オペラなど様々な一大産業のイメージが思い浮かぶ。ただ、我々は既に有名になった俳優や女優に注目することが多い。

しかし、世界をリードするアメリカの映画業界の原動力、アメリカのエンターテイメント産業を支えているのは、志の高いアメリカの若者たちである。

今や、イギリスウエストエンド、アメリカブロードウェイの巨匠であるアンドリュー・ロイド・ウェバーも、17,8歳の頃からミュージカルの作曲をしていたが、若いころは資金問題をクリアーするのは容易でなかった。現に、アンドリュー・ロイドウェバーの出世作となった「Joseph and Amazing Technicolor Coat」という作品は、Colet Courtという私立小学校の演目として15分程度の作品だったがそれが後に世界的な大ヒットとなる作品へと変貌していくのである。世界的なミュージカルの巨匠も私立小学校の演目がいわばデビュー作だったのである。

スピルバーグ監督も、21,2歳の頃に、無給の研修生として映画会社で働き、そこで成功を収めていったという話は知っている人も多いだろう。

つまり、アメリカのアメリカのエンターテイメントは、常に、20代から30代の若い原動力が支えてきたという側面があるのである。

そのアメリカの若き俳優やスタッフたちにとって最も大きな悩みのタネはやはり資金調達である。どんなに素晴らしい映画や演劇、ミュージカルも、資金調達ができなければ、日の目を見ることはできない。

しかし、アンドリュー・ロイド・ウェバーやスティーブン・スピルバーグ監督の若手時代には存在しなかった効率的な資金調達手段が、今のアメリカには存在するのである。

先日、アメリカのエンターテイメント業界では、気軽に使える資金調達サイト、Indiegogoというものが良く使われているという話を聞いた。

このウェブサイト、元々は、ウォールストリートのアナリストが本業のDanae Ringelmannが、アーサー・ミラーの演劇をプロデュースしたところ、演劇は人気だったにもかかわらず、資金難となってしまったため、それを解決するために立ち上げたもののようであるが、今やこのウェブサイトはアメリカだけにとどまらず、世界中のエンターテイメント業界の人々にとって欠かせないものとなっている(立ち上げの経緯については、本人が説明している動画がある。)

このウェブサイトが人気なのは、この記事のタイトルにも書いたように、気軽に資金調達ができるという点である。

例えば、アメリカの映像学や演劇学を専攻するアメリカの大学生にとって本格的な映画を制作したいと思ってもそう簡単には作れるものではない。

「先立つものは金」という話ではないが、ある程度本格的な映画を制作するためには資金調達という最大の問題を解決しなければならない。

そこで、映画の製作費を調達するため、このサイトが利用されているのである。

日本でも、NHKのロシア語講座に出演していたドミトリー・ディムシェンコさんは、現在、アメリカの大学で映画製作の勉強をしながら、ハリウッドの俳優として成功することを目指しているが、彼もこのウェブサイトで、「Sector(セクター)」という映画製作のための資金調達をしているという。

この「Sector(セクター)」という映画、ウェブサイトによると、サイエンスフィクションで、2051年、ウィルスが広まり滅亡しかけている地球は、いくつかの「セクター」に分けられて統治されていたところ、その内の「Sector 8(8番セクター)」において、ワクチンが開発され、このワクチンを2人の兵士が取りに行く最中に、想像を超える恐ろしい出来事が起こるという話のようで、構想それ自体も学生制作の映画という枠を超えており、なかなか面白そうな印象である。さすが、本場、ハリウッドで学ぶ学生は違うといったところであろうか。

この映画の資金調達を参考にみると、10ドル、20ドル、50ドル、100ドル、300ドル、500ドル、1000ドル、5000ドルという区分で、募金ができるようになっており、それぞれの金額区分に応じて募金をした人には、特典がもらえるという仕組みになっている。

この金額設定も、「Indiegogo」が利用しやすい理由であろう。

募金をする側にとっても、比較的、少額から募金が可能であるため、募金をすることにさほど抵抗感がない。

また、特典をもらえるというよりは、むしろ、募金する側は、自分が製作者たちとともにその映画やプロジェクトを育てているという感覚を持つことができる点が重要で、この「Indiegogo」で募金する人々の最大の理由が、この点にあるといってもいいだろう。

つまり、その活動に賛同して一緒にその活動を行いたいという感情が募金する側の一番の動機付けとなっているのである。

募金金額の設定は、資金調達する側が任意に設定できるため、その資金調達プロジェクトの内容に応じて柔軟な資金調達キャンペーンを展開できるのである。

また、「Contribute Now」というボタンをクリックし、クレジットカード決裁が可能であるから、募金する側も気軽にできると言う点も、多くの人が募金をする理由であろう。

ところで、ドミトリーさんは、日本でNHKのロシア語講座(現在もNHKで再放送として放送中のようである)の他にも、関東のローカルテレビ局、東京MXが放送する番組、「五時に夢中」という番組にも出演していたことがあり、日本語もかなり堪能のようであるから、将来、日本語の上手なハリウッド俳優又はハリウッド監督として来日するかもしれない。その時、エンターテイメント業界へのデビューがNHKや東京MXであったということであれば、NHKや東京MXは、「なかなか目の付けどころが良かった」との評価を受けるのではないだろうか。いずれにしても、親日家のハリウッド俳優やスタッフが誕生することは日本にとって良いことであり、彼の成功を祈りたい。

さて、アメリカには、ドミトリーさんのようにエンターテイメント業界で成功しようとする若者が数多くいる。

そして、アメリカのエンターテイメント産業が世界一の座に留まり続け、ハリウッドやブロードウェイでの成功がその一例に挙げられる「アメリカンドリーム」という観念が、何百年も、アメリカの不朽の価値として続いているのは、彼らのような若い俳優やスタッフの若いエネルギーが、淀みを排除し、常に良い循環をアメリカ社会にもたらしているからであろう。

そして、アメリカの強みは、ドミトリーさんのように、アメリカだけでなく世界中から、志の高い若者がアメリカエンターテイメント業界での成功を目指して集まってくるところにある。

こうした彼ら若い俳優やスタッフにとって、資金調達という最大の難問を解決してくれる「Indiegogo」は、いわば、「成功を掴むための黄金のかけ橋」となるのではないだろうか。

ドミトリーさんの映画製作を応援したいという人は、上記リンク先にあるウェブサイトが実際にどういうものであるのか見てみると良いだろう。

さて、これだけ簡単にできるということだとすると、この「Indiegogo」が詐欺などの違法な資金獲得手段に利用される恐れはないのであろうか。

この点について、「Indiegogo」は、すべての資金調達キャンペーンは詐欺や違法な目的で行われていないかを判別する審査を経ることとなっていることや、詐欺の可能性があると判断された段階で、募金活動のウェブページが閉鎖されること、さらには集まった資金が実際に配給される前に、資金凍結をするなどの手段をとることとしているという。そして、違法行為を防止するため、法的措置がとれるように約款等への同意を資金調達を行う代表者に義務づけており、これが法廷に証拠として提出されることも想定している旨説明をしている。

また、「Indiegogo」は、あくまで募金という性質であることを認識して利用するように呼びかけている。すなわち、募金をする側は、あくまでそのプロジェクトについて賛同して募金をするのであって、物を購入する目的で利用するものではないから、そのプロジェクトが成功しないという場合のリスクは自覚して利用するようにと注意を促しているのである。

したがって、審査をするなどして利便性から生じる悪用による負の面は手当てされているようで、私が調べた限り、「クラウド・ファンディング(Crowd Funding)」という新しい資金調達方法としてその可能性に対しての注目がかなり高いようである。

この「Indiegogo」は、ドミトリーさんのように映画制作等のエンターテイメント産業に関わる資金調達だけというわけではない。

確かに、元々そういう趣旨で始めたというだけあって、エンターテイメントの製作費調達という資金調達プロジェクトが多いが、例えば、父親を火災で失った家族への支援とか、動物の保護など様々な分野で募金活動が行われている。

今回、この「Indiegogo」のアメリカでの人気について知ったが、こうした、「Indiegogo」のような「クラウド・ファンディング(Crowd Funding)」が日本でも、もっと活用されるようになれば、良いアイデアを持つ若者がもっと活躍して、若いエネルギーが日本をより元気にしてくれたり、様々な社会問題を解決する良い契機になるのではないだろうか。

なお、この「クラウド・ファンディング(Crowd Funding)」のウェブサイトは、「Indiegogo」の他、「Kickstarter」というものがあり、こちらも同様に、資金調達サイトとして人気を集めている。規模としては、この「Kickstarter」の方が大きいようで、アメリカではこの二大クラウド・ファンディング・サイトが志の高い若者たちにとって、「成功のための黄金のかけ橋」となっているようである

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08/11/2012

オリンピック精神に欠ける低俗な言動が残念

連日のロンドンオリンピックを見て寝不足気味であるが、今回のオリンピックは、開会式から前回大会以上に面白い。

特にロンドン五輪は、時差がある関係上、夜中に眠い目をこすり、時差を感じながら世界中が注目するオリンピックの試合を楽しむということで、オリンピック観戦感が一際増す。

しかしながら、残念なのは、色々なところから、オリンピックの結果等に関して、オリンピック精神に欠ける低俗な言動が見受けられることである。

これは何も今回の五輪に限ったことではないが、毎回、こういった低俗な発言が出てくるたびに、残念な気持ちになる。

私が特に低俗だと感じた発言等は3つある。

1つは、東京都の石原都知事による柔道負け犬の遠吠え発言。

2つ目がブラジルサッカー女子監督の負け犬の遠吠え発言。

そして、3つ目が韓国メディアによるサッカー英国言いがかり発言である。

なお、これらは私が勝手に命名したので、一般的に認知されているものではない。

まず、石原柔道負け犬の遠吠え発言を伝える記事を紹介したい。

石原都知事「西洋人の柔道はけだもののけんか」

 東京都の石原慎太郎知事(79)は3日の定例会見で、ロンドン五輪で柔道勢の苦戦が続いていることについて「西洋人の柔道ってのは、けだもののけんかみたい。(国際化され)柔道の醍醐(だいご)味ってどっかに行っちゃったね」と話した。「ブラジルでは、のり巻きにチョコレート入れて食うってんだけど、これはすしとは言わない。柔道もそうなっちゃった」と述べた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20120803-OHT1T00324.htm

仮にも2020年東京オリンピック開催を目指して、多額の税金を湯水のごとく使っている首長が言うべき発言であろうか。

かかる発言は負け犬の遠吠え以外の何物でもない。

彼のいう柔道の醍醐味というのは、一本をきれいに決める柔道のことなのだろうが、そうすると、相手の反則で金メダルを獲得した松本香選手の試合は、「醍醐味はどっかに行っちゃった」から、評価できないということにでもなるのだろうか。

私は上記の石原発言のような思考方法が日本の柔道を衰退させている張本人であり、内弁慶な議論しかできない人間の典型であると思う。

かかる人物が首長として在職している都市で、誰がオリンピックを開催したいと思うのであろうか。

彼の発言は、フェアプレーを志向し、全力で戦って、敗者は勝者を讃えるというオリンピック精神に著しく反するものである

かかる発言は、我が国の品位を損ないかねない極めて許し難い発言であり、こういった首長がいつまでも首都東京の長であることは東京の民度そのものが下がっているといわれても仕方ない。

この極めて低俗な発言が2020年オリンピック開催を主張し、多額の税金を使っている首長から出てきた事実は看過できない重大なものであり、この失言の重大性を我々は強く認識しなければならない。


2つ目の発言は、ブラジルサッカー女子監督の負け犬の遠吠え発言である。

五輪サッカー女子 なでしこ称賛より落胆の声 ブラジル監督「悲劇だ…」 (2/2ページ) バルセロス・ブラジル監督の話

 「われわれはたくさんの好機をつくったが、得点できなかった。相手は守備的に戦って2点取った。悲劇だ。日本がきょうのような(守備的な)プレーを続けるなら、優勝候補と呼ばれるにはふさわしくない」(共同)

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120804/cpd1208041401003-n2.htm

なんとも非論理的な発言である。守備的に戦って2点も取るのであるからむしろ、このスタイルから学ぶべきだろう。守備をしないから2点も取られたのではなかろうか。守備をしたら優勝候補と呼ばれないというのはまさに論拠のない負け犬発言であろう。

負けた方は真摯に相手を讃える姿勢がオリンピック精神ではなかろうか。

3つ目は、韓国メディアによるサッカー英国言いがかり発言である。

準々決勝で、韓国がイギリスに勝利したことはご存じだろう。

「サッカー宗主国」を自負する英国が準々決勝を控え、サッカー韓国オリンピック(五輪)代表に妨害行為を続けている。
2012年08月04日12時28分
[ⓒ ISPLUS/中央日報日本語版]


韓国チームは4日未明(以下、日本時間)、カーディフ大学のスポーツフィールドへ行って練習をした。宿舎であるカーディフのマリオットホテルを出発して練習場に到着するまで、40分近い時間を道路上で過ごした。停滞する時間帯ではなかったが、普段の2倍以上も時間がかかった。代表チームのバス運転手は「英国ではバスが大きな道路しか走れないので時間がかかる」と説明した。しかし練習を終えてからホテルに戻るには10余分ほどしかかからなかった。

前日、韓国チームがロンドンからカーディフに移動する過程でも釈然としないことがあった。選手を乗せたバスは5時間近く走ってカーディフに到着した。ロンドン市内の停滞区間を通過するのにかなり時間がかかった。バスに乗っている時間が長くなり、選手の疲労は加重した。しかし代表チームのバスを除いた他の車の移動時間は3時間以内だった。ロンドンからカーディフまで自動車で移動した韓国の取材陣は「ナビゲーション通りに走ったところ3時間でカーディフに到着した。特に停滞している区間もなかった」と証言した。

大韓サッカー協会のある関係者は「バスの運転手がわざと移動時間を長引かせたようだ。物証はないが心証では確実だ」と憤りを表した。また「公然と『韓国は眼中にもない』と叫ぶ英国がこんな方法を使うのにあきれる」と声を高めた
http://japanese.joins.com/article/914/156914.html?servcode=600§code=670

これほど言いがかりという報道を見たことがない。

心証の意味すら分かっていない。何ら証拠がないのに心証を形成できるのがそもそもおかしいのである。

これほど低俗な内容ををタブロイドではなく、中央日報という大手メディアが報じているのだから驚きである。

自らの品位を自ら傷つけ、自国チームの勝利を歪んだものにしていることにすら気がついていないのであろう

極めて低俗なメディア報道である。

この韓国メディアの報道も石原発言も根本は同じである。

オリンピック精神どころか、スポーツマン精神のかけらすらなく、自分が応援しているチームを勝たせたいという気持ちしかない

そんなレベルの低い人間は、そもそもオリンピックを見る資格がないだろう。

オリンピック観戦が面白いのは、4年に一度しかない大会において、そろぞれの選手が様々な境遇におかれながらも一生懸命訓練し、そして、我々が想像できないプレッシャーの中、自分のやってきたことを信じて、力を出し切りる姿を見ることができるからである

これがオリンピックの醍醐味ではなかろうか。

今回、アメリカ柔道に初めての金メダルをもたらしたカイラ・ハリソン選手は、幼い時期に柔道のコーチから性的虐待を受けながらも、それを乗り越え、柔道を続けた結果、アメリカ柔道に初の金メダルをもたらしたという。

アスリート個人が様々な境遇を乗り越え、努力を続けてきた結果、達成することができる瞬間を目撃できるからこそ、オリンピック観戦は他の国際大会とは違う醍醐味をもたらしてくれるのであろう

こうした視点すらなく、「西洋人の柔道はけだもののけんか」などと称する人間にオリンピック開催都市の首長という栄誉を受ける資格は到底ないだろう

日本のメディアは、金メダルが少ないとかいう話に終始するが、私はもっと予選敗退した選手でもいいので、彼らがどういう努力をして、オリンピックの場に立つにいたったのかを報道してほしい。

特に、レスリングで金メダルを取った小原選手のうつ病からの復活は色々な人を元気づけることができるエピソードになるのではなかろうか。

ただ、メダルに関わらず、オリンピックアスリートの努力についてもっと特集をするなどして報道することで、スポーツに限らず、我々はいかに日々の努力が大切であるかを再認識できるし、それこそ、今、いじめ問題を抱える小学生、中学生、高校生にとっては、素晴らしい教育教材になるのではないだろうか



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08/05/2012

マイケル・フェルプス(Michael Phelps) 選手の偉業

アメリカの競泳男子の金メダリスト、マイケル・フェルプス(Michael Phelps)選手が、北京オリンピックの8種目金メダルに続き、ロンドンオリンピックでは、3種目3連覇、通算22個目のオリンピックメダル獲得という歴史的偉業を成し遂げたが、皆さんはその瞬間を目撃したであろうか。

NHKのウェブサイトでは動画が出ているのでぜひ見ることをお勧めしたい(男子400メートルメドレーリレー決勝表彰式)。

私は、残念ながら、女子バトミントン終了あたりで眠ってしまい、ライブでの瞬間を目撃することはできなかった。

フェルプス史上初 3種目3連覇「楽しかった」 ロンドン五輪競泳

男子100メートルバタフライはフェルプス(米国)が51秒21で3大会連続優勝し、すでに史上最多だった通算の金メダル数を17に伸ばした。フェルプスは200メートル個人メドレーと、米国のメンバーとして出場した800メートルリレーでも3大会続けて金メダルに輝いており、史上初の3種目3連覇となった。女子200メートル背泳ぎは17歳のフランクリン(米国)が2分4秒06の世界新記録で制し、100メートル背泳ぎとの2冠を達成。同800メートル自由形は15歳のレデッキー(米国)が8分14秒63で勝った。

 17度目の表彰台の真ん中で、怪物の目に光るものがあった。五輪後に引退するフェルプスは、個人種目では最後のレースを制し「最後に勝てたことが純粋にうれしい。楽しかった」と穏やかな笑みを浮かべた。

 前半は出遅れ、50メートルを8選手中7位で折り返した。そこから、両手を広げると2メートルを超すリーチを生かしたダイナミックなストロークで猛烈な追い上げを見せた。残り25メートルを切って頭一つ抜け出し、トップでゴールすると、万雷の拍手を気持ちよさそうに浴びた。

 8冠に輝いた北京五輪と違い、ロンドンでのテーマは「できる限りのことをする」。結果が4年前に及ばないことは目に見えていたが、バウマン・コーチは「どんな結果でも彼の伝説は汚れることはない」と挑戦を後押しした。いずれも3連覇が懸かっていた4つの個人種目を泳ぎ切り、2種目を制した。「いろいろな思いがこみ上げてきた」。完全燃焼だった。
http://www.sponichi.co.jp/olympic/news/2012/08/05/kiji/K20120805003838061.html

アメリカのニュースメディアは、この偉業について、「本当に最後の金メダル(One Last Gold)」と題して、大きく報じ、この動画のように彼の歴史的偉業を讃えている。

フェルプス選手は、実に18個のオリンピック金メダルを取り、22個のオリンピックメダルを獲得した。

ロンドンオリンピックでは初戦の400メートル個人メドレーで4位となり、不調と報じられたが、結果は、100メートルバタフライで金、200メートル個人メドレーで金、800メートル自由形リレーで金、400メートルメドレーリレーで金と、金メダルを4つ獲得し、200メートルバタフライと400メートル自由形リレーで銀メダルを獲得し、ロンドン大会だけで、金4つと銀2つの6つのメダリストに輝いている。

アメリカではフェルプス選手が27歳であることから、まだ2大会位はできるのではないかと引退を惜しむ声もあるようだが、当人は、「30歳になったら泳ぐのを絶対にやめるんだと自分に言い聞かせてきた。30歳の人を悪く言うわけではないけれど、それを自分にずっと言い聞かせてきた。あと3年後には30歳になる。だから、今後3年間を泳いでいきたいとは思わない。(I told myself I never want to swim when I’m 30.No offense to those people who are 30, but that was something I always said to myself, and that would be in three years. I just don’t want to swim for those three years.)」と述べている。

ガーディアン紙電子版は、「先に進む時(It's just time to move on)」というフェルプス選手の言葉を題名にして動画を配信している。



動画の最初に、フェルプス選手は、表彰台に上がった時の気分について、「表彰台に上がると直ぐに涙が溢れてくるのを感じた。チームメイトのネイサン(Nathan Adrian)に、『やばい。涙が出そうだ。』と言ったんだ。泣かないように我慢したけど、結局、なるようになると思って我慢するのをやめたよ。」と語っている。

私は昔、フェルプス選手の食事量に関する記事を読んで驚いたことがある。

彼は、1日に1万2000カロリーを摂取するという。これは20代男性の摂取カロリー量の目安が1800くらいであるから、実に10倍に近い。

朝食は、3つのフライドエッグ、フライドオニオン、レタスとトマト、さらにはチーズとマヨネーズたっぷり入ったサンドイッチを3つ食べ、さらに2杯のコーヒー、5つのオムレツ、あらびきトウモロコシをボール1つ、フレンチトースト3切れ、チョコレートのチップスを3袋を食べるというのであるから凄まじい。

さらに、昼には、トマトソースパスタを1皿、大きなハムとチーズ、マヨネーズが入った2つのサンドに、1000カロリーのエナジードリンクを飲む

そして、夕食は、同じくトマトソースパスタに、6~8切れのピザを食べ、エナジードリンクを飲むというのである。

あの強靭な肉体を作るには、これだけの食事を消費できるだけの運動量もの努力があるのだろうが、それにしても本当に驚きであった。

ガーディアン紙の記者が実際にその食事を食べてみるという企画の動画を見たが、実際の量を見ると愕然とする。

ただ、これはフェルプス選手だけではないという。アメリカのライアン・ロクテ選手も、朝の練習後の朝食では、パンケーキや、ベーグル、シリアル、ワァッフル、卵を食べるというから、かなりの高カロリーの朝食である。

イギリスのデイリーメール紙電子版は、栄養に関する専門家の話として、男子の水泳選手は1日6000カロリーが必要とされるが、フェルプス選手のレベルであるとそれ以上のカロリーを消費する練習量をこなしているから代謝により直ぐ消費してしまうというコメントを紹介している。

それにしても、フェルプス選手の偉業は素晴らしい。ガーディアン紙電子版も、「さようなら、マイケル・フェルプス。前人未到のオリンピック選手(Farewell Michael Phelps, the Olympian beyond comparison)」と題して、彼の偉業を讃えている。





フェルプス選手は過去に酒気帯び運転で罰金を受けたり、2009年頃には、水たばこの器具(たばこの他、マリファナにも使用される場合がある)を使っている写真が流れるなどして、多くの失敗も経験している。後者については、実際にマリファナを吸引したのか否かはハッキリしておらず、何ら罪に問われていないが、これにより主要スポンサーであるケロッグが契約を打ち切るなど強い批判にも晒された。

そうした失敗がありながらも、逆境を乗り越えて、前人未到の記録を打ち立てるのは本当に称賛に値する

面白いのは、上記ガーディアン紙の記事にあったフェルプス選手が水泳を始めた7歳の頃、彼が水に顔をつけるのを怖がり、背泳ぎしかしなかったという点である。その後、11歳の時に、長年のコーチとなるボブ・バウマン(Bob Bowman)氏と出会い人生が変わったという話である。

フェルプス選手が7歳の時に父親が家を出て行って、いわば母子家庭であったが、バウマンコーチが父親のようや存在になっていった

そして、最後のレース直前、ウォームアップのためのプールに入っていたフェルプス選手は、バウマンコーチに、「最高の水泳選手になることができたのは、ここまであなたと一緒にやってこれたからです。」と感謝の言葉を伝えたところ、コーチは涙を流しながら、「ずるいぞ。プールの中にいるなんて」と応え、フェルプス選手は、「はい。僕の涙はゴーグルに隠れて見えないけど、コーチは涙が流れてますよ。」というやり取りがあったとフェルプス選手はガーディアン紙に語ってる。

歴史的瞬間の直前にあったこういった選手の人間ドラマがオリンピックの素晴らしさではないだろうか。


アメリカメディアもこの話題を取り上げており、フェルプス選手はバウマンコーチについて、「彼がしてくれたことがなければ、今僕はこの場になっていないでしょう。この15年間、クズみたいな僕にずっと我慢して面倒を見てくれた彼に心の底から感謝しているし、愛しています。文字とおり、感謝してもし尽くせません。」と語っており、これほど偉大な選手も一人では成功できなかったことが良くわかる。

フェルプス選手は元々、注意欠乏多動性障害という発達障害を持っている。簡単に言うと、1つのことに集中できず、色々なものに注意がいってしまって落ち着きがないといわれる症状である。

そして、これを克服するために水泳を始めたと言われている。

また、幼くして父と別れ、母子家庭で成長し、成功だけでなく、失敗もしてきた。

しかし、逆境を乗り越えるその姿こそある種の人間味があり、魅力がある
若干27歳ではあるが、彼の競泳人生から、我々も学ぶ点が多くあると思う。

ぜひともNHKには、まさに歴史に新たな1ページを書き込んだフェルプス選手の偉業をNHKスペシャルかなんかで取り上げて、日本の学生に向けた教育教材にしてほしい

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