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07/29/2012

イギリス文化の国際的発信力を知らしめた過去最高の開会式

日本時間の28日土曜日午前5時からロンドンオリンピックの開会式が日本でも放映されたが、どれくらいの人がこれを生放送で見たのだろうか。

以下の動画は、ガーディアン紙インターネット版より。






ノーカットを生で見たり、録画していた人はラッキーであったと思う。残念ながら、私自身はノーカットの生放送は途中からしか見ることができず、録画も忘れていたため、色々カットされてしまっていた再放送とネットの動画で補完しながらしか見ることができていないが、今回の開会式は本当に素晴らしかったと思う。

おそらく、4年後も印象に残っていると思われる開会式であった。

そんな感銘を受けたのは私だけかと思ったが、オリンピック観戦のプロの同様の感想を発見したため、やはり多くの人に感銘を与えた開会式であったのだろう。

五輪おじさん・山田氏「120点!過去最高の盛り上がりだ」

(デイリースポーツ)2012/7/29 7:48

「ロンドン五輪開会式」(28日、五輪スタジアム)

 団長の山田です。いやぁ最高の開会式でした。夏季五輪の開会式は1964年の東京から今回まで13大会連続で皆勤賞の私ですが、ロンドンは世界一盛り上がった。“開会式ウオッチャー”として祭典を採点させていただくと、今回は100点満点の120点ですよ!

 日本がボイコットした80年モスクワ五輪で、私はロシア語で「ミルユードルジバ(平和と友好)」と叫んで思い出が深いけど、ロンドンはさらに素晴らしかった。

 何より企画が素晴らしいよ。聖火を船で運んだり、女王陛下が007の音楽に乗ってパラシュートで飛び降りたり、モハメド・アリさんが登場したり。私、アリさんにはロサンゼルス五輪でサインをもらっていて、懐かしかった。大変な闘病生活だけど当時の面影があったよ。

 とにかく英国はやることが斬新だ。私は98年の長野五輪で大相撲の力士を開会式に参加させる企画を出した。英国も伝統と新しいアイデアの共存がある。20年招致を目指す東京も、そこを学ばなければいけないね。

 トリは70歳のポール・マッカートニーさん。私が五輪に目覚めた東京とメキシコの間の66年に、ビートルズの一員として来日されましたが、今回、初めて生で歌声を聴いた。なかなかどうして、たいしたもんだよ。

 会場の外ではフランス、米国、スロベニア、中国など世界中の人に囲まれて記念撮影。「ロンドン、バンザ~イ!1、2、3、ラッキー!」と叫んだ。「チーズ」じゃなく、「ラッキー」の方が最高の笑顔になるからね。86歳にしてこの場に来られて、ほんとに私は「ラッキー」ですよ。

http://london.yahoo.co.jp/news/detail/20120729-00000006-dal

オリンピック観戦のプロが現地で見て大絶賛をしているのだから、やはり過去最高と評されてしかるべきである。

ちなみに、山田さんについては、イギリスのテレグラフ紙のインターネット版でも取り上げられているので、紹介しておこう。

オリンピックおじさんこと、山田さんと異なり、テレビ観戦の実績しかない私であるが、私もロンドンオリンピックの開会式が過去最高と評されてしかるべきだと思う。

ロンドンオリンピックの開会式が過去の開会式と比べて何が素晴らしいかというと、イギリス大衆文化の国際発信力を前面に出し、オリンピックの開会式に、イギリス文化を「壮大さ (Spectacular)」という要素が満載のショーにより力強く発信した点である。

平たく言えば、今回のオリンピック開会式は、世界中の人が開会式を見ていて何が行われているのか一目で分かり、それをエンターテイメントとして十分に楽しむことができる内容だったということである。

テレビ観戦しかしていない私にとって、前回大会の北京オリンピックの開会式の印象は、「巨額の金をかけてたくさんの人と花火を使っていたな。」、「事前に世界中の大陸で聖火リレーを行い、反中デモ騒動(チベット政策への抗議活動)が起こっていた。」という印象しか残っていない。

特に、中国文化の国際的発信力を印象付けるものも記憶には残っていない。この記事を書くにあたり、前回の開会式の動画を見たが、やはり記憶に残っているシーンは、各国首脳が自国の選手団の入場シーンで立って応援していたにもかかわらず、当時の福田首相が座っていたという以外一つもなかった。

前回の北京オリンピックも、バンクーバーオリンピックも、日本で行われた長野オリンピックもそうであるが、自国民を対象とした企画が多く、海外に各国固有の文化を紹介する企画においても、海外から見ていると、あまりよくわからない企画が多いのがオリンピックの開会式の定番であったと思う。

しがたって、当然、開会式の記憶はあまり残っていない。

しかしながら、ロンドンオリンピックの開会式は、デイビッド・ベッカム氏がボートでテムズ川からタワーブリッジをくぐって、聖火を運んでくるシーンにも代表されるように世界的に有名な英国の人物を多数出演させると同時に、10代のこれからの選手が聖火台に点火するなどテーマである「Inspire a Generation」もハッキリわかる演出が巧みであった。そして、イギリス国歌「God Save the Queen」を聴覚障害がある子供たちの合唱団「Kaos」が素晴らしい音程と音域で歌い上げるというのも胸を熱くする演出である。

また、伝統的な田園風景から産業革命という環境破壊を伴った変革や、かつては「ゆりかごから墓場まで」と称された医療制度やイギリスの子供に対する取り組み、シェークスピアからJ.Kローリング氏に代表されるイギリス文学の豊かさといったイギリスの歴史を極めてストレートかつ壮大な演出で、まさに映画や舞台を見ているような世界中の視聴者を楽しませるエンターテイメント性が極めて高い開会式であった。

そして、イギリスの歴史・文化がひと目でわかると同時に、今回の開会式の企画は視聴者にイギリス文化がいかに国際社会に対して力強く発信され続けてきたかを再認識させるもので、「イギリスはこんな素晴らしい文化を世界に発信して、世界中の人に受け入れられている」ということを痛感させられた

さすが、ハリウッドでアカデミー賞を取るだけある映画監督である。ダニー・ボイル監督の力量は素晴らしい

何と言っても、驚いたのは、エリザベス女王がジェームスボンドとともにバッキンガム宮殿から移動し、途中、チャーチルの銅像が手を振り、ヘリコプターからダイブして、女王が会場に現れるという演出である。

この演出には、世界中が驚いただろう。この演出はヒューモアに溢れ、かつ、英国王室、とりわけ、エリザベス女王が英国大衆にとって身近な存在であろうといかに努力しているのかを象徴するものであったと思う。

女王が登場する前の田園風景から産業革命へという開会式の第一幕でも、ハリーポッターでロックハート教授役を演じ、「炎のランナー」にも出演していたシェークスピア俳優として有名な映画俳優のケネス・ブラナーが、グレート・ウェスタン鉄道の設計者であるI.K.ブルネルを演じ、シェークスピアのテンペストの一節が読まれ、イギリスの国土の風景が変貌する歴史を見事に描かれていた。

女王の登場後の第二幕では、イギリスの国民健康サービス(National Health Service)や子供の医療に対する英国の取り組みを題材に、テーマである「Inspire a Generation」を反映した子供のパフォーマンスが行われ、実際の医療従事者が踊るなど斬新な演出とともに、ハリーポッターの作者、J.Kローリングスが登場し、ピーターパンの一節を朗読すると、ピーターパンのフック船長、101匹わんちゃんのクルエラ、チキチキバンバンのチャイルド・キャッチャー、ハリーポッターのヴォルデモード卿など、英国児童文学に登場する悪者の巨大人形が登場し、子供たちを攻撃する演出が行われ、そこに、メリーポピンズが登場して、悪者のキャラクターを一掃するという、まるでミュージカルや映画を見ている感覚になる。

この演出だけ取り上げても、英国文化のもつ国際的発信力の高さをまざまざと感じさせられる。つまり、開会式を見ている世界中の誰もが知っているキャラクターの登場により、我々が英国文化に強く影響を受けていることをこのシーンだけでも痛感させられるのである。

そして、極めつけは、世界的指揮者、ベルリンフィルのサイモン・ラトルとロンドン交響楽団の演奏における演出である。

誰もが知っている「炎のランナー」のテーマ曲を演奏するというだけでも、英国文化の発信力痛感するが、さらに驚愕させるのは、誰もがまじめに行われると思っていた演奏において、イギリスコメディーを代表するローワン・アトキンソン演じるミスタービーンが奏者として登場し、一瞬にして、笑いを提供してくれるのである。

もちろん演奏も素晴らしいが、それとコメディーとがコラボレーションすることは誰が予想できたであろうか。まさに、エンターテイメントそのものである。

その後も、色々な演出があったが、最後は英国ポップミュージックを代表するビートルズのポール・マッカートニーがHey Judeで締めくくるなど、とにかく、開会式にとどまらないエンターテイメント性の高さには驚愕である。

これほど素晴らしい記憶に残る「開会式」というのは過去の国際大会に存在したであろうか

ロンドンオリンピックの開会式は、イギリスという国が持つ伝統と文化の力強さ、そして、それを世界に発信し、世界中の人々がその影響を受けていることを痛感させるという点において、世界中が注目するオリンピックの開会式をイギリスという国の宣伝に最大限利用しており、国家戦略としても、最も成功した近代オリンピック開会式だったと言えるだろう。

イギリスと同じく素晴らしい歴史や文化的・技術的財産を有しながら、その国際的発信力が著しく欠乏している我が国にとっては、この開会式から学ぶべき点が沢山あったと思う。

ただ、この開会式、早朝5時からということもあり、見逃した人も多かったのではないだろうか。

私もその一人であるため、その後に再放送したNHKがなぜか編集をして最もおもしろかった女王出演のパートをカットして放送していたのは極めて残念であった。

日本のメディア、とりわけ、NHKにおいては、もう一度ノーカットでこのエンターテイメント性の高い過去最高の開会式を放送してほしいと切に願う。






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