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April 2012

04/30/2012

小沢判決の解説・評価(それでも「小沢は黒」という人たちへ)

さて、連日この話題を取り上げてきたが、そろそろこれを最後にしたいところである。

無罪判決の意義と挙証責任の問題を混同して議論するなということは、「疑わしきは被告人の利益にという挙証責任の問題があることと、判決が出た段階における無罪判決の意義を、同一に論じられるべきではない」と述べたとおりであり、4月28日付ブログ記事「小沢判決の解説・評価と往生際の悪いマスメディア」の最後の方において、記載した。

通常人の通常の日本語能力をもって東京地裁判決を読めば、「真っ黒」とか、「限りなく黒」だが無罪なんていう理解にはならないと思うが、要職に就いている人やマスメディアの人々は、本当に判決を読んだのかどうかしらないが、本当に判決要旨を読んだとすれば、通常人の通常の日本語能力を持っていないのではないかとすら思ってしまう。

判決要旨が民主党の議員により公開されている現在においては、判決が小沢を黒と言っているというのであれば、少なくとも95ページの判決要旨を読んだ上でいうべきであろう。

さて、それでも「小沢は黒」という人たちのために、小沢の4億の原資について、東京地裁刑事第11部はどのように判断しているのか紹介したい。

判決要旨の29ページないし30ページは次のように判示する

((3)アの結論部分)したがって、石川が、本件4億円の簿外処理を意図した動機は、本件4億円を被告人からの借入金として公表することで、マスメディア等から追及的な取材や批判的な報道を招く等(原文ママ)して、被告人が政治的に不利益を被る可能性を避けるためであったと認められる。

更に進んで、指定弁護士は、石川が①平成17年3月頃から5月2日にかけて、被告人の指示を受けて、被告人の知人が運営する政治団体である改革国民会議の4億円の資金を分散して入金するなどして本件口座に集約したり、払い戻したりしたことなどから、本件4億円の原資の形成過程について、公にできないものであるとの危惧感を抱いたこと、②本件4億円は、無利息で返済の期限の定めのない借入金であることから、寄付金と解されるなどして、政治資金規正法上の制限に違反するとの疑惑を招くおそれがあると考えるに至ったこと等の事情がある旨主張している。

これらの指定弁護士の主張は、いずれも一定の合理性があると考えられなくはないが、この点について、石川は、公判においては、本件4億円の簿外処理の意図について否定しており、指定弁護士の主張に沿う直接証拠はない

また、①に関して指定弁護士が主張する事実は、石川において、本件4億円の原資が何らかの違法性のある資金であるとの具体的な認識を有していたことを推認できるほどの事情とはいえない

さらに、同人の供述からうかがわれる同人の政治資金規正法における寄付等に関する知識の程度等によれば、前記②の認定も困難である。

その他、指定弁護士の主張を裏付ける証拠はないから、前記アの限度で認定するのが相当である。

この判決から明らかなとおり、石川の簿外処理の動機について、判決は原資が違法なものであったためそれを隠すことを意図としたとは全くもって認定していないのである。

現に判決は、本件土地の公表先送りについても、要旨35ページないし36ページにおいて、

石川が、本件土地公表の先送りを意図した動機には、(省略)石川が供述するとおり、先輩秘書の示唆を受けるなどして、本件土地の取得が収支報告で公表され、マスメディアの追及的な取材、批判的な報道の対象とされるなどして、被告人が政治的に不利益を被る可能性を避けるためであったと認められる。

と改めて認定し、要旨37ページで、

指定弁護士は、本件土地公表の先送りは、収支報告書の記載を複雑化して、その内容を分かりにくくする隠ぺい、偽装工作としての意味もある旨主張しているが、そのような効果があるかには疑問があり、そこまではいえない

しており、原資の違法性を隠す偽装工作という指定弁護士の主張を排斥している。

そして、判決要旨38ページで判決は、

指定弁護士は、29日の送金は、分散入金や28日の送金と一連のものであり、本件土地購入代金等や本件定期預金の原資が、陸山会の資産からかき集められたものであるとの外観を作出し、本件4億円を分かりにくくするために行われたものである旨主張している。

しかし、28日の送金のそのものは、同じ陸山会が有する口座間の資金移動に過ぎず、収支報告書等での公表は予定されていないから、金をかき集めた外観を作出するための隠ぺい行為としての実効性には、疑問がある

また、29日の送金は、関連団体からの資金移動ではあるが、関係証拠によれば、これは、平成16年分の収支報告書において、関連団体から陸山会に対する寄付として記載されていないことが認められ、本件土地の取得費や本件定期預金の原資として対外的な説明に利用されていないから、収支報告書を意識した計画的な隠ぺい工作と認めるには、疑問がある

したがって、指定弁護士の前記主張は採用できず、28日の送金、29日の送金の目的は、前記2及び前記5(1)で認定した趣旨にとどまるものと認められる。

として、違法な原資を隠す隠ぺい工作というマスメディアの報道にも多くあった部分は、明確に否定しているのである。

以上みてきたとおり、マスメディアが騒いだ4億円の原資が違法な献金によるものだという"疑惑"部分については、裁判所は一切採用していないし、それを前提として隠ぺい工作があったとする指定弁護士の主張を採用できないとしているのである。

このように、判決が原資の違法性に何ら言及しておらず、原資が違法なものであることを前提とした指定弁護士の主張を明確に排斥しているにもかかわらず、未だに「小沢は黒」という人々はどう判決を読んでいるのであろうか。

ぜひともその通常人を超えた(?)理解の過程を教えてほしいものである。

なお、ここで面白いのは、秘書の有罪判決で、別の裁判体(当時の東京地裁刑事第17部)は水谷からの1億円を認定したわけであるが、東京地裁刑事第11部はこの認定には触れず、違法な原資を前提とした偽装工作の主張を排斥している点である。

ここは私の個人的な感想なので、異論があるかもしれないが、小沢一郎の判決を下した東京地裁刑事第11部は、秘書たちの有罪判決を下した東京地裁刑事第17部の事実認定方法(少なくとも原資についての水谷建設からの1億円の認定部分)に問題があると感じて、その認定を前提とせず、違法な原資を前提とした偽装工作の主張を排斥しているのではないかと思う。

この水谷からの1億円認定については、オーソドックスな裁判官であれば、問題があると感じていたであろう(この点については、阪口弁護士のブログ記事の説明が参考になる)。

以上のとおり、マスメディアが「小沢は黒だが無罪」とする論拠は判決要旨からは見出せない。

他方で、インターネットを見ていると、「この判決は当初は有罪だったが無罪に直前で変わった」とか、「東京地裁は検察のプライドを守るために報告と了承を認めた」とか、しまいには「最高裁の陰謀だ」とか、極めて陳腐な陰謀論が結構あることに驚いてしまう。

いずれも一見して失当な見解であることは明白であるが、歪曲報道や陰謀論を行うにしても、もう少し判決要旨を読んでほしい。

なお、私はこれで小沢氏が非の打ちどころのない立派な人物であるとは考えていない。
当然、秘書の虚偽記入に対する責任というのは別途、検証されるべきであろうが、小沢氏の秘書が控訴していることからすれば、今これを議論すべき時ではないし、これを理由とする証人喚問等を要求する政治パフォーマンスは、極めてくだらないの考えている。

本件で小沢氏に説明責任があると主張している政治家たちは、なぜ政治資金規正法を改正して、今後、秘書の虚偽記入でも、政治団体の代表にも連座制が適用されるような法制度に改正しなかったのであろうか。

今まで約3年間という長期間、それをしてこなかった政治家の無責任さを棚に上げて、「小沢氏は政治家としての責任を果たせ」というのは、滑稽としか言いようがない

さて、連日紹介しているが、刑事訴訟法に興味がある人にはこの本を読んでもらいたい。
一番オーソドックスなものである。

法律を勉強したいまでは思わないが、司法のあり方に興味がある人にはぜひこの映画を見てもらいたい。

 

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04/29/2012

小沢判決の解説・評価(補足)

民主党の議員がHP上で、小沢一郎氏に対する東京地裁判決を公表している。
公表した方が良いと前回の記事で述べたが、きちんと公表する姿勢は評価されるべきである。

http://shina.jp/a/wp-content/uploads/2012/04/ozawa.pdf

公表されているので、早速、目を通してみたので、前回の記事「小沢判決の解説・評価と往生際の悪いマスメディア」の補足的なものを記載しておこうと思う。


1.共謀の部分について

95ページもある内容だが、共謀の認定にかかわる重要な部分は80ページあたりからなので、実際に読んでみると良いかもしれない。

まず、この判決の80ページで、判決は、

被告人は、陸山会において、本件土地を建設費を含めて4億円程度で取得することを了承し、本件売買契約が平成16年10月5日に締結され、その決済日が同月29日であることを認識していたと認められる。

その上で、本件土地の取得や取得費の支出を平成16年分の収支報告書には計上せず、平成17年分の収支報告書に計上することとし、そのために、本件売買契約の内容を変更する等の本件土地公表の先送りをする方針についても、報告を受けて了承したものと認められる。

と認定している。

この部分が裁判所が最も重視している点である。

つまり、判決は、平成17年の報告書に記載するために、契約自体を変更するなどの動きがあったという事実を重視し、これも小沢氏は知っていたはずであると認定したのである。

ここで重要なのは、小沢氏がこの契約の変更により、取引自体が平成17年に行われたとの認識をしている可能性があることである。

後に判決が無罪と判断する理由として指摘しているが、この認識通りに、土地取引が変更されていれば、虚偽の記入にはそもそも当たらないのである。

したがって、この認識の他に、指定弁護士は、小沢氏が、①契約変更が失敗し、取引が平成16年中に行われたままになっていることを認識していたこと、②平成16年中の取引であるから平成17年中の報告書に記載することは虚偽記入に当たることを認識・認容していたことを立証しなければならないのである。

次に、判決は、

りそな4億円は、陸山会の被告人に対する借入金となること、本件4億円は本件預金担保貸し付けの担保として本件定期預金の原資にすることについて、認識し、了承した上で、本件預金担保貸付の目的が、本件4億円を収支報告書等で対外的には公表しない簿外処理にあることも承知していたものと認められる。

としている。

つまり、小沢氏は、自分の4億の金が担保目的の定期預金にされることへの認識はあったと認定しているのである。

ここも判決が後に指摘するが、判決は、指定弁護士が、この認識の他に、③小沢氏の自分の4億円が一般財産に混入して消費されており、定期預金として残らず、陸山会の借入金になってしまっていることへの認識が小沢氏にあったこと、②だからこそ、平成16年中の取引であるから平成17年中の報告書に記載することは虚偽記入に当たることを認識・認容していたことを立証しなければならないと考えているのである。

この立証について、指定弁護士は、最高裁決定である平成15年5月1日(スワット事件)を用いて、当然知っていたはずだという主張をしたのであろうが、裁判所は、「相応の根拠があると考えられなくはない。」というこの考え方の否定を前提とした表現を用いて、排斥したのである。

ちなみに、「考えられなくはない」という表現は、法律関係者では良く使う表現である。一応、その主張は検討するに値するが、採用はできないという場合に使うことが多いように思われる。

したがって、裁判所が理解を示したというものではない。理解を示していれば、その主張を採用するはずである。

現に、判決も、

しかしながら、当裁判所は、被告人には、本件土地の取得及び取得費支出時期の認識並びに本件4億円の収入計上の必要性の認識について、これらを認めることができないことから、被告人の故意、共謀を肯定することができないと判断した

と判示しているように、指定弁護士の主張を明確に排斥している。

したがって、私見としては、今回の東京地裁の判決は、控訴が極めてしにくい形で、綿密な事実認定をしているから、これを控訴するのは難しいし、これを控訴しても、私は無理筋の主張以外の何物でもないと思う。

仮に、万が一、東京高裁が状況証拠による推認(私見はこの種の推認は、経験則に反した「憶測」になると思うが)により、東京地裁の指摘する可能性を排除して、逆転有罪を出したとしても、昨今の最高裁の綿密な事実認定を要求する姿勢に変わりはないから、最高裁で差し戻されるのがオチであろう。

なお、裁判所の判決における表現であるが、裁判所は、その主張に賛同するときはもっとストレートな表現をする。たとえば、「一理ある。」とか、「考えられるところである。」とかである。


2.弥永教授の意見書に対する裁判所の評価

会社法や企業会計法の大家である弥永先生の意見書に対する裁判所の評価も面白い。

さすがに、弥永先生レベルだと一学者の意見で取るに足らないとはいえず、裁判所も丁寧な検証が必要になるようである。

判決は、判決要旨45ページにおいて、

なお、弥永意見書には、本件土地について、平成17年1月1日以降に所有権が移転したと私法上評価されるのであれば、平成17年分の収支報告書に計上する必要があり、平成16年分の収支報告書に計上する必要はない旨や、司法書士に対する委任状の記載を根拠に、平成16年10月29日に本件土地の所有権を移転する旨の合意を認定することが不自然と思われる旨の記載があるが、弥永教授は、本件土地の取引に関する証拠書類や関係者の供述を踏まえて検討したものではない旨公判で供述している上、そもそも、本件土地の所有権の移転時期について法的判断を述べたものではなく、本件売買契約が売買予約契約に変更されたとの法的判断を前提とした会計上の処理方法について意見を示した趣旨である旨も公判で供述しているから、弥永意見書の前記記載は、前記結論を左右するものとはいえない

と指摘している。

つまり、ここは弁護人の反証不足であり、本件所有権の移転時期が平成17年1月1日以降に変更されたというところの反証がないから、弥永意見を前提にしても、虚偽記入に当たるとの結論を左右しないと判断しているのである。

結局のところ、裁判所は、石川が所有権の移転時期を平成17年1月1日以降に変更することに失敗し、移転時期は平成16年中であったという認定ができる以上、弥永意見が結論を左右しないとしたのであり、この裁判所の理解は当然の帰結だろう。


3.検察に対する部分

今回の判断でやはり注目すべきは、検察に対する苦言である。

判決は、要旨6ページにおいて、

このように、検察官が、公判において証人となる可能性の高い重要な人物に対し、任意性に疑いのある方法で取り調べて供述調書を作成し、その取調状況について事実に反する内容の捜査報告書を作成した上で、これらを検察審査会に送付するなどということは、あってはならないことである

と指摘している。

判決は、違法な証拠を検察審査会に送りつけたということを認めた上で、「あってはならないこと」と断じている。

先の同裁判所の2月17日付決定も「違法・不当」などとかなり踏み込んだ指摘をしているが、今回も裁判所がこうした強い指摘をしていることは、検察庁は重く見なければならないだろう。

なお、昨日のブログ記事でも指摘したが、裁判所は、証拠内容の瑕疵と手続の瑕疵を峻別し、手続的瑕疵がない以上、公訴提起の有効性に影響を与えないというオーソドックスな判断をしているのである。

これは、検察審査会員の職責の重さを改めて認識させるものであり、検察審査会のあり方は今後大幅に見直さなければならないだろう。

個人的には、裁判員裁判のように、審査会員の中に法曹の数を増やし、法曹の過半数がその判断に同意しなければならないとか、予審制度を参考にして審査会専門の判事などに会議を指揮させるとか、大幅な修正が必要だと感じている。

私も判決を読んで驚いたが、判決は要旨7ページにおいて、次のような指摘までしているのである。

検察官が、任意性に疑いのある方法で取調べを行って供述調書を作成し、また、事実に反する内容の捜査報告書を作成し、これらを送付して、検察審査会の判断を誤らせるようなことは、決して許されないことである。

本件の証拠調べによれば、本件の捜査において、特捜部で、事件の見立てを立て、取調べ担当検察官は、その見立てに沿う供述を獲得することに力を注いでいた状況をうかがうことができ、このような捜査状況がその背景になっているとも考えられるところである。

ここで注目すべきは、裁判所の表現である。

「考えられるところである。」というのであるから、これこそ、裁判所は、賛同しているのであって、「考えられなくはない。」という先の表現とは全く異なるのである。

さらに、判決は、次のように指摘する。

しかし、本件の審理経過等に照らせば、本件においては、事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由、経緯等の詳細や原因の究明等については、検察庁等において、十分、調査等の上で、対応がなされることが相当であるというべきである。

ここまで、明確に裁判所が検察庁に注文を付けているのは本当に異例である。

個人的には、この判決が「十分」と念を押すような表現を入れていることが引っかかる。というのも、この部分からは、虚偽報告書等については、当裁判所ではこれ追求以上しないが、検察庁がその威信にかけて、担当検事ら関与した人物の起訴をも前提として、捜査を徹底的に行えという裁判所の黙示の意思が表れているようにすら感じるためである。

法務省、検察庁、及びその他の捜査機関は、この警鐘を真摯に受け止めなければ、裁判所の国に対する信頼は失われるだろう。

昨日も紹介したが、刑事訴訟法に興味がある人にはこの本を読んでもらいたい。
一番オーソドックスなものである。

法律を勉強したいまでは思わないが、司法のあり方に興味がある人にはぜひこの映画を見てもらいたい。

 

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04/28/2012

小沢判決の解説・評価と往生際の悪いマスメディア

既に多くのメディアが取り上げているが、東京地裁の小沢一郎氏に対する無罪判決について、取り上げたいと思う。小沢判決の全文は公開されていないので、NHKの判決骨子に従い、小沢判決の評価とそれを報道するマスメディアの姿勢を検証してみたい。

まず、小沢判決に対する評価であるが、他のメディアの引用は判決理由の原文から遠ざかった意図的なものが多く、判決理由を検証する上では不適切であるため、少なくとも他のメディアよりはマシに思える以下、引用はNHKのHPの判決骨子より行うこととする。
もっとも、小沢氏は判決全文を公表して、歪んだ形で判決内容が伝わらないようにした方が良いと個人的には思う(つまり、公開するということは小沢氏にとっても判決内容を歪めて有利な解釈ができないことを意味するが、無罪判決であることを考えれば、公開するする方がはるかに小沢氏の政治活動において有益であると思うが)。

1.公訴棄却の主張についての判断

まず、公訴棄却の主張に関する部分の判断につき、私見を述べたい。

公訴棄却の申立てに対する判断

〔公訴事実全部に係る公訴棄却の申立てについて〕
弁護人は、東京地検特捜部の検察官が、起訴相当議決を受けての再捜査において、石川を取り調べ、威迫と利益誘導によって、被告人の関与を認める旨の供述調書を作成した上、内容虚偽の捜査報告書を作成し、特捜部は、同供述調書と同捜査報告書を併せて検察審査会に送付し、このような偽計行為により、検察審査員をして、錯誤に陥らせ、本件起訴議決をさせたこと等を理由として、起訴議決が無効であり、公訴棄却事由がある旨主張している。
しかし、検察官が任意性に疑いのある供述調書や事実に反する内容の捜査報告書を作成し、送付したとしても、検察審査会における審査手続きに違法があるとはいえず、また、起訴議決が無効であるとする法的根拠にも欠ける。
また、検察審査員の錯誤等を審理、判断の対象とすることは、会議の秘密に照らして相当でなく、実行可能性にも疑問がある。
したがって、本件公訴提起の手続がその規定に違反して無効であると解することはできないから、検察官の意図等弁護人が主張している事実の存否について判断するまでもなく、公訴棄却の申立ては、理由がない。

ここで、判決が指摘しているのは、「任意性に疑いのある供述証拠」や「事実に反する内容の捜査報告書」といった違法証拠があり、それが検察審査会に送付されて、判断の基礎となったとしても、それが直ちに、検察審査会における手続違反に当たらないということである。

つまり、①検察審査会がたとえ、素人である一般市民により構成されているとしても、そこに出された証拠の違法性や信用力についても当然検討がなされるべきなのであって、それを踏まえて、検察審査会は検察の不起訴判断が相当であるのか、不相当であるのか、それとも起訴すべきとする起訴相当と判断するのかを職責とするのであるから、検察審査会の手続そのものに瑕疵があった場合は別として、そうでなければ、判断そのものが違法ということにはならないと理解しているようである。

そして、判決は、②審査員が適法な証拠だという誤解をした上で判断していたとしても、誤解をしていたかどうかについては、審査会における審議内容が秘密にされているのであるから、判断はできないと述べている。

この点、①の指摘は、まさにその通りというべきであろう。
逆を言えば、検察審査会の審査員に選任された場合には、検察が不起訴とした事案であるだけに、審査員も、証拠が違法である可能性も含めて証拠の評価し、審議することが要求されているということである。

公訴の提起については、検察官に独占させるという起訴独占主義の例外である強制起訴という制度からすれば、検察審査会員の職責がそれほど重いものであるという理解をするのは当然であろう。この制度が妥当であるか否かという立法論は置いておくとして、東京地裁の判決の理解は極めて妥当なものといえる。

次に、②の部分であるが、ここは賛否分かれるのではなかろうか。

起訴の判断における会議の秘密性ということを重視すれば、判決の通りの結論になろう。
しかし、会議の秘密ということのみを重視してしまうと、検察審査会の判断そのものを争う方法は実質的に無くなってしまうことを意味するのではなかろうか。

つまり、強制起訴された被告としては、自身の有罪・無罪を争う他なく、検察審査会の判断の適法性を争う手段としては、無罪判決を受けた上で、国賠請求をするくらいしかできないように思われる(最決22年11月25日民集64・8・1951により、行政訴訟による処分の取消訴訟及び執行停止の申し立てについては、仮に申し立てたとしても、不適法却下されることが示されているから、行訴による争いもできない。)。

もちろん、国賠については、処分の違法が国賠違法というイコールの関係ではないから、審査会員が、職務上の注意義務に違反して、違法な判断をしたという立証を原告が負担しなければならなくなる。

したがって、強制起訴された者は、無罪判決を目指す以外の方法はないことを意味する。

ただ、これは検察官の起訴の判断についても同じことがいえるのであって、特段今までとかわらないといえばそうであろうが、検察審査会が法律のプロにより構成されるものではない、いわば、素人集団であることにかんがみれば、その判断の違法性を争う手段が刑事での無罪獲得にしかないとするのは、強制起訴された者にとって酷な気がする。

〔公訴事実第1の1に係る公訴棄却の申立てについて〕 弁護人は、公訴事実第1の1の事実について、起訴相当議決がされておらず、検察官の不起訴処分もされていないのに、起訴議決の段階に至って、突然、起訴すべき事実として取り上げられていることを理由として、同事実に係る起訴議決には重大な瑕疵があり、公訴棄却事由がある旨主張している。 しかし、公訴事実第1の1の事実は、同第1の2及び3の事実と同一性を有するから、起訴相当議決や不起訴処分の対象にされていたと解することができる上、実質的にみても、捜査又は審査及び判断の対象にされていたと認められるから、起訴議決に瑕疵があるとはいえず、本件公訴提起がその規定に違反して無効であるということもできない。 公訴事実第1の1に係る公訴棄却の申立ては、理由がない。

次に、この判示部分であるが、この部分は、公訴事実の同一性を根拠にする判断である。弁護人としては、公訴事実第1の1の事実と同第1の2及び3の事実とは、同一性がないという前提の主張をしたのであろうが、それを裁判所は認めなかったということである。
ただ、この判決は、同一性を欠く場合には起訴決議が無効になりえることを認めている。

 

2.借入金に当たるかという点の判断

争点に対する判断 〔収支報告書の記載内容〕 平成16年分の収支報告書には、本件4億円は記載されておらず、りそな4億円のみが記載されている。 本件土地の取得及び取得費の支出は、平成16年分の収支報告書には計上されず、平成17年分の収支報告書に計上されている。

〔本件預金担保貸付、りそな4億円の転貸の目的〕
石川が、本件4億円を本件売買の決済に充てず、本件預金担保貸付を受け、りそな4億円の転貸を受けた目的は、本件4億円が本件土地の取得原資として被告人の個人資産から陸山会に提供された事実が、収支報告書等の公表によって対外的に明らかとなることを避けるため、本件土地の取得原資は金融機関から調達したりそな4億円であるとの対外的な説明を可能とする外形作りをすることにあった(このような本件預金担保貸付の目的を「本件4億円の簿外処理」という)。
石川が、本件4億円の簿外処理を意図した主な動機は、本件土地の取得原資が被告人の個人資産から提供された事実が対外的に明らかになることで、マスメディア等から追求的な取材や批判的な報道を招く等して、被告人が政治的に不利益を被る可能性を避けるためであった。

〔本件合意書の目的〕
石川が、本件売買契約の内容を変更し、所有権移転登記について本登記を平成17年1月7日に遅らせる旨の本件合意書を作成した目的は、陸山会が本件土地を取得し、その購入代金等の取得費を支出したことを、平成16年分の収支報告書には計上せず、1年間遅らせた平成17年分の収支報告書に計上して公表するための口実を作ることにあった(このような本件合意書の目的を、「本件土地公表の先送り」という)。
石川が、本件土地公表の先送りを意図した主な動機は、本件土地の取得が収支報告書で公表され、マスメディア等から追求的な取材や批判的な報道を招く等して、被告人が政治的に不利益を被る可能性を避けるためであり、これに加え、本件4億円の簿外処理から生じる収支報告書上のつじつま合わせの時間を確保することも背景にあった。

〔本件土地の所有権移転時期及び収支報告書における計上時期〕
本件土地の所有権は、本件売買契約に従い、平成16年10月29日、陸山会に移転した。
石川は、本件土地公表の先送りを実現するために、本件土地の売主と交渉したが、不成功に終わり、本件土地の所有権の移転時期を遅らせるという石川らの意図は、実現しなかったというべきである。
本件合意書は、所有権移転登記について本登記の時期を平成17年1月7日に遅らせただけであり、本件売買契約を売買予約に変更するものとは認められない。
陸山会は、平成16年10月29日に本件土地を取得した旨を、平成16年分の収支報告書に計上すべきであり、この計上を欠く平成16年分の収支報告書の記載は、記載すべき事項の不記載に当たり、平成17年1月7日に取得した旨の平成17年分の収支報告書の記載は、虚偽の記入に当たる。

〔収支報告書における本件土地の取得費等の計上時期〕
平成16年10月5日および同月29日、本件土地の売買に関して陸山会から支出された合計3億5261万6788円は、本件土地の取得費として、平成16年分の収支報告書において、事務所費に区分される支出として、計上すべきである。
これを計上しない平成16年分の収支報告書の記載及びこれを平成17年の支出として計上した平成17年分の収支報告書の記載は、いずれも虚偽の記入に当たる。

〔本件4億円の収入計上の要否〕
被告人が、平成16年10月12日、本件4億円を石川に交付した際、被告人は、陸山会において、本件4億円を本件土地の購入資金等として、費消することを許容しており、石川も本件4億円を本件土地の購入資金等に充てるつもりであった。
本件4億円は、陸山会の一般財産に混入している上、資金の流れを実質的に評価しても、その相当部分は本件土地の取得費として費消されたと認められる。
また、本件定期預金は、被告人ではなく、陸山会に帰属するものと認められるから、本件4億円が、被告人に帰属する本件定期預金の原資とされたことを理由に、借入金にならない旨の弁護人の主張は、採用できない。
本件4億円は、本件土地の取得費等に費消されたものと認められ、りそな4億円は、陸山会の資金繰り等に費消されているから、このいずれも被告人からの借入金として計上する必要がある。
したがって、本件4億円は、陸山会の被告人からの借入金であり、収入として計上する必要があるから、本件4億円を収入として計上していない平成16年分の収支報告書の記載は、虚偽の記入に当たる。

判決は、秘書の行為が虚偽記入行為に当たるとの認定をしている。
判決が陸山回の一般財産に混入していることなど客観的な事情から、帰属先を認定しているのは妥当であって、そこから、帰属先が陸山会であり、小沢ではないから、借入金に当たるという事実認定の結論も特段おかしいものではない。

 

3.小沢氏の認識と共謀の成否について

〔被告人の故意・共謀〕 関係5団体における経理事務や日常的、定型的な取引の処理を含め、社会一般の組織関係や雇用関係であれば、部下や被用者が上司や雇用者に報告し、了承を受けて実行するはずの事柄であっても、石川ら秘書と被告人の間では、このような報告、了承がされないことがあり得る。

しかし、被告人の政治的立場や、金額の大きい経済的利害に関わるような事柄については、石川ら秘書は、自ら判断できるはずがなく、被告人に無断で決定し、実行することはできないはずであるから、このような事柄については、石川ら秘書は、被告人に報告し、了承の下で実行したのでなければ、不自然といえる。

本件土地公表の先送りや本件4億円の簿外処理について、石川ら秘書が、被告人に無断でこれを行うはずはなく、具体的な謀議を認定するに足りる直接証拠がなくても、被告人が、これらの方針について報告を受け、あるいは、詳細な説明を受けるまでもなく、当然のことと認識した上で、了承していたことは、状況証拠に照らして、認定することができる。

この判決理由の注目されている部分の1つである。
判決は、4億円という大金が動いていること、土地の購入という経済的利害にかかわることからすれば、小沢氏が何らかの形で、土地購入を先送りするということ、及び簿外処理をするということについて、知っていたことは推認できるという判断をしている。

ここは小沢氏の主張とは相いれない部分ではあるが、どのような大物政治家であっても、4億円の大金が動き、不動産の購入をするというときに、それに全く関知しないというのは、常識的に考えられないことである。

4億円という大金を動かす以上、小沢氏が全くこれに関知しておらず、すべて秘書に任せており何も知らないということは、経験則に照らして、到底受け入れられない。

そうであるとすれば、少なくとも、判決が認定するような認識及び了承はあったと推認できるのであって、この判断は社会通念に照らして正当な事実認定であるといえる。

さらに、被告人は、平成16年分の収支報告書において、本件4億円が借入金として収入に計上されず、本件土地の取得及び取得費の支出が計上されないこと、平成17年分の収支報告書において、本件土地の取得及び取得費の支出が計上されることも、石川や池田から報告を受け、了承していたと認定することができる。

しかし、①被告人は、本件合意書の内容や交渉経緯、本件売買契約の決済日を変更できず、そのまま決済されて、平成16年中に本件土地の所有権が陸山会に移転し、取得費の支出等もされたこと等を認識せず、本件土地の取得及び取得費の支出が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があり、したがって、本件土地の取得及び取得費の支出を平成16年分の収支報告書に計上すべきであり、平成17年分の収支報告書には計上すべきでなかったことを認識していなかった可能性がある

また、②被告人は、本件4億円の代わりにりそな4億円が本件土地の購入資金に充てられて借入金になり、本件4億円を原資として設定された本件定期預金は、被告人のために費消されずに確保されると認識した可能性があり、かえって、本件4億円が、陸山会の一般財産に混入し、本件売買の決済等で費消されたことや、本件定期預金が実際には陸山会に帰属する資産であり、被告人のために確保されるとは限らず、いずれ解約されて陸山会の資金繰りに費消される可能性があること等の事情は認識せず、したがって、本件4億円を借入金として収支報告書に計上する必要性を認識しなかった可能性がある

これらの認識は、被告人に対し、本件土地公表の先送りや本件4億円の簿外処理に関し、収支報告書における虚偽記入ないし記載すべき事項の不記載の共謀共同正犯として、故意責任を問うために必要な要件である。
このような被告人の故意について、十分な立証がされたと認められることはできず、合理的な疑いが残る。
本件公訴事実について被告人の故意及び石川ら実行行為者との共謀を認めることはできない。

上記2点の判断がこの判決で最も重要であることは、言うまでもない。

まず、①についてだが、「被告人は、本件合意書の内容や交渉経緯、本件売買契約の決済日を変更できず、そのまま決済されて、平成16年中に本件土地の所有権が陸山会に移転し、取得費の支出等もされたこと等を認識せず、本件土地の取得及び取得費の支出が平成17年に先送りされたと認識していた可能性があり」と指摘している。

小沢氏としては、土地の取引がそもそも、平成16年中に行われたのではなく、平成17年に先送りされたと理解していた可能性があって、その理解に基づけば、平成16年分の報告書に記載せず、平成17年の報告書に記載することで問題ないと理解していた可能性があるということである。

そういう理解であれば、そもそも、小沢氏に虚偽記入の故意といえる認識・認容があったとは到底いえない。

つまり、判決は、4億円の大金を動かす話であったから、小沢氏が4億円について、平成16年の報告書ではなく平成17年の報告書に記載するということ、及び、そのために、土地の売買契約の内容を変更する方針であることについては、秘書から聞いており、それを了承していたことは認められるけれども、その報告書の記載方法が、実際の取引と合致しているものだとの認識をしていた可能性があると指摘しているのである。

そうであるとすると、共謀の成立以前に、小沢氏は、本件虚偽記入行為が、違法な虚偽記載行為であるとの認識を持っていないということになるのであるから、共謀の成立なんて到底認められないということになる。

直接証拠がすべて任意性なしで排除されている状況からすると、状況証拠からこの可能性を排除するのは「推認」という作業を超えた、「憶測」でしかなくなってしまうのであり、東京地裁がその「憶測」に踏み込まず、あくまで「推認」の作業を綿密に行っていることは高く評価すべきである。そして、この事実認定の手法を覆すのは無理であろう(控訴で仮に東京高裁が逆転有罪として、この可能性を排除した推認をしたとしても、近年の綿密な事実認定を求める最高裁判断からすれば、最高裁が差し戻すと思う)。

次に、②の部分についてだが、判決は、小沢氏が、りそなからの4億円が土地購入に使われたのであって、自分の4億円は自分のために未だ残っていると考えていた可能性があることを指摘している。

そうすると、小沢氏からの4億円は、陸山会への借入金だという認識がなく、これを記載しなければならないという認識がないから、そもそも、記載方法が法に反するものだとは認識していなかったのではないかということである。指定弁護士は、この可能性を排除することができなかったのであるから、共謀が成立するなんて到底無理である。

以上から明らかなように、共謀共同正犯に問われた小沢一郎氏に対する裁判の結果は、無罪であり、その理由も単純明快である。犯罪の共謀の事実が認められないという一言に尽きる。

判決が指摘する可能性が排除できていないということは、共謀の立証が全くと言っていいほどできていないことを意味する。

今回の東京地裁の判決内容は、事実認定の手法としては秀逸というべきものである。憶測による事実認定を回避し、あくまで、状況証拠から認定できる推認の限界を意識しながら、行われた事実認定であることが判決骨子からも読み取れる。

以上が私の判決理由の評価である。

そもそも、この事件については、強制捜査を行われた当初から、このブログで再三指摘してきたとおり、無理筋の事件なのであって、強制起訴をした市民感覚と称する審査会の判断こそが、歪んでおり、ズレていたと言っても過言ではない。

その結果、税金を使って刑事裁判を行い、無罪判決を得たのであるから、審査会の在り方は別途議論していかなければらないであろう。

なお、このブログでは、事件当初から、報道の問題も含め、この事件について、何度も取り上げてきた。
参考までに、これまでの記事を掲載しておきたい。

刑事事件に対する未熟な報道 ― 小沢問題からの考察を中心に

小沢問題に関する考察 - 検察の捜査方法への疑問

なぜ著名ジャーナリストがここまで騒ぐのか(検察捜査と報道の問題点)

小沢問題と検察審査会制度とそれに関するお薦めブログの紹介

 

4.マスメディアの報道と往生際の悪さ

さて、東京地裁の判決は極めてまともで妥当な判断なのであるが、マスメディアの見出しや報道からは判決内容を歪曲するようなものが多く、私は、依然として、この国の法律意識の欠如に危機感を覚える。

たとえば、毎日新聞のこの記事である。

<小沢元代表無罪>指定弁護士「ほとんど有罪」

毎日新聞 4月27日(金)1時18分配信
政界の実力者に下された無罪判決。「完全な無罪」と評価する小沢一郎・民主党元代表の弁護団に対し、検察官役の指定弁護士は「ほとんど有罪」と悔しさをにじませた。「市民感覚」を反映した検察審査会の判断に結果的に「ノー」を突き付けた東京地裁の判決は、関係者に大きな波紋を広げた。【伊藤一郎、鈴木一生、山本将克】

【虚偽記載事件】小沢一郎元代表に無罪判決…東京地裁

 ●笑顔の元代表 「そうか、そうか。ありがとう」。判決言い渡し後の104号法廷別室。判決内容を詳しく説明する弁護団の弘中惇一郎弁護士の言葉に、元代表は緊張が解けた様子で笑顔を浮かべた。公判を毎回傍聴し、同席した民主党の辻恵衆院議員が「おめでとうございます」と声をかけると、「ありがとう」と右手を差し出し強い握手を交わした。

 これから記者会見に臨むことを告げる弁護団。元代表はコメントだけで対応する意向を示し、関係者が運転する黒いワンボックスカーに乗り込み、東京地裁を後にした。その後、「裁判所の良識と公正さを示していただいたことに敬意を表する」とのコメントを出し、自宅に閉じこもった。

 ●弁護団けん制 弁護団の会見。弘中弁護士は「完全な無罪と受け止めている」と断じた。元代表が「政治的抹殺が目的」とまで批判した検察の捜査手法にほとんど触れない判決内容には「物足りなさが残る」と不満を見せたが、すぐに笑みを浮かべ、「要は結論」と言い切った。

 秘書らとの間に虚偽記載の「報告・了承」があったと認定した上での無罪判決だが、喜田村洋一弁護士は「一昔前なら『可能性』があれば有罪だった。(今回の判決は)『可能性』があっても故意や共謀を認定できないという刑事裁判の本道に立ち戻った判断だ」と強調した。

 判決が批判した、元東京地検特捜部の田代政弘検事の捜査報告書問題については「(検察が)きちんと起訴して、裁判所の判断を仰ぐ方向でやっていただきたい」と注文。指定弁護士に対しては「控訴は思いとどまるという結論をしていただくことを強く期待する」と、けん制した。

 ●控訴明言避け 弁護側に続いて会見した指定弁護士の大室俊三弁護士は「結論として主張が受け入れられなかったが、私どもが指摘した個々の点はほとんど否定されていない」と無罪判決に疑問を呈した。山本健一弁護士も「争点は、ほぼ我々の主張が認められているが、結論は逆方向」と不満をあらわにした。

 弁護士同士が相対する異例の裁判に、指定弁護士には疲労の色もうかがえた。村本道夫弁護士は「無罪でも有罪でも(指定弁護士としての任務は)今日で終わりかなと思っていた。控訴については3人で話さなければならないが、これからとなると、ちょっとつらい」と明かした。

 裁判では捜査報告書問題で強制起訴の有効性が争点になり、指定弁護士を苦しめた。それでも大室弁護士は「判決を聞く限り、検察審が起訴すべきだとした議決は、不合理な決断ではなかった」と、公訴棄却という最悪の判断が示されなかったことを評価した。

 焦点の控訴について、山本弁護士は「無罪理由を検討し、納得できなければ、控訴する」と説明。大室弁護士は「(控訴しても、しなくても)政治的影響はある。そうした影響を考えて判断したくはないので、司法の問題として考える」と述べるにとどめ、明言を避けた。

 ●関係者の困惑 検察審の補助役を務めた吉田繁実弁護士は「ほぼ事実関係を認め、重要な争点だった秘書の報告、了承を認めながら、無罪としたのは、全く予想外。ここまで詳細な認識が要求されるのなら、政治家本人が政治資金規正法違反で有罪になることはない」と非難するコメントを出した。

 今回の判決で自身の違法行為を再び認定された元秘書の石川知裕衆院議員は、複雑な表情を浮かべた。今年2月の結婚披露宴で「私のことで大きな荷物を背負わせてしまった」とスピーチしてくれた元代表。その無罪判決には「ほっとした」と素直に喜んだ。一方、「2度目の有罪判決」を受けたことについては「罪を犯そうと思ってやったわけじゃないが、結果として小沢さんが無罪になったことで、判決は良しとしなければ」と言い聞かせるように話した。

 ◇控訴、指定弁護士側「これから検討」

 控訴について、指定弁護士側は「これから検討したい」とし、通常の刑事裁判と同様に2週間以内に控訴できる。初の強制起訴裁判となった那覇地裁の無罪判決(3月)でも指定弁護士が控訴した。ただ、検察審査会法は指定弁護士の職務について「公訴を提起し、公訴の維持をするため検察官の職務を行う」と定めるだけで、控訴審の指定弁護士の人選などについて規定はない。制度づくりに関わった法務省幹部も「明確には言えない」という。

 一方、指定弁護士の報酬は政令が「審級ごとに19万~120万円」と定めており、1審、2審、上告審でそれぞれ120万円を上限に支払われる。【坂本高志】

共謀の前提となる、犯罪行為に対する認識・認容について、その認識がない可能性が明確に指摘されているにもかかわらず、「ほとんど有罪」とはどういう判決の読み方をしているのか驚いてしまう。

判決文全文を私は見れる立場にないので、この指摘が正当かはわからないが、指定弁護士は、判決が検察審査会の判断が不合理でないと判断したと理解しているように、この記事からは読めるが、上記の判決骨子からすれば、裁判所は審査会の判断について、不合理かどうかの審理すらしていないように思われる。

したがって、無罪判決が出ている以上、審査会の判断が不合理だったというのが裁判所の判断なのであって、公訴棄却というのは、あくまで公訴提起の手続に違法があり無効となる場合の話なのであるから、公訴棄却にならなかったから、審査会の判断が不合理でないと裁判所が判断したと理解しているのであれば、刑訴法338条を読みなおすべきである。

この他にも、石原都知事は「まあ無罪といっても、灰色。それも限りなく黒に近い判決でしょ? 国民だって、そっぽ向きますよ。何を勘違いしているか、知らないけどね」と評したり、産経新聞は、「小沢元代表、無罪 『全面勝利とはいえない』『検察へ重いメッセージ』」と題した記事や「小沢元代表無罪 自民・茂木氏「依然、グレー変わりない」 証人喚問求める」といった記事で報道している。

グレーだという評価だが、そもそも、刑事の無罪判決が出た段階において、グレーの概念はない。判決が出た段階では、白(無罪)か黒(有罪)しかないのである。

やったという証拠はないけど、グレーで怪しいから、執行猶予付き有罪判決なんて裁判官がやるとすれば、それは司法の崩壊である。

この点、刑事訴訟法の「疑わしきは被告人の利益に」という大原則があることをあげて、「無罪判決でもグレー」と主張する人がいるのかもしれないが、これは挙証責任の問題と判決の意義を混同しており、かかる見解は失当というべきである。

判決を出す過程の問題として、疑わしきは被告人の利益にという挙証責任の問題があることと、判決が出た段階における無罪判決の意義を、同一に論じられるべきではない

基本的に、判決が出た段階においては、無罪判決は白であり、有罪判決は黒である。

この根本が理解できていない立法者たる政治家やマスメディアが多いことは本当に恐ろしいと言わざるを得ない。

仮に、グレー判決というのがあるとすれば、無罪判決を受けた冤罪の被害者は、一生、「無罪だがグレーだ。」、「限りなく黒だ。」とのそしりを受けて生活しなければならないのであろうか。

そんな主張は到底受け入れるべき見解ではないし、このような発言をする人間が東京都の都知事であることについて、都民は恥ずかしいと感じなければならない。

「無罪でもグレー」とか、「無罪でお限りなくクロ」とかいう主張を平然とする人々は、足利事件の被害者である菅谷さんに対しても同じことをいうのであろうか。

菅谷さんと小沢の無罪判決との差は何で、どういう事件であれば、「無罪でもグレー」と評価できるのか、その合理的根拠は何であるのか。

他の無罪判決への影響などこういったとも考えず、「無罪でも、怪しい」という議論をする人間は、極めて底が浅い。

「無罪でもグレー」なんていう主張を認めだしたら、司法は終わりである。
挙証責任の問題と無罪判決の意義を混同し、司法が何たるかを理解してない人々が要職に就いている我が国の現状は極めて恐ろしいと言わざるを得ない。

今回の事件を機に、捜査のあり方はもちろん、司法に対する国民の意識を高めることは重要であろう。

また、虚偽の報告書を作成した検事への公訴提起の有無についても、裁判所が極めて強い姿勢で、検証を要求している以上、法務省及び検察庁は徹底した姿勢で臨まなければ、信頼は地に落ち、回復困難な状況になるだろう。

我々国民も含め、法務省、検察庁、マスメディアは、今回の裁判の過程及び判決で示された裁判所からの忠告を真摯に受け止めることが必要である。

刑事訴訟法に興味がある人にはこの本を読んでもらいたい。
一番オーソドックスなものである。

法律を勉強したいまでは思わないが、司法のあり方に興味がある人にはぜひこの映画を見てもらいたい。

 

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04/08/2012

外務省の中国人に対する数次ビザ政策に異議

外務省というのは、昔から、日本の国益を害することをする方が多いと思ってきたが、日本の外交官の選定方法そのものを変えないと、外務省が日本の利益を見ず、外交官個人及びその者が所属するスクール(外務省の語学派閥)の利益のみを追求するという体質は変わらないのだろう。

このニュースについて、主要メディアはその弊害をあまり取り上げておらず、この種の話題には、どうしてかわからないが、非論理的な極論に立脚するコメントが多いので、久しぶりに、このブログを再開し、きちんとした主張を組み立てて、取り上げてみたい。

<中国人観光客>被災3県訪問に数次ビザ発給へ 7月から 毎日新聞 4月8日(日)0時44分配信

 【寧波(中国浙江省)隅俊之】玄葉光一郎外相は7日、中国の楊潔※外相との会談で、東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城、福島3県を訪問する中国人観光客を対象に、有効期間内であれば何回でも日本に出入国できる数次ビザ(査証)の発給を7月をめどに始める考えを伝えた。

 中国人観光客への数次ビザは、沖縄県を訪れる観光客を対象に昨年7月に発給が始まっている。被災3県でも実施されれば、中国人観光客の増加が見込まれ、被災地の復興につながることが期待される。

※は竹かんむりに褫のつくり
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120408-00000000-mai-bus_all

1.被災地域の観光目的であれば、数次は不要
数次査証を発給するということは、おそらく、1~5年程度の有効期間を設けることになるだろうが、果たして、数次の査証があるからといって、被災地域の観光につながるのであろうか。私はそのような思考をすることは極めて短絡的であると思う。

そもそも、1年の間に、複数回の観光目的での海外旅行をする中国人がどれだけいるのであろうか。そのような潜在的な人数の規模も示されないままに、何の論拠もなく、復興につながるという短絡的発想で、数次ビザを発行しようというのであるから、真の目的が復興であるのかと疑いたくなる。

3年や5年の数次ビザであれば、複数回、観光目的で入国する中国人が増えるという反論があるかもしれない。
しかしながら、現在の査証発給制度上も、短期滞在での査証発給は、一定の富裕層に対しては、かなり容易に行われているのであり、数次ビザのメリットは、せいぜい面倒な手続きを省いて、1年間に何度も日本に入国できるという程度の利益しかないだろう。

とすれば、やはり、数次ビザの最大の活用法としては、1年間の間に何回も入国が可能という点にあるわけだが、そもそも、1年間のうちに海外観光を頻繁にするという中国人のニーズがどれくらいあるのか不明であるし、そのニーズが被災地域の復興に繋がるとする帰結にどのように至るのか、その因果関係が私は疑問に思えて仕方ない。

被災地域を観光したいと思う中国人がいるとして、それは、1回限りの最大90日とされる観光ビザの範囲内で、十分満たされるのではないだろうか。

2.中国人の高い不法滞在率及び来日中国人犯罪率との矛盾

法務省の発表によれば、不法残留者数を出身国別にみると、韓国に次ぎ、中国出身者が第2位である。

国籍(出身地)別に見ると,不法残留者が多いものは次のとおりである。
1  韓国      19,271人 〈構成比 24.6%〉
2  中国      10,337人 〈 〃  13.2%〉
3  フィリピン    9,329人 〈 〃  11.9%〉
4  中国(台湾)   4,774人 〈 〃   6.1%〉
5  タイ       4,264人 〈 〃   5.4%〉

この数字を見る上で重要なのは、韓国は査証免除国、つまり、短期観光でのビザが不要な状況にあるため、不法残留目的での入国者を塞き止める第一の関門がない状態での第1位であり、24%を占めているという点である。

つまり、中国は、現在、ある程度の富裕層のみに対して、短期ビザを発給するという極めて制限的な入国政策を取っているにもかかわらず、第2位であり、1万人以上が、我が国で不法に残留しているのである。

さらに、重要なのは、次の統計からもわかるように、不法残留者の約7割が短期ビザの者であり、短期のビザが、不法残留の温床になっているという点である。

不法残留者数を不法残留となった時点での在留資格別に見ると,次のとおりである。
 1「短期滞在」    54,220人 〈構成比 69.1%〉
 2「留学」        4,322人 〈 〃    5.5%〉
 3「興行」        3,425人 〈 〃    4.4%〉
 4「研修」        1,192人 〈 〃    1.5%〉
  その他       15,329人 〈 〃   19.5%〉
    計         78,488人

つまり、査証を数次にし、中国人の入国要件を緩和すればするほど、それだけ、不法残留者を生むリスクが高くなるという点について、外務省はどのように考えているのか全く国内には説明せず、国内での議論も十分経ないまま、安易かつ極めて短絡的な発想で、中国と約束をしてしまっているのであるから、外務省は国益をおろそかにし、外務省内のチャイナスクールの利益を最優先していると思えて仕方ない。

外国人といえば、未だに、多くの人が欧米人を連想するのではないだろうか。
しかしながら、実情としては、欧米人の来日は極めて少数である。

近年、外国人の来日による観光による立国など色々な施策が議論されるが、我々は、どういう国の人がどういう目的で日本に来日するのかということをしっかり分析した上で進めていかなければならないのであって、「外国人観光」と、すべてを一緒くたにした、日本政府の稚拙な政策は、百害あって一理ない(馬鹿馬鹿しくて取り上げる気にもならなかったが、観光庁が外国人の来日費用をばらまくといった極めて馬鹿げた政策を世に発表したという事実も我々は忘れてはならないだろう。)。

日本人がバブル期に海外でお金を落とし、日本人の不法就労が他国で社会問題化することがなかったという過去は、あくまで日本人の傾向に過ぎず、中国人が同じ目的のみで、日本にお金を落とすとはいえないし、さらにいえば、中国内の貧富の格差による不法就労目的での入国者の抜け道にされるのではなかろうか。

さらに、入管法違反事件として公になった不法就労者数の国別比較を見ると、平成21年度以降のみ取り上げても、不法就労者は、中国人が抜きんでて多く、35%を占めている。つまり、不法就労者の4人に1人以上は中国人であるから相当な数といえる。

そして、平成23年上半期の来日外国人犯罪者数を見てみると、検挙数及び検挙された人数の国別比較の第一位は、ともに中国で、それぞれ、46.7%と39.6%ある(2ページ参照)。アメリカやロシアが1%程度であることからしても、その差は歴然たるものがある。

かかる中国人による法違反の傾向や状況も踏まえれば、私の懸念が一定の現実的なものであることは理解していただけるのであろう。

3.イランの反省が活かされていない(違法薬物の密売人としての根深い弊害)
日本になぜかイラン人が多いと思う人も多いのではないだろうか。

その理由は、日本とイランは1974年の査証免除協定の調印以降、1992年まで査証免除でイラン人が入国できたことにある。後に述べる来日イラン人の薬物密売状況を考えると、「査証免除なんてとんでもないことをやった当時の担当者はどこのどいつだ。」と言いたくなるのだが、日本は石油を確保するためには友好関係を維持したいなどの理由から査証免除を行ったのである。

その結果、日本にもたらされたのは何か。

それは、1992年に停止する理由となった、査証免除により大量に入国したイラン人による違法行為である。

短期ビザで入国し、不法残留したイラン人による犯罪は社会問題化した。平成15年度の警察白書は、「昭和60年代以降の我が国の景気拡大を背景に,多数の来日外国人が我が国に流入したが,その後の景気後退により来日イラン人労働者の就労機会が減少し,その一部が不良化したことなどがイラン人薬物密売組織の成立の背景にある。いわゆるバブル経済の崩壊以降,東京都内の代々木公園や上野公園でのイラン人のい集とそのイラン人による変造テレホンカード密売等が社会問題化したが,こうした一部の不良イラン人は変造テレホンカードの密売等に加え,次第に,より利益があがる薬物密売を組織的に敢行するようになったものとみられる。」と指摘する。

そして、現在でも、イラン人による営利目的での違法薬物の譲渡の問題は根深く残っている。

警察庁発表の資料(平成22年度中の薬物・銃器情勢)は次のように指摘する。

薬物事犯に おける密 売関連 事犯(営利犯のうち、所持、譲渡及び譲受を いう。以下同じ。)の検挙 人員は 618 人(前年比-90 人、-12.7%)で、そ のうち暴力団構成員等は370 人(59.9%、来日外国人は62 人(10.0%)であり、そのうちイラン人は 35 人 (5.7%)であった。
来日外国人のうちイラン人は 34 人(6.7%)であり、暴力団構成員等とイラン人で71.4%を占めている。また、密売関連の麻薬特 例 法第5条違反の検挙人員 16 人のうち、暴力団構成員等が7人、イラン人が9人であり、暴力団組織及びイラン人が国内での薬物密売に組織的に深く関与し、薬物密売による収益が暴力団及びイラン人薬物密売組織の有力な資金源となっている状況がうかがえる。これまでのイラン人の検挙状況を見ると、首都圏及びその周辺の関東地区、愛知県を中心とした東海地区における検挙が多く、イラン人が、これらの特定の地域において、覚醒剤を中心とした薬物の組織的な密売を敢行している状況にある。

このような問題が継続する背景には、査証免除時代に日本は楽して儲かると味をしめたイラン人が、偽造旅券を使って、他人になりすまし、再び入国するケースや短期ビザで入り、不法残留となった後、日本人と結婚するなどして、入管法違反を帳消しにしてもらったイラン人が、このような違法行為に手を染めているケースが多い(具体例として、裁判例等を参照。なお、上記裁判例のような訴訟事件は、裁判所の行政部にはかなり多く提起されており、ほとんどのケースが請求棄却により、国が勝訴しているのであるが、勝訴率や請求棄却事案の概要等を法務省はインターネット上では公開していないようなので、興味がある人はぜひ傍聴をお勧めしたい。)。

つまり、1974年に行った失政が、査証免除協定を停止した1992年から20年もの月日が経つにもかかわらず、未だ日本社会の重大な問題として、後を引いているのである。

外務省の外交方針は、とにかく稚拙であって、国内への影響ということを全く考えていない。彼らの専らの目標は、自分たちが所属するスクール言語圏の国とのいわゆる"友好関係"を維持することであり、国益をどのように形成するかという思考が決定的に欠けている。

在外公館に勤務したことのある経産省の官僚の友人は、「外務省職員はどちらの味方かわからない。後ろから鉄砲で撃ってくる。」と嘆いていたことがあったが、これは外務省の体質を正確に表現したものだと思う。

たとえば、農水省ではれば、日本の農業のため、経産省であれば、日本の産業のためと明確な利益目標があるが、外務省には、それがない。さらに外務省がたちが悪いのは、世間知らずなお坊ちゃんたちが、ナイーブな"友好関係"の維持と考えているからである。

これは戦略家の集まりであるアメリカの国務省の職員とは月とすっぽんと言っていいほどの違いであろう。

外務省のイランの査証免除というナイーブな政策は、どれほど原油の安定供給に寄与したのだろうか。
私は、日本の地域別原油輸入割合の推移からは、この政策が寄与したとは全く思えないのである。

ただ、私は原油政策には精通していないので、私の知らない利益があったのかもしれないが、少なくとも、政情不安定で、世界から制裁措置を受けるようなイランとの"友好関係"が、日本に、違法薬物の蔓延と助長という害悪をも凌駕する利益を日本が享受できていたのかは疑問であると言わざるを得ないのではなかろうか。

イランに対して行った失政がどのような結果をもたらしたのか真に省みれば、中国人への数次ビザ等の発行が日本社会に対して、どのような害悪をもたらし、新たな社会問題を引き起こすかは一見して明らかだと思うが、外務省の官僚は、それを承知の上で、チャイナスクールの利益を優先させているように思えて仕方ないのである。

外務省の将来的には国益を著しく損ないかねないこのような動きに、明確な異議を唱える政治家やメディアが存在しないことは日本にとって極めて不幸なことである。

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