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01/03/2011

年末に映画「トロン:レガシー」を観て

昨年は、さまざまな社会的な出来事に対する主張にお付き合いいただき、ありがとうございました。

なかなか更新ができませんが、2011年もお付き合いいただければと思います。

さて、2011年のお正月を皆さんはいかがお過ごしですか?

私は、昨年末頃から、再び映画にはまり、お正月も映画を見て過ごしいます。

もともと映画が好きだったこともあり、映画館で、スクリーンの迫力を楽しみながら観ることも多いのですが、最近は、テレビ番組等が面白くないと感じることが多く、家でも映画を観ることが多くなりました。

映画の良いところは、どんな映画もそれを制作する上で、時間がかかっているため、何かを学ぶことができることです。特に、洋画は、B級以下の作品でも、その国の、その時代の文化が反映されていたり、今では有名な俳優や女優の無名時代の演技などを楽しむことができたり、単純なストーリー以外の点でも、楽しむことができます。

また、映画を見ていると、ついつい、主役級ばかりに目が行ってしまいますが、脇役やちょっとしか登場しない人物の演技が意外と良い味を出していて、それを発見することも、映画の楽しみであると私は感じています。

そこで、年末年始に観た映画を紹介しようと思います。

といっても、今日は1作品のみ。

その他の作品については、適宜、このブログで映画評論として、紹介していこうと思っています。

今日評論する映画は、今まさに公開中の「トロン(Tron: Legacy)」です。

この映画、撮影そのものは64日間で終了したのですが、撮影後の映像技術に費やされた時間は、68週間といいますから、映像にかけた制作者の意気込みはこの数字からも伝わってきます。

ただ、ストーリーの概要や映像の良さは、他のサイトでも取り上げられていると思いますので、このブログでは、別の角度からこの映画について、取り上げてみます。

さて、この映画で、脇役ながら存在感があるのが、Zuseというキャラクターを演じるマイケル・シーン(Michael Sheen)という俳優です。


どことなく異様で、エキセントリックな雰囲気で登場し、登場シーンが終わる最後まで、そのキャラクターの印象が残る演技をするマイケル・シーンですが、2006年に公開され、ヘレン・ミレン(Helen Mirren)が2007年のアカデミー賞の最優秀主演女優賞を獲得した映画、「The Queen」では、トニー・ブレア首相(当時)の役を見事に演じています。


2007年の英国アカデミー賞(BAFTA Awards)では、最優秀助演男優賞にもノミネートされており、まじめで、かつ、当時のトニー・ブレア首相そっくりの演技は、トロンで見せる奇妙な演技とはまったく違う重厚な演技で、この俳優の演技力のすごさを感じました。

トロンで、彼が演じるZuseのシーンは、一見の価値があると思います。

マイケル・シーンは、2010年公開の作品「The Special Relationship」でも、「The Queen」のシェリー・ブレア夫人役を演じたヘレン・マックローリー(Helen McCrory)と共に、三度目のブレア首相役を演じているようです。ぜひ観てみたいものですね。ちなみに、ヘレン・マックローリーは、ハリーポッターシリーズで、ハリーポッターと同級生でライバル寮のドラコ・マルフォイの母親、ナルシッサ・マルフォイ役も演じており、この人もキャラクターを自在に演じ分ける実力のある女優です。

*この商品はリージョン1(アメリカ、カナダ向け)のDVDでしか再生できません。


しかし、残念ながら、アマゾンでは、日本のDVDでは再生できない輸入盤しか取り扱っていないようです(配給会社の方、ぜひ日本でもこの作品を観れるようにしてください)。

さて、話をトロンに戻しますが、主役のギャレット・ヘドランド(Garret Hedlund)もなかなか良い演技をしています。

この俳優の良さは、どこにでもいそうなアメリカの青年を演じきっている点です。特に個性のある演技をしていないため、突然、わけのわからない空間に入り込んでしまい戸惑う、サム・フリン役を見事に演じているといえます。多少、主役としては、物足りなさを感じるような気もしましたが、逆にそうしたアマチュア感のある役柄を演じきっているようにも思えました。

この俳優のデビュー作は、2004年に公開されたブラット・ピットが主演した「トロイ」で、ブラット・ピットが演じるアキレスの身代りとなって戦うパトロクラスの役を演じているのですが、彼が俳優になる決意をして、カリフォルニアに引っ越して、1か月でこの役を獲得しており、なかなか実力のある俳優です。

さて、この映画、もちろん映像も良いのですが、私は劇中で使われている音楽が、この世界に観客を引き込むうえで、非常に重要な役割を果たしているように感じました。臨場感ある音楽が、自然とトロンのコンピューターの中の世界という非現実的な空間に違和感なく、入り込めるような効果をもたらしているのではないでしょうか。

*この商品は劇場版のCDで、DVDではありません。

最後に、厳しいコメントも言いますと、この映画、3D上映なのですが、実際のところ、3Dにしたことの良さはあまり感じませんでした。

むしろ、3Dグラスをつけることで、グラスの暗さから、全体的に暗い印象となってしまうため、劇場での臨場感を半減させてしまったような気がします。

最近は、多くの映画で3D化を押していますが、なんでもかんでも3D化すれば、臨場感を味わえるというわけではないように感じます。3D化をする意義をもう少し考えた方が良かったような気がします。

ランキング等をみていると、日本では、アメリカでの盛り上がりをこの映画は見せていませんが、劇場で楽しむ映画としては、鑑賞の価値があるように思います。

この映画の最後に、サムの父親で、コンピューターと現実の世界を行き来できる装置を作ったケビン・フリンが、完璧さを追求することの過ちを認めるシーンがあります。これは、特に私たち日本人の多くが知らず知らずのうちに犯してしまっている過ちのように思います。様々なシステムが安全であるということに過信してしまったり、それ以外の場面でも、正しい答えというものを常に求めてしまい、思考錯誤する過程の重要さが過小評価されてしまっているように思います。

この映画には、「絶対的な完璧というものは、存在せず、むしろ、未熟だからこそ、人間である」という基本的なメッセージが込められており、高度に発達し、それに疑問を持たずに進んでいく技術社会の功罪も考える上で、非常に良い機会になるのではないでしょうか。


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