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01/22/2011

イギリスBBCの二重被爆者嘲笑問題について

日本の報道を見ていると、やはり重要な問題がしっかりと伝えられないと感じます。

すでに多くの人がこのニュースを読んでいるのではないでしょうか。
イギリスのテレビ番組「QI(Quite Interesting)」の不適切な放送内容とそれに対する抗議です。

読売新聞 「二重被爆者笑いのタネに、長崎の関係者『許せない』」

 【ロンドン=大内佐紀】英BBC放送が昨年12月放映した人気お笑いクイズ番組で、日本の被爆者が笑いのタネにされ、在英日本大使館が抗議していたことが20日、わかった。

 金曜夜の人気番組「QI」で12月17日、「世界一運が悪い男」として、広島と長崎で二重に被爆し、昨年1月に93歳で亡くなった長崎市出身の山口彊(つとむ)さんを取り上げた。

 司会者が「出張先の広島で被爆し、列車に乗って戻った長崎でまた被爆した」と説明すると、ゲストらが「でも、93歳まで長生きしたなら、それほど不運じゃない」「原爆が落ちた次の日に列車が走っているなんて、英国じゃ考えられないな」などとコメント、会場から笑い声が上がった。

 この間、スタジオには山口さんの写真やきのこ雲が掲げられた。

 番組を見た在留邦人から連絡を受けた在英日本大使館は今月7日、「原爆投下の問題をコメディー番組で取り上げるのは極めて不適切で日本人の国民感情を無視している」と抗議の書簡をBBCと製作会社に送った。

 17日になって製作会社から「配慮に欠けていた」などとする返答があったが、BBCからは回答がないという。

 ◆「被爆者を愚弄」

 BBCの番組には、被爆地・長崎から憤りの声が上がった。

 山口さんの長女、山崎年子さん(62)は「核保有国に被爆を『運』と片付けられたくない。父だけでなく、被爆者のみなさんを愚弄している」と怒りをあらわにし、「おわびの代わりに、番組で二重被爆者の記録映画を放送してほしい」と求めた。日本原水爆被害者団体協議会の谷口稜曄
すみてる
代表委員(81)は「原爆の被害を笑いものにするとは許せない。日本政府は被爆の実相が知られていない現実を受け止め、被爆者とともに伝える努力をしなければ」と訴えた。

(2011年1月22日 読売新聞)

時事通信  「日本の二重被爆者を嘲笑=BBCテレビ、謝罪-英」

 【ロンドン時事】英BBCテレビのお笑いクイズ番組で、広島と長崎で被爆した「二重被爆者」の故山口彊さんを「世界一運が悪い男」などと笑いの種にしていたことが21日までに分かった。BBCは在英日本大使館の抗議を受け、謝罪した。  この番組は昨年12月に放映された。山口さんが出張先の広島で被爆し、長崎に戻るとまた原爆が投下されたと司会者が述べると、スタジオの芸能人や観客が爆笑したという。  番組を見た在英邦人が日本大使館に連絡し、大使館が抗議した。番組プロデューサーから、山口さんを笑いものにする意図はなかったなどと釈明、おわびする手紙が届いた。(2011/01/22-08:55)

朝日新聞 「英BBCお笑い番組、二重被爆者を『世界一運が悪い男』」
 

【ロンドン=伊東和貴】広島と長崎で二重被爆し、昨年93歳で亡くなった山口彊(つとむ)さんについて、英BBCが昨年12月に放映したテレビのお笑いクイズ番組で、「世界一運が悪い男」などと紹介していたことが20日、分かった。在英日本大使館はBBC側に書面で抗議し、番組プロデューサーは謝罪した。

 問題となったのは、昨年12月17日に放映された人気の番組「QI」。司会者が、長崎出身の山口さんが広島に出張して原爆で大やけどを負った後に鉄道で長崎に戻ったことに触れ、「英国なら電車は止まっている」と英鉄道の不備を自虐的にとらえる内容だった。だが、ゲストのコメディアンが「長崎で入院したのか」とつっこむと、スタジオから笑いが漏れる一幕があった。

 さらに、司会者が「山口さんが長崎に戻ると、また原爆が投下された」と述べると、観衆は爆笑。司会者は「二重被爆をして生き残ったのは、最も幸運か最も不運か」などと締めくくった。スタジオにはきのこ雲や山口さんの顔写真が掲げられた。

 在英邦人から指摘を受けた大使館は、今月7日、BBCと番組制作会社に「山口さんの経験をこういう形で取り上げるのは、不適切で無神経だ」と広報文化担当の公使名で書簡を送った。

 番組プロデューサーは今月17日、大使館への手紙で「(山口さんを)バカにする趣旨の番組ではなく、驚くべき経験を正確に伝えようとしたつもりだ。日本人の強さを真に称賛している」などと釈明しつつ、「(日本人)視聴者の気分を害してしまったことを非常に遺憾に思う」と謝罪の意を示した。抗議をした在英邦人にも非を認める内容のメールを送ったという。

まず、この記事を読むと、BBC及び番組の制作会社は反省しているように思えます。私も当初、「反省しているんなら、特に過大に取り上げる必要もないだろうな」という程度の認識でいたのですが、どういう内容の番組だったのか気になり、調べることにしました。

結果、私は、未だにBBC及び制作会社が事の重大さを理解しておらず、全く反省していないのではないかと思っています。

というのも、未だに番組の当該部分がBBCの公式ホームページで公開されており、そこにはなんの日本政府や在英邦人からの抗議に対する謝罪やコメントすら掲載されておらず、平然と問題が何もないかのように視聴できる状態が続いているのです。

BBC ONE 「The Unluckiest Man in the World」

まず、冒頭、司会者は「世界で一番ラッキーでかつアンラッキーな男は誰でしょう」と紹介しています。
司会者の意図は、不幸に2回も被爆したのに、幸運にも生き残ったということを言っていますが、そもそもこういう取り上げ方に問題がある以上、やはり不適切です。

その後、45秒から1分17秒あたりまで、「山口さんはどこの国の人か」という問いに、明らかに日本人の名前であるにもかかわらず、まじめな顔で「オランダ」と珍解答をしたゲストに対し、会場が爆笑しているので、その部分は大目にみたとしても、問題は、司会者が、山口さんの経緯を紹介している途中の1分18秒あたりから、「長崎の病院に入院したのか」と二重被爆をまさに笑いのネタにしていることと、その後の番組の進行です。

まず、司会者が二重被爆者であることを紹介した直後に会場から笑いが出ており、司会者も誰も笑うネタではないなどと特に注意するなどをしていません。

次に、その後も、被爆の事実を軽視し、笑いのネタとして終始、取り上げています。

上記日本メディアの報道を見ると、BBCや製作会社は、「二重被爆者である山口さんを馬鹿にするつもりはない」とか、「笑いにする意図はなかった」などの釈明があるようですが、これは全く受け入れられません。

そもそも、この番組に出演していた人々および、番組製作者は、原爆の資料をみたことがないのでしょう。
被爆の恐ろしさを全く知らない無知な人間が、まさに、無知なままに取り上げ、遺族や同様の被爆者はもちろん在英邦人、さらには原爆の資料に接してきた日本国民の感情を逆なでしています。

私が特に問題だと思うのは、釈明が詭弁であり、真摯に反省しているようには思えない点です。公式HPで未だに何の説明がなく視聴ができてしまっていることも看過しがたい重大な問題のように思えます。

ただ、われわれ日本人がひとつ肝に銘じておかなければならないのは、この問題をイギリスメディアがどれだけ取り上げているのかという点です。

日本の報道機関は、すぐに海外の抗議等に対し、敏感に報道しますが、私が知る限り、この問題をイギリスのメディアが取り上げているようには思えません。

今現在、私はイギリスに住んでいないので、正確なことはわかりませんが、あくまでインターネット上で、この日本政府の抗議やメディアの反応を伝えるような、イギリスの報道メディアはほとんど見当たりませんでした。

つまり、日本の怒りの声は、イギリスには我々が思っているほど伝わっておらず、公衆の知らないところで処理されているにすぎないのではないでしょうか。この事実を私は見逃してはいけないと思います。

ネット上では、この問題に対し、笑いや悲劇的な事件に対する文化の違いとの説明をし、擁護的意見もあるようですが、私自身、アメリカやイギリスに長期間住んでいたことがありますが、この説明は合理的であるとは思えません。

そもそも、9・11やそれに関連するテロやホロコーストなどイギリスにとって関わり合いの深い事件の被害者を同様な形で笑いのネタにするでしょうか。

私には、そのようなことは想像しがたいです。

今回の事件を通じ、日本がいくら友好国に便宜を図っていても、世界全体から軽視されてしまっているという事実を再認識させられたように思います。日本に対し、関心が低く、日本の声が全然伝わっていないのではないでしょうか。

ただ、同時に、この問題を通じ、私は、現代の日本人が内向きに声を上げる自己満足的で内弁慶な姿勢から変化しているようにも感じます。

この番組の放送に接し、抗議文を送ったり、日本大使館に対応を促した、在英邦人の確固たる姿勢と御尽力には、ある種の敬意を表したいと思います。

なぜなら、彼らの行動がなければ、必ずしも日本大使館がこの番組内容に気が付き、抗議文を送るチャンスがあったかは疑わしいからです。最近は、外務省もだいぶ変わってきており、日本の国益、在外邦人の声を意識しています。しかし、在外邦人が声をあげなければ、外務省や在外公館が問題を必ずしもすべて把握できるわけではありません。

こうしたニュースに接すると、「日本人は意見が言えない、主張がない」という評された時代からの脱却が進んでいるのではないでしょうか。

いずれにしても、言語の壁はありますが、ぜひ日本のメディアの報道を契機に、この問題を知った方には、番組の放送内容を観てもらい、実際に、どういう取り上げ方をしているのか、釈明が受け入れられるものかを自身で考えていただきたいです。

また、これを機会に、私たち日本人も二重被爆者の経験に再度目を向けることも重要でしょう。

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Comments

敗戦から現在に至るまでの日本政府の対応がだらし無いから平気でこんな番組が放送されるんや~。ホロコーストやチベットや天安門や9.11や中東や朝鮮半島やアフリカ内戦でBBCが同じネタやったか?
原爆も含め、今までの様々な日本が関わるグローバルな問題にも日和見で、こちらが正しくても毅然と強気に言い切らず、国民にもちゃんと教育してこなかったからどことなく対岸の火事やねん。日本人も反省すべき所もある。
本当に大問題ととらえるなら、読売以外の各社も一斉に一面トップ記事で取り上げ、TVの緊急速報の字幕スーパーで流し、在日英国大使館・在日英国総領事館・在日英国関係各局に、日本のあらゆる団体が正式に抗議&デモ行進し、各局も特番をバンバン放送し、原爆が炸裂するとこういう事になるゾという資料映像&写真と実写映画を世界中へ流し、管首相がすぐに抗議表明をしてしかるべきや。

イギリス人も結局は根底にはまだまだ日本人をイエローモンキーと思ってるねんて。 表明は紳士の国なんやろけど。みっともない。それにしてもBBCと、おとなしいていうか、広島・長崎に対する意識の薄い日本人の両方にハラが立つな~。

Posted by: 広兄ちゃん | 01/23/2011 at 01:06 AM

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