不倫は相手方配偶者に対する不法行為
ゴシップ記事ですが、折角ですから、法的観点から取り上げたいと思います。
相手に妻がいることを知りながら、不倫をした女性が、自分が被害者だという類いの主張を見ることがあると思います。この記事もそうした観点からの主張があるようにも思います。
しかし、相手に配偶者がいることを知りながら不倫関係に及んだ場合は、不倫をされた配偶者との関係では、故意に、「婚姻共同生活の平和の維持という利益」(身分権としての一種の人格権と通説は説明)を侵害していますから、民事上、不法行為責任が生じる完全な加害者です。
もっとも、相手に配偶者がいることを知らずに不倫関係を持った場合は、不法行為の故意・過失の要件を欠くので、不法行為の加害者にはならないのが一般的です。
本件の場合、どうでしょうか。
あくまで、記事に表れている情報から考えてみましょう。
記事中には、「離婚調停中という言葉を信じた」というのがあります。
そこで、①既に婚姻関係は破綻していたという反論や、②言葉を信じたので、平穏な婚姻関係の侵害につき、故意・過失の要件を欠き、不法行為責任は生じないのではないかという反論の余地は法的にはありえるでしょう。
しかしながら、①は本件記事の事情からはそのような事実があったとは判断できませんから、ここでは検討しません。
もっとも、本件とは離れ、一般論としては、客観的に婚姻関係の破綻が存在すれば、被侵害利益である「婚姻共同生活の平和の維持」という法律上保護すべき利益が存在しないので、不法行為責任は成立しないと考えるのが判例です。
では、②の反論はどうでしょうか。
相手の言葉を信じただけで、過失が否定されるという主張は、よっぽど相当の理由がない限り難しいでしょう。
記事によると、本件では、4年間にも不倫関係が及んでいたといわれています。相手の言葉を信じていたと主張しても、自身の不倫行為が婚姻関係の破綻を招くという結果に対し予見可能性があり、その結果回避義務が認められると思われますから、過失が肯定されるように思います。
民法では常識ですが、まだ一般社会では不倫に対する認識が甘いように思います。
よく、「不倫する男が悪い」とか、「不倫と知りつつ、関係を続けておきながら、私は被害者です」などという主張を見かけますが、不貞行為だと解って、それを行う方も同様に悪いのです。
不倫というのは、相手方配偶者との関係で、不法行為を構成するということは、十分理解しておく必要があるでしょう。
法律を学んでいなくても、常識として、不倫をすれば民事上の不法行為の加害者になるという意識は常に持っていてほしいものです。
以下の本は法律の基礎的な思考を学ぶのにお勧めです。
特に、不倫しておきながら自分は被害者だというような思考をされる方には、この本を読んで、法的思考の基礎知識を付けてもらいたいです。
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「週刊文春」で告白 鈴木早智子 不倫地獄だった2010年6月17日 紙面から
活動休止中の人気デュオWinkの鈴木早智子(41)が17日発売の「週刊文春」でアダルト・イメージ・ビデオ「September Shock」(昨年8月発売)で共演した男優の津田英佑(39)との“不倫地獄”を告白している。
同誌によると、06年の舞台で共演後、2人は急接近。かつて一世を風靡(ふうび)したトップアイドルが、「彼に、世に出てもらいたい」との一念で、AVまがいの作品に出演した経緯を自ら語っている。離婚調停中という津田の言葉を信じ、4年間、公私にわたり面倒を見続けたという。
すでに破局したことを明かし、鈴木は現在の心境も明かしている。鈴木の所属事務所では、本紙の取材に「本人が話したことなので」と事実関係を“追認”した。
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2010061702000117.html
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