責任を果たさないが批判はする
マスコミの記事というのは本当に主観的な価値判断先行の記事が多い。
にもかかわらず、公平報道や中立報道を自称しているあたりがなんとも悪質で根深い問題があると感じることが多い。
また、最近特に顕著なのが、「批判のための報道」という印象が強くなっていることである。
「とにかく、叩けば良い」といったメディアの風潮は、低俗なパパラッチメディアとでも言うべきだろうか。ネタに群がるハイエナ状態である。
この記事もその一例に感じた。
更生計画認可後に賞与=日航グループ会社、銀行反発も
6月17日3時0分配信 時事通信会社更生手続き中の日本航空で、2010年度のボーナスについて、一部のグループ会社が、今秋を見込む更生計画認可後に夏冬分の一括支給を検討していることが16日、明らかになった。日航本体は夏冬賞与をはじめ各種手当の支給見送りを決めており、ちぐはぐな対応が露呈した形。リストラ徹底を求める主力取引銀行の反発を招く可能性がある。
賞与の夏冬一括支給を検討しているのはJALグランドサービス(本社東京)。新千歳、成田、羽田、伊丹、関西、福岡の各空港で手荷物や貨物の取り扱い、航空機の誘導を担っている。
関係者によると11日の労使協議で、経営側が今夏の賞与支給を見送る見返りとして「更生計画が認可された場合、夏冬まとめて今年度末までに支給する」と説明。労組側が企業再生支援機構や銀行など利害関係者の理解が得られているか質問したところ、経営側は「直接確認していないが、努力している」と答えたという。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100617-00000015-jij-bus_all
おそらく、「公的資金導入するのに、ボーナスとはなんていうことだ!」という価値観があることがハッキリ見えてとれる記事なのだが、私が引っ掛かるのは、上記赤字部分。
日本航空の親会社と子会社の対応が違うことを「ちぐはぐな対応が露呈」とさもグループ全体の問題のように扱って、イメージを低下させているように思えてならない。
この子会社のボーナス支給を問題にすることは、一つありうる批判で、それ自体に問題は無いし、良いと思う。
しかし、批判のあり方として、グループ全体でちぐはぐでおかしいというのは、会社の意思決定というものの性質上、どうも腑に落ちない批判に感じる。
親会社と子会社は、別会社なのであるから、その意思決定に違いがあるのは当然である。
会社法上、親会社の対応に直ちに子会社が従わなければならないという規定はない。
ただ、親会社の場合には、総株式の過半数を有しているので、会社の実質的所有者である株主として、親会社が影響力を行使して、意思統一が図られるに過ぎない。
つまり、親会社がAと決定したから、直にすべてのグループ会社がAと決定するという仕組みに会社法はなっていないということである。
にもかかわらず、賞与の支給という個別労働事案に対する対応が違うだけで、ここまで、「ちぐはぐだ!」と大げさに表現し、グループ全体を批判することの価値があるのだろうか。
「仮に公的資金を導入しているのに、賞与とはなんだ!」と言いたいのであれば、この子会社1つの対応を批判すれば足るのではないだろうか。
公的資金導入で話題となったからといって、「叩ける事情があればとにかく叩け」というマスコミの姿勢は、どうも醜悪に感じてならない。
自分たちの番記者が政治家に官房機密費等々で買収されていたのではないかという嫌疑には応えようとせず、自ら大好きな”説明責任”は果たす気配すらないのに、他は、重箱の隅をつつくように、とことん叩く。
本当に下らないし低俗である。これでジャーナリズムと標榜するのであるから、どうにも筋が通らない。
マスメディアには、国民の知る権利に奉仕するとして、報道の自由が憲法上保障されているのである。
だとすれば、メディアの社会的意義は大きい。自らの廉潔性は自らでしっかり確保してほしいものである。
これでは、自らのでたらめな政治に反省せずに、批判だけして、民主党への批判票の受け皿になれない不甲斐ない自民党の政治家と一緒である。
既存の大手メディアに、政治家や他の企業を批判する資格は本当にあるのだろうか。
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