良いニュースが2つもトップ扱いだった日(でもそれを台無しにするキャスター)
やはり、疲れて帰ってきて、テレビを付けた時に、まずトップニュースが良いニュースのときは気分も良くなりますね。
昨日はそんなニュースが2つもトップ扱いでした。
まず、このニュース。
「体が勝手に動いた」=背後に警笛、迫る電車-線路転落女性救助の男性
2月16日19時11分配信 時事通信「助けなきゃと思ったら、体が勝手に動いていた」。東京都杉並区のJR高円寺駅で、ホームから転落した女性を救助した男性(24)が16日、報道陣の取材に応じ、当時の状況や心境を語った。
男性は社会福祉法人職員佐藤弘樹さん。15日午後9時15分ごろ、同駅停車中の中央線電車内にいたところ、女性がホームから落ちるのに気付いた。線路に飛び降りて声を掛けたが、反応はなかった。背後に警笛が聞こえて振り向くと、電車が迫っていたため、女性をレールに寝かせ、自分はホーム真下の避難スペースに入った。
電車は女性の上を通過して停車したが、女性は軽傷で済み、佐藤さんにもけがはなかった。
佐藤さんは「『何で』と聞かれても困ってしまう。考えてやったことじゃない。体が勝手に動いちゃったとしか言いようがない」と話したが、避難直後に電車が目前を通過した時は「怖い」と我に返ったという。
電車停車後、2人は「死んじゃったかもしれない」などと言葉を交わし、女性からは感謝の言葉を掛けられたという。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100216-00000102-jij-soci
本当に佐藤さんの勇気は凄いし、女性も無事で助かって良かったという言葉に尽きる。
佐藤さんの的確な判断もさることながら、この女性も気絶した状態で、下手に気を取り戻して取り乱すことが無かったからこそ起こった奇跡である。ただ、その奇跡を起こしたのは、やはり、佐藤さんの的確な判断と類い稀な勇気に他ならない。
こういう話を聞くと、「自分なら行動てきたか」と自問自答するが、とっさに的確な判断と行動をすることの難しさを痛感させられる。
こういう勇気ある行動がニュースのトップを飾るのは本当に喜ばしい。
ただ、ホームが非常に込んでいるときは体調が悪くなくてもぶつかって転倒するのではないかと、ひやっとすることもある。
東京メトロやゆりかもめはホームへの転倒防止の柵や壁が作られており、地方の一部の鉄道や地下鉄でも導入されてきている。今後、こうした形で、そもそも転倒が起きにくい状況を作るように鉄道各社の努力にも期待したいところである。
それにしても、佐藤さんの勇気は本当に素晴らしく、敬意を表したい。
次に、良いニュースはやはりオリンピックのこのニュースである。
競い合う2人が救世主に=加藤と長島、屈辱から表彰台へ〔五輪・スピードスケート〕(時事通信) 2/16 18:48
一つの表彰台に日本選手が2人。強かったころを思い出させる光景だった。15日のスピードスケート男子500メートルで長島圭一郎(27)が銀メダル、加藤条治(25)が銅メダル。ともに日本電産サンキョーに所属するライバル同士が、日本スピード陣に2大会ぶりのメダルをもたらした。
長島は1回目6位と出遅れた。でも、あきらめない。「2回目はすっ転んでもいい。飛ばしていこうと」。2回目はトップの34秒87を出し、ゴール後にメダルを確信。コーチとハイタッチして勢い余って転倒した後も、氷上でガッツポーズを繰り返した。
加藤は1回目、最初のカーブでバランスを崩しながらも3位の好位置に。最終組で滑った2回目は35秒07とやや伸びず、タイム表示を見て「ああ」と頭を抱えた。「てっぺんを取れなくて悔しい」。それでも胸を張れる銅メダルだ。
遅咲きの長島、早熟の加藤と言われた対照的な2人にも共通点はある。それはトリノ五輪での屈辱。長島はまったく通用せずに泣き、加藤は優勝候補の重圧に負けた。
バンクーバーで借りを返したい−。普段はそんなに多くの言葉を交わさない2人だが、お互いの胸の内はよく分かっていた。長島は「一緒に表彰台に立てて良かった」。加藤も「長島さんも金メダルを狙っていたと思う」と言った。
残るは金メダル。日本選手団の橋本聖子団長は「2人ともこれで満足していないでしょう」と尻をたたく。不振に苦しんでいたスピードスケート界に次の夢が膨らんだ。(バンクーバー時事)http://vancouver.yahoo.co.jp/news/ndetail/20100216-00000096-jij_van-spo
先日の上村愛子選手のモーグル4位入賞に続き、長島選手と加藤条治選手のメダル獲得のニュースがトップニュースの1つとして伝えられたのは本当に喜ばしい。
私は1つのスポーツに人生の多くの時間を費やし、とことんやるという生活を経験したことが無いが、やはり、スポーツであれ、なんであれ、国際舞台で活躍できるほどになるには通常人が経験しないような苦労と苦痛、挫折を味わっているに違いない。
オリンピックや国際大会に出場できる人物であるということだけで、凄まじい苦労をしてきているのであろうから、その舞台で、決勝に残り、入賞、さらにはメダル獲得をするというのは、私からすると本当に凄い努力をされたのだと感心する。
長島選手も、加藤選手も、前回のトリノオリンピックでは、思ったような力が発揮できず、悔しい思いをしたと聞くだけに、今回の結果には、応援する一日本人として、本当におめでとうと言いたい。
特に、加藤選手はトリノの際に、メディアの過剰なメダルへの期待がされ、その後の筋肉バランスを崩したことによる引退の危機といった話を聞いただけに、本人は「悔しい」という発言をなさっていたが、一視聴者としては、「いやいや、良くやった!」という思いである。筋肉バランスを保つために、体幹を鍛え直したというのだから相当の努力をしたのであろう。
それは上村愛子選手にも言える話で、「メダル獲得ならず!」みたいな論調もあるが、私は上村愛子選手の努力やインタビューでの発言を聞いていると、「4位だって素晴らしいじゃない。上村選手が競技等を通じて、視聴者に伝えた『母親を思いやる気持ち』、そして『様々な苦難にもかかわらず努力して結果を出してきた姿』は真似できない功績だ」と言いたい。
そもそも世界中の選手が集うオリンピックの舞台に、日本という国の代表として出ているだけで、一視聴者の立場からすれば、本当に凄いことだと素直に感じる。
ただ、残念なのが、良識がないというか、薄っぺらい視点でしか物事を見れない、テレビキャスターの馬鹿げたインタビューである。
そもそも、試合に全神経を集中して、全体力を使い果たして疲れきっている最中に、あっちこっちのテレビ局にひっぱりまわしては、ほとんど同じ質問を浴びせ、しまいには、長島選手に、「やっぱり金メダルを目指していたんですよね?」と失礼極まりない発言をしていた。
この発言をしたのは、フジテレビの安藤優子キャスターである。
Yahooニュースにあるフジテレビのスーパーニュースの動画で、その発言を確認したのだが、折角の素晴らしい良いニュースも、この人物の極めて見識のない、無礼な発言で、折角の気持の良いニュースが台無しである。
同じ女性キャスターでも、品位のあるっテレビ東京WBSの小谷真生子さんや、親しみやすさのある元TBSの三雲孝江さんとは大違いである。
オリンピックに出ており、ましてや、前回大会にも出場し、相当の結果を残してきているのであるから、当然、金メダルを目指して、一位になるべく努力していることは想像に難くない。
そんな中でもやはり、色々な理由から順位がつくのであり、皆が金メダルを取れるわけではない。
そんな小学生でもわかるような常識をわきまえず、散々どの局でも聞くような同じような質問を浴びせ、「金メダルでなくてすいませんという感じです」と心境を述べている選手に対し、「やっぱり、金メダルを目指してたんですよね」という質問は無いだろ!と感じたのは私だけではないはず。
当の長島選手も、聞き取れなかったのか、非礼な質問に気分を害したのかわからないが、顔をしかめ「はい?」と聞きなおしていた。おそらく私は後者でないかと思う(私が彼の立場なら後者のような心境に陥るだろう)。
こうした常識を欠くような質問を浴びせることを平然と行い、傷口に塩を塗るインタビューをするようなキャスターが、偉そうに何十年もフジテレビの顔というべき報道番組で、キャスターを続けていることは不思議でならない。
安藤優子氏の発言からは、メディアとしての奢りすら感じる。
もちろん、選手の方から、「悔しい」とか、「金を取りたかった」というのは問題ない。
しかし、私は、オリンピックを報道する側は、もう少し選手の気持ちに配慮して、メダル獲得への期待を過剰にあおったり、試合直後の疲れきっているときに、連れまわして同じような質問を繰り返し行い、さらには、「金メダル」にこだわった非礼な質問をぶつけるのはいかがなものだろうかと思う。
なお、国母選手に対する異常なメディア批判については、既にツイッターでつぶやいたように、良識のある方々は、同選手への批判が非常に稚拙で、どっかの将軍様の国のように、井の中の蛙的な発想に基づく、異常なものであることは解っていると思うので取り上げないことにしました。飲酒運転したわけでもないのにあのメディアの批判は異常だと思います。
この点、衆議院議員の河野太郎氏の公式サイトにある2月25日付の記事が私の言いたいことを代弁してくれていますので、紹介しておきます。
さて、上村愛子選手のこれまでの軌跡を振り返る本が2月5日に販売されたようですね。まだ読んでいないのですが、非常に興味があります。小学校のときのイジメやスランプなどについて書かれているようです。
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Comments
その通りですね。
加藤選手はまだセレモニー前なのに「実感は?」とか聞かれていて辛そうでした。
ああいうインタビュー等には速報性なんていらないし、わざわざ中継までしてやる必要は無いと思います。帰国されてからじっくり聞く方が見てる方にも嬉しいんですけどねぇ。
ますます報道とワイドショーの垣根が無くなって来たように思います。
国母選手の件は河野太郎氏に全く賛同致します。(通夜の服装については異論はありますけど)
Posted by: ksy | 02/17/2010 11:38 am
>国母選手に対する異常なメディア批判
メディアに限りませんよ。騒ぎ立てる人は庶民にも大勢います。
Posted by: | 02/17/2010 12:22 pm
>ksyさん
コメント有難うございました。
私も同感で、即効性がいるのか疑問ですし、もっと選手がその結果を残すまでの苦労話などをゆっくり聞きたいですよね。
アメリカのテレビ番組で、必ず出演したゲストのスポーツ選手が涙するといわれるものがあった記憶があります。綿密な取材をして、選手にサプライズ的な感動をもたらす番組だったような記憶が・・・。
日本にもそういう番組があっても良いですよね。
Posted by: ESQ | 02/20/2010 01:51 am