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02/15/2010

日弁連会長選挙と既得権益

先日は、検察をはじめとする捜査機関に対する厳しい記事を書いたので、今回は弁護士に対する厳しい指摘をしたいと思う。

日弁連の会長選挙が再投票になったのはご存じだろうか。来月10日に行われるらしい。

世間ではどれだけ関心を持って捉えられているか解らないが、史上初の再投票ということで、法曹関係者は興味を持っている人も多いだろう。

今まで執行部路線を継承する候補者が続いてきたので、交代することは良いことのようにも思える。宇都宮弁護士の活動も個人的には、高く評価する面もある。

しかしながら、この選挙での宇都宮弁護士をはじめとする支持者の主張と争点が、法曹人口の増加問題に集約されてしまっていることには、ある種の危惧を感じざるをえない。

結果を振り返ると、東京などの都市圏においては、元々競争が激しく、弁護士事務所の集合・離散という状態は珍しくもないため、現執行部の路線を継承する山本候補が支持を集めたのであろう。

他方で、競争に慣れておらず、殿様商売が可能だった地方の弁護士にとっては、法曹人口の増加は死活問題ということで、多くの地方単位会が、反執行部の受け皿として、宇都宮候補を支持したのではないかと私は考えている。

ただ、こうした弁護士業界の動きを、一般社会はどう考えているだろうか。

そもそも、法曹人口が増大することは、ロースクール制度を採用した時点から解りきっていたことである。

それを今さら「法曹の質の低下」という形式的な大義名分をかざして、実質的には、「既得権益の保護を図ろう」としていることは、一般の人々にも既に見透かされてしまっているのではないかと私は考える。

一般の友人と話をしていると、やはり、弁護士への法律相談は敷居が高いし、お金も高すぎるという話をよく聞く。

地方に行けばいくほど、「弁護士といっても誰に相談したらいいかわからない。CMしている事務所もあるけど、なんか胡散臭い。法曹へのアクセスは未だ困難だ。」という声をよく聞く。

「弁護士に相談するより、税金関係は、税理士、労働関係は社労士、それ以外のトラブルは行政書士や司法書士に聞けば、安く済むし、余計な気兼ねをしなくて済む」なんていう声すら聞こえてくる。

法曹人口が増加し、ある程度の競争があればこそ、質の高さを維持して、良いサービスができるというのが普通であろう。

実際に、懲戒処分事例を見ていると、年配の経験のある弁護士の方が多く処分されているのも事実である。

自分たちの殿様商売の土壌が奪われるという危機感から、法曹人口に反対するというのは、共感を得られないのではないだろうか。

弁護士法第2条は、「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。」と定める。

「武士は食わねど高楊枝」という諺があるが、こうした弁護士業界の動きを見ていると、弁護士はまさに「貧すれば鈍する」という言葉が似合うと揶揄される日が来るのではないかと心配になるのは私だけだろうか。

なお、日弁連の会長選挙が再投票になったことに起因するのかもしれないが、私のブログに、特定の弁護士で、会長選選挙候補者に対する誹謗・中傷とも受け取られかねないコメントが同一人物(同じIPアドレス)により多数送りつけられた。

内容の一部にはまともな批判もあるものの、全体としてみれば、名誉毀損にも当たりかねない部分も存在することから、管理者として、これを伝播性のある空間に公開することはできないので、公開しないことにする。

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日弁連:会長選、初の再投票に 仮集計で当選決まらず 来月10日に実施予定

 日本弁護士連合会の会長選挙が5日投開票されたが、当選者は決まらず再投票することになった。現行の選挙方式になった75年以降では再投票は初めて。多重債務問題への取り組みで知られる宇都宮健児氏(63)と現執行部の路線を継承する前日弁連副会長の山本剛嗣(たけじ)氏(66)の2人=いずれも東京弁護士会所属=が立候補したが、当選基準を満たさなかった。

 会長選は2年ごとに行われ、全弁護士2万8745人に投票資格がある。東京の3弁護士会と大阪弁護士会の所属者で6割を占めるため、これまではこの4会の主流派が擁立した候補者が当選してきた。今回は主流派が推した山本氏と、知名度のある宇都宮氏の激戦となった。

 仮集計によると、投票率は63・88%で、山本氏が9525票、宇都宮氏が8555票を獲得した。選挙規定では、全体で最多得票した候補者が、全国52弁護士会のうち3分の1(18会)以上で最多票を集めると当選する。山本氏は東京3会と大阪で計6811票を得て宇都宮氏に2917票差を付けたが、この4会と釧路、和歌山、山口、香川、長崎の計9会でしか宇都宮氏を上回れなかった。一方、宇都宮氏は東北6県や東京以外の関東甲信越全県など計42会を制した。宮崎は同数だった。

 集計結果は12日の選挙管理委員会で確定する。山本氏は「考えを地方に知ってもらう努力が足りなかった。重く受け止めたい」、宇都宮氏は「地方の支援者が頑張ってくれた。各地の会員がチェンジを求めている」と話した。

 再投票は3月10日に実施予定。同じ規定に基づき当落を決める。再び決着が付かない場合は再選挙になり、他の弁護士も立候補できる。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100206ddm012040019000c.html

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Comments

だから、宇都宮弁護士たちのグループでは国民のための司法は実現できないですよ。力を入れてきたという多重債務問題にしても、自分たちのグループによる処理に拘り他の弁護士らの参入に反対するあまり債務整理という方法へのアクセスを困難にしてきた、という批判があります。この点は法律家向けの新聞などでも指摘されています。

これは今でも当てはまると思いますよ。他の派の弁護士や司法書士が地方で債務整理の相談会をしようとすると彼と結び付きの強いグループから抗議が来るそうですから。相談会という手法は彼らもよく行なってきたはずなんですが。

地元の弁護士に頼むべきと言っても地方の弁護士はホームページさえないことが多く知り合いに弁護士がいない限り頼みにくいですよね。宇都宮氏はホームページなどの広告に反対だそうで、彼らの考え方が市民の弁護士へのアクセスを困難にしているのは間違いありません。

少ない弁護士、情報は与えない、という古い体質の弁護士業界を代表するような人ですから。

増員反対が業界エゴだというのは賛成です。アメリカ並みに増員してだれでもアクセスできるようにすればいいと思います。

Posted by: speed | 03/18/2010 at 08:37 AM

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