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12/05/2009

NHKは収益機会を喪失している ― 必要なのは情報への敏感さと斬新さ

ここ数日、法律の話が続いているので、ちょっとブレイクの意味も込めて、今日は、別の話題を紹介しようと思う。

11月23日に初のCDアルバムデビューをしたスーザン・ボイル(Susan Boyle)さんの話題を素材にして、NHKのもったいない収益機会の損失について私見を発信しようと思う。

詳しくない方のために説明すると、スーザン・ボイルさんとは、イギリスのテレビ番組「Britain's Got Talent」というオーディション番組に4月に出演し、その予選で、ミュージカルレ・ミゼラブルの「I Dreamed A Dream(夢破れて)」を歌う姿が、インターネット動画投稿サイト、Youtube上で公開され、1億回以上の再生回数を記録し、世界的に話題になった48歳(当時)の女性である。

彼女の歌声の上手さと晩年の成功というのは、日本で言う、秋元順子さんを連想する人もいるかもしれない。

その、スーザン・ボイルさんについて、BBCの12月4日付電子版によれば、イギリスのITVで、クリスマス特番として、「I Dreamed A Dream - The Susan Boyle Story」という番組名で、有名なゲストスターや歌手を交えた番組が企画されているという発表があった。

番組にはボイルさんをはじめ、彼女の家族や友人が登場し、一夜にして有名になった彼女のサクセスストリーについて語るという。

さすがは、イギリスのエンターテンメント番組で成功をおさめるITVだけあって、この番組企画は、イギリスの芸能メディアでかなり取り上げられている。

さらに、BBCニュースによれば、ボイルさんのデビューアルバムは、イギリスとアメリカで、歴史的な記録を作っている。

販売初日の売上数が、13万枚以上となり、イギリスで歴代一位を記録。さらには、11月30日時点で、41万枚の売上げで、イギリスの公式CDチャートで、第一位になったという。

また、アメリカでは、販売開始第1週の売り上げ数が女性シンガーのデビューアルバムとして、歴代1位のなった。

既に、現在までに70万1,000枚の売り上げ数に達している。

ボイルさんの記録的な売上は英米に限ったことではない。オーストラリアニュージーランドでも彼女のCDアルバムが、1週間の売り上げ数No1にランクインされている。

日本では洋楽でありながら、オリコン5位にランクインするなど、世界的ヒットとなっている。

世界的に見れば、今年のエンターテイメントでの「顔」はまさに、スーザン・ボイルさんだったと言っても過言ではないだろう。

さて、昨今、NHKの紅白歌合戦の視聴率低迷が伝えられている(あのような番組内容で、30%~40%維持できているのだから、マンネリ化に我慢してくれる視聴者に相当感謝すべきだろう・・・)。

今年の出場歌手名が先日発表され新聞などにも載っていたが、いまいち、「あ、そうなんだ。特に見たいとは思わないな・・・」という顔ぶれだった。

目立ったの実績もないにもかかわらず、常連の顔ぶれが並んでいるが、落ち目の歌手もかなり入っているし、わざわざ、「聞きたい」と思える歌手はほとんどいなかった。

NHKも若い女性に人気の「嵐」が初登場するなど、話題性は意識しているようだが、それでも、「あ、そうなんだ」とい程度のインパクトしかない(むしろ、今まで嵐の出演がなかったことに、意外性を感じたが)。

紅白歌合戦の1つのコンセプトとして、幅広い年齢層に受け入れられる年越しの番組作りや今年1年の音楽を振り返るということがあるとすれば、あまり成功していないように思われる。

確かに、嵐の起用は、幅広い女性の支持層からの注目を集めるという点では、成功するようにも思うが、他方で、最近は落ち目と言われているようなSMAPや、大した実績を感じないが毎年出ている和田アキ子、演歌歌手たちの最近の常連組が今年もいつものごとく出演歌手に名を連ねているところを見ていると、「紅白歌合戦という番組」が、コンセプトを失い、世代間格差を生む場に陥っているように感じる。

つまり、若い人は一部の自分の見たい歌手だけ見れればいいし、中高年はむしろ昔の歌を聞きたいのであろうが、NHKのコンセプトからすれば、その両者に受け入れられる歌手の起用を考えるべきである。しかし、実際の顔ぶれをみると、バラバラの要求に、別々に応える歌手を起用していると私は感じてしまう。

NHKに力量があるならば、そうした最近実績のない常連歌手はズバッと切り捨てて、単なる新人歌手というのではなく、今年1年で話題になった曲、さらには、今年1年の世情を風刺するのにぴったりのオールドソングを歌う歌手を起用することで、イメージを一新させるべきでだったのではないだろうか。

例えば、仮に、サプライズゲストとして、スーザン・ボイルさんの出演(衛星放送などエンヤの歌を流した時のように)をNHKが今年企画でき、日本向けCDに歌われた「翼をください」とか、スコットランド出身なので民謡の「蛍の光」を英語で歌ってもらう企画などを考えれば、話題性としてはかなり成功していたと私は思う。

アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどにおけるボイルさん旋風は異常なほどの盛り上がりを見せているし、日本でも彼女についてはかなり多くの人が知っているだろう。

仮に、ボイルさんが出演するとすれば、NHKに対する世界の注目度が格段に上がるし、日本の大みそかの文化を伝える上でも、非常に有効なPR効果があったはずではなかろうか。この種の発想がないとすれば、機会損失であろう(実際に交渉して受け入れてくれるかは別として)。

NHKは、海外向けの放送も行っているといっているが、実際にはどうもそういった日本の文化面でのマーケティング機能を果たしていない。

なぜならば、NHKの企画に問題があるのは紅白歌合戦だけではないからである。

例えば、NHKのDOMO君がアメリカで、子どもだけでなく大人を中心に異様な人気ぶりを見せている。私のニューヨークにいるアメリカ人の友人もこのキャラクターを非常に気に入っていた。

しかし、DOMO君キャラクターのアメリカ人向け(外国語ユーザー用)の販売サイトはNHKは持っておらず、折角の収益の機会を逃してしまっている。

NHKはどうも受信料により安定した経営という点に甘えるだけで、それを活かした番組制作もできなければ、受信料に頼らない別収入の機会を確保すべく、海外で人気のキャラクターの外国語販売サイトを作るなどの努力も足りないようである。

今NHKに必要なのは、敏感な情報収集能力と斬新な企画力なのだろうが、おそらくNHKの体質を考えれば、それは期待するだけ無駄なのかもしれない。

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Comments

スーザン・ボイルさんの紅白出演が決まったそうですよ!
このブログ記事がきっかけになったかもしれませんね。

Posted by: mono | 12/24/2009 at 12:35 PM

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