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12/28/2009

スーザン・ボイルさんの起用がNHKの紅白歌合戦に与える影響 ― 放送後のNHKのYoutubeへの対応にも注目

今回も、海外メディアが伝える、スーザン・ボイル(Susan Boyle)さんの紅白出場のニュースを紹介しながら、NHKの紅白歌合戦に与える影響について考えてみたいと思う。

先日紹介したイギリスの大衆紙、ミラーの記事に呼応するかのように、英語圏のメディアを中心に、ボイルさんの初来日やNHK紅白歌合戦を紹介する記事が増え始めている。

まず、イギリスのWhat's on TVというメディアの電子版は、ミラー紙の報道として、ボイルさんの紅白出場のニュースを報じている。大みそかに、日本という極東最大の音楽番組に出場することに驚きをもって報じているといった印象である。

また、イギリスの大手芸能メディアであるDigital Spyも、「スーザン・ボイル、アジアに照準を合わせる」と題して、ミラー紙の報じた内容を基にして、日本のフォークソングである、「翼をください」を初めて生で歌うために練習しているという情報を伝えている。

ブロードウェイミュージカルなどのエンターテイメント情報を扱うBroadway.comでも、同様の記事が、「スーザン・ボイル、2010年を紅白歌合戦のパフォーマンスで迎える」と題し、取り上げられている。

この点、NHKの発表では、企画「スーザン・ボイル、I Dreamed A Dream」となっているので、御なじみの曲を1曲だけ歌うのか、それとも、ミラー紙や他の海外メディアが報じているように、「翼をください」を歌うのか気になるところである。

NHKの紅白歌合戦をより詳しく紹介しているメディアもある。

オーストラリアの音楽情報メディア、Undercover.comは、「スーザン・ボイル、日本へ挑戦(Susan Boyle to Take On Japan)」と題し、NHKの紅白歌合戦も詳しく説明している。

スーザン・ボイルはまだ世界を制覇したわけではない。なぜなら、彼女はまだ日本に言っていないからだ。

しかし、スーザン・ボイルが日本最大の音楽番組である「紅白歌合戦」に出演するため、大みそかに訪日することになれば、世界を制覇することになるかもしれない。

この紅白歌合戦という番組は、年に一度日本で大みそかに放送されるテレビ番組である。この番組は、有名な歌手を赤と白のチームに分けて歌を歌うというもので、赤組は、すべて女性歌手や女性のグループで構成され、白組は男性歌手により構成されている。

番組に出場できるのはすべてNHKに招待された歌手に限られ、日本でこの番組に出場できることは、大変名誉なことと捉えられている。

紅白歌合戦は1951年に日本でラジオにより開始されたのがその起源である。

そこで、スーザン・ボイルは紅組に勝利をもたらすことができるだろうか?紅組は過去5年間、優勝を逃している。最近、紅組が勝利したのは、2004年、2002年、2000年の三回のみである。

アジア人ではない著名な歌手が出場した例としては、1991年の第42回紅白歌合戦におけるサラ・ブライトマンや、1990年の第41回におけるポール・サイモンとシンディー・ローパーである。サラ・ブライトマンは紅組に勝利をもたらし、ポール・サイモンとシンディー・ローパーの戦いでは、ポールの白組が勝利している。

ボイルさんは特別ゲストという形での招待だが、海外メディアは、紅白歌合戦で、ボイルさんが女性であることから、紅組が優勝するかどうかにまで注目をしているようである。

このように、普段は日本について触れることがない海外の芸能メディアが、スーザン・ボイルさんの話題性から、日本の紅白歌合戦というNHKの番組を紹介してくれることは、60年も続く大みそかの日本文化のPRにつながっていると私は思う。

正直、オーストラリアのメディアが、ここまで詳しく紅白歌合戦の番組の仕組みや歴史、過去の出演者などについて詳細に報じていることに私は驚いた。

電通などの大手PRコンサルティング会社に多額の報酬を浪費しなくても、スーザン・ボイルさんに出演を依頼し、その交渉が成功したことで、NHKは日本文化の世界に発信できる手段を確保したわけである。

大みそかにスーザン・ボイルさんを来日させたことに注目しているのは、英米メディアだけではない。

中国新華社通信の英語電子版の記事は、「スーザン・ボイルがNHKで歌う」と題し、スーザン・ボイルさんが最も成功した今年の一年を日本の紅白歌合戦で締めくくると報じている。

これらの記事を見て、私には、ボイルさんがアジア進出最初の舞台に日本を選んだこと、および、彼女にとって良くも悪くも激動だった一年を日本で締めくくることになったことを考えると、日本もまだまだ経済大国として捨てたものではないという感情がふと沸き起こった。

NHKがその舞台として紅白歌合戦の場を提供した判断は、従来の敏感さと斬新さに欠けた体質からの改善の兆しであり、英断だったと高く評価できるのではないだろうか。

しかし、こうした一連の世界の動きに鈍感で、NHKの努力に水を差したがる人物も国内に入るようである。

毎日新聞によれば、芸能界の大御所と持ち上げられている、和田アキ子氏が「「(スーザン)ボイルが目玉って何?(日本に)いる人間から目玉を作れっていうの!」と発言し、NHKやスーザン・ボイルさんを批判したようである。

実際、世界中が注目するスーザン・ボイルさん以上の目玉が国内アーティストにいるとは到底思えない。

スーザン・ボイルさんは、動画投稿サイトYoutubeが起爆剤となり、文字通り、彼女の歌声の素晴らしさに感動した世界中の人の共感を受け、初アルバムが発売から1カ月で600万枚以上という記録的な数字を打ち出した。

メディアにより取り上げられ騒がれたのも、Youtubeにおける再生回数の伸びが記録的なものとなり、インターネットという従来のPR方法とは違う形で、本人が全く意図しないところで爆発的に人気になったためである。

スーザン・ボイルさんはインターネット時代における新たな歌手としての途を切り開いたと言っても過言ではなく、彼女はまさに2009年の顔であり、世界の音楽シーンの1つのターニングポイントを象徴づける歌手であろう。

また、彼女は有名になるまでの48年間の人生において、91歳になる母親の看病や実直な私生活の中で、母親に促され歌の練習を諦めずに続けてきたというエピソードは、彼女の歌の実力と相まって、世界中の多くの人から共感を受けた。

歌手の広瀬香美さんも毎日新聞のコラムの中で、スーザン・ボイルさんがこれだけ世界中で人気になったことを的確に分析している。

そんな彼女が、2009年の締めくくりとして、日本のNHK紅白歌合戦に出演するとなれば、おのずから目玉になるのは当然であろう。

それを昔の名前で毎年出演しているような芸能人が批判するのはいささか節度がなく、説得力にも欠ける。

現に記事が配信されたYahoo Japanのコメント欄には、既に1900件以上のコメントが書き込まれ、そのほとんどすべてが和田アキ子氏に対する強烈な批判である。

いくら物議を醸すことで、有名人としてのキャラクターを作っているとはいえ、この発言は身の程をわきまえない慎重さを欠いた不適切な発言だったといえるだろう。

以前の記事で指摘したように、当初、NHKが発表した出場歌手を聞いたとき、多くの人々は、「目立ったの実績もないにもかかわらず、常連の顔ぶれが並んでいる。落ち目の歌手もかなり入っているし、わざわざ、『聞きたい』と思える歌手はほとんどいない。」と感じたのではないだろうか。

そこにきて、スーザン・ボイルさんが登場するという話題は、マンネリ化に辟易としていた多くの視聴者を「まさか大みそかに来日まで実現させるなんてNHKやるな」と感心させたに違いない。

和田アキ子氏への1900件以上の批判的なコメントは、好き嫌いということもあるだろうが、そうしたマンネリ化に対し不満を持つ視聴者の声も大きく影響しているのではないだろうか。

上記のような海外メディアの反応を目の当たりにすると、スーザン・ボイルさんの起用は、NHKや紅白歌合戦の知名度を上げるだけではなく、日本に60年間も続く、大みそかの文化としての歌番組が存在することを世界に発信する非常に良い機会になっていることが実感できる。

NHKはぜひとも残り4日間、世界への日本文化の発信という意味合いも込めて、この話題を上手く活用してもらいたい。

他方で、紅白歌合戦が世界から注目を受けるということの意味をNHKはしっかり考えなければならないだろう。

おそらく、Youtube上にボイルさんの歌った動画が違法にアップロードされるかもしれない。

確かに、NHKオンディマンドで配信することから、Youtubeへの違法な投稿は困ることも納得できる。

しかし、スーザン・ボイルさんについては、Youtubeへの著作権侵害に当たるであろう投稿が起爆剤となって、ボイルさんを始め、イギリスのITVや番組の司会者、関係者の知名度を世界的に広めたという側面がある。

イギリスのITVはこの違法な投稿に対して、削除しようとはせずに、放置する手段を選んだようである。

日本のNHKは、Youtube上にスーザン・ボイルさんが紅白歌合戦で歌う姿が動画として投稿された場合に、どういう措置をとるのかも注目したい。

「有料の動画サイトを見ろ!」とYoutube上の動画をすべて削除するのか。

それとも、2009年最後のボイルさんの歌う姿を見たいと望む世界中のファンのために、さらなる英断をするのか(個人的にはNHKや紅白歌合戦、ひいては日本文化のPRという観点から、英断をした場合の経済効果の方が大きいと思うが・・・)。

NHKと紅白歌合戦が変化をしたかどうかを見る上で、紅白歌合戦終了後のNHKの対応も1つ注目に値する。

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