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11/27/2009

視聴者参加型番組が日本のテレビ業界を救う!?

最近テレビ業界における不況が騒がれて久しい。視聴率もかなり低迷している番組が多いと聞く。

特にバラエティー番組がマンネリ化してきており、面白くなくなってきたと感じるのは私だけではないはずである。どうも内輪ばかりで盛り上がるネタが多くなり、テレビタレントではない製作者側のスタッフまでもがお笑いのネタに駆り出されているシーンを多く見かける。

しかし、その番組のコアなファンは格別、通常の視聴者であれば、内輪のネタやスタッフをネタにするバラエティー番組には何の面白みも感じないし、ついついチャンネルを変えたくなるのではなかろうか。

最近、毎週欠かさずみたいというテレビ番組が非常に少なくなっていると私は感じる。

製作費が切り詰められたので、面白い番組作りができないという話も聞く。もしこの主張が正しいとすれば、不況が問題であるとすれば、全世界的にテレビ番組の視聴率が落ちているということになるだろう。

しかし、海外のテレビ業界を見ると、世界的不景気の影響は多少あるものの、視聴率で言えば、かなり堅調な番組が多い。海外といっても、私が知っているのは、アメリカとイギリスの状況だけなのだが、それらの堅調なテレビ番組には共通のキーワードが存在している。

それが、番組の行く末を完全に視聴者に委ねる程度の視聴者参加の形式を採用した番組作りである。

1.英米を中心に人気のオーディション番組による視聴者参加形式

このブログでも度々紹介してきた、英国ITVでは、ゴールデンタイムはほとんどこの形式のテレビ番組を採用している。

例えば、ポール・ポッツさんやスーザン・ボイルさんを生み出した「Britain's Got Talent」は、予選を除き、出場者の採点を視聴者の電話投票に委ね、一部番組側の審査員が介入する余地があるが(数回行われるセミファイナルにおいて、電話投票2位と3位から2位通過を決めるのは、審査員)、基本的に視聴者がその後の出演者を決める決定権を持っているわけである。

Britain's Got Talentの映像

この番組の視聴率はかなり高く、アメリカ版の「America's Got Talent」という番組がスタートするなど、番組そのもののファンが増えている。

また、似たような番組で、アイドル歌手をオーディションする番組として、「Pop Idol」と言う番組や、「X-Factor」という番組も、イギリスで人気を博しており、これもアメリカに輸入され、高い視聴率を確保している。

X-Factorの映像

Pop Idolの映像

これらの番組も、素人をターゲットとしているという点で新鮮さがあるが、やはり共通しているのは、電話による人気投票によって、出演者を決めると言う点で、視聴者にその後の番組の行く末を委ねるようなシステムが採用されている。

これら3つのイギリスやアメリカの人気番組はいずれも、オーディション番組なので、視聴者による電話投票というのは、あり得ることで、オーディション番組の特殊性から、視聴者参加型になっているにすぎないという見解もありえるだろう。

しかし、私は、視聴者参加型形式の番組だからこそ、オーディション番組が人気になっているのだと思う。

なぜならば、オーディション番組ではないバラエティー番組でも、英米では、視聴者参加型形式を取り入れる番組がかなり増えているのである。

なお、「電話投票に番組側が介入して、製作者の都合が良いように作っているのでは?」という疑問を持つ人もいるだろうが、少なくともイギリスでは、Ofcom(英国情報通信庁)と呼ばれる政府の機関がメディアの規制機関として、強い権限を持っており、視聴者投票などで不正がある場合には、介入することがあるため、視聴者参加を謳った番組形式において、番組の制作者側の都合のよい操作を行うのは困難であろう(実際、一部の番組で、Ofcomが不正な点を指摘したことにより、司会者およびテレビ局が謝罪と改善を約束するに至っている)。

2.バラエティー番組における視聴者参加方式

このブログでよく取り上げるイギリスの人気司会者デュオのアント&デックが司会を務める「Saturday Night Takeaway」というテレビ番組がある。

Saturday Night Takeawayの映像

これもITVのテレビ番組なのだが、以前紹介したように、この番組をインターネット上で配信する英国ヴァージン社は、日本円で約20億円の黒字が計上できたという。

このテレビ番組は、生放送で行われ、会場に数百名の観客を入れ、観客と司会者、そして視聴者が一体となったドッキリの仕掛けがあったり、視聴者が電話をかけて、簡単なクイズ1問に答えることで、番組内で豪華プレゼントを獲得できるチャンスがあるなど、観客を中心とした視聴者参加型のバラエティー番組になっている。

視聴者は、電話をしてクイズに答えるだけで、抽選で選ばれ、豪華賞品がもらえる可能性があるわけだから、それだけでも人気が上がるわけである。

いわば、フジテレビがクリスマス・イヴに放送する「明石家サンタ」(深夜にもかかわらず、だいたい7%くらいの視聴率を毎年確保している)に似ているのだが、それを、毎週1回、10週間程度を1クールとして毎年放送されている。

視聴者参加型バラエティーはこれだけではない。

今現在、イギリスのエンターテイメント情報を独占しているのが、これまたITVの「I'm A Celebrity. Get Me Out Of Here」と言う番組である。

I'm A Celebrity. Get Me Out Of Hereの映像

英米を中心に活躍するハリウッド俳優やテレビ俳優、歌手やモデル、テレビタレントなど「セレブ」が10数名ほど選ばれ、オーストラリアのジャングルで、約20日間過ごし、毎日1時間のゴールデンタイム向けのテレビ番組として、その過ごした内容が放送される番組である。

一種のリアリティー番組で、24時間、安全なジャングルの中(自然公園のような場所)で寝食を共にするのだが、ただ1つ普通のリアリティー番組と違うのが、「Bushtucker Trial (オーストラリアの奥地の食事の試練)」と呼ばれるコーナーがあり、毎日1回、10数名のセレブのうちの1人又は2人が食用の虫(ゴキブリや幼虫など)を食べたり、害のないクモなどの虫やワニ、蛇が入ったケースに手足を突っ込んで、星を獲得して、獲得した星の数に合わせて、その日の晩御飯の食材が提供されるという形式のゲームがある。

このゲームをセレブは途中で棄権することもできるが、その日の食事がかかっているので、他の出演者のためにも、簡単には棄権できないということになっている。

日本でも良くある罰ゲームなのだが、生放送の番組の中で、視聴者の電話投票があり、誰がこの罰ゲームをやるかを視聴者の投票に委ねることで、視聴者参加形式を採用しているのである。

いわば、嫌いな芸能人に嫌がらせができるわけだから、視聴者は嫌いな芸能人への投票をしたり、好きな芸能人にやらせたくないということで、別の芸能人に電話投票などをして、罰ゲームをするセレブを選べるわけである。

この罰ゲームが人気を博し、イギリスではかなりの視聴率を稼ぎ、シーズン9を迎えている。

また、この番組形式を輸入したものが、アメリカだけでなく、フランス、ドイツ、インド、ハンガリー、スウェーデンなどでも放送されている。

先にも述べたように、現在、イギリスでのエンタメ情報の話題をこの番組が独占している理由は、ケイティー・プライス(Katie Price)というモデルで、最近人気のシンガーであるPeter Andreと離婚した女性が、この番組の「セレブ」として参加していたのだが、このケイティー・プライスは、イギリス国内では、「メディアの注目を浴びるためなら何でもする女」と罵られるほどかなり嫌われており(騒がせている一例としては、有名人によるレイプ被害に遭い、警察が来たとメディアに公表したものの、警察の公式見解では、そのような事実はないと否定されたため、虚言疑惑が出ているなど)、番組開始から6日間連続で、この罰ゲームをするセレブに電話投票で選ばれ続け、ついには番組を降板したためである。

7日目の罰ゲームに選ばれた際に、番組を降板することになったのだが、このように、視聴者が嫌いな芸能人を公開処刑するかのごとき罰ゲームに視聴者自らが投票できることが人気になっているのである。

また、同番組では、数日経過するごとに一人ずつ脱落させられるのだが、その脱落者を誰にするか、ひいては最後に残って優勝させるセレブを誰にするかも、視聴者の電話投票次第というシステムを採用している。

したがって、番組の行く末が完全に視聴者次第となっている視聴者参加型バラエティーなのである。

日本でも、視聴者アンケートなどを番組内で行うテレビ番組が多いが、コーナーで紹介される程度で、それに参加したからといって、さほど番組の行く末に影響をもらたすようなシステムは採用されていない。

実際、イギリスの同番組では、出演者が視聴者を意識して、番組内に残るために、色々な発言をして、文字通り、視聴者をエンターテイン(楽しませる)させなければ、最後まで残って優勝することはできないのである。視聴者に向け最後まで残してもらうために、面白さをアピールしようとする必死さも視聴者には受けているのかもしれない。

日本でも一時期、「サバイバー」という番組があったが、あくまで出演者内の内輪のゲームであって、視聴者がそこに積極的に関与する余地は番組の形式上限られていた点で、今イギリスで人気の「I'm A Celebrity. Get Me Out Of Here」とは異なる。

3.ニュース番組における視聴者参加方式

イギリス、アメリカでは、ニュース番組も視聴者参加の余地が拡大された番組が増えている。

ニュースと言えば、キャスターがいて、数名の”識者”のコメンテーターが、何の根拠もなく、アーダ、コーダいうのが従来の形式である。

しかし、その形式を打ち破るニュース番組をアメリカFOXニュースが採用している。

それが、USTREAMというサイトが運営する「FOX News Talk」である。

この番組は、司会者が一人おり、電話やツイッターで視聴者がその番組に参加し、司会者と政治の問題や社会問題を議論し合う番組なのである。私が見たときは、オバマ大統領のアフガン政策に対して、司会者と視聴者が次々と意見交換をしていた。

アメリカでは、このように、ニュース番組までもが、一方的な報道機関による発信と、視聴者による受信という伝統的な関係から変革しようと思考錯誤が繰り広げられている。

4.終わりに

日本のテレビ番組はどうも製作者と視聴者という関係から脱皮できてない。番組の行く末を完全に視聴者に任せてしまうような番組形式を採用している番組は非常に稀である。

インターネットによる双方向コミュニケーションが進む中、テレビ業界も、番組を視聴者の意思に委ね、視聴者が参加した結果が番組に反映されるようなシステム作りをした番組が増えなければ、多様な視聴者のニーズには応えられないのではないだろうか。

もちろん、全国放送である以上、一定の番組製作社側による秩序維持は必要である。

しかし、芸能人が単に競い合って賞金を取ったり、美味しいものを食べたり、内輪ネタで芸能人だけがげらげら笑っているような番組は、視聴者も飽きていると私は思う。

番組を毎回見ようと思えるインセンティブを視聴者にもたらす、視聴者参加型番組がイギリスやアメリカを中心に人気を博していることをテレビ業界は真剣に受け止めてはいかがだろうか。

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Comments

24時間、安全なジャングルの中(自然公園のような場所)で浸食を共にするのだが→寝食かな?応援してます。

Posted by: 上原 有紀 | 11/27/2009 at 05:22 PM

>上原 有紀さん

はじめまして。コメント有難うございました。
誤字の指摘ありがとうございます。
修正いたしました。
掲載しているLivedoorニュースの方は私の方に修正権限はないので、現時点での修正はできていません。
そのうち反映されると思います。しばらくしても修正されてなければ、私の方からLivedoor社の方に連絡してみます。

応援ありがとうございます。
最近ドンドン時間が無くなってきてますが、できるだけ他にはない視点で記事を発信できるようにしたいと思います。

Posted by: ESQ | 11/28/2009 at 12:42 AM

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