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11/05/2009

嘘を平気で書いてしまう産経新聞

新聞社が嘘の記事を書くのはいけません。

しかし、全国紙のような主要メディアが平然と嘘の記事を書いてしまうことがあるんです。

私も驚きました。

産経新聞ひどいです。

下記で引用した記事の後半に以下のような記述があります。

だが、外国人への参政権付与はもともと憲法違反(平成7年の最高裁判決)だ。

違憲ならそもそも参政権付与なんて話できないわけですよ。

だって、憲法改正もしないで、憲法で禁止されていることをどうやって法律で定めるんですか?憲法に反する法律は無効ですよ。こんなこと一般の方々だって解っているはずです。

しかし、平然とこういう嘘を記事にしてしまうんですね。びっくりしました。

この産経新聞の記事がいう平成7年判決っておそらく、最判平成7年2月28日判決なんだと思いますが、どう読んだら定住外国人への地方参政権付与が違憲と読めるんでしょう。

おそらく、10人中10人がそのようには読まないと私は断言します。

なぜなら、この判決は、「地方公共団体における選挙権の定住外国人への付与については、憲法上禁止されているわけではない」とはっきり言った判決で、許容説に立っているからです。

もちろん、以前私がブログで指摘した通り、この判例は、「参政権」ではなく「選挙権」の付与を問題にしていますから、被選挙権の付与については、違憲と判断される可能性は残されている判例です。

しかし、判例は被選挙権について一言も言ってませんから、そこから被選挙権を違憲と判断したなんて読み込んで、この判決を「参政権付与を憲法違反とした」と引用する人は、非常に筋の悪い人で、少なくとも法律家としては失格です(嘘の情報を確認もせずに記事にして配信しているんですから、記者としても失格では?と私は思いますが・・・)。

産経新聞は保守的な新聞ですから、外国人への参政権付与反対でも何でも良いですが、最高裁の判例と言う権威を利用して、嘘をつくのは辞めてほしいものです。

プロパガンダの一例かもしれませんね。

なお、ふと、思ったので一応書いておきます。

「外国人への参政権付与はもともと憲法違反」っていう部分につき、地方参政権ではなく、国政参政権という理解をしているのかなと善意解釈しようとしました。

しかし、最判平成7年2月28日はそんなこと言及してませんし、もしそういう解釈なら、国政選挙について外国人には選挙権が保障されないとし、国会議員の選挙権は権利の性質上日本国民のみに限るとした最判平成5年2月26日を引用するはず。

やっぱり、産経新聞の記事はおかしいです。

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首相きょう訪韓 「参政権」焦点に 付与は違憲…政治問題に発展も
10月9日7時56分配信 産経新聞

 鳩山由紀夫首相は9、10両日、韓国、中国を相次いで訪問する。韓国では、青瓦台(大統領府)で李(イ)明博(ミョンバク)大統領との首脳会談に臨むが、焦点となりそうなのが永住外国人への地方参政権付与問題だ。韓国側が要請している上、首相をはじめ、小沢一郎幹事長、岡田克也外相-と民主党幹部には参政権付与に熱心な顔ぶれが並んでいるからだ。首相の判断次第で、今後の大きな政治課題に浮上する可能性がある。(阿比留瑠比)

                   ◇

「一定の結論を出すべき問題だ。その結論を見据えて首相や幹事長は話をされている。現実的な対応につなげていきたい」

 原口一博総務相は8日、産経新聞などのインタビューでこう語り、参政権付与に意欲を示した。この問題は自公政権でも公明党が推進しようとしたが、自民党内に慎重・反対論が根強く頓挫してきた経緯がある。

 一方、民主党は世論の反発を恐れたのか、衆院選マニフェスト(政権公約)からは削ったが、政策集「INDEX2009」では「結党時の『基本政策』に『定住外国人の地方参政権などを早期に実現する』と掲げており、この方針は今後とも引き続き維持していく」と明記している。

 また、鳩山内閣の閣僚の一人は衆院選前に在日本大韓民国民団の地方本部で講演し、「政権奪取で皆さんの地方参政権を実現する」と“公約”している。

 民団は衆院選で、参政権付与の推進派議員を支援した。鳩山首相は就任前の今年6月、李大統領と会談した際に「多くの民団の方にご支持いただいてありがたく思っている」と語っており、参政権問題で後には引けない事情もある。

 鳩山内閣発足直後の9月19日、李大統領の実兄である李相得・韓日議員連盟会長が小沢氏を訪ね、参政権付与を改めて求めた。小沢氏は即座にこう応じた。

 「賛成だ。通常国会で目鼻をつけよう」

 民主党には400人余の衆参両院議員がおり、永住外国人法的地位向上推進議員連盟の川上義博事務局長は「今の民主党の現職の初当選も含めた議員の中で、(参政権付与に)まったく反対の人は32人しかいない」と打ち明ける。

 だが、外国人への参政権付与はもともと憲法違反(平成7年の最高裁判決)だ。また、今年2月の韓国での法改正で在日韓国人は母国の国政選挙に投票できるようになった。本国の選挙権があるのに日本でも地方参政権を行使するというのは筋が通らない。

 参政権付与を世論が求めているわけではない。国のかじ取りを行う鳩山首相には、慎重な上にも慎重を期した対応が求められる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091009-00000072-san-pol

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日本の法律」カテゴリの記事

Comments

過去の記事を少し調べましたが、「地方公共団体における選挙権の定住外国人への付与については、憲法上禁止されているわけではない」の部分は、傍論で述べられているのであって、参政権を求めた訴えに対する判決は、違憲であることを理由に棄却されていたはずですから、産経に書かれている記事は間違っていないと思うのですが?

Posted by: 十六夜 | 11/06/2009 at 11:07 AM

>十六夜さん

はじめまして。

貴殿の質問に対し回答いたします。

まず、参政権付与について、傍論で述べられたという理解をしているようですが、これは「なお書き」という傍論で述べたものではありません。

この点については、判決の原文を見れば明らかです。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/89B4E23F93062A6349256A8500311E1D.pdf

また、貴殿の「参政権を求めた訴えに対する判決は、違憲であることを理由に棄却されていたはず」と言う部分ですが、どの部分を指して、どのように理解されていらっしゃるのでしょうか。

判決は、「参政権付与が違憲」と一言も言っていません。

この判例は、「国民主権の原理から15条の保障は日本国民を対象としているが、地方自治の重要性に鑑み、永住外国人に対し、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されるものではない」とハッキリ言っています。判決文を読んでみてください。

仮に、結論として原告が敗訴したこと(上告棄却)をもって、「違憲と判断」したという論法を取っているのでしょうか?

それならば、我が国の根本的な司法法制度に対する認識に誤りがあります。

原告が「外国人である私に選挙権が付与されていないことが違憲である」という主張をしているのに対し、最高裁はこの上告を棄却しているわけですから、選挙権を付与しないこと、換言すれば、選挙権を憲法が保障していないとして取り扱うことは違憲ではないというに過ぎず、付与したことが違憲になるという理解は、相当な論理の飛躍があります。

そして、この判例に対する法律家の大勢の共通認識は、地方参政権の付与に対し、許容説の立場に立っているという理解です。

なお、念のために言いますと、そもそも傍論という制度は我が国では制度化されておらず、一部の判例において、「念のため」とか「なお書き」で付加されている部分を勝手に、法律家が傍論だと解釈しているに過ぎません。

どこまでが傍論なのかということも明確ではないですし、判決理由中の判断であることに変わりはなく、最高裁の先例としての価値が変わるものではありません。

この点は、朝日訴訟(最判昭和42年5月24日民集21巻5号1043頁)の「なお書き」部分が先例的価値を有するものとして扱われていることからも明らかです。

したがって、どのように考えても、まともな法律家の理解としては、この判例が外国人への参政権付与を憲法違反と判断したと読む余地はないはずです。

Posted by: ESQ | 11/06/2009 at 12:05 PM

Blogosトップより来ました。
各条文をじっと見、判決文を数回読み返してやっと輪郭が見えてきました。

そこで疑問なのですが
今回の判決文で重要となるポイントは憲法93条の「住民」という単語をどう解釈するか。という事だと思われます。
傍論前半では憲法前文及び憲法15条に触れ、憲法93条でいう「住民」とは「日本国籍を有する日本国民」であると定義しています。
しかし傍論後半部分では上記の定義に触れず「住民」というのは国籍関係なく居住地域の公共自治体と緊密な関係をもつものである。したがって法律により選挙権を付与することは憲法違反には当たらないとしています。

前半部分の論点に従って憲法15条と93条を合わせ読むと(特別職とは言え)公務員の一員たる地方議会議員を選定・罷免することは日本国籍を有する国民固有の権利である。というように解釈出来るのですが それがなぜ後半部分につながるのでしょうか?
判決文の読み方に詳しくないのでこの前半と後半の違いが全く理解できません。
お忙しいところ申し訳ございませんがご教授願えませんでしょうか。

Posted by: 通りすがり | 11/13/2009 at 06:05 PM

>通りすがりさん

はじめまして。
コメントありがとうございます。

貴殿の抱えた疑問ですが、非常に筋の良い疑問だと思います。

判決文の読み方に詳しくないとのことですが、かなり読み込まれているなと感心しました。

ただ、本題に入る前に1つ説明させてください。

貴殿のおっしゃる「傍論」という点ですが、記事でも書きましたが、傍論という制度がないため、どの部分を指して行っているのか正確に把握できません。

察するに、判決理由の部分を傍論と言い間違っているだけなのかと思いますが、一応説明させてもらいます。

判決には、2つのパートで構成されています。
1つは「主文」、もう1つは「理由」です。これだけです。

したがって、傍論と言われても、「なお」とか、「念のため」という接続語を使っている判例なら格別、そうでない以上は、どこを指しているのかわからないので、以後判例の判旨部分を説明するときには、使わない方が良いと思います。

以降の私の回答は、「貴殿がおそらく理由中の第一パラグラフを前半、第二パラグラフを後半部分と言う意味で話しているのだろうな」という理解で書きますので、仮に質問の趣旨とズレた回答でしたら、お許しください。


>前半部分の論点に従って憲法15条と93条を合わせ読むと(特別職とは言え)公務
>員の一員たる地方議会議員を選定・罷免することは日本国籍を有する国民固有の
>権利である。というように解釈出来るのですが それがなぜ後半部分につながる
>のでしょうか?

まず、貴殿のご質問の趣旨ですが、、「第一パラグラフ部分において、憲法上の国民と住民をともに日本国民と限定しつつ、第二パラグラフ部分で、一定の外国人に参政権を認めてもよいとすることは矛盾するのではないか?」という疑問を持たれているのではないでしょうか。

これは、判決に対する学説からの有力な批判の1つです。

したがって、判例がそうした矛盾を抱えておかしいという批判は、禁止説や保障説(憲法上の参政権の保障が外国人にも及ぶという説)から行うのは可能ですし、現にそういう批判があります。

もっとも、判例が、貴殿の言うように、「地方議会議員を選定・罷免することは日本国籍を有する国民固有の権利」という解釈していると読み込むことはできないと思います。

その点につき、以下、説明します。

判決理由中の第一パラグラフ部分の「『住民』とは日本国籍を有する日本国民である」という定義に至る判例の論理の流れですが、端的にいえば、国民主権の原理から導いています。

つまり、
1.憲法は前文、1条から、国民主権原理における「国民」とは日本国籍保有者である。

2.そうとすれば、憲法15条の権利の保障は日本国籍保有者を対象とし、外国人は保障の対象ではない(つまり、保障が及ばない)ということになる。

3.地方自治も我が国の統治機構の不可欠な要素

4.よって、住民とは、日本国民を意味し、外国人に選挙の権利を保障したということはできない。

という流れですね。

ここまでの流れで、判例は、「憲法による権利保障が誰に及ぶか」という話をしているに過ぎません。

そして、判例は一言も、「国民固有の権利である」とは言っていません。

15条の参政権は憲法第3章の基本的人権の1つですが、それにつき判例は、冒頭「保障は、権利の性質上国民のみを対象としているものを除き、...外国人に等しく及ぶ」とも言っています。

つまり、あくまで、判例は、「憲法上の権利の保障が誰に及ぶか」という話を前半部分(第1パラグラフ部分)で言っているわけです。

この前半部分の文言から、「地方議員を選定・罷免する権利が日本国籍を有する者の固有の権利と言っている」とまでは読み取ることは困難です。

したがって、前半部分はあくまで、「誰に保障が及ぶか」という話をしており、後半部分は、「『地方自治という重要性』、つまり、『地方自治の本旨である住民自治(地方自治は住民の意思が反映され、それに基づいて行われるべきとする価値)』に鑑み、一定の関係を持つに至ったものに対して、立法で権利を付与することは憲法が禁止したものではないという許容性の話」をしているにすぎないわけです。

簡単に言えば、前半部分は「誰に保障されているか」という話で、後半部分(第二パラグラフ部分)は、「立法措置で付与するのが許容されるのか」という話をしているのです。

しかし、このように説明しても、最初に言ったように、判例は、国民主権の原理を持ち出して、「あたかも国民固有の権利であるか」のような思考をしたうえで、「国民」、「住民」を日本国籍保有者に限定しておきながら、外国人への参政権付与を許容するのは、内在的論理に矛盾があると感じるという指摘も説得力があります。

以上のように、貴殿の御指摘は、判例の矛盾点をつくものとして、かなり筋の良い思考です。

ただ、あくまで、判例に対する批判としてありえる思考であって、判例が貴殿の言われる思考をしていると読み込むべきではないと思います。

紹介した渋谷先生の本を今日手に取る機会があったので、目を通してみましたが、この部分につき、判例の批判として貴殿と同じような疑問を指摘されていました。

参考になると思うので、折角興味を持たれたのでしたら、当該部分(外国人の参政権という論点について書かれている部分)だけでも本屋などで目を通して見られると良いかもしれません。

Posted by: ESQ | 11/13/2009 at 11:09 PM

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