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09/22/2009

米メディアの報道から岡田・クリントン・スミス日米豪外相会談を考察

クリントン・岡田・スミスの日米豪の外相会談が行われました。

Okada_clinton_smith

クリントン長官の発言が国務省にアップされているので、関心のある方は、日本の報道だけでなく、原文を見た方がよいでしょう。

私は、アメリカ政治を専門にしてましたが、どちらかというとアメリカの国内的視点でのアメリカ政治に注目していたので、日米外交という形での知識はどちらかというと乏しいです。

しかし、私はあえてその方がよいと思い、アメリカの国内的視点からの問題の考察という点に注目してきました。その理由は簡単です。国内問題が与える外交への影響が大きいからです。

そういった視点で、今回の会談に関する情報を収集し、分析してみました。

まず、国務省のウェブサイトにある会談の原文からです。

Well, let me say what a great privilege it is for me to welcome the foreign minister so soon after he has taken his new position – five days. And obviously, the alliance between the United States and Japan is a cornerstone of our foreign policy and indispensable to the security and prosperity of the Asia Pacific. We are both representing new governments, although the minister is much newer than I am now. And I look forward to working with him to develop and strengthen even stronger bonds of partnership, friendship, and alliance in pursuit of our common values, and a future that we hope will be even better for our people.

クリントン長官の発言およびその報道を見る限り、従来既存の主要メディアにより報じられていた鳩山政権に対する危惧は感じられません。

むしろ、岡田外相が就任わずか5日後であること、日米で起こった政権交代による新しい政府であることを強調し、ともに問題に取り組もうという趣旨の発言です。

また、この会談に対するアメリカのメディアの扱いもそれほど大きくありません。

その後、クリントン長官は、グリジアやチェコ、コスタリカの首脳と会談しており、日本との注目も、いわば、そのOne of Themといったところでしょう。

さらに、クリントン長官とメディアとの対談でも、日米問題についてはおろか、「日本」や「岡田外相」に対する言及すら一切ないことからすれば、「鳩山新政権にアメリカが懸念している」とか言うたぐいの話は、日本のメディアの過剰反応というのを如実に表していると思います。

つまり、アメリカの国内的視点からすれば、日米同盟の問題よりも、「アメリカ自身の」アフガニスタンに対する外交政策をどうすべきかに関心があるのです。

もっとも、キャンベル国務次官補から、日本の国内世論に対して配慮した重要な発言がありました。ロイター通信の記事では、以下の発言をしたと言っています。

"We have, and others in the U.S. government, have underscored that there are certain areas on Okinawa and elsewhere that we think a degree of continuity is critical -- the best way forward," Campbell told reporters.

"However, the truth is that the United States -- as an alliance partner and a strong friend of Japan -- at this early stage, we cannot be in a position to dictate," he added.

"We must make clear that we are committed to a process of dialogue and discussion," Campbell said.

やはり、注目すべきは、「このような初期的な段階で、アメリカが決定権を握る(アメリカが一方的に指示する)立場にはない」という部分の発言です。

308議席で大勝した鳩山民主党政権の背後にある日本の国内民意を配慮し、対話と議論をするという姿勢を強調しています。

もちろん、一度合意したものですから、アメリカにとっては再度蒸し返されるのは通常良い思いはしないでしょう。

しかし、アメリカ政府がこのように柔軟な姿勢を示していることは、日本のメディア以上に、日本で起こった政権交代の意味をアメリカ政府が正確に捉えていることの表れだとと私は思います。

そして、この会談の取り上げ方が少ないアメリカメディアですが、あえて言えば、その関心は、岡田外相の以下の発言にあるようです(以下、AFP通信の記事より)。

Foreign Minister Okada hinted Sunday that Japan could offer more development aid to Afghanistan in place of the naval support mission.

"If Japan can generate the situation where Taliban soldiers on the frontline would be able to feed their family members and offer education, then the situation in Afghanistan will change," he said.

"There is a significant number of people who work for Taliban to earn money."

アフガン問題については比較的中立性のある日本が、資金援助というソフト面でのアフガン支援をすることで、タリバンから金をもらうために働いているアフガニスタン人に武器を持たずとも食べていける状況を作り出すという役割を表明した岡田外相に対して、アメリカ政府はもちろん、アメリカののメディアも比較的好意的な反応を示しているようです。

海外の目は、いかにアフガンの状況を改善するかに注目しており、現在、軍事作戦が功を奏していない状況から、日本の非軍事的な貢献について関心が高まっているようです。

クリントン長官もかねてから、非軍事的なものと軍事的なものを柔軟に使い分ける外交方針を打ち出していましたから、アメリカの関心は給油継続ではなく、日本の非軍事的貢献に映っているのかもしれません。

なお、オーストラリアのメディアは、この会談について、日米豪の三ヵ国によりイニシアティブを維持することが極東アジアの安定につながるという観点から報じています。

国務省の公式ブログ(記者は国務省のオーストラリアの担当官)でも、この会談が取り上げられており、専ら日米豪の三ヵ国による戦略会議の意義や今後の共通の利益の模索などについて説明がされています。

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アメリカ政治」カテゴリの記事

Comments

このブログに来ると非常に視野が広がる気がします。
どうもありがとうございます。

要するに民主主義を尊重するアメリカは、民主主義によって選ばれた国の代表を無碍には扱えないということでしょうか? ならば、鳩山さんも国民の支持を背景に日本の立場と考え方というものを毅然として述べればよいのですね。なんかワクワクしてくる話ではありませんか。

それにしても日本のメディアの報道の未熟さというか、偏重さというか、それを受け取る我々も十分心してかからなければいけませんね。

今回ソースにリンクしてくださったのは、本当にありがたかったです。なるほど向こうではこのように報じられているのですね。

これからもこういう向こうのソース付きエントリを上げていただけるとうれしいです。私は…、もうちょっと英語が速く読めるように努力したいと思います。

Posted by: tonton | 09/22/2009 at 09:58 PM

tontonさん

お久しぶりです。コメント有難うございます。

>民主主義によって選ばれた国の代表を無碍には扱え>ないということでしょうか?

おっしゃる通りだと私は思います。
アメリカ人一般の反応としても、この反応が強いと思います。
そもそも、50年以上も同じ政党が政権を支配してきたという話をアメリカ人が聞くと、日本というのは異常な国で、民主主義国家ではないという反応をすることが多かったです。

ですから、ある意味、日本の政治が健全化しているという印象もアメリカの政治家やアメリカ人一般は思っているのではないでしょうか。

もちろん、イランのアファマディネジャド大統領のように、民主的な選挙で選ばれても、著しく反米色が強く、核武装という国際ルールを無視するようなリーダーに対しては、アメリカは厳しく非難しますが、鳩山首相の場合は、そういうたぐいの反米主義者ではないですからね。

私は海外のメディアソースを紹介するときは、なるべくリンクをつけて読者の方や自分が後で原文に当たれるようにしています。

原文で見てみると、日本のメディアが訳した内容とニュアンスが違ったり、雰囲気が違ったりすることもあるので、海外の報道を知りたいときは必ず原文に当たります。

最後に、視野が広がるという御言葉有難うございます。既存のメディアとは違う視点から評論したいというブログの趣旨が達成できている気がして嬉しい限りです。

私の示しているのも個人的な私見で、極力矛盾しないような私見を発していますが、記事を総合的にみれば矛盾したことを言っている場合もあるでしょうし、おかしな発言をしていることもあるので、1つの参考程度にしていただければと思います。

今後も海外のメディアの具体的な報道に関しては、リンクをつけていきます。

Posted by: ESQ | 09/23/2009 at 01:14 AM

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