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09/10/2009

ガソリンの暫定税率廃止と高速道路の無料化は環境に悪影響とはいえない!?

先日、ツイッターではつぶやいたのだが、やはり、マスメディアによる間違った知識の頒布という状況を見ていると、このブログでも取り上げるべきと思い、今回は、「民主党の掲げるガソリンの暫定税率廃止、高速道路無料化と環境への悪影響という批判」について、私見を発信しようと思う。

まず、マスメディアや自民党の道路族、さらには、環境保護団体などが、「高速道路の無料化やガソリンの暫定税率を下げると、Co2が増大して環境対策に悪い」という主張がされており、世論調査を見ると、国民の7割近くがこの主張に騙されている。

はっきり言って、この批判は的外れもよいところで、これらの批判をしている人間は、経済学の基礎知識がないか、それともそういう基礎知識のない一般国民を騙すためにあえてもっともらしく主張しているかのどちらかである。

ミクロ経済学の基礎を知っていれば、この批判は、間違っていると断言できる。

車の利用(とくに、ガソリンの消費)は、贅沢品とは違い、安いからバンバン使うという消費財ではない。これらは生活必需品の典型であって、一定の需要量が決まっている。

したがって、安ければドンドン消費が増えるという試算には間違いがある。

例えば、日本人にとっての生活必需品である米を例に考えてみる。

米の価格が下がったとしても、既に食生活の中で、米が占める割合というのは決まっている。米が安いから365日米でよいという人は奇特な人であって、日本人の大多数は麺、パン、その他の食材とのバランスで、米の消費量は決まっているのであって、突然米が安くなったから米ばかりの食事でよいというライフスタイルの変更は困難である。

逆にいえば、価格が高くなっても、米を食べてきた人間が、一切米食を止めて、パン食や麺類を365日食べるかといえば、それも通常はあり得ない。

つまり、生活必需品である米の消費量というのは、基本的には価格の上下に左右されることなく、一定限度で決まっているのである。

とすれば、生活必需品であるガソリン代も同じことである。

車利用にかかる費用(ガソリン代)が下がっても、既に車を使わない生活をしている人(例えば通勤通学に電車を利用している人)がわざわざ車を利用するということにはなりにくく、限界があるのであり、価格が下がれば需要が伸びるという単純な試算は道路に利権のある人々に乗せられているだけである。

つまり、暫定税率廃止や高速道路の無料化が行われても、ガソリンの消費量というのは、一定限度で決まっているのであって、生活必需品であるガソリン代が下がることで、国民が家計に占めるその費用の割合が減るということで、その恩恵を受けるという因果関係は明確にある一方、上記政策が環境に悪いという因果関係は、依然立証に足る高度の蓋然性がないのである。

こうしたガソリンの(生活必需品の)消費の特徴を専門的にいえば、「価格弾力性が小さい」と表現されるわけです。

財務大臣に起用されるという噂のある民主党の藤井裕久議員もこの点を指摘しており、私は、さすが大蔵官僚出身で、官僚の数字を使ったまどわし戦術を見破るだけの知識はあると思った。

ガソリン消費の価格弾力性が小さいという話は経済学では基礎の基礎なのであって、これに言及せずに、CO2が増大するという批判は、ただ言っているだけで、論拠を示していない主張と断じざるを得ない。

兼ねておりこのブログでも、紹介しているが、公認会計士の山田真哉先生の「数字に騙されるな」という主張は、こういう場面でも妥当するのではないだろうか。

民主党の上記政策が実施されると年間○○トンのCo2が発生するという衝撃的な数字で、無知なマスコミを操作したり、国民に扇動的な主張をする政治家、シンクタンクなどがあるが、その数字の前提が間違っているのではないかということをしっかり国民として注視することが必要である。

上っ面の数字には騙されない洞察力が求められるだろう。

なお、自動車販売とガソリン価格および所得の増減の関係を指摘する面白い論文として、埼玉学園大学教授の広瀬明教授の論文でも、ガソリン価格の価格弾力性が低いことが指摘されているので、興味がある方は読んでみるとよいだろう。

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【民主3大政策100人に聞きました(上)】高速無料化はエコに逆行、75%反対
9月7日22時40分配信 産経新聞

 圧倒的な支持を集め、政権交代を実現した民主党。新政権発足が近づくなか、衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)にはどの程度の支持があるのだろうか。産経新聞では近畿地方を中心に20歳以上の100人を対象にした緊急アンケートを実施。目玉の高速道路の原則無料化については「渋滞や事故が増える」「エコ社会なのに車依存が進む」などとする反対派が75%を占め、「家計が助かる」などの賛成派25%を大きく上回った。「子ども手当」「年金改革」と合わせ、アンケート結果を3回にわたって紹介する。

 アンケートは電話や対面による直接聞き取り方式で、3~6日に実施。民主党の個別政策について「実現してほしい」か「必要ない」かを尋ね、その理由も聞いた。

 高速道路の原則無料化については100人中75人が「必要ない」と回答。政策の詳細な運用方針は決まっておらず、不透明な部分もあるが、圧倒的な勝利をおさめた民主党も個別にみると、必ずしも支持されているわけではない現状も浮き彫りになった。

 「必要ない」とする理由の中で目立ったのは「ひどい渋滞が起こるから」。滋賀県高島市の医療従事者の女性(27)は「早く着きたいときはお金を払ってでも利用し、お金がもったいないときは一般道をゆっくり走るという選択肢を残してほしい」とし、堺市内の飲食店従業員の女性(24)は「交通量が増え、事故が増えるのが心配」と話した。

 環境に与える影響を心配する声も多く、大阪府吹田市のNPO団体役員の女性(40)は「なぜ空気を汚す政策をするのか分からない。交通量増加に伴って排ガス対策にもお金が必要になる」と指摘。大阪市の女性会社員(29)も「必要性が高くなくても車に乗る人が増える。エコ社会といわれるなか車依存社会にする政策だ」とした。

 高速道路の割引についても否定的だった京都府城陽市の団体職員の男性(28)は「マイナス面が大きい。渋滞や環境の問題もあるが、フェリー会社や鉄道にも影響が出るしETCも売れなくなる」とし、大阪府豊中市の飲食店経営の男性(46)も「JRやフェリーなどへの打撃が大きい。倒産などが起これば、毎日利用している人の足が奪われる。陸海空の交通機関に平等な政策をとるべきだ」と述べた。

 また、大阪府和泉市の無職男性(61)は無料化に伴い1兆3千億円がかかることについて「そのお金を教育や福祉にまわしてほしい。むしろもっと公共交通機関を使うような政策をとるべきだ」と話した。

 一方、「実家が山口県で帰省のたびに多額の出費がかかっていた。無料化になれば大変助かる」という大阪府枚方市の主婦(50)は、ぜひ高速の無料化を実現してほしいと希望。

 大阪市内の会社社長の男性(65)は「荷物の運送費用なども安くなることが期待できて、車には乗らない自分にもメリットがある」と指摘。東大阪市の会社社長(67)も「大阪の道路は一般道が渋滞するが、無料化で高速利用者が増えれば、一般道の渋滞が緩和されるかもしれない。また、新幹線や飛行機などの交通機関でも値下げが進む期待もある」とした。

 ■ジャーナリスト・大谷昭宏氏の話「高速道路の無料化は環境面からみても、二酸化炭素(CO 2)の削減方針とも矛盾しており苦しい施策と思っている。75%が『必要ない』という回答をした結果をみると、民主党に投票した人は、単にばらまき政策にありつこうとしたわけではなく、自民党政権に対する怒りで投票したということが浮き彫りになったともいえる。民主党は公約だからといって無理するのではなく、効率的な運用を考えるべきだろう。例えば、渋滞が予想される主要高速道路を有料で据え置いたり、九州や北海道など利用者の少ない地方だけを無料にするといった方法もあるだろう」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000592-san-pol

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経済」カテゴリの記事

Comments

そうでしょうか・・・?
私は、車で移動する人が増えると思います。
今までJRを使っていた人が、高速道路が無料になると、車を使うのではないかと・・・
複数人の出張など、交通費が明らかに車の方が安くなります。
景気の悪い今だからこそ、車での移動が増えるのではないかと・・・

私が会社の社長をしていたら、車で行きなさいと指示すると思いますよ!

Co2が、どのくらい増えるとかは全然わかりませんが、交通量は確実に増えると思います。

高速道路と一般道路で分散するとか言っている人がいますが、高速道路を走った車は確実に一般道路も走ります。
結局、一般道路が混むのではないでしょうか・・・?

Posted by: ┐(´-`)┌ | 09/25/2009 at 04:11 PM

┐(´-`)┌さん

はじめまして。こんばんは。

どのように考えるかこれは個々人によって違いがありますから、貴殿がどう考えるかを否定するつもりはありません。

貴殿が社長だった場合にどのような指示をするかも貴殿のお考えに基づいてなされれば良いと思います。

ただ、この記事を読んでいただければわかるように、私は経済学の基本的な基礎知識である「ガソリンは生活秘術品の1つであり価格弾力性が小さい」という観点から、暫定税率の廃止と高速道慮の無料化と環境への悪影響という関係においては、因果関係の証明でききているわけではないという指摘をしているわけです。

このガソリンの価格弾力性が小さいという事実は、経済学上、様々なデータに基づいて、合理的な疑いをさしはさまない程度に高度の蓋然性をもって立証されている話です。

もし、仮に貴殿が、ガソリンの価格弾力性が小さいという極めて基礎的な知識を覆すようなデータに基づく説得性のある反対意見や学術的に立証された何らか論拠をしめす反対意見を御存知でしたら是非教えていただきたいです。

なお、貴殿の御指摘のように、高速道路が無料化されれば、一般道よりも高速道路を利用する人が増えることは当然予想されます。

しかし、だからといって、そのことからCo2の増加による環境の悪影響という因果関係が当然に導き出せるわけではありません。

Co2の増加という結果に至るまでには、ガソリンの消費量の増加という直接的原因が存在しなければなりません。

高速道路の無料化がなされても、その間には、消費者のガソリンの購入という行為が介在します。

そして、そのガソリンの価格弾力性が小さく(ガソリンが生活必需品で価格に左右されず消費量が一定である)、そのガソリン消費に生じる経費の変動は消費量を左右しない以上、急激にガソリンの量が増加するということは生じないはずです。

つまり、単純に、①高速道路が無料化される→②ガソリンの消費量が増える→③Co2が増大するという因果関係が存在するというのは、非常にミスリーディングで、因果の流れを誤解しています。

なぜなら、①と②の間に、消費者のガソリンの購買行為が介在します。
ガソリン価格そのものはもちろん、ガソリン消費関連費用として、高速道路の無料化がなされたところで、ガソリンの購買行為の意思決定は、ガソリンの価格弾力性が小さいため、影響を受けないわけです。

この議論をしたときに、ある本にあった「常識を疑えという指摘」を思い出しましたが、まさしく、ガソリンの暫定税率および高速道路の無料化が環境悪化に直結するという一般的な主張は、必ずしも因果関係が十分に立証されていないのであり、常識を疑うべき良い典型例のように思います。

Posted by: ESQ | 09/25/2009 at 07:03 PM

食生活に占める米の割合は決まっていると記載されていますが…


本気で言ってますか?


ちょっと前にパンの価格があがった際に、パン食からご飯食に切り替えた家庭があるのは知っていますよね。


実際、我が家も朝食がパンからご飯に変わりました。


コストの安いほう移行するのが普通の家庭です。


ちょっと前にガソリンが高騰した時などは、車での外出を控えました。


近場なら歩く、または自転車、遠くならバスや電車を選択してました。


暫定税率が廃止され、ガソリンが安くなるのなら、近場でも車を利用しますよ。


正直、歩くのは面倒だし、疲れますからね。


高速料金が無料化となり、鉄道よりもコストが圧倒的に安くなれば、そりゃ渋滞覚悟で車を利用しますよ。


一般市民の7割が不安視してるのは、こういった消費者の心理を実際に肌身で感じているからではないでしょうか?


このブログの内容を拝見して、経済学の前にもう少し消費者の心理を理解してほしいと感じてしまいました。


個人的な意見を言わせていただくと、ガソリンは贅沢品の1面も持っていると思いますが如何ですか?

Posted by: 普通の人 | 09/28/2009 at 01:31 AM

普通の人さん

はじめまして。
以下、回答いたします。

>食生活に占める米の割合は決まっていると記載されていますが…
>本気で言ってますか?


はい。本気で言っています。
経済学の基本的知識に従えば、主食穀物である米は、生活必需品であり、価格弾力性が低いとされているためです。


>ちょっと前にパンの価格があがった際に、パン食からご飯食に切り替えた家庭があるのは知っていますよね。
>実際、我が家も朝食がパンからご飯に変わりました。


はい。知っています。
しかし、そうした急激な変動があったとしても、マスメディア等に煽られた形で、ごく短期的かつ一時的な変動であって、中長期的な経済の視点から見れば、価格弾力性が大きいとはいえないというのが経済学上の一般的な理解です。

また、貴殿の家が以後パン食から米食にかわったことも、経済全体としては、非常に小さな変動に過ぎません。

データに裏打ちされた経済学の基本的知識に従えば、一時的な変動があっても、すぐに元に戻り、全体として米の消費量に変化がなく、価格弾力性は小さいという理解になります。


>コストの安いほう移行するのが普通の家庭です。


一時的にはそうでしょうが、中長期的には変わらないというデータが経済学上示され、通説的理解とされています。


>ちょっと前にガソリンが高騰した時などは、車での外出を控えました。
>近場なら歩く、または自転車、遠くならバスや電車を選択してました。
>暫定税率が廃止され、ガソリンが安くなるのなら、近場でも車を利用しますよ。
>正直、歩くのは面倒だし、疲れますからね。


個人的レベルの話と経済全体の動きで、価格弾力性を捉えるのとは別次元の話だと思います。

かねてから言っておりますが、ガソリン価格の価格弾力性が小さいという話は何も私が発見したことではありません。

経済学の基本を勉強した人間であれば、当然に聞いたことのある話で、かつ、データに裏打ちされた説なわけです。

したがって、貴殿がわざわざ私のブログで反論するのでしたら、経済学上、ガソリンの価格弾力性が大きいなどのデータや論文を示していただけるとありがたいと思います。


>高速料金が無料化となり、鉄道よりもコストが圧倒的に安くなれば、そりゃ渋滞覚悟で車を利用しますよ。


私は、このブログの記事で、そうした思い込みだけで、一般的に報道されている内容を鵜呑みにするのは危険だという観点から、この問題に対して別の見方を経済学の基本的知識に基づいて提供しているのです。

したがって、経済学上のガソリンにかかる経費と価格弾力性が小さいという因果関係を否定するデータなり、経済学上の主張でなければ、有効な反論にはなりません。


>一般市民の7割が不安視してるのは、こういった消費者の心理を実際に肌身で感じているからではないでしょうか?
>このブログの内容を拝見して、経済学の前にもう少し消費者の心理を理解してほしいと感じてしまいました。


経済学というのは、消費者心理や消費者の行動を分析した集大成です。消費者行動に対する分析なくして、ミクロ経済はもちろんマクロ経済も語ることはできません。

したがって、ガソリンの価格弾力性が小さいという経済学上の基礎知識も当然消費者心理や消費者行動を十分分析したうえで、経済学の共通認識として理解されています。

よって、貴殿のおっしゃるように、経済学が消費者心理を考慮していないという理解のもとに、「経済学の前に消費者心理を理解してほしい」という意見は的外れのように思います。なぜならば、経済学から考えるというのは、消費者行動、消費者心理から考えているといっても過言ではないからです。


>個人的な意見を言わせていただくと、ガソリンは贅沢品の1面も持っていると思いますが如何ですか?


そういう視点もあるとは思いますが、経済学上、ガソリンは生活必需品と考えられています。例えば、日本だけ見ても、都内のように交通の利便性が高いところに住んでいる人ばかりではなく、交通の利便性が悪い人は、車を使わなければ生活できません。車を必要としている大多数の人にとっては、ガソリンは生活必需品ということになるわけです。

なお、以下のリンクに価格弾力性についての解りやすい説明を見つけましたので、興味がありましたらご参照ください。

http://www.soumunomori.com/column/article/atc-47652/

Posted by: ESQ | 09/28/2009 at 02:01 AM

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