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09/24/2009

交渉拒絶は住民のエゴ(八ッ場ダム問題と報道について)

非常にセンセーショナルなタイトルをつけた。

このタイトルは誤解を招くおそれもあるので、迷ったが、やはりはっきりさせるべき問題なので、私はあえて誤解を恐れずにこの問題について言及したい。

私は、先日、八ッ場ダムの建設中止問題を取り上げて、民主主義というのはどういうものなのかという記事を紹介した。

通常よりもアクセス数が多かったので、それなりの反響があったと思うのだが、今回もこの問題について再度、私見を発信したい。

私は、論理的にも、法的にも、さらには感情的にも、この中止反対派と称される人々の主張はまったくもって理解できない。

もちろん、住民が自民党政権下で翻弄され続けたという点は同情するに値するが、だとしても正当な補償を受けてきた、また、今後受けることが約束されている以上、反対派と称される住民たちの主張は理解できないし、まして正当な補償を受けるための交渉を拒絶するというのは、エゴ以外の何物でもないだろう。

前原国交大臣(私は個人的には前原誠司は政治家として好きではないが)が、建設中止という結論が変わらないとしたことは当然のことである。

なぜなら、308議席を民主党に与えたという信託は否定しようがなく、マニフェストに明記された以上、それを実行するのが民主党の責務だからである。

もちろん、私自身も民主党の政策に疑問があるものは沢山ある。例えば、マニフェストに明記されているものとしてあげれば、子供手当や東アジア共同体構想については基本的に反対である。

しかし、民主党が308議席を獲得した今、私は民主党により多くのマニフェストに記載された政策を実行してもらいたいと思っている。なぜならば、それが政治不信の払しょく、および、政治の健全なあり方を示し、ひいては日本が成熟した民主主義国家であることになるためである。

選挙期間中約束したことを選挙後にひっくり返すのは、これは完全な背信行為であり、これを自民党政権下で許してきた日本国民の民主主義政治に対する認識の甘さは、およそ先進国とはいえないレベルである。

例えば、なぜオバマ大統領がアフガニスタン問題に必死なのかだろうか。

答えは、簡単である。彼は選挙期間中に、アフガニスタン問題を最優先に解決してイラクからは撤退すると誓ったためである。しかし、アフガンの治安状況が悪く、アフガン情勢の見通しがつかないことが、オバマ政権を苦しめているのである。つまり、オバマ政権も選挙期間中の公約に従って、外交上の優先課題を決めている。

公約を十分に実現できず、国内的には無能な政治家と称された人物もいる。

それはアメリカ39代大統領、ジミー・カーター(Jimmy Carter)である。

ニクソン政権下での不況を打開するために、1976年の選挙戦では、改革と効果的な経済政策を謳ったものの、4年の在任期間中は十分な経済政策を打つどころか、経済を後退させたともいわれた。1980年の大統領選挙では、489対49という代議員数の大差で、ロナルド・レーガンに敗れた。以後、ジミーカーター元大統領は完全に国内政策に疎い無能な政治家として、アメリカ国内では評されることが多い(もっとも、国際的には比較的好意的な評価がある)。

他方で、私はあまり評価していないが、ロナルド・レーガン大統領はアメリカでは未だにヒーローであり、共和党支持者にはレーガン・リパブリカンと称される人々が数多くいる。

この理由も簡単である。レーガン大統領は選挙中、強いアメリカを謳い、「レーガン・プラン」という経済政策を発表し、実際、彼の政権下では、GDPが毎年3.4%に達し、インフレーションもカーター時代の約13%から、約4%までに抑え込むなどアメリカに好景気をもたらしたためである。

したがって、政権の実績と評価は、結果として選挙期間中に約束したことがどれだけ実現できたか否かなのである。

話を八ッ場ダムに戻すと、民主党はこのダムを名指しで中止すると選挙期間中に約束したわけである。そして、その民主党に対し480議席中の308議席を国民は選挙で与えた以上、これを撤回するというのは、国民の信託に対する著しい背信行為である。

反対派住民が非常に過酷な状況を経験してきたことは解るが、だからといって、308議席という結果の重さに鑑みれば、それをひっくり返すことは到底あってはいけないことなのである。なぜなら、それが民主主義だからである。

したがって、反対派住民が「中止という結論ありきでは交渉に応じられない」というのは、エゴに基づく駄々っ子以外の何物でもないのである。

もちろん、翻弄された住民には損失補償を受ける権利があるだろう。しかし、彼らには、国民の信託を覆すような権利はないのである。

民主主義の正当性の根拠が少数意見との十分な議論を通じた上での多数意見による実行であるとしても、この問題における少数意見の反対派住民は、議論すら放棄しているのであるから、彼らは民主主義を否定していると評しても私は過言ではないと考えている。

さらに、主要マスメディアが、民主主義の本質を理解せず、この問題を利用して、混乱ぶりを報道し、面白おかしい政治劇を作り出そうとしている現在の日本の主要メディアによる報道を見ると、日本のメディアが日本をここまで腐らせてきたのではないかと思ってしまう。

国民の知る権利に資する報道だということを主張するのであれば、一方的、公平性の欠ける視点からの報道は慎み、反対派住民をはじめとする抵抗勢力にどういった利権関係があるのかを厳しく報道するのが本来のマスメディアの役割ではないだろうか。

今のメディアの報道では、建設を進めたい国交省の意図的に歪められた情報に基づいて、かなりミスリーディングな形で、現在の八ッ場ダムの工事の進捗状況が伝えられているなど、マスメディアは、この問題に対しても、まったくもって国民の知る権利に資する活動を一切していない。

政権交代が起ころうが何が起ころうが、日本の状況が良くならないとすれば、それはすべて下記にある産経新聞のようなマスメディアによる非民主的な思考停止社会のせいではなかろうかと最近は思ってしまうのである。

記事には「問題を長期化させるのは耐えられない」という反対派住民の声があるが、彼らが交渉を拒否して、自ら長期化させていることを一切指摘しないメディアの甘っちょろい報道はどうになからないものであろうか。

なお、こちらのブログの方のように、まともな意見を言う方もかなり多くいるようで、多少は安心する。

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八ツ場ダム交渉不発 意気込む前原国交相、住民「何を今さら」
 9月23日21時19分配信 産経新聞

「住民の苦労と不安に耳を傾けたい」と意気込む前原誠司国土交通相。「何を今さら」と反発する地元住民。23日に八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)を視察した前原国交相を待ちかまえていたのは、住民らの強硬な反発だった。結局、この日は、地元首長らとは会えたものの、住民の生の声は聞けずじまい。国民の圧倒的な支持を受けて発足した民主党政権だが、政権公約(マニフェスト)の現場では厳しい現実にさらされた。

 視察中の取材は一部を除いて、一切規制される異例の厳戒態勢の中で行われた今回の訪問。建設予定地や代替地視察は10分間程度、工事担当者の話を聞いただけだった。水没する川原湯温泉の訪問はせず、予定していた意見交換会も住民側から拒絶。戸別訪問など地元住民との接触は一切試みられなかった。

 「10分の視察で半世紀以上の苦悩が分かるはずがない」。すでに水没予定地から代替地に転居した会社員の篠原健さん(33)は不満を漏らした。

 代替地には、完成を見届けずに亡くなった住民が眠る墓地もある。「彼岸に中止を言いにくるなんて不謹慎」と不満を漏らす人もいた。

 23日は大型連休最終日で、川原湯温泉はかき入れ時。旅館「柏屋」の専務、豊田幹雄さん(43)は「とても話し合いに応じる余裕なんてない」と憤った。

 住民側は「中止ありきでは交渉に応じない」と意見交換を全面的に拒否。前原国交相は現地での記者会見で「最後まで努力したが実現しなかった」とだけ説明。川原湯温泉など水没地区が視察予定地になかった点を聞かれると、「また来る」とだけ語った。

 住民らの思いは複雑だ。当初から建設推進だったわけではない。長年の反対運動の末に、治水対策など公共の利益を説く国の説得に応じる形で苦渋の決断をした経緯があるからだ。

 建設計画発表から57年。長い闘争の過程で、疲れ果てた住民は別の地域へバラバラと転居。代替地へ集団移転予定だった約340世帯も結局は約90世帯に。すでに地域社会は大きな犠牲を払ってきたのだ。

 残った住民はダム完成を前提としての街の復興を思い描く。「われわれには時間がない」。唯一の意見交換の場となった自治体側との会合終了後、長野原町の高山欣也町長は前原国交相に歩み寄り訴えた。

 建設中止が降ってわいたことで、住民同士が再び反目し合う事態も想定される。この日も、建設反対派が国交相一行に賛同の意見書を渡す光景があった。

 温泉街で唯一の土産物屋、樋田ふさ子さん(80)。60年近い、ダム構想の推移を一番の現場で見続けてきた。「大臣が来るなら再建の代替案を提示するべき。これ以上、問題が長期化するのはもう耐えられない」。その一言には十分すぎるほどの切実さがあった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000571-san-pol

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