軽薄な経営者の行動(渡辺美樹氏のパワハラ疑惑について)
今日は有名企業家の不祥事についてです。
かねてからテレビでの言動を見ていて、①非常に軽薄な人間ではないか、②ライブドア事件の堀江貴文被告のようにある種の拝金主義者的な人間ではないか、という理由から、私は、好きな方ではありませんでした。
その渡辺美樹氏が理事長を務める学校で、パワハラ疑惑が出ています。
そもそも、私は彼に対し上記のような懸念を持っていたので、学校を経営すること自体妥当ではないし、私だったらこういう人間が理事長を務め、慶大の憲法学者の小林節教授を校長に据えて、メディアをつかって宣伝しておきながら、結局対立して、辞任に追い込んだようなゴタゴタがあった学校には通わせたくないと思うのですが、今回の記事を見て改めて、ワタミの経営者に学校経営は無理だと思いました。
彼が非常に軽薄だと感じる理由ですが、以前このブログで紹介した、「河上和雄弁護士のまともな一言」という記事の最後で指摘したように、東国原と河上和雄氏が言い合いになった時の渡辺美樹氏の対応を見れば、いかに場当たり的で、軽薄かが見て取れる。
当該記事の指摘部分は以下(参考までに)。
なお、それ以上に、私が気になったのが、ワタミ社長の渡邊美樹氏のコメントである。
河上和雄先生のコメントで険悪な雰囲気になったため、中和する意味を込めて、司会者が振ったと推察するが、そのコメントで、「知事が問題提起したことは高く評価したい」などと発言し、持ち上げていた。
にもかかわらず、知事の出演が終わった番組の最後では、「たぶん、チャンスだと思われたから出て来たんでしょうが、国政に関して言えばまだ準備不足でしょうね。地方分権は万能でもなんでもないですから。」との変節ぶりである。
こういう人に場当たり的なコメントしかできない人をゲストコメンテーターとして、視聴者を代表しているかのようなに扱うのはとても違和感を覚えてしまう。
どんなに議論によって雰囲気が悪くなろうと、それの是非を判断するのは視聴者であるし、そうした雰囲気を作り出す政治家の資質が問題なのであって、テレビ局もコメンテーターも薄っぺらいことをせずに、毅然とした姿勢を河上弁護士から学ぶべきと私は思う。
したがって、今回のパワーハラスメント疑惑を聞いて、やっぱりなというのが正直な感想である。
今回、断髪式と称して、髪を切ったということであるが、これは暴行罪に当たることは間違いない。なぜなら、暴行とは人の身体に対する不法な攻撃方法に一切を含むのであり、髪を切る行為は、有形力を行使した不法な攻撃といえるためである。
インターネットでは、傷害罪という話もあるようであるが、傷害とは人の生理的機能を害するような行為でなければならないので、髪を切るというのは傷害には当たらないというのが判例・通説である。
いずれにしても、理事長としての権威や権限を振りかざし、断髪式と称して、被害者が抵抗できないような状況に追い込んだ上で、かかる行為をしたとすれば、刑事上の暴行罪に当たる行為であることは疑いない。
訴状を見たわけではないが、この記事をみるとこと、地位確認の訴えと損害賠償請求をしているものと考えられる。
争点は、解雇が解雇権濫用に当たらないかという点であり、解雇に当たる客観的な合理的理由があり、社会通念上相当といえるか(労基法18条の2、労働契約法16条)がポイントであろう。
金銭管理の不備がどのようなものであったかにもよるが、その不備の程度が労働者としての適性を欠くという程度のものでなければ、合理的な理由があるとは言えない。
また、労働法は労働者保護のための法律であり、日本の判例法利は解雇権を制限する方向にあるので、解雇権濫用と認定される可能性は高いだろう。
本件を見ると、断髪式と称した嫌がらせが行われ、日常的に嫌がらせがあったとすれば、渡辺美樹氏の不法な動機に基づく解雇ということ(つまり、客観的に合理的理由がないこと)が推認される間接事実に当たるだろう。
事件の概要が解らないので、確実なことは言えないが、企業や経営者が思っている以上に、日本の労働関連法は労働者の保護を図っており、判例も労働者寄りの流れがある。
内定取り消しなどを企業が安易にやれば、違法行為になるのであり、経営者は労働法に対する意識と理解を深めなければ、健全かつ優良企業とは言い難いのである。
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「ワタミ」会長の渡辺美樹氏、髪切りパワハラ? 理事長務める学校の元教師が提訴へ
9月14日8時2分配信 スポーツ報知学校法人「郁文館夢学園」(東京都文京区)に教師として勤務していた男性(50)が、「上司からいわれのない中傷を受け解雇された」として、同校を相手取り地位保全と慰謝料300万円の支払いを求める訴訟を近く東京地裁に起こすことが13日、分かった。
「―夢学園」は居酒屋チェーンを展開する「ワタミフードサービス」の渡辺美樹会長(49)が、理事長を務めている。
訴えによるとこの男性は、2005年4月から09年3月まで同校で体育教師として勤務。学校の備品を購入した際、金銭管理の不備を一方的に責められ、解雇されたという。
また男性は陳述書などで、渡辺理事長によるパワーハラスメントを指摘。08年10月24日、渡辺氏が同校で行われた職員会議後に、40代の男性教師の髪形が気に入らないとし、ハサミを持ってくるよう部下に命じ、教師の髪を切らせたとしている。渡辺氏自身も、ハサミを手に髪を切り「これは断髪式だ」と言ったという。
渡辺氏らによるパワハラは、校内で日常的に行われていたとしている。
この件について、複数の教師が当時の校長に事情説明を要求。校長は複数の学校関係者にメールを送り「断髪式」の事実を認めたという。メールでは「(断髪は理事長と教師の間で)合意がとれていたとはいえ、理事長に『話を知らない人から見れば、理事長の権威を示すような印象のよくない行為である』と意見できなかったことを悔やんでいます」などと説明している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090914-00000054-sph-soci
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