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09/19/2009

民主主義とはどういうものなのか(八ッ場ダム中止からの考察)

連日、このブログでも政治の話題が多く続いている。

やはり、日本における初めての本格的政権交代で、新政権も意気込みが感じられるせいか、色々な政治関連のニュース飛び交っており、今の政治は従来とは違う活気に満ちているように思う。

ただ、どうも私は既存のメディアが報じるニュースに、必ず、抵抗感を持つことが多い。

その1つが八ッ場ダムに関する一連の報道と利害関係者のコメントである。

以下に記載している記事にもあるのだが、どうもこの国には、民主主義の原則という基本的事項を分かっていない人が多いように思えてならない。

群馬県知事が「国の都合だけ」という発言をしているが、これは国の都合ではない。マニフェストに掲げられたダムの中止という政策については、選挙という国民が唯一意思表示できる民主的過程の中で示された結論なのであって、これをひっくり返そうとすることがおかしな話なのである。

確かに、ダム事業は利害関係人がおり、その人々の人生がかかった問題である。

しかし、選挙という民主的過程の中で、争点としてその是非が固有名詞を上げて問われ、選挙結果がこのようにダムの中止を明記した政党が絶対安定過半数を確保した以上、最終的な審判として、「マニフェストに固有名詞があったダムについては中止するのが相当」という判断が下っているといっても過言ではない。

あとは、その結果によって、損害を受ける人々の補償をどうするのかというきめ細かな作業が新政権には要求されているに過ぎず、上記結論を今さら覆そうとすることは、選挙という民主的過程の否定であり、これこそ民主主義の否定なのである。

民主主義とはそういうものだという理解が欠如している発言が多いこと、それをメディアが必要以上に報じていることに、私は強い危惧を感じざるを得ない。

先日あるメディアの報道で、地元の人のコメントとして、「選挙の結果が出た以上、こういうダムは中止するっていうのが時の流れで、それは否定できない。ダム中止は仕方ないのかもしれない」というまともなコメントをしている男性が紹介されていた。

まったくもってその通りなのである。

あとは、こうした地元の人間が被る損失補償をしっかりやるべきであって、国民はその損失補償が適正に行われているかどうかを監視すればよい。

そして、仮に補償が不十分であれば、その当事者が憲法29条3項に基づく損失補償請求権を行使して、訴訟の場で争えば良い。

今回のダム中止という政策は、従来の政権がやってきたように、建設計画をごり押しし、国民の財産を一方的に奪うような性質の行為ではないのであるし、選挙という民主的過程を通じて明示的に争点となった公約の忠実な履行であることからすれば、違法性(公務員が職務上の注意義務を怠ったこと)が要件になる国家賠償請求の余地は私はないと考えている。

であるならば、群馬県をはじめとする利害関係人は、損失補償の在り方を政府に対して訴えるべきであって、今更国民の意思が示された判断を覆そうという動きをするのは、どうもズレているとしか言いようがない。

少数意見に耳を傾けることは重要である。しかし、少数意見が多数意見を否定することになるのは、民主主義の正当性の契機(少数意見との議論を尽くすことによって、多数意見が履行されることへの正当性が付与されるというもの)の誤った理解である。

このように未だ地方自治体の長には、政権交代という今回の選挙の結果を直視できていない人間が多いようではあるが、従来の自民党政治では許された行為も、政権交代後はそうはいかないことを肝に銘じ、民主主義の本質的な理解をしたうえで、発言されなければならないだろう。

いつまでも中止反対にこだわり、正当な損失補償を受ける機会を逃すことになれば、それこそ自分の首を自分で締めることになるだろう。

多数意見は、少数意見に耳を傾け、徹底的に議論することで、多数意見に正当性が付与される一方、選挙という民主的過程を通じて訴えた政策に対して、国民の審判が示された時は、それ(国民の信託)を少数意見が覆すことはできない。

民主主義とはそういうものなのである。

なお、民主党を支持した有権者の中には、この政策を支持したわけではない人もいるかもしれない。しかし、総合的に色々なことを考えた上で、その政策を明示的に掲げる民主党に投票した以上、その政策も信任したととらえる以外に仕方ない。

それが民主主義における選挙ということである。

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「国の都合だけでいいのか」八ツ場ダム中止に群馬知事
9月18日13時20分配信 産経新聞

 前原誠司国土交通相が八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の建設事業中止を明言したことについて、群馬県の大沢正明知事は18日に開会した9月定例県議会で、「大きな懸念を抱いている。政権が変わったからという国側の都合だけで、中止を決定してもいいのか」と批判した。

 前原国交相が23日にも現地を視察することに対しては「地元住民の方々、関係市町村、共同事業者である1都5県の意見を十分に聴いて、あらためて事業の目的と必要性に対して、適切な判断をしてもらいたい」とした。

 また、議会後の記者団の質問に、「(前原国交相には)白紙の状態で、来ていただきたい。中止ありきで補償の問題などを話すのではなく、白紙の状態で地元の方々の意見を聴いて判断していただきたい」と注文をつけた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090918-00000574-san-pol

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