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09/02/2009

鳩山論文とアメリカ政府に踊らされる日本のマスコミ

ニューヨークタイムズ紙が掲載したとされる鳩山民主党代表の論文について、日本のマスメディアは一斉に報じ、「アメリカ国内で波紋を広げている」などと非常に馬鹿げた報道をしている。

アメリカ政府に踊らされているのは、日本政府でも、旧与党の自民党でもなく、日本のマスメディアではないかと思わさせるのである。

今回の民主党政権誕生に対し、私は何人かの海外に住む現地の友人から連絡が来たので、このニュースがどのように彼らの目に映っているか聞いてみた。

まず、留学時代に知り合った、伝統的な民主党支持者のアメリカ人の友人は、私がかつて日本の政治状況を説明し、自民党政権が長期にわたっていることが非民主的であると話したことを覚えており、今回の政権交代のニュースを受けて、5年ぶりに連絡をしてくれた。

この友人に言わせれば、日本の政治はやっと成熟した民主政治になったのであって、政権交代が起こったことは望ましいことであるとして、民主党政権を歓迎しているようである。

また、日米関係に対する懸念はほとんどないようで、一部日本メディアが「鳩山氏が反米主義者とアメリカではとらえる動きがある」などと報道しているが、アメリカ政治に詳しいこの友人によれば、「そのような懸念は特に聞かないし、不要な心配だと思うが、どうなんだ?」と逆に聞かれるほどであった。

別のアメリカ人で、上院議員事務所でスタッフとして働いた経験があるロースクールに在学中の親友は、今回の民主党の大勝について、良い意味で、「驚いた」と語っている。

「54年間も自民党による一党支配が続いていた日本で、やっと政権交代が起こったことは歓迎すべきである」と肯定的にとらえている。また、外交問題で日米関係が悪化することはないと考えているようである。

この友人に言わせれば、「アメリカ国民の多くは、そこまで他国に対し関心がないので、鳩山論文が波紋を広げているとは大げさだ。日本が思っているほどアメリカ国民は日本に関心がない。」とばっさり言っていた。

つまり、日本のマスメディアの過剰反応ということである。

イギリスに住む友人からは、「世界経済が混迷する中で、中道左派政権の誕生は望ましいことであり、民主党政権がかつてのイギリスのブレア政権のように長期安定的な政権になることを望む。」という声が寄せられた。

スロバキア人の友人からは、「日本でやっと新しい政権が誕生したのは非常に望ましいことで、国家(いわゆる官僚機構)ではなく、国民にとって恩恵の受けられる政治に転換することを期待する。」というメールをもらった。

こうしてみてみると、あくまで、私の友人関係をベースにした印象ではあるが、54年にして初めての政権交代という事実は、衝撃的かつ肯定的に海外で受け止められているのは間違いない。

そして、日本で報道されるほど海外の友人たちは、新しい民主党政権に対する「不安」や「懸念」というのを持っている印象は全く受けないのである。

上記で紹介した友人たちは、それぞれの国内政治に関心が高く、政治に詳しい部類に入る人たちなので、そういった人々が、日本で伝えられるような海外の懸念を共有していないというのは、つまり、日本のマスメディアが暴走しているだけと見るのが正しいのではないだろうか。

2人目に紹介したアメリカ人の親友のコメントがまさに的を得ており、アメリカ人は他国の政権、とくに日本に対して、さほど関心がないし、日米関係においても、それほど心配するような劇的な変化があるとは思っていないというのが正しい現状認識なのではないだろうか。

日本では、アメリカ大統領選挙など逐一報道されるが、日本の政治がアメリカで話題になるのは稀であるといっても過言ではない。

今回、一時的かもしれないが日本の政治変化が取り上げられたのは、ある意味チャンスなのであって、英語が堪能な鳩山由紀夫次期総理大臣が、いかに、信念を持ってアメリカのけん制を跳ね飛ばし、対等なパートナーになるべくアメリカに対し今後注文をつけられるか、これが試されているといえるだろう。

私は親米中の親米であるが、親米というのはアメリカの要求を常に飲むことではない。アメリカはときに理不尽な要求をするしそれが彼らの交渉スタイルなのであって、それをまともに聞いていては、日本が疲弊する。

本来の親米は、アメリカといかに対等に付き合っていくかを模索することだと私は思っている。アメリカのおかしい要求に対しては断固として譲らず、日本の要求はしっかり行うことが重要であろう。

したがって、アメリカ政府(アメリカ国民の民意とは切り離して考える必要があるのであるが)が今後どのような要求をしてこようと、民主党政権は、理不尽な態度、要求には断固として拒否し、日本の国際的存在感を高める必要があると私は考えている。

「これにより日米関係が悪くなるのでは?」と素人は考えるだろうが、そんなことはありえない。今のアメリカにとって日本はなくてはならない存在だし、その逆も然りである。

よく「アメリカは日本を通り越して中国と付き合うようになるのでは?」という話も耳にするが、それをさせないためにも、日本は独立した国家として、国民の利益になる主張をアメリカに対し対等に行う必要がある。

私は、「アメリカ親中化論」を聞くたびに、国務省の外交官として日本に派遣されていたアメリカ人の友人が、かつて私に、「日本政府や日本のマスメディアはアメリカに対し従順すぎる。日本は従順だからアメリカは手のかかる中国の方にシフトする。」という指摘をしていたことを思い出す。

すなわち、アメリカは、手のかかる交渉相手をある種のパートナーとして重視する傾向にある。放って置いてもなんでも言うことを聞く子分より、手のかかるパートナーに力を注ぐことになるのは当然であろう。

また、日本のマスメディアは、もう少し自戒して、アメリカ政権(日本を従来通り手懐けたい国務省の一部)の交渉戦術に乗って、「民主党政権の対米外交に不安がある。『反米的なのでは?』と不安がある」というレッテルを張ることに加担していることを認識すべきである。

既に、アメリカの外交戦略は始まっている。

今後外交交渉において、アメリカの思うような交渉ができないときに、「日本の民主党政権は外交能力不足だから、交渉が上手くいかない」というイメージを発信して、自分たちの優位な外交交渉に持ち込もうというアメリカの外交戦略に既に乗せられていることに、日本のメディアは早く気が付くべきであろう。

こうしたマスメディアの報道に接するたびに、日本国民は、アメリカ国民が日本人が思っているほど日本に注目していないという現実にもっと目を向ける必要があると私は思う。

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鳩山代表に欧米から反発噴出 「東アジア共同体」に「友愛」
8月31日20時55分配信 J-CASTニュース

 次期首相と目される民主党の鳩山代表に、欧米で警戒感が広がっている。米紙への投稿で、経済や安全保障のアメリカ主導を批判し、東アジアを軸に考えるとしているからだ。

■「オバマ政権は、相手にしないだろう」

 民主党が総選挙で圧勝し、海外でも政権交代に関心が集まっている。まだ開票から1日のため、海外のメディアで鳩山由紀夫民主党代表への論評は少ない。しかし、鳩山代表の考えに違和感を表明した向きもあり、今後、海外でも政策を巡る論議が広がりそうだ。

 鳩山代表の考えで特に注目されたのは、米ニューヨーク・タイムズ紙に2009年8月27日載った寄稿論文「日本の新しい道」(英文)。そこで、鳩山代表は、冷戦後、アメリカ主導のグローバリゼーションの中で、日本が市場原理主義の風潮にもてあそばれてきたと指摘。そして、人々が目的ではなく、手段として扱われ、「人間の尊厳が失われている」とまで言い切った。その現れとして、イラク戦争や金融危機があるという。

 鳩山代表は、代わりに、世界は多極化の時代に向かっているとした。「日米安保条約は外交の要」としながらも、日本については、友愛精神に基づいた「東アジア共同体」を提唱した。具体的には、東アジアの通貨統合や恒久的な安全保障を想定している。

 この「鳩山論文」については、アメリカ国内の専門家らから批判が相次いでいる。朝日新聞の29日付記事によると、元米政府関係者は、「オバマ政権は、論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう」と語った。米政府の担当者が日本をアジアの中心に考えなくなり、G7の首脳らにも同意が得られないとしている。

■経済政策については、影響力がなく、関心もない

 欧米のメディアからも、鳩山由紀夫民主党代表の考えに異論が出始めた。

 ニューズウイーク日本版は、2009年9月2日号で、アジア版(英文)にも載ったコラム「沈みゆく日本」で、「ビジョンは内向き」と批判した。

 同誌は、日中間で海上油田の採掘権や過去の侵略問題を巡って対立し、平均年収の差もあるとして、東アジア共同体の実現困難性を挙げた。そして、中国が2010年にも経済規模で日本を追い越す可能性があり、日本は、世界で勢いを盛り返すには、経済成長が何より大切だとした。しかし、自民党に攻撃されるまでマニフェストに「経済成長戦略」を明記していなかったと批判したのだ。

 英エコノミスト誌は、8月20日付サイト記事「間違った敵に攻撃している」で、鳩山代表が奉じる友愛に噛みついた。それは「感傷的に聞こえる概念」だというのだ。日本で鉄壁の保護を受けている農業をグローバリズムから守り、非正規労働の禁止や最低賃金引き上げだけを考えていると批判。経済政策については、影響力がなく、関心もないとの指摘が出ているとして、民主党の政策には限界があるとしている。

 また、英フィナンシャル・タイムズ紙は、28日付サイト記事「民主党代表の政策への疑問」で、友愛の概念を具体的な政策に移す鳩山代表の能力に疑問があると指摘している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090831-00000006-jct-soci

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Comments

こんばんは、お邪魔します。
鳩山論文バッシングをしているのは、むしろ日本のマスコミだということですよね。絶対そうだろうと思ってましたが、ネット上で意外にそういう意見が見当たらなかったので、貴ブログ読んで少しホッとしました。

日本の大手メディアというのは、海外支局がたくさんあっても、世界情勢を正しく読めないのでしょうかね??
(あの論文は反米どころか、むしろアメリカの(資本家の)意向を反映しているのではないか?と、私には見えてしまうのですが……)
それと、「専門家らから批判」とか「元米政府関係者は……としている」とかいう表現、なんだかゴシップ週間誌における「事情通・談」と同種に思えて、その専門家とか元関係者って、誰なんだよ?と聞きたくなっちゃいます。少なくとも、政財界の要人ではなさそうですが。
「英米で批判されている」ではなくて、日本人ジャーナリストとして「自分はあの論文をどう考えるか」を言える記者が少しは、いてほしいですよね。(は〜なんか情けない……)
長文失礼いたしました。ランキングのバナー押させていただきます。

Posted by: ginger | 09/05/2009 at 10:11 PM

>gingerさん

はじめまして。コメント有難うございます。
おっしゃる通りで、鳩山論文へのバッシングは日本メディアと日本メディアの未熟さを知っている従来の日米同盟に既得権益をもつ一部のアメリカの政治勢力によるものだと思います。

断言できるのは、アメリカ政治の主流はさほど鳩山論文に対して関心も持っていませんし、過剰反応していないということです。

日米同盟の見直しは、米軍だけでなく、軍事産業への影響を及ぼしますから、そこに既得権益のある政治家(政治任用された官僚も含めて)は、民主党のように日米地位協定の見直しをしようという動きをけん制したいという思いがあるのは当然でしょう。

日米地位協定等については、アメリカ政治の主流にはあまり知られていないことなので、しっかりと日本は譲れない一線は譲らない姿勢が重要でしょう。ドイツがそれに成功したのは、ドイツの政治家がタフ・ネゴシエーターとして優秀であり、ドイツ国民も独立精神が強かったためです。

日本は平和ボケしている側面があるにせよ、軍事面ですべてアメリカにおんぶにだっこという状況からは少しづつ抜け出さないといけないのではないでしょうか。また、外交面でもアメリカの思うようにすることが緊密な日米関係という旧来的な外交姿勢では、常に変化する国際政治の力関係において、取り残されてしまいます。

明後日あたりに記事にしようと思っている中でも指摘していますが、貴殿のご指摘にもあるように、日本のメディアはどうも海外の情報を独自に入手する能力を欠いているようで、アメリカ側の見方をいつも同じ評論家や学者の言葉を通じて報じます。

しかし、重要なのは、彼らが必ずしもアメリカ政治の主流はの見方を代弁していないということです。つまり、ごく一部の偏った見方がアメリカ政府の姿勢として伝えられることもしばしばあるわけです。

日本のメディアが発する海外の情報に接する場合は、そういった点も注意深く読み取ることが重要でしょう。

Posted by: ESQ | 09/07/2009 at 06:50 PM

ESQ様、ありがとうございました。ご高説、つくづくもっともなことと感じ入った次第です。
正確な言い回しは忘れましたが、「核兵器保持はもはや時代遅れの戦略」というようなことを最初に言ったのは、たしかドイツの外相でしたね。それにひきかえ日本は……まったくもって世界の趨勢から取り残されているんだなと強く感じた出来事でした。
既得権益にしがみつく抵抗勢力におもねるばかりで、報道の真の役割を果たしていないジャーナリズムには、ウンザリする思いですが、政治経済にも国際関係にも疎い一般人としてはなかなかその見極めが難しく、本当に困っております。
貴ブログの記事はとても参考になりました。今後ともいろいろご教授ください。

Posted by: ginger | 09/08/2009 at 07:58 PM

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Tracked on 09/02/2009 at 11:38 PM

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