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September 2009

09/30/2009

亀井大臣の暴走を止める小沢幹事長

日本のマスコミはどうしても、鳩山・小沢が不仲もしくは意思疎通ができないという前提で物事を見たいらしい。

しかし、その前提が間違っているのではないだろうか。

「権力の二重構造」という解りやすい、知ったような表現を使うことで、あたかもその問題が顕在化していると視聴者にある種の刷り込みをもたらすような報道が多いが、果たして、そう単純なのだろうか。

私は、今回のこの動きは、むしろ、鳩山総理による亀井・福島の少数与党政党対策だと思っている。

選挙において多数党化して権力の側に単独で立つ可能性がゼロに等しい福島、亀井の両党首にとって、一番怖いのは、彼らが「信頼」しているとされる小沢幹事長から「不要」という最後通牒を受けることだろう。

鳩山総理も、小沢幹事長もマスコミが思っているほど、単純ではない。権力の座に上り詰めるだけあって、非常に詳細かつ綿密な計算をした上での行動をしているだろう(軽口の問題は別として)。

今、政府与党内で一番の懸念事項は、亀井金融大臣のモラトリアム法案を巡る発言である。亀井大臣は突破力はあるものの、これが暴走化したときに止められるのは、選挙関係を一手につかさどる小沢幹事長しかいない。

小沢幹事長も、権力の二重化という実態とは反した批判が強いため、現在のところは、あくまで鳩山総理に主導権があるという印象付けのための行動が目立つ。

例えば、各省庁に政策会議を作って一元化するという通知を幹事長名であえて党内に対し行ったり、民主党がモデルとしているイギリスの政策決定の視察に赴いたりと、権力の二重構造という状態を回避する努力をしている姿勢を示している。

さらに言えば、財務大臣の決定に際し、土壇場になって、藤井大臣ではないのではないかという報道がなされたのも小沢氏が反対していたなどの情報がながれていたが、これも本当かどうかはわからない。

藤井氏が引退を表明していたところに、わざわざ鳩山総理が政権交代が見えてきた選挙直前に比例第一位に登録し、最後の奉仕をしてくれと依頼したという経緯がある。

主要な閣僚には国会議員が適切という鳩山総理のかねてからの持論を鑑みれば、その時から藤井財務大臣の誕生は決まっていたと考えるのが合理的であろう。

これを組閣直前で覆す動きが小沢幹事長から出てきたとの情報が流れ、結局、それを鳩山総理が押し切ったかのような形になったのは、小泉劇場でマスコミの影響力を知っている民主党の「演出」とも考えられないだろうか(こちらの記事は「永田町らしい仕掛け」と言及)。

そもそも、藤井財務大臣は自民党離党以来、常に小沢幹事長行動を共にしてきている。直近の代表選で岡田外相を支持したことで溝があるという報道がなされているものの、それだけで信頼関係が一気に吹き飛ぶとは考えにくい。

私は鳩山総理と小沢幹事長の関係は、かなり緊密なものがあり、意思疎通も既に多くの人が鳩山総理にアドバイスした通り、直接的に行っていると思う。

結局のところ、今回の政府与党連絡会議の設置は、当初予定とするところであった調整役を官房長官の平野氏とする体制では、十分な「重し」としての機能を果たさないことが明らかになったため、小沢幹事長に亀井大臣の暴走を止めさせようという意図があるのではないだろうか。

実際、鳩山総理が直接この問題を取り扱うことになれば、亀井大臣は更迭まで言及してしまった以上、さらなる混乱を生じかねない。

鳩山総理が直接かかわらずに事態を収拾するには、泣く子も黙る小沢幹事長に一役買ってもらおうというのが鳩山総理の真意ではないだろうか。

いずれにしても、マスメディアが、鳩山VS亀井とか、鳩山VS小沢とかいうような対立で面白おかしくとらえ、政権へのイメージを不必要に低下させるのはおかしな話である。

国民の多くは、政治劇よりも、どういう政策をいつ実行するのかに注目しているのであって、下らない政治劇の報道になり下がってほしくない。

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政府・与党会議、突然の設置…亀井金融相「積極予算を」
9月29日0時35分配信 読売新聞

与党3党の党首・幹事長らによる「政府連立与党首脳会議」が28日、急きょ設置された。

 政府側の発案によるものだといい、鳩山首相(民主党代表)、菅国家戦略相(副総理)、福島消費者相(社民党党首)、亀井金融相(国民新党代表)のほか、民主党の小沢幹事長ら3党幹事長で構成。同日の3党党首クラスによる「基本政策閣僚委員会」に先立って初会合が首相官邸で開かれ、平野官房長官も同席した。

 この日は首相の訪米報告後、平野長官が2010年度予算編成について説明。亀井氏は「無駄撲滅もいいが、積極予算を組むべきだ」と主張、福島氏は雇用問題の重要性を強調した。平野長官は28日の記者会見で、「節目節目でやっていく」と述べ、今後も随時、開く考えを明らかにした。

 ◆政府一元化に逆行、「小沢氏対策」の声も◆

 政府連立与党首脳会議の開催決定は突然だった。

 関係者によると、構想が浮上したのは27日。政府側から社民、国民新両党に連絡が入ったのは28日昼ごろだった。両党とも幹事長の都合が付かず、初会合に出席した幹事長は民主党の小沢氏だけで、社民党は近藤正道・政審副会長、国民新党は下地幹郎国対委員長が代理出席した。

 かつて鳩山首相と小沢氏も参画した細川連立政権での政府・与党の協議が「与党の小沢氏が主導権を握る二重権力を生んだ」と反省する立場からは、今回の会議設置への警戒感が出ている。「鳩山政権の政府・与党一元化に逆行する」と映るからだ。しかし、首相は28日夜、記者団に「政府の考え方を党側に全く伝えなくていいかというと、そうでもない」と説いた。

 もともと社民、国民新両党は、衆院で300議席超を持つ民主党主導の政権運営で埋没しないよう、与党協議の場を求めていた。民主党内にも「政府の外で主張されるより良い」といった、会議への前向きな評価もある。

 一方で、会議は「小沢氏対策」だとの見方も出ている。党務や国会運営を握る小沢氏の意見を聞く場を設けなければ不興を買い、政権運営が円滑にいかないと首相側が判断した、というものだ。28日の会議設置発表前に平野官房長官が小沢氏を訪ね、会議設置の了承を得たことも、こうした分析の背景となっている。国民新党幹部は「基本政策閣僚委員会で3党首が会うのに、小沢氏に説明しなくていいか、ということになったのだろう」と見る。民主党内には「小沢氏を取り込んだ方が一元化にいい」との受け止め方もあるが、小沢氏とのパイプを頼む社民党の福島党首、国民新党の亀井代表が連携し、首相の方針に異を唱える事態を懸念する声も出ている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090928-00000954-yom-pol

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09/28/2009

Ant and Decの人気は絶頂(任天堂もあやかりたい?!)

前回に引き続き、海外のエンターテイメントの話題。

しかも、スーザンボイルさんに関連し、イギリスの人気コメディー司会者Duoのアント・アンド・デック(Ant and Dec)と任天堂の広告戦略の話題である。

Ant_and_dec

Ant and Decはイギリスでは今や絶大な人気を誇っており、以前から何度か紹介しているように、イギリスで一番出演料の高い有名人とも言われている。

イギリスのテレビ局、ITVは彼らに、専属契約として、他のテレビ局への出演をできないようにする代わりに、およそ2000万ポンド(日本円で30億円)の契約をAntとDecのそれぞれとしているというから驚きである。

今回、そのAnt and Decが若干33歳にして、デビュー20周年を迎え、自伝「Ooh! What A Lovely Pair: Our Story by Ant and Dec (Michael Joseph) 」の出版(9月23日に発売)をしたらしく、イギリスの大衆紙、Dailymail紙がインタービューを行っている。

インタビューを見ていると、彼らの非常に稀な仲の良さが伝わってくる。よくDuoを組んでいるコメディアンなどはあまり私生活では仲が良くないとかいう話が多いが、Ant and Decは本当に仲が良い。20年間のテレビ活動の中で、1度しかケンカをしたことがなく、その一度の喧嘩も酔っぱらった際のものだったという。

また、イギリスの朝のトーク番組にも出演し、20周年を振り返っているが、司会者とのやり取りもジョークやウィットに富んでいる。

この二人の仲の良さは、イギリスでは有名で、2008年のクリスマスには以下のようなCMができ、話題を呼んだそうである。

さらに、イギリスメディアによれば、今年のクリスマス商戦では既に、任天堂のWiiのCMに起用されることが決まっているらしい。

Antanddec_2 

日本やアメリカでは任天堂のWiiのメーカ希望小売価格が値下げ(日本では10月1日から2万円となる見込み)されたが、イギリスでは値下げしていないため、Ant and DecのCM効果がどう出るのかも、注目したいところである。

大衆紙サン他のイギリスメディアによれば、任天堂は、200万ポンドをかけて、Ant and Decによる大々的な広告戦略を来月(10月)16日からクリスマスに向けて行う予定らしい。日本の任天堂関係者もAnt and Decの人気に期待しているだろう。

この任天堂の広告作戦は、私はなかなか効果があるのではないかと思っている。

Ant and Decはある意味、イギリスにおいても新しいタイプの有名人であり、イギリスでは、幅広い年代層に受け入れられ人気を保持している。

彼らの番組は、ファミリー向けの番組も多いので、WiiやDSを面白おかしく印象的にテレビでCMをすれば、その効果はかなりあるのではないだろうか。

特に、海外のCMは、全体としてみると、結構印象に残らないつまらないものが多いし、CM自体の評価が低く、有名人が出演したがらない傾向がある(日本でハリウッド俳優が出演するのは、CM料が高く、アメリカのファンが見みることのできない日本のCMだからであり、彼らはアメリカでCMには出たがらない)。

そういった市場に、あえて自国の人気コメディー司会者を起用すること自体、話題性があるし、実際に大衆紙が既に報じていることなどからすれば、既にそのCM効果は上がっているといえよう。

実際に任天堂の思惑もその通りのようである。

英国任天堂は、代表取締役、デイヴィット・ヤーントン(David Yarnton)氏の話として、「Ant and Decはお年寄りから孫まで幅広い層に人気があり、任天堂が5歳から95歳までのユーザーを対象としていることから、彼らは任天堂ブランドにとって、パーフェクトなパートナーだと思っています。任天堂は、今までゲームとは無縁だったまったく新しいユーザーグループにゲームの面白さを紹介してきました。Ant and Decが持ち前の明るさとウィットを、イギリス中の家庭にもたらすのが待ちきれません」というコメントを紹介している。

しかも、イギリスメディアによれば、この広告戦略は、Ant and Decの人気を十分に活かしたものになっている。

というのも、この人気の司会者が単にCM出演するのではなく、イギリスのWiiユーザーである一般人にインタビューをするなどするらしく、いわば、彼らが一般の視聴者と絡むことの多い人気番組、「Britain's Got Talent」や「Saturday Night Takeaway」を彷彿とさせるようである。

この広告戦略は、日本の企業の海外PRとしては、斬新なものであり、今後日本企業が海外の人気タレントをその国で起用するというキャンペーン方法がどうのような効果をもたらすのか注目したい。

なお、Ant and Decの自伝であるが、彼らは結構頻繁に出版しており、20周年を記念した最新の本はまだ日本のアマゾンでは取り扱っていないようであるが、イギリスでは一昨年前に販売された、以下の本の日本での発売日は2009年9月7日だったようである。

なお、以下の動画は、本の出版を記念したイギリスの大手出版社Waterstone社がアップした、Ant and Decへの質問コーナーである。ジョークを飛ばしあっており、見ていて面白い。

特に、面白いのは、2つ目の動画の2分20秒当たりの質問とその答えである。

質問が「小さい頃、ディズニー映画で何が好きでしたか?」という質問に対し、Antが「Who Cares?(そんなのいったい誰が気にするのさ?)」という回答をしている所や、「お互いどのように知り合ったのか?」という質問に対し、「全部本の中に書いてある」とそっけなく回答している所など、イギリスらしいジョークで、面白い。

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09/26/2009

スーザン・ボイル(Susan Boyle)さん、CDデビューでアメリカ進出への布石

最近政治などの硬い話題が多かったので、今日は海外のエンターテイメントの話題(MTVの記事を参考に)。

既に、ご存じの人も多いかもしれませんが、イギリスのテレビ番組、「Britain's Got Talent」とYoutubeで、有名になった、スーザン・ボイル(Susan Boyle)さんがアメリカのテレビ番組、「America's Got Talent」の決勝戦でゲストとして出演したそうです。

アルバムデビューを前に、その宣伝も兼ねてなのか、アメリカ進出への布石とみられているようです。

この「America's Got Talent」という番組はボイルさんがイギリスで出演したコンテスト番組のアメリカ版です。

ボイルさんはこの番組の中で、11月に発売されるCDアルバムの中の曲に収録されているといわれている、ローリング・ストーンズの「Wild Horses」のカバーを披露しています。

以下、この曲の歌詞です。

Childhood living is easy to do
The things you wanted I bought them for you
Graceless lady you know who I am
You know I cant let you slide through my hands

Wild horses couldnt drag me away
Wild, wild horses, couldnt drag me away

I watched you suffer a dull aching pain
Now you decided to show me the same
No sweeping exits or offstage lines
Could make me feel bitter or treat you unkind

Wild horses couldnt drag me away
Wild, wild horses, couldnt drag me away

I know I dreamed you a sin and a lie
I have my freedom but I dont have much time
Faith has been broken, tears must be cried
Lets do some living after we die

Wild horses couldnt drag me away
Wild, wild horses, well ride them some day

Wild horses couldnt drag me away
Wild, wild horses, well ride them some day

やはり、ボイルさんの歌声は、本当に不思議な心地よさと力強さがあり、なんとも言えない魅力を感じます。

このブログでも紹介しましたが、米国、Amazon.comの売り上げランキングで現在も1位をキープしている、スーザン・ボイルさんの待望のデビューアルバムは全世界で11月24日(イギリスでは23日に先行販売)に発売です。

ぜひ興味のある方は、予約して購入されることをお勧めします。

また、イギリスのガーディアン紙によれば、アイドル・ポップ・グループのTake Thatの元メンバーで、イギリスを中心にヨーロッパで人気の歌手、ロビー・ウィリアムズ(Robbie Williams)とスーザン・ボイルさんが、「クリスマス向けのCDアルバム売上第1位」のタイトルをめぐって、競争していると報じています。

既にイギリスでは、賭け屋(ブックメーカー)が2:5で、ボイルさんの優勢と見るオッズをつけるなど、ボイルさん人気は健在のようです。

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09/24/2009

交渉拒絶は住民のエゴ(八ッ場ダム問題と報道について)

非常にセンセーショナルなタイトルをつけた。

このタイトルは誤解を招くおそれもあるので、迷ったが、やはりはっきりさせるべき問題なので、私はあえて誤解を恐れずにこの問題について言及したい。

私は、先日、八ッ場ダムの建設中止問題を取り上げて、民主主義というのはどういうものなのかという記事を紹介した。

通常よりもアクセス数が多かったので、それなりの反響があったと思うのだが、今回もこの問題について再度、私見を発信したい。

私は、論理的にも、法的にも、さらには感情的にも、この中止反対派と称される人々の主張はまったくもって理解できない。

もちろん、住民が自民党政権下で翻弄され続けたという点は同情するに値するが、だとしても正当な補償を受けてきた、また、今後受けることが約束されている以上、反対派と称される住民たちの主張は理解できないし、まして正当な補償を受けるための交渉を拒絶するというのは、エゴ以外の何物でもないだろう。

前原国交大臣(私は個人的には前原誠司は政治家として好きではないが)が、建設中止という結論が変わらないとしたことは当然のことである。

なぜなら、308議席を民主党に与えたという信託は否定しようがなく、マニフェストに明記された以上、それを実行するのが民主党の責務だからである。

もちろん、私自身も民主党の政策に疑問があるものは沢山ある。例えば、マニフェストに明記されているものとしてあげれば、子供手当や東アジア共同体構想については基本的に反対である。

しかし、民主党が308議席を獲得した今、私は民主党により多くのマニフェストに記載された政策を実行してもらいたいと思っている。なぜならば、それが政治不信の払しょく、および、政治の健全なあり方を示し、ひいては日本が成熟した民主主義国家であることになるためである。

選挙期間中約束したことを選挙後にひっくり返すのは、これは完全な背信行為であり、これを自民党政権下で許してきた日本国民の民主主義政治に対する認識の甘さは、およそ先進国とはいえないレベルである。

例えば、なぜオバマ大統領がアフガニスタン問題に必死なのかだろうか。

答えは、簡単である。彼は選挙期間中に、アフガニスタン問題を最優先に解決してイラクからは撤退すると誓ったためである。しかし、アフガンの治安状況が悪く、アフガン情勢の見通しがつかないことが、オバマ政権を苦しめているのである。つまり、オバマ政権も選挙期間中の公約に従って、外交上の優先課題を決めている。

公約を十分に実現できず、国内的には無能な政治家と称された人物もいる。

それはアメリカ39代大統領、ジミー・カーター(Jimmy Carter)である。

ニクソン政権下での不況を打開するために、1976年の選挙戦では、改革と効果的な経済政策を謳ったものの、4年の在任期間中は十分な経済政策を打つどころか、経済を後退させたともいわれた。1980年の大統領選挙では、489対49という代議員数の大差で、ロナルド・レーガンに敗れた。以後、ジミーカーター元大統領は完全に国内政策に疎い無能な政治家として、アメリカ国内では評されることが多い(もっとも、国際的には比較的好意的な評価がある)。

他方で、私はあまり評価していないが、ロナルド・レーガン大統領はアメリカでは未だにヒーローであり、共和党支持者にはレーガン・リパブリカンと称される人々が数多くいる。

この理由も簡単である。レーガン大統領は選挙中、強いアメリカを謳い、「レーガン・プラン」という経済政策を発表し、実際、彼の政権下では、GDPが毎年3.4%に達し、インフレーションもカーター時代の約13%から、約4%までに抑え込むなどアメリカに好景気をもたらしたためである。

したがって、政権の実績と評価は、結果として選挙期間中に約束したことがどれだけ実現できたか否かなのである。

話を八ッ場ダムに戻すと、民主党はこのダムを名指しで中止すると選挙期間中に約束したわけである。そして、その民主党に対し480議席中の308議席を国民は選挙で与えた以上、これを撤回するというのは、国民の信託に対する著しい背信行為である。

反対派住民が非常に過酷な状況を経験してきたことは解るが、だからといって、308議席という結果の重さに鑑みれば、それをひっくり返すことは到底あってはいけないことなのである。なぜなら、それが民主主義だからである。

したがって、反対派住民が「中止という結論ありきでは交渉に応じられない」というのは、エゴに基づく駄々っ子以外の何物でもないのである。

もちろん、翻弄された住民には損失補償を受ける権利があるだろう。しかし、彼らには、国民の信託を覆すような権利はないのである。

民主主義の正当性の根拠が少数意見との十分な議論を通じた上での多数意見による実行であるとしても、この問題における少数意見の反対派住民は、議論すら放棄しているのであるから、彼らは民主主義を否定していると評しても私は過言ではないと考えている。

さらに、主要マスメディアが、民主主義の本質を理解せず、この問題を利用して、混乱ぶりを報道し、面白おかしい政治劇を作り出そうとしている現在の日本の主要メディアによる報道を見ると、日本のメディアが日本をここまで腐らせてきたのではないかと思ってしまう。

国民の知る権利に資する報道だということを主張するのであれば、一方的、公平性の欠ける視点からの報道は慎み、反対派住民をはじめとする抵抗勢力にどういった利権関係があるのかを厳しく報道するのが本来のマスメディアの役割ではないだろうか。

今のメディアの報道では、建設を進めたい国交省の意図的に歪められた情報に基づいて、かなりミスリーディングな形で、現在の八ッ場ダムの工事の進捗状況が伝えられているなど、マスメディアは、この問題に対しても、まったくもって国民の知る権利に資する活動を一切していない。

政権交代が起ころうが何が起ころうが、日本の状況が良くならないとすれば、それはすべて下記にある産経新聞のようなマスメディアによる非民主的な思考停止社会のせいではなかろうかと最近は思ってしまうのである。

記事には「問題を長期化させるのは耐えられない」という反対派住民の声があるが、彼らが交渉を拒否して、自ら長期化させていることを一切指摘しないメディアの甘っちょろい報道はどうになからないものであろうか。

なお、こちらのブログの方のように、まともな意見を言う方もかなり多くいるようで、多少は安心する。

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八ツ場ダム交渉不発 意気込む前原国交相、住民「何を今さら」
 9月23日21時19分配信 産経新聞

「住民の苦労と不安に耳を傾けたい」と意気込む前原誠司国土交通相。「何を今さら」と反発する地元住民。23日に八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)を視察した前原国交相を待ちかまえていたのは、住民らの強硬な反発だった。結局、この日は、地元首長らとは会えたものの、住民の生の声は聞けずじまい。国民の圧倒的な支持を受けて発足した民主党政権だが、政権公約(マニフェスト)の現場では厳しい現実にさらされた。

 視察中の取材は一部を除いて、一切規制される異例の厳戒態勢の中で行われた今回の訪問。建設予定地や代替地視察は10分間程度、工事担当者の話を聞いただけだった。水没する川原湯温泉の訪問はせず、予定していた意見交換会も住民側から拒絶。戸別訪問など地元住民との接触は一切試みられなかった。

 「10分の視察で半世紀以上の苦悩が分かるはずがない」。すでに水没予定地から代替地に転居した会社員の篠原健さん(33)は不満を漏らした。

 代替地には、完成を見届けずに亡くなった住民が眠る墓地もある。「彼岸に中止を言いにくるなんて不謹慎」と不満を漏らす人もいた。

 23日は大型連休最終日で、川原湯温泉はかき入れ時。旅館「柏屋」の専務、豊田幹雄さん(43)は「とても話し合いに応じる余裕なんてない」と憤った。

 住民側は「中止ありきでは交渉に応じない」と意見交換を全面的に拒否。前原国交相は現地での記者会見で「最後まで努力したが実現しなかった」とだけ説明。川原湯温泉など水没地区が視察予定地になかった点を聞かれると、「また来る」とだけ語った。

 住民らの思いは複雑だ。当初から建設推進だったわけではない。長年の反対運動の末に、治水対策など公共の利益を説く国の説得に応じる形で苦渋の決断をした経緯があるからだ。

 建設計画発表から57年。長い闘争の過程で、疲れ果てた住民は別の地域へバラバラと転居。代替地へ集団移転予定だった約340世帯も結局は約90世帯に。すでに地域社会は大きな犠牲を払ってきたのだ。

 残った住民はダム完成を前提としての街の復興を思い描く。「われわれには時間がない」。唯一の意見交換の場となった自治体側との会合終了後、長野原町の高山欣也町長は前原国交相に歩み寄り訴えた。

 建設中止が降ってわいたことで、住民同士が再び反目し合う事態も想定される。この日も、建設反対派が国交相一行に賛同の意見書を渡す光景があった。

 温泉街で唯一の土産物屋、樋田ふさ子さん(80)。60年近い、ダム構想の推移を一番の現場で見続けてきた。「大臣が来るなら再建の代替案を提示するべき。これ以上、問題が長期化するのはもう耐えられない」。その一言には十分すぎるほどの切実さがあった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000571-san-pol

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09/23/2009

国連での鳩山演説について(25%カットに会場から拍手も)

既に報じられているように、鳩山総理が外交デビューを果たし、首相の演説は比較的、書く国や海外メディアからは好意的に受け止められているようである。

まず、演説の原文はこちら

Mr. Secretary-General,
Excellencies,
Distinguished Delegates,
Ladies and Gentlemen,

It is my great pleasure to address this timely meeting of the United Nations Summit on Climate Change. I was appointed as Prime Minister of Japan six days ago, in a historic change of government achieved through the will of the people at the recent elections.

Climate change affects the entire globe and requires long-term and international efforts. Thus, it is imperative for all countries to address the issue under the principle of "common but differentiated responsibilities". With the change of government, as Prime Minister of Japan, I will now seek to unite our efforts to address current and future global climate change, with due consideration of the warnings of science.

[Reduction targets]

Allow me to touch upon the issue of reduction targets for greenhouse gas emissions.

Based on the discussion in the Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC), I believe that the developed countries need to take the lead in emissions reduction efforts. It is my view that Japan should positively commit itself to setting a long-term reduction target. For its mid-term goal, Japan will aim to reduce its emissions by 25% by 2020, if compared to the 1990 level, consistent with what the science calls for in order to halt global warming.

This is a public pledge that we made in our election manifesto. I am resolved to exercise the political will required to deliver on this promise by mobilizing all available policy tools. These will include the introduction of a domestic emission trading mechanism and a feed-in tariff for renewable energy, as well as the consideration of a global warming tax.

However, Japan's efforts alone cannot halt climate change, even if it sets an ambitious reduction target. It is imperative to establish a fair and effective international framework in which all major economies participate. The commitment of Japan to the world is premised on agreement on ambitious targets by all the major economies.

On the establishment of the domestic emission trading market, we will promote exchange of information on systems of other countries, and hold discussions on the issue, bearing in mind the impact on international competitiveness as well as possible future linkages among countries.

[Support for developing countries]

Climate change requires a global response. In the process of furthering sustainable development and poverty reduction, developing countries must aim to reduce greenhouse gas emissions under the principle of "common but differentiated responsibilities". This is especially important for developing countries with large emissions.

Solving the problem of climate change will entail a vast amount of financial resources, in particular to support adaptation efforts by vulnerable developing countries and small island countries. Such financing should be strategically expanded. Japan is prepared to provide more financial and technical assistance than in the past, in accordance with the progress of the international negotiations.

Public financial assistance and technology transfer to developing countries are critically important.

However, they alone will not meet the financial needs of developing countries. I therefore intend to work with world leaders on creating a mechanism that not only ensures the effective use of public funds but also facilitates the flow of private investments.

Japan deems the following four principles essential in assisting developing countries:

First, the developed countries, including Japan, must contribute through substantial, new and additional public and private financing.

Second, we must develop rules that will facilitate international recognition of developing countries' emissions reductions, in particular those achieved through financial assistance, in a measurable, reportable and verifiable manner.

Third, on assistance to developing countries, consideration should be given to innovative mechanisms to be implemented in a predictable manner. And an international system should be established under the auspices of the UN climate change regime. This system should facilitate one-stop provision of information on and matching of available bilateral and multilateral financing, while securing transparency and effective utilization of assistance.

Fourth, Japan proposes to establish a framework to promote the transfer of low-carbon technologies which ensures the protection of intellectual property rights.

I would like to propose to the international community a "Hatoyama Initiative", based on what I have just outlined. The Kyoto Protocol was a historic milestone, as the first international framework that obligated nations to reduce greenhouse gases. Effective efforts, however, cannot be realized unless a new framework is created. To that end, towards establishing a fair and effective new single undertaking, I will exert every effort for the success of Copenhagen, in the course of formulating this initiative.


[Conclusion]

Active measures to address climate change such as the Green New Deal initiated by President Obama will open new frontiers and create new opportunities for employment in the world economy, particularly in such fields as clean energy technologies, including electric vehicles, and solar power generation.

Japan has relatively strong potential for technological development as well as considerable financial capacity. Thus I recognize that Japan is expected to take the lead in the international community in setting its own reduction target, and to achieve such target through the development of innovative technologies. I have full confidence in the abilities of the Japanese people and our companies. Political leaders at this time also have a responsibility to future generations to create a sustainable society by transforming the social structure that we have known since the Industrial Revolution.

In conclusion, I wish to make a strong appeal to you to work together, so that we will be able to make significant achievements in Copenhagen in December and that the people of the world will be able to say that their leaders made crucial decisions for the sake of future generations.

Thank you very much.

APF通信は、鳩山総理の演説にある25%という目標について、「ビジネス重視の自民党政権と比べると、かなり野望的な目標を掲げた」と好意的に評し、中国やインドに対し、参加への呼びかけを行ったとの報道をしている。

BBCでは、国連における主要な発言と題して、潘基文国連事務総長、オバマ米国大統領、胡錦濤中国国家主席の次に、鳩山総理の発言を紹介している(なお、記事はこれにフランスのサルコジ大統領を加えた5人の演説のみを取り上げている)。

日本の総理の演説がこれだけ注目を浴びているのは、珍しいことである。

さらに、BBCは、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のイボ・デブア事務局長のコメントとして、「このような目標を掲げたことで、気候変動の問題に対する先進国が合意を模索する上で、日本が今後、主導的役割を果たすだろう」というコメントを紹介している。

"With such a target, Japan will take on the leadership role that industrialised countries have agreed to take in climate change abatement," Yvo de Boer, head of the UN Climate Change Secretariat, told the conference.

さらに、BBCの記事は、世界第二位の経済大国で、かつ、世界第五位の温室効果ガス排出国である日本では、経済同友会などの経済団体の反対とロビー活動があることを伝える一方、今回、鳩山総理が名指しこそ避けたが、中国やインドという発展途上国に対し、温室効果ガスの削減に対する努力が必須であるという演説を紹介している。

また、BBCのリチャード・ブレイク特派員は、日本の25%削減というプランが12月のコペンハーゲンでの国連サミットで合意に達した場合という条件付きであることを指摘し、今回の鳩山首相の演説は、国連の交渉担当者たちに、いわば、「人参」を与えたことになると評している。

さらに同氏は、合意に達しなかった場合について鳩山首相の言及がないことを指摘したうえで、今後日本の新しい政府がどう今回の「修辞」を現実のものにしていくか真剣に考えることが問われていると締めくくっている。

Japan's plan is conditional on achieving a deal at the UN summit in December, so it presents an additional "carrot" to negotiators; the new Japanese leadership has not spelled out what will happen if a deal is not reached.

The new government now has some serious thinking to do about how to turn rhetoric into reality.

なお、同氏のブログでは9月7日付の記事で、鳩山イニシアティブを「黄金の人参」と称して、日本が従来の環境政策に対する消極的な姿勢の型を破ったと評価し、「日本は真剣に取り組む姿勢を見せた。アメリカがこれにどう応えるか注目しよう」と述べている。

蛇足ですが一言。

日本のメディアは、鳩山首相の英語が流暢だと評していますが、正直、「言うほど流暢かな?」という印象です。

発音は従来の首相に比べれば良い方なのかもしれませんが、英語の演説力という点からすれば、もう少し訴えかけるような演説ができたはずだと思います。

英語力と、英語でのスピーチ力、英語での弁論能力は全くの別物です。

鳩山総理は英語力は留学もされてましたし、かなりあると思いますが、英語でのスピーチ力、弁論能力という点からすれば、上記リンクにある産経新聞が言うほど、絶賛すべきものではないと思います。

今後、色々国際舞台で活躍する機会があるでしょうから、ぜひスピーチ力というのを磨いてほしいものです。

その点、私は、トニー・ブレア前イギリス首相のスピーチ力がかなり参考になると思っています。鳩山総理がこんなブログ見ることはないでしょうが、日本のリーダーにはぜひともトニー・ブレア氏の演説能力を見習ってほしいと常日頃思っています。

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環境問題に関係して、面白そうな本があったので紹介しておきます。

私の好きな養老孟司先生の本です。彼の本は難解な表現をすることがたまにありますが、非常に面白いですね。既存の見方とは違った見方を教えてくれるので、頭の体操にもなります。

そもそも、このタイトルにあるように、環境を知るとはどういうことなんでしょうね。

是非読んでみたい本です。

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09/22/2009

米メディアの報道から岡田・クリントン・スミス日米豪外相会談を考察

クリントン・岡田・スミスの日米豪の外相会談が行われました。

Okada_clinton_smith

クリントン長官の発言が国務省にアップされているので、関心のある方は、日本の報道だけでなく、原文を見た方がよいでしょう。

私は、アメリカ政治を専門にしてましたが、どちらかというとアメリカの国内的視点でのアメリカ政治に注目していたので、日米外交という形での知識はどちらかというと乏しいです。

しかし、私はあえてその方がよいと思い、アメリカの国内的視点からの問題の考察という点に注目してきました。その理由は簡単です。国内問題が与える外交への影響が大きいからです。

そういった視点で、今回の会談に関する情報を収集し、分析してみました。

まず、国務省のウェブサイトにある会談の原文からです。

Well, let me say what a great privilege it is for me to welcome the foreign minister so soon after he has taken his new position – five days. And obviously, the alliance between the United States and Japan is a cornerstone of our foreign policy and indispensable to the security and prosperity of the Asia Pacific. We are both representing new governments, although the minister is much newer than I am now. And I look forward to working with him to develop and strengthen even stronger bonds of partnership, friendship, and alliance in pursuit of our common values, and a future that we hope will be even better for our people.

クリントン長官の発言およびその報道を見る限り、従来既存の主要メディアにより報じられていた鳩山政権に対する危惧は感じられません。

むしろ、岡田外相が就任わずか5日後であること、日米で起こった政権交代による新しい政府であることを強調し、ともに問題に取り組もうという趣旨の発言です。

また、この会談に対するアメリカのメディアの扱いもそれほど大きくありません。

その後、クリントン長官は、グリジアやチェコ、コスタリカの首脳と会談しており、日本との注目も、いわば、そのOne of Themといったところでしょう。

さらに、クリントン長官とメディアとの対談でも、日米問題についてはおろか、「日本」や「岡田外相」に対する言及すら一切ないことからすれば、「鳩山新政権にアメリカが懸念している」とか言うたぐいの話は、日本のメディアの過剰反応というのを如実に表していると思います。

つまり、アメリカの国内的視点からすれば、日米同盟の問題よりも、「アメリカ自身の」アフガニスタンに対する外交政策をどうすべきかに関心があるのです。

もっとも、キャンベル国務次官補から、日本の国内世論に対して配慮した重要な発言がありました。ロイター通信の記事では、以下の発言をしたと言っています。

"We have, and others in the U.S. government, have underscored that there are certain areas on Okinawa and elsewhere that we think a degree of continuity is critical -- the best way forward," Campbell told reporters.

"However, the truth is that the United States -- as an alliance partner and a strong friend of Japan -- at this early stage, we cannot be in a position to dictate," he added.

"We must make clear that we are committed to a process of dialogue and discussion," Campbell said.

やはり、注目すべきは、「このような初期的な段階で、アメリカが決定権を握る(アメリカが一方的に指示する)立場にはない」という部分の発言です。

308議席で大勝した鳩山民主党政権の背後にある日本の国内民意を配慮し、対話と議論をするという姿勢を強調しています。

もちろん、一度合意したものですから、アメリカにとっては再度蒸し返されるのは通常良い思いはしないでしょう。

しかし、アメリカ政府がこのように柔軟な姿勢を示していることは、日本のメディア以上に、日本で起こった政権交代の意味をアメリカ政府が正確に捉えていることの表れだとと私は思います。

そして、この会談の取り上げ方が少ないアメリカメディアですが、あえて言えば、その関心は、岡田外相の以下の発言にあるようです(以下、AFP通信の記事より)。

Foreign Minister Okada hinted Sunday that Japan could offer more development aid to Afghanistan in place of the naval support mission.

"If Japan can generate the situation where Taliban soldiers on the frontline would be able to feed their family members and offer education, then the situation in Afghanistan will change," he said.

"There is a significant number of people who work for Taliban to earn money."

アフガン問題については比較的中立性のある日本が、資金援助というソフト面でのアフガン支援をすることで、タリバンから金をもらうために働いているアフガニスタン人に武器を持たずとも食べていける状況を作り出すという役割を表明した岡田外相に対して、アメリカ政府はもちろん、アメリカののメディアも比較的好意的な反応を示しているようです。

海外の目は、いかにアフガンの状況を改善するかに注目しており、現在、軍事作戦が功を奏していない状況から、日本の非軍事的な貢献について関心が高まっているようです。

クリントン長官もかねてから、非軍事的なものと軍事的なものを柔軟に使い分ける外交方針を打ち出していましたから、アメリカの関心は給油継続ではなく、日本の非軍事的貢献に映っているのかもしれません。

なお、オーストラリアのメディアは、この会談について、日米豪の三ヵ国によりイニシアティブを維持することが極東アジアの安定につながるという観点から報じています。

国務省の公式ブログ(記者は国務省のオーストラリアの担当官)でも、この会談が取り上げられており、専ら日米豪の三ヵ国による戦略会議の意義や今後の共通の利益の模索などについて説明がされています。

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09/21/2009

政権内の食い違い自体は全く問題ではない(連立政権のあるべき姿を考える)

政権内に意見の食い違いがあるのは連立を組む、組まないにかかわらず、これは生じるものです。

アメリカでも、オバマ大統領とクリントン国務長官の外交姿勢には違いがあります。ただ、メディアがそれを過剰反応的に報道しないだけです。

イギリスでも、ブラウン首相と次期労働党のニューリーダーと称されているミリバンド外相は考え方の違うグループに属しているといわれています。ミリバンド外相はブレア派で、閣内でブラウン首相を支えているのは、労働党の分裂を避けるためといわれています。

これについても、イギリスでは過剰に報道しません。

ドイツは大連立を組みながらも、選挙では、メンケル首相率いる民主キリスト同盟と左派の社民党はお互いの政策等を批判しながら、選挙戦を現在行っています。

しかし、ドイツでも、こうした政権内の食い違いは当たり前のこととして、過剰反応しません。

つまり、欧米の成熟したメディアは、政権内の食い違いに注目し、ゴタゴタしているなどという批判はしません。政権内にいる人間が違えば、考え方にもズレがあるでしょうし、それは連立を組んでいるか、組んでいないかにかかわらず、当然生じることです。

どんなグループ(政治の政界から私企業の職場、学校、家庭というあらゆる場面の単位)においても、それぞれの考え方に違いがあるのは当然なのです。

メディアの記事では、あたかもそれが大問題かのように報じ、多くの視聴者もそれが問題であるという刷り込みをされていると思います。

しかし、「政権内に違いがあることが問題」という前提を疑うべきです。

メディア内では、数多くいる記者は同じ考えで行動し、同じ発想しかしないのでしょうか。

そのようなことは自然に生じることはないでしょうし、仮にそうだというのであれば、人工的に、半ば強制的にそういう状況を作っているのであって、それこそ大政翼賛会などと同じです。

重要なのは、食い違いをどのように克服するかであり、食い違いがなければ、よりよい結果を生み出すことはできません。

したがって、政権内に食い違いがあること自体は全くもって問題ではないのです。

では、どういう場面が問題なのでしょうか。

私は、食い違いが生じたときに、308議席という大勝をした民主党が掲げたマニフェストの本質を変更するような修正を、非主流派であったり、少数政党の社民や国民新党が求めた場合、及び、それに鳩山民主党が応じた場合だと考えています。

したがって、こうした連立政権においては、少数政党も自分の議席数をわきまえなければなりません。なぜなら、多数議席を保有する政党の政策の本質を変えるような主張を押しきれば、それは、非民主的だからです。

もっとも、私は民主党が数の力で押し切るべきといっているわけでもありません。食い違いがあること自体を問題視せず、食い違いがある事項でお互いに徹底した議論をし、最終的には、多数議席を保有する民主党がマニフェストに掲げた政策の本質を変更しない範囲での修正には多いに応じるべきでしょうし、そうした政策は民主的過程を通じた正当な結果ということになるでしょう。

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政権内に食い違い、返済猶予や郵政でも
 9月21日11時39分配信 読売新聞

 民主、社民、国民新の3党連立で発足した鳩山政権で、経済政策を巡って3党間の食い違いが表面化してきた。

 「寄り合い所帯」が意見の相違を乗り越え、順調な政策運営を続けることができるのか。閣僚間の論争の行方とともに、鳩山首相の調整力も注目される。

 ◆子ども手当◆

 「閣内不一致の火種」となっているのが、国民新党の亀井金融・郵政改革相だ。20日放送されたNHKの討論番組では、民主党の「目玉施策」である子ども手当について「ずっと続ける制度なら、(所得制限を設けた方が)財源的にもいい」と主張。社民党の福島消費者相も同調した。

 これに対し、所得制限を設けないとしている民主党の藤井財務相は「子どもは社会からの預かり物という発想で、親のためにやるのではない」と述べ、子どもの成長を支援する政策に差を付けるべきでないとの考えを強調した。

 所得制限を巡っては麻生政権が定額給付金の支給を決定する際にも閣内で賛否両論が巻き起こり、政権の迷走ぶりを印象付けた。連立3党は今後、所得制限の是非について協議するが、対応を誤れば内閣の支持率低下を招く可能性もある。

 ◆返済猶予◆

 銀行借り入れの返済猶予制度でも、亀井金融相と藤井財務相の認識は異なる。

 亀井金融相は同じ番組で、「借り手が七転八倒している状況を放置できない。(民間同士では)うまくいっていないのだから国が出ていく」と述べ、関連法案の提出に改めて意欲を示した。一方、藤井財務相は18日の閣議後会見で制度導入に慎重な姿勢を示し、番組では制度に関する論評を避けた。

 3党の政策合意は、中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」の成立を掲げているが、具体的な内容は「貸し付け債務の返済期限の延長、貸し付けの条件の変更を可能とする」にとどまる。「最長3年間の返済猶予制度を新設」と明記した国民新党の政権公約とは距離感がある。

 ◆郵政改革◆

 日本郵政グループの再編でも微妙な温度差がある。

 3党は、早ければ臨時国会に、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険への全国一律サービス(ユニバーサルサービス)義務付けや、持ち株会社の日本郵政と郵便事業会社、郵便局会社を合併させる再編案などを盛り込んだ「郵政改革基本法案」を提出する方針だ。

 ただ、日本郵政が金融2社の株式をどれだけ保有するかについて、民主党はある程度の売却が必要とするのに対し、国民新党は全株保有も視野に入れる。現在は3分の2超とすることを軸に調整が続いている。

 同法案の提出時期も、臨時国会にこだわる国民新党と、通常国会を視野に入れる民主党との違いは残っている。(五十棲忠史、小川直樹、加藤弘之)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090921-00000359-yom-pol

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09/20/2009

数におごるとしっぺ返しが必ず来ます(永住外国人への地方選挙権付与の問題)

シルバーウィークが始まりましたね。皆さんはいかがお過ごしですか?

私は連休中に釣りに1回行きたいなと思っています。釣りは小学生の頃やったことがある以来なので、上手くできるか解りませんが、せっかくの秋の休みなので、何かそれらしいことを1日やれれば、息抜きもできるかなあと思っています。

さて、今日は、2つのニュースについて論じます。

1つは鳩山民主党政権に対するエール。もう1つは苦言です。

官僚が政治家によりコントロールされる。

まさにこれが本来政治のあるべき姿です。

責任を取るのは、国民の信託を受けた議員により選出された内閣総理大臣が任命した国務大臣です。

基本的に官僚が省庁の見解を代表するような記者会見は禁止するのは当然です。

この制度で、イギリスでは政治もメディアも日本以上にしっかり機能しています。

一連の官僚記者会見に関するメディアの抵抗、及び、記者クラブ廃止に対するメディアの反抗を国民は注視していく必要がありそうです。

新政権に戦々恐々 記者会見見直す省庁続々

9月18日23時45分配信産経新聞

 鳩山内閣が官僚による記者会見廃止の方針を打ち出した波紋が広がっている。鳩山首相は18日、事務次官の定例会見は中止とするものの、必要と判断した場合は官僚による会見や情報提供は行ってもいいとの方針を示した。ただ、警察庁が長官の定例記者会見を廃止したほか、海上保安庁も長官会見を廃止するなど「脱官僚依存」を掲げる新政権に戦々恐々としている様子が浮き彫りになった。

 中井洽(ひろし)国家公安委員長は18日夕の記者会見で、警察庁長官の定例記者会見を廃止し、今後は委員長会見に長官が同席する方式とすると発表した。

 今後、会見は委員会の主催とし、委員長が欠席の場合は、5人の公安委員のうち1人が代理として質疑に応じる。また、重大事件が発生した場合など長官が臨時に単独で会見に応じる場合には、委員長に事前に届け出ることを警察庁に求める方針という。

 一方、海上保安庁は各管区海上保安本部に対し、定例記者会見の開催を当面見合わせるよう指示した。海上保安庁で毎月1回行われていた長官会見についても廃止を決定。第2管区海上保安本部(塩釜)と4管(名古屋)、6管(広島)、8管(舞鶴)、9管(新潟)は18日、定例記者会見を中止する方針を明らかにした。

 農水省も農水相による閣議後会見で、これまで慣例だった官房長の同席を取りやめた。中部運輸局(名古屋市)は29日に予定していた記者懇談会を中止した。

さて、次のニュースは永住外国人への地方選挙権の問題です(あえて、私は参政権という言葉を使わず、選挙権と以下言います)。

私は、日頃、小沢幹事長の政治手腕は高く評価していますが、この問題に対する取り扱いは非常に不適切だと思います。

少なくとも、永住外国人の地方選挙権付与の問題は、国民の参政権に非常に大きな影響を及ぼす問題ですから、現在の衆議院では、かかる法案を通過させることは不適切だと思っています。

その理由は簡単です。

民主党は、8月の衆議院選挙で、この政策をマニフェストに入れていないからです。

選挙の争点として、国民の十分な審判を経ていない問題ですから、安易に付与する動きは到底認められないと思っています。

多少、例としては不適切かもしれませんが、選挙権の付与というのは、株式会社の非公開会社でいう新株(とりわけ、株式の自益権という点に似ていると思うわけです)の発行に似ており、会社法上、非公開会社における新株の発行には、株主総会の議決によらなければなりません(会社法199条1項、2項)。

なぜ似ているのかといいますと、基本的に、地方選挙権を外国人に付与するというのは、地方自治体における構成員の拡大を意味します。新株の発行も、会社という社団の拡大行為ですから、その点に類似性があると感じるわけです。

そして、譲渡が可能な株式(非公開会社においては会社の承認を必要としますが)でさえ、株主総会という場での決議が必要なのです。

したがって、選挙権という本来国民にのみ憲法上保障された権利を永住外国人という保障されない人々にその権利を付与し、いわば地方自治体の構成員を拡大するのですから、それを実行するには、選挙において、その是非が明示的な争点となり、その選挙を通じて、国民の審判を仰がなければならないはずです。

にもかかわらず、参議院選挙の前に、法案として通してしまおうというのでは、筋が通りません。

もちろん、通常の法案であれば、国会議員は既に国民の信託を受けていますから、彼らが十分な議論を尽くして判断した法案は、マニフェストになくとも法案化されることは何ら問題がありません。

しかし、永住外国人への地方選挙権付与というのは、地方自治体の構成員を変更するという非常に大きな問題で、かつ、高度に政治的な問題です。

あえてこの前の選挙の争点から外しておきながら、そして、選挙後にやってしまおうというのは、間接民主主義の悪用であって、筋が通りません。

あえて選挙前に、マニフェストへの記載を見送ったものなのですから、それを選挙後に国民的な議論を待たずにやってしまおうというのは、国民に対する背信行為ととられても仕方ないでしょう。

なお、下記の産経新聞は憲法違反などという話をしていますが、憲法は永住外国人の地方選挙権については、憲法は禁止はしておらず、保障もしていない。いわば、許容しているに過ぎないというのが判例の立場です(最判平成7年2月28日)。

判例が、選挙権を外国人に憲法が保障していないと考える理由は、地方自治という重要性から、憲法93条2項の住民とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民と考えるのが相当で、外国人には、憲法が選挙権を付与していないと考えるのが妥当だからです。

さらに、判例が、外国人への地方選挙権を付与することについては憲法が禁止していないと考えるのも、住民の意思に基づく政治形態を憲法が保障しているので、永住者等のその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つにいたったと認められる外国人については、立法裁量の範囲で、選挙権の付与は認められると考えています。

もっとも、被選挙権については、判例は言及していませんから、違憲という可能性は残されているでしょう。

いずれにしても、外国人への地方参政権付与の問題は、このような判例があることを前提に、国民的な議論をしたうえで、法案化すべきでしょう。

今回の衆議院選のマニフェストにあえて載せなかった政策を、焦って参議院選挙前に通そうとすることには大きな違和感を覚えます。

また仮に被選挙権を付与するような場合は、違憲判断が出る可能性もあります。

外国人と参政権という問題はそれだけシビアな問題ですから、今の行け行けドンドンというような民主党の勢いで通そうとすれば、有権者の民主党への期待と支持は急落することになるでしょう。

歴史的勝利をしたからと、何でもかんでもやろうとするのではなく、マニフェストにない政策については、「わきまえる」ことの重要性を小沢幹事長をはじめ、民主党の議員には感じてほしいです。

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小沢氏が韓日議連会長と会談 参政権付与「通常国会で目鼻」
9月20日0時43分配信 産経新聞

 民主党の小沢一郎幹事長が19日、李明博(イミョンバク)大統領の実兄で韓日議員連盟の李相得(イサンドク)会長(ハンナラ党国会議員)と会談し、永住外国人への地方参政権付与問題について「何とかしなければならない。通常国会で目鼻を付けたい」と述べていたことが分かった。民主党筋が明らかにした。早ければ来年1月召集の通常国会で法案提出を目指す意向を示したとみられる。鳩山由紀夫首相も推進論者として知られるが、民主党内にも反対論が強いため、意見集約は難航しそうだ。この問題は「憲法違反」との指摘もあり、来夏の参院選に向け、大きな争点となる可能性がある。

 会談は19日夕、党本部で約40分間行われ、「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上推進議員連盟」(会長・岡田克也外相)事務局長を務める民主党の川上義博参院議員、権哲賢(クオンチヨルヒヨン)駐日大使らが同席した。

 参政権付与問題は、権大使が「ぜひお願いしたい」と要請し、小沢氏が前向きな姿勢を表明したという。

 民主党は結党時の基本政策として地方参政権付与の早期実現をうたっている。小沢氏も推進論者として知られ、昨年2月に就任直前の李大統領と会談した際も付与に向け、努力する意向を伝えた。今月11日に川上氏とともに在日本大韓民国民団(民団)幹部と会談した際も「自分はもともと賛成なので、ぜひ来年の通常国会で方針を決めよう」と述べたとされる。

 ただ、民主党内にも反対論が根強く、衆院選マニフェスト(政権公約)には盛り込まれなかった。国民新党も反対を表明している。今回の会談で民主党は会談内容の記者説明に応じず、概要を記した発表文を1枚配布。付与問題に関するやりとりは公表しなかった。

 一方、小沢氏は李氏との会談で「韓国との関係を形式的なものではなく本当の信頼関係を作り上げることに力を尽くしたい。両国間の基本的な問題も必ず解決できる」と語った。李氏は「大統領も小沢氏と同様に未来に向かって道を開こうとしている」と応じた。また、小沢氏は政権交代について「私自身の大きな目標の第一歩でしかないが、達成できたことを喜んでいる」と述べたという。

 ■永住外国人への地方参政権付与問題 永住資格を持ち、日本に居住する外国人に地方参政権を与えるため、民主、公明、共産などの各党が過去に付与法案を提出した。平成19年末の法務省の統計では、永住資格を持つ外国人は約87万人。このうち在日韓国・朝鮮人が多数を占める「特別永住者」は約43万人。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090920-00000506-san-pol

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09/19/2009

民主主義とはどういうものなのか(八ッ場ダム中止からの考察)

連日、このブログでも政治の話題が多く続いている。

やはり、日本における初めての本格的政権交代で、新政権も意気込みが感じられるせいか、色々な政治関連のニュース飛び交っており、今の政治は従来とは違う活気に満ちているように思う。

ただ、どうも私は既存のメディアが報じるニュースに、必ず、抵抗感を持つことが多い。

その1つが八ッ場ダムに関する一連の報道と利害関係者のコメントである。

以下に記載している記事にもあるのだが、どうもこの国には、民主主義の原則という基本的事項を分かっていない人が多いように思えてならない。

群馬県知事が「国の都合だけ」という発言をしているが、これは国の都合ではない。マニフェストに掲げられたダムの中止という政策については、選挙という国民が唯一意思表示できる民主的過程の中で示された結論なのであって、これをひっくり返そうとすることがおかしな話なのである。

確かに、ダム事業は利害関係人がおり、その人々の人生がかかった問題である。

しかし、選挙という民主的過程の中で、争点としてその是非が固有名詞を上げて問われ、選挙結果がこのようにダムの中止を明記した政党が絶対安定過半数を確保した以上、最終的な審判として、「マニフェストに固有名詞があったダムについては中止するのが相当」という判断が下っているといっても過言ではない。

あとは、その結果によって、損害を受ける人々の補償をどうするのかというきめ細かな作業が新政権には要求されているに過ぎず、上記結論を今さら覆そうとすることは、選挙という民主的過程の否定であり、これこそ民主主義の否定なのである。

民主主義とはそういうものだという理解が欠如している発言が多いこと、それをメディアが必要以上に報じていることに、私は強い危惧を感じざるを得ない。

先日あるメディアの報道で、地元の人のコメントとして、「選挙の結果が出た以上、こういうダムは中止するっていうのが時の流れで、それは否定できない。ダム中止は仕方ないのかもしれない」というまともなコメントをしている男性が紹介されていた。

まったくもってその通りなのである。

あとは、こうした地元の人間が被る損失補償をしっかりやるべきであって、国民はその損失補償が適正に行われているかどうかを監視すればよい。

そして、仮に補償が不十分であれば、その当事者が憲法29条3項に基づく損失補償請求権を行使して、訴訟の場で争えば良い。

今回のダム中止という政策は、従来の政権がやってきたように、建設計画をごり押しし、国民の財産を一方的に奪うような性質の行為ではないのであるし、選挙という民主的過程を通じて明示的に争点となった公約の忠実な履行であることからすれば、違法性(公務員が職務上の注意義務を怠ったこと)が要件になる国家賠償請求の余地は私はないと考えている。

であるならば、群馬県をはじめとする利害関係人は、損失補償の在り方を政府に対して訴えるべきであって、今更国民の意思が示された判断を覆そうという動きをするのは、どうもズレているとしか言いようがない。

少数意見に耳を傾けることは重要である。しかし、少数意見が多数意見を否定することになるのは、民主主義の正当性の契機(少数意見との議論を尽くすことによって、多数意見が履行されることへの正当性が付与されるというもの)の誤った理解である。

このように未だ地方自治体の長には、政権交代という今回の選挙の結果を直視できていない人間が多いようではあるが、従来の自民党政治では許された行為も、政権交代後はそうはいかないことを肝に銘じ、民主主義の本質的な理解をしたうえで、発言されなければならないだろう。

いつまでも中止反対にこだわり、正当な損失補償を受ける機会を逃すことになれば、それこそ自分の首を自分で締めることになるだろう。

多数意見は、少数意見に耳を傾け、徹底的に議論することで、多数意見に正当性が付与される一方、選挙という民主的過程を通じて訴えた政策に対して、国民の審判が示された時は、それ(国民の信託)を少数意見が覆すことはできない。

民主主義とはそういうものなのである。

なお、民主党を支持した有権者の中には、この政策を支持したわけではない人もいるかもしれない。しかし、総合的に色々なことを考えた上で、その政策を明示的に掲げる民主党に投票した以上、その政策も信任したととらえる以外に仕方ない。

それが民主主義における選挙ということである。

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「国の都合だけでいいのか」八ツ場ダム中止に群馬知事
9月18日13時20分配信 産経新聞

 前原誠司国土交通相が八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の建設事業中止を明言したことについて、群馬県の大沢正明知事は18日に開会した9月定例県議会で、「大きな懸念を抱いている。政権が変わったからという国側の都合だけで、中止を決定してもいいのか」と批判した。

 前原国交相が23日にも現地を視察することに対しては「地元住民の方々、関係市町村、共同事業者である1都5県の意見を十分に聴いて、あらためて事業の目的と必要性に対して、適切な判断をしてもらいたい」とした。

 また、議会後の記者団の質問に、「(前原国交相には)白紙の状態で、来ていただきたい。中止ありきで補償の問題などを話すのではなく、白紙の状態で地元の方々の意見を聴いて判断していただきたい」と注文をつけた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090918-00000574-san-pol

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09/18/2009

既得権益を持つメディアに屈してはならぬ(国民は官僚の記者会見禁止を支持)

昨晩の記事が好評だったようで、アクセス数はいつもよりも増えた。

多くの人が共感してくれたようで、はてなブックマークなどでこのブログの記事が取り上げられたのが、アクセス数の増加に寄与したようである。

しかし、私のような一ブロガーの声なんかは、到底既存の記者クラブという既得権益をもったメディアの記者たちには残念ながら届くことはないのが現実である。

また、万が一、こういった声を既存の主要メディアが聞いたとしても、気にも留めることはないだろう。

メディアにとっては、「ネタに話題性があるかどうかが重要」なのであって、そのためには「官僚と癒着してでも、情報を得たい」という思考の人種が多く、国民の知る権利に本当に資するために信念を貫こうという人物は極稀な存在だろう。

それは、過去の有名判例も見ても明らかで、例えば、西山記者事件では、毎日新聞の西山記者が男女関係になった外務省の女性職員から、ひそかに情を通じて、これを利用して、沖縄密約に関する情報を取得した事件は、あまりにも有名である。

当時のメディアは、こうした取材方法を西山記者の問題であると矮小化したが、私はこれは氷山の一角で、未だにこうした情報、特ダネ最優先といった記者の悪しき魂は生き続けているのではないかと思う。

記者クラブの記者や記者会見場にいるような記者たちは、官僚のタクシー券の問題を追及していたが、彼らは皆お抱え運転手が付いている。

私企業の問題なので、それが悪いとは思わないが、いささか、彼らが国民の代表者にでもなったのごとく、タクシー券の批判をしている姿を見ると、私は、「君たちにはお抱え運転手がついて幸せな状況なのに、よくもまあ、偉そうに国民の声を代弁するかのごとく白々しい顔ができるなあ」と思ってしまう。

今まで事あるごとに、このブログでも、マスメディアの姿勢の問題は問うてきたが、今回私が強調したいのは、現在の旧態依然としたマスメディアには、国民の知る権利を振りかざして、あたかも国民の代表者のごとくふるまう資格は一切ないということである。

私利私欲、自分たちの既得権益のみを最優先に考える思考過程しか持ちえないメディアの記者が、国民生活にとって重要な情報を正確に伝えられるとはどう考えても思えないわけである。

裁判関係の報道においても、法律上の争点を不正確に伝えたり、感情論につっばしった報道が多い。裁判員制度導入の際は、裁判員が感情論で傾きすぎるという懸念がなされたが、よっぽど裁判員に選ばれた市民の方々は優秀な方が多いようで、適切かつ冷静な質問を裁判員として積極的に行い、感情論に流されない妥当な判決が、現在のところは、多く出ているように思う。

メディアの低俗さは、高相法子(芸名:酒井法子)被告に対する報道を見れば明らかである。芸能人という注目を集める職業だということを考慮しても、薬物違反事犯にあそこまで加熱した取材合戦、報道活動をする必要があるのか、良識のある視聴者は、連日首をかしげているはずである。

そもそも初犯であるし、自己使用しかしていない人間をあそこまで追いまわしている一方、死者まで出た押尾学被告の方は、最近はほとんど報道していない。まるで、押尾学被告の背後に彼を守ろうとする社会的権力者がいるのではないかと思わせる状況である。

いずれにしても、正直言って、全国放送で連日報道するには足りない事件を異常な過熱ぶりで報道し、他方で、事務次官の会見が禁止されると、取材努力をしようというのではなく、国民が選んだばかりの政権をあたかも正義感顔して批判する。

こういうメディアには、多くの人間が、嫌気をさしているのではないだろうか。

しかし、昨日の記事でも言ったように、我々ができるメディアの改革を求める行動には限界がある。

したがって、我々は、民主党の「官僚による省庁を代表する記者会見の禁止」という政策が、マスメディアのプロパガンダによって、骨抜きにならないように、鳩山新政権の姿勢を注視していくほかに有効な方法はないだろう。

すでに、以下の記事にあるように、鳩山政権がこの問題で揺らぎ始めている。

以下のYahooの意識調査からわかるように、国民の6割以上の良識ある人々は、自らの知る権利を侵害されているとは考えていないのであって、マスメディアの異常なプロパカンダに鳩山政権が屈しないことを祈るばかりである。

今日、閣僚記者会見に対する評価を記事にするとしていたが、どうも思い出すとこのメディアの態度のことがやはり気になってしまい、今回もきちんとその点を発信することはできなかった。

ただ、一言でいえば、昨日、ツイッターでつぶやいたように全般的に、鳩山内閣の閣僚は皆、自分の言葉で丁寧に説明し、かつ、マニフェストの誠実な履行という点で共通認識を持っていたのは良いことだと思っている。

とりわけ、各大臣が関連する問題に他の大臣との協働関係で当たることを強調していたのも共感を持てた。

したがって、点数をつけるのであれば、80~85点である。

-15~20点は、仙石大臣がマスコミ向けのパフォーマンスなのか、記者の下らない時部時間の記者会見禁止についての上記質問及び抗議に対し、理解を示してしまったことである。

その他の閣僚は、知る権利や取材活動に配慮するという趣旨の発言にとどめていたが、仙石大臣はそれ以上にメディアの意見があたかも正しいかのような発言をしていたのが気になった。

欲を言えば、ああいう場で、メディアの私利私欲の質問が優先されていることを断罪できるような閣僚がいればよかったと思うばかりである(藤井財務大臣はこの点しっかり説明をしており、77歳ではあるが、歳は関係なく素晴らしい対応だと私は非常に評価している)。

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<会見一元化>「次官以外は現状通り」閣僚、次々修正?
9月17日23時51分配信 毎日新聞

 鳩山新政権が打ち出した事務次官による記者会見の廃止方針に関し、廃止対象に記者懇談会やブリーフィング(記者への説明)なども含むとされた問題で、各閣僚からは17日、「事務次官会見以外は現状通り続ける」といった軌道修正とも取れる発言が相次いだ。一方、気象庁などでは長官クラスの会見が中止され、記者クラブ側が抗議文を渡した。

 長妻昭厚生労働相は就任後初の厚労省での会見で、事務次官以外の会見は現状通り続ける考えを表明した。元経済誌記者の長妻氏は「(マスコミが)取材で問題点をいろいろ明らかにしてくれるのはありがたい。広報室長と打ち合わせし、(官僚への)取材は今までと変わらないと指示をした」と述べた。事務次官会見については「一時凍結で、今後どうするかは内閣と相談しながら決める」と話した。

 北沢俊美防衛相も就任会見で「政治向きの話は大臣、実務的なこと、国民に明らかにした方が良いものはそれぞれ担当がやればいい」と述べ、従来通り統合と陸海空の各幕僚長、報道官による定例会見を継続する考えを表明した。次官会見は他省庁と同様、取りやめる方針という。

 北沢防衛相は「政府の出したのがいささか誤解を生むようなところもあった」と説明した。一方で「国の防衛、例えば日米同盟とかは新しい見解を官が発言するのは行き過ぎ」とも述べた。

 前原誠司国土交通相も会見で「次官らの発言を封じるのはおかしな話。絶対会見してダメということではない」と発言。大臣への事前通告を条件に、必要に応じて幹部の会見を認める考えを示し、「内閣としての統一見解をまた出す」と説明した。

 一方、17日に予定されていた長官会見が中止となった気象庁。気象庁記者クラブは長官に対し、「国民の知る権利の制限にもつながる問題で、とうてい承服できない」として抗議書を渡した。消費者庁でも長官会見が中止となり、記者クラブは18日に抗議文を出すことにした。

 防衛省沖縄防衛局は、17日午後2時から開催予定だった局長の定例記者懇談会を中止した。これについて防衛省は「事務次官の会見以外は原則として認めるという大臣の意思が伝わる前の決定だった」と説明した。

 ◇新聞労連も抗議

 事務次官の定例会見廃止問題で、日本新聞労働組合連合(豊秀一委員長)は17日、「会見は政策形成過程を国民に明らかにするうえで不可欠な取材の場だ。時の政権の意向で一方的に廃止することは、知る権利を制約する暴挙だ。速やかな撤回を求める」とする抗議声明を発表した。【臺宏士】http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000151-mai-pol

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09/17/2009

鳩山内閣閣僚記者会見を見て思うこと(マスメディアの懈怠)

23時頃から始まり、1時45分頃までかかった鳩山内閣の閣僚記者会見を見て、まず感じたことは、記者会見場にいる記者に対する著しい憤りである。

現在の日本には、数多くの重要な懸案事項があるのに、一番最初に飛び出た質問が、省庁の事務次官の記者会見禁止に対する質問であり、それが数名の閣僚に対して何度も飛び出してきたことである。

記者会見が開かれる目的は、閣僚に対し、『国民の』懸案事項についての認識を問うために開かれているはずである。

したがって、マスメディアは、『自分たちの』利害関係のある事項ではなく、『国民の』利害関係を大きく左右する事項について、質問をぶつけるのが筋であり、それを私は楽しみにしていたのだが、いよいよ、日本のメディアは馬脚を現したというべき醜態を見せてくれたのである。

官僚の記者会見が禁止されると、取材が制限されるという自らの取材記者としての職務放棄と馬鹿げた論理で、あたかも国民に不利益があるかのような稚拙かつ空虚な論理で、知る権利を持ち出しているアンポンタン記者も数多くいた。

その多くが聞いたことのある朝日新聞や読売新聞、北海道新聞や共同新聞の記者を名乗っていたのであるから、日本のメディアもここまで地に落ちたかと嘆かわしく感じた。

多くの閣僚、とりわけ、財務大臣の藤井裕久氏が明確に回答していたが、閣議で禁止されたのは、事務次官などの官僚が省庁を代表した見解を示すことであって、それに代わって政治家、つまり、大臣、副大臣、政務官が記者会見を行うという方針なのであって、取材の自由が制限される余地はない。

むしろ、国民による選任手続きを経ていない事務次官ごとき官僚が、所管大臣を無視して、省庁の見解を述べる現状が異常な状態だったのであって、マスメディアはそれを自分たちの取材のしやすさとりう利益だけのために、放置してきたことに問題があるのではないだろうか。

記者クラブの廃止を掲げる民主党に政権交代という国民の選択は、記者クラブ制度により安穏と守られたメディアに対しても、既存の薄っぺらい報道及び軽薄な取材活動に対して、Noを突きつけたのだと思う。

記者に許されているのは、取材の自由であって、これは、憲法21条の精神に照らして尊重に値するにすぎない権利である。記者に知る権利があるのではなく、国民に知る権利が憲法上保障されているのである。

したがって、私はメディアが安易に知る権利を振りかざすのは、妥当ではないと思う。

とりわけ、官僚依存からの脱却の1つとして、強い姿勢で、事務次官の会見を禁止したことを、言論統制だと飛躍した、幼稚な理論を振りかざすメディア関係者が今回沢山いたことが非常に驚いたし、日本のマスメディアがいよいよ腐っていることを明らかにしてくれたと思う。

政治家や官僚が腐っていれば、政権交代など選挙を通じて、国民が意思表示することで変えることが可能である。

しかし、メディアは第4の権力であるにもかかわらず、国民による統制機能はない。メディアはあくまで私企業であって、国民が唯一できることとすれば、新聞を購入しないとか、スポンサー企業の商品を買わないという非常に間接的な行為以外に、メディアに対する不信を示す方法はない。

だからこそ、メディアの自分たちの利益を最優先に考える異常な現状に私は強い危惧を覚えるのである。

本当は、今日の記事で、各閣僚の会見に対する評価をしようと思ったが、それ以上に、日本のメディアの現状に対するショックが大きく、閣僚の会見に対する評価は明日以降にしたい。

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各メディアの自分たちのことしか考えていない記事の例

まずは、読売新聞

官僚の記者会見、原則禁止…官邸が省庁に通知
9月17日3時9分配信 読売新聞

 鳩山新政権の発足を受け首相官邸は16日、報道機関への対応について、〈1〉各省庁の見解を表明する記者会見は、閣僚など政治家が行い、官僚は行わない〈2〉次官らの定例記者会見は行わない――との内容の指針をまとめ、各省庁に通知した。

 指針は、閣僚が適切と判断した場合には、官僚による記者会見もあり得るとしているが、「国民の知る権利」を制限するものとして論議を呼びそうだ。

 指針は「政・官のあり方」と題され、各省庁に対し、同日、取扱注意の資料として配られた。「府省の見解を表明する記者会見は大臣等の『政』が行い、事務次官等の記者会見は行わない。ただし、専門性その他の状況に応じ、大臣等が適切とした場合には『官』が行う」としている。鳩山内閣は16日夜の閣僚懇談会で、この指針を申し合わせた。

 これについて、平野官房長官は16日夜、初閣議後の記者会見で、「(事実関係の)ブリーフは記者会見ではない」と述べ、事実関係の説明は除くとの見方を示した。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000129-yom-pol

国民の知る権利の制限ではなく、取材の自由すら制限しない。取材が今まで待っていても情報が得られるという状態から積極的な取材活動をしなければならないだけで、事実上やりにくくなるだけのこと。議論が飛躍している。読売新聞という大きなメディアが情けない幼稚な議論をしているのは嘆かわしい。

次は、毎日新聞。

<民主党>記者会見を大臣などに一元化 事務次官会見中止に
9月17日2時30分配信 毎日新聞

 民主党は16日、内閣官房を通じ各省庁の広報担当者に、省庁側が行う記者会見を各大臣や副大臣など政治家に一元化する方針を伝えた。「脱官僚依存」を掲げる鳩山政権の発足により、政治主導での発信を徹底するのが狙い。自民党政権下で続いてきた事務次官や局長級などの会見は原則中止される見通しで、情報公開の視点からは議論を呼びそうだ。

 各省庁によると、16日午前に広報担当者が内閣官房に呼ばれ、省庁の見解を示すような会見やブリーフィング(記者への説明)は「政」が責任をもって行う▽地震や捜査など緊急性のある記者会見は大臣の許可を得た上で行う--などの基本方針が口頭で説明された。ただ、鳩山内閣が16日夜の閣僚懇談会で申し合わせた「政・官の在り方」では、規制対象にブリーフィングは盛り込まれず、平野博文官房長官も規制対象に含めない考えを示した。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000011-mai-pol

情報公開の視点とややトーンダウンしており、この程度の記載であれば、まだ許容できるだろう。しかし、情報公開の視点から『何が』、『どのように』問題なのか一切示していない。自分たちが積極的に取材活動を展開しないと情報が得られないという程度の問題であれば、情報公開の視点から議論などとおこがましい言い方をせずにストレートに言えばよいのではないだろうか。

次は、時事通信。

次官会見廃止「報道統制では」=記者団から懸念相次ぐ-官房長官「政治主導」強調
9月17日0時12分配信 時事通信

 「脱官僚依存」を理由に各省庁の事務次官や長官の定例記者会見を行わないと申し合わせた鳩山新政権。16日深夜に行われた平野博文官房長官の会見では、冒頭から記者団が「報道統制では」などと懸念を口にし、矢継ぎ早に質問した。
 平野氏は「会見は大臣などの『政』がしっかり行う」「官僚主導から政治主導」「決して言論統制との考え方ではない」と繰り返した。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000002-jij-pol

記者団の懸念という説明の仕方は一番正確かもしれない。その意味で、この報道姿勢は評価できる。経営が悪化していると伝えられる時事通信であるが、通信社として事実を伝えるという姿勢が今回あったことは評価に値する。

冒頭からこの問題を取り上げるメディアの私利私欲的優先の姿勢も事実として伝えているので、まともな記事である。

次は産経新聞。

官邸主導へ側近集結 次官会見廃止 中央突破アピール
9月17日7時57分配信 産経新聞

 鳩山由紀夫新首相は、16日夜の初閣議で事務次官による記者会見の原則廃止や国家公務員の天下り・渡りの斡旋(あっせん)を全面禁止する方針を決定するなど、「脱官僚依存」を強烈にアピールした。だが、次官会見の廃止にはマスコミによるチェック機会が制限されるなどの懸念もある。首相は正副官房長官を側近で固め、中央突破を図るが、官僚政治打破の前には難題も山積している。(赤地真志帆)

 首相は午後3時半過ぎ、単身首相官邸に乗り込んだ。静まりかえったエントランスを見渡すと首相執務室へ向かった。

 政務の官房副長官は「鳩山側近『二本松』」と呼ばれる松野頼久(衆院)、松井孝治(参院)の両氏。首相補佐官にも厚い信頼を寄せる中山義活(衆院)、小川勝也(参院)の両氏を充てた。やはり腹心の一人である平野博文官房長官は首相補佐官2人の役割を「主として衆参両院の国会状況を首相に的確に報告することだ」と説明した。政権の重要政策に沿った専門家を配すのではなく、「忠臣」で自らをガードする防御型の布陣を敷いた。

 新内閣は初閣議後の閣僚懇談会で「政・官の在り方」として事務次官会議廃止に伴い各省庁の次官など事務方の定例の記者会見を廃止させる方針を決め、各省庁に通達した。平野長官は会見で「政治が責任を持つためであり、担当の閣僚がしっかり責任を持って対応すべきだからだ」と説明したが、報道陣からは「取材の機会が制限される」などの質問が相次いだ。記者会見の廃止はマスコミなどによる政権運営や行政に対するチェック機能を損なう恐れもある。

 一方、首相は慣例となっていた閣僚名簿発表直後の記者会見を中止した。呼び込み直後の記者会見では各省幹部が用意したペーパーを読み上げるケースがほとんど。これでは政治主導に逆行すると判断したのだ。

 このため、閣僚の記者会見は宮中での認証式と初閣議をはさんで「呼び込み」から約7時間後に行われた。首相は元々、閣僚人事を早めに内定し、組閣まで十分な勉強時間をとる構想を描いていたが、閣僚人事の内定が15日にずれ込んだために断念。民主党では閣僚内定者に会見用資料を用意するなど、対応に大わらわとなった。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090917-00000067-san-pol

チェック機能を果たせるか、果たせないかはマスコミの能力、及び、姿勢の問題である。官僚の記者会見を禁止している国として、イギリスがあるが、イギリスメディアはチェック機能を損なっているだろうか。

いいや、イギリスのメディアほど国民に対し影響力を持ち、行政のチェック機能を果たしているメディアはない。まともな国民からすれば、日本のメディアが自分たちの無能さ、姿勢の甘さを棚に上げて、下手な言いがかりをつけているとしか、思えないわけである。

そして、朝日新聞。

  「新政権が目指す政治主導という考えに立っている」。鳩山内閣が官僚による記者会見を行わないと申し合わせた問題で、16日夜、記者会見に臨んだ平野博文官房長官は繰り返し強調した。「決して言論統制という考え方に立っていない」

 しかし、内閣府がこの日各省庁の広報担当を集めた説明会の出席者によると、内閣府の広報から規制対象となる事例が幅広く示された。「記者にすべてノーコメントで通せというのか」。出席者から疑問の声が上がったという

 国土交通省が内閣官房の指示を受けて作成した内部への説明文書は「局長や課長によるブリーフィング(記者説明)、記者懇(談)、勉強会なども(取材対応禁止の)対象となる」と記述。取材への対応についても「政策の見解を述べるものは対象になると考えた方がよい」とし、平野氏の説明と受け止め方に食い違いが生じていた。

 同省幹部は「どこまでが取材応対可能な『事実の説明』で、どこからが対応不可の『見解』になるのか不明確。具体的なガイドラインを作ってほしい」と話す。

 総務省中堅幹部は「そういう政権を(国民の)みなさんが選んだ」と、皮肉を込めて言った。環境省のある職員も「しばらくは役所の口が重くなるでしょうね」と漏らした。

     ◇

 〈桂敬一・立正大講師(ジャーナリズム論)の話〉 権力の使い方を全く間違っている。政治が許した形でしか権力への取材は認めないというのはファシズム。報道の自由なぞ存在しなくなる。官僚にしてみれば、取材の申し出の一つ一つについて、政治家へお伺いをたてることなど現実的に出来るはずもない。結局は「政治家でなければ答えられない」と取材を拒むことになるだろう。

 〈英国政治に詳しい阪野智一・神戸大教授(比較政治学)の話〉 政治主導が定着している英国では、官僚はあくまで政治家を補佐する立場。政治的中立と守秘義務が課せられ、記者と接触すべきでないとされている。説明責任、結果責任を負うのは国民からの負託を受けた政治家だ。日本ではこれまで政策の立案のみならず発信まで官僚が握ってきた。新政権の方針は正常な政と官の関係に移行しようというもので、現時点でどこまで実現できるかは未知数だが、とっぴとは思わない。

まず、官僚がこの方針を悪用して、説明責任を果たさないのではないかという指摘は一つ理解できる。しかし、説明責任はあくまで政治家にあるのであって、官僚に求めていること自体が官僚をつけ上がらせるのである。

彼らは公僕であって、国会議員として選ばれた総理大臣が総理する内閣及び所管大臣の支持を忠実に実行すべきであって、彼らに意思決定権をゆだねるようなことは、本来の憲法が描く統治のあり方としてはおかしいし、諸外国と見てもそれは明らかである。

したがって、メディアは所管する大臣、副大臣、政務官が着実に説明責任を果たしているかをチェックすればいいのであって、官僚から情報を聞き出そうとしていることがおかしいという認識にまず立つべきである。

その前提をもってすれば、桂敬一というわけのわからん大学講師の言っていることは、あまりにも突飛な論理であって、ファシズムと断罪するとは、笑うしかない。そういう馬鹿げた話を専門家の話として紹介する朝日新聞には、ある種の怖さすら感じる。

最後は、フリージャーナリストの反応。上杉隆氏が、以下で、別の視点から一連の記者会見について記事を書いている。

http://diamond.jp/series/uesugi/10094/

なるほど、記者クラブ制度を鋭く突いた視点であって、フリージャーナリストならではの視点であるが、最後の部分が私は、結局フリージャーナリストも、私利私欲なのだと落胆した。それは次の部分。

 記者会見のオープン化は確かに小さな約束だったかもしれない。

 だが、足元のそうした小さな公約すら果たせないような政権に、官僚政治の打破などという壮大な改革など、到底成し遂げることはできないのではないか。

 政権発足初日、さっそく公約違反をした鳩山内閣への率直な感想である。

政権交代には混乱がつきものであって、成立した初日にすべてを変えろという方が無理難題なのである。100日間過ぎても、記者会見のオープン化ができていないのであれば、それは痛烈に批判すべきだろうが、初日で自分たちが排除されたことをもって、この結論は、やっぱり、フリージャーナリストも他のメディアと同様、自分たちの私利私欲が最優先なのである。

以上のように、各メディアの反応を見てきたが、政権交代による政治の変革には、旧態依然とする既得権益にしがみつくメディア関係者の問題も国民は考えておかなければならない。

メディアのいうこと=真実という幼稚な思考を仮にしている人がいれば、それは自分の首を絞めることにつながるという認識を持って、メディアリタラシーを高めるべきだろう。

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09/16/2009

仮に防衛大臣を他党が務めたとしてもおかしいことではない。

また産経新聞がおかしなことを書いています。

普通の方が見たら大したことのない記事で何が問題かわからないと思うかもしれません。しかし、私のような皮肉れ者は、この記事の1か所に著しい違和感を感じます。

それは、亀井氏の防衛相就任の報道について、「ただ、安全保障の根幹を担う防衛相を他党に渡せば、民主党の防衛問題への姿勢が問われかねない。」という部分です。

これは非常に浅はかな批評で、記事を書いた人間が政治に全く精通していないことを暴露しているようなものです。

アメリカはオバマ民主党政権です。

しかし、防衛長官はローバート・ゲーツ氏です。ゲーツ氏はご存知の方もいるように、共和党の人間です。一部では、彼が共和党員として登録したことがないという事実をもって、無所属なのだという指摘もありますが、AP通信の報道によれば、ゲーツ氏自身が自分自身は共和党員だと思っていると発言しています。CIAに勤めていた関係から、政治的中立性を保つために、登録をしていなかったようです。

アメリカのように、ホワイトハウスのメンバーが通常は大統領の所属政党の人間に占められることが多い国でも、防衛長官を全く逆の政党の理念を持っている人間に就かせること良くあることです。

そして、アメリカでは、むしろこういう就任を批判するのではなく歓迎します。それは、超党派の行政府ができるからです。

私は、亀井氏のように保守の理念を持っており、安定感のあるで、かつ、運輸大臣の時に見せた突破力のある政治家が鳩山政権の中で、防衛大臣の要職に就くことは、望ましいことだと思います。

現在の報道では、郵政民営化担当・金融担当という報道ですが、私は、亀井氏には防衛大臣の方が良かったと思います。

いずれにしても、「批判のための批判」という感じがする産経新聞の記事には、マスメディアとしての誇りが感じられません(つまり、ねつ造報道関係の不祥事が多い朝日新聞やや変態記事を海外に発信した毎日新聞と並んで、レベルが低い新聞だと思うわけです)。

このような批判をしていますが、むろん、私には、日経新聞や読売新聞などの他の新聞社と利害関係があるわけではありませんので・・・笑。

なお、福島瑞穂氏の消費者問題担当はまさに妥当なかつ最適の人事だと思います。彼女は元々こうした消費者問題を扱う弁護士だったのですから、実務能力も高いのではないでしょうか。

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きょう閣僚人事 亀井氏に防衛相打診 福島氏には消費者相
 9月15日7時57分配信 産経新聞

 民主党の鳩山由紀夫代表は14日夕、幹事長に内定している小沢一郎代表代行と党本部で会談し、閣僚や党役員人事の大詰めの調整を行った。鳩山氏は同日、国民新党の亀井静香代表に防衛相での起用を、社民党の福島瑞穂党首に消費者問題担当相と少子化対策相での起用をそれぞれ打診した。福島氏は、環境相ポストを求めていたが、同日、記者団に「党の希望は出しているが人事は首相の専権事項だ」と述べ、ほかのポストでも受諾する考えを示した。

 また鳩山氏は小沢氏との会談後、記者団に、閣僚人事について「一部を小沢氏に話して、基本的に理解いただいた」と述べた。そのうえで、同党の両院議員総会を15日夕に終えた後、入閣候補者に電話でポストの提示を行う考えを示した。

 国民新党は亀井氏を郵政事業を所管する総務相に起用するよう求めてきたが、民主党には「わが党が最も重視する地方分権も所管しており、他党に渡せない」(幹部)との異論があった。防衛相は社民党と対立しやすいことから「国民新党の亀井氏にやってもらう方がいい」(民主党関係者)との意見に傾いた。

 ただ、安全保障の根幹を担う防衛相を他党に渡せば、民主党の防衛問題への姿勢が問われかねない。

 社民党の環境相ポストの要求には、環境相が担当する地球温暖化対策が企業負担論議に直結するなどとして、民主党の最大支持団体の連合から「環境相は民主党でもってほしい」との声が出ていた。

 民主党は15日、常任幹事会や両院議員総会を開き、小沢氏の幹事長就任をはじめとする党役員人事や衆院の常任委員長など国会人事も決定する。

 鳩山氏は16日の衆参両院本会議での首相指名選挙と天皇陛下による任命を経て、新首相に就任する。衆院本会議は同日午後1時に開会し、正副議長の選出後、記名投票で首相指名選挙が行われ、午後3時ごろ「鳩山首相」が実質的に決まる見通しだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090915-00000058-san-pol

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09/15/2009

軽薄な経営者の行動(渡辺美樹氏のパワハラ疑惑について)

今日は有名企業家の不祥事についてです。

かねてからテレビでの言動を見ていて、①非常に軽薄な人間ではないか、②ライブドア事件の堀江貴文被告のようにある種の拝金主義者的な人間ではないか、という理由から、私は、好きな方ではありませんでした。

その渡辺美樹氏が理事長を務める学校で、パワハラ疑惑が出ています。

そもそも、私は彼に対し上記のような懸念を持っていたので、学校を経営すること自体妥当ではないし、私だったらこういう人間が理事長を務め、慶大の憲法学者の小林節教授を校長に据えて、メディアをつかって宣伝しておきながら、結局対立して、辞任に追い込んだようなゴタゴタがあった学校には通わせたくないと思うのですが、今回の記事を見て改めて、ワタミの経営者に学校経営は無理だと思いました。

彼が非常に軽薄だと感じる理由ですが、以前このブログで紹介した、「河上和雄弁護士のまともな一言」という記事の最後で指摘したように、東国原と河上和雄氏が言い合いになった時の渡辺美樹氏の対応を見れば、いかに場当たり的で、軽薄かが見て取れる。

当該記事の指摘部分は以下(参考までに)。

なお、それ以上に、私が気になったのが、ワタミ社長の渡邊美樹氏のコメントである。

河上和雄先生のコメントで険悪な雰囲気になったため、中和する意味を込めて、司会者が振ったと推察するが、そのコメントで、「知事が問題提起したことは高く評価したい」などと発言し、持ち上げていた。

にもかかわらず、知事の出演が終わった番組の最後では、「たぶん、チャンスだと思われたから出て来たんでしょうが、国政に関して言えばまだ準備不足でしょうね。地方分権は万能でもなんでもないですから。」との変節ぶりである。

こういう人に場当たり的なコメントしかできない人をゲストコメンテーターとして、視聴者を代表しているかのようなに扱うのはとても違和感を覚えてしまう。

どんなに議論によって雰囲気が悪くなろうと、それの是非を判断するのは視聴者であるし、そうした雰囲気を作り出す政治家の資質が問題なのであって、テレビ局もコメンテーターも薄っぺらいことをせずに、毅然とした姿勢を河上弁護士から学ぶべきと私は思う。

したがって、今回のパワーハラスメント疑惑を聞いて、やっぱりなというのが正直な感想である。

今回、断髪式と称して、髪を切ったということであるが、これは暴行罪に当たることは間違いない。なぜなら、暴行とは人の身体に対する不法な攻撃方法に一切を含むのであり、髪を切る行為は、有形力を行使した不法な攻撃といえるためである。

インターネットでは、傷害罪という話もあるようであるが、傷害とは人の生理的機能を害するような行為でなければならないので、髪を切るというのは傷害には当たらないというのが判例・通説である。

いずれにしても、理事長としての権威や権限を振りかざし、断髪式と称して、被害者が抵抗できないような状況に追い込んだ上で、かかる行為をしたとすれば、刑事上の暴行罪に当たる行為であることは疑いない。

訴状を見たわけではないが、この記事をみるとこと、地位確認の訴えと損害賠償請求をしているものと考えられる。

争点は、解雇が解雇権濫用に当たらないかという点であり、解雇に当たる客観的な合理的理由があり、社会通念上相当といえるか(労基法18条の2、労働契約法16条)がポイントであろう。

金銭管理の不備がどのようなものであったかにもよるが、その不備の程度が労働者としての適性を欠くという程度のものでなければ、合理的な理由があるとは言えない。

また、労働法は労働者保護のための法律であり、日本の判例法利は解雇権を制限する方向にあるので、解雇権濫用と認定される可能性は高いだろう。

本件を見ると、断髪式と称した嫌がらせが行われ、日常的に嫌がらせがあったとすれば、渡辺美樹氏の不法な動機に基づく解雇ということ(つまり、客観的に合理的理由がないこと)が推認される間接事実に当たるだろう。

事件の概要が解らないので、確実なことは言えないが、企業や経営者が思っている以上に、日本の労働関連法は労働者の保護を図っており、判例も労働者寄りの流れがある。

内定取り消しなどを企業が安易にやれば、違法行為になるのであり、経営者は労働法に対する意識と理解を深めなければ、健全かつ優良企業とは言い難いのである。

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「ワタミ」会長の渡辺美樹氏、髪切りパワハラ? 理事長務める学校の元教師が提訴へ
 9月14日8時2分配信 スポーツ報知

 学校法人「郁文館夢学園」(東京都文京区)に教師として勤務していた男性(50)が、「上司からいわれのない中傷を受け解雇された」として、同校を相手取り地位保全と慰謝料300万円の支払いを求める訴訟を近く東京地裁に起こすことが13日、分かった。

 「―夢学園」は居酒屋チェーンを展開する「ワタミフードサービス」の渡辺美樹会長(49)が、理事長を務めている。

 訴えによるとこの男性は、2005年4月から09年3月まで同校で体育教師として勤務。学校の備品を購入した際、金銭管理の不備を一方的に責められ、解雇されたという。

 また男性は陳述書などで、渡辺理事長によるパワーハラスメントを指摘。08年10月24日、渡辺氏が同校で行われた職員会議後に、40代の男性教師の髪形が気に入らないとし、ハサミを持ってくるよう部下に命じ、教師の髪を切らせたとしている。渡辺氏自身も、ハサミを手に髪を切り「これは断髪式だ」と言ったという。

 渡辺氏らによるパワハラは、校内で日常的に行われていたとしている。

 この件について、複数の教師が当時の校長に事情説明を要求。校長は複数の学校関係者にメールを送り「断髪式」の事実を認めたという。メールでは「(断髪は理事長と教師の間で)合意がとれていたとはいえ、理事長に『話を知らない人から見れば、理事長の権威を示すような印象のよくない行為である』と意見できなかったことを悔やんでいます」などと説明している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090914-00000054-sph-soci

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09/14/2009

新政権発足後100日は猶予期間(日本メディアの未熟さについて)

最近、忙しくなってきたため、なかなかツイッターでつぶやいたり、ブログ記事を更新する時間が確保できない。

1日24時間がこれほど短く感じるものかと最近、ふと思う。

さて、早速今日の本題に。

8月30日に政権交代の選挙がおこなわれ、9月16日の首相指名まで、17日間も期間が開いており、当初から期間があまりにも長いのではないかという指摘があった。民主党の逢坂議員もツイッターで、その点をつぶやいていた気がする。

この間のメディアの動きは、成熟した民主主義国家としては、非常に多くの問題があると私は考えている。つまり、メディアが次期鳩山政権に対して、過剰な過熱報道をしており、また、その内容も空虚かつ具体性に欠ける批判や過度に不安をあおる記事が多いのである。

そこで、海外メディアと比べ、日本の主要メディアがいかに幼稚かつ誘導報道をして、国民の知り権利を歪めているかについて、一連の政治に関する最近の報道から、私見を紹介したい。



1.成熟したメディアは100日の猶予期間を実行する

まず、日本のメディアがいかに幼稚かについて検討する。

欧米、特にアメリカでは、政権交代後100日間は、新政権に対する批判をメディアが自粛する傾向があるのは、多くの人も知っているだろう。

もちろん、メディアが政権に対する監視の目を緩めるわけではない。この期間に不正行為や違法行為が政府によって行われればもちろんメディアはそれを厳しい論調で報道する。

例えば、1972年のニクソン大統領再選の直後からメディアはウォーターゲイト疑惑について、かなり厳しく報道していた。

メディアが自粛するのは新政権の「政策やその進捗状況」に対する批判である。

なぜ、これを自粛するのか。

まず、政策批判を100日間控える理由について検討する。

政府の政策は、政権が別の者(大統領や首相)に移行すれば、当然政策が変わる。

そして、その政策の概要は、新たに選挙後に公表したもの以外は、少なくとも選挙において、国民からの信任、国民からの付託を受けている以上、むやみに批判するのは、国民の判断を覆そうという動きにすらなってしまう。

なぜなら、選挙において、勝利した政党が掲げた政策に対し、国民の信任と付託があったと考えるのが論理的であって、個別の政策批判をいまさらするのは非民主的だからである。

つまり、選挙後に、選挙中に掲げられた政策を批判することは、国民の知る権利への奉仕とは言い難く、メディアの非民主的な暴走に他ならないのである。

もちろん、選挙中の争点で、反対候補が攻撃していたような政策は、国の意見を二分する場合が多いため、いかに反対意見を説得できるかという視点からの報道はあっても、一方的に反対意見を強調し、いかにも政策の実現が不可能ではないかというような憶測報道は控える傾向にある。

すなわち、欧米メディア(タブロイドのような低俗なメディアは別として)は、100日間国民の信託を受けた政府の政策については、表立った批判をせずに、国民の信託を尊重するのである。

次に、政策の進捗状況について、なぜ100日間批判を猶予するのであろうか。

これは、答えがもっと明確かつ単純である。

政策を実現するには、100日くらい時間がかかり、政権発足後100日が経過した時点で初めて、政策の進捗状況が明らかになるからである。

つまり、100日間の間は、誰がやっても、政策を実現しその効果を図ることは困難なのであって、それを批判すること自体無駄だということであろう。



2.産経新聞の誘導報道

日教組については色々評価が分かれるところですが、産経新聞の一番の問題は、「教育問題に詳しい」という説明をして、八木秀次という教授を紹介し、あたかも教育学の専門家であるような形で、同氏の発言を紹介している点である。

八木秀次氏は、教育学の専門家でも何でもない。専門は憲法学らしいが、少なくとも私は彼の憲法学上のまともな論文を読んだことがないし、憲法学の中でも、芦部信喜博士やその弟子で弁護士の高橋和之教授というようなオーソドックスな憲法学者ではなく、いわば異色な学者である。

法律を専門とする学者の中でのステータスの1つは、有斐閣社が出版している判例百選の評者となることであるが、八木氏の名前を私は拝見したことがない。

こういう方を教育問題に詳しいというあいまいな肩書で、あたかも教育学の真理を究めるべくそれを専門にしているかのごとく紹介し、それが専門家の意見であるというような紹介は、事実を捻じ曲げる以外の何物でもない。

もともと、産経新聞は保守色が強いにしても、第一にマスメディアである以上、こういう不適切な形の記事を許していることからすれると、メディアと名乗る資格すら疑わしく思えてくるわけである。

「~に詳しい」というメディアで見かける肩書は、必ずしも専門家を意味しないのであり、読者は、騙されないようにしなければならない。

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教員免許更新制廃止へ 不適格教員は…? 「日教組の主張通りへの一歩に」
9月13日7時57分配信 産経新聞

 民主党の輿石東(こしいし・あずま)参院議員会長兼代表代行が廃止に向けた法改正案を提出する考えを示した「教員免許更新制」。教育問題に詳しい八木秀次・高崎経済大教授は「廃止は日教組の主張そのままだ。今後、安倍内閣が手がけた教育再生をゼロベースに戻し、日教組の主張通りの政策に転換する第一歩と考えていいのではないか」と懸念を示す。

 同制度は当初、不適格教員の排除が目的の一つとされた。「不適格」には指導力不足に加え、組合や政治活動で度重なる処分を受けた教員も含まれる見通しだった。

 しかし、検討の過程で「悪い者はダメという“性悪説”から、大学で最新の知識技能を学んで指導力を向上させようという“性善説”に変わった」と文部科学省幹部は説明する。

 その結果、同省は今年4月の導入に当たり、「不適格教員の排除が目的ではない」と表明。だが、放課後の指導などで多忙な教員が30時間を割いて「最新の知識技能」を大学で受講することに、「意味があるのか」との批判が、日教組系ではない教員からも起きた。座学をこなせば大半が合格する認定試験にも疑問が呈されていた。

 八木教授も「安倍内閣の退陣で、制度設計が未完成のまま実施された」と不備を指摘する。

 同制度の廃止は教育界で支持される公算が大きい。しかし、「不適格教員の排除」が、現場の課題であることに変わりはない。

 民主党は政策集で、教員の指導力向上のため、教員免許取得に必要な大学の4年制養成課程を、大学院2年も含む6年制に延長することを表明している。

 しかし、現在、教育現場にいる不適格教員に、日教組に支持される民主党がどれだけメスを入れることができるのか。八木教授は「民主党と日教組が一体の関係では、改善を期待できない」と話している。(鵜野光博)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090913-00000037-san-soci

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09/10/2009

ガソリンの暫定税率廃止と高速道路の無料化は環境に悪影響とはいえない!?

先日、ツイッターではつぶやいたのだが、やはり、マスメディアによる間違った知識の頒布という状況を見ていると、このブログでも取り上げるべきと思い、今回は、「民主党の掲げるガソリンの暫定税率廃止、高速道路無料化と環境への悪影響という批判」について、私見を発信しようと思う。

まず、マスメディアや自民党の道路族、さらには、環境保護団体などが、「高速道路の無料化やガソリンの暫定税率を下げると、Co2が増大して環境対策に悪い」という主張がされており、世論調査を見ると、国民の7割近くがこの主張に騙されている。

はっきり言って、この批判は的外れもよいところで、これらの批判をしている人間は、経済学の基礎知識がないか、それともそういう基礎知識のない一般国民を騙すためにあえてもっともらしく主張しているかのどちらかである。

ミクロ経済学の基礎を知っていれば、この批判は、間違っていると断言できる。

車の利用(とくに、ガソリンの消費)は、贅沢品とは違い、安いからバンバン使うという消費財ではない。これらは生活必需品の典型であって、一定の需要量が決まっている。

したがって、安ければドンドン消費が増えるという試算には間違いがある。

例えば、日本人にとっての生活必需品である米を例に考えてみる。

米の価格が下がったとしても、既に食生活の中で、米が占める割合というのは決まっている。米が安いから365日米でよいという人は奇特な人であって、日本人の大多数は麺、パン、その他の食材とのバランスで、米の消費量は決まっているのであって、突然米が安くなったから米ばかりの食事でよいというライフスタイルの変更は困難である。

逆にいえば、価格が高くなっても、米を食べてきた人間が、一切米食を止めて、パン食や麺類を365日食べるかといえば、それも通常はあり得ない。

つまり、生活必需品である米の消費量というのは、基本的には価格の上下に左右されることなく、一定限度で決まっているのである。

とすれば、生活必需品であるガソリン代も同じことである。

車利用にかかる費用(ガソリン代)が下がっても、既に車を使わない生活をしている人(例えば通勤通学に電車を利用している人)がわざわざ車を利用するということにはなりにくく、限界があるのであり、価格が下がれば需要が伸びるという単純な試算は道路に利権のある人々に乗せられているだけである。

つまり、暫定税率廃止や高速道路の無料化が行われても、ガソリンの消費量というのは、一定限度で決まっているのであって、生活必需品であるガソリン代が下がることで、国民が家計に占めるその費用の割合が減るということで、その恩恵を受けるという因果関係は明確にある一方、上記政策が環境に悪いという因果関係は、依然立証に足る高度の蓋然性がないのである。

こうしたガソリンの(生活必需品の)消費の特徴を専門的にいえば、「価格弾力性が小さい」と表現されるわけです。

財務大臣に起用されるという噂のある民主党の藤井裕久議員もこの点を指摘しており、私は、さすが大蔵官僚出身で、官僚の数字を使ったまどわし戦術を見破るだけの知識はあると思った。

ガソリン消費の価格弾力性が小さいという話は経済学では基礎の基礎なのであって、これに言及せずに、CO2が増大するという批判は、ただ言っているだけで、論拠を示していない主張と断じざるを得ない。

兼ねておりこのブログでも、紹介しているが、公認会計士の山田真哉先生の「数字に騙されるな」という主張は、こういう場面でも妥当するのではないだろうか。

民主党の上記政策が実施されると年間○○トンのCo2が発生するという衝撃的な数字で、無知なマスコミを操作したり、国民に扇動的な主張をする政治家、シンクタンクなどがあるが、その数字の前提が間違っているのではないかということをしっかり国民として注視することが必要である。

上っ面の数字には騙されない洞察力が求められるだろう。

なお、自動車販売とガソリン価格および所得の増減の関係を指摘する面白い論文として、埼玉学園大学教授の広瀬明教授の論文でも、ガソリン価格の価格弾力性が低いことが指摘されているので、興味がある方は読んでみるとよいだろう。

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【民主3大政策100人に聞きました(上)】高速無料化はエコに逆行、75%反対
9月7日22時40分配信 産経新聞

 圧倒的な支持を集め、政権交代を実現した民主党。新政権発足が近づくなか、衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)にはどの程度の支持があるのだろうか。産経新聞では近畿地方を中心に20歳以上の100人を対象にした緊急アンケートを実施。目玉の高速道路の原則無料化については「渋滞や事故が増える」「エコ社会なのに車依存が進む」などとする反対派が75%を占め、「家計が助かる」などの賛成派25%を大きく上回った。「子ども手当」「年金改革」と合わせ、アンケート結果を3回にわたって紹介する。

 アンケートは電話や対面による直接聞き取り方式で、3~6日に実施。民主党の個別政策について「実現してほしい」か「必要ない」かを尋ね、その理由も聞いた。

 高速道路の原則無料化については100人中75人が「必要ない」と回答。政策の詳細な運用方針は決まっておらず、不透明な部分もあるが、圧倒的な勝利をおさめた民主党も個別にみると、必ずしも支持されているわけではない現状も浮き彫りになった。

 「必要ない」とする理由の中で目立ったのは「ひどい渋滞が起こるから」。滋賀県高島市の医療従事者の女性(27)は「早く着きたいときはお金を払ってでも利用し、お金がもったいないときは一般道をゆっくり走るという選択肢を残してほしい」とし、堺市内の飲食店従業員の女性(24)は「交通量が増え、事故が増えるのが心配」と話した。

 環境に与える影響を心配する声も多く、大阪府吹田市のNPO団体役員の女性(40)は「なぜ空気を汚す政策をするのか分からない。交通量増加に伴って排ガス対策にもお金が必要になる」と指摘。大阪市の女性会社員(29)も「必要性が高くなくても車に乗る人が増える。エコ社会といわれるなか車依存社会にする政策だ」とした。

 高速道路の割引についても否定的だった京都府城陽市の団体職員の男性(28)は「マイナス面が大きい。渋滞や環境の問題もあるが、フェリー会社や鉄道にも影響が出るしETCも売れなくなる」とし、大阪府豊中市の飲食店経営の男性(46)も「JRやフェリーなどへの打撃が大きい。倒産などが起これば、毎日利用している人の足が奪われる。陸海空の交通機関に平等な政策をとるべきだ」と述べた。

 また、大阪府和泉市の無職男性(61)は無料化に伴い1兆3千億円がかかることについて「そのお金を教育や福祉にまわしてほしい。むしろもっと公共交通機関を使うような政策をとるべきだ」と話した。

 一方、「実家が山口県で帰省のたびに多額の出費がかかっていた。無料化になれば大変助かる」という大阪府枚方市の主婦(50)は、ぜひ高速の無料化を実現してほしいと希望。

 大阪市内の会社社長の男性(65)は「荷物の運送費用なども安くなることが期待できて、車には乗らない自分にもメリットがある」と指摘。東大阪市の会社社長(67)も「大阪の道路は一般道が渋滞するが、無料化で高速利用者が増えれば、一般道の渋滞が緩和されるかもしれない。また、新幹線や飛行機などの交通機関でも値下げが進む期待もある」とした。

 ■ジャーナリスト・大谷昭宏氏の話「高速道路の無料化は環境面からみても、二酸化炭素(CO 2)の削減方針とも矛盾しており苦しい施策と思っている。75%が『必要ない』という回答をした結果をみると、民主党に投票した人は、単にばらまき政策にありつこうとしたわけではなく、自民党政権に対する怒りで投票したということが浮き彫りになったともいえる。民主党は公約だからといって無理するのではなく、効率的な運用を考えるべきだろう。例えば、渋滞が予想される主要高速道路を有料で据え置いたり、九州や北海道など利用者の少ない地方だけを無料にするといった方法もあるだろう」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000592-san-pol

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09/09/2009

負けたのは制度のせい?(小選挙区批判論は敗者のエゴ)

そろそろ出てくるなと思っていたが、産経新聞が9月7日付の記事で、小選挙区批判論を展開している。

といっても、小選挙区のままでよいという曽根泰教慶大教授のまともな見解も紹介されているので、偏った記事というわけではない。

今回の私の記事では、いかに小選挙区改正論(とりわけ中選挙区制回帰論)がおかしいのかを中心に、この記事に対する批判を展開したいと思う。



1.死票の問題(得票数と議席数のかい離)を指摘するジェラルド・カーティス教授について

まず、記事では、カーディス教授の指摘として、死票の問題が指摘されている。

確かに、死票が生まれることは否定しがたい事実であり、それが小選挙区制度の特徴でもある。

しかし、この批判は、①死票が生まれることが悪であるという価値観を前提にしていること、②欧米諸国の選挙制度に対する解説があたかも小選挙区に否定的と思わせる形で紹介されており、非常にミスリーディングであるという問題があろう。

まず、①についていえば、確かに死票が生まれると、敗北した候補に投票した意思は当落には反映されない。死票を指摘する声を丁寧に説明すると、おそらく、死票になった意見は無視されるという懸念だろう。

しかし、これは選挙である以上当然のことである。選挙は1つの選挙区内での代表者を選ぶのであり、勝利する候補者以外に投票すれば、それ以外の投票は死票となるのは当然であり、これを問題視するのはズレている。

また、候補者が接戦を制した場合、かならずしも、反対候補に投じた票を無視して活動できるかは疑問であり、死票になるとすべて無意味というのは、選挙および民主主義の本質を理解できていない批判である。

そもそも、接戦をギリギリで制した小選挙区の勝利候補は、解散がなければ、その後4年間は安泰かもしれないが、4年後には確実に選挙があるわけで、接戦であればなおさら、いかに次回の選挙で、死票となった票を自分の得票とするか考えるはずである。

もしこれを考えない候補がいるとすれば、政治家として未熟であるか、そもそも4年限りの選挙だと思っているかのどちらかだろう。少なくとも、まともな候補者であれば、死票を完全に無視して、議会活動をするとは思えない。

だとすれば、死票が生まれるとその意見が反映できず、絶対的におかしいという価値観が先行した批判は、意見が反映できないという前提が間違っているのであり、的外れである。

次に、②の点について検討する。記事では、「欧州諸国では、得票率と議席数の差を嫌う傾向が強く、英国を除き、下院において、得票率に応じ議席を配分する比例代表制を採用する国が多い。」との解説を入れているが、これは海外の選挙制度に対する認識不足も良いところで、ミスリーディングである。

まず、欧米諸国とひとくくりにしているが、小選挙区制度を採用していない国がどれだけあるのか1つも説明していないし、それらの採用していない国で健全な民主主義が機能しているのかも説明がない。

イギリスを除いた欧米諸国というのであるから、フランスは当然小選挙区制度を採用していないというのかなと思う読者もいるだろう。しかし、フランスは小選挙区制度を採用している。もっとも、フランスでは、選挙区で過半数の得票者がいない場合には、決選投票ト行うという2回投票制を採用しているが、これも小選挙区を前提にした制度であり、比例代表を採用しているわけではない。

イギリスを旧宗主国とするカナダ、オーストラリアも小選挙区制であり、アメリカも「Winner Takes All」という言葉があるように、小選挙区制度である(大統領選は小選挙区制度をベースに代議員を選ぶ間接選挙)。さらに、ハンガリーは日本と同じ小選挙区比例代表並立制である。

いずれにしても、小選挙区制度は日本を除く、英、米、仏、加のG8のうち4カ国がこの制度を採用しているのであって、少なくともこれらの国は民主主義国家の代表ともいうべき国々なのであって、小選挙区制が欧米で人気がないかのような指摘は誤りである

さらに、立憲民主主義の最初の国であるイギリスは、長年完全小選挙区制度を導入しているが、健全な政権交代がたびたび起こっており、また政治も安定している。死票の問題を指摘する声もあるが、選挙制度を変えようという動きは広がっていない。

その理由は、勝利した候補者(ないし政党)が必ずしもイデオロギー的な対立に走るのではなく、中道政策を意識し、死票(反対票)に対する配慮がある政策を実行しているからである。選挙制度のせいで、民意の反映ができていない文句をいうのは、少数意見のエゴととらえる向きもある。

また、完全比例代表制度が民主的かは疑問で、ロシアはこれに移行したことで、逆にプーチン勢力以外の政党が勝利するのが難しい形で運用されているということも忘れてはいけないだろう。

したがって、今回の選挙で、小選挙区制度により民主党が大勝したからといって、選挙制度が問題だという話がでてくるのは、少数意見(敗者ないし敗者を支持している者)のエゴでしかないだろう。



2.ジェラルド・カーティス教授の見解は必ずしも欧米の視点を代表していない。

日本では、良く彼の名前が新聞やメディアに出てくることがあるが、彼の日本に対する視点は必ずしも欧米を代表するものではない。しかし、日本のメディアは、彼の視点が日本に対する欧米の見方といわんばかりの報道をする。

これはひとえに、日本メディアの情報収集能力のなさに尽きる。多くのメディアは海外支局を持っているが、基本的にワシントン支局でいえば、CNNやABCなどの流す報道を訳して報道しているのが大半である。

かつてインターネットがない時代においてはその意義もあったのかもしれないが、これだけインターネットが普及し、英語で原文が読める日本人も多い現在においては、その存在意義にすら疑問を持ってしまう。

また、記者の偏ったプライド(海外支局に行くには何年もの下積みが必要なのでその維持課のかもしれないが)のせいかのか、海外支局では現地採用の現地人をあまり重要視して活用しておらず、英語をはじめとする外国語が未熟な記者が幅を利かせている。

したがって、現地の言葉での情報収集能力に問題があるため、結局、海外メディアが文章の形で発進したものを和訳して、かつ、その報道から得た情報に自分の印象を交えて報道するだけであり、独自取材をすることはほとんどない。

こういう状況が、日本の政治を研究しており日本語が話せるという特定の教授に対する過剰な評価につながっているのである。

また、誤解を恐れずにいうと、日本に興味のある外国人の多くがある種その国では変わり者という傾向があることを忘れてはいけない。

私の偏見かもしれないが、いわゆるアメリカなどでオタクの傾向がある人が日本に深い関心を持っていることが多く、そういう人々の見解は必ずしもアメリカなどの社会での主流の見解とはズレていることが多い。

カーティス教授がオタクなのかどうかわからないが、日本に詳しい教授が必ずしもアメリカの主流の見解を持っているとは考えにくいのであり、むしろ新しい日本政府に対するアメリカの本当の見方を知りたいのであれば、アメリカ政治のエキスパート教授に聞くべきであろう。

おそらく彼らの多くが日本にそれほどの関心がないかもしれないが、そうだとすれば、それがアメリカの主流の日本に対する見方なのであって、それを伝えるのがメディアの役割なのではないかと私は思う。



3.小林良彰慶大教授の見解は民主主義の本質を理解できていない

同氏は、「小選挙区制は、多数意見と少数意見、例えば高所得者や低所得者が別々の地域(選挙区)に集まって住み分けている米国のような社会に適している。日本は少数意見を持つ人が社会全体に広く分布しているため、この制度では意見を反映しにくい。」と発言している。

しかし、イギリスやフランス、さらにカナダ、オーストラリアを見ると、日本と同じような社会であり、アメリカほど貧富の差が拡大していない。アメリカという多人種国家の特異な社会状況だけをもって、小選挙区の代表的存在と位置づけるのは、読者への誤導が甚だしい。

さらに、少数意見を反映しにくいと言っているが、民主主義の本質は少数意見の反映までを求めていない。

民主主義の正当性の契機といわれているのは、少数意見に十分な議論の時間を確保し徹底的に議論を行うことであって、少数意見を反映させることまで要請されているわけではないのである。

つまり、わが国の憲法が要請する民主主義は、徹底した議論を確保することで、少数意見の説得力が明らかになればおのずからその意見が反映されるだろうという事実上の反映を認めているに過ぎず、反映させる仕組みまでを要求しているものではない。

したがって、よく共産党や社民党、公明党なども、少数意見を反映させる仕組みにしろと声をあげるが、これは民主主義の正当性が要求する域を超えた少数意見のエゴなのであって、説得力を欠く議論である。

また、小林教授は、「政権を取った民主党は、自公政権がそうだったように今後4年間の任期中、何があっても衆院を解散しないだろう。次の選挙まで民意の調整が行われないことになる。」と発言しているが、これもおかしな話である。

4年の任期の間でたびたび解散されて、政治が空白化することは民主主義ではない。解散し、政局が流動化すれば、政治学を専門とする学者の飯種は尽きることがなく安泰かもしれないが、国民にとってはえらい迷惑である。

民意の調整は、解散によって行われるべきではなく、国会議員が自分の選挙区はもとより日本全体の民意の動きを敏感に感じ取れるかどうかにかかっているはずである。

さらに、参議院の改選が3年ごととなっており、4年の任期より短くなっているのも、民意を反映させるためのものであり、解散がなくても、政治家は参議院の改選選挙や地方の選挙でその民意を十分図っているはずである。

そして、小泉、安部、福田、麻生と続いた自民政権はその調整に失敗して大敗したのであり、私はむしろ、こういう政権交代が起きやすい現在の選挙制度は日本に今後なじんでくるだろうと思う。

与謝野馨氏が以前、「小選挙区では政治家が小者化してしまうので、中選挙区に戻すべき」と主張していたが、自分が小選挙区に勝つのが苦手だから、小者が多くなると右往左往する自分自身を棚に上げて発言している方が小者だとおもうのは私だけだろうか。

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小選挙区制の歪み? 地滑り的勝利・議席再配分
 9月7日7時56分配信 産経新聞

 民主党が圧勝したさきの衆院選と自民党が勝利した平成17年の衆院選は、特定政党が「地滑り的勝利」を収めるなど、小選挙区制度の特徴が顕著に表れた。一方で、少数党の埋没傾向が強まり、制度自体の問題点や矛盾点を指摘する声が出始めている。(田中靖人)

 17年9月のいわゆる「郵政選挙」では、自民党が公示前237議席から296議席へ躍進、全480議席に占める割合は61・6%となった。与党の公明党(31議席)との合計は327議席となり、参院が否決した法案を再可決できる3分の2(320議席)を超す巨大与党を生んだ。民主党は177議席から113議席へと減らし、議席占有率は23・5%となった。

 だが、小選挙区の得票率は自民47・7%に対し、民主36・4%と差はわずか11・3ポイント。特に民主は前々回(15年11月)から0・2ポイントしか下げておらず、得票率が相対的に多い政党が議席数で過大評価される小選挙区制の特徴が強く表れた。

 今回は自民が192議席減らす一方、民主が196議席増やす逆転現象が起きたが、得票率も自民がマイナス9ポイント、民主がプラス11ポイントとほぼ入れ替わっただけで、得票率と議席数の乖離(かいり)は埋まっていない。

 欧州諸国では、得票率と議席数の差を嫌う傾向が強く、英国を除き、下院において、得票率に応じ議席を配分する比例代表制を採用する国が多い。

 日本も全480議席のうち180議席は比例代表で選出し、緩衝機能を持たせている。民主党はマニフェスト(政権公約)で、「衆院比例定数の80削減」を掲げる一方、公明、社民、共産は小選挙区制の弊害を訴えてきた。

 その比例代表だが、今回の衆院選で「勝ち過ぎ」た形の民主党は、近畿ブロックで比例獲得議席に比べ候補の数が足りず、2議席分の資格を失うという“珍現象”が起こった。みんなの党も公職選挙法の規定で東海、近畿両ブロックの各1議席を手放したため、計4議席を公選法に基づき自民2、公明1、民主1と再配分する事態となった。

 17年の衆院選では、自民党が東京ブロックで名簿登載者数を超える議席を獲得し、社民党候補に議席が転がり込んだこともあった。

 日本の政治に詳しいジェラルド・カーチス米コロンビア大教授は8月31日、都内での講演で、こうした弊害を指摘しつつ、中選挙区制への回帰を提言した。

 自民党内にも中選挙区制を望む声が根強く、選挙制度をめぐる議論はやみそうにない。

                   ◇

 ■国民選挙の本旨に沿う 曽根泰教慶大教授

 今回の衆院選で、民主党の候補者は個人名ではなく政党名を掲げたことで当選した。従来の自民党が行ってきた候補者個人の後援会組織を固めるやり方とは異なり、日本が政党本位の政治に変わった転換点だといえる。

 得票数の割に当選議席数が多いことを問題視する意見が出るかもしれないが、それは選挙制度の本質を理解していない。そもそも小選挙区制は、多数議席を強制的に製造する制度だ。政権党が失政を重ねれば政権を交代し、新たな政府を作る。それを議会内の政党の合従連衡ではなく国民の直接投票で実現することが最大の特徴だ。

 ましてや二大政党の一翼を担う自民党が今回の結果に驚き、少数政党の公明党や共産党と同調して「中選挙区制度に戻そう」と言い出すのであれば、自殺行為に等しい。将来、政権を取り戻す力がないと宣言するのと同じだからだ。

 自民党には、もともと「昔は良かった」と中選挙区制を懐かしむ人がいる。だが、それは「自分が頑張れば、党もマニフェスト(政権公約)も関係ない」という考えで、国民に政権の選択を委ねるという選挙の本旨をゆがめることだ。

 冷静に考えれば、今回の衆院選で民主は公示前の100議席台から300議席台になり、自民は逆に300議席台から100議席台になった。次回の選挙で立場が逆転することは十分にあり得る。今後は政権交代が当たり前のこととして行われるのが望ましい。(談)

                   ◇

 ■少数意見反映しにくい 小林良彰慶大教授

 今回の衆院選は、自民党に対して有権者が懲罰を加えた選挙だった。与野党のマニフェスト(政権公約)に対する評価に大差はなかった。無党派層だけでなく、自民党支持者が自民党に投票しなかったことが今回の結果を生んだ。

 特定の政党が勝ったから負けたから、という理由で選挙制度の良しあしを論じるのは誤りだ。しかし、現行の選挙制度は「政権交代をすればするほど民主的だ」とする英米式の「ウエストミンスター・モデル」を模範にしており、今回、「ダメ元で民主党に政権を任せてみて、それで駄目ならまた代えればよい」という気持ちで投票した有権者が少なくない。

 にもかかわらず、政権を取った民主党は、自公政権がそうだったように今後4年間の任期中、何があっても衆院を解散しないだろう。次の選挙まで民意の調整が行われないことになる。

 そもそも小選挙区制は、多数意見と少数意見、例えば高所得者や低所得者が別々の地域(選挙区)に集まって住み分けている米国のような社会に適している。日本は少数意見を持つ人が社会全体に広く分布しているため、この制度では意見を反映しにくい。

 加えて政党助成法など一連の政治改革で党の中央集権化が進み、各候補者の資質より党のリーダーの人気が影響する傾向が強くなっている。こうした「政党本位の政治」は本当に有権者に有益なのか。選挙制度は、その国の社会に適するかどうかで検討すべきだ。(談)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000046-san-pol

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09/08/2009

アカペラ・コメディー・グループ、ムースバター(Moosebutter)

今日も、政治や法律といった硬い話題を離れて、Youtubeで見つけた海外の面白い映像を紹介しよう。

スーザン・ボイルさんの話題以降、この手の話が最近は少なくなっていた。

この動画は、まだ約80万回の再生回数なのだが、私は妙にこのアカペラコメディーが気に入った。

スターウォーズを題材にして、同映画シリーズやインディー・ジョーンズ、ET、ジュラシックパーク、スーパーマンなどの主題曲を作曲したジョン・ウィリアムズ(John Williams)のメドレーを使い、巧みにスターウォーズの世界を面白おかしく歌い上げているところが、何度聞いても面白い。

特に、2分53秒当たりが面白い。

また、アカペラ技術が素晴らしく、コメディーという要素を抜いても、素晴らしいグループだと私は思う。

このグループについて調べたところ、アメリカ・ユタ州を中心に活躍する「Moosebutter」というアカペラ・コメディーグループで、様々な有名な曲を替え歌にして、アカペラ調で、面白おかしく歌い上げるという芸風で、有名らしい。

2003年にアメリカのアマチュアアカペラグループの登竜門、「Harmony Sweepstakes」という大会で、準優勝してから、その活動範囲をユタ州やコロラド州から全米規模に移しているようである。

ただ、2009年5月にボイルさんを生みだした「Britain's Got Talent」のアメリカ版、「America's Got Talent」に出場するも、予選で敗退したようである。

私はこのグループのアカペラコメディーは非常に面白いし、今後有名になるのではないかと思う。

歌だけであるが、ミュージカル・オペラ座の怪人の「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」という曲を替え歌にして、ヒッチコック監督の映画サイコを面白おかしく歌い上げているのも面白い。

英語が苦手な方には申し訳ないが、残念ながら、この歌の歌詞の日本語訳はないので、どうしても気になる人は頑張って読解してほしい。

なお、面白いのは、上記動画の画面左下で、バスやパーカッションを担当している、グレン・ソイヤー(Glen Sawyer)氏は、コンピュータープログラマーとしても有名で、複数のMP3ファイルの音量を音質を落とさずに一定化できるソフトなどを開発しており、アカペラとは別の一面でも活躍しているようである。

ぜひともYoutubeなどで彼らのコメディー・アカペラをもっと見てみたい。

なお、Youtube上には、スターウォーズをテーマにした替え歌が結構あり、以下の動画も私のお気に入りである。なかなかうまくスターウォーズのセリフとアンドリュー・ロイド・ウェバーのオペラ座の怪人の曲がマッチしており、非常に面白いし何度聞いても飽きない。

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09/07/2009

スーザン・ボイル(Susan Boyle)さんのアルバム発売は11月23日です。

今日は、久しぶりに、政治や法律といった硬い話題を離れて、スーザンボイルさんに関連する話題を記事にしてみる。

イギリスのテレビ番組、「Britain's Got Talent」に出場し、その予選での歌声がYoutube上で風前のヒットとなって世界中で話題になった、スーザン・ボイルさんの初アルバムが11月23日(アメリカでは24日)にイギリスで販売開始となることを、9月4日付のイギリス・ガーディアン紙が伝えている。

オーストラリアの音楽情報ウェブサイトによると、このCDには、ボイルさん人気の原点である、ミュージカル、レ・ミゼラブルの「I Dreamed a Dream」をはじめ、マドンナの「You See」、また、「Cry me a river」や、ローリングストーンズの歌なども収録されているという。

驚くことに、発売日から3カ月以上も前であるにもかかわらず、既に、インターネットショッピング大手のサイト、「Amazon.com(アマゾン)」では、先行予約として数万件の予約が入っており、アマゾンのCDランキングで、ホイットニー・ヒューストンやビートルズを抜き、現在、予約数トップになっているとのことである。

こちらが実際に売上1位を示しているアマゾンのサイト。

日本のアマゾンでも、以下のリンクから先行予約が可能である。興味がある方はぜひ予約してみるといいだろう。

また、新たなスーザン・ボイル現象を思わせるニュースもある。

イギリスやアメリカではこの手のオーディション番組が人気のようで、「X-Factor」と呼ばれるオーディション番組で、27歳のイギリス人教師、ダニュール・ジョンソン(Danyl Johnson)氏がYoutube上で(特にアメリカの視聴者に)、人気になっているらしい。

ダニール氏にも、アメリカの人気トーク番組、オプラ・ウィンフリー・ショーという番組から出演依頼があったようだが、X-Factorという番組との契約上、コンテストが終わるまでは出演は禁止されており、アメリカのテレビ番組への出演は当面行われないとのこと。

なお、話をボイルさんの話題に戻すと、ボイルさんのサクセスストーリーを映画化しようという動きがあり、映画「マンマミーア」で歌唱力を見せたハリウッド女優のメリル・ストリープが演じるという話が既に噂として広まっているのはご存じだろうか。

ここにきて、コメディー映画俳優としても有名なロビン・ウィリアムズもボイルさん役に興味を示しているという記事が、8月24日付のガーディアン紙に載っていた。

ロビン・ウイリアム氏は、映画「ミセスダウト」でもスコットランドアクセントのある中年女性を演じたことがあり、本人もその気のようである。

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09/06/2009

民主政権は少数与党に振り回されるな

社民党が調整機関設置という案に固執し、連立協議が難航している。

おそらく大多数の人は、この社民党の姿勢に疑問を持っているのではないだろうか。

そもそも、有権者の総意は、308議席を民主党に与えたことで、民主党の政策を支持したという結果になったのであって、7議席しか確保していない社民党が、民主党の政府の意思決定の一元化という核の政策を揺るがすことは、おかしな話である。逆を言えば、480議席中7議席しかない政党が、強い影響力を望むこと自体、ズレている。

このまま、社民党が調整機関設置に固執するならば、民主党はねじれ国会覚悟で、社民党との連立協議を解消すべきだと私は思う。

スタートの連立協議で、これだけ社民党という非常に小さな政党が、民主党を振り回し、有権者が308議席を与えることで、信任を得た「政府の意思決定の一元化」という基幹政策を揺るがしている以上、連立を組めばなおさら混乱が生じるのは目に見えているだろう。

一年後には参議院議員の半分の改選があるのであるから、民主党はここでブレて、社民党のような現状維持の7議席しか民意の承認を得ることのできなかった政党に譲歩することは絶対に避けるべきだろう。

重要なのは、民主党が308議席を確保し、現在でも7割強の国民が世論調査で、民主政権に期待しているということである。

出だしで、少数政党の抵抗に屈しているようでは、官僚の抵抗を抑えることはできるはずがない。

安定した国会という利益のために、何が何でも社民党と連立しなければならないという考えは捨てて、場合によっては、他の政党との参議院での連携を視野に、マニフェストに掲げた一元化という政策を実現しなければ、308議席を与えた有権者の期待は一気に冷え込むだろう。

もちろん、少数政党の意見を反映させるべく努力するのは大事だが、少数政党に振り回されるという前例は百害あって一利ない。

社民党も、どうして支持を得られないのか自戒して、わきまえなければ、有権者の多くの目には、自分たちの少数意見に固執する抵抗勢力としか映らないだろう。

参議院選挙では党首すら当選できないという事態も起きかねない。

意見を反映させる仕組みではなく、意見を反映させてもらえるような説得力ある主張をすべきなのであって、おかしな主張が「仕組み」によって反省させられてしまう結果を国民は全く望んでいないことに葉や茎がつくべきであろう。

民主党も格差の是正などを掲げて勝利したのであり、民主党と一致できる政策に自分たちの考えをより反映できるような努力をすべきであって、少数の有権者しか支持しないような分野まで影響力を行使すべく、「仕組み」を押し付けるのは、国民には少数者の横暴としか映らないということを自覚すべきであろう。

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調整機関設置譲らず=社民党首、連立協議で
9月5日11時53分配信 時事通信

 社民党の福島瑞穂党首は5日朝、民主党との連立政権協議で焦点となっている与党間の政策調整機関について「きちっと(社民党の)意見が反映される仕組みをつくらなければ、連立に入る意味はない」と述べ、設置を求める考えに変わりのないことを強調した。TBSテレビの番組で語った。

 民主党は政策調整機関の代案として、政調会長による協議の定期化を打診。社民、国民新両党は、政府の政策決定に関与する機関として不十分との理由から、これに難色を示している。3党は週明けに幹事長レベルでの交渉を再開する見通しだが、福島氏が妥協しない姿勢を示したことから、調整に手間取ることも予想される。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090905-00000041-jij-pol

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09/05/2009

国際政治の専門家も同様の意見(鳩山論文とアメリカの一部勢力に踊らされる日本のマスコミ)

先ほど、ツイッターでもつぶやきましたが、多摩大学長で日本総合研究所会長の寺島実郎氏が、テレビ朝日の報道ステーションに出演されており、私が9月2日付記事「鳩山論文とアメリカ政府に踊らされる日本のマスコミ」で、論じたことと同じような視点で、この問題について、解説されていました。

国際問題を専門に活動されている同氏は、大まかには以下のようなことを強調していた。

市場原理主義を問題にしているのは、鳩山論文だけでなく、オバマ政権だって問題だと思っている。ビル・ゲイツすら創造的市場主義という概念を持ち出して、貧富の差を問題にしている。

従来型の日米安保を維持したいそれに既得権益を持つ一部のアメリカ政府やアメリカの政治家等の主張に日本のメディアは過剰反応すべきではない。ドイツでも米軍との関係を見直すことは既に90年代に踏み込んでやったのであり、今後新しい日米関係を模索することは常識的なことである。

なるほど、同氏の強調されている点は、追従型日米関係を転換しようというものであり、親米家らしい視点での指摘である。

重要なのは、日本が今まさに敗戦国としての立場から、対等な関係に独立しようという時期に来ているのであり、それを良く思わないアメリカの一部の勢力が鳩山論文を引き合いに出して、批判をするのは、当然あり得ることであり、これに過剰反応しているマスメディアは、国益を損なっていることにはやく気がつくべきであろう。

アメリカの無制限な市場主義に対しては、市場主義を支持した共和党のマケイン候補ですらなんらかの規制が必要だと指摘していたし、殊更、鳩山次期首相が反米的であるというのは、プロパガンダ以外のなにものでもないだろう。

また、アメリカ国民は、それほど日本の政権交代に対して関心を持って見ていないのであって、アメリカの一部メディアが取り上げた批判記事でうろたえているようでは、国際政治における駆け引きには耐えられないだろう。

鳩山次期首相には、この点にはブレずに、建設的な日米同盟のあり方を模索する姿勢を貫いてほしいし、日本のマスメディアも、アメリカの一部の既得権益勢力が騒いだからといって、アメリカ国民の総意がそうであるかのような論じかたはすべきではない。

アメリカ自体、あらゆる問題に対して、一枚岩ではないし、様々な視点で日本を見ているのであって、アメリカの一部の声をアメリカを代表する声のごとき報道は、稚拙過ぎる。

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09/04/2009

特に、ゾンビ議員は落選したことをもっと真剣に受け止めよ。

ゾンビ議員で復活したのが、このような町村氏ばかりかと思うと、政権交代が常態化する政治は、自民党の自滅により、今後難しくなるのではないかとの不安に駆られてしまうのは私だけだろうか。

町村氏はなぜ盤石な地盤だった地元で、小選挙区落選となったのかもっと深く考えるべきだろう。

はっきり言って、同氏は総裁の器ではないし、こういう緊急事態に彼のような人物が自民党の総裁として立候補するという話すら出ること自体、自民党が国民の声に真摯に向き合っていない証拠であろう。

多くの有権者は、自民党の派閥政治、権力の奪い合いしか考えない老害政治に辟易としているはずである。

町村氏は、いろいろ考えなくて良いので、まず、自分たち自民党がこれだけの歴史的大敗を喫したことを真剣に分析して、今までの自民党の悪しき伝統を総括するのが先である。

そもそも、私は、もっとも理想とすべき現代政治のあり方について、トニー・ブレアがリーダーシップを発揮したイギリス政治にその姿があると考えている。したがって、中道左派政治には基本的に好意的であるが、だからといってこれからの民主党政権が自民党政権のように長く続くべきとは思っていない。

政権の実績を評価したうえで、必要であれば健全な政権交代が、4年、8年、12年というようなスパンで行われるべきであると考えている。

しかしながら、今の自民党のていたらくを見ていると、二大政党制による健全な政権交代が今後継続できるか非常に疑問を持ってしまうのである。

そもそも、町村氏の地元である北海道5区は、父親の故・町村金吾氏地盤であり、かつ、千歳市、恵庭市などは、自衛隊の駐屯地があるため、リベラル勢力が強い北海道の中でも異色の保守の牙城である。

にもかかわらず、開票直後の20時段階で、多くのマスメディアが対立候補の小林ちよみ氏の当確を打ったのは、本人にとっても衝撃的なことであったはずである。

こうした現象は、北海道5区に限らず、多くの地域でおこったわけであるが、町村氏をはじめとする名のあるゾンビ議員は、自らの落選の原因分析が全然できていないのではないだろうか。

与謝野氏の「多くの有能な、有為な人材が本人たちの努力にもかかわらず敗れ、悲しい限りだ」という発言などからも明らかなように、ゾンビ議員からは、自分が悪いのではなく、党や風が吹いたことが悪かったかとのような発言が目立つ。

風に一定程度は左右されるにしても、これらの有名な議員が小選挙区で落選するのは、風が民主党に吹いたということだけではない。選挙区の有権者の怒りが爆発したのである。

そして、それは伝統的な保守層が自民党には任せておけないという強い意思表示なのであり、これをまず真摯に受け止める姿勢がなければ、自民党は存在意義すら失いかねないことになる。

二大政党制を定着させるためにも、自民党の議員や党員はこうした有権者の声を読み取れないゾンビ議員は相手にせず、世論に敏感な新しいタイプの政治家を発掘して、野党として十分民主党を監視し、4年後の衆議院選挙に備えてほしい

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自民総裁選「いろいろ考えている」=町村氏
9月3日15時9分配信 時事通信

 自民党町村派会長の町村信孝前官房長官は3日、麻生太郎首相(党総裁)の後継を決める総裁選の自身の対応について「今この瞬間はいろいろなことを考えている」と述べ、出馬に含みを残した。都内で記者団の質問に答えた。
 町村氏は衆院北海道5区で民主党候補に敗北し、比例代表で復活当選した。派内では「小選挙区で負けた以上は総裁選出馬を控えるべきだ」との声や「派閥単位の総裁選びは、国民の理解を得られない」との意見が出ている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090903-00000074-jij-pol 

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09/03/2009

鳩山次期総理は軽口にくれぐれも注意を!

鳩山代表の悪い癖ですね。

軽口をたたくのは。

私はこの発言には怒りすら感じます。

民主党を勝利に導いたのは、他でもない有権者の一票であって、海の向こうの大統領のおかげなんて、ふざけた話です。

こういう軽口をたたかれると、本当に民主党政権に期待していいのかと疑問を持ってしまうのは私だけでしょうか。

これほどばかげた話はありません。いくらアメリカに対する民主党政権の印象を良くしたいといっても、これほど有権者を愚弄するような発言はないでしょう。

有権者は、アメリカの政権交代を見て、安易に民主党に一票を投じたわけではないはずです。日本の自民党支配の政治に対する不信、民主党の脱官僚依存政策に対する共感、生活の疲弊、地方の荒廃、若者の就職困難など身近な問題で苦しむ悲鳴に近い想いで、民主党に一票を投じたはずです。

それをアメリカが政権交代したから日本もなんていう安易な発想で投票したかのような印象を与える鳩山次期総理の発言は、一票を投じて、308議席を民主党に託した有権者を馬鹿にしていると私は感じます。

就任前の大失点といっても過言ではないでしょう。

今はマスメディアも好意的ですが、こういう軽い所が見えてくると、マスメディアはもちろん、有権者も裏切られたという気持ちが大きくなるでしょう。

初めての本格的政権交代をした日本の首相になるわけですから、鳩山次期首相には、もう少し重みを持ってほしいです。

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鳩山代表が米大統領と電話会談「民主党の勝利はオバマ氏のおかげ」
9月3日0時58分配信 産経新聞

 民主党の鳩山由紀夫代表は3日未明、オバマ米大統領と電話で12分間会談した。オバマ氏が衆院選勝利に対する祝意を伝えたのに対し、鳩山氏は「民主党の勝利はオバマ大統領のおかげだ。日本に勇気をもらった。日米同盟を基盤と考え、未来志向で日米関係を発展させたい」と発言。両者は日米安全保障体制を堅持することで一致した。

 鳩山氏は会談で地球温暖化、核廃絶・不拡散の分野でオバマ大統領が果たしている役割を評価。その上で「日本もそのような問題でリーダーシップを取らなければならない」と述べた。

 鳩山氏は16日に国会で首相指名を受け、新内閣を発足させた後、国連総会出席のため訪れるニューヨークで23日にもオバマ大統領との初の日米首脳会談を行う方向で調整している。鳩山氏は電話会談でオバマ氏に「できるだけ早くお目にかかりたい」と伝えた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090903-00000506-san-pol

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公明党の行く先はいばらの道?

公明党にとっては小選挙区全滅に加え、ダブルの衝撃ですね。2審以降の判決文を読んでみたいところです。

今後、民主党政権の下で公明党のP献金など疑惑についても追及して、前政権までにたまった膿を出し切ってもらいたいという気持ちで、民主党候補に一票を投じた有権者も多かったのではないでしょうか。

公明党って代表選挙とか役員の選定過程が不透明で、かつ、フランス政府からカルトとの認定を受けた宗教団体を支持母体にしていることから、その宗教団体の信者以外の者からすると、どうしても特異な政党に見えてしまいます。

また、熱心な選挙運動も、一般の有権者からすると、なんだか「ぶきみ」に映ってしまい、自公連立がなければ、宗教関係者以外の票はほとんど獲得できないということなのでしょう。

自民党支援者でも、公明党とは手を切ってほしいと思っている人がかなりいるようです。

公明党にとっては、選挙で負けて、裁判でも負けるというダブルパンチという事態になりましたね。まさに、いばらの道といったところでしょうか。

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<手帳持ち去り報道>矢野絢也氏の逆転勝訴が確定
9月1日20時23分配信 毎日新聞

 週刊現代の記事で名誉を傷付けられたとして、公明党の元国会議員3人が発行元の講談社と矢野絢也・元同党委員長に賠償などを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は1日、元議員側の上告を退ける決定を出した。元議員側の請求を棄却し、反訴した矢野氏の主張を認めて元議員側に300万円の賠償などを命じた2審・東京高裁の逆転判決(3月)が確定した。賠償命令が確定したのは、黒柳明、伏木和雄、大川清幸の元議員3氏。

 同誌05年8月6日号と13日号は「矢野極秘メモ 100冊が持ち去られた!」と題し、元議員が矢野氏に手帳の引き渡しを強要し、本棚や押し入れ、妻の部屋などを家捜しして奪ったと報じた。

 1審は「強奪の事実は認められない」と講談社側に660万円の支払いなどを命じたが、2審は「脅迫された矢野氏がやむなく要求に応じて手帳を引き渡した」と認定。矢野氏のプライバシーを侵害したとして、元議員側に慰謝料支払いと手帳の返還を命じた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090901-00000079-mai-soci

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09/02/2009

鳩山論文とアメリカ政府に踊らされる日本のマスコミ

ニューヨークタイムズ紙が掲載したとされる鳩山民主党代表の論文について、日本のマスメディアは一斉に報じ、「アメリカ国内で波紋を広げている」などと非常に馬鹿げた報道をしている。

アメリカ政府に踊らされているのは、日本政府でも、旧与党の自民党でもなく、日本のマスメディアではないかと思わさせるのである。

今回の民主党政権誕生に対し、私は何人かの海外に住む現地の友人から連絡が来たので、このニュースがどのように彼らの目に映っているか聞いてみた。

まず、留学時代に知り合った、伝統的な民主党支持者のアメリカ人の友人は、私がかつて日本の政治状況を説明し、自民党政権が長期にわたっていることが非民主的であると話したことを覚えており、今回の政権交代のニュースを受けて、5年ぶりに連絡をしてくれた。

この友人に言わせれば、日本の政治はやっと成熟した民主政治になったのであって、政権交代が起こったことは望ましいことであるとして、民主党政権を歓迎しているようである。

また、日米関係に対する懸念はほとんどないようで、一部日本メディアが「鳩山氏が反米主義者とアメリカではとらえる動きがある」などと報道しているが、アメリカ政治に詳しいこの友人によれば、「そのような懸念は特に聞かないし、不要な心配だと思うが、どうなんだ?」と逆に聞かれるほどであった。

別のアメリカ人で、上院議員事務所でスタッフとして働いた経験があるロースクールに在学中の親友は、今回の民主党の大勝について、良い意味で、「驚いた」と語っている。

「54年間も自民党による一党支配が続いていた日本で、やっと政権交代が起こったことは歓迎すべきである」と肯定的にとらえている。また、外交問題で日米関係が悪化することはないと考えているようである。

この友人に言わせれば、「アメリカ国民の多くは、そこまで他国に対し関心がないので、鳩山論文が波紋を広げているとは大げさだ。日本が思っているほどアメリカ国民は日本に関心がない。」とばっさり言っていた。

つまり、日本のマスメディアの過剰反応ということである。

イギリスに住む友人からは、「世界経済が混迷する中で、中道左派政権の誕生は望ましいことであり、民主党政権がかつてのイギリスのブレア政権のように長期安定的な政権になることを望む。」という声が寄せられた。

スロバキア人の友人からは、「日本でやっと新しい政権が誕生したのは非常に望ましいことで、国家(いわゆる官僚機構)ではなく、国民にとって恩恵の受けられる政治に転換することを期待する。」というメールをもらった。

こうしてみてみると、あくまで、私の友人関係をベースにした印象ではあるが、54年にして初めての政権交代という事実は、衝撃的かつ肯定的に海外で受け止められているのは間違いない。

そして、日本で報道されるほど海外の友人たちは、新しい民主党政権に対する「不安」や「懸念」というのを持っている印象は全く受けないのである。

上記で紹介した友人たちは、それぞれの国内政治に関心が高く、政治に詳しい部類に入る人たちなので、そういった人々が、日本で伝えられるような海外の懸念を共有していないというのは、つまり、日本のマスメディアが暴走しているだけと見るのが正しいのではないだろうか。

2人目に紹介したアメリカ人の親友のコメントがまさに的を得ており、アメリカ人は他国の政権、とくに日本に対して、さほど関心がないし、日米関係においても、それほど心配するような劇的な変化があるとは思っていないというのが正しい現状認識なのではないだろうか。

日本では、アメリカ大統領選挙など逐一報道されるが、日本の政治がアメリカで話題になるのは稀であるといっても過言ではない。

今回、一時的かもしれないが日本の政治変化が取り上げられたのは、ある意味チャンスなのであって、英語が堪能な鳩山由紀夫次期総理大臣が、いかに、信念を持ってアメリカのけん制を跳ね飛ばし、対等なパートナーになるべくアメリカに対し今後注文をつけられるか、これが試されているといえるだろう。

私は親米中の親米であるが、親米というのはアメリカの要求を常に飲むことではない。アメリカはときに理不尽な要求をするしそれが彼らの交渉スタイルなのであって、それをまともに聞いていては、日本が疲弊する。

本来の親米は、アメリカといかに対等に付き合っていくかを模索することだと私は思っている。アメリカのおかしい要求に対しては断固として譲らず、日本の要求はしっかり行うことが重要であろう。

したがって、アメリカ政府(アメリカ国民の民意とは切り離して考える必要があるのであるが)が今後どのような要求をしてこようと、民主党政権は、理不尽な態度、要求には断固として拒否し、日本の国際的存在感を高める必要があると私は考えている。

「これにより日米関係が悪くなるのでは?」と素人は考えるだろうが、そんなことはありえない。今のアメリカにとって日本はなくてはならない存在だし、その逆も然りである。

よく「アメリカは日本を通り越して中国と付き合うようになるのでは?」という話も耳にするが、それをさせないためにも、日本は独立した国家として、国民の利益になる主張をアメリカに対し対等に行う必要がある。

私は、「アメリカ親中化論」を聞くたびに、国務省の外交官として日本に派遣されていたアメリカ人の友人が、かつて私に、「日本政府や日本のマスメディアはアメリカに対し従順すぎる。日本は従順だからアメリカは手のかかる中国の方にシフトする。」という指摘をしていたことを思い出す。

すなわち、アメリカは、手のかかる交渉相手をある種のパートナーとして重視する傾向にある。放って置いてもなんでも言うことを聞く子分より、手のかかるパートナーに力を注ぐことになるのは当然であろう。

また、日本のマスメディアは、もう少し自戒して、アメリカ政権(日本を従来通り手懐けたい国務省の一部)の交渉戦術に乗って、「民主党政権の対米外交に不安がある。『反米的なのでは?』と不安がある」というレッテルを張ることに加担していることを認識すべきである。

既に、アメリカの外交戦略は始まっている。

今後外交交渉において、アメリカの思うような交渉ができないときに、「日本の民主党政権は外交能力不足だから、交渉が上手くいかない」というイメージを発信して、自分たちの優位な外交交渉に持ち込もうというアメリカの外交戦略に既に乗せられていることに、日本のメディアは早く気が付くべきであろう。

こうしたマスメディアの報道に接するたびに、日本国民は、アメリカ国民が日本人が思っているほど日本に注目していないという現実にもっと目を向ける必要があると私は思う。

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鳩山代表に欧米から反発噴出 「東アジア共同体」に「友愛」
8月31日20時55分配信 J-CASTニュース

 次期首相と目される民主党の鳩山代表に、欧米で警戒感が広がっている。米紙への投稿で、経済や安全保障のアメリカ主導を批判し、東アジアを軸に考えるとしているからだ。

■「オバマ政権は、相手にしないだろう」

 民主党が総選挙で圧勝し、海外でも政権交代に関心が集まっている。まだ開票から1日のため、海外のメディアで鳩山由紀夫民主党代表への論評は少ない。しかし、鳩山代表の考えに違和感を表明した向きもあり、今後、海外でも政策を巡る論議が広がりそうだ。

 鳩山代表の考えで特に注目されたのは、米ニューヨーク・タイムズ紙に2009年8月27日載った寄稿論文「日本の新しい道」(英文)。そこで、鳩山代表は、冷戦後、アメリカ主導のグローバリゼーションの中で、日本が市場原理主義の風潮にもてあそばれてきたと指摘。そして、人々が目的ではなく、手段として扱われ、「人間の尊厳が失われている」とまで言い切った。その現れとして、イラク戦争や金融危機があるという。

 鳩山代表は、代わりに、世界は多極化の時代に向かっているとした。「日米安保条約は外交の要」としながらも、日本については、友愛精神に基づいた「東アジア共同体」を提唱した。具体的には、東アジアの通貨統合や恒久的な安全保障を想定している。

 この「鳩山論文」については、アメリカ国内の専門家らから批判が相次いでいる。朝日新聞の29日付記事によると、元米政府関係者は、「オバマ政権は、論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう」と語った。米政府の担当者が日本をアジアの中心に考えなくなり、G7の首脳らにも同意が得られないとしている。

■経済政策については、影響力がなく、関心もない

 欧米のメディアからも、鳩山由紀夫民主党代表の考えに異論が出始めた。

 ニューズウイーク日本版は、2009年9月2日号で、アジア版(英文)にも載ったコラム「沈みゆく日本」で、「ビジョンは内向き」と批判した。

 同誌は、日中間で海上油田の採掘権や過去の侵略問題を巡って対立し、平均年収の差もあるとして、東アジア共同体の実現困難性を挙げた。そして、中国が2010年にも経済規模で日本を追い越す可能性があり、日本は、世界で勢いを盛り返すには、経済成長が何より大切だとした。しかし、自民党に攻撃されるまでマニフェストに「経済成長戦略」を明記していなかったと批判したのだ。

 英エコノミスト誌は、8月20日付サイト記事「間違った敵に攻撃している」で、鳩山代表が奉じる友愛に噛みついた。それは「感傷的に聞こえる概念」だというのだ。日本で鉄壁の保護を受けている農業をグローバリズムから守り、非正規労働の禁止や最低賃金引き上げだけを考えていると批判。経済政策については、影響力がなく、関心もないとの指摘が出ているとして、民主党の政策には限界があるとしている。

 また、英フィナンシャル・タイムズ紙は、28日付サイト記事「民主党代表の政策への疑問」で、友愛の概念を具体的な政策に移す鳩山代表の能力に疑問があると指摘している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090831-00000006-jct-soci

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09/01/2009

衆議院選挙2009を振り返る(自民党にゾンビ議員が大量発生等に思うこと)

選挙日当日のブログの訪問者数が7699人と驚異的な記録となった。

表示はしていないが別のアクセスカウンターでは、1万2125人というアクセス数を記録しており、国民審査に関連して、ブログを訪問してくれた方が多かったのだろう。

事前の予測を懐疑的に見ていたが、マスメディアも選挙に関する報道技術は高いようで、事前の予想通り300議席を超え、308議席を民主党がとり、社民、国民新、民主系無所属議員を合わせると、320議席に達し、2/3を獲得した。

まさに、郵政解散の逆の現象が出たわけである。

この選挙結果を振り返り、私は以下の点に注目している。

1.自民党の派閥の領袖といわれる大物議員が続々小選挙区落選

まず、指摘しておくべきは、連続当選回数が多い議員で、自民党の牙城と言われた地域で、軒並み自民党議員が小選挙区落選をし、比例でゾンビ議員として復活当選した点である。

私はもともと比例の復活当選という制度に疑問を持っているわけであるが、この制度により何とか復活した自民党議員が多数を占めた点である。

北は、武部勤氏、町村信孝氏に始まり、東京では、小池百合子氏、与謝野馨氏、岐阜では、野田聖子氏、京都では、伊吹文明氏、広島では中川秀直氏など派閥の領袖や総理大臣候補として名前が出たことのある人物が軒並み小選挙区で落選したことは、自民党に対する強い不信の表れであるといえよう。

これだけ多くの有名議員がゾンビ化した例を私は知らない。また、ゾンビ化できればまだ良い方で、北海道の中川昭一氏や、群馬の笹川尭氏、山梨の堀内光雄氏、愛知の海部俊樹氏、福岡の山崎拓氏などは議席を失い、ただの人になり下がった。

小選挙区で、ノーを突きつけられた人が比例で復活するのは、いくら死票の反映といっても、非民主的であると思えて仕方ない。死票となった声を反映しているのだから、むしろ民主的という考え方もあり得るとは思うが、やはり、小選挙区での敗北を見越した保険制度のような気がしてならないのである。

そもそも比例制度は少数者の声の反映という意味合いで作られたものであるが、私はむしろ重複制度はやめて、比例単独候補を増やして活動させる方が、良いと考えている。

なぜなら、いわば有権者は一人2票持っているわけであって、そのうちの比例票はあくまで小選挙区の候補ではなく、政党に対する票なのであるから、その票により小選挙区で落選した人物がゾンビとして復活するというのは、制度の本来的趣旨からいって、整合的ではないように感じるわけである。

いずれにしても、ゾンビ化した大物議員の影響力低下は避けられない。私はある種自民党にとって、ふんぞり返っていた大物議員が小選挙区で落選したことは良かったと思っている。これは自民党が生まれ変わるチャンスだろう。ここで、ゾンビ化した大物議員の影響力が低下し、党内で若手や中堅のまだマシな議員たちが再生に向け影響力を伸ばす契機になるかもしれない。

2.社民党、共産党の健闘

私は、今回の選挙で、大方のメディア同様、社民党や共産党は民主党の影に埋没して議席を大幅に減らすのではないかと見ていた。しかし、改選前を維持したことは健闘と評すべきであろう。

私の予測では、社民4、共産6くらいまで落ち込むのではないかと見ていたが、社民7、共産9には驚きをもって受け止めた。

共産党のこの健闘はおそらく、小選挙区の配置を絞ったことにあるだろう。負けが明らかな小選挙区に無駄な人員を配置して、選挙費用を浪費するのではなく、絞り込んで、人材や費用の余剰分を比例に回すことで、なんとか組織票を固め、比例区での一部の無党派層への浸透を図ることができたのではないだろうか。

社民においては、選挙協力が一部で功を奏し、また、連立前提ということで、従来の社民党支持者からの支持回復があったのではないかと分析している。福島みずほ党首は連立に積極的なようで、そのことも支持されたのではないだろうか。おそらく、左翼票の支持が民主党へのけん制として、比例などで伸びたと私はみている。

3.公明党の役員落ちと小選挙区全滅

今回、公明党の組織票固めはいつもの選挙よりも熱が入っており必死だったようである。私の知る限りの情報でいえば、意思表示能力が困難にも思えるお年寄りや病人などにも引き締めを図り、投票所では、耳元で「公明」と囁くような熱心な方々も数多くいたようで、以外に公明票が伸びるのではないかという予測も聞いていた。

しかし、小選挙区は全滅し、選挙間近で対立候補が発表された、太田代表に対する青木愛氏、冬柴鉄三氏に対す田中康夫氏など接戦を制した。

自民票が伸びなかったという話も出ており、おそらく、自民党支持者にとって公明党は目の上のたんこぶだったのだろう。

やはり、特定の宗教団体のために存在する政党であるから、非信者の大多数にとっては、支持しがたい政党である点は否めない。

さらに、フランスではカルト宗教と認定されていることもあり、保守層にとっては、公明党に投票すること自体、罪悪感を感じるという人も多いという話を聞く。

いずれにしても、党の代表と三役の一人が落選するというのは前代未聞の事態であろう。公明党の太田代表は、民主党との協力に含みを持たせていたが、公明党に残されている道はいばらの道だろう。

これだけ大勝した民主党が公明の議席を頼ることはないだろうし、万が一そのような事態になれば、民主と書いた人々が離反するのは目に見えている。そのようなことを今の民主党がするはずはない。

公明と創価との関係の追及などをして、さらに民主が公明に打撃をあたえることがあっても、公明党にとって好転の機会はしばらく廻ってきそうもないだろう。

4.民主党の勝利宣言に見る変化

民主党の鳩山代表は、開票センターで勝利宣言をしたが、その時の表情に笑顔が少なかった点が印象的であった。前回の郵政選挙では、小泉元首相は終始笑顔で上機嫌であったが、今回の鳩山代表の顔は時々笑顔が見える程度で、むしろ終始慎重な顔つきで、インタビューに答えていた。

これは、大きな変化である。つまり、既に鳩山代表は今後の政権運営をどうするかに気持ちが切り替わっており、選挙での勝利を満喫しているほど能天気ではないということなのではないだろうか。

ここに、私は前回の郵政選挙と今回の政権交代選挙の違いを見ている。

今回、民主に投票した1/3程度の人は、民主党に期待せずに、政権が短命に終わると見て、反自民票のつもりで、投票した人もいるだろう。

しかし、私の現在の認識では、民主党政権はしばらく続くと予測している。というのも、鳩山政権誕生後の100日間の間に、民主党政権が国民の期待に応えたように見せる手法は既に準備されており、この間に与える「政権担当能力ありそうだな」というイメージで、しばらくは民主党政権が安定的に治めると考えている。

この100日間は、基本的にメディアも批判を控えるのが常識であって、むしろ「対官僚」というイメージから、マスメディアも民主党政権を好意的に映し出すだろう。

それは、おそらく、小泉劇場ならぬ、小沢劇場ともいうべき舞台が用意されていると私は、この勝利宣言での鳩山代表の表情から読み取っている。

民主党内では、小沢氏との二重権力関係に対する懸念が出ているが、こうやって揺さぶりの声を出しているのは、前原グループとかの一部であって、今の鳩山氏、管氏、岡田氏、輿石氏、赤松氏という現執行部にとって、小沢氏の重しは必要不可欠なのであって、権力対立がおこることはまずあり得ないだろう。

とりわけ、1年後に参議院改選を控えているだけに、そんな余裕がないというのが本音であって、鳩山氏が閣僚名簿の事前発表などを控えたのも小沢氏の指摘を受けて、浮かれている場合ではないことを認識したためだろう。

さて、最後は今後の予測を無謀にしてしまったわけであるが、この予測が当たり、しばらく政治状況が安定することを望むばかりである。

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