テレビ朝日のザ・スクープを見て(鳥越氏の最後の不適切な発言に疑問あり)
ツイッターでもつぶやいたんですが、テレビ朝日が飯塚事件を取り上げたために、このブログにも訪問者が急増しているので、一応警鐘を鳴らしておきます。
番組の最後で、キャスターの鳥越氏が、感情任せで、飯塚事件に関与した下級審裁判官および最高裁裁判官の実名を挙げて、あたかも冤罪を作りだした元凶であるかのような扇動的な発言をしていました。
裁判所法や裁判制度、および、合議制度を全く理解していない発言で、これに踊らされて、個別の下級審裁判官に対する誹謗中傷をするべきではありません。
番組自体は素晴らしい内容だったし、飯塚事件の問題をわかりやすく報じていましたが(もっとも、主張が一方的で、その他の状況証拠による嫌疑の部分が十分に紹介されていなかったという問題もあるのですが・・・)、最後の鳥越氏の行為は見過ごせない愚かな行為です。
鳥越氏のジャーナリストとしての資質を疑います。彼はおそらく袴田事件の熊本裁判官のことは知らないでしょう。
私がどうしてこう考えるかについては、以下のリンク先にある記事で、足利事件との関係で詳細にまとめてあるので、興味のある方は、参照してみてください。
http://esquire.air-nifty.com/blog/2009/06/post-20a3-1.html
ポイントは、飯塚事件に関与した下級審裁判官の中には、無罪だと判断した裁判官もいるかもしれないということです。
なお、繰り返しになりますが、私はあくまで実名の公表が問題だと言っているわけではありません。そもそも判決は公のものですから、関与した裁判官の実名を公表すること自体何の問題もありません。
しかし、冤罪の有力証拠が明確に示されていない(冤罪の可能性があるという状況にすぎない)現段階で、鳥越氏の「冤罪で死刑になったの元凶が関与した下級審裁判官にあるから、視聴者のみなさん、この裁判官たちの名前を覚えて、責めましょう。彼らは良心の呵責がない人間です。」とあたかも言うような印象を与える発言をしていることが問題だと考えているわけです。
この種の扇動的発言は、いわゆる橋下弁護士の懲戒請求呼びかけ事件のときと同じで、非常に短絡的かつポピュリズム的発言で、ジャーナリズム精神のかけらもないと思います。
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