新卒者の内定状況が深刻
最近、「就職留年」とか、「就職難」というキーワード検索に引っ掛かり、このブログを訪問してくれる方が結構いるようである。
おそらく、以前紹介した「若者の安定志向に起因する問題」と、「就職留年の問題」という記事内の語句に検索ツールが引っ掛かり、このブログを訪問してくれた方なのだと思う。
私も若者の就職難の状況を良く耳にするため、今日はこの若者の就職情勢について触れてみたい。
まず、今年の就職難は今まで日本が経験したことのないほどの就職難といえるようである。
私の知るところでは、近年の就職難は、2003年度、2004年度新卒の人々の就職活動時期が氷河期のピークで、2005年度から団塊の世代の大量退職が取り上げられ、雪解け状態になったものの、2010年度新卒者は昨年のサブプライムによる世界不況のあおりを受け、超氷河期に陥っているようである。
私の持論は、就職氷河期には、内定をいくつも確保できる勝ち組と、内定が1つも確保できない負け組がはっきり分かれるだけで、学生の努力次第で乗り切ることも可能というものであったが、今回の就職「超」氷河期においては、この持論は当てはまりそうにない。
つまり、そもそも内定を確保できる人が少なく、いくつも確保できる人が非常に少ない状況であると同時に、学生がいくら努力しても内定が1つも確保できないといういわゆる負け組の絶対数がかなりの大多数に及んでいるようなのである。
企業によっては、たとえば、募集人数では50名としておきながら、実際には10名程度の内定にとどめているところも多く、就職活動生には酷な状況が続いている。
最終面接においても、従来の氷河期では、内定率は50:50の確立で、決まっていたが、現状では最終面接段階でも、実質倍率が1/5~1/10くらいの割合で絞りをかけている企業もかなりあるようである。
通常は、遅くても5,6月の時点で、かなりの内定者が生み出されるのであるが、今年はこの常識が通じないようで、この時点で、大学生全体の30%が未だ内定を得ていないという。ここまでくると多くの新卒予定者が不安と絶望に駆られていることは容易に想像できる。
また、内定をいくつも確保する勝ち組が本当にごく少数に限られている現状では、志望する業界には入れない人がかなり多いようで、3年以内の離職率が相当高まるのではないかという危惧をせざるを得ない。
下記の調査では必ずしも現れていないのだが、内定をもらっても就職活動を続けている人々もかなり多いようで、既に、ミスマッチが多発しているのである。
2003年度、2004年度の新卒入社は、3年以内での転職率がそれ以前の人々と比べるとかなり高いといわれており、「なぜ若者は3年で辞めるのか」などの書籍が出版されているのは記憶に新しい。
さらに、ブラックな企業がこの就職難に付け込んで、執拗な人材確保を行っているという噂も耳にする。
また、なぜかパチンコ業界だけは求人募集があるものの、就職活動生は「パチ屋はごめんだ」というのが合言葉のようになっているとも聞く。つまり、パチンコ業界などに新卒で入ってしまうと、「前科もの」扱いされてしまい、転職が困難になるということである。
ただ、我が国の社会風土として、新卒という立場は非常に重要なので、安易に既卒で就職すればいいという判断は避けた方がいいだろう。
就職留年はあまり勧めないが、可能ならば、大学院進学などにより1,2年就職情勢を見て再度就職活動に挑戦するという手法をとる学生が今後かなり増えるのではないかと思う。
2009/7/21
株式会社ディスコ7月1日現在の内々定率、前年比13ポイント減
~『日経就職ナビ2010 就職活動モニター調査』(2009年7月)結果より~
新卒採用広報メディアを中心に様々なサービスを提供する株式会社ディスコ(本社:東京都文京区、代表取締役社長:小坂文人)は、2010年3月卒業予定の大学生モニターを対象に7月1日~7日の期間、インターネットで就職活動状況調査を行いました。
7月1日現在の内々定率は、前年比13ポイント減の69.6%と、70%を割り込む結果となりました。これは現在の形式での調査開始(2004年)以降初めてのことで、新卒の就職状況の厳しさを示唆する数字といえそうです。
また、未内定者のうち内々定を得る見通しの立たないまま就職活動を続けている割合が6割強にのぼる一方、「就職以外の道(進学、留年など)を考えている」人が前月調査より約10ポイント増の26.9%に達しました。夏休みを目前に未内定者の4人に1人は新たな進路を模索し始めている状況です。1.内々定率は、前年比2ケタ減の状況が続く
7月1日現在、内々定を得ている学生は全体の69.6 %で、前年同月比13ポイント減でした。4月、5月、6月と前年同期比2ケタ減を記録してきましたが、今回もその記録を更新する結果となりました。平均内々定取得社数は1.8社で、前年(2.3社)を大きく下回りました。重複して内々定を得る学生も減少し、前年(59.1%)比14.4ポイント減の44.7%でした。また、4社以上から内々定を得た学生の割合は8.4%で、前年(16.6%)の半分にとどまりました。(別紙図表1~3参照)2.就職以外の道も模索中? 内々定を得る見通し
7月1日現在で内々定を得ていない学生(全体の30.4%)に、就職活動の今後の見通しを聞いたところ、「内々定に近い打診があり近くもらえる見通しだ」が前月調査の5.3%から4.6%へと減少しました。また「選考中の企業はあるが、内々定をもらえるかどうかはわからない」(40.7%)、「選考中の企業はなくまったく見通しが立っていない」(25.0%)をあわせた65.7%が、見通しの立たない中で就職活動を続けていることがわかりました。
一方、「就職以外の道(進学、留年など)を考えている」は、前月比約10ポイント増の26.9%でした。特に理系が高く、男子で37.1%、女子で33.3%と、その多くが進学へと進路を切り替えていることが推測されます。(別紙図表4参照)《『日経就職ナビ2010 就職活動モニター調査』(2009年7月)概要》
発 行: 株式会社ディスコ
対 象: 2010年3月卒業予定の全国の大学4年生(理系は大学院修士課程2年生を含む)
調査方法・期間: インターネット調査法、2009年7月1日~7月7日
サンプリング: 株式会社ディスコ「日経就職ナビ2010 就職活動モニター」
回 答 数: 1,067人(文系男子368人、文系女子275人、理系男子317人、理系女子107人)
*「日経就職ナビ」は株式会社日経HRと株式会社ディスコが運営する、学生のための就活サイトです。[関連リンクURL]
http://web.disc.co.jp/
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Comments
前回コメントさせていただいた者です。
私も現在就職活動を行っている者なので、ちょっと気になってコメントさせていただきました。
本当に、記事に書かれている通りだと感じています!
「若者は忍耐が足りない」等と離職率を問題視するものもありますが、私は離職率を問題として考える前に不況をどうにかする努力をしてほしいと就活をしていく中で感じるようになりました。それだけミスマッチを起こしている人が多いことに社会は早く気付くべきだと思っています。
周りの友人たちも内定が取りやすいとされている企業やブラック企業と呼ばれる企業で内定を取り、現在も続けているようです。中には、志望企業に内定をいただいてる方もいらっしゃるようなのですが、やはりそう簡単にはいかないのが現実だと感じています…
私の大学で聞いた話ですが、今年の最終面接は去年と違って企業側に迷いがあると不合格とするようです。
私も最終面接で落ちてしまった経験が何度かあり、今年の厳しさを痛感しています…
まだまだ先は見えませんが、これからも自分の納得いく就活をしていきたいと思っています。
長々と自分の思いを綴ってしまい、申し訳ありませんでした。今後も覗かせていただきます☆
Posted by: 崖の上のポチャ | 07/30/2009 01:55 am
> 崖の上のポチャさん
お久しぶりです
コメントありがとうございます。
現在の就職活動の厳しさを肌で感じていらっしゃるのですね。貴重なご意見ありがとうございます。
おっしゃる通りで、ミスマッチの問題を何とかしないと、離職率が高いのはその企業にとっても不幸ですよね。人材の流出は技術やノウハウの流出ですし。
転職が頻繁に行われ、社会の流動化自体は悪いことだとは思いませんが、日本の終身雇用を前提とした新卒採用制度との歪みが2002年以降に生じてきているように思います。
就職留年という悪しき慣習をしなくても、学生が通年採用で就職活動ができる仕組みを政治主導で作る必要があると思いますが、そういうのをリードできる政治家が果たしているのか疑問ですね。こういう問題に真剣に向き合う立法者が必要です。
厳しい就職活動でくじけそうになる気持ちもあるかもしれませんが、敗因分析などをしっかりやって、諦めずに最後まで粘りぬいてください。
Posted by: ESQ | 07/30/2009 02:28 am