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07/10/2009

保守のジャーナリストにも受けが悪い東国原知事への出馬要請

「今日の出来事」というNNN系列の番組をやっていたころは、淡々とニュースを読むキャスターとして、比較的好印象を持っていた櫻井よしこ氏。

現在は保守派の主張を全面に出して、主義主張を語っており、基本的に中道的視点(具体的にはトニー・ブレア的中道左派政策)を大事にする私は必ずしも最近の櫻井よしこ氏の主張には賛同しないが、今回の産経新聞に寄せられた記事には、村山談話云々という保守的主張が混同している部分を除いて、全面的に賛同する。

記事は以下の通り。

 日本人の動向の平均値を示すのが静岡県だといわれる。たとえば、企業は新商品の売り出しに先立って、しばしば静岡県で試してみる。そこで当たれば全国で当たるというのだ。

 その意味で静岡県知事選挙には大きな意味がある。民主党が支援した川勝平太氏が当選し、もう一方の民主党候補者の票を加えれば同党の得票は約106万。自民党に35万の差、まさに自民大敗である。

 麻生太郎首相のほおはそぎ落とされたように窪(くぼ)み、疲労感がにじむ。イタリアサミットに旅立っても、随行記者団との懇談はない。衆議院解散の道を封じられ、懇談をしてもメディアから批判を受けるばかりだと考え、首相自ら懇談時間を設けないと決めたそうだ。

 一方、古賀誠選挙対策委員長は東国原英夫宮崎県知事に出馬を要請、知事は“総裁候補”として自分を担ぐこと、全国知事会の地方分権などに関する決定を一言一句、受け入れることを出馬条件とした。

 両氏の接触はその後も続いており、詳細は不明だ。しかし、麻生自民党の一連の動きは、同党が過去の失敗から学ばないどころか、自縄自縛のさらなる罠(わな)に落ち込んでいることを示す。

 東国原氏に限らず、自民党議員であれば、総裁候補への道は開かれている。自民党内で20名の議員の推薦を集めればよいだけだ。だが、と私は思う。高い支持があるからといって、東国原氏の出馬を再三再四「お願いする」自民党は一体どうなっているのかと。

 タレント時代、東国原氏が16歳の少女への淫行(いんこう)で事情聴取を受けたのは周知のことだ。氏は、少女が「18歳未満だとは知らなかった」と弁明する一方で、芸能活動の自粛に追い込まれた。

 その後再起し、政治家となった氏を宮崎県の有権者は熱狂的に支持した。それはそれで結構なことだ。けれど、総裁候補とすることを条件として、国政に出るという氏を、自民党がなんとか折り合いをつけて受け入れようとする節操のない姿勢には違和感を抱かざるを得ない。

 東国原氏の望みがかなって、自民党総裁となり、さらに日本の首相となりサミットなどで国際社会にデビューしたとする。諸国のメディアは各首脳の人物紹介で、少女淫行の一件に触れるだろう。国内ならまだしも、日本国の首相に関してこの種のことを国際社会で書かれたくないと思うのは、私ひとりだろうか。東国原氏には、そんな事態を避ける形で活躍を続けてほしいと私は願うものだ。

 かつて自民党は、日本社会党の村山富市氏を抱き込んで、政権を奪還した。だが、日本は村山談話という大きな傷を負った。自民党の負の質的転換はあのときから顕著になったのではないか。

 その後、自自公、自公と連立を重ねて今日に至る自民党は、政権与党の場にありながら、自民党本来の価値観の実現を進め得ていない。自民党政治の大目的は、価値観や政策の実現から、単なる政権維持に矮小(わいしょう)化したと言われても弁明できないだろう。

 村山氏の抱き込みから、自民党の価値観の揺らぎが顕著になり、いま、東国原氏への立候補要請で、政治的理念や外交政策より、あるいはもっと大事な崩壊が始まろうとしているのではないか。長期的視点も価値観も信念もない場当たり策で、自民党の土台が崩れていくのだ。

 再度強調したいのは、東国原氏が自ら国政に打って出ることも、党総裁を目指すことも、ご本人の自由だ。そのことと、自民党側が票の上積みをもくろんで平身低頭、氏に出馬要請をすることは別のことだ。いま自民党がすべきことは、きちんと闘うことであり、人気者の票のおすそ分けに縋(すが)ることではないはずだ。

 静岡の事例や各種世論調査の結果から、次の選挙での自民党の敗北は避け難いと思われる。であれば、自民党はいま、いかにきちんと敗北するかを考えなければならない。いったん、野に下ると仮定しても、次の次の選挙で必ず立ち直るようなきちんとした闘いを展開せよということだ。筋の通った議論をせよということである。

 たとえば自民党は安全保障政策をどのように改善したいと考えているのか。周知のように、中国の軍事費は過去20年間で19倍という尋常ならざる増加を見せている。中国は、ハワイを基点として太平洋を二分し、米国が東太平洋を、中国が西太平洋を支配する太平洋分割統治案に言及済みだ。米国の中国問題の専門家は、早ければ2010年代半ばにも、米海軍が西太平洋にアクセスしにくくなる可能性について語っている。そのときの日本の安全をどのように担保するのか。

 こうした点について、自民党は自らの戦略を明らかにし、同時に民主党にも問わねばならない。

 中国だけではない。21世紀に入ってから、ロシア、韓国、そしてオーストラリアでさえ、国防費を急増させている。こうしたなか、日本一国、防衛費を一律に減らし続け、集団的自衛権も行使しないままでいくのか。こうした点について自民党の政策を明らかにし、民主党にも問うのである。

 岡田克也幹事長は予算のムダを削る際の具体例として「防衛費と私学助成」を挙げた。それで果たして日本の防衛は大丈夫なのか。前原誠司氏は、普天間飛行場の移転問題は白紙に戻すべきと語っている。普天間返還は日本から米国に要請したにもかかわらず、13年がすぎてもいまだに実現していない。このうえ白紙に戻して、日米の信頼関係が保てるのか。

 一方、鳩山由紀夫代表は、地方参政権を定住外国人に与えるべきだとの立場だが、「一歩進めて、定住外国人に国政参政権を与えることも真剣に考えてもよい」と、自身のウェブサイトに記している。

 これで民主党はどんな国家を作るのか、それは自民党の描く国家像とどう違うのか。こうした議論を通してこそ、自民党の存在意義が明らかになる。こんな究極の場での弥縫(びほう)策は有害無益である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090709/stt0907090306000-n1.htm

自民党寄りの価値観を持つ保守派のジャーナリストでさえ、今の迷走ぶりには違和感を持っているということだろう。

もっとも、小泉郵政選挙で自民党に投票した無党派層も、同じように淫行歴のある人間を日本の国政を担う人間にはしたくないと思っているのがまともな人の反応で、その点においては櫻井氏の批判に同調する人も多いのではないだろうか。

小泉時代は色々な能力のある人間を民間から引き抜いてくるなどまだマシなサプライズが多かったが、今の古賀氏を長とする自民党の選挙対策チームは民意がどう反応するかつかみ切れずに、話題性だけで出馬要請をして、場当たり的な対応しかできていないように思う。

派閥の領袖クラスの政治家も民意の想定が苦手で、相当レベルが下がっているということなのかもしれない。

ところで、櫻井氏の記事にあった定住外国人の参政権について一言触れておく。

定住外国人の地方自治に関わる参政権付与については、あくまで憲法は禁止しておらず、許容しているに過ぎないという理解が判例である。つまり、憲法上は、外国人には参政権は保障されていないが、地方自治に関する参政権については、住民自治という観点から立法行為により付与したとしても憲法違反にはならないということである。

ただ、誤解がないように言うと、上記のことは、憲法上、地方自治に関する参政権が外国人に保障されているということではない。あくまで、国民の信託を受けた立法者によりその是非が判断されるべきというのが最高裁の姿勢である。

したがって、この問題は非常に大きな影響を及ぼす問題なので、仮に民主党が次の衆議院選挙から4年の間に成立させたい法案だと考えているのであれば、しっかりと逃げずに選挙の争点とすべきだろう。

私個人の見解としては、立法として地方参政権を付与するほどに国民の議論が熟していない現状で、選挙で十分に争点化されずに立法化することには反対である。

住民自治に対する先進諸外国の例を参考にして、選挙権まで付与すべきなのか否か、国民レベルでの十分な議論なくして、性急に決まるのは百害あって一利ないだろう。

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