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07/29/2009

人種差別は被差別者の意識も変わらないと解決できない

久しぶりに、アメリカ政治の話題。

しかも、ちょっと議論を呼びそうな話題を取り上げる。

アメリカで、黒人研究の権威の教授が、警察に空き巣として誤認逮捕され、黒人差別だという議論が沸き起こっているのはご存じだろうか?

黒人のオバマ大統領が警察批判に便乗したことから、人種差別の問題に火をつけることになり、さまざまな議論がアメリカで沸き起こった。

主要メディアはあまり報じないのだが、オバマ大統領というのは、非常に軽々しい言動をする人間で、良く言えば、小泉元首相のようにパフォーマンスに長けているのだが、悪く言えば、政治家としての重みがないので、たびたび自分の発言を撤回することがある。

話をこの誤認逮捕に戻すと、どうも状況からすると、誤認逮捕も仕方ないのではないかと思える状況も浮き上がってくる。

ドアをこじ開けようとしていれば、やはり不審者だと思うし、まして通行人からの通報で駆け付けた警察官であれば、不法侵入の現行犯として逮捕しようとするのが当り前であろう。

とりわけ、犯罪率が高く、銃が横行し、警察官の殉職が絶えないアメリカにおいては、被疑者が警察官に反抗的な態度をとれば、逮捕者の安全の確保のためにも、身柄の拘束を最優先とするのはやむをえないのであり、この警察官の行動はそれほど常軌を逸した行動ではないだろう。

もちろん、誤認逮捕自体は責められるべき点があるが、これが人種差別の話に置き換わっている点に非常に違和感を覚える。

また、この警察官が名指しで大統領に批判されることになったわけだが、誤認逮捕後の手続きに不当な差別行為がないことにかんがみれば、国家の最高権力者が名指しで批判するのはやはりおかしいだろう。

なぜここまで話が大きくなってしまっているのか。

それは、アメリカの人種差別問題に対する意識の根深さがあるためである。特に、黒人コミュニティーでは、人種差別の被害者意識が根深い。

誤解を恐れずに言えば、黒人コミュニティーに帰属意識の強い黒人であればあるほど、自分に対する理不尽な現象を、人種差別に起因していると何事もとらえがちな傾向があることは否定できない。

もちろん、私がアメリカにいた時は、私自身がマイノリティーであり、潜在的な人種差別の対象だったわけだが、私自身が「人種差別だ」と感じたことはそれほどなく、むしろ、馬鹿にされたような態度を受けてもそれは自分自身の語学の未熟さにあったと感じる方が多い。

アメリカは特に、英語を話せない人に対しては、日本で日本語を話せない人に対する姿勢より、厳しい姿勢で臨まれる。つまり、「なぜ英語を話せないんだ?それなら、アメリカに来るな。」と思っている人も結構いるわけである。

現に、英語が話せるようになってから(図太くなって、「俺の英語を理解しろ、理解できないお前が悪い」という感覚を持つようになってから)は、理不尽な対応を受けることは少なくなった。

私のような外国人かつマイノリティーの目線から、アメリカの人種問題を見ると、マイノリティー、とりわけ、黒人コミュニティーは、自分たちに降りかかる理不尽な現象はすべて、人種問題に起因していると単純化して、ある種の思考停止に陥っている人も少なくないのではないかと思うわけである。

面白いことに、アメリカでこういう議論をすると、すぐに、「アジア人は、黒人の差別の歴史がわかってない。」とか、「黒人の方がアジア人やヒスパニックよりひどい差別を受けている。」とか、生産性のない議論になることが多い。

私のある友人で、アジア系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人がこの種の議論をしていたのを思い出す。

アフリカ系アメリカ人の言い分はさらに次のようなものに発展する。

「アジア系やヒスパニック系アメリカ人が、自分たちのコミュニティーで仕事を回すため、結果としてアフリカ系アメリカ人の仕事が奪われる」というものである。

確かに、このようなマイノリティー同士の衝突(Conflict)が生じているのは事実である。しかし、他方で、アジア系やヒスパニック系の労働者の方が勤勉である傾向が強いのも事実で、私はどうも人種差別がために、黒人の労働者だけが苦しんでいるかのような議論には激しい違和感を感じた。

今回の黒人研究の教授に対する誤認逮捕の問題も、教授自身が人種差別の問題に過剰反応しているように感じる側面がある。もちろん、白人警官による黒人住民への不当な差別による暴行事件がアメリカで起こっている点も見過ごせないが、今回の事件に限っては、その種の差別暴行事件とは質が異なるように思うわけである。

オバマ大統領も、人気取りしか考えていないから、事件の本質を見ずに軽はずみな発言をして、撤回せざるをえなくなり、かつ、失点を取り戻すために、ホワイトハウスに招くなどの大げさなパフォーマンスを行っていると私は考えている。

オバマ大統領も、こんなパフォーマンスをしている場合ではなく、実効性ある経済政策をしっかり出さないと、アメリカのGDPすら、中国に抜かされるということになりかねないだろう。

差別の問題は、潜在的な差別者になりうるマジョリティーの意識はもちろん、潜在的な被差別者となるマイノリティーの意識が変わらなければ、解決できない問題ということである。

米大統領が仲裁役、誤認逮捕事件で黒人教授と警察をホワイトハウスに招待へ

7月25日8時7分配信 産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】オバマ米大統領は24日、名門ハーバード大学(マサチューセッツ州)の黒人教授が自宅で空き巣狙いと間違われ、地元警察に逮捕された問題について、教授と警察官の双方を近くホワイトハウスに招き、和解を図る考えを表明した。警察の逮捕を「愚か」と批判した大統領自身の発言についても、「警察側を傷つける意図はなかった」と釈明し、発言を事実上撤回した。

 この騒ぎは、米国の黒人研究で権威とされる著名教授が誤認逮捕され、黒人差別に敏感なオバマ大統領が教授擁護の発言で介入したのに対し、警察側が激しく反発したことで、米国内で政治問題化する兆しが出ていた。

 オバマ大統領は同日、逮捕された黒人問題の権威、ゲイツ教授と、教授を逮捕したケンブリッジ市警本部のクラウリー巡査部長に電話をかけ、事態の収拾に理解を求めた。

 また、自らホワイトハウスの記者室に姿を現し、同巡査部長を「すばらしい警察官だ」と称えた上、22日の記者会見での警察批判について釈明。「声高な批判に替わって、関係者が事態の収拾に動くよう望みたい」と訴えた。

 ゲイツ教授は今月16日、故障したドアをこじ開けて自宅に入ったところ、空き巣狙いと誤認した目撃者の通報でパトカーが出動。教授は身分証明などを示して釈明したが、「私が黒人だからか」などと声を荒げたため、公共の秩序を乱したとして逮捕された。

 教授は不起訴処分となり、市警本部も21日になって教授に陳謝していた。しかし、オバマ大統領が警察批判に出たことで、巡査部長本人が謝罪を拒んだほか、警察関係者も「大統領発言は不適切だ」として反発していた。

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