政治家が本当に向いている方向を自ら分析する必要性(郵政問題からの考察)
今回、この話題を取り上げるべきかかなり悩みましたが、取り上げることにします。
鳩山邦夫氏の総務大臣辞職に関する話題です。
なぜ迷ったかと言うと、記事が長くなる可能性があるためです。そして、今回も長くなりました。
おそらく、このブログの読者には意外性を持って受け止められる方が多くいると思いますが、私が唯一麻生太郎総理大臣を評価する点を挙げるとすれば、今回、鳩山邦夫氏を事実上更迭したことです。
もちろん、タイミングは遅すぎました。しかし、西川社長の去就問題において、彼を更迭したという結果は評価しています。
マスコミの反応や一部国民の声などを見ていると、「彼は正義を貫いた」などと言って評価している声も多く見受けられますが、私見からすれば、ナンセンスとしか言いようがありません。
以前も指摘しましたが、鳩山氏の一連の行動は、無責任かつ官僚政治の復活、ひいては国民の無知に付け込んだ衆愚政治につながる行動ばかりだと私は思っています。
まず、かんぽの宿問題では、タブロイドを中心に、西川社長、小泉元首相、竹中元大臣、オリックス(宮内会長)、ゴールドマンサックス、アメリカ政府との密接な関係があるなどと言う陰謀説が流れていますが、私個人は、基本的に陰謀論は信用していません。
仮に、西川社長をはじめ郵政グループの幹部がオリックスへ便宜を図っていれば、これは背任罪として、特捜部が動きます。そうした問題にメスを入れるために特捜部が存在するのです。しかし、特捜部がこの問題について動く気配はあるとの話は今のところ聞きません。
不透明な手続きがあったのは事実ですが、私の知る限りの事実で、背任等の事件性認定できないと思いますし、法律上違法な点も現在のところ、野党が特別背任罪での告発したようですが、国民の世論を考慮した行動に過ぎないように思います。
では、なぜ、これだけメディアが注目して大きな問題になったのでしょうか。
私は、国民の無知に付け込んで、鳩山前総務大臣が郵政民営化の阻止に動いていたからだと思います。
彼は、郵政省や特定郵便局長等の関係者の利益を復活させるべく淡々と有権者を洗脳しようという臭い芝居をしていたということだと私は評価しています。
その理由は、端的にいうと、3つあります。
1つは、そもそもかんぽの宿売却において、不動産価格を下回る売却自体が一概に不当とはいえないこと。
2つ目は、西川氏のみの進退に固執していたこと。
3つ目は、鳩山邦夫氏の今までの言動から推察できる政治姿勢です。
まず、以前にも竹中氏の批判を紹介しましたが、かんぽの宿はそれ自体の不動産の価値が高いとしても、事業としては不採算事業です。つまり、郵政グループがこれを持ち続けることは、赤字を増やし、郵政グループの会社財産を食いつぶし、ひいては郵政サービスの悪化につながります。
より単純化して簡単に説明すると、次のような状況を考えてみてみると良いと思います。
まず、あなたは300万円で新車を買いました。しかし、3年もすれば下取り価格はかなり低くなります。それに車には保険等のコストがかかっており、あなたは日常では電車通勤をしているのでほとんどペーパードライバー状態だとしましょう。車を使うことは月1回あるかないか。
このような状態で、車を持ち続けても何の利点もありません。売ろうと考えるのが妥当でしょう。
不採算事業というのは、持っているだけで債務が発生するのであり、かつ、そのままの状態では利用価値が低い状態であることを意味します。上記単純化した例でいう宝の持ち腐れの車と同じです。
これに対して、「かんぽの宿は1つ1つは不動産価値が高いはず。売るなら、正規の値段で売るべきだ。」という反論があるでしょう。
では、考えてみてください。
買った300万円の車はほとんど運転していなかったのですが、車には小さな傷がいくつかあります。当然です。物は古くなれば、劣化します。雨水により、さびも少々あります。これを分解して、なかの部品は新品同様ですから、売れば高く売れるかもしれません。しかし、だれもそんな売り方はしないでしょう。当然、車1つとして売ります。
事業譲渡というのも同じことです。事業とは、「一定の営業目的のために組織化された有機的一体として機能する財産」です。これを一体として譲渡することに意味があるのであり、個々の財産に分割すれば、事業の譲渡ということにはなりません。
事業譲渡を行う最大のメリットは、従業員等をそのまま移行できます。しかし、譲り受ける方だって、不採算事業を譲り受けるわけですから、不動産価格だけで評価して買ってくれと言われればそれはお断りと言う話になるのが当然です。
手続的な面での不透明さがあったのは事実でしょう。私も手続き面が妥当とは思いません。しかし、これだけで背任に当たるような法律違反のある問題とは言い切れない以上(野党は告発していますが、背任罪は犯罪の成立を認定するのが他の犯罪に比べて難しいので、よっぽどの証拠がない限り、起訴して公判を維持するのが困難という性格があります。)、再任を阻止して、経営責任を問うべき問題かは賛否が分かれるところでしょう。
次に、鳩山前総務大臣が、西川社長の去就にだけにこだわるのもおかしな話です。
仮に、かんぽの宿の問題やその他の経営上の責任が現郵政グループにあるとするならば、その他の取締役の再任も認めないとなるのが自然なはずです。
なぜなら、日本郵政は委員会設置会社だからです。
まず、日本郵政の取締役全員に、執行役である西川氏の業務執行を監督する義務があります(会社法416条1項2号)。
次に、委員会設置会社ですから、業務の執行は代表執行役と執行役が行い(会社法415条)、取締役から構成される監査委員会(これを構成する監査委員である取締役)はそれらの執行役および取締役の業務執行を監督・監査する義務があります(会社法404条2項1号)。
また、同じく取締役から構成される指名委員会は、取締役の職務執行の状況を見て、取締役を選任・解任すべきかという株主総会の議案を提出します。
今回、指名委員会は西川氏の取締役再任が適当であると判断した以上、本当に経営責任を問うのであれば、代表執行役を兼務する西川氏だけでなく、他の取締役も十分な監視義務を尽くしていないはずです。
少なくとも、監査委員会または指名委員会に属していた取締役の再任を拒否すべきではないでしょうか。
しかし、西川氏一人だけ辞めさせて、何が変わるのでしょうか。
私は何も変わらないと思います。本当に責任追及をしたい、郵政民営化を正しい形に持っていきたいという正義感から出た行動であれば、監視義務を十分尽くさず西川氏再任を決めた指名委員会の委員長である牛尾治朗氏、委員である、高木祥吉氏、奥田碩氏、丹羽宇一郎氏の取締役再任も阻止しなければ、筋が通りません。
本当に国民の財産として郵政関連事業を守ろうとしているのか、官僚とりわけ郵政関係者の利益を守るためなのか非常に疑問が残るわけです。
鳩山前総務大臣は、「正義」と言いますし、彼の元秘書だったジャーナリストも恩義があるのでしょうか、口を揃えたように、正義に反するから強硬な姿勢に出たと今回の騒動を美化します。
しかし、これに騙されてはいけないと私は強く思います。正義を貫くことと、駄々をこねることは違います。
最後に、鳩山氏の前歴を見ていれば、彼の言動は、官僚が求めているようなすべての時計の針を小泉改革前に戻そうとする駄々っ子と同じように思えて仕方ありません。
まず、彼が法務大臣の時、彼は数多くの失言をし、死刑執行のペースが早くなりました。これに対し、朝日新聞が死神とたとえると、彼は世間に向け、「左翼的な朝日新聞がいかにおかしいか」という議論にすり替え、問題の本質から目をそむけさせました。
つまり、死刑執行のペースの問題を死刑廃止論への批判と話をすり替えたのです。世論は、死刑廃止に反対する意見が過半数を占めていますし、当時(2008年4月~6月頃)は丁度、光市母子殺害事件の死刑判決が出た時期で、この事件における被告人の態度および弁護人の訴訟戦術への批判が再度メディアに報じられ、喚起されていた時期です。
死刑執行のペースに対する疑問を死刑制度廃止論者の「戯言」とでも思わせるかのように、巧に当時の風潮を利用したのではないでしょうか。
変なコラムを載せた朝日新聞も朝日新聞ですが、私は鳩山氏を境に、死刑執行を急ぎ過ぎる傾向に法務省が至ったのではないかという危惧しています。皆さんもご存じの宮崎勤死刑囚の事件ですが、鳩山氏は再審の準備がされている死刑囚であるにもかかわらず、その執行を異例なスピードで行いました。
その後、法務大臣は保岡氏を経て森英介氏に代わるわけですが、この間もスピーディーな執行が続いており、先日紹介した冤罪の可能性がある再審準備中だった飯塚事件の死刑囚の執行が森英介大臣の下で行われるに至っています。
つまり、鳩山氏が大臣となったことで、法務官僚が死刑執行をやりやすくなり、冤罪の可能性のある事件にも、再審の機会すら与えずに執行してしまうことが許される土壌を作ってしまったのではないかと考えています。
もちろん、「宮崎死刑囚に対しては、冤罪の余地がない」という反論もあるでしょう。
しかし、弁護団が再審請求の準備をしているということは、何か減刑に当たりうる事実があると判断して行っているはずですし、それを主張させその当否を判断した上で死刑執行を行っても良かったのではないでしょうか。
むろん、そういう事実がなければ、裁判所は再審を棄却するでしょうし、再審制度が死刑執行を遅延するために利用されるのは妥当ではありません。
しかし、宮崎死刑囚の執行は、再審準備中の事件にしては早すぎるのであり、それが前例となって、性急な執行を可能にする風土を法務省に作っているとすれば、最近、冤罪がこれだけ指摘される中で、あまりにも、慎重さを欠いているのではないでしょうか。
鳩山氏の問題はこれだけではありません。
志布志事件では、「冤罪とはいえない」という不必要かつ不適切な発言をしました。
彼は、法務省で使っている冤罪の定義には当たらないと弁明していましたが、社会通念上、あれを冤罪事件と呼んでなんら不思議はありません。
にもかかわらず、あえて「冤罪ではない」とまるで法務官僚のように事件の影響を限定的にしたいという意図があるかのような不必要な発言をすること自体おかしいのです。
法務省の長として、志布志事件という前代未聞の人権侵害が行われたことに対し、まず率先して遺憾の意を示すべきでしょう。法務官僚や捜査機関を擁護するように受け止められかねない発言をすることは、おかしな正義感の持ち主だと思ってしまいます。
そして、総務大臣になって以後、草なぎ剛氏の公然わいせつ事件で「最低の人間」呼ばわりです。彼が行ってきた数々の失言に比べれば、そこまで罪質が悪いわけではないですし、こうして糾弾すべきかも疑問であるのに、正義感を振り回して、多大な抗議を受けました。
振り返ってみれば、飲酒をして、我を忘れて裸になって騒いでしまったという程度の事件で、不起訴にもなりました。そこまで大騒ぎすることでもないでしょう。現在では草なぎ氏はもう復帰して普通にCMに出てますが、それに対する抗議が出ているとも聞きません。
おそらく、鳩山氏は、総務省の官僚的思考で、「テレビのデジタル化が現在予定通り進んでいないにもかかわらず、この事件で、キャンペーンCMを打てなくなり、予定通り上手くいかなくなる。なんてことをしてくれたんだ。」とでも思ったのでしょう。
総務省の官僚としての利益保護のための発想で、その怒りを代弁し、かかる発言をしたのではないでしょうか。
このように、彼の問題発言の経歴を振り返れば振り返るほど、官僚の利益を保護する視点からの不適切発言が目につくわけです。分析すればきりがありません。
もちろん、今回のかんぽの宿問題を含め、郵政民営化には賛否があるでしょう。
ただ、我々は、郵政解散選挙で、それに賛同して、2/3を小泉自民党に与えた事実を忘れてはいけません(ちなみに私は当時、郵政民営化をすべきと言う積極的な判断に至る事実を認めることはできなかったので、自民党には投票してませんでしたが・・・)。
少なくとも、今の自民党の衆議院議員の2/3は郵政民営化に賛成するという国民の信託を受け、それ以後郵政民営化を争点とした直近の民意がわかる選挙はないのですから、郵政官僚および特定郵便局長の団体等郵政民営化反対の利益保護のために今回の正義感を振りかざした騒動を起こしているとすれば、選挙での国民の信託に対する背信行為も良いところです。
これに対しては、マスメディアで言われる世論が郵政民営化そのものについて当時と変わっているとの反論もあるでしょう。
しかし、客観的に疑いのない世論は、選挙での国民の信託以外にありえません。衆議院選挙以降の国政選挙で郵政民営化の是非が再度争点になっていない以上、やはり郵政民営化そのものを否定する自民党議員の動きは背信的だとおもいます。
もちろん、小泉改革が100点満点とは考えていません。一方で、現在の疲弊した日本の状況について、諸悪の根源が小泉改革だという論法にも違和感を覚えます。なぜなら、往々にして、こうした絶対悪を作り出して批判するのは、国民を真実から目をそむけるのに適しているからです。衆愚政治の手法ですね。
個人的な評価ですが、,小泉改革は、イギリスでいうサッチャー改革、アメリカでいうレーガンの経済改革と同じ意味合いがあったと思っており、50~60点はあげるべきだと思っています。
今ではサッチャー改革もイギリス国内では不評ですが、国際的には評価が高く、あれがあったがために、トニー・ブレア前首相による第三の道が成功してきたのも事実でしょう。また、アメリカでは、レーガンの政策は未だに保守系はもちろんリベラル系の学者にも評価する人がいます。
そう考えると、一概に規制緩和や既得権益のメスを入れて、自由市場の原理を導入しようとしたことをすべて否定するのも物事の本質を見誤りかねないのではないでしょうか。
私は、タブロイド的な陰謀論を唱え、小泉改革をすべての悪の根源と信じ込まそうとし、振り子の針を戻そうとする人々がいることに注意しなければ、日本社会は本当に崩壊すると思っています。
ゆとり教育の問題もそうですが、日本はある改革や新しい試みにより弊害が生じると、すぐ判断を急いで、前に戻そうという先祖がえりの民度があるのでしょうか。そして、すべての若者の問題をゆとり教育のせいにして、思考を停止させてしまっています。
いつもそういう議論が活発化してしまい、「どう手当(修正)をして、より良い姿を見出そうか」、「時代の変化にどう対応してきたかを検証すべき」という議論があまり行われません。
おそらく、野党が未熟で、新たな問題に立ち向かうというよりは、「ほれ見ろ。反対してたのが正しかったのだ。」という子供のような主張をするためなのかもしれません。もしかすると、メディアがそういう煽り方をしているのかもしれません。
はっきりした原因はわかりませんが、やはり時計の針を戻したり、リセットしようとするのは、テレビゲームではないのですから、やってはいけないことですし、歴史上、それをしようとした国家はその試みが失敗するか、衰退することが多いのではないかと思っています。
メディアは、次回選挙では、民主党を中心とする野党が勝利するだろうという予測をもって日々の政治ニュースを報道していますが、私は疑問を感じています。
「民主党が勝つなら投票しなくても良いや」という効果が生じるでしょうし、野党の候補も気を抜いて選挙活動してしまいます。小沢氏が引き締めを図っていたのも、そういう弊害が民主党内に実際に起こっているからでしょう。
自民党にしろ、民主党にしろ、その他の政党にしろ、有権者は、官僚の思うつぼにならないように、賢く投票行動を決しなければなりません。
メディアが言っているから正しいではなく、これだけの情報化社会なのですから、自ら政治家の過去の言動を調べ、自分なりに評価していくことが最も重要なのです。
私は、日本社会を今後良くするには、
①政治家が官僚、利益団体の既得権益保護のために、時計の針を戻すのではなく、小泉改革がメスを入れた既得権益に対し、今後どこまで本格的に切り込めるか、
②しわ寄せを感じている国民の負担をいかに軽減するか
という2点が争点となってくると考えています。
私は、サッチャーや小泉元総理の行った、中流階級(ミドルクラス)に痛みが伴う改革から、ミドルクラスに恩恵を与えられる改革を政治が主導していかなければ、日本経済の復活はありえないと思っています。
つまり、トニー・ブレア英国前首相が1997年頃に主張し、実行した「第三の道」に通じる「日本版の第三の道」を提唱し、実現できるかに日本の運命はかかっているのではないでしょうか。
なぜならば、日本の経済を支えている9割の企業は中小零細企業であり、労働者の労働力であり、ミドル・クラスが日本の経済を支えてきたからです。
その為には、健全な競争の土壌を作るため、既得権益を排除し、法で保護されている官僚・公益法人はもちろん、弁護士自治が与えられている弁護士業界、強力な利益団体として力のある医師会および医療・医薬業界、公共事業や入札事業から未だに多大な恩恵を受けている土木業界、情報通信業界などの在り方にメスを入れていく必要があるでしょう。
なんだかんだいって、小泉改革の既得権益排除から巧に逃れた人々や団体は存在しますし、小泉改革によって作られた新たな既得権益もあるでしょう。さらには、既得権益や特権をこの機に乗じて奪還しようとしている人々や団体もたくさんあります。
もっとも、これらのメスがその業界の中小企業にしわ寄せが来る形ではなく、大企業が社会的責任を果たすような仕組みが考えられる必要があると思います。そのためには、コンプライアンスや企業の社会的責任に対する国民の厳しい監視も必要です。
いずれにしても、鳩山氏の辞任問題を取り上げると、話が大きくなり、このように長くなってしまうことが予想できたので、本当は書きたくなかったのですが、以上が私の考える今回の問題点です。
このように考えを巡らせると、その他色々な意見があるでしょうが、私はやはり鳩山邦夫氏の主張には賛同できないわけです。
西川氏後継、首相が提示=鳩山前総務相明かす-郵政人事
6月15日22時5分配信 時事通信鳩山邦夫前総務相は15日、総務省で離任記者会見を行い、麻生太郎首相から今春の段階で、日本郵政の西川善文社長の後継候補を記したリストを受け取っていたことを明らかにした。鳩山氏を更迭した首相も当初、西川氏交代に傾いていたことは関係者の話で分かっているが、鳩山氏の証言により、首相判断の「ぶれ」が一層鮮明となった。
首相は同日夕、首相官邸で記者団が事実関係をただしたのに対し、「コメントはありません」と述べ、リストについての説明を避けた。一時は西川氏交代を考慮したかどうかに関しても「今お答えした通りだ」として、明言しなかった。
鳩山氏によると、首相は「西川後継の人事でお悩みではないかと思う。ついては、自分なりの考えで後継にふさわしい人が何人かいるから、リストを同封します」との手紙を送ってきた。
会見で、鳩山氏は「社長交代は既定路線と安心し切っていたのがばかだった」と語るとともに、「首相はすごくナイーブ。いろんな人がいろんなことを言って、それを聞き入れた結果が西川続投だったのではないか」と、首相を重ねて批判した。
さらに「間違っていたら政府として口を挟み、誤りを正さないといけない」と述べ、西川氏は辞任すべきだと改めて主張。「かんぽの宿」譲渡問題について「氷山の一角。国民の共有財産を守るために(今後も)命懸けで戦う」と強調した。
さて、鳩山氏は「ナイーブ」と称したそうが、この本来の英語の意味の使われ方として使ったのであれば、麻生総理は「世間知らず」ということになりますね。
鳩山邦夫という鳩山一郎総理の孫として裕福な家庭に育った人間に、世間知らずといわれたのならば、ミドル・クラスの抱える不安は到底理解できないのかもしれません。
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Comments
こんにちは。
総理大臣は、任命権者ですが大臣の仕事に一々口を出すのは間違いですね。総務大臣は非常に重要な職務ですからそのほんの一部の所管する会社の社長人事についての権限行使に関することで更迭というのは、全くおかしなことです。
郵政問題は、その簡保の宿の価格の安さではなく売却手続きの不透明さが問題です。それは西川社長が認めています。それ以外にも障害者割引の不正利用の問題等もあるわけですから、社長の責任を問うのも一理あるわけです。それは、総務大臣が考えればよいことと法律で決まっていますからその通りにすればよいだけです。それは総務大臣の仕事の中ではゴミのようにウエイトが低い仕事です。そんな仕事が総務大臣にあることすら知らない程度の仕事です。
西川社長が、辞めても郵政民営化が否定されるわけではなく、社長が責任を取って出直せばよいだけですから、大勢に何の影響も与えません。
簡保の宿の価値を不当に安くお考えのようですが、普通に考えれば、民間会社に移行すれば減価償却費が突然発生しますから、財務諸表上突然費用が発生することになります。しかし、実際には費用は既に支払い済みですから帳簿上の赤字にはなりますが、実際には額面どおりの赤字ではありません。また、民間に売れば老人介護などの施設にするなど、一気に費用を回収することも可能ですから、利用価値は極めて高いでしょう。
適正な手続きで、公に資産を処分すればもっと高い価値をつけたのは想像に難くないわけです。何年か前に話題になった流行った数万円でも買い手の着かない地方の箱物とは、全く違います。悪いのは、資産処分手続きの問題です。
鳩山さんの政治姿勢を法務大臣のときの発言などから推測されていますが、それよりも、彼の履歴を考えた方が良いでしょう。自民党代議士、離党、民主党代議士、離党、都知事落選、自民党代議士、そして、今は新党を模索中です。権力を行使する側で仕事をしたいのか、反権力でしたいのか、国政なのか、地方なのか、読めません。分からない人としか言えないでしょう。
郵政の社長を経団連の意向で決めるという決まりはありませんから、法律どおりに総務大臣に任せればよかったと私は思います。郵政の民営化が大切だという人ほど、社会的な常識と法律の定めに従って、透明に物事を進めていくことが大切であったと思います。
Posted by: 昭和竜 | 06/29/2009 01:12 pm
昭和竜さん
コメント有難うございます。
競売手続きが不透明で妥当でなかったという点は記事にもあるように、同じように考えていますが、それ以外の点については、貴殿の見解と私見は異なるようです。
私見は、事業譲渡という手法を使う以上、簡保の宿の個々の物件の利用価値との比較だけで売却が不当という結論には賛同しかねます。事業譲渡は一定の事業目的として組織化された有機的一体としての財産を包括的に譲渡するものですから、従業員等ももれなく付いてきますし、その後どう利用して価値を挙げるかは譲受企業にかかっているといえます。
郵政グループが簡保の宿事業を適切に運用できない以上、事業価値も低くなるのは当然です。したがって、個々の不動産価格だけを根拠に、批判するのは問題の本質を見誤り、郵政民営化反対という郵政族の思うつぼになると私見は考えます。
ただ、繰り返しになりますが、記事にもあるように、売却手続きに妥当性を欠く点があったというのは私見も同じように考えています。
また、鳩山邦夫氏の評価についてですが、鳩山氏の発言は1つの例であり、記事でも過去の言動(つまり経歴等も含めて)という言い回しをしているので、経歴を排除して論じたつもりはありません。
彼が政党を渡り歩くという点については、彼の理想が政界再編にあるという説明が一般的にされているところです。
ただ、鳩山邦夫氏の政界再編論も非常に稚拙であり、結局は田中角栄の秘書だったという経歴から縁が強い保守本流の津島派の立場で考えている政界再編論にすぎません。
すなわち、非財務官僚の既得権益を維持したい従来の津島派の政治家の一人として行動しているという評価が私見は妥当と考えています。
彼の行動が予測不能ということですが、私はあくまで非財務官僚、とりわけ郵政官僚との結びつきが強かった旧田中派の政治家として、パートナーである郵政官僚の既得権益を最大限確保することを目的に動いていると分析しています。最初の自民離党は、金権問題で田中派が崩壊し始めたのを契機に、財務省との関係が強い宮沢首相に対する反発が原動力になっています。
しかし、田中派も一枚岩ではないので、羽田内閣で労働大臣を務めますが、反小沢と親小沢が激化したことにより、新進党を離党。その後は、民主党に参加しますが、結局自民党に戻り、しかも津島派に戻っています。結果的に、田中派の非財務官僚を代表する政治家が多いところに舞い戻っているわけです。
角福戦争を政治家と官僚との対立という表面的な構図から、田中派は非官僚で、福田派は親官僚という謝った説明がマスメディアでなされていましたが、あれは、非財務官僚対財務官僚の対立の上に、田中派と福田派が対立する構図があったにすぎません。
自民党に戻った後の一連の行動も非財務官僚の利権にしたがって動いているのであり、邦夫氏が小泉政権で蚊帳の外だったのも、福田派の流れをくむ小泉首相による改革も財務省の意向が強く、郵政民営化も財務省の意向だという話を聞いたことがあります。
よって、鳩山氏の行動は非財務官僚の利権復活を模索した動きで、今の政治は従来の角福戦争の流れでゴタゴタしているわけで、国民の生活を考えた行動をする政治家ではないというのが私見です。
なにもこうした分析は私だけがしているわけではなく、政治史に詳しい方の中には同様の見方をしている人がかなりいると思われます。
なお、郵政の人事問題を総務大臣に任せるべきかは議論が分かれるところでしょう。人事問題は株主としてあくまで財務大臣の所管事項です。総務大臣は認可権があるだけです。
したがって、閣内での意見を統一するの責任は総理大臣である麻生太郎氏にあるわけですから、事前に意見の食い違い等が明らかであれば素早く介入して対応すべきと考えるのが制度の仕組みからの帰結であったと私見は考えます。
Posted by: ESQ | 07/02/2009 12:09 am