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06/14/2009

東京都議会選挙を契機に考えてほしい問題(地方議員数の削減を)

都議会選挙が始まるようで、ぜひ皆さんに今回考えてほしいトピックがあるので、昔のヤフーブログ時代に掲載した記事なのですが、再度掲載しようと思います。

一部内容を変更して加筆している部分もありますので、一度読んだことがある人も再度読んで、コメント等をしていただけると嬉しいです。

日本はとにかく無駄な人間が政治家として多すぎるようです。私の出身地の市の人口は、10万人以下です。しかし、議員の数は20名以上もいます。

これに対し、カリフォルニア州にあるストクトン(Stockton)という市は、人口が約28万人です。

では、市議会議員の数は何人いるでしょうか?

日本の基準でいえば、人口が倍以上いるわけですから、40名近くいても不思議ではないことになるでしょう。

しかし、なんと、6名しかいないのです。

市内が6個の選挙区に分かれており、それぞれ1名ずつ選出する方式を採用しており、私の出身地の市より約3倍も人口がいるのに、議員の数は約1/3ということになります。

疑う人は、以下のリンクで確認してみてください。

人口:http://www.stocktongov.com/EconDev/pages/population.cfm

市議会議員:http://www.stocktongov.com/citycouncil/index.cfm#members

いかに日本に無駄な議員がいるかこの数字だけでも驚愕した人は多いのではないでしょうか?

これを根拠に議員数を減らせという主張をすると、必ず政治家は次のような必死の弁明をします。

議員を減らせば、市民や国民の要望に応えられない。

でも果たしてこの弁明に正当性はあるのでしょうか。もう少し検討してみましょう。

まず、ストクトン市の例ですが、これが特異な例と言うわけではありません。アメリカの地方議会はどこもこの程度の人数で運営しています。

そこで、東京都と大都市と言うことではほぼに近い状況にあるニューヨーク市を例に見てみましょう。ニューヨーク市の人口は821万人であるのに対し、東京都の人口は1297万人(2009年5月時点)です。およそ、東京都の人口がニューヨーク市の1.6倍と言うことになります。

ニューヨーク市には、47名の市議会議員がおり、東京都議会の議員数は127名です。

単純に人口と比較して、ニューヨーク市の基準で考えれば、本来都議会議員の数は、75名となるはずです。

つまり、52名も無駄な議員がいると言えるのではないでしょうか。

ただ、市と都という違いがあると反論されそうなので別の観点からも見てみましょう。これを私の出身地の自治体と比べてみるともっと悲惨です。

ニューヨーク市は、私の地元の80倍の人口ですが、議員数は2.5倍に過ぎないのです。この数字は本当に驚きではないでしょうか。

ちなみに、ニューヨーク州議会はアメリカ建国時代から、アメリカで最も非効率的かつ肥大化した官僚的州議会であるという悪名が高いことで有名のです。ニューヨーク州には、州上院(State Senate)と州下院(State Assembly)の2つの立法機関があり、前者の定数は62名、後者は150名となっています。ただ、これは、非常に悪名の高い州議会制度なので、これと比較して東京都は少ないから良いという結論はいかがなものでしょう。

話を戻しますが、アメリカは日本よりも国土が大きいので、当然有権者も点在しています。にもかかわらず、地域的な違いを強調したりして、市民の声を反映しやすくするという主張から、議員数を増やすようなことはニューヨーク州議会などの一部例外を除いて、基本的にしていません。

だとすると、アメリカは市民の声を無視している非民主的国家ということになるのでしょうか。

それはあり得ませんね。

単に日本の地方政治家が自己の保身で議員のイスを減らしたくないだけではないでしょうか。もし、本当に市民の声が聞けないというなら、それはその政治家の怠惰の証でしょう。

また、日本の地方選挙制度にも大きな問題があります。

日本の地方自治体の選挙の場合、市町村レベルでは、たとえば、市内全体で議席20個を30人で争うというような形で行われます。これでは、市民も自分の選んだ候補者という意識は希薄になりがちです。

他方、アメリカでは、市内をいくつかの選挙区に分け、そこに議席を1つずつ配分します。こうすることで、市民はどの議員を自分の選挙区として選んだがわかるため、自分たちを代表する市議会議員という意識は持ちやすいのではないでしょうか。

もちろん、都道府県レベルでは日本も同じように区や市町村ごとに選挙区を作っていますが、区議会、市町村議会の議員選挙ではそういうことはなされていません。

そうした選挙区制を改正するなどして声を以下に反映するかという努力をせずに、議員数だけ確保しようとする現在の地方議会の在り方を我々はもっと真剣に考えなければならないのではないでしょうか。

とくに、アメリカ政治は連邦政治ばかり注目を集め、マスコミもこうした地方議会の在り方を分析したりはあまりしていないように思います。しかし、民主主義の本質はこういう地方選挙制度、地方議会制度にあるような気がします。なぜなら、そこが一番有権者にとって身近な存在でなければならないためです。

なお、日本の人口はおよそ1億2715万人であるのに対し、アメリカの人口は3億1465万人です。つまり、倍以上ですね。にもかかわらず、日本の国会議員の数はアメリカの連邦議会議員の総数より多いです。

タブロイド的に言えば、日本は官僚天国より以前に、政治家天国かもしれません。

全国市議会議長会という団体が、以下の情報を載せています。

http://www.si-gichokai.gr.jp/news2/news2pdf/060818.pdf

  • 全国の市議会議員の報酬が月41万5千円(議長報酬等は別計算している)で、年間は平均498万円。
  • 1つの市における議席数の平均が31.4議席。
  • 市の数は778市
  • 議席の総数が24,441議席。

明らかに議席数が多すぎるのではないでしょうか。

官僚をぶっつぶすとか、官僚から主導権を取り戻すという声は聞こえるますが、自分たち政治家の数を減らすという声はなかなか聞こえてきません。

上記の数字を基礎とすれば、単純計算で、議席を1つ減らすだけで、約500万円が削減できます。つまり、市議会議員を1議席減らせば、年間500万円の財源が恒久的に確保できることを意味しています。

もちろん、これは報酬のみなので、それ以外のお金(政策費など)を含めればもっと削減できるはずでしょう。

無駄が議員数の削減と言う議論がより活発化すること今の日本には必要かもしれませんが、自民党も、民主党も、公明党も、共産党も、社民党も、国民新党も、抜本的な数字を挙げて地方議員を削減するという明確な主張が今のところ無いのは残念なことです。

さて、最後は、恒例の(?)映画紹介です。今回は政治問題の記事に関連し、国は違いますが政治家の在り方を考える上でとても良い映画を紹介します。

邦題は「スミス都に行く」、原題は「Mr. Smith Goes to Washington」という映画です。

この映画は、1939年年に制作された古い映画なのですが、アメリカの政治制度や議会制度の仕組み、民主主義の本質とは何なのかを理解する上で非常に優れた作品です。

社会派ドラマでアカデミー賞11部門にノミネートされ、最優秀脚本賞を獲得しました。

この映画のストーリー中に、アメリカ議会に特徴的な『フィルバスター』という場面が出てきます。これは、アメリカの上院においては当時、憲法上の権利として、上院議員が1人で無制限に発言することが許された特権で、法案の可決に際して、この権利を行使して、多数決民主主義に歯止めをかけたものです。

現在では、上院の総議員数の2/3以上の同意があれば、フィルバスターを辞めさせて投票に移ることができるのですが、多数決民主主義の問題点、本当の民主主義とは何なのかを考える上でも非常に優れた作品です。

ぜひ、腐敗した日本の政治を考える前に、政治とは何か、民主主義とは何かという本質を考えてみるのはいかがでしょうか。

この映画は、そうしたことを考える素材として非常に優れた作品で、私のお気に入りの映画の1つでもあります。

ちなみに、アメリカの政治家でこの映画を知らない人はいないと言っていいほど、アメリカで政治を勉強した人は知っているはずの映画です。

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Comments

こんにちは。
地方議員の削減とありますが、
国会議員の削減も同様にお考えでしょうか?
私は民主党や自民党の掲げる国会議員の削減、
しかも比例での削減という案には反対です。
民意を汲み取る仕組みを逆に縮小させて、大政党のみ優位になるのが必然だからです。
議員を減らして今以上に官僚に頼らなければ仕事をできなくするよりも、選挙制度を改革して議員の質を高める、このことの方が重要ではないでしょうか。
他にも人件費抑制をいうなら政党助成金を廃止するべきだと思います。
また、比例削減は昨今評判の悪い世襲議員の割合を今以上に増やす可能性も十分ですね。
一件、国民の利益と見える、議員も痛みを伴う、という話は口当たりが良いですが、
安易な削減はちょっと待った方が良いかと思われます。

Posted by: 山本 | 06/16/2009 at 08:13 AM

山本さん

はじめまして。
コメント有難うございます。

貴殿のコメントは、国会議員の定数削減問題に対する私見を述べる上で、とても参考になると考えたので、記事の形で返信に代えさせていただきます。

Posted by: ESQ | 06/16/2009 at 11:57 PM

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