« 三権分立の危機(許されざる内閣総理大臣の発言) | Main | WBCから日本人が学ぶべきこと »

03/22/2009

国民への信頼を得るには、謙抑的姿勢が重要

検察への不信は高まっているようである。

ちょこちょこマスメディアから出てきている情報も、噂と同程度の情報ばかりであり、秘書の逮捕された事件との関係でも、公判を維持して有罪に持っていけるだけの証拠が本当にあるのかは疑わしい気がする。

仮に、起訴して、無罪ということになれば、今後数年間、検察や司法に対する風向きはかなり厳しくなる気がする。

ただでさえ、法曹人口の抑制に対しては、既得権益の保護だという厳しい批判もある中で、法曹全体が今後国民からの批判の対象になる恐れを感じる。

以下の記事にある検察OBからの懸念というのも、検察権力の謙抑性との関係で、疑問を呈されているのだと思うが、検察だけでなく法曹は、自身の利害関係にかかわる問題に対しては、私益丸出しで主義主張をするのではなく、やはり司法権の担い手であるという意識の高さをもって、謙抑的な視点で、主義主張をすべきだろう。

<違法献金>総選挙前の立件、検察OBも「なぜ?」
3月22日2時30分配信 毎日新聞

 西松建設の違法献金事件で小沢一郎・民主党代表の秘書を逮捕した東京地検特捜部の捜査について、今秋までに行われる総選挙に与える影響を考え、「なぜこの時期に」と困惑する声が、多くの検察OBからも出ている。容疑内容についても「立件のハードルを以前より下げているのではないか」との疑問もくすぶっている。【松下英志】

 ■時期    

 「単純に考えて時期は最悪だ」。ある元検察幹部は漏らす。政治的な動きだと民主党サイドが反発している点についても「10人中9人がそう思うだろう」と捜査に手厳しい。

 特捜部の捜査は、選挙への影響を極力避けてきた歴史がある。典型的なのが00年6月の中尾栄一元建設相の事件。6月25日の衆院選投開票日を待ち、5日後の同月30日に受託収賄容疑で逮捕した。

 一方「3月末で虚偽記載は時効となる。この時期以外にタイミングがなかった。後になるほど衆院議員の任期切れも近づく」と理解を示す元幹部もいる。

 だが、さらに別の元幹部はこう指摘した。「(93年の)ゼネコン汚職事件も総選挙直前に着手したが、今度の総選挙は『民主の逆転なるか』という、とてつもなく意味のある選挙。影響は無視できないものがある。過去の事例からすると、そこら辺(を踏まえてきちんと判断したのか)は『どうかな』という気はする」

 ■容疑    

 「総額が2100万円で、しかもすべて表の寄付。その名義を偽った疑いがあるというだけの今回の事件は、規模、様態とも極めて軽微であることは否定できない」。元特捜部検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授はそう指摘する。

 04年に発覚した日本歯科医師連盟を巡る政治資金規正法違反事件で、特捜部は1億円の裏献金を受領した自民党旧橋本派(平成研究会)の会長代理だった村岡兼造元官房長官を政治資金規正法違反で在宅起訴した(有罪確定)。しかし、党の政治資金団体・国民政治協会を経由して3000万円を迂回(うかい)献金されながら収支報告書に記載しなかったとして検察審査会で「起訴相当」とされた山崎拓元副総裁は不起訴とした。

 こうしたことから他のOBも、今回の事件で立件するか否かの境目を示す「ハードル」について「下げたと受け止められても仕方がない」と懸念する。

 「時期が最悪」と指摘した元幹部は、こうも語った。「(ロッキード事件の田中)角栄(元首相)に匹敵する相手(小沢氏)を相手にするわけだから、このまま(の容疑で)終わるとまずいよ」。世論の反発を念頭に、危機感を募らせた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090322-00000008-mai-soci

|

« 三権分立の危機(許されざる内閣総理大臣の発言) | Main | WBCから日本人が学ぶべきこと »

ニュース」カテゴリの記事

Comments

今朝、【テレ朝】で郷原弁護士が出演されていて偏りのない発言をされていることに嬉しさを感じました。
どのニュースを聴いていても偏りを感じていましたので…。
そして【郷原弁護士】でサイト検索をしていたらこのようなありがたいblogに出会えました。
今後も楽しみにしています。

Posted by: りんどう | 03/23/2009 11:46 pm

りんどうさん

はじめまして。コメントありがとうございます。
ブログが気に入っていただけて嬉しい限りです。不定期ですが、メディアとは違った独自の視点を心がけ、様々な問題に対する私見を発していければと思います。

郷原先生は、検察OBですが、コンプライアンスなどの企業法務でもかなり有名な方です。柔軟な姿勢でバランスのとれた視点があるからこそ、企業法務関係者からも頼りにされているのかもしれません。

ところで、同じ検察OBで、企業法務で同じく有名な葉玉匡美先生は自身のブログで別の視点から小沢氏の会見を低く評価されているようでした。ただ、葉玉先生の場合は、政治団体の形骸化を争う余地はないと考えているようです。

同じようなバックグラウンドを持っている2人の弁護士ですが、それぞれ違う見解を示されているのは面白いですね。

Posted by: ESQ | 03/24/2009 02:16 am

郷原先生関係で、下記の記事を見つけました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090323/189737/

Posted by: scott1982 | 03/24/2009 05:50 pm

お返事有難うございました。
先程、小沢代表が会見をしておられましたね。
明日の各新聞、テレビ局の方向性はきっと同じでしょう…。街の人のインタビューなどを聞くとテレビでもっともらしいコメンテーターの言葉を鵜呑み状態です。
メディアの力をこんな風に使ってもらいたくはありませんが、これが今の現実ですから仕方ありませんね…。
多くの人がこのblogにたどり着く事を心から願います。
これからも様々な角度からの論評お聞かせ下さい。

Posted by: りんどう | 03/25/2009 01:03 am

>Scottさん
情報提供有難うございました。
早速読ませていただきました。かなり詳しく説明してくれていますね。参考になりました。

>りんどうさん
マスメディアの論調をみていると、おっしゃる通りの状況ですね。このブログが貴殿の言うほどの価値があるかわかりませんが、絶賛していただき有難いです。期待にこたえられるよう、いろいろな意見を発信して行ければと思います。

私としても、同じような問題意識を持っている人が多くいることを知ることができてとても励みになります。また、いろいろなご意見をお聞かせください。

Posted by: ESQ | 03/25/2009 11:19 pm

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 国民への信頼を得るには、謙抑的姿勢が重要:

« 三権分立の危機(許されざる内閣総理大臣の発言) | Main | WBCから日本人が学ぶべきこと »