三権分立の危機(許されざる内閣総理大臣の発言)
行政の長が、「疑わしきは被告人の利益に」の原則を徹底した言動ができないのは非常に問題がある。
単なる間違いで済まされる問題ではないだろう。行政の長が「違法があるから逮捕」などと発言したとすれば、三権分立を著しく阻害する危険な行為だと私は思う。
寺西事件判決でも明らかのように、裁判官には、公の場での政治的中立性を害するおそれのある発言は、三権分立と司法に対する国民の信頼から制約されるとされ、寺西判事の再任拒否は正当だとされた。
であるならば、内閣総理大臣が三権分立のバランスを崩し、不当に司法に介入したと取られかねない発言をすれば、これは取り返しのつかない内閣不信任事由に当たる重大な問題だと思う。
マスコミはこの事実をしっかりと報道して、言葉の重みがわからないリーダーは国民生活に対して、百害あって一利ないことを示すべきだろう。これは、揚げ足取りとかで済まされる発言ではないと思う。
三権分立すら揺らぐ日本は、経済危機以上に、社会危機に直面しているのかもしれない。
民主、「違法」発言に反発 逮捕されたのは事実-首相
2009年03月17日火曜日
民主党の小沢一郎代表は17日、記者会見で、麻生太郎首相が公設第1秘書逮捕で「明らかに違法であったが故に逮捕となった」と述べたことについて「検察が行政の一部であることは間違いない。行政の長がそのような発言をすることはいまだかつてなかった。首相としていかがか」と厳しく批判した。
平田健二参院幹事長も「行政府の長が捜査機関や司法機関に『有罪にしろ』と命じているようなものだ。首相は人権や憲法を守るという意識が極めて乏しい」と指摘した。
一方、麻生首相は同日夕、官邸で記者団に「いわゆる推定無罪の原則は当たり前のことだ。逮捕された事実は間違いない」と強調。河村建夫官房長官はこれに先立つ記者会見で「検察は法と証拠に基づいて逮捕した。その先は裁判の結果によって無罪や冤罪もあり得る。それが法治国家だ」と、裁判の見通しについての発言ではないとの見方を示した。
民主党は漆間巌官房副長官の「オフレコ懇談発言」に続く政府側の失言だと激しく反発。17日の参院法務委員会では松野信夫氏が「刑事司法のイロハのイも分かっていないむちゃくちゃ答弁だ。首相に注意すべきだ」と追及、森英介法相は「話はうけたまわった」と答えざるを得なかった。
18日以降も参院本会議や予算委員会などで首相に真意をただすなど徹底追及する構えだ。
民主・小沢代表 首相発言「違法だから逮捕」を批判
3月17日21時51分配信 毎日新聞民主党の小沢一郎代表は17日の記者会見で、麻生太郎首相が16日の参院予算委員会で、小沢氏の公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件に関し「明らかに違法だったがゆえに逮捕になった」と答弁したことについて「検察は行政の一部。行政の長がそのような発言をするのはいまだかつてなかった」と指摘。「首相としていかがか」と批判した。会見に先立つ党役員会でも、麻生首相の発言に対して「非常に問題発言だ」との指摘が鳩山由紀夫幹事長や簗瀬進参院国対委員長らから相次ぎ、予算委などで今後追及していく方針を確認した。麻生首相は17日夜、「逮捕という事実は間違いないと(予算委でその後)補足した。いわゆる推定無罪という原則は当たり前のことですから」と釈明した。首相官邸で記者団に語った。
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