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March 2009

03/31/2009

ゲーツ発言で思いだした三国志のエピソード

このゲーツ発言を聞いた時に、私は三国志のあるエピソードを思い出した。

映画「レッド・クリフ」で、三国志が注目を浴びているが、三国志の歴史の中で、あまり目立たないが張昭という人物がいる。

この人物は呉の政治家で、赤壁の戦いでは、呉の君主である孫権に降伏するように進言するため、あまり良いイメージを持っている人は少ないだろう。

この張昭のエピソードをゲーツ発言を聞いて思い浮かべたわけだから、少しマニアックなのかもしれないが、お付き合いいただきたい。

詳しくない方のために多少説明を入れながら、どういうエピソードか紹介すると、三国志というのは、魏・呉・蜀に中国が分裂した戦国時代の話なのであるが、曹操という覇道をいく武将が率いた大国魏に対して、孫堅、孫策、孫権という一族が率いた呉と、三国志演義のヒーローである劉備玄徳が率いた蜀が赤壁の戦いで協力し、大国魏を返り討ちにする話がレッド・クリフで描かれている。

その呉の政治家、張昭は、内政での指導力に秀でており、孫策が死亡するときには、「孫権を頼む。もし孫権が指導者として適任でなければ、お前が代わってくれ」と言われるほど信頼を得ていた人物である。

そして、本題である私が思い出したエピソードというのは、赤壁の戦い後の話であるが、魏の曹操の息子である、曹丕により、孫権が呉王という形式的には、魏の家臣という地位に任ぜられたとき、魏の使者である刑貞が、車から下りずに、迎えた孫権に対応した姿をみて、張昭は「江東には一寸の刃もないと思っているのか」と怒鳴りつけたエピソードである。

張昭と言う人物は、戦争を嫌っており、赤壁の戦いのときも負けが目に見えているとして、降伏を進言したような人物である。しかし、そのような思想的に穏健派であった人物も、自分の国を侮辱するような態度には、堪忍袋の緒が切れたのだろう。

私は、アメリカ政府が、日米同盟に対し危機感がゼロのように感じる。つまり、常に日本は防衛の問題についてアメリカに歯向かうことはないと思っているようである。ゲーツ発言もそういう認識の下でなされたのであろう。

しかし、北朝鮮のミサイルの問題は日本にとっては、危機的な問題である。あれが衛星だと信じるのはよっぽどのお人好ししかない。日本のメディアは上っ面の報道しかしていないが、この問題は戦争にすら至る危険のある重大な防衛の問題である。

そして、日本の防衛に対し、日米安全保障条約を締結し、ミサイル防衛システムを共同開発・共同運用している同盟国のアメリカの国防長官が無責任な発言をしているわけである。

つまり、アメリカが標的でなく、日本が標的なら我々は関知しないとでも言っているような発言ではないだろうか。

これは、明らかに同盟国の危機状況を軽視した無責任な発言であり、アメリカは日本に何を言っても従うとたかをくくっているとしか思えない。

私としては、「日本はいくじなしで。日本には一寸の刃もないと思っているのか」と言いたくなるわけである。

アメリカ軍移転の膨大な費用を日本に負担させようとアメリカ政府はしているが、このような無責任な発言をする国防長官が率いるアメリカ軍を今後も信用できるであろうか。いつまでも、日米安全保障条約がそのままの形であると思うなよと言いたくなる。

しかし、他方で、張昭のように、いざというときには気骨のある姿を見せる政治家は今の日本に果たしているのだろうかと不安にも思う。

米標的でなければ迎撃せず=北ミサイルで慎重姿勢-ゲーツ長官
3月30日0時5分配信 時事通信

 【ワシントン29日時事】ゲーツ米国防長官は29日、FOXテレビの番組で、北朝鮮が発射を予告した弾道ミサイルとみられる「人工衛星」について、「ハワイに向かって来るようなら(迎撃を)検討するが、現時点でそのような計画があるとは思わない」と述べ、米国の領域を標的としたものでない限り、米軍がミサイル防衛(MD)で迎撃することはないとの見解を示した。
 ゲーツ長官が迎撃に慎重姿勢を示したのは、発射予告期間(4月4~8日)を目前に控え、北朝鮮側への刺激を避け、自制を促す狙いがあるとみられる。
 同長官は、ミサイルとみられる物体が既に発射台に設置されたことから、「多分発射するだろう」と述べる一方、アラスカや西海岸など米本土に到達し得る大陸間弾道ミサイルではないとの見方を示した。また、北朝鮮が現時点でミサイルに核弾頭を搭載できる能力を持っている可能性は低いと指摘した。
 日本による迎撃に関しては、「もしミサイルが失敗して、破片が日本に落下するようなら、彼らは行動を取ると言っている」と述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090330-00000000-jij-int

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03/30/2009

なぜ選挙後に情報が流れるのか?(主張の正当性の判断機会を失った有権者)

こういう情報が選挙の後にでるのはおかしいのではないだろうか。

森田氏の一番の主張が脱政党だったのに、この情報が選挙後に出るとなれば、有権者は同氏の主張の正当性の判断の機会なしに投票行動をしなければならなかったことになる。

仮に選挙後初めて情報が解ったと言うのなら、メディアは十分な情報伝達機能を果たしていなかったことになる。また、万が一メディアが意図的に選挙後に情報を流したとすれば、メディア不信は一層深まるだろう。

民主党の小沢氏への責任論を拡大させるためにわざと民主党候補に有利で対立候補に不利な情報を選挙後に流したとみる人が出てきてもおかしくないだろう。

いずれにしても、最近のマスコミは根が腐っている気がしてならない。

<森田健作氏>自民党支部献金の一部を自身の団体に寄付
3月30日13時35分配信 毎日新聞

 千葉県知事選で政党色を出さない選挙運動で初当選した森田健作氏が、自民党の政党支部「自民党東京都衆院選挙区第2支部」の代表を現在も務め、この支部が受けた企業献金の一部を森田氏の資金管理団体に寄付していたことが分かった。森田氏は「選挙資金には使っていない」と述べた。

 都選管に提出された07年分の政治資金収支報告書によると、代表は「鈴木栄治」(森田氏の本名)で、所在地は中央区京橋2の森田氏の東京の事務所にある。同支部は07年、都内や千葉県内の企業・団体から1852万円の献金を受け、その一部1168万円を森田氏の資金管理団体「森田健作政経懇話会」に寄付していた。

 森田氏は「(知事選に)無所属で出ると決めた途端にすべて(支部の活動を)停止した」と釈明した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090330-00000048-mai-pol

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小沢問題にみる日本の政治とメディアの未熟さ

なかなか気骨のあるところを見せた発言ではないだろうか。

覚悟というものを感じる発言で、こういう発言は私個人は好感を持てる。

検察権力への不信が沸々と湧き上がっている一方で、マスコミの情報を信用する国民が多いのも事実であり、そんな中裁判員制度がもうすぐ始まる。日本の政治、司法は過渡期にきているのであろう。

厳しい状況の中で、自分の政治生命をかけて、自分の選んだ代表と運命を共にするという姿勢を見せてくれた鳩山氏の発言は感心する。

しかし、他方で、民主党はやはり稚拙な面がたくさんある。バラバラの印象を見せるのが一番支持率を失うという基本的なところが解らずに、我先にと好き勝手にコメントする前原氏などの反主流派のグループ。このグループが注目を浴びるたびに、私は次の選挙でどこに投票すれば良いのか困ってしまう(もちろん、自民党や公明党には投票する気はないが、共産党なんかに投票するのもいやである)。

テレビも世代交代とか安易なことを言って、稚拙な議員を煽り、民意が小沢交代にあるかのように報じる。

実際のところ、私の分析では、民主党支持層(無党派も含む)の半分は、代表が交替したら、民主党には入れたくないと思っているのではないかと考えている。

さらに、この半分のうちの半分、つまり25%は、自民党に投票する可能性があると私は考えている。

他方、小沢交代を望んでいる50%の人間は、根っからの民主党支持者であったり、小沢氏を元々あまり良く思っていない人々だと思う。

そう考えると、小沢氏交代で失われる利益は、何かということを考えて民主党の稚拙な議員たちは行動すべきだろう。交代すれば、25%近くは自民党に投票する。また私のような残り25%は自民党に投票しないにしても、そもそも投票しないという選択すらしかねない。

他方、小沢が交代しなくても、小沢交代を望んでいる人の投票行動に与える影響はそもそも小さいだろう。なぜなら、そもそも小沢が嫌いな人はこの事件があろうとなかろうと投票しなかったであろうし、根っからの民主党支持者が小沢が居座ることで、政権交代を阻んででも、民主党には入れないなんていう投票行動には出ないと考えるのが自然だからである。

そうすると、報道では、小沢代表が居座るのを自民党が望んでいると伝えられているが、それは逆ではないかというのが私の視点である。

つまり、小沢交代を一番望んでいるのは、自民党と自民党支持者なわけである。仮に、反小沢の前原氏が代表になったとしても、無党派の集客には期待できない。そして、小沢秘書逮捕事件の今後の推移も忘れられ、検察権力に対する批判も自然消滅するだろう。

他方、小沢が居座れば、マスメディアは検察権力の問題を注目し続けるし、仮に公判で無罪となれば(個人的には郷原弁護士が指摘するように無罪判断の可能性もかなりあると思うが)、自民、検察への大逆風はまぬかれない。

また、小沢氏のしたたかな選挙戦略を一番嫌がっているのは自民党である。小沢が交代し、民主党の空中分解したときが一番自民党にとって勝機があるときなのではないだろうか。

そう考えると、マスメディアの報じる民意を正確に読み取る必要があると思う。アメリカでは、ギャラップ社やラムゼン社といった世論調査専門の会社がある。他方、日本はマスメディアが自前のスタッフでアルバイトを雇いやっていることが多く、統計学上の正確性についても問題がある。

私がアメリカの大学で政治学を学んでいたときに、世論調査方法のミスリーディング問題についての講義があった。これは、世論調査するときの質問が公正さを欠くことが多いというものである。

例えば、「今回の小沢氏秘書逮捕のニュースを受けて、小沢氏の代表継続記者会見に納得するか」という質問があったとしよう。

まず、最初の導入部分は、「小沢氏の秘書逮捕」という余計な情報を喚起させており、小沢氏への悪いイメージを植え付けた上で、答えさせるという効果がある。

次に、「記者会見に納得するか」という質問だが、代表継続に納得しているのか、記者会見の内容に納得しているのか不明瞭である。これでは、答える人の意図が反映されない。説明は良くなかったが、結論として継続には納得している人も、記者会見に納得しているかと言われれば、Noと答えるだろう。

このように、日本のメディアが行う世論調査には同様の問題が多々ある。アメリカでこのような世論調査をした場合、かならず政治アナリストから文句がつく。日本のメディアに登場するアナリストは、メディアが喜ぶようなことしか言わない。

まだまだ日本の政治および政治に対する国民の姿勢は未熟なのかもしれない。

小沢氏辞任なら「共同責任」=衆院選前の再判断確認-民主幹事長
3月29日12時37分配信 時事通信

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は29日午前のテレビ朝日の番組で、公設秘書が政治資金規正法違反罪で起訴された小沢一郎代表が辞任した場合の対応について「執行部メンバーは(続投を)党議で決めたわけだから、共同責任だ。幹事長は最も重い」と述べ、自らも幹事長から退く考えを表明した。
 鳩山氏はまた、小沢氏が代表にとどまることで次期衆院選での政権交代が厳しい状況になれば、共に辞任することを同氏と確認していることも明らかにした。これに関連し、鳩山氏は番組終了後、記者団に対し、26日に党本部で小沢氏と会った際、「続投の決断を支えて政権交代を成し遂げたいが、衆院選が近付きそれが難しいと判断したとき、お互いに責任を取ろう」と進言し、小沢氏も「分かった」と応じたことを紹介した。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090329-00000024-jij-pol

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03/29/2009

見逃さずに審判に付すべきではないだろうか。

今の中学生は本当におそろしい。何をやって良いのか悪いのかの判断ができないようである。こういう人間がこの程度の注意で本当に反省しているのかどうかは私にはわからない。

ただ、これらの行為は傷害罪に当たりうる重大な犯罪行為である。つまり、女性教諭の生理的機能を低下させていないとしても、仮に胎児に何らかの影響があれば、母親の母体を通じて胎児に障害を与えたという胎児性障害の問題になる。

そして、判例に従えば、胎児は人ではないものの、母親の母体の一部であるから、母親に対して傷害罪が成立することはもちろん、障害を持って生まれてきた場合には、母親に病変を生じさせて、その生まれてきた人に障害を与えたということになり、その生まれてきた人に対する傷害罪も成立することとなる。

また、何も傷害の結果が生じなくても、この中学生の行為は暴行罪には該当する。学校が注意しておらわせてしまうのではなく、警察沙汰にして、家庭裁判所の審判に付す方が私は彼らの真なる更正のためにも重要であると考える。

軽率な学校側、教育委員会側の温情が、「何をやっても許される」と判断し、将来重大犯罪をやりかねないのではないかと思ってしまうわけである。

中1が担任「流産させる会」…給食にミョウバン、いす細工
3月28日12時48分配信 読売新聞

 愛知県半田市の市立中学校で、1年生の男子生徒11人が、担任で妊娠中の女性教諭を「流産させる会」をつくり、この女性教諭の給食に異物を混ぜるなど悪質な嫌がらせを繰り返していたことが28日、わかった。

 同市教育委員会によると、嫌がらせを受けたのは30歳代の女性教諭で、当時は妊娠5か月~6か月。11人の生徒は席替えに対する不満や、部活動で注意されたことの腹いせに、1月末頃から、チョークの粉などを女性教諭の車に付けたり、いすの背もたれのネジを緩めて転倒させようとしたりするなどしていた。

 2月4日には、殺菌や食品添加物などに使われるミョウバンを、理科の実験の際に持ち帰り、教諭の給食のミートソースに混入。女性教諭は気付かずに食べたが異常はなかった。嫌がらせを見かねた生徒たちが、別の教諭に知らせて発覚。同校は同月下旬、関与した生徒と保護者を呼んで注意した。生徒は反省の態度を示しているという。女性教諭は4月から産休に入る予定。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090328-00000563-yom-soci 

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03/28/2009

先走る報道と誤報、それに踊らされる国民の民度 【ココログ移籍100回目記念記事】

さて、このブログがココログに移設して、100本目の記事がこれである。一応、記念すべきことなので、記念になる良いニュースはないかと探してみたが、あまり良いニュースもないので、いつも通り、自分の専門分野に近い話題について、痛烈に自分の見解を書く方が自分のブログらしいを思い、思いきって、いつも語っている問題をいつもより辛辣に語ってみようと思う。

一連の政治に関する報道は、目に余るものがある。特に、私が連日取り上げている小沢代表の秘書逮捕の問題である。このニュースのメディアの取り上げ方、一般視聴者の反応には、正直ほとほと呆れることばかりである。

何度もこのブログで指摘しているが、まず、司法に対するマスメディア、国民の無知が甚だしい。勾留期限を拘置期限と勝手に造語をつくり報道するのは、大目にみるとしても、不確かな情報を垂れ流し、一切訂正報道をしたり、誤報を流したことへの謝罪をメディアは一切行わない。

先日はいくつかの報道機関が、小沢氏の秘書が起訴事実を認めたと報道した。しかし、今日になってわざわざ小沢氏の秘書の弁護人がその事実を否定する事態に至っている。これは、マスメディアが何の検証もせずに、検察関係者といわれる疑わしい情報源の情報をあたかも真実かのように垂れ流しているという事実を推認させる良い例ではないだろうか。

起訴事実を認否は非常に重要なものである。それを間違って報道するなど報道機関としての資質を欠くし、第四の社会的権力であるマスメディアの横暴である。自制のできないメディアには、国民の知る権利を標榜し、報道の自由を主張する資質はない。そういうことを一切考えていないのが、今のメディア関係者ではないだろうか。

自分たちの報じる影響がどのくらい重大なものなのかを一切検証せずに、さらには真実の裏を取ることもせずに、特定の権力筋の情報だからそのまま垂れ流す。これでは、戦前の日本と変わらないのではないだろうか。マスメディアは学ばない。まさに、郷原先生の本ではないが、思考停止してしまっているようである。

これは、マスメディアだけではない。一般の国民も、非常に無責任に偉そうなことばかり言う。

麻生・自民党はもうダメだと言いながら、給付金をもらって、「ありがたい。ありがたい」と馬鹿みたいに喜んで、我先にと市役所の前に並ぶ田舎者。

都会人を気取り、クールに政治問題を見ていながら、メディアの情報をそのまま信じて、小沢問題を機に、民主党ではだめだと気取ってしゃべるバルブ世代のサラリーマン。

他方で、日本にはアメリカのようなチェンジが必要だと知識人ぶるが、オバマになっても何一つチェンジしていないアメリカの実体は見ようとしない若者。

ワイドショーの情報を鵜呑みにするオバサン達。

様々な人が、それぞれ思考停止してしまっているのが今の世の中ではないだろうか。

今の日本社会、ひいては世界に必要な理念は、結局のところ、古代ギリシア時代に生きた先人であるソクラテスのいうところの無知の知ではないかと強く思っている。

無知の知が意味するところは何か。私はこれを、探求心であると考えている。

私は真実というものが何かを知らない。だから、知ろうと努力する。これが探求心である。

この探求心を失い、あるがままの情報を選別せずに、受領する人間が非常に多いのが今の日本社会ではないだろうか。

その結果、物事の本質が何かを追及しようとしない。一般的にこう言われているから、こうなんだろう理由づける。なぜ、一般的にそう言われているのか、それが一番重要なのに、ほとんどの人がそれを探求しない。

本を多く読む人がいる。そういう人はまだマシだろう。探求心のかけらは持ち合わせているように思えるからである。しかし、その人はマシなのであって、良いわけではない。本を読む人の多くは経済に関わる実用書や文庫本ばかり読む。

例えば、ヒトラーが書いた「我が闘争」をどれだけの人が読んだことがあるのだろうか。マルクスの書いた「共産党宣言」をどれくらいの人が読もうと努力したことがあるだろうか。

しかし、私たちの多くは、ヒトラーの考え方は間違っていたと考えているし、共産主義には問題があるとどこかで考えている。しかし、彼らの著書にあるどの部分がどうおかしいのかを的確に指摘できる人間はよっぽどのマニアか、専門家以外には考えられないだろう。

つまり、「教科書に書いてあったから」、「一般的にそう言われているから」ということだけで、物事を捉えることが私たちはすごく多い。これの延長線上にあるのが、メディアやインターネットの情報をそのまま鵜呑みにして、妄信してしまうことにつがなるのだと私は思う。

私自身振り返ったって、この指摘には自分自身耳が痛いことが多い。ただ、それがだめだということには、少なくとも私は気づいている。その分、気づいていない人よりは、マシだろう。

結局のところ、無知の知を自覚して生きていくことが、探求心につながり、自分を向上させることになるのであろう。私はこのことをいつまでたっても意識して生きていきたいと考えている。この姿勢があるから自分は成長し続けていけるのだと信じている。

以上、ココログ移籍後、記事100本記念として、私の物事に対する基本的姿勢を紹介した。

とりあえず、以下のニュースで明らかになったように、マスメディアの情報は嘘半分としてきかなければならない。現在のマスメディアのあり方、存在意義にはますます疑問を感じてしまう。

小沢氏秘書、起訴事実は否認=弁護人「認める報道、異なる」-西松献金
3月27日18時11分配信 時事通信

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」が西松建設から違法献金を受けたとされる事件で、会計責任者の公設第一秘書大久保隆規被告(47)=政治資金規正法違反罪で起訴=の弁護人が27日、「大久保被告が起訴事実について、大筋を認めている報道がなされているが、弁護人らの認識は全く異なっている」とするコメントを発表した。
 関係者によると、同被告は逮捕当初から、「政治資金収支報告書の虚偽記入には当たらない」などと一貫して主張しており、起訴事実についても否定しているとみられる。
 小沢氏は同被告が起訴された24日夜、記者会見し、「献金を受けた事実をそのまま報告し、相手方をそのまま記載するのが規正法の趣旨であると理解しており、その認識の差が起訴になったと思う」などと述べていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090327-00000122-jij-pol

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ますます小泉色が強くなるオバマ大統領

ひさしぶりに海外の話題。

やはり、オバマ政権は私が以前予想したように、小泉政権と同じ様相を呈してきた。2001年に私たちは、「改革」の言葉で、心踊らせ小泉政権に期待を寄せたが、結果として、十分な改革ができたかどうかは疑問が残り、今は痛みだけが残され、国民にしわ寄せがきている。

オバマ政権が衆愚政治の賜物という私の批判はそれなりに的を得てきたのではないだろうか。

忍耐を求めるという姿は、小泉元総理の痛みに耐えろというのと同じ発想であるし、オバマ大統領のスピーチライターはまるで小泉総理の発言を勉強して、応用しているかのようにすら思う。

それにしても、私は数年前までアメリカで起こることは日本の数年後だと理解していたが、最近はどうやら日本で起こったことがアメリカで今起こると言う逆転現象が生じているような気がする。

そう考えると、経済政策で成果の出ないオバマ政権が、今後外交政策で得点をあげようと動き出すこともあるだろう。

さらに見ものなのが、クリントン長官の今後の動きだろう。オバマ政権の経済政策が失敗したとしても、クリントン長官は痛くもかゆくもない。もしかすると、4年後には民主党内で「やっぱりクリントン氏が2008年の選挙の時に相応しかった」、「あのときクリントン氏に入れておけば」、「もうオバマ大統領には付き合いきれない」という動きになれば、通常は考えられない、現役大統領が予備選に負ける事態も考えられるだろう。

いずれにしても、私はオバマ大統領の下で、世界経済がドンドン冷え込むという見通しを持っている。これはすべて、オバマ政権の経済政策の詰めの甘さによるものである。

アメリカ国民は、忍耐が嫌いな面が強い。即効性のある政策が打ち出せなければ、どこかの総理大臣のように支持率が1桁ということになることもあるかもしれない。

「評価は4年後に」=米大統領、国民に忍耐求める
3月25日16時42分配信 時事通信

 【ワシントン25日時事】オバマ米大統領は24日の記者会見で、「繁栄への道のりはまだ遠い。4年後に国民がより良い場所に着いたと評価してくれることを望む」と述べ、深刻な経済危機の中でいら立ちを強める国民に対し、改めて忍耐を求めた。大統領は景気回復と4年の任期中の財政赤字半減という「二兎(にと)」を追っており、困難なかじ取りが続きそうだ。
 「この64日間、経済をどう立て直すかに専念してきた」-。大統領は1月の就任以来、史上最大規模の景気対策や金融安定化策を矢継ぎ早に実行してきた。しかし、失業率が8%を超えたのに加え、公的救済を受けた保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の高額賞与問題で国民の怒りは爆発。CBSテレビの世論調査では、オバマ政権のAIG問題への対応には不支持が42%と、支持を1ポイント上回った。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000090-jij-int

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03/27/2009

WBC後のイチロー選手の言葉(日本企業の組織論に活かせる核心をついた言葉)

先日のブログ記事で紹介したイチロー選手の発言を見つけたので、記録として残しておきたい。その発言要旨は、以下の通り。

この発言が今の日本の企業組織に必要なものを物語っているように思う。

チームには強いリーダーが必要という安易な発想があるようですが、今回のチームにはまったく必要がなかった。外からはリーダーのように言われたが、全くそんなことはなかった。それぞれが強い向上心を持っていれば、必要ない。むしろ、そんなものはない方がいいと思いました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090326-00000033-nks-base

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03/26/2009

侍ジャパンが与えた影響

WBCでの日本チームが与えた影響は日本の視聴者だけではなかったようである。

以下の記事にもあるようにアメリカでも、日本チームのプレイはかなり称賛されている。やはり、アメリカのベースボールファンの多くが、良いプレイを見たいと願い、それに日本チームは応えたようである。

アメリカの野球ファンは結構厳しいし、いろいろなことを知っている。日本のチームについてもやたら詳しいし、そういう友人が私にも数人いる。自国の試合ではないにもかかわらず、そういう厳しい目を持つファンをも魅了したというのは、本当に良い試合だったと言えるだろう。

アメリカスポーツメディアの反応を見て、やはりベースボールというのが国技の1つとして、国民に浸透しているのだなとも感じた。

なお、このWBCだけでなく、以前アメリカの経営者と比較してJALの西松社長に対する評価がアメリカで高いという記事を紹介したが、最近のアメリカの雰囲気は、日本を再評価して、日本から学ぶべきだという潮流があることも注目すべきだろう。

WBC サムライ連覇に米ファンも賞賛

- 2009.03.25 17:30

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝でアメリカを、そして決勝で韓国を破って優勝した日本代表。ではこの日本の二連覇について、「ベースボール」の本家、アメリカはどう見ているか?

全米で最も読者の多い日刊紙「USATODAY」のWebサイトには、日本の優勝記事に対し、読者たちの賞賛のコメントが数多く寄せられている。

「すばらしい試合、すばらしいイベント、すばらしいファンたち。チームのために、そして自分の国のために、情熱をもってプレイする選手たちを見るのはとても楽しいことだった。自分自身のためだけにプレイするアメリカ流とは違う。」

「12時46分までこのゲームを見るために起きていた(私はテキサスに住んでいる)。今まで見た試合の中で、もっともすばらしいゲームだった。1点を取るための走塁、盗塁、投球、目を見張らせるプレイの数々。情熱とハッスル。ステロイドで汚染されたMLBは全く逆の方向へ進もうとしている。」

「ひさしぶりに本物の野球を見た。」

野球を愛するアメリカのファンたちは、日本と韓国が繰り広げた熱戦に惜しみない賞賛を送り、そして「本物の野球の姿を失ってしまったかもしれない」自分たちの国アメリカの現状に対して、厳しい批判を付け加えるのを忘れない。

bleacherreport.comの野球アナリスト、Matthew Goodmanは「マツザカもイチローもアマチュアではない。しかし彼らは自分の国を代表し、ファンを喜ばせるために、プロの世界から飛び出してきた」と、大リーガーの選手たちもWBCに積極的に参加し、関係者やファンもそれをサポートするべきだと述べた後、次のように読者に呼びかけている。

「(MLBワールドシリーズの)勝者を『ワールドチャンピオン』と呼ぶのは滑稽だ。50年前はそうだったかもしれないが、もはや過去のこと。準備をしよう、本当のワールドシップを勝ち取るために、本気で準備をしよう。他のチームは、勝つためにすべてを捧げていることを、我々は学んだのだから」

2013年のWBCでは、きっとアメリカチームのすばらしいプレイが見られるに違いない。彼らを「本気」にさせた侍ジャパンにも、もちろん本気で「3連覇」を目指してほしい。

http://news.cocolog-nifty.com/cs/catalog/cocolog-news_article/catalog_sports-200903251725_1.htm?s=app

他方で、相手国だった韓国のメディアの反応を見る限り、残念だったのはわかるが多少、落胆の矛先がズレている気がする。まず、韓国の監督がイチロー選手を見送らなかったことに対し、「サインが伝わらなかった」ということを述べ、責任を選手になすりつけるかのような発言があったが、指揮官としての資質に疑問を感じる。

先日の記事でも書いたが、WBCから日本国民は多くのことを学んで活かすべきだと思うのであるが、ぜひとも自分の部下や社員が失敗をしても、この監督のように責任を転嫁するような発言をする上司や経営者にはならないでほしいものである。

案の定、この発言に対する日本の野球ファンの反応は厳しく、「選手がかわいそうだ」という声が大半のようである。

また、ある種のガス抜きなのか、中島裕之選手の必死のプレイを批判の対象に韓国メディアはしているようであるが、これは見当違いも良いところである。野球にはルールがあり、ルール違反があれば、審判が判断するし、審判の判断がでなければ、チームの監督が異議を唱え、審判に何らかの職権の発動を促すはずである。

試合中にそのような場面がなく、退場とかなんら制裁を受けていないにもかかわらず、こういう取り上げ方をするのは、「因縁」、「イチャモン」以外の何物でもない。

裁判だって、訴訟手続きないで瑕疵があれば、異議申し立てをして裁判官の判断に対し、再考を促したり、職権の発動を求めるのが基本であり、判決が確定してから、騒いでも後の祭りである。

私はむしろ中島選手のあの行為は、必ず勝ちに行くという気迫のプレーであって、チーム一丸となって、ひとつの目標を目指す姿としてむしろ称賛に値すると個人的には思っている。ああいう気迫があるからこそ、イチロー選手がいうように「リーダーが必要なのではなく」チーム力、総戦力が必要であり、見事それを成し遂げたのが、サムライジャパンだったのであろう。

ガス抜きが必要なのかもしれないが、節操のない報道は民度の低さを露呈しかねないので、他国のメディアとはいえ、自制すべきだと感じた。

情報化時代において、メディアが報じる対象は自国民だけではない。すぐに海外にも報じられるのである以上、こういう報道がなされれば、韓国自体のイメージダウンになるということを肝に銘じるべきだろう。

韓国、今回は“大人”の対応!?両チームへ批判と称賛
3月25日16時56分配信 夕刊フジ

 日本中を歓喜の渦に巻き込んだ日本代表のWBC2連覇だが、敗れた韓国側のメディアやネットユーザーの反応はさまざま。“日本批判”やWBCの“制度批判”がみられる一方、自戒の声や歴史的激闘を演じた両チームへの称賛も多く、前回大会の終了後よりは、かなり“大人の対応”になった印象だ。

 【運が良い日本-たった4カ国に勝って優勝】

 韓国最大のポータルサイト「NAVER」は、WBCの「ダブルエリミネーション」制度を取り上げ、≪韓国は第1回大会に続き、第2回大会でも不合理な試合方式の犠牲になった。日本は変な方式で再び最大の受恵者になった≫と批判。ただし、同制度がなければ、アジア予選で日本にコールド負けした韓国が本戦に出られなかったことには触れていない。

 【日本はダーティー・サムライ】

 在米コリアン系メディア「UKOPIA」は、≪日本は、試合には勝ったがマナーでは基本もできていない無頼漢レベル。その主人公は日本のショート中島裕之≫と名指しで批判。朝鮮日報も≪国際大会ではあまり見られない非紳士的な守備妨害≫と決勝戦7回表の走塁と、6回裏に二盗を試みた韓国選手へのタッチプレーを非難した。

 【試合中ずーっとあいまいな判定】

 ソウル放送(SBS)は、自社サイトで≪審判は「誰が見ても」おかしな判定を繰り返した。しかし、韓国選手たちは承服した≫と報じ、中島批判も展開した。

 【恥辱の大敗】

 聯合ニュースは、昨夏の北京五輪で日本を破った「日本キラー」の先発、金広鉉が東京ラウンドで2回までに8点を失ったことに≪プロデビュー後、最悪の投球≫と失望。スポーツソウル(電子版)も≪守備はぎくしゃく、打線は沈黙≫と攻守そろって不振のチームを批判した。

 【韓国野球が打ち上げた勇気と希望のメッセージ】

 「世界日報」は≪わが国の選手よりも年俸が数十倍・数百倍に達する大リーガーにスポーツの価値が何なのかを教えた真のチャンピオンだ≫と代表チームを称賛した。

 【100年に一度の名勝負】

 韓国ネットでは≪両チームともすべてを注ぎ込んでいて涙が出た≫≪100年に一度の名勝負≫と試合内容を評価する好意的な書き込みが多数見られた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000017-ykf-spo

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稚拙な政党と所属議員

民主党はやはり稚拙な政党なのかもしれない。一旦、常任幹事会で続投を了承しておきながら、メディアの注目を浴びるためなのか、バラバラとしたコメントを好き勝手に言い始める。

なぜ党内でしかるべきときに発言をしておくことができないのだろうか。非常に稚拙な反応であり、マスコミや自民党の思うつぼの行動だろう。

私は、正直、今回の小宮山洋子氏や仙谷由人氏、前原氏の発言を聞いて、次の選挙ではこのような稚拙な反応しかできない議員がいる政党には投票したくないとすら感じてしまった。

このようにバラバラのことを言ったり、メディアの反応(国民の反応ではない)を見て右往左往しているのであれば、今の自民党と全く変わりないではないだろうか。

こういう時こそ党内では苦言を呈し、説明を促すにしても、あえてメディアに出てきて、自分の政党がバラバラで党首の求心力がないような印象を与える行為にでることに、議員として、また政党政治家としての資質を著しく欠くと個人的には思うわけである。

この反応は私だけなのかと思ったら、案の定多くの人は同じように感じていたようである。というのも、誰がコメントしているかわからないので、どれだけの信ぴょう性があるかわからないが、「Yahooみんなの政治」の小宮山洋子議員への評価コメント欄は、私と同じような意識を持つ人が多く投稿しているようである。

いずれにしても、私は小沢代表が続投する以外に道は現在のところないし、仮にここまできて小沢氏を代表から外すと言うことになれば、それこそ自民党や検察権力の思い通りということになると考える。

そして、小沢氏以外の人物が代表につけば、私は民主党は選挙には勝てないような気がする。なぜならば、このようなバラバラの政党を保てるのは小沢・管・鳩山という微妙なパワーバランスが党内にあり、それが崩れると、政権交代どころではないというのが民主党のお家事情なのだと思うからである。

国民はさほど馬鹿ではないし、民主党にもろ手をあげて期待しているわけではない。しかし、小沢・鳩山・管という現在の執行部体制なら、「まだ安心できる」、「今の総理候補が誰もいない自民党よりはまし」というのが本音であろう。

民主党議員も、立候補予定者たちもそこのところを勘違いして、自分や政党に期待されているという思い上がりは捨てるべきだろう。

民主内に「小沢氏辞任」要求相次ぐ 小沢氏秘書起訴で
3月25日21時33分配信 産経新聞

 西松建設の巨額献金事件で、秘書が起訴されたにもかかわらず党代表を続投する意向を示した民主党の小沢一郎代表に対して25日、党内から早期辞任を求める発言が相次いだ。鳩山由紀夫幹事長ら執行部は、党所属国会議員に代表続投への理解を求める方針だが、世論の動向次第では、小沢氏が進退の再考を迫られる可能性が出てきた。

 小沢氏と距離を置く仙谷由人元政調会長は25日、国会内で記者団に「(次期衆院選に向けて)必死にやっている候補者を巻き込まないようにするべきだ。小沢氏が自主的に政治判断するべきではないか」と述べ、次期衆院選への影響を踏まえ、自発的に辞任するべきだとの考えを示した。

 また「次の内閣」(NC)文部科学担当の小宮山洋子衆院議員も記者団に「おわびしながらでは選挙に勝てない。一番いいのはお引きいただくことではないか」と強調。「小沢氏の裁判闘争と、政権をとりに行く選挙戦略はまったく別だ」として、小沢氏の裁判闘争に民主党が巻き込まれるべきではないとした。

 また、枝野幸男元政調会長は「検察も小沢氏も説明責任を十分に果たしていない。大方の国民が納得するよう説明してほしい」と述べて、小沢氏の説明が不十分との考えを示した。

 捜査関係者によると、小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規被告(47)は、東京地検特捜部の調べに対して、西松建設から違法な企業献金を受領しながら虚偽の報告をしていたなどとする政治資金規正法違反罪での起訴内容を大筋で認めているという。大久保被告の供述が、小沢氏の発言と食い違えば、小沢氏は改めて事件について説明する必要が出てきそうだ。

 一方、麻生太郎首相は自民党本部で細田博之幹事長らと会談し「(小沢氏は)ピントが外れている。問題の所在が分かっていないのではないか」として、24日の小沢氏の釈明会見を批判した。自民、公明両党の幹事長、国対委員長会談でも「(小沢氏は)法の規範意識が足りない」との小沢批判が続出。細田氏も「極めて認識が甘い」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000629-san-pol

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03/25/2009

検察の事実上の敗北。

今後不公正な検察による捜査権の行使の問題が、国民の批判の的になるかもしれない。

昔から、私は亀井静香氏をさほど良い政治家と思ったことはないが、今回の同氏の批判にはそれなりの説得力があるし、小沢氏の関わったと言われている政治団体以上にダミーなものはたくさん存在するだろう。

それを差し置き、権力の中枢である与党ではない野党を狙った理由を示すべきだし、贈収賄疑惑まで情報を操作してマスメディアに垂れ流した責任としても、なぜ小沢氏への捜査が重要だったのかを検察は説明すべきであろう。

「自民の資金団体はダミー」=亀井氏
3月25日17時5分配信 時事通信

 国民新党の亀井静香代表代行は25日の記者会見で、東京地検が小沢一郎民主党代表の公設秘書を政治資金規正法違反罪で起訴したことに関連し「自民党は(政治資金団体の)国民政治協会を通じて、小沢氏や民主党の何十倍もゼネコンから献金をずっと受けている。この協会は全くダミーだ。検察はお構いなしなのか」と述べた。
 同地検が起訴の理由を「特定の建設業者から長年、多額の金銭提供を受けた事実を国民の目から覆い隠した」と説明していることに疑問を呈した発言だ。亀井氏はまた、「(捜査が)これだけで終わるのであれば、検事総長以下、なぜ今やったのかを国民に説明しないと(いけない)」と語り、同地検に説明責任を果たすよう求めた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000097-jij-pol

さらに、面白いことに、検察OBから今回の起訴と捜査手法に様々な評価が出始めていることである。郷原弁護士だけでなく、宗像先生も今回の検察の動きには疑義を呈しているようである。

宗像先生は、検察OBといっても、特捜部長を務めるなど、郷原先生に比べれば、より検察検察しているキャリアの持ち主ではある。そのようなOBからも、「乱暴」といわれる今の検察の在り方については、何らかの形で見直しが必要になってくる気がする。

特に、宗像先生がいう、「従来の基準を変えた」という指摘に、私はすごく引っかかりを感じる。なぜ、従来の基準を変える必要があったのか。それこそ、田原総一郎氏をはじめとするジャーナリストがいう「検察の青年将校化」とか、「国策捜査」とかいう疑念がますます強くなってくるだろう。

最近は、裁判員制度は有罪・厳罰を目論む検察によって進められているという主張がかなり聞こえてくる。もちろん、制度趣旨も制度の導入過程においてもそのようなことは目的とされてはいない。しかし、結果として、検察だけに有利になる制度になりつつあることは、国民自身が肝に銘じなければならない。

「それでも僕はやっていない」という映画の最後に、「自分が裁かれているという気持ちで私を裁いてください」というような一節があったように思う。

国民自身のレベル、民度、意識を向上させなければ、無意識的に為政者や権力の意図に乗せられてしまったり、冤罪を生みだしたりするなど国全体の利益を損なうことがあるという自覚が今の日本には必要だろう。

ちなみに、ある裁判官の方の有名なブログでは、下記の土本氏の発言にある「一罰百戒」について、「自民党議員には捜査が及ばないことが検察OBの中でも当然の了解のようになっているように感じる」との指摘がされていた。

また、インターネット関係や刑事事件関係で有名な落合洋司弁護士のブログでも、今回の検察の捜査に対し、「『失敗』という烙印を押しても良いかもしれません」と痛烈に批判している。

このように司法関係者の大勢が、「この起訴には問題があるな。」「そもそもダミーであるとは認定が困難である。」「資金提供者を記載するのではなく、寄付名義人を記載するのだから、違法性はない」など検察の起訴判断に批判的な眼差しをもっている事件を私は過去振り返ってもあまり覚えが無い。

それだけ重大な決断をした検察は、その自覚を持って今後の捜査に当たってほしい。さもなくば、検察に対する信頼、司法に対する信頼を著しく低下させ、三権分立の根本を揺るがす、暴挙と評されることになるだろう。

 【西松献金】政治団体のダミー性焦点 宗像紀夫元東京地検特捜部長
2009.3.24 07:36

 政権交代の可能性もある次期衆院選を控えた状況下で、民主党の小沢一郎代表絡みの事件に着手することの是非は、事件捜査全体をみなければ判断できない。例えば、今やらなければ次の重大な事件捜査に支障が出るなどの理由があれば理解できる。しかし、秘書の政治資金規正法違反事件だけで終わってしまえば、この時点での着手の正当性を説明することは難しい。

 特捜部は今回、西松建設側がダミー団体を通じて提供した献金の実態が悪質なもの、つまり、公共工事の受注の謝礼であるという形で組み立てようとしているのではないか。

 ただ、今回の事件は微妙だ。特捜部が政治団体をダミーと見立てても、客観的に立証するのは容易ではないだろう。ダミーというのは西松側からの見方であり、小沢氏側は政治団体から合法的に受けたと主張するだろう。政治団体のダミー性と、その認識が立証の上で最大のポイントになる。

 捜査で疑問なのは、西松建設が2つの政治団体を通して小沢氏側の団体に献金しているが、ほかの政治家側にも同じことをやっており、小沢氏側だけの問題ではないこと。ほかの政治家の政治団体の関係者すべてを調べた上でないと結論は出せないはずだ。

 小沢氏については、一般論で言えば、今回の献金の仕組みを知っていて秘書に受けなさいと指示していれば共犯にもなるが、政治家は普通、そこまで把握していないだろう。今後の展開は大久保容疑者の再逮捕の有無が鍵になる。(談)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090324/crm0903240737007-n1.htm

「やや乱暴では」「一罰百戒の意義」…検察OBの評価分かれる
3月25日2時21分配信 読売新聞

 小沢一郎・民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件。検察OBの間では、今回の特捜部の捜査に対する評価が分かれている。

 東京地検の特捜部長時代にゼネコン汚職事件の捜査を指揮した宗像紀夫・中央大法科大学院教授は、「特捜部は、従来の価値基準を変えて摘発した」と批判的だ。「政治資金規正法上、最も悪質なのは、収支報告書に記載しないヤミ献金。今回は、献金自体は記載されており、透明化の義務はある程度果たされていた」と指摘。さらに、「政治状況が緊迫する今、いきなり野党第1党の党首の秘書を逮捕したのは、やや乱暴だったのではないか」と疑問を投げかけた。

 自民党長崎県連の違法献金事件(2003年)の捜査に携わった元検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授も、「西松建設の政治団体がダミーなら、例えば業界団体が設立する政治団体はどうなのか。今回の事件が違法だとしても、ヤミ献金ではないので悪質性は低く、罰金刑が妥当。検察は、なぜ今回の事件を摘発したか十分に説明する義務がある」と指摘した。

 一方、元最高検検事の土本武司・白鴎大法科大学院長は、「規正法は、政治と企業の癒着構造をただそうと、改正を重ねてきた。企業献金にダミーの政治団体を使うような、手の込んだ犯罪を立件したことは、一罰百戒的な意義がある」と評価。その上で「捜査がこれだけで終わるとは考えられない」との見方を示した。

 元東京地検特捜部長の河上和雄弁護士も、「見返りを期待する企業が、その姿を巧妙に隠して献金した極めて悪質な事件。政治腐敗の温床となってきた企業献金のあり方が問われている中で、特捜部の摘発は当然だ」と意義を語る。さらに、「資金管理団体に加え、政治家の『第2の財布』である政党支部への献金も立件され、両団体の代表者である小沢代表の責任は免れないだろう」と話した。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000165-yom-soci

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03/24/2009

WBCから日本人が学ぶべきこと

日本中の注目は、イチロー選手と一郎民主党代表に注がれたのかもしれない。

とりわけ、前者のイチロー選手は、プレッシャーをはねのけて最後の最後に結果を出す姿には本当に素晴らしい選手だし、すごい人間だと思った。

最近暗い話題ばかりが多いので、この2連覇というニュースもさることながら試合内容もかなりドキドキさせる試合で、見ごたえがあったと思う。

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この試合の後の原監督の謙虚さにも感銘を受けた。「もっと上手い監督ならもっと点数を取らせてあげられるのに」という言葉は、彼の人間性を表す言葉で、采配の評価は別として、人間的にはかなりの人が好感をもてたのではないだろうか。

今回のWBC連覇は、優秀な選手が一致団結して結果を出したわけであるが、結果を喜ぶだけでなく、今の日本人には、選手から学ぶべきことがたくさんある気がする。

以前、いすゞの社長が、この難局を乗り切るのに必要な戦略について、「総力戦」という言葉を話していた。まさに、「総力戦」が日本人の底力をもっとも出すのに重要なのかもしれない。

バブル期以降、実力主義とか成果主義という言葉がもてはやされ、その言葉の裏で日本が持っていた良い価値である「総力戦」が過小評価されてしまったように思う。その結果、なんとなく人間関係がギクシャクし、社内で体力喪失し、結果として勤労意欲の低下に結び付いた企業が多いのではないだろうか。

企業のトップは、業績低迷という経営運営の失敗のつけを従業員に追わせるのではなく、原監督のような謙虚な姿勢で、優秀な社員が個性を生かしつつも、お互いに目標に向かって勤労意欲を高め合えるように、自由かつ真に力を発揮できる環境を整えることを急ぐべきだろう。人材の成長なくして、経済の改革はあり得ない。

今回のWBCの序盤について、ある解説者ははチームの仕上がりに正直疑問があったと話していた。川崎宗則選手のように、スタメン出場しないときにも、仲間が打った時には一緒に喜んでチーム一丸という雰囲気作りをしり、メンバーそれぞれが同じ目標に心を一つにしてお互いを気遣いあい、励ましあえた結果がV2に結び付いたのかもしれない。

企業の経営者はもちろん、管理職の人間も、自分の所管する職場雰囲気作りのために、WBCの選手の努力にはどのようなものがあったのかを分析して、活かすことが、原監督のいう「この結果は、日本の国のためになる結果」ということになるのではないだろうか。

スポーツを単にエンターテイメントとして楽しむだけでなく、日々の生活に活かせるように考えながら見ることもまた自分を成長させるには重要だろう。

久しぶりの良いニュースなので、今日は後者の一郎代表の話題は避けておこうと思う。

WBC連覇 イチロー どん底抜け会心の笑み
3月24日22時21分配信 毎日新聞

【ロサンゼルス村田隆和】満面に笑みを浮かべたイチロー選手(35)=マリナーズ=が右翼からマウンドに駆け寄ってきた。右手でガッツポーズを繰り返しながら--。23日(日本時間24日)に当地のドジャースタジアムで行われた野球の国・地域別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦、日本-韓国戦。

大会中、不振に苦しんだイチロー選手が、優勝を呼び込む決勝打を放った。チームリーダーであるはずの男が、役割を果たせずにいた苦しみの分だけ、喜びは膨れ上がった。

 延長十回2死一、三塁。本来は無の境地でいたいイチロー選手が、自らを実況中継しながら打席に入った。「めちゃくちゃいろんなことを考えてましたね。ここで打ったら『おれ(運を)持っているな』とか。そういう時は打てないものだけど、今日は打てた」

 勝負のあやがあった。2球目に一塁走者が二塁へ走り、一塁が空いた。ここで韓国ベンチは、イチロー選手を敬遠で歩かせるよう指示したが、なぜかバッテリーには伝わらなかった。ファウルで粘って8球目。はじき返した白球は中前へ抜けた。

 チーム結成の日ともいえる宮崎合宿集合日の2月15日。前回の日本代表監督、王貞治氏(68)から声を掛けられた。「頼むぞ」。短い言葉で、すべてが通じた。「今回の代表は、チームとしての厳しさが前面に出るようなことはないでしょう。みんな意識の高い選手ばかりだから」と王氏は語ったが、イチロー選手への信頼はひときわ厚かった。

 ところが、なかなか調子が上がらない。合宿中の練習試合では「3番」に座ったが、大会が開幕するころには「1番」に。「慣れ親しんだ位置でやってもらう」という、原辰徳監督(50)の温情だったが、準決勝までの打率はわずか2割1分1厘。「苦しいところから始まり、つらさ、心の痛みになった」とイチロー選手。原監督と目を合わすことすらできなくなっていた。

 この日の決勝打は、そんなどん底を通り抜けた末に放った一打だった。しかし塁上で、イチロー選手は表情一つ変えなかった。まだ試合は終わっていない。「普段と変わらない自分でいることが僕の支え。この支えを崩すと、タフな試合の中では、自分を支えきれなくなってしまう」という矜持(きょうじ)からだった。

 試合終了後のセレモニー。原監督から優勝トロフィーを渡された時、イチロー選手は心から笑った。監督と目を合わすことに、もうためらいはなかった。

原監督「生涯忘れないでしょう」/WBC
3月25日0時58分配信 日刊スポーツ

<WBC:日本5-3韓国>◇23日(日本時間24日)◇決勝◇米カリフォルニア州ロサンゼルス、ドジャースタジアム
 優勝した日本代表の原辰徳監督(50=巨人)の試合後のコメント。
 「みんなすごい。すごいサムライがそろって世界のつわものと戦い、堂々と勝った。目的は1つでしたから。1カ月以上経って、チームがまとまった、団結し進化した。重い試合で、イチローのセンター前(適時打)というのは生涯忘れないでしょう」。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000000-nks_fl-base

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03/22/2009

国民への信頼を得るには、謙抑的姿勢が重要

検察への不信は高まっているようである。

ちょこちょこマスメディアから出てきている情報も、噂と同程度の情報ばかりであり、秘書の逮捕された事件との関係でも、公判を維持して有罪に持っていけるだけの証拠が本当にあるのかは疑わしい気がする。

仮に、起訴して、無罪ということになれば、今後数年間、検察や司法に対する風向きはかなり厳しくなる気がする。

ただでさえ、法曹人口の抑制に対しては、既得権益の保護だという厳しい批判もある中で、法曹全体が今後国民からの批判の対象になる恐れを感じる。

以下の記事にある検察OBからの懸念というのも、検察権力の謙抑性との関係で、疑問を呈されているのだと思うが、検察だけでなく法曹は、自身の利害関係にかかわる問題に対しては、私益丸出しで主義主張をするのではなく、やはり司法権の担い手であるという意識の高さをもって、謙抑的な視点で、主義主張をすべきだろう。

<違法献金>総選挙前の立件、検察OBも「なぜ?」
3月22日2時30分配信 毎日新聞

 西松建設の違法献金事件で小沢一郎・民主党代表の秘書を逮捕した東京地検特捜部の捜査について、今秋までに行われる総選挙に与える影響を考え、「なぜこの時期に」と困惑する声が、多くの検察OBからも出ている。容疑内容についても「立件のハードルを以前より下げているのではないか」との疑問もくすぶっている。【松下英志】

 ■時期    

 「単純に考えて時期は最悪だ」。ある元検察幹部は漏らす。政治的な動きだと民主党サイドが反発している点についても「10人中9人がそう思うだろう」と捜査に手厳しい。

 特捜部の捜査は、選挙への影響を極力避けてきた歴史がある。典型的なのが00年6月の中尾栄一元建設相の事件。6月25日の衆院選投開票日を待ち、5日後の同月30日に受託収賄容疑で逮捕した。

 一方「3月末で虚偽記載は時効となる。この時期以外にタイミングがなかった。後になるほど衆院議員の任期切れも近づく」と理解を示す元幹部もいる。

 だが、さらに別の元幹部はこう指摘した。「(93年の)ゼネコン汚職事件も総選挙直前に着手したが、今度の総選挙は『民主の逆転なるか』という、とてつもなく意味のある選挙。影響は無視できないものがある。過去の事例からすると、そこら辺(を踏まえてきちんと判断したのか)は『どうかな』という気はする」

 ■容疑    

 「総額が2100万円で、しかもすべて表の寄付。その名義を偽った疑いがあるというだけの今回の事件は、規模、様態とも極めて軽微であることは否定できない」。元特捜部検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授はそう指摘する。

 04年に発覚した日本歯科医師連盟を巡る政治資金規正法違反事件で、特捜部は1億円の裏献金を受領した自民党旧橋本派(平成研究会)の会長代理だった村岡兼造元官房長官を政治資金規正法違反で在宅起訴した(有罪確定)。しかし、党の政治資金団体・国民政治協会を経由して3000万円を迂回(うかい)献金されながら収支報告書に記載しなかったとして検察審査会で「起訴相当」とされた山崎拓元副総裁は不起訴とした。

 こうしたことから他のOBも、今回の事件で立件するか否かの境目を示す「ハードル」について「下げたと受け止められても仕方がない」と懸念する。

 「時期が最悪」と指摘した元幹部は、こうも語った。「(ロッキード事件の田中)角栄(元首相)に匹敵する相手(小沢氏)を相手にするわけだから、このまま(の容疑で)終わるとまずいよ」。世論の反発を念頭に、危機感を募らせた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090322-00000008-mai-soci

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03/18/2009

三権分立の危機(許されざる内閣総理大臣の発言)

行政の長が、「疑わしきは被告人の利益に」の原則を徹底した言動ができないのは非常に問題がある。

単なる間違いで済まされる問題ではないだろう。行政の長が「違法があるから逮捕」などと発言したとすれば、三権分立を著しく阻害する危険な行為だと私は思う。

寺西事件判決でも明らかのように、裁判官には、公の場での政治的中立性を害するおそれのある発言は、三権分立と司法に対する国民の信頼から制約されるとされ、寺西判事の再任拒否は正当だとされた。

であるならば、内閣総理大臣が三権分立のバランスを崩し、不当に司法に介入したと取られかねない発言をすれば、これは取り返しのつかない内閣不信任事由に当たる重大な問題だと思う。

マスコミはこの事実をしっかりと報道して、言葉の重みがわからないリーダーは国民生活に対して、百害あって一利ないことを示すべきだろう。これは、揚げ足取りとかで済まされる発言ではないと思う。

三権分立すら揺らぐ日本は、経済危機以上に、社会危機に直面しているのかもしれない。

民主、「違法」発言に反発 逮捕されたのは事実-首相

2009年03月17日火曜日

 民主党の小沢一郎代表は17日、記者会見で、麻生太郎首相が公設第1秘書逮捕で「明らかに違法であったが故に逮捕となった」と述べたことについて「検察が行政の一部であることは間違いない。行政の長がそのような発言をすることはいまだかつてなかった。首相としていかがか」と厳しく批判した。
 平田健二参院幹事長も「行政府の長が捜査機関や司法機関に『有罪にしろ』と命じているようなものだ。首相は人権や憲法を守るという意識が極めて乏しい」と指摘した。
 一方、麻生首相は同日夕、官邸で記者団に「いわゆる推定無罪の原則は当たり前のことだ。逮捕された事実は間違いない」と強調。河村建夫官房長官はこれに先立つ記者会見で「検察は法と証拠に基づいて逮捕した。その先は裁判の結果によって無罪や冤罪もあり得る。それが法治国家だ」と、裁判の見通しについての発言ではないとの見方を示した。
 民主党は漆間巌官房副長官の「オフレコ懇談発言」に続く政府側の失言だと激しく反発。17日の参院法務委員会では松野信夫氏が「刑事司法のイロハのイも分かっていないむちゃくちゃ答弁だ。首相に注意すべきだ」と追及、森英介法相は「話はうけたまわった」と答えざるを得なかった。
 18日以降も参院本会議や予算委員会などで首相に真意をただすなど徹底追及する構えだ。

民主・小沢代表 首相発言「違法だから逮捕」を批判
3月17日21時51分配信 毎日新聞
 民主党の小沢一郎代表は17日の記者会見で、麻生太郎首相が16日の参院予算委員会で、小沢氏の公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件に関し「明らかに違法だったがゆえに逮捕になった」と答弁したことについて「検察は行政の一部。行政の長がそのような発言をするのはいまだかつてなかった」と指摘。「首相としていかがか」と批判した。
 会見に先立つ党役員会でも、麻生首相の発言に対して「非常に問題発言だ」との指摘が鳩山由紀夫幹事長や簗瀬進参院国対委員長らから相次ぎ、予算委などで今後追及していく方針を確認した。
 麻生首相は17日夜、「逮捕という事実は間違いないと(予算委でその後)補足した。いわゆる推定無罪という原則は当たり前のことですから」と釈明した。首相官邸で記者団に語った。

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03/17/2009

検察が青年将校化?(シンポジウムを伝える記事の紹介)

以前紹介したシンポジウムについての報道がなされている。

重大な問題なのに、朝日新聞の記事しか見当たらない。あまり多くの記事が出ていないのはこの問題に対する(検察の情報に踊らされている)マスコミの自戒の念が足りないのではないだろうかと思ってしまう。

郷原先生はこの問題にかなり積極的に取り組んでいらっしゃるようである。自分の古巣に対し、バランス感覚を持って批判されているところには共感できる。

ジャーナリストら検察捜査批判のシンポ

2009年3月16日1時39分

 違法献金事件での小沢民主党代表の公設秘書逮捕をめぐる捜査手法をテーマにしたシンポジウムが15日夜、東京都内で開かれた。「青年将校化する東京地検特捜部」と題し、ジャーナリストの田原総一朗氏や二木啓孝氏、新党大地代表の鈴木宗男衆院議員、作家の佐藤優氏、平野貞夫・元民主党参院議員らが参加した。

 メディア関係者の研究会「フォーラム神保町」の主催。田原氏は「民主党代表に深刻なダメージを与えた。乱暴きわまりない。政治資金規正法だけでの起訴なら検察の敗北だ」と批判。飛び入り参加した特捜部OBの郷原信郎氏は「政治的影響を与える時期にありえないことが起きている。検察はこれほど重大なことになると予想していなかったのではないか。(捜査は)泥沼にはまりかけている」と指摘した。

http://www.asahi.com/national/update/0316/TKY200903150184.html

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03/16/2009

企業献金の全面解禁と透明化の徹底が必要

企業献金が悪という固定観念を取り除いてみてはどうであろうか。

私は海外で政治を勉強していたことがある。よくアメリカでは企業献金は禁止されているという趣旨の発言があるがこれは間違いである。企業献金がなければ、あんな大規模な選挙キャンペーンはできない。

アメリカ政治はまさに金権政治である。しかし、アメリカはそれを是としている。オバマ大統領の選挙キャンペーンについて、日本では、個人献金ですべて賄っているかのような報道があったが、これは大きな誤解と歪曲である。

オバマ大統領も、クリントン長官も、また共和党の大統領候補だったマケイン氏も企業献金はかなりの額で受け付けているし、大企業からは直接受けずとも、間接的に様々な方法で献金を受けている。

つまり、献金そのものは、企業がしようと、個人がしようと問題はない。問題は、それに対する不公正な見返りがある場合の贈収賄の問題だけである。

この点、アメリカは情報開示を徹底しており、情報が開示されていればあとは各有権者の判断に委ねようとするものである。たとえば、開示された情報は相手方候補陣営も確認でき、選挙戦での攻撃材料にすることもある。

例えば、クリントン陣営は、「オバマ陣営が『大企業からの献金を受けていない』『ロビイストを排除する』と言っているのに、大企業のロビイストグループから献金を受けているではないか」と痛烈に批判していた。このことは記憶に新しい。

よくメディアの知識人ぶった芸能人コメンテーターなどは、「企業が献金するのは見返りがあるからだ」という。確かに企業はそれを期待しているのかもしれない。しかし、その期待だけでは刑事上罰すべき犯罪とは言えないし、また禁止するほどのことか?と思ってしまう。

企業以外にも宗教や利益団体、強制加入団体、労働組合など様々な利権代表団体があるわけで、一切の企業献金を禁止して、他の団体の献金を認めることを肯定するだけの理由はないし、むしろ現実的に選挙活動にはお金がかかるのであるから、このような硬直的な規制は、百害あって一利なしだろう。

これに対しては、政党への助成金を交付しているのだから、企業献金は禁止すべきという声があるかもしれない。それなら政党助成金をやめてしまうべきだろう。今や自民党の一党独裁状態に甘んじて来た世代よりも、「自民党の一党独裁は異常だ」とか、「もう自民党は時代の役割を終えた」と感じている世代の人間の方が多いのではないだろうか。

だとすれば、企業であっても、必ずしも常に自民党に献金して、自民党のみが優位になるという懸念はさほど大きくないはずである。むしろ、1つの党にのみ献金して運命共同体と考える企業は、今の時代、リスク分散のできない危険な企業だというべきであろう。

そうすると、企業も自民党と民主党、はたまた第三局の政党に献金しよう、または分散して献金しておこうという企業が現れてもおかしくはない。

また、企業は政権政党べったりになると危惧する人は、それこそ労働組合のような団体組織を全国規模でつくって、加入者から徴収し、個人献金の集合体を作ればいいだろう。

労働組合などの組織率が下がっているのは、その組合が組合員を代表していないと組合員が感じているからだろう。自分たちの不手際をよそに企業献金を批判するのはお門違いではなかろうか。

さらに、余裕がある人は、個人でも献金すればいい。お金が無いが時間に余裕がある人は、ボランティアなどにより応援する候補の人件費分の労働力を「献金」してあげればいい。

ただ、絶対条件として、すべての金の流れをオープンにし、その情報をマスメディアやライバル候補、さらにはNGO組織などが監視して、問題がある企業等からの献金があることがわかれば、不買運動ならぬ落選運動ができる環境を整える必要はあるだろう。

そして、不透明な処理をした場合には、罰則を持って厳しく臨めば良い。

規制すれば、汚職がなくなるわけではない。むしろ、国民一人一人が不公正な金の流れがあると思えば、自分の価値判断に従った投票行動をする方が大事であろう。

およそ金権政治が悪いと抽象的な批判をするのでは、いつまで経っても物事は先に進まない。少し発想を変えてみて、「企業献金=悪」ではなく、「監視をしない有権者=悪」をいう自戒の念を持つことも必要ではないだろうか。

<河村官房長官>「企業献金は限定的に」 上限額引き下げも
3月16日21時19分配信 毎日新聞

 河村建夫官房長官は16日の記者会見で、政治資金規正法について「企業献金は極めて限定的なものに絞っていく方向を模索すべきだ」と述べ、企業・団体献金の規制強化に前向きな考えを示した。その上で「(献金額の)上限が非常に高いものに設定されているため、疑念を抱かれているとの指摘がある」とも語り、見直しの内容として、献金上限額の引き下げを挙げた。

 一方で麻生太郎首相は、16日の参院予算委員会で、社民党の福島瑞穂氏の質問に対し「企業・団体献金自体が必ずしも悪だとは考えていない」と述べ、法改正に慎重な考えを強調した。小沢一郎・民主党代表の公設第1秘書の逮捕に関連し「今の法律でも、それなりにきちんと効果があったから、逮捕になった」と答弁した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090316-00000111-mai-pol

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03/15/2009

立法者(Lawmaker)としての適性を欠く発言とそれを許してきた有権者の民度が問題

政治家というのは、心労を感じない本当に楽な商売らしい。

笹川自民総務会長の発言を聞いて、率直に思った感想である。

要職についている人間がこういう無知な発言をすることが日本ではかなり多い気がする。仮にも明治大学の法学部に入学したことのある人物であれば、哲学の祖であるソクラテスが説いたといわれている「無知の知」ということは、知っていると思うのだが、彼の言動をみると本当に不適切な発言が多い。

最近では、えひめ丸が沈没したから森政権が沈没したというような発言をしているのは記憶に新しいだろう。

こういう人間が政治家として活動していることが本当に驚きであるし、日本人として恥じだと思う。

彼の選挙区である群馬2区の選挙民はどういう気持ちで彼の発言を見ているのだろうか。群馬2区の読者がいれば本当に申し訳ないが、どうしても言いたくなってしまう。「当選7回のようだが、選挙民の民度が低いのではないか」と。

笹川氏は、「うつ病患者は政治家には一人もいない」と発言し、気が弱い人は務まらないといったようであるが、そんなことはないだろう。現にうつ病が原因となって自殺に至っている政治家は何人もいる。自民党で大臣をしていた人間だって、精神的に追い込まれ現職であるにもかかわらず、自殺するという前代未聞の事件を数年前に起こしたばかりではないだろうか。

もしかすると、同氏は、「(私のような)政治家は記憶力もないから深く考えることはない。だからうつ病にはならない」とでも言いたかったのではないだろうか。いずれにしても、こういう無知の塊みたいな人間が党の要職についていること自体、自民党がいかに崩壊しているか良い例のように思う。

国民もこういう話に慣れて、「またか」と聞き流すのではなく、自分のリーダーたる人間がこういう馬鹿げた発言をすることを恥じる姿勢が必要かもしれない。

私は医者ではないが、うつ病に罹患する人間が気が弱いという理解は、非常に乱暴な議論であると思う。政治家は立法者であるが、同氏はその立法者としての適性を著しく欠くと思う。

労働関係事案を見ればかなりの労災民訴事件でこの種の不法行為責任や債務不履行責任を追及する事案が多い。

裁判所は、民法722条2項の過失相殺規定の趣旨である、損害賠償額の算定にあたり、被害者側の事情を考慮して、損害の公平な分担を図るという点から、被害者側の素因(疾患、身体的・精神的特徴)につき、722条2項を類推適用して相殺の考慮事情としている。

しかしながら、身体的・精神的特徴を考慮する場合にも、判例は、労働者の性格が個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない限り、そのような性格をもって相殺することはないし、できないとしている。

笹川氏のいうような主張が仮に正当化されるとすれば、うつ病での労災民訴は原告がみんな相殺されることになるのであろうが、法律家の世界からすれば、そんなことはあり得ないし常識を欠く判断ということになるだろう。

政治は立法者である以上、法律の基本的な精神も持ってほしいものである。

なお、救命士の方のブログにこの発言について見解を述べられているものがあったのでぜひリンクから見ていただきたい。偏見を持たずに、真剣に患者と向き合うこと現場の方がいるのだと思うと、まだまだ日本は捨てたものではないと心強く感じる。

<自民・笹川氏>うつ病巡り、誤解招きかねない発言 
3月14日21時6分配信 毎日新聞

 自民党の笹川尭総務会長は14日、大分市であった党大分県連の大会で講演し、「うつ病で休む教員が多いが、国会議員には1人もいない。気が弱ければ務まらない」などと、うつ病に対する誤解を招くような発言をした。

 中山成彬・前国土交通相が、日教組や大分県の教育について批判したことに触れる中で述べた。笹川会長は「(教員には)自民党を支持する人ばかり作ってくれと言ってるわけではない。良識ある人を作ってほしいということ。知識だけでなく知恵がないと苦しい時に我慢できず、ばたっと突き当たる」と続けた後、この発言をした。

 文部科学省のまとめでは、07年度にうつ病などで休職した公立学校の教員は4995人(前年度比320人増)で過去最高だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090314-00000095-mai-pol

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03/11/2009

今国民が読むべき本なのかもしれない。

この記事でも何度か紹介している郷原先生が最近出した本がある。

この本は、今の社会をとても良く分析している。

まさに、小沢氏の事件を受けた、世論調査の結果も、有権者の「思考停止」により、マスメディアおよび捜査当局からのリーク情報のみを鵜呑みにした結果ということなのではないだろうか。

この本でも裁判員制度について指摘されているが、私はもともと裁判員制度導入の趣旨は高く評価しているものの、ここにきて、予断に影響される国民の姿を見ると、裁判員制度による国民の司法参加が冤罪をたくさん産むのではないかと本当に危惧する。

国民一人一人が、思考停止してマスメディアの情報をそのまま信じたりすることがなくならないかぎり、民度の向上と質の高い裁判員の確保は望めないだろう。さて、いつになればそういう時代が来るのであろうか。

参議院は検察庁のトップである検事総長への事情聴取を行う予定という。問題点は、やはり検察側による捜査情報のリークだろう。今回の事情聴取に関しては、おそらく国政調査権が根拠になるのであろう。

国政調査権を捜査中の事件に対し及ぼすことは、いろいろ憲法上の問題点もはらむが、そもそも今回の捜査行為の在り方(情報のリークを含めて)が三権分立の精神を揺るがしかねないだけに、既存の憲法上の議論があてはまるのかも検証する必要があるだろう。

私個人は、捜査情報のリークが意図的に情報捜査していると考える余地はかなりあると思うし、今後の国民への影響を考えれば、あたかも犯人であると断定するような情報を小出しにして、マスメディアを利用し、国民に有罪であるとの心象形成をさせることは、もう辞めるべきではないかと思っている。

また、以前から指摘しているが、我が国の国民自身に情報の検証能力が乏しい以上、情報をリークする行為自体を問題視する以外に適正な民主主義国家の形成はできないのではないかという思いもある。

つまり、国民自身が情報を適正に受領する能力が乏しいことが問題なのかもしれない。

いずれにしても、裁判員制度が控えている中、不適切に捜査情報がマスメディアに垂れ流され、「疑わしきは被告人の利益にの原則」にもとる現在の検察の姿勢は、再検証されるべきと思っている。

民主 検事総長の聴取検討
3月10日8時5分配信 産経新聞

 民主党の小沢一郎代表の公設秘書が逮捕された政治資金規正法違反事件で、参院民主党が「意図的な情報操作が行われている可能性がある」として、参院議院運営委員会に樋渡利秋検事総長を呼び、事情聴取を検討していることが9日、分かった。同党関係者が明らかにした。民主党に対し厳しい世論が形成され、小沢辞任論が一気に強まるのを牽制(けんせい)するねらいがあるとみられる。

 参院議運委は、民主党の西岡武夫元文相が委員長を務めている。事情聴取は委員会を公開し、西岡氏が院を代表して情報漏洩(ろうえい)の有無を問う形式を検討している。

 参院民主党側が、検察トップの樋渡検事総長への事情聴取を検討しているのは、「東京地検特捜部が捜査中にもかかわらず、供述内容や文書など証拠物件の有無、捜査方針などがどんどん報じられているのは意図的な情報操作であり、許されない」(参院幹部)と判断したためだ。

 民主党内には鳩山由紀夫幹事長ら執行部を中心に、「国策捜査だ」と指摘するなど、検察側の捜査方針を疑問視する声が根強い。別の幹部も9日、「これらリーク(情報漏洩)はどういうことなのかと問いただしたい」と述べた。

 ただ、党内には「捜査当局と全面戦争になる恐れがある」(幹部)との懸念があるほか、捜査が自民党へも広がりをみせていることから「今すぐでなくてもいい」(中堅)との慎重論もある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090310-00000086-san-pol

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03/10/2009

不起訴判断に疑問

因果関係がないと判断したようだが、はたして不起訴は妥当なのだろうか。

まず、過失の認定に必要な要件としては、①予見可能性、②予見義務、③結果回避可能性、④結果回避義務であるが、不起訴の判断は①が無かったというものらしい。

しかし、灯油をかぶっている以上、自殺する意思があったことは明らかである。また、過去に自殺をすると騒ぎ保護されたことがあるという事実はむしろ、自殺に及ぶ危険性が過去の行為から明らかであるという事実の評価をすべきではないだろうか。

このように危険な行動に出かねない人間で、かつ、飲酒しており、ふとした瞬間に自殺を決意して、火をつけることは十分考えられる以上、予見可能性が無いと言う判断には疑問が残る。

また、因果関係がないという判断もしているがこれも疑問である。灯油をかぶった状態にある人間に、着替えなどもさせず、その引火しやすい状態のままで放置し、さらに、ライターという引火のための道具を渡すことは極めて危険な行為であり、自殺した当人の着火行為がそこに介在していたとしても、そもそもこのような状況下でライターを渡す行為自体が危険なのであるから、因果関係は肯定できると考えるのが筋ではないだろうか。

昨今、検察の不公正な捜査権の行使が疑われている中、警察官の極めて不適切な捜査活動上の行為に対して、あまりにも緩やかな判断で不起訴とすることは、検察と警察の癒着を疑われても仕方内容に追われてならない。

<取調室焼死>熱田署員を不起訴 地検「着火予見できず」
3月10日2時4分配信 毎日新聞

 愛知県警熱田署で08年5月、酔って保護された男性(当時45歳)が取調室で焼死した事件で、名古屋地検は9日、業務上過失致死容疑で書類送検された同署地域課の巡査部長(55)ら4人を嫌疑なしで不起訴とした。ライターの火を直接着衣につけないと発火しないことから、男性が意図的に着火するという異常行動を予見すべき注意義務を課すことはできないと判断した。

 他に不起訴処分になったのは、28歳と26歳の巡査長と25歳の巡査。4人は08年5月10日深夜~11日未明、灯油をかぶった男性から「たばこを吸わせれば飲酒検知に応じる」と要求され、取調室の机にライターを置き、監視を怠った状態で男性に100円ライターを使わせ、焼死させた疑いで書類送検された。ライターは事件後、所在不明となっている。

 地検は実験で、ライターの火を直接着衣につけた場合にのみ発火することを確認。「男性が意図的に着衣にライターで火をつけた」と結論づけた。

 その上で▽男性が過去にも「火をつけて自殺する」と騒いだが県警に保護され無事だった▽取調室では落ち着いていた--の2点から、着火を予見すべき注意義務はなかったとし、「監視を怠ったことやライターを机に置いたことと死亡の間に因果関係は認められない」と判断した。

 県警監察官室は「職員に対する指導、教養を徹底し、再発防止に努める」とコメントした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090310-00000005-mai-soci

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疑惑を持たれる不用意な発言が問題なのでは?

最近この話題ばかりで申し訳ないが、非常に重大な問題なので触れておきたい。

まず、漆間氏の釈明であるが、発言自体ないという説明であるが、どれだけの人間が信用するだろうか。20名近い記者がいて、複数の新聞が報じている。これを記者側の誤解だというのならば、より合理的な説明をしなければ、経験則に照らして、信じがたいと考える以外にない。

記憶が無いと言うが、そんな短期間の話を覚えてないとすれば、内閣官房副長官の職務を全うできる能力があるか、別の観点からも、資質の欠如を疑ってしまう。

刑事事件ではないので、立証云々の問題ではないが、少なくとも、不用意な発言をして、不公正な捜査権の行使と疑われる発言を自らしたわけであるから、もう少し明瞭に説明すべきではなかろうか。

この発言には2つの問題がある。1つは、今言ったように政府と検察が癒着しているという印象を与えかねない発言だったと言うことである。

もう1つは、仮に捜査に関係する立場になかったり、情報を持っていなかったとしても、その発言により、検察に対する圧力を加えたと思われかねないことである。

小沢代表への捜索事態、政治的なタイミングを考えると、一部で検察の青年将校化などと揶揄されるように、非常に重大な問題であるし、その適正が後々問題となる可能性がある。

そうした微妙な事案だけに、検察に近い警察庁長官を務めた人間ならば、不用意な発言をして、マスメディアにオフレコであっても揚げ足を取られるような発言は絶対してはならない。

にもかかわらず、そうした不用意な発言が出てくること自体、麻生内閣は一国の内閣としての適性を欠くのではないかと思ってしまう。

さらに、麻生総理は「間違って報道された」と発言し、河村官房長官が修正するコメントをしている。これも、不適切極まりない。言葉の重みが無さ過ぎる。言葉は一度誰かに発すればそれが独り歩きする。その自覚がなければ、重責を担うべきではない。

世間は小沢問題で動揺しているが、あの問題は刑事事件でありかつ否認事件なだけに、加熱した報道を信じてしまうのは問題である。

もう少し冷静に政治を捉えなければ、日本の有権者は無能で扱いやすいと権力に笑われ、衆愚政治の骨頂という歴史的汚点になりかねない。

まあ、実際のところはすでに官僚などには馬鹿にされていて、それを知らないのは、給付金をもらって有難がっている人たちだけなのかもしれない。

違法献金 首相、漆間発言報道を「誤報」…午後には撤回
 3月9日22時41分配信 毎日新聞

麻生太郎首相は9日夕、西松建設の違法献金事件の捜査に絡み、「自民党議員には波及しない」と漆間巌官房副長官が発言したとの報道を「誤報」と答弁したことについて、「(報道が)誤ったわけではない。(発言は)撤回した。予算委員会でそう答弁した」と述べ、誤報発言を撤回した。また漆間氏の進退については、「(官房長官から)厳重注意した。それ以上の処分は考えているわけではない」とし、更迭する考えはないことを明らかにした。首相官邸で記者団に語った。

 首相は9日午前の参院予算委員会で、漆間氏の発言に関し「オフレコの懇談の内容が誤って報じられている」と答弁したが、午後の同委では、「オフレコの発言について漆間副長官の記憶と記者の受け止め方の間にはズレがあったというのが正確なとこだと思っている」と修正。夕方には、記者団から「撤回する考えはあるか」と問われ、「ああ撤回したと思いますよ」と発言した。

 首相はまた、同日夕の自民党役員会で「皆さんにご迷惑をかけた。誤解を与えないようにしたい」と陳謝した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090309-00000019-maip-soci

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03/09/2009

イギリスよりも日本の民度が高い部分もある(イギリスの差別意識について)

最近、小沢西松事件の話題ばかりなので、久しぶりに別の話題。

既存のメディア報道をよく批判するのであるが、今回の記事はなかなか面白い。

http://news.cocolog-nifty.com/cs/catalog/cocolog-news_article/catalog_world-200902271805_1.htm?s=app

ココログニュースからである。

イギリス・障がい者のテレビ司会者に苦情殺到!

イギリスBBC放送が放送している子ども向け番組『CBeebies』の女性司会者として、生まれながらにして片腕が不自由なセリー・バーネルさんを起用したところ、多くの視聴者から苦情が殺到しているという。

その内容は「ウチの子どもが悪夢を見てしまうたろ!」「彼女(バーネルさん)を見たウチの子どもが恐怖におののいているんだ! どういうキャスティングをしているんだ?」「寝つきが悪くなるのでやめていただきたい」など、ほぼすべてがバーネルさんの容姿に関するクレーム。

このことをイギリスのマスコミ各社は「障害をもったバーネルさんは、差別的で不穏なキャンペーンの犠牲者になった」と報じており、バーネルさんに対して同情を示している。日本人からすれば「同情して当たり前だろう」と思うかもしれないが、イギリスは障害者にとって、けっこう手厳しい国だといわれることが多い。

イギリスに留学経験がある人によると、イギリスは外国人はもちろんのこと、障がい者に対して厳しい態度に出る人が多いと感じたという。確かに、この時代になって障がい者がテレビに出ていることが苦情の対象となるのは、先進国としてどうなのかと疑問に思う。

この苦情の数々に対してバーネルさんは「障害について話すきっかけとして、私を使ってくれたらそれはすばらしいことです」と公式コメントをしている。バーネルさんのように寛大な心で人を見ることができる人が、どれだけこの世にいるのだろうか。体は五体満足でも心は不満足な人が多くいる気がしてならない。(Rocketnews24スタッフ)

この記事に対しては色々な批判もなされているようだが、私はこの記事は的を得ていると思う。私はイギリスとアメリカに2年ほどいたわけであるが、とりわけアメリカでは身体障害者に対する差別用語はかなりある。

日本では、海外では障害者に対する意識が高くて、普通の人と変わらない扱いがなされているとか、日本のように配慮する方がおかしいのかもという話があるが、私はこれには賛同できない。

つまり、海外では障害者に対する意識が高いというのがまず間違いなのである。

よく英語で使われる言葉で、「Retard」とか「Retarded」という単語がある。これは若者の間でよく使われる言葉であり、馬鹿なことをしたり、ふざけたことをした相手に対して使ったり、相手を嘲笑する際によく使われる言葉である。

しかし、意味は、知的障害があること、知恵遅れなどの意味であり、非常に差別的な言葉である。こうした言葉が結構使われるかなりの差別社会であることは否定できない。

その意味で、この記事の指摘は私は正しいと思うし、英米社会の本質的なものを付いていると思う。

良く差別というと、人種差別とか男尊女卑とかが思い浮かばれ、英米社会ではそれがだいぶ緩和されているという幻想が日本にはある。しかし、海外のそうした差別意識、階級意識はかなり根深いものがある。もしかすると日本以上にひどいかもしれない。

「海外は立派で、日本はダメ」という議論がなされる場合が多いが、私はむしろ「日本の方が立派で、海外は著しくレベルが低い」と感じることもたくさんある。

そういう意味で、この記事の指摘は日本の障害者に対する差別意識が海外よりも低い点を鋭くつくもので、なかなか良いと感じている。

日本で乙武さんがテレビに出ていてこういう抗議があるであろうか。彼は小学校の教員を現在している。それに対し、我が国で、このような抗議をした馬鹿親はいるであろうか。

私は、ある意味我が国は、こういう点については常識を兼ね備えており、民度が高いと感じる(もちろん、選挙での投票行動や万年自民党万歳というような面を見れば、我が国が英米社会に比べて民度が低い部分もあるが・・・)。

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クビにすれば良いと言う問題ではないのでは?

漆間氏の発言が問題視されて、更迭論が出ていますが、徹底的にその真意を究明することが国策捜査のいわれにしっかり反論することになるのではないでしょうか。

過去の毎日新聞の記事には、漆間氏について、以下のような記述がありました。

給付金問題は選挙にらみがうかがえるもう一つの人事も影響した。漆間巌氏の事務官房副長官への起用だ。

 警察庁出身は32年ぶり。情報収集・分析力が強く、警備・公安畑が長く、北朝鮮問題も詳しい。政権浮揚のため(1)民主党のスキャンダル探し(2)拉致問題進展--を担うとも指摘される。自民党内では「マルチ業者との癒着が問題になった前田雄吉衆院議員(民主党を離党)の件も漆間さんの仕事では」との見方も飛ぶ。

 事務副長官は本来、「省庁の調整役」だが、政策調整経験に乏しく、前記のような役割を担っているためか、給付金問題では動きは見られなかった。危機感を強めた財務省などの幹部は園田博之政調会長代理らが陣取る自民党本部6階に頻繁に通った。首相官邸3階の玄関はひっそり静まり返ったままだった。

このように、そもそも漆間氏の起用が、スキャンダル探しではと思われ、そしてこの時期の小沢氏への強制捜査があり、さらに、自民には及ばない発言をしたわけですから、疑惑が高まるのは当然です。

迅速な行動は大切ですが、切れば終わりとか、臭いものにはふたをするというのでは、成熟した民主主義国家とは言えません。

疑惑に対しては身内でも徹底的に究明すべきですし、漆間氏にも弁明の機会を与えるべきではないでしょうか。

<漆間官房副長官>身内からも更迭論 「自民波及せず」発言
3月8日20時49分配信 毎日新聞

 河村建夫官房長官が8日、「政府高官」は漆間巌官房副長官だと明らかにしたのは、参院予算委員会でこの問題を追及する構えでいる民主党を前に、政府側から発言者を明らかにして早期の事態収拾を図る狙いがある。だが民主党など野党が反発を強めているのに加えて、身内の政府・与党内からも漆間氏の更迭論が出ている。麻生太郎首相は苦しい判断を迫られそうだ。

 首相は7日に河村氏と協議のうえ、発言した政府高官は漆間氏だと公表すると決めた。その際、民主党が漆間氏の国会への参考人招致を求めれば応じる方針も確認した。首相官邸サイドは「発言は一般論で、実際に捜査に影響を及ぼしていない」との説明で乗り切れると見ている。官房副長官は各省との調整能力が期待され、旧厚生省、旧自治省などのOBが起用されてきた。しかし、首相は北朝鮮問題などで信頼を置く警察庁出身の漆間氏をあえて肝いりで起用しただけに、更迭は避けたいとの思いもある。

 だが、民主党の鳩山由紀夫幹事長は8日、記者団に「内閣のど真ん中にいる元警察庁長官が話したという事実は大変重い」と指摘。「内閣のど真ん中と検察の間で会話のやりとりがあったとしか思えない。『一般論だ』と言っても、一般論でそのような話が生じるわけがない」と、追及する姿勢を強めている。

 政府・与党内でも「参院予算委員会での審議に影響が出る前に、漆間氏を更迭すべきだ」との声が出ている。与党幹部は「首相が9日にもスパッと更迭すべきだと思う。そうすれば素早い対応をしたことにもなる」と語る。政府・与党内から更迭論が出る裏には、首相周辺が「漆間さんは大した仕事もしていない。この際、代えた方がいい」と語るように、事務方トップとしての漆間氏の能力に疑問符がついていることもある。

 漆間氏は9日に定例記者会見などで発言の真意を説明する意向だが、説明次第では、さらに更迭論が高まるとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090308-00000057-mai-pol

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03/08/2009

事実が何なのかという判断が先なのでは?

鳩山幹事長は、「新事実判明」とはどの時点を言っているのでしょうか。

裁判において事実が明らかになった時なのか、それとも検察の垂れ流す情報で事実とされうる話が明らかになった時でしょうか。

否認事件においては、事実が何なのかを簡単に断定すべきではありません。裁判所は常に慎重に判断します。今回も、小沢氏の秘書や小沢代表自身は違法性を否認していますし、そもそも今回の事件においては、違法性の認定が難しいという特徴もあります。

以前、このブログで、痴漢冤罪に関する最高裁判例を紹介しました。これは民事事件の中で示された判断ですが、裁判所の事実認定に大きな影響力を与えるものだと思います。

どういう事案だったかは、こちらで確認してもらいたいのですが、何を言いたいかといいますと、何が事実なのかという事実認定作業というのは綿密に行われているということです。この判例は、高裁判決の乱雑な事実認定に不備があるとして、差し戻しました。

「検察がいうから」とか、「メディアがいうから」という単純なことで、それを事実として捉えることは、あってはなりません。これは司法手続きの大原則です。

事実認定があって初めて、法律の適用ができるのであって、この事実認定作業を誤れば、法適用も誤ります。実務では、事実認定が裁判での勝敗を分けると良く言われています。

そういう意味で、『何が事実なのか』という視点を裁判員制度が始まる今、国民全体が意識しなければならないのではないでしょうか。

代表辞任か、次の代表は誰かという節操のない報道が目立ちますが、否認事件である以上、国民は冷静な目でこの事件を捉えるべきでしょう。

直近の過去に東京地検特捜部が担当した事件で、最高裁で無罪が確定した冤罪事件(旧長銀経営者に対する粉飾決済による証券取引法違反事件)があることも忘れてはいけません。

今回の小沢代表と西松の事件は、国民の裁判員たる資質を考える上でも非常に重要な気がしています。

小沢代表、進退発展も=「新事実判明なら」-民主幹事長
3月8日10時26分配信 時事通信

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は8日午前のNHK番組で、小沢一郎代表の資金管理団体をめぐる違法献金事件に関し、「(小沢氏の)進退問題が浮上しないと言い切るつもりはない。当然、新たな事実が判明すれば、新たな展開になると思う」と述べ、捜査の展開によっては代表辞任もあり得るとの認識を示した。
 鳩山氏は、小沢氏の秘書が逮捕された3日には「この問題で今すぐにという判断にはならない」と述べ、進退問題への発展を否定していた。しかし、一部世論調査で小沢氏の辞任を求める声が大きいことや、民主党内で次期衆院選への危機感が強まっていることなどを考慮し、発言を修正したとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090308-00000053-jij-pol

なお、漆間発言について、いろいろな声が出ていますが、あるブログでは、河村官房長官もその旨の発言をしていたという指摘を見かけました。いずれにしても、そういう不適切な発言は、捜査への不信を増大させることに間違いはありません。

さらに、一部報道では、小沢代表の秘書が西松建設側に請求書を送りつけていたという話があったようですが、誤報だったようです。

否認事件のおいて、あたかも犯人性を決めつけるような事実のでっち上げであり、あってはならない誤報です。これについて、どうしてかかる誤報が生じたのかメディア自身での検証を徹底させるべきでしょう。

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西松事件は裁判員制度の成否にも影響か。(世論調査に見る危機)

世論の動向や政治家の反応を見ていると、はたしてこの国において裁判員制度はやるべきなのだろうかと再考してしまうのは私だけでしょうか。

裁判を行う上で徹底されなきゃいけないのが、「疑わしきは被告人の利益に」ということと、起訴状一本主義です。

起訴状一本主義とは、裁判官の予断を排除するため、起訴の際には起訴状のみを提出させることができ、その他予断を生じさせる恐れのあるものを添付したり、引用してはならないことが刑訴法265条6項により規定されています。この他、予断排除のためには、捜査段階で、逮捕状や勾留令状、捜索差押令状等の発付を行う令状裁判官と第1回公判期日の担当裁判官は別の者でなければならない(刑訴法280条)など、種々の規定により、予断排除を徹底しようと努力しています。

このことは、裁判員にも要請されることです。

しかしながら、当の裁判員になりうる国民が、事前にマスメディアの情報に触れ、警察および検察から意図的に垂れ流される情報をそのまま受取り、それが真実であるかのような心証を抱いたまま裁判に参加するとなると、刑事事件の原則を揺るがし、ひいては冤罪の温床になりかねません。

実際に、イギリスなどでは、陪審員裁判を近年は極力減らす方向に進んでいます。それは、不公正さが出てしまうためと言われています。

我が国は裁判員制度を採用したわけですから、裁判員制度への参加を呼びかけるだけでなく、裁判所も、裁判員に対し資質ある裁判員を確保すべく、予断排除の姿勢を啓蒙すべきではないでしょうか。

裁判官のみの現行制度では、確かに十分な常識的事実認定に対する疑問があるのも確かです。しかしながら、逆に一般人が参加する裁判員制度により、常識的事実認定の基礎に予断があったということになれば、これは明らかに背理です。

裁判員制度は、国民に司法参加の機会を与える権利でもあります。したがって、この権利を適正化ならしめるためにも、国民の側による刑事原則の理解と、予断排除の努力が必要でしょう。

このような世論調査の結果は予想できましたが、被疑者が否認しているにもかかわらず、検察から流されている一連の報道のみをもって、国民の判断が出ているとすれば、裁判員制度を控えている中、テレビや新聞は正しいと思いこんでいるのではないかと非常に怖さを感じてしまいます。

現役の裁判官は一般的に世間とのかかわり合いを極力なくすようにする傾向があると言われています。それはやはり予断排除の関係もあるのかもしれません。

それが問題だということで、裁判員制度が採用されるわけですが、意図的な情報操作があるかもしれないという意識を持たずに無批判にメディア報道等を信用する人が裁判員になるとすれば、冤罪のおそれが生じてしまい、制度として失敗ということになるのではと懸念します。

穿った見方ですが、裁判員制度で得をするのは、より高い有罪率と厳罰を見込める検察庁ということにならないことを祈るばかりです。

<小沢代表>「辞めるべきだ」57% 民主、支持率も下落
3月7日20時33分配信 毎日新聞

毎日新聞は6、7両日、電話による全国世論調査を実施した。民主党の小沢一郎代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件を受け、小沢氏が代表を辞めるべきかどうかを聞いたところ、「辞めるべきだ」が57%で、「辞める必要はない」の33%を上回った。事件に関する小沢氏の説明に対しては、「納得できる」12%、「納得できない」79%。このほか、政党支持率で民主党が2月の前回調査比7ポイント減の22%で、2ポイント増の自民党と同率になるなど、民主党に厳しい数字が並ぶ結果となった。

 「麻生太郎首相と小沢氏のどちらが首相にふさわしいか」との質問への回答は、小沢氏が12ポイント減の13%で、ほぼ半減。麻生首相は2ポイント増の10%、「どちらもふさわしくない」は12ポイント増の73%だった。

 この質問は昨年9月の麻生内閣発足以来続けており、当初は麻生首相が42%、小沢氏が19%だったが、首相の発言のぶれなどを受けて昨年12月に小沢氏が逆転。前回は小沢氏がリードを17ポイントに広げていたが、今回は3ポイントまで縮まった。

 「次の衆院選で自民党と民主党のどちらに勝ってほしいか」との質問への回答は、自民が7ポイント増の29%、民主が11ポイント減の40%だった。「今、衆院選が実施されるとしたら、比例代表でどの政党に投票するか」は、自民が2ポイント減の20%、民主が8ポイント減の28%。

 いずれも依然、民主党が上回ったものの、広がる傾向にあった両党の差が縮まった。「今回の事件を次期衆院選の投票の判断材料にするかどうか」への回答は、「する」が43%、「しない」が51%。判断材料とする層の「民主離れ」が進んだとみられる。

 四者択一で質問した「衆院解散・総選挙をいつ行うべきか」への回答は(1)「09年度予算成立後の4月ごろ」33%(2)「直ちに行うべきだ」30%(3)「任期いっぱいまで必要ない」18%(4)「今年夏ごろ」11%--の順だった。

 一方、麻生内閣の支持率は前回比5ポイント増の16%、不支持率は7ポイント減の66%。支持率は発足以来初めて上昇したが、低い水準にとどまった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090307-00000077-mai-pol

なお、時期的にも面白そうなイベントを見つけました。参加メンバーもメディアでおなじみの人々ですね。こうした人が検察権力批判を始めたことは、良し悪しは別にして、今後司法への風当たりが強くなる気がします。

興味のある方は、下記のリンクから日時や申込方法がわかります。3月15日日曜日に開催するようです。

青年将校化する東京地検特捜部~小沢第一秘書逮捕にみる検察の暴走~」
■講師  魚住昭
佐藤優
鈴木宗男(衆議院議員/新党大地代表)
田原総一朗
永野義一(弁護士/元東京地検特捜部副部長・元最高検検事)
平野貞夫 (元参議院議員)
宮崎学
■コーディネーター 二木啓孝
■主催 フォーラム神保町
■会場
毎日ホール 毎日新聞東京本社 地下1階(東京都千代田区一ツ橋1-1-1、地下鉄東西線・竹橋駅)

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03/07/2009

検察出身者としてはバランスのとれた解説(西松事件についての郷原弁護士の解説)

検察出身者でも、私と同じような問題意識を持っている方がいるようである。

郷原信郎弁護士である。

郷原先生は、検察官任官後、公正取引委員会事務局審査部付検事、東京地方検察庁検事、広島地方検察庁特別刑事部長などを歴任し、桐蔭横浜大学法科大学院教授、同大学のコンプライアンス研究センター長を務めている。

こちらのリンクから同氏に対するインタビューと同氏の説明がなされている。

同氏の解説は、検察出身者の割には非常にバランスが取れているし、法的解説も正確になされている。さすが、ロースクールで教鞭をとり学生相手に説明をしている先生だけあるなと感じる。

ぜひ、日頃のマスメディアやメディア弁護士(メディアの意向に沿った解説しかしない弁護士)の不十分な解説しか聞いていない方は、同氏の解説を参考にしていただきたい。裁判所が裁判において事実認定する場合に考慮する観点が整理されていると思う。

一部紹介すると、メディアなどで検察出身の弁護士は、政治団体のダミー性の認定は今回の事件においても容易であるかのような説明をしている。しかし、郷原先生も強調されているが、政治団体の場合、通常の会社などのような法人格否認の法理以上に厳しい要件が要求されることになる。

たとえば、法人格否認の場合の形骸化事例では、①財産の混同、②事業の混同、③機関の不開催などが考慮要素として、実質的に背後者と一体でまったくの個人企業といえるかどうかが判例の基準である。

しかし、これはあくまでも、通常の営利法人の場合であって、政治団体の場合は、それがダミーと認められるには、より厳しい要件が要求され、考慮要素もこれら3つだけで決することは難しい。つまり、全く何の活動もしていないおよそ脱法目的で作られた団体と認定できなければ、有罪は難しいわけである。

なので、検察がここまでの立証が可能な物証(例えば、明らかに脱法目的で作り、実体がないことを認めているものがあるなど)が無ければ、有罪にはできないわけである。

ぜひ、より詳しく説明されているので、見ていただきたい解説の1つである。

他方で、政府高官の発言が問題になっている。これは先日も言ったが同然だろう。マスコミもそろそろ名前を明かしてもいいのではないだろうか。

記者クラブ制度で、権力と持ちつ持たれずという関係があるのだろうが、検察捜査への疑惑が生じる発言をしており、かつ、それが一部報道によれば、警察庁長官を務めた人間の発言とされており、重大な公共の利害にかかわる事実である。

今回は政治と金もさることながら、支持率の低い首相が居座ることによる民主主義政治の成熟性の乏しさ、かつ、公権力の情報を垂れ流すだけのマスメディアの本質的機能の欠如、さらには司法に対する信頼の毀損が問題になっているのであり、経済が破たんしつつある中、日本沈没という事態になりかねないと危惧しているのは私だけではないだろう。

違法献金 政府高官の発言「事実なら奇異」小沢代表
3月7日13時34分配信 毎日新聞

民主党の小沢一郎代表は7日午後、西松建設の違法献金事件に関連し、政府高官が自民党関係者の立件には踏み込まないとの見通しを示した問題について「コメントする立場にないが、事実なら奇異な感じがする」と批判した。自らについては「(秘書が)起訴されたり、裁判になったりということは考えていない」と強調した。党本部で記者団の質問に答えた。また同じく同社から献金を受けていた二階俊博経済産業相については「論評できない。自民党の説明責任は本人と自民党が考えること」と言及を避けた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090307-00000014-maip-pol

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批判するだけでなく与野党はしっかりと追及を

やはり問題になったみたいですね。この発言。

政府高官が誰なのか、少なくともどういう立場の人間なのか(政治家なのか法務官僚なのか)は明らかにすべきでしょう。

先日も指摘しましたが、この発言はかなり問題のあるものです。検察の捜査権行使に政府の政治的圧力があったかの印象を与え、注目される事件なだけに、準司法的作用たる検察権力に対する国民の不信を生じかねません。

それこそ、多くの良識ある国民は、先日紹介した室井佑月さんの発言のように、「検察は額の多さを捜索の根拠と言うが、問題はルールを守ったかどうか。証拠があったというが、疑いがあると言われる自民党の議員についても本当に証拠を探そうとしているのか。小沢氏だけという感じがして不自然」と感じているのではないだろうか。

与野党色々な政治意図があるのかもしれませんが、この発言に関しては不謹慎であると言う認識を与野党共通でもっているのは確かなのでしょうから、こういう発言こそその出処等をしっかりと国会で追及される方が良いのではないでしょうか。

以下のニュースを読む限り、官邸の政府高官ということのようですが、誰なのか国民に対して説明すべきでしょう。

私は今回の検察の捜査に厳しい発言をしていますが、それは刑事事件の原則である「疑わしきは被告人の利益に」を徹底すべきということと、検察権力はときには暴走しかねないので、常に正しいという予断を排除すべきという考えから、時期的に説明責任が検察にも生じうると指摘しているのであって、国策捜査だと言っているわけではありません。ですので、このような政府高官の発言は、現場の検察官にとってはたまったものではないと思います。

検察への不信を増進させる責任ある発言をした人間は誰なのか、政府はしっかり国民に説明すべきです。

また、マスメディアも報道した以上、誰の発言なのか開示することが、国民の知る権利を標榜する社会的権力としての責任なのではないでしょうか。

なお、鈴木宗男新党大地代表は、この発言者について、「漆間巌内閣官房副長官の発言であると、複数の記者さんが私に言ってきた」と自身のHPで明らかにしています。

この発言が本当だとすると、かなりマズイ気がします。というのも、漆間巌内閣官房副長官は、警察庁出身の官僚(昭和44年入庁)なので、検察官僚ではないが、警察庁という極めて検察権力に近いところにいる人の発言としては、著しく適正を欠くと言わざるを得ないからです。

ただ、あくまで鈴木宗男代表が開示しているにすぎず、その真偽は明らかでないので、取材をしたメディアによる開示が待たれるところでしょう。

政府高官の「自民に波及せず発言」に与野党から批判
3月6日21時42分配信 産経新聞

民主党の鳩山由紀夫幹事長は6日、西松建設の違法献金事件に関する捜査が自民党議員に拡大しないとの見通しを政府高官が示したことについて「検察側と政府高官の間で何らかの出来レースがあると思わざるを得ない。なぜ今、選挙の直前に(強制捜査が)小沢一郎代表の事務所だけなのか、強い疑念を感じている」と反発した。

 一方、自民党の菅義偉選対副委員長は同日の党役員連絡会で「実態がわからないのに、わかったようなことを言うべきでない」と、政府高官を批判。細田博之幹事長も記者会見で、菅氏の批判に同調した。公明党の漆原良夫国対委員長も同日、「軽率な発言だ。そんな機微な情報が入っているわけがない」と述べた。

 河村建夫官房長官は同日の会見で「大島理森自民党国対委員長から『官邸は緊張感をもって対応するように』と注意を受けた。(政府高官の発言は)ありえない発言だ」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090306-00000609-san-pol

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03/06/2009

政府筋から極めて問題のある発言が・・・(司法への国民の信頼が崩壊する予兆か)

さすがに、この政府筋の情報はまずいと思う。

憶測で、こうしたことをいうと、明らかに政府筋が関与して捜査をしているような印象を与えかねない。

私は、国策捜査かどうかは判断する立場にないので、終始一貫して、司法の信頼と刑事訴訟の原則を歪めない捜査方法と報道の在り方を主張している。

しかし、かかる情報が流れており、本当に他の自民党の議員について捜査が進まないとすれば、証拠がないというより、証拠を集めようとしているのかという室井佑月氏の批判がますます説得力を増す気がしてならない。

こういう発言が政府筋のものとして出てくること自体、不謹慎極まりないし、国策捜査という批判が強まるのは必至である。東京地検特捜部はもう少し慎重に情報を提供すべきだし、しっかり他の議員についても証拠収集をしなければ、検察への不信は増大するだろう。

今回の事件は、民主主義の崩壊、および司法への信頼の崩壊につながる極めて危険な要素を含んだ捜査行動だったのかもしれない。

西松献金事件、政府筋「自民まで波及する可能性ない」
3月5日23時42分配信 読売新聞

 政府筋は5日、西松建設の違法献金事件について、「自民党の方にまで波及する可能性はないと思う。あの金額で違法性の認識を出すのは難しい」と述べ、自民党議員に捜査は拡大しないとの認識を示した。

 政府筋が捜査の見通しについて言及するのは異例だ。捜査の中立、公正を確保する観点から批判を浴びる可能性もある。 

最終更新:3月5日23時42分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090305-00001288-yom-pol

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検察「正義」に対する懐疑的見方も必要

連日のように小沢民主党代表の強制捜査の話が続いているが、マスコミ各社の報道をみていると、私の懸念した有罪ありき報道、検察の情報が真実かのような報道、検察の小出し情報という事態がやはり発生しているようである。

小沢氏側、3団体への献金分散・金額を指示
3月5日15時7分配信 読売新聞

小沢一郎・民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、同会の会計責任者で小沢代表の公設第1秘書の大久保隆規容疑者(47)が準大手ゼネコン「西松建設」(東京)に対し、小沢代表側の三つの政治団体への献金を分散するよう、献金額を個別に指示していたことが関係者の話でわかった。

 東京地検特捜部は、小沢代表側の各団体が受ける金額を少なくし、西松側団体からの献金を目立たなくする狙いがあったとみて調べている。

 特捜部は5日、岩手県内の大久保容疑者の自宅を捜索した。

 小沢代表側の政治団体は、陸山会のほか、小沢代表が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」と小沢代表が最高顧問を務める「民主党岩手県総支部連合会」。西松建設が1990年代中盤以降、同社のOBを代表とした政治団体「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」をダミーに使うなどして小沢代表側に寄付した総額は約3億円で、2003~06年、ダミー団体を通した3団体への献金は計4600万円に上る。

 同社関係者などによると、00年に陸山会の会計責任者に就いた大久保容疑者は毎年、西松建設の総務担当者に対し、3団体がそれぞれいくら献金してほしいかを指示。同社側は、二つのダミー団体の手持ち資金などを考慮し、献金額の振り分けを決定していた。

 小沢代表側は西松建設との間で、年間2500万円前後の献金を受ける約束を取り交わしており、このうちダミー団体を通して約1500万円を受けることになっていた。大久保容疑者はこの合意に基づき、3団体に振り分けるよう求めていたとみられる。

 04年の場合、新政治問題研究会は陸山会に500万円、民主党支部と民主党岩手県連に各300万円を献金。一方、未来産業研究会は、陸山会に200万円、党支部と県連に各100万円を献金し、西松側ダミー団体から3団体への献金総額は1500万円となっている。3団体のうち陸山会の政治資金収支報告書は総務省に、他の2団体は岩手県選管に提出することになっており、公表も別々に行われる。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090305-00000681-yom-soci

そして、案の定、メディアで発言する「専門家」は、検察経験者ばかりである。

検察の判断を聞きたいというのだろうが、検察の判断に疑問が呈されている今回については、やはりバランス感覚のある裁判官出身者又は刑事弁護人経験の多い弁護士などの専門家にも意見を求めるべきであり、裁判員制度を前に「疑わしきは被告人の利益に」という原則が、マスメディアにおいては自覚のかけらすらないことが明らかになった気もする。

他方、そんな見識の低いマスメディアにおいても、なかなか気骨のある意見を述べていた方がいたようである。奔放な発言で知られている作家、室井佑月氏のコメントである。

同氏はある番組で、「検察は額の多さを捜索の根拠と言うが、問題はルールを守ったかどうか。証拠があったというが、疑いがあると言われる自民党の議員についても本当に証拠を探そうとしているのか。小沢氏だけという感じがして不自然」という発言を検察出身の弁護士の横で堂々としていたという。

おっしゃる通りだと思う。かかる疑念がでることは、全くもって自然なことだろう。

少なくとも時期的な関係で検察に対する捜査に疑問を持つ人がかなりいるのは確かなのだから、検察はしっかりと公正な捜査活動、証拠の収集をしているということを示さなければ、検察権力に対する不信感は増大する。

私は最近何度も言っているが、昨年7月に東京地検特捜部が担当した事件は最高裁で無罪判決が確定しているのであり、こういった過去のミスがあるわけだから、不信を払しょくしてもらえるような行動をしなければ、見せしめ的捜査とか、意図的に自民党寄りの捜査ではないかという謀略論を持たれてしまいかねない。

準司法を標榜している以上、検察サイドにはより公正さが国民に伝わる努力が必要だと思う。

そして、マスコミも検察が正義と思ってやっていることでも、時には冤罪(裁判で無罪が確定すること)があるわけだから、常に検察サイドの報告や小出し情報を垂れ流して報道するのではなく、批判的検証をした上で、否認事件においては、疑わしきは被告人の利益にという原則を徹底してほしい。

ところで、ある通信社が以下のような記事を流している。勾留という法律用語をなぜ拘置決定というわけのわからない言葉に置き換えるのだろうか。

そもそも、拘置決定という言葉すら存在しない。おそらく、拘置所に拘束されるという意味で、刑事法に関する知識の乏しい記者が、勝手に作りだした造語である。恥ずかしいことに、勾留期限についても、拘置期限などという言葉をつかっている。

ただ、何度も言うが裁判員制度が始まるのだから、正しい言葉を国民が理解できるようにするためにも、マスメディアは最低限の法的知識をもって、国民の知る権利に資するべく、「勾留」「勾留期限」と正しく書くべきである。

わからない、細かいことを言うなと言うのであれば、刑事事件に関する報道記事を書く資格はないだろう。なぜなら、冤罪を防ぐためにも、細かい手続きによって、被疑者の人権、防御権及び被告人の防御権が保護されているのが刑事事件なのだから、そういう細心の注意を払う姿勢が無いものに、報道する資格はないと思うわけである。

大久保秘書らの拘置決定=西松建設の規正法違反-東京地裁
3月5日11時37分配信 時事通信

 西松建設をめぐる違法献金事件で、東京地裁は5日、政治資金規正法違反容疑で逮捕された小沢一郎民主党代表の公設第1秘書大久保隆規(47)、同社前社長国沢幹雄(70)両容疑者ら3人の拘置を決定した。拘置期限は14日まで

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03/05/2009

裁判員制度が始まるからこそ、刑事訴訟の原則の徹底を

昨日に引き続き、小沢民主党代表の第1公設秘書逮捕事件について、一言言いたい。

自民党の細田幹事長をはじめとする多くの与党議員が、「検察が捜査しているのだから、小沢代表に説明責任がある」などの発言をしている。マスコミも、説明責任という言葉を一斉に使っている。

しかし、説明責任は何を根拠に求めているものなのだろうか。

先日の記事でも指摘したが、この事件は、民主主義の根幹を揺さぶる検察の行動である。通常ならば、小沢代表以外の政治家も含めて捜査すべきであるし、このような狙いうちという疑惑が持たれるような手法は、三権分立の精神からすると、謙抑的に行われるべきであり、慎重でなければならない。

そして、刑事訴訟の基本原則は、犯罪の立証責任は、検察官の側になるのである。「疑わしきは被告人の利益に。」である。

また、起訴されるかどうかがポイントになっているが、起訴は民事訴訟でいう訴えの提起とからわないのであって、司法権を唯一になっているのは裁判所の裁判官であり、検察官ではない。

検察官は、行政官に過ぎず、起訴したとしても、無罪になれば、刑事責任を負ういわれはないし、むしろ起訴の判断に間違いがあったことになる。

こうした原理原則は、マスコミや政治家はもっと意識すべきである。このような検察が動けば限りなくクロという理解の仕方は、裁判員制度を控える我が国の国民に対し、非常に間違ったメッセージを送ることになりかねない。

私が今回この点を強く主張したい理由は、先日の記事にも書いたが、昨年7月に東京地検特捜部が起訴した重大事件である旧長銀経営陣への粉飾決済事件について、無罪判決が最高裁で確定した事例を、マスコミをはじめ全くもってこの社会が軽視しているためである。

無罪判決の確定は検察の起訴判断に誤りがあったことを意味する。そして、それは国家賠償請求の対象になる非常に重大な問題である。にもかかわらず、こうした重大な利益がかかわる問題であることをマスコミをはじめ与党の政治家も一切考えている素振りが無い。

検察が捜査しているから説明責任というのは、平時であるばわかる理由である。しかし、今回は、総選挙を控えた異常時における検察の捜査権行使である。そうすれば、検察の側で、今回の捜査権行使に至った理由を説明するのが、筋であろう。

さらに、挙証責任は常に検察にある。マスコミに情報を小出しにして、マスコミの関心を煽り、見せ締め的逮捕・起訴効果を狙っているとすれば、これは、司法に対する著しい不信を招きかねない。その意味で、鳩山由紀夫氏の主張は説得力がある。

検察は、たとえば逮捕状請求の際に疎明した逮捕理由や逮捕の必要性等について、可能な限り情報を公開すべきであるし、それをマスコミは正確に伝えて、国民に判断の材料を与えるべきである。

起訴があればクロという認識を今回を機に考え直さなければ、5月からの裁判員制度は有罪のための制度、死刑台に送るための制度、冤罪の温床となる制度という結果にもなりかねず、恐ろしさを感じるわけである。

自民党の最大派閥の会長職にある町村氏は以下のような発言をしているが、検察の捜査批判が許されない本気で思っているとすれば、罪状を否認する被告人は冤罪を甘んじて受けろと言っているようなものである。これが行政の長の女房役と言われる官房長官や外務大臣を務めた人間の発言と思うと、いよいよ日本の司法に対する無防備な信頼に対し畏怖の念すら感じざるを得ない。

捜査批判「許しがたい」=自民町村氏
3月4日20時13分配信 時事通信

 自民党の町村信孝前官房長官は4日夜、都内で開かれた同党衆院議員の会合であいさつし、小沢一郎民主党代表の公設第一秘書が逮捕された事件に民主党幹部が「国策捜査」などと反発していることについて、「許しがたい。民主党が政権を取ったら、どんどん国策捜査をやると逆に言っているようなものだ」と批判した。 

さらに、今回の事件においても、検察側が従来のように情報を小出しにして世論への影響を狙っている(結果的にそうなったとししても)とすれば、司法への国民の信頼は著しく傷つけられるだろう。

最近は裁判員制度に対応すべく、法務省や検察は、法廷で様々な視覚効果を使うことにより裁判員への心象形成に役立てるために、劇場型の立証方法を模索していると言う指摘もある。

仮に、裁判員となる国民自身が、疑わしきは被告人の利益にとか、被告人=犯人ではないという前提、さらには起訴状一本主義の意義などについての理解が不足している中で、この制度が始まるとすれば、誤った判断が出る可能性は否定できない(もっとも、裁判官3人対裁判員全員という評議になることで、冤罪防止になるということもありえるが・・・)。

いずれにしても、今回の事件で、検察は正しいという国民の先入観が明らかになったのは事実である。日本の司法の崩壊につながらないことを深く危惧せざるを得ない。

小沢代表支持を確認=衆院選控え辞任論再燃も-民主執行部
3月4日22時36分配信 時事通信

 民主党の小沢一郎代表が4日、自らの資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件について違法性を全面否定したことを受け、同党執行部は「説明責任を果たした」(鳩山由紀夫幹事長)として、小沢氏の代表続投を支持していく方針を確認した。ただ、事件が、次期衆院選での政権交代を目指す同党に与えた打撃は大きく、捜査の展開などによっては代表辞任論が再燃する可能性もある。
 鳩山氏は同日の党代議士会で、小沢氏が記者会見で東京地検の強制捜査を批判したことに触れ、「検察側は(捜査の)根拠を国民にしっかり示す説明責任がある」と指摘。「政権交代に向けて一致団結して行動してほしい」と結束を求めた。この後、鳩山氏は記者団に、党として事実関係を調査する考えはないことを明らかにした。
 これに先立つ参院議員総会で、輿石東参院議員会長も「責任を取ろうにも取る必要がない」と述べ、小沢氏を擁護した。しかし、衆院選への影響を懸念する党内には「もっと大きな容疑が出てくれば、代表は辞めざるを得ない」(中堅)との見方が出ている。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090304-00000184-jij-pol

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03/04/2009

こんな時こそ報道は慎重に

政治資金規正法絡みで、小沢民主党代表の政治団体への捜査が問題となっている。

政権交代が想定されている微妙な時期だからこそ、報道は慎重であるべきだと思う。捜査自体は、令状に基づいてなされているので、民主党関係者が言っているような「国策捜査」かどうかはわからないが、いずれにしても、恣意的な「国策報道」にはならないことを期待する。

裁判員制度も始まるわけで、国民の司法に対する意識の向上も必要である。そのためには、マスメディアも「疑わしきは被告人の利益に」を徹底することが必要だろう。

東京地検特捜部が動いているのだから、確証があるということをいうことが多いが、これで有罪先行の報道をすることは非常に危険である。

昨年7月には、同じく東京地検特捜部が担当して起訴した旧長銀の経営陣に対する粉飾決済に関する無罪判決が最高裁で確定している。しかし、その後の名誉回復は図られているだろうか。

逮捕されたら有罪だという意識を根底から取り除かないと、裁判員制度はうまく機能しないだろうし、冤罪の温床になりかねない。

今回の報道が有罪先行報道になってしまえば、政権交代が現実味を帯びているだけに、民主主義の根幹を揺るがしかねない事態になる。最初だけセンセーションに報道するのではなく、争点は何なのかしっかりと経緯を報道する必要があるだろう。

特に、保守産経系列のフジテレビは喜んで報道している感じがする。

もっとも、小沢氏も今回の事態に対し、自ら説明責任をしっかり果たすことが重要である。

なお、今回は不正な献金である認識の有無という当事者の主観的意思内容が問題となる。つまり、政治団体から受けているという主観的意思であれば、違法ではなく、企業から受けているという主観的意思があったならば、違法となるわけであるが、この認定はそう簡単・単純に行うことはできない。

裁判所は、様々な客観的要素(例えば、取り交わしたメモ、証言)の証明力を勘案した上で、それらを総合考量して、慎重に判断するのであって、東京地検特捜部の起訴だから、有罪は堅いとか、証拠が相当あるというのは誤った理解を国民に与えることになる。

裁判所からすれば、東京地検特捜部であろうと、一弁護人であろうと、「当事者はずれた立証をしており、争点がわかっていない」、「判決を書く上で、そこの事実を聞きたいわけではない」、「立証したつもりでいるかもしれないが、全然立証できていない」と思うことがしばしばある。

報道関係者は、そういう司法の実態があることをもう少し慎重に考えて報道すべきである。また、今後法曹関係者が解説するだろうが、検察出身者だけでなく、裁判官出身者の意見をより報道すべきとも考える。

有罪無罪の判断は裁判官の心証によるのであって、その心証がどう形成されるのか経験に基づいて解説できるのは唯一裁判官経験の長い人だと個人的には思うが、多くの場合弁護人経験や検察官経験しかないメディア弁護士が解説していることが多い。

東京地検「心証ある」=自民の細田幹事長-小沢事務所への強制捜査で
3月3日18時6分配信 時事通信

 自民党の細田博之幹事長は3日午後、民主党の小沢一郎代表関連の政治団体が西松建設側から違法献金を受けていたとされる問題について、党本部で記者団に「事実は司直の手で今後明らかになる。小沢事務所に強制捜査が入ったということは、(東京地検に)ある程度の心証があると思うが、コメントは控えたい」と述べた。
 別の自民党幹部は「小沢氏には説明責任が出てくる」と指摘。衆院解散・総選挙への影響については「時期が早まるとかそんなことは考えていない」と語った

この細田氏のような発言が検察が常に正しい判断をしているという誤った認識を物語っている。

また、ある程度の心証では有罪判断はできない。ある事実を認定する上での心象の程度としては、「合理的な疑いを生じる余地がない程度に真実であるとの確信(真実の高度の蓋然性)」を、民事でも刑事でも要求するのが判例である。*民事においては、証拠の優越で足りると考えている実務家も多いが判例からすると間違いである。

いずれにしても、自民党関係者は、にわかに喜んでいるようであるが、自民党にも捜査が波及するのは明らかだろうし、波及しなければ、かなり不自然な気がする。

また、麻生総理の問題行為、国益損失(4島返還放棄とも取られかねない合意)に比べれば、我々の生活に関係する問題としてはその影響力は限定的である。

今後政治資金と倫理の問題が出てくるだろうが、9割の不支持を受けても行政の長として居座る総理の方が問題だろう。

<小沢氏>「問題ない」幹部会で献金疑惑に大半割く
3月4日2時37分配信 毎日新聞

 準大手ゼネコン「西松建設」側からの違法献金疑惑が浮上した3日、民主党の小沢一郎代表は、予定より1時間10分遅れの午後3時10分になって党本部に姿を現した。「そのまま姿を現さないのではないか」との憶測も党内に飛ぶ中、「河村君は来てるんだろうな」と職員に声をかけ、名古屋市長選出馬を表明している河村たかし衆院議員との面会に臨んだ。

 その後、小沢氏は引き続き党本部で幹部会に臨んだ。菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長、輿石東参院議員会長、山岡賢次国対委員長、直嶋正行政調会長が出席。約1時間に及んだ幹部会では、本来の議題だった内閣不信任案や首相問責決議案の提出時期なども話題には上ったが、大半が小沢氏の献金疑惑に費やされた。小沢氏からは「全く問題はない。全く心当たりがない。きちんとやっている。すべて合法的にやっている。適正に処理している」などと説明があり、「必要があれば自ら説明する」との姿勢を示したという。

 小沢氏は1月31日、盛岡市での記者会見で、西松建設からの政治献金に関して「全部政治資金規正法にのっとって報告している。原資そのものが違法だという事実がはっきりすれば対応を考えたい」と語っていた。これに関連し、3日の幹部会で小沢氏は「個人的な献金と思っていた。そうでないなら返却する」と語ったという。

 小沢氏は3日午後4時20分ごろ、記者団の問いかけには無言のまま党本部を出た。支持者らからの問い合わせに追われた事務所の秘書には「やましいことは一切ないと言うように」と指示したという。夜には東京・紀尾井町の個人事務所に入った。関係者と対応を協議したとみられる。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090304-00000010-mai-pol

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03/03/2009

チャーリーが指を噛んだ!(イギリスのほのぼのした動画)

先日は、Youtubeでお勧めの動画を紹介した。今回は、同じ動画でも、ほのぼのとする人気動画を紹介してみようと思う。なんと再生回数が8400万回を超え、今でも1日200回以上再生され続けている人気の作品がある。

それが、「Charlie bit my finger(チャーリーが僕の指を噛んだ)」という動画である。

今日は3月3日ひな祭り。ただ、ひな祭りだが、男の子たちの話題である。

赤ちゃんのチャーリー君とお兄さんのハリー君との自然のやり取りが何ともほのぼのしていてかわいらしい。

指を噛んだ後のチャーリー君のまさに「やってやったぞ」ニヤリという笑顔は幼さないながらに、行為を理解してやっているような悪さが垣間見れて面白い。

また、お兄さんのハリー君の反応も、普通ならば怒って1,2発殴ったり、仕返ししたりするところを、「痛いじゃないか、キャーリー。すごく痛いよ」と言うだけで、許してあげているあたりが何とも寛大な優しい心の持主のようである。

そのあとにすかさず、さらにニヤリとしながら噛みつこうとするチャーリー君の姿も笑いを誘う。

なんと、この動画がYoutubeで話題になったことから、この家族はイギリスのテレビ番組でも取り上げられ、一躍有名になったようだ。さらには、この動画を大人たちが模倣している動画すら現れている。

他にも色々な最近の子供たちの自然な光景をのせてくれており、楽しませてくれる。今では、さらにジャスパー君という3男がいるということである。

なお、チャーリー君は噛むのが好きなようで、その後にもこんなアクシデントがあったらしい。

将来、子供たちが悪いことをしたり、兄弟げんかしたときにこれらの動画を見せると、反省を促すのに役立つかもしれないが、これだけ仲が良いとケンカもしないのかもしれない。

あまり良いニュースが無い最近。ほっとさせてくれる動画として紹介した。

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03/02/2009

ウィリアム・テルお母さん(Youtubeでヒットしたアメリカの母親の歌)

Youtubeの動画を無料でダウンロードできるツールができたらしい。

YouTube の動画を HD など画質ごとに無料ダウンロードできる「KeepHD」
3月2日13時34分配信 japan.internet.com

これは知っておくといいかも。

KeepHD は YouTube の動画をダウンロードできるツールだ。

ユニークなのは最近増えてきた HD など、画質ごとにダウンロードできる点。高画質で好きな動画を思う存分楽しむことができる。

また、モバイル端末用にすでに変換されているものもある。ダウンロードしてからいちいち自分が見る端末用に変換していた人にも便利だろう。

使い方は簡単で YouTube の URL を入れてダウンロードボタンを押すだけ。必要最小限のインターフェイスにも好感が持てる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090302-00000009-inet-inet

そこで、今回はアメリカのYoutubeで大ヒットした主婦出身のコメディアンが作った歌を紹介する。

ロッシーニのウィリアム・テル序曲はクラシックファン以外も一度は聞いたことがあるだろう。この曲を聴くと、「ハイオー、シルバー(Hi-yo, Silver)」という言葉を思い出す人も多いかもしれない。

「ローンレンジャー」というアメリカドラマでかつてテーマ曲となったことから、この曲を聞くと、西部劇やウェスタンを思い出したり、馬を連想する人もいるだろう。

この有名な、ウィリアムテル序曲に歌詞をつけて歌ったビデオが動画投稿サイトYoutubeで人気となり、2年くらい前からアメリカで話題のお母さんがいる。

その歌の名も「Monsense(母親の道理)」というものである。母親が1日24時間のうちに言う言葉を2分55秒のウィリアムテル序曲の終盤のメインパートの曲にまとめた歌である。

残念ながらまだ日本語に訳された動画は現れていないが、英字の歌詞が字幕出てているものはいくつかある。

その歌詞を聞いていると、典型的なアメリカン・マザーを思わせる反面、ある種かつての日本の教育ママをも連想させるもので、なるほど元気で教育熱心な母親のセリフや行動は世界共通であることを理解させてくれる。

オリジナルの作者はアニータ・レンフロー(Anita Renfroe)氏。アメリカのアトランタ州に夫と3人の子供と暮らしている普通の主婦だった彼女は、昨年にはアメリカABCの人気朝番組(Good Morning America)で、コメディアンとしてコーナーを担当している。

レンフロー氏によると、中国語やスペイン語の字幕が付いたものが既に出ているらしい。

まず、レンフロー氏によるオリジナルの映像はこちら。

多くの人が、彼女は早口な歌によく歌詞が理解できなかったと思う。歌詞も字幕でついていないので、オリジナル版では、外国人には理解しにくい。

そこで、別の歌手?(カナダ人歌手のジュード・ジョンソン氏という話もあるが・・・)による歌詞付きの動画は英語が少しできる人ならば、主要なところはわかると思うので、下の動画でチェックしてもらいたい。

英語が全く苦手。わからないという方は、こちらのWebsiteが機械で翻訳を試みたようである。「デスマス」調になっていて、かなり不自然な部分もあるが、おおよそこの歌詞の内容がつかめるのでぜひ見てもらたい。

自分の母親ならこういうかもしれないと思いながら読むとこの歌のユーモアがより分かるかもしれない。

個人的には、「友達がみんな屋根から飛び降りたら、あんたも飛び降りるの?」とか、「そんな子供みたいに振舞って、何歳だと思っているの!きっとお父さんのDNAのせいね。」とか言うあたりは何とも日本の母親でも言いそうなセリフだと思う。

いずれにしても、私はこの歌詞を聞いて、こういう強い母親像が最近の日本には減った気がする。家庭内での強い母親像は、ある種世界経済を活性化させているのではないかとふと思った。

つまり、家庭の家計を預かる母親が元気で強ければ、夫も子供も実は元気で経済の活性化になっていた一面もあるのではないかと回顧するわけである。

女性の社会進出を語る上で、どうしても女性は男社会により虐げられてきた面ばかりをフェミニストは批判するし、その議論で終始し、何の生産性もない話が続くことが多い。

しかし、この歌を聴いた際、私はむしろ主婦なり教育ママなり言われている人たちについて、もっとその価値の評価をすべきなのではないかと思うわけである。こういうことをいうと、「旧態依然としている」とか、「旧民法時代の人間か?」とか思われるかもしれない。

私は女性が家庭に留まる必要はないし、働きたいというならそれでいいと思う。ただ、私たちが主婦の母親や教育ママの下で育ってきた環境をもっと再評価して、それにより実現されていた価値を認めなおしてもいいのではないかと思う。

最近は、学校や市などに要求ばかりするモンスターピアレンツが増えている。これは母親だけでなく父親にもいれることだが、弁当を作るのを嫌がる親が多いと言う。負担だというのである。

この話について、養老猛子氏は、自身が幼稚園の理事を務めていることからの経験談として、弁当の日を設けるのは、幼稚園のためではなく、親のためであるといっている。

親が弁当を通じて子供とのコミュニケーションをはかる機会を与えるために、そういう日を作っているのに、最近の馬鹿親はそれが負担だからやりたくない。幼稚園のために作るのは面倒だというという趣旨の話をされており、なるほどその通りであると感じた。

いずれにしても、再度、主婦や熱心な教育ママの姿勢は見習うことが多いかもしれない。この歌の歌詞を聞けば、「主婦は三食昼寝付き」と言っていた父親は考えを改めなければならないだろう。

最近の未熟な親たちにもぜひ聞いてほしい歌である。

最後に、父親はどうなんだ?という疑問があるかもしれない。父親だって、子供と熱心に関わっているんだぞと反論したい世のお父さん方もいるだろう。それに対し、原作者のアニータ・レンフロー氏は以下の動画で答えている。

これが、父親が1日24時間以内に言う言葉、「父親の道理(Dadsense)」である。

わからなかった人は、少しスクロールダウンしてほしい。

Ask your mom! Ask your mom!Ta Da-

ということで、「お母さんに聞きなさい。お母さんに聞きなさい。以上」という答えらしい。

耳が痛い父親も多いかもしれない。レンフロー氏はなかなか面白い人である。

誰か上手く意訳して、この歌を日本でも広めてほしいと密かに願っている。

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03/01/2009

アメリカの司法テレビ番組について2

先日に引き続き、過去のブログ記事(別のブログのもの)を再度紹介する。

昨日のアメリカの裁判テレビ番組についての話の続きである。

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昨日、ジャッジ・ジュディーというアメリカのテレビ番組について、このブログで紹介した。

それについて、アメリカ法曹協会(American Bar Association、以下ABA)が警鐘を鳴らす論文を発表していることを知ったので簡単に紹介したいと思う。。

私は、「こうした番組がPRとなり、法的手段が積極的に活用されていくのは、好ましいと思う一方で、裁判と仲裁の違いなど正しい知識を持った上で、国民がそうした制度を活用するようになることが必要だと感じている。」と指摘したが、これとほぼ同じ視点から、ABAも警鐘を鳴らしているのである。むしろ、ABAの指摘からすると、害の方が多かったようだ。

論文の題名は、「Syndi-Court Justice:Judge Judy and Exploitation ofArbitration (無政府法廷の判事:ジャッジ・ジュディーと仲裁の利己的な利用)」というもの。以下が概要(元の論文を約するには長いので、読んだ内容を私なりにまとめたものである)。
http://www.abanet.org/dispute/essay/syndicourtjustice.pdf

まず、ジャッジ・ジュディーに代表されるテレビ法廷番組は、そのセットが実際の法廷を忠実に再現して、あたかも法廷であるような印象を与えるが、これは実際の法廷ではなく、裁判官でもない。彼らは仲裁人に過ぎない。仲裁人は、法定の民事訴訟手続きや実際の実体法や判例等には拘束されず、仲裁人の思うがままに行動できるという点において、実際の法廷における裁判官とは異なる。

しかし、問題は、テレビ番組が実際の法廷であるかのような印象を視聴者に与えてしまい、多くの視聴者
が、実際の法廷だと勘違いしたり、実際の法廷もテレビ番組のように行われるという誤解を招いたりするという点である。これは、(陪審員制度が導入されているアメリカにおいて)司法制度に重大な影響を与えてしまっている。

そもそも、テレビ番組で行われている無政府の法廷(政府の司法権に準拠しない法廷)では、当事者が事前に仲裁合意契約を締結し、仲裁人として、テレビ番組が指定する者を選定することから始まる。テレビ制作側は、契約において、仲裁合意の内容を一方的にして指定し、変更ができないように決めている。したがって、仲裁合意の範囲内で、好き勝手に仲裁人は振る舞い手続き好きに進めることができるのである。

はじめに、この種の番組の仕組みについて説明する。テレビ局側は、まず、インターネット等の応募で、一般人からネタとなる紛争を抱えている人を集め、テレビに映りながら、紛争機会の解決を与える。
出演のインセンティブとして、実際の紛争として当事者間で問題となっている請求額(訴額)とは別に、応募者に一定の報酬を支払ったり、番組内での"判決"次第で、さらに報酬を上乗せするなどを行い、一般人から出演者を確保している。

また、ジャッジ・ジュディーにおいては、訴額についても番組側で負担している。
仲裁人であるジャッジ・ジュディーには、判決を下す上で(仲裁判断をする上で)、2つの選択肢がある。1つは、出演料以上の金銭的支出を当事者のいずれか一方が行うという"判決"を下す場合、その超えた部分については、番組側が支出する。もう1つは、仲裁人が、なるべく、出演料を超えない範囲で当事者に支払を命じるという方法である。したがって、仲裁人であるジュディー氏は判断内容の合理性等を弁解する法的義務はないので、判断が番組の支出を減らすために理不尽に行われることもある。

次に、こうした無政府の法廷に対する実際の司法制度における法的性質や状況について検討するが、不透明と言わざるを得ない。無政府の法廷の判断に不満のある当事者が、司法裁判に訴えるケースがあるが十分な判例の集積はできていないのが現状である。

当初、株式会社Doo Wop Shoppe対ラルフ・エドワーズ事件において、裁判所は、仲裁費用を紛争の第三者であるテレビ制作側が負担するという形式は、実際の仲裁形式ではなく、仲裁判断は無効であるとの判決を示した。

しかし、その後、Kabia対Koch事件では、裁判所は、ニューヨーク仲裁法やブラック法律辞典には、第三者が仲裁費用を支払ってはいけないという規定はないとして、前の事件での判断とは異なる判断をしている。

また、「民衆の裁判(The People's Court)」という番組で、裁判官役を務めた仲裁人Edward Kochに対し、損害賠償請求訴訟が提起された事件では、仲裁人は、仲裁合意契約の免責条項により免責されるとの判断がニューヨーク州第2地方裁判所で示されている。この免責に関する判断は、ニューヨーク州の実体法や手続法に照らしても合理的ではあるが、無政府の法廷によって生じる無数の問題点を示唆している。

そもそも、仲裁は私的自治の手続的反映の1つとして、認められているのであり、非公開の手続きにより進められるべきものである。したがって、そのような仲裁と、何百万人の視聴者に見られながら進められる無政府の法廷とは根本的に違いがある。

しかし、法的には仲裁であるとされているため、仲裁人たる"裁判官"はどのような判断でどのような手続きを踏んだかにかかわらず、仲裁契約により不法行為責任が免責されてしまい、さらには、仲裁であるため、上訴が許されず、確定判決と同様の効果を持ってしまうのである。

さらに、裁判の場合、裁判官が非常識かつ高圧的態度で当事者を侮辱した場合、公開の法廷であるため、その一尾始終を傍聴人が目撃し必要な手段を講じることができるが、テレビ法廷番組では、そのような場面はカットされてしまうため、必要な手段をとるための証人の確保すら困難となる。

また、仲裁人である"テレビ判事"が仲裁合意の管轄を超えて、判断をしてしまう点にも問題がある。ジャッジ・ジュディーはかつて家庭裁判所の判事であったにもかかわらず、家庭裁判所の専権事項である親権の判断について、仲裁判断をテレビでしてしまい、それが実際の法廷において覆される事態に至っている。

こうした中、特に問題なのは、裁判手続きがテレビ番組の法廷のように行われると多くの視聴者が誤信している現実があることである。これは、テレビ番組の制作方法によるところが大きい。
ジャッジジュディーにおいては、番組の冒頭やCMの前後で、ナレーションが入り、「当事者は現実のものであり、事件は実際の事件であり、ジュディー裁判官の判決が確定判決となる。この番組はジュディー裁判官の法廷である。」とのコメントが流れる。

その他、ジュディー裁判官が家庭裁判所の判事だったという説明やCM明けに「実際の事件、実際の当事者」というナレーションが繰り返し流れている。終いには、廷吏と思わしき人物が起立を促し、事件番号を読み上げて裁判仕立てのテレビ番組が始まるのである。

そして、番組の最後のエンドロールで、数秒間、仲裁であるとの免責と注意書きが現れるが、この注意書きも録画して画面を停止しないと読めない程度の早さで消えてしまうため、視聴者が誤解する原因となっている。ジャッジ・ジュディーという番組は意図的に、実際の法廷であるかのようなイメージを視聴者に送っているのである。

実際の裁判官は厳格な手続法に基づいて、手続的保障の理念の下、丁寧に訴訟指揮を行うのであり、好き勝手に仲裁を行うジャッジ・ジュディーのような場面とは全く異なる。
しかしながら、高視聴率が災いし、多くの視聴者はこうした番組に影響され、裁判官はより積極的な釈明をして、率直に物事を言うべきであると考えてしまう傾向がある。

そして、問題は、視聴者がこうした番組を見ることで、本当の法廷での審理に対し、一種の劇場的なやりとりを期待してしまい、テレビ番組のドラマと区別がつかなくなってしまっている点にある。つまり、こうしたテレビ番組が一般国民にとって、法律を勉強する重大な道具になってしまっているのである。

この傾向は、とても重大な危険性を有している。なぜなら、テレビ番組の無政府法廷はあくまで仲裁であり、仲裁だからこそ柔軟な行動を仲裁人がとっているにもかかわらず、これが実際の法廷を反映させている姿だと視聴者が誤って学んでしまっているためである。

ある調査では、陪審員制度にも、一連のテレビ番組の影響がでているとの指摘がある。この調査によると、ジャッジ・ジュディーをよく見ると回答した人の実に約7割~8割が、裁判官は、刑事事件についても事前に意見を持っているべきで、それを積極的に陪審員に開示すべきと回答し、また、積極的に釈明権を行使し、当事者や証人に対しても攻撃的になるべきだと回答しているのである。

他方、番組を見ていないと回答した人で、同じ回答をした人は約3割程度にとどまっている。特に著しい差が出ているのは、裁判官が当事者ないし証人の尋問に介入し黙らせるべきかという質問に対し、番組をよく見る人の73.8%がすべきと回答しているのに対し、番組を見ていない人は13%にとどまっている点である。

こうした陪審員の認識に重大な影響を与えており、実に番組を良く見る人の3/4が、テレビ番組の無政府の法廷における仲裁人の行動が適切と答えている点は、見過ごすことができない問題である。

以上のような問題点を解決する手段としては、議会による立法が待たれる。法律で、視聴者が認識できる程度の一定時間、番組は裁判ではなく仲裁であることを明示したり、過剰に実際の法廷であるかのような印象を与えるナレーションを禁じ、むしろ、仲裁であることの説明をナレーションで入れるなどを義務付ける必要があるだろう。

そして、テレビ番組に登場する法廷は実際の司法制度における裁判手続きとは全く異なるものであることを視聴者に喚起しなければならないだろう。

こうしたテレビ番組が人気になることは理解できる。仲裁人は法の支配に従うのではなく視聴者により受け入れられやすい常識に従って判断をするし、当事者は番組が旅費を含め紛争解決に必要な費用を負担してくれるので、紛争解決のために利用したいという願望に駆られる。また、テレビに出たいと考える視聴者も多いだろう。

しかしながら、こうした無政府の法廷は、司法制度がどのように機能するかについて誤った知識を与えてしまう点において、著しく問題である。こうした法廷は、一般国民の司法機能に対する認識を弄び、重大な影響を与えている。視聴者に対し、これは仲裁であって、司法権の発動たる裁判所の法廷ではないということを認識させるメカニズムをなくして、健全な国民の司法参加は大きく歪められるだろう。

この論文を読んでも、「まさか?テレビ番組と実際の裁判を誤解するなんてありえない」と思う人も多いと思う。

しかし、一般のアメリカ人と話した際に、この番組で議論してしまったことがある。

というのは、相手の方はこの番組のジュディー裁判官は本当の裁判官で、あれも本当の法廷だと言い切るのである。

私は、仲裁であり、裁判ではないことを説明したのだが、「彼女はロースクールも出ているし、家庭裁判所の裁判官を30年やった人だ。君は、彼女がロースクールに戻る必要があるといいたいのか」と最後まで屁理屈をこねて、裁判ではないということは認めてくれなかった。

こうした番組を現実なんだと妄信している人もいるのである。

もちろん、その人はその辺の一般人だったので、専門知識に乏しいとしても、私には本当に驚きであった。

後日、私の親友のアメリカ人でロースクールにいる友人にこの話をしたら、ありえることだろうと言っていた。

もしこんな番組が始まったら、日本ではこんな誤解はありえないともいえないだろう。

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