法曹人口増加と既得権保護
人事院が公務員の既得権を守ろうとするように、日弁連も弁護士の既得権保護に必死である。
質の悪い法曹が多いなら、懲戒処分で退場させればよい。何度も懲戒されても、処分内容が甘いために非行を繰り返す弁護士を放置しておいて、パイが減るから(質の悪い)新人を減らせというのでは、渡りという天下りがなければ良い人材は得られないという公務員の論理と究極的には同じではなだろうか。
法曹人口が少ないことへのしわ寄せは国民にくる。泣き寝入りしなきゃいけない状況に追い込まれる国民がいることは忘れるべきではないだろう。
それこそ、主婦の弁護士とか、非正規社員の弁護士とかでてきて、片手間に公益活動をやる弁護士がいてもいいのではないだろうか。
そして、病院に行くのと同じような感覚で弁護士に相談に行ける雰囲気があってもいいのではないだろうか。
就職活動が厳しいのは一般の学生も同じなのだから、弁護士だけ100%就職しなけりゃならないなんてのは、「私たちは資格のある弁護士だ」というエゴそのものだろう。
資格を持っていても、人間性に劣る人や他に特技が無い人間は弁護士であっても就職できない。これはごく当たり前のことである。
それに、インハウス(企業内弁護士)も他の諸外国に比べれば少ない。普通の会社員で、弁護士資格を持っているだけという人が増えて不都合があるのは、既存の弁護士だけで、会社や法務部では下手に多額の顧問料を払うより、自前の社員に処理してもらうほうが安心ということもあるだろう。
実際に、弁護士であっても会社員として同じ待遇で働いている人もいるし、諸外国はそれが当たり前の状況にある。
「増えたら弁護士の収入が減る」などというそれこそ浅ましい考えで、時代の流れに異議を唱えるのであれば、日弁連=単なる既得権保護団体と思われても仕方ないかもしれない。
今は公務員がやり玉に挙がっているが、日本経済全体が疲弊する中で、倒産処理すら金脈である弁護士に対して、今後批判がなされないとは考えにくい。
医者は非常識という総理大臣の発言があったが、そのうち、日弁連や日本の弁護士や親方日の丸の象徴として批判され、弁護士の常識は国民の非常識と揶揄される時代が来ることが懸念される。
増員、数年は抑制を」現状と同水準、日弁連提案へ
司法試験の合格者を2010年までに年間3千人にする政府の計画について、日本弁護士連合会(宮崎誠会長)が、09年以降の数年間は現状の合格者数と同水準(2100~2200人程度)に抑えるよう求める提言の原案をまとめた。組織内の了承を経て今年度内に最終決定する。
「3千人計画」をめぐり、具体的な数に言及した見直し案が法曹三者の中から示されるのは初めて。見直しは鳩山元法相時代に法務省内でも検討されたが、内閣改造などで事実上棚上げの状態。日弁連は提言をもとに計画変更を求める方針で、見直し論議が再び動き出すかが焦点となる。
合格者数は以前は500人程度だったが、07年は新旧試験を合わせて2099人、08年は同2209人と計画に従って段階的に増えている。一方で、弁護士の「就職難」が表面化。「法曹の質の低下」を懸念する声もある。
原案は、日弁連会長の諮問機関「法曹人口問題検討会議」がまとめた意見書をもとに策定した。意見書は、法科大学院の「教育の質」が問題となっていることや、企業や市民の弁護士利用が増えていない現状を挙げ、「3千人という数値目標にこだわるのは不適切」と指摘した。
このため、原案は「法科大学院の改革や修習のあり方を含めた法曹養成制度全体の改善が必要」とし、現時点では合格者数をこれ以上増やさないことを求める内容となった。その後は、法曹養成の成熟度や社会の変化を見ながら改めて判断するとしている。
日弁連は、計画通りのペースで進むと、政府が想定する法曹の総人口「5万人規模」には2016年に達すると試算。今回の見直し案では、「5万人」の目標は維持し、現状の合格者数も減らさない姿勢を示すことで、国民の理解を得たい考えだ。09年から合格者数を現状程度に据え置いたままでも、4年遅れの20年には5万人に到達するとみている。(延与光貞)
http://www.asahi.com/national/update/0207/TKY200902070239.html
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