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01/16/2009

アメリカの警察の恐ろしさ(ロス疑惑報道より)

ちょっと前に、警察の強制した自白などで、冤罪が確定した志布志事件などが話題になったのを覚えているだろうか。

捜査段階で、犯人であると断定した日本の警察の捜査方法にも従来からかなりの批判がされているが、アメリカの警察は日本の警察以上に人権意識が乏しいようだ。

多くの人は、重要参考人・容疑者=被告人=犯人と考えがちである。しかし、これは大きな誤りである。松本サリン事件の被害者河野さんが重要参考人として疑われ、警察・メディアによる二次被害を生んだことはまだ記憶に新しいはずだ。

有罪判決が確定して初めてその被告人が犯人だと断定できるということを忘れてはいけない。

以上の記述から何を言いたいかわかると思うが、このロス市警の「死人に口なし」とでもいわんばかりに、自分たちの意見を発表するという姿勢には驚きを感じる。私もアメリカに数年いたので、アメリカ社会の規範意識の低さや適当さには慣れているが、ここまでくると呆れてしまう。

三浦氏が犯人かどうかはわからない。そして、わからないという事態を招いた責任はロス市警の完全な管理ミスにある。にもかかわらず、平然とこうした発表をしてしまうロス市警には、怒りと恐怖すら感じる。そして、こうした発表を許容する現在のアメリカ社会にも疑問を感じる。

ただ1つの救いは、マークゲラゴス氏のような弁護士がきちんと抗議をしている点だろう。

ロス市警、三浦元社長の白石さん殺害容疑を公式発表 弁護側反発
1月15日8時45分配信 産経新聞

【ロサンゼルス=松尾理也】ロサンゼルス市警は14日、「ロス銃撃事件」で逮捕したものの、昨年10月に留置場で死亡した三浦和義元会社社長=当時(61)=が、交際相手だった白石千鶴子さん=当時(34)=を殺害した容疑者だったと結論づける捜査結果を公式に発表した。

  ・三浦元社長に対する白石千鶴子さん殺害容疑を写真を示しながら正式発表するロサンゼルス市

 白石さんはロス郊外で変死体で発見された。捜査報告では、死因や殺害の状況の詳細は依然、不明としながらも、事件後に元社長が白石さんの銀行口座から多額の現金を引き出すなど、以前から明らかになっていた状況証拠から判断したとしている。

 三浦元社長の弁護にあたっていたゲラゴス弁護士はロサンゼルス・タイムズ紙に、「落ち目の人間をたたくというのはよくある話だが、死んだ人間にむち打つとはめったにないひどい話だ」とコメント。元社長の死で本人からの反論が不可能になった時点で容疑を発表するのは不公平だと訴えた。一連の捜査はすでに終結している。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090115-00000512-san-int

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Comments

ESQさんの切り口は、いつも参考になります。
日本の刑事訴訟でも、被害者(またはその遺族等)は、公判期日において被害に関する信条その他の被告事件に関する意見を書面・口頭で陳述することが出来る(刑事訴訟法292条の2)とされています。日本の裁判報道でも、被害者の陳述は、しばしば注目されるシーンです。
しかし、ESQさんのおっしゃるように、判決が言い渡されるまでは被告人はあくまで無罪推定が働いていることを前提にすれば、無罪かもしれない人の前で、被害者が云々と被害に陳述をするのは見当違いで滑稽な気もします。
(被害者が証人として事件について陳述するのは別に構いませんが。)

Posted by: scott1982 | 01/16/2009 04:24 pm

はじめまして。
そうですね。被害者保護と被害者感情の訴訟への反映と、無罪推定の原則の調和が重要ですね。

実際の運用状況ですが、被害者の意見陳述は、証拠調べ終了後に行っています。そして、これは犯罪事実の認定のための証拠にはできないません(292条の2第9項)。
証拠として利用するときは、証人尋問を経なければなりません。

職業裁判官の下では上記のような運用で、調和は図られるのかもしれませんが、裁判員制度の関係で、法律の素人である裁判員がこうした区別ができるのか、つまり、被害者意見で聞いた感情的な部分から事実認定をしてしまわないかという点については、問題があると思います。

Posted by: ESQ | 01/17/2009 08:54 am

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