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01/22/2009

過払い金の消滅時効の起算点

なかなか画期的な判断がでました。

消滅時効の起算点については、民法166条1項により、「権利を行使することができる時から進行する」と定められています。

信販会社側は、過払い金発生時には返還請求できるので、この時点を起算点と考えて上告したようです。不当利得返還請求権(過払い金を返せという権利)は、過払い金が発生するたびに個別に発生することになるので、形式的に考えれば、この考え方が妥当なようにも思われます。

しかし、最高裁は、消滅時効の起算点を、返済終了時と判示しました。

過払い金のそもそもの問題は債務者の側が、自分の支払いが過払いに至っていることがわからない状態で、支払い続けてしまうことにあるわけですから、過払い金発生時に、債務者が権利を行使することができるとは言えないという実質的判断があるのでしょう。

ただ、権利を行使することができるというのは、権利行使の法律上の障害がなくなった時をいうので、債務者がその時点をわかるか否かは事実上の障害にすぎません。

そこで、問題はどうやって法律上の障害があるという構成を取るかです。

この点につき、高裁段階では、この事実上の障害を考慮し、返済中は事実上1つの取引が継続し、その契約に基づく弁済義務の履行がなされているとすると、この取引が終了した時点である返済終了時でなければ、不当利得返還請求権(過払い金を返してくれという権利)の行使が可能とは言えないとの理由から、「返済終了時」を「権利行使可能な時」と判断した裁判例がいくつかでていました。

今回の最高裁の判断は、何が法律上の障害に当たり時効が進行しないのか、明確にしています。

まず、今回問題になった貸金契約には、「過払い金が発生した場合には、債務者が信販会社に負う他の債務の弁済として充当する」旨の合意がありました。

そして、こうした合意がある場合に、取引が終了するまで、過払い金を返せというような請求をすることは通常想定していないので、取引継続中はこの合意が過払い金返還請求の法律上の障害になると判断しています。

返済終了時から時効起算=過払い金返還訴訟で初判断-最高裁
1月22日15時18分配信 時事通信

利息制限法の上限を超える金利を支払わされた東京都内の男性が、信販会社に過払い金の返還を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)は22日、返還請求権の消滅時効は、過払い金発生時ではなく返済終了時から起算されるとの初判断を示し、信販会社側の上告を棄却した。約319万円の過払い金全額を支払うよう命じた二審判決が確定した。
 返済を続けている間は時効が進行しないことになり、借り手側に有利な判断。これにより、消費者金融や信販会社のカードローンへの過払い金が、時効により消滅する例はほとんどなくなるとみられる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000101-jij-soci

さて、過払い金といえば、この人、宇都宮健児弁護士。私が最も尊敬する人物の一人である。派遣村の問題の際にも、名誉村長としてかかわっていた。

私はなかなか宇都宮先生のような公益活動をすることはできないが、とても尊敬しており、宇都宮先生は日本の良心のような存在である。

過払い関係の事件は、司法書士も含め多くの法律事務所で扱っているが中には非弁提携などが疑われる事務所もある。そうした中、本当に依頼人のために活動されている弁護士の代表例が宇都宮健児弁護士である。

宇都宮弁護士の本2冊を紹介しておく。

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