2009年最初の記事(実業団駅伝から連想した企業の責任)
明けましておめでとうございます。
新年早々、暗い話をするのはいかがなものかと思ったのですが、新年といっても現実から目を背けることはできません。2009年は昨年以上に厳しい世相となることが既に予測されています。しかし、このブログの読者の皆様におきましては、そのような不安が現実化しないことを祈りつつ、2009年が皆様にとって充実した年となることを願っております。
それでは、2009年最初の記事を紹介。
元旦好例の駅伝は、富士通が勝利したらしい。
富士通、9年ぶり栄冠=アンカー勝負制す-全日本実業団駅伝
1月1日14時23分配信 時事通信元日恒例の第53回全日本実業団対抗駅伝競走は1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間100キロのコースに37チームが出場して行われ、富士通が7区(15.7キロ)のアンカー勝負を制し、4時間51分55秒で9年ぶり2度目の優勝を果たした。
富士通は最長4区(22.3キロ)で藤田敦史が2人を抜き2番手に上がり、5区途中からの3チームによる争いをアンカーの松下龍治が最後のスプリント力で制した。
初優勝を狙った日清食品グループは富士通に1秒差の2位と惜敗。2位とタイム差なしの3位に旭化成が入った。連覇を狙ったコニカミノルタは、6区(11.8キロ)で追い上げたが4位。2年ぶりの優勝を目指した中国電力は、序盤の出遅れが響き7位に終わった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090101-00000039-jij-spo
今回の駅伝は最後かなりのデットヒートしたようである。元旦までコンディションを保ちながら努力された選手には敬意を表したい。私は、長距離走が昔からあまり好きではなく(見るのは好きだが・・・)、なぜ苦しい思いをしてまで走らなければならないのかと思うような人間なので、それを人生の糧とされるマラソンや駅伝選手に対しては、とても感心する。
今年の優勝実業団が富士通ということで、関連する記事を見ていたら1か月前のニュースを発見した。スポーツや選手個人とは関係のないことなので、こうした形で取り上げることに対しては、「オリンピックと政治は区別しろ」という論理と同じ形で、批判の声もあるかもしれない。
しかし、私はスポーツ選手が、その所属チームやスポンサーを代表またはその一員として活動している以上、その所属団体に対する問題記事を取り上げることは、必ずしも公正を欠くとは思えない。したがって、今回は、駅伝優勝をした富士通に関する記事を紹介する。
富士通の100%子会社である富士通総研が、9100万円を経済産業省から不正に受給していたという問題である。
そもそも、この富士通総研という企業については、福井俊彦前日銀総裁が理事長を務めていた過去があり、その在任期間中に村上ファンドのとかかわり合い(出資など)があったことが以前に問題になったことは記憶に残っているだろう。
この事件は、企業による不正受給であり、組織的な詐欺罪(刑法246条1項)の疑いがあるにもかかわらず、読売新聞などが一報を報じただけで、その後処分がどうなったかなどについて、主要なメディアが追及しないことには疑問を持つ。
同社のHPを確認したが、不正受給に至った経緯と関係者の処分状況を明らかにするどころか、あたかも単純なミスであることを強調する内容の報告があるだけで、違法性に対する認識と反省が見られず、不信感を抱いてしまう。
今回の処分であるが、経産省は行政手続法上の努力義務とされる不利益処分の基準の公表は行っていない。したがって、正確な同省による処分相場は不明である。
しかしながら、兵庫県の西宮市が公表している指名停止措置の基準を参考にすると、多くの場合は6か月以下の処分となっている。賄賂が絡むケースや入札妨害で起訴されたケース等刑事上罰すべき行為に当たる悪質な場合であっても、指名停止期間の上限は12か月となっている。
このことから考えると、経済産業省が指名停止期間を16か月としたことは相当重い処分であったことが伺えるだろう。さらに、経産省の公表した資料をみると、他に不正受給が指摘された企業に対しては、指名停止処分がなされていないことからしても、同社の行為の悪質性が推認できる。
富士通総研のHPでは、様々な公官庁からの受注実績が謳われている。公共分野での業務効率化や行政の無駄を省くと謳っているコンサルティング会社である以上、今回の不正受給は企業の社会的責任の見地からも非常に問題であり、額も巨大であることから、単なるミスで済ませることは許されないだろう。
さらに、富士通総研の100%親会社である富士通は、子会社のこの行為について、責任の所在を明らかにすべきと考える。私は以前、国家公務員の知人から、多くの中央官庁や地方自治体のコンピューターシステムには、富士通のIT技術が使われているという話を聞いたことがある(もっとも、裁判所にも導入されているのであるが・・・)。
税金から受注する事業を営んでいる企業であるならば、親会社ぐるみの詐欺行為でないか、そういう企業体質が子会社を含めてないか、取締役には自浄作用としての監視義務があるし、子会社に対しては大株主として、不正行為の責任の追及をする責任がある。
今回は富士通総研であったが、公官庁からの不正な受注や不正受給は後を絶たない。
他の公共分野におけるコンサルティング会社にも同様の問題点がないかなど、マスメディアも政府から公表された事実を右から左に流すだけでなく、Watch Dogとしての責任を果たしてもらいたい。
委託費9100万円を不正受給、経産省が富士通総研を処分
業務委託費約9100万円を不正に受給したとして、経済産業省は28日、富士通総研(東京都)に対し、補助金交付等停止30か月、指名停止16か月の処分を行ったと発表した。
発表によると、同社は同省から少子化についてのアンケートの実施を委託された後、働いた人数を実際より多く偽るなどして、2002〜07年度に委託された業務13件で計約9100万円を不正受給た。会計検査院は07年度の検査報告で、この受給を「不当」と指摘していた。
同省は同社のほか、補助金を不正受給するなどした10社についても、補助金交付等停止などの処分とした。(2008年11月28日19時34分 読売新聞)
なお、偶然にもこのココログブログのサーバーはニフティーであり、こちらも富士通の66.5%の子会社である。
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