日本のスラム化が急増する前触れか
派遣切りされた人の凶行というニュース。
日本の治安の良さは、世界の非常識というくらい珍しいものだった。それが、現在は完全に崩壊している。日本にもスラム街がこの先多く登場し、警察すら入るのを嫌がる危険な地域が増えるかもしれない。
スラム街といっても、様々な意味があり、犯罪多発地域として使う場合もあれば、低所得者層が集まる地域と捉える場合もある。日本の場合は、後者のようなスラム街は実際にはいくつか存在しており、その代表例が部落差別の対象地域である。
関西には未だにこの部落差別が根強く残っており、たとえば、京都や大阪の特定の地域に行くと、町の雰囲気ががらりと変わる。あとで、地元の人などに聞けば、そこが部落差別の対象地域だったとわかることが少なくない。また、日本特有の在日朝鮮人の問題もスラム化地域の問題は起因する。
京都のある地域については、「不法占拠地区であることと在日朝鮮人集落地区(住民の約80%)であることとが相まって、地区の形成当初から今日に至るまで周辺住民から常に差別の対象として扱われてきた」という解説がなされている。
ただ、今後は、日本でも、スラムという言葉の意味が、従来の低所得者層が集まる地域という意味よりも、犯罪の温床となる地域という意味合いで理解されることになる気がする。
もちろん、両者の意味は密接に関連している。
アメリカの黒人低所得者層について、ペンシルベニア大学で歴史学を専門とするThomas J. Sugrue助教授は「スラム化のように一定の地域が人種が所得を理由に周辺地域から隔離された状態になることは、雇用機会の欠如と貧困に起因しており、このことは、都市中心部の貧困地区の分析において最も鮮やかに現れる。」と述べている。
つまり、日本でも、このまま派遣切りや正社員の解雇、内定取消に伴う若者の失業率が上昇すれば、そうした人々が一定の安価な地域に住まざるを得なくなり、そこがスラム化してしまうということである。
また、海外経験がある方は、おそらく感じられているだろうが、日本と海外のホームレスには、1つ大きな違いがある。
それは、マナーの良さである。日本のホームレスとなった方は、概して、目立った物乞いをしたりしない。ひっそりと公園や空き地の隅に住んでいる。これに対し、海外のホームレスは物乞いを当然のようにする。中には執拗に要求してくる場合もある。
これは、今までの日本では、ホームレスであっても、廃品回収業などで、空き缶などを集め生計が立てられていたから、物乞いをしなくてもなんとか生活していたからである。
今後、失業者が増え、ホームレスが増大すれば、物乞いをしなければ生きていけなくなるだろうし、中には犯罪に手を染めてしまう人もでてくることは考えうるだろう。
今回の事件を聞いて、簡単に、この犯人たちが身勝手で、規範意識が低いと断罪するだけで終わらせてはいけないだろう。
私たちも、こうした現実を受け止め、自分自身での自己防衛はもちろん、9月までにあるとされる総選挙で、どの議員・政党がこうした現状を正確に理解して、解決策を示してくれるのかを真剣に考えて、投票行動に出なければならない時期が来ている気がする。
<恐喝>派遣切られた2人逮捕 高校生から1万円脅し取る
1月7日23時50分配信 毎日新聞福島県警本宮署は7日、高校生から現金1万円を脅し取ったとして、ともに同県本宮市本宮の元派遣従業員、藤井竜也(20)と高橋俊智(20)の両容疑者を恐喝容疑で逮捕した。
容疑は、6日午後4時ごろ、同市内の路上で男子高校生2人に「金を貸せ」などと言って、現金1万円を脅し取った疑い。
同署によると、2人は昨年12月末で派遣先だった同市内の製造業の会社の仕事を失っており、「仕事がないので自分の金に手を付けたくなかった。生活費に使った」と容疑を認めているという。今月に入り、同市内で高校生を狙った同様の恐喝事件が数件起きており、2人は一部の関与をほのめかしているという。2人は同市内のアパートで同居生活していた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090107-00000143-mai-soci
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