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01/21/2009

就任時の株価下落はアメリカの実体経済そのものを示している。

昨日から今日にかけて、アメリカ国民の馬鹿騒ぎに、日本のマスメディアも同じように馬鹿騒ぎしているから、「この国はどこの国の51州なのだろうか」、と怪訝な気分になる。

ニュースでたびたびオバマ大統領の就任演説のシーンが取り上げられているが、私のように斜に構えてこのシーンを見ると、第2次世界大戦前のドイツの総統に熱狂する民衆と全く同じように思えて仕方がない。

そして、このシーンを見て、「アメリカは良いですね、政治に熱狂できて。日本だとこんなことは起こらない」とテレビ番組の司会者が、何の躊躇もなく発言する姿を見ると、「なぜ自国をそこまで卑下するのだろうか。あんなのは衆愚の骨頂じゃないか。むしろ日本の姿の方が健全な民主主義を示している」と反論したくなる。

ただ、アメリカにも、まともな人々はたくさんいるわけで、皆が就任演説に繰り出して、熱狂して一時的現実逃避を楽しんでいるわけではない。すでに報じられているようにニューヨーク株価が急落して、8000ドルを切ったという。

多くのメディアが、「なぜ就任時にご祝儀的な株の値上がりをしなかったのだろうか」と疑問を示している。多くの人間は、多少なりとも株価は値上がりするか、横ばいで済み、8000ドルは切らないだろうと思ったと思う。

ただ、これこそ市場の冷静な判断だろう。オバマ大統領が選挙戦で唱えてきたChangeは幻想にすぎず、同大統領も魔法使いでも何でもない人間である。

アメリカの現在の不況の原因はここ数年に構築されたものではなく、レーガン政権以降着実にアメリカのガン細胞として成長してきた実体経済の弱さによるものである。

いくら人気がある大統領でも、この数十年間の蓄積により生じた経済の破綻は、4年の任期ではどうすることもできないのである。

このことは、歴史を見れば一目瞭然である。世界恐慌からアメリカが立ち直るまでに要したのは十数年。オバマ政権が二期続いたとしても、その間には回復できないだろう。

アメリカの金融危機をブッシュ政権の責任と結論づける短絡的な人が結構いる。これは大きな間違いで、このブログで何度も指摘しているように、アメリカの金融危機は、アメリカ経済の破綻の序章に過ぎない。

むしろ、イラク戦争によって軍事産業や石油市場への利益が生じていたために、アメリカの経済がここまでもっていたと言った方が正確だろう。

根本的な問題は、アメリカのファンダメンタル(経済の基礎部分)が1980年代以降脆弱になり、日本のような技術的・技能的な優位性がアメリカにはほとんどないという点にある。

アメリカ人もこうしたパフォーマンスに浮かれる人たちばかりではなく、この経済崩壊に真面目に向き合っている人もいる。

結局、今回の株価値下がりは、そうした市場関係者の一部が、「ご祝儀の値上がりなんか与えられない。むしろ、株価が今後下げ止まらない可能性がある。」と判断して、売りに走ったということだろう。

オバマ政権は、金融監視機能の強化と環境政策によるバブル化を進めようとしている。

しかし、環境技術に投資しても、アメリカが0から作りだす技術分野であり、ドイツや日本に比べ、優位性が低いことからすると、この後者の政策が失敗することは目に見えているのであって、アメリカの経済破綻はまだまだ止まる気配はないだろう。

こうしたアメリカの弱さは、為替市場に一番現れるが、以前、次期財務大臣と呼び声の高いミスター円と呼ばれる方は、1ドル70円台の可能性すら指摘していたが、現実味を帯びてきた気もする。

私は、世界の基軸通貨が円になる日も近いと予てから指摘している。ただ、これが実現されるためには、日本も今のような阿呆太郎と揶揄されるような政治家をリーダーにしていると、アメリカの足を引っ張られて、アメリカの51州として、ともに経済破綻の苦痛をしばらくの間感じ続けないといけなくなる。

日本も対岸の幻想に淡い期待を抱くのではなく、 一刻も早く、現実を直視して、政治主導の内需拡大型経済の実現が必要である。

もっとも、定額給付金にはそのような効果がないことは、一部の漢字の読めない人とその仲間たちを除いて、皆しっているだろうが・・・

円、一時87円台=株高で伸び悩み〔NY外為〕(21日)
1月22日1時0分配信 時事通信

 【ニューヨーク21日時事】21日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長の悲観的な景気見通しなどをきっかけに対ドルで急伸、当市場としては1995年7月以来、約13年半ぶりの高値となる1ドル=87円10銭をつけた。
 ただその後は、金融機関への追加支援に対する期待感から米株式相場が急伸したのを眺め伸び悩み、午後5時現在は、89円43―53銭と、前日午後5時(89円70―80銭)比27銭の円高・ドル安で推移している。
 ドル反発のきっかけとなったのは、次期財務長官に指名されているガイトナー・ニューヨーク連銀総裁の議会証言。同総裁は、金融システムを安定化させるために包括的な対策を検討していると発言。さらに計画の早期発表に意欲を示したことが好感され、株式相場は急伸しドルも買い戻された。
 市場参加者からは、「為替相場は材料難で、金融株の動向に左右されやすい」(邦銀筋)との指摘が聞かれ、90円台を挟み方向感を探る展開が続きそうだ。
 円は対ユーロでも、2001年12月以来約7年1カ月ぶりの高値となる1ユーロ=112円08銭をつけた。午後5時現在は、116円45―55銭(前日午後5時は115円76―86銭)、対ドルでは同1.3018―3028ドル(同1.2900―2910ドル)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000008-jij-brf

株式インタビュー:年度内の日本株は上値重い、各国の政策効果見極めへ
1月21日14時6分配信 ロイター

 [東京 21日 ロイター] オバマ氏が第44代米大統領に就任した20日、米国株は就任式当日の下げ幅としては過去最大の下げ幅を記録した。イベント通過で材料出尽くしとなったほか、世界的な金融危機への懸念がセンチメントを悪化させた。日経平均は後場に入って下げ渋るものの、米株安と円高を嫌気してさえない動きとなっている。
 ロイターでは株式市場関係者6人に「日本株の先行きを占う」というタイトルで年度末にかけての株価動向を展望するインタビューを行った。
 市場関係者の間では、これまで各国が打ち出した財政出動の効果を見極める必要があり、年度内の株価の上値は重いとの見方が多い。為替動向や欧州の金融不安もかく乱要因になるとみられている。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090121-00000930-reu-bus_all

なお、オバマ政権の政策がなぜ失敗するかということについては、「アメリカ政治」というカテゴリー内の前記事を参照してほしい。

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