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01/12/2009

大相撲ととくダネ?

どうでもいい話かもしれないが、どうしても表現の自由の観点から、気になったので一言言いたい。

小倉智昭氏が務めるフジテレビ系列の番組、とくダネに日本相撲協会が抗議し、それについて小倉氏が謝罪したというニュース。

今回、「星を買えばいいのにね」と言った小倉氏発言が問題となっているが、それほど問題だろうか。八百長騒動が裁判に発展し、その判断は確定判決どころか、終局判決すら出ていない。この段階で、そうした騒動を皮肉る発言があったとしても、それは言論の自由の範囲内であって、そもそも、八百長があるという事実の適示すらしていないのだから、名誉毀損の構成要件にすら該当しえないだろう。

仮に当たるとしても、公益法人の騒動を皮肉る発言は、①税制上の優遇を受けられる公益法人に関するもので、「公共の利害にかかわる事実」であって、②その団体の不祥事に対する批判である以上、「公益目的」によるものであり、③騒動の存在自体は「真実」である以上、違法性阻却事由に当たると考えるのが自然であろう。

そうすると、日本相撲協会が自分たちの意に沿わない発言があったからといって、「今後フジテレビには映像提供しないことがありえる」とプレッシャーをかけることは言論抑圧の何物でもない。はっきりいって、日本相撲協会はお粗末すぎる。この程度の発言を許容できずに、プレッシャーをかけるのは、一連の不祥事(大麻問題をはじめとする)について、反省していない証拠ではないだろうか。

また、公益法人である日本相撲協会が、朝青龍騒動により、利益を上げていることも事実ではないだろうか。今場所は満員御礼になるくらいいつもより観客が多いという。これはすなわち、朝青龍の取り組みを見たいという観客が結局多くいて、その人気にあやかり興業収入が伸びることは言うまでもないだろう。

公益法人である日本相撲協会は、もちろん納税において、かなりの優遇措置を受けている。相撲協会の巡業は明らかに、営利活動でしかないと個人的には思うのだが、一般の株式会社に代表される営利法人とは区別され、法人税の支払いにおいて優遇されているのである。

そういう公益法人である相撲協会は、朝青龍騒動により、マスコミに取り上げられることが多くなり、その結果、観客動員数が上がり、収益も上がっているにもかかわらず、マスコミの自己に不都合な八百長騒動を連想させる発言は一切許さないとマスメディアに圧力をかける行為、はたして妥当であろうか。

言論統制に積極的な団体だと思われても仕方ないのではないだろう。

むかし、フランスのサルコジ大統領が力士を「頭にポマードの塊をのせているデブ同士のぶつかり合いの何が面白いのか。知的なスポーツではない」と評したことがある。

私も、さほど大相撲に興味がないので、サルコジの気持もわからないわけではない。

そういう相撲に肩入れする立場にはない私からすると、客観的に見て、どうも大相撲は公益法人としての資質を書いているのではないか、所管の文科省はもう少し厳しく法人のあり方を問いただすべきではないかと思ってしまう。

なお、私も小倉氏の番組内ので発言などを聞いていると、「ん?おかしなことを言っているな」と思うこともある。なので、小倉氏の考え方が正しいとは思っていない。他の記事で何度も指摘しているが、既存のメディアの報道姿勢には疑問があることも事実である。

それ以上に、相撲協会の法令遵守意識の低さ(憲法で保障される表現の自由に配慮することも法令遵守だと私は思う)に姿勢に苛立ちを覚える。

小倉キャスター降板も…朝青龍への発言で協会が抗議
1月12日14時28分配信 スポーツ報知

 小倉智昭キャスター(61)が12日、司会を務めるフジテレビ系「とくダネ!」で、日本相撲協会から横綱・朝青龍に関する「星が買えればいいのにね」という発言に対して抗議を受けたことを明かし、場合によっては責任を取って番組を降板する覚悟を示した。

 番組冒頭で「実は先週の金曜日(9日)の放送のことで、おわびがあります。朝青龍が初場所に出場するかどうかという話題になりました。僕が『星が買えればいいのにね』という悪い冗談といいますか、しんらつな言葉を使いました。そのことに関しまして、相撲協会からおしかりがありまして、相撲協会に対して、横綱・朝青龍関に対して、まるで八百長をすればいいのではないかというような受け止め方ができるような発言は慎んでほしいと、真摯(しんし)な態度で謝ってほしいと言われました。相撲協会と朝青龍関にご迷惑をお掛けしたのであれば、心からおわびをしたいと思います。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 小倉キャスターによると、同協会の広報部長である九重親方(元横綱千代の富士)にプロデューサーが呼び出され、事実確認をした上で「小倉くんに直接話を聞きたい。朝青龍関におわびをしてもらいたい。(12日の)放送でキチッと対処してくれなければ、フジテレビに今後映像とかをお貸しできなくなることがありますよ」と言われたという。

 しかし、小倉キャスターは「この10年間、この番組がどれだけスポーツに力を入れてきたか。相撲の人気に『とくダネ!』は寄与してなかったのかな。そういうことが分かってもらえないのであれば、僕が10年間やってきた人間的な性格の欠如というか、僕自身の否定ということになるんだと思います。もしこれ以上火種が大きくなって、小倉に責任を取れというのであれば、いつでもこの番組の司会をやめさせてもらって結構です」と語った。オープニングの約7分にわたって熱弁をふるった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090112-00000203-sph-ent

なお、小倉氏のブログでは、このオープニングトークの内容を紹介している。

邪推ではあるが、近年、年配キャスターのギャラが高いことが不景気で広告収入の減ったテレビ局にとって負担になっているといわれている。この騒動で、小倉氏が降板することになれば、一番その恩恵を受けられるのは、テレビ局なのかもしれない。

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