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01/18/2009

不祥事や批判を巧に利用する弁護士?

追記(1月20日):この記事と同じような問題意識を伝える記事がFactaという雑誌に紹介されている。興味がある人は読んでみると良いだろう。ただ、この記事も、弁護士の増加という入口の問題と、すでに存在する弁護士による非行と自浄作用という退場の問題を混同しているので、注意して読む必要がある。

http://facta.co.jp/article/200902036.html 

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最近、よく弁護士の不祥事を多く耳にする。刑事事件に発展したもの、懲戒事例で済んだもの。

これらを理由に「質の低下だ。雇用の確保ができない。弁護士が貧困層になる。増員するな。」という声を聞くことが多い。

ただ、こんな論理が通じるのかと常に思う。

まず、懲戒されたり、刑事事件に発展する弁護士の8割、9割はベテランの弁護士であって、司法試験の入り口とは関係ない。

次に、就職できないというがなぜ弁護士だけ特別に雇用確保をしなければならないのか。他の一般学生と同じように就職が厳しいことは享受すべきではないか。

さらに、「弁護士が貧困になる」というが、本気でそう思っているとすれば、常識から外れているだろう。このような発言をするまえに、もっと派遣切りなどで苦しむ人々に目を向けるべきである。

それこそ、一般企業では、大企業でも初任給20万円以下のところが最近は通常なのだから、弁護士というだけで、普通の企業への入社を考えないという既存のあり方はもう崩壊しているだろう。現に新人においては、インハウス志望が最近は増えているという話も聞く。

質の悪い弁護士は、退場してもらう。そういう洗浄機能が働く制度を作れば、弁護士の不祥事は解決できるのであって、自分たちの利益が減るからと質の低下を高らかに叫び、世間を誘導(世間に理解してもらおうということかもしれないが・・・)しようというのはあまりにもお粗末な考え方ではないだろうか。

弁護士の懲戒制度は、弁護士自治の観点から、弁護士法の規定を根拠に、身内による自浄作用にゆだねてきた。他方、裁判官は司法権そのものであることから、均衡と抑制、司法権の独立という憲法規定から、対立権力であるとされる国会に委ねている。

憲法上なんの根拠もない弁護士自治は、すでに現代のような自由競争社会では既得権益保護以外のなにものでもないというのが、一般社会から見た感想ではないだろうか。

だとすると、弁護士の懲戒は少なくとも、弁護士会の事項にすべきではない。

憲法が司法権の独立のみを定めていることからすると、懲戒権を裁判所にゆだねるとか、国会にゆだねるとか、もう少し懲戒制度がオープンである必要があるだろう。そういう意味で、そろそろ弁護士法改正議論があっても良いと思う。

いずれにしても、このような決議や報告書を弁護士会が出すたびに、公務員改革に反対する官僚と同じように見られ、弁護士が既得権益を守るのに必死になっていると世間の反感を買っていることは忘れてはいけないだろう。

司法合格増員ペース見直しを
2009年 01月 13日 19:24 JST ロイター

東京弁護士会は13日、司法試験合格者数を10年ごろに年3000人まで増やすという政府計画について「増員ペースが急激すぎる。もっとゆっくり増やしていくべきだ」とする意見書をまとめた。

東京弁護士会は、約5800人の弁護士が所属する全国最大の弁護士会。日弁連は昨年7月、同様に増員ペースを落とすよう求める緊急提言を採択。群馬や大阪などの弁護士会でも計画見直しの決議が相次いでいる。【共同通信】

http://jp.reuters.com/article/kyodoNationalNews/idJP2009011301000748

なお、最近は、「弁護士業務は簡単だ」とか、「弁護士業界に新しい風を与える」と本やテレビというメディアを通じて発言されている方もいる。

ただ、私は個人的には彼らの主張には懐疑的な部分があると思っている。

つまり、彼らの中には、世間の既得権益保護に対する批判を利用して、自分たちの問題が指摘されている行為を正当化しようとしているのではないかと思う人たちもいるためである。

もちろん、日本テレビのコメンテーターをされている元東京地検特捜部長の河上和雄先生のように、いつも的確でまともな法曹らしい発言をしている方も多くいる。河上先生がコメンテーターででていると安心感がある。

ただ、弁護士の発言だから、正しいだろうと思いこんでしまうと、いつぞやの大阪の弁護士の懲戒請求呼びかけ発言のように、信じて懲戒請求をした人に不利益が生じることもあるので、一般人も弁護士を安易に信じてはいけない時代にあるのだろう。

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Comments

いずれにしても弁護士会や日弁連を廃止して、自由に競争させるべきでしょう。そうすれば、どの弁護士事務所がいちばんよいか、競争によって決まってくると思います。

Posted by: 沢 | 01/11/2011 at 12:58 AM

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