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January 2009

01/31/2009

法令遵守すらできないのに品格を語る公益法人(相撲協会の大麻問題)

前回の記事で大相撲関係の話は終わろうと思ったのですが、また大麻報道がなされたので、一言だけ。

ガッツボーズ云々を問題にしている場合ではないでしょ!ということです。理事長の武蔵川氏はガッツポーズ問題で、「朝青龍を首にしろ」と言ったそうですが、それなら、今回の問題の責任を取って辞任すべきでしょう。

何度も言っています。相撲協会は公益法人です。税制上の優遇や税金からの交付金すら受けています。そこが大麻使用の温床になっているわけです。大麻の使用も犯罪行為である以上、その責任は自ら厳しく律してしかるべきです。

今回逮捕された力士の親方が、「ぶん殴ってやりたい」と言っていましたが、こういう短絡的な姿勢(悪いことをすれば、暴力で教える)が、犯罪の温床になっているのではないでしょうか。もう大人の問題なのですから、殴る殴らないという話ではないでしょう。

「厳しくやってきた」と他の記事でも相撲協会側は言っていますが、厳しいという意味を履き違えているのではないでしょうか。公益法人である以上、もっと真摯に受け止め、ガッツポーズだとか下らないことを問題にして自己満足しているのではなく、犯罪発生の温床にならないという結果を示すべきでしょう。

本質的な問題は、相撲協会という組織全体が閉鎖的すぎるということです。社外理事などを積極的に取り入れるか、完全に営利法人化して、株主等による外部の支配にゆだねなければ、この手の問題は永遠と続くと思われます。

偉そうにガッツポーズを問題にするなら、まず、犯罪が一切ない状況を作るべきではないでしょうか。相撲ファンではない私からすると、本当に下らない組織だなとこの記事を読んで痛感しました。

「音楽事務所で2回吸った」=大麻所持容疑の若麒麟-神奈川県警
1月31日11時12分配信 時事通信

 大相撲尾車部屋の十両力士、若麒麟真一(本名鈴川真一)容疑者(25)が大麻取締法違反で現行犯逮捕された事件で、同容疑者が神奈川県警の調べに対し「(CD店を経営する)音楽関連の事務所には3年前から出入りしていたが、大麻は2回しか吸っていない」などと供述していることが31日、分かった。県警は同容疑者が大麻を以前から吸っていた可能性もあるとみて、入手経路などについて詳しく調べる。
 若麒麟容疑者は「尾車親方(元大関琴風)には大変申し訳ないことをした」と反省の様子を見せているという。
 調べによると、若麒麟容疑者は30日午後、東京・六本木の音楽関連事務所で、ティッシュに包まれ、たばこの葉と混ざった乾燥大麻を所持。「自分で吸うために持っていた。葉巻の真ん中をくりぬいて、乾燥大麻を混ぜて中に戻して吸っていた」と容疑を認めている。
 若麒麟容疑者は逮捕直後、「事務所では吸っていない」などと話していたが、その後「捜査員に踏み込まれる直前にも吸っていたが、吸ったのは1月29日が初めてで30日は2回目。事務所以外では吸っていない」と供述を変えた。
 一方、一緒に現行犯逮捕された友人の自称ミュージシャン平野力容疑者(25)は当初、否認していたが、その後「(大麻は)自分のもの。若麒麟容疑者とは1年ぐらい前に飲み屋で知り合った。何度か音楽関連事務所で会った。逮捕当日は事務所の別々の部屋で吸っていた」と話しているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090131-00000058-jij-soci

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01/27/2009

朝青龍が成し遂げた2つの成果と変えるべき伝統

以前、大相撲に関する記事を書いて、ニフティーで取り上げてくれたことがあり、驚愕のアクセス数を記録したことがあったので、あまり相撲自体には興味はないが、この問題についてひとつの区切りとして、既存のメディアとは違う視点から一言触れておこうと思う。

朝青龍が優勝し、今日はどの報道番組でも大きな扱いをしている。新聞もこの話題で持ちきりだ。八百長が無いという相撲協会側の主張を前提にみると、朝青龍の勝利はとてもすごいことだと思うし、やはりなんだかんだ言っても強いと思う。その強さには当然努力があるのだろうし、体の故障から立ち直るのは大相撲に限らず、あらゆるスポーツにおいて大変なことで、復活優勝をやってのけたのだから大変な精神力である。

さて、朝青龍は2つの結果をもたらしたと思う。1つは、もちろんスポーツとしての業績である、復活優勝である。この点の分析については、あらゆるメディアが取り上げているので、それに譲ろう。もう1つは、連日の満員御礼と話題性である。

これにより相撲協会の興行収入も伸びただろうし、再度国民に相撲に対する関心を喚起したことは、36%以上の視聴率を獲得したことに鑑みれば明らかであろう。つまり、朝青龍の土俵外での言動と土俵内での実績が、今回の2つ目の結果をもたらしているのである。

この結果に対し、当時メディアを使って批判をしていたマスメディアの連中や、得体のしれない横綱審議委員会のメンバーはどう反応するのであろうか。まず、公共のメディアを通じて、引退引退と叫んでいた漫画家は誤った予想を流したのだから、真摯に反省すべきであろう。にもかかわらず、その人は、「騙された方よりだました方が悪い」と往生際の悪いコメントを夕方のニュースでしていたようだ。

さらに、横綱審議委員会は、ガッツポーズを問題にしているようだ。品格品格というが、私はガッツポーズで品格が失われると本当に批判しているのだとすれば、あらゆるスポーツおよびその選手に対する冒涜ではないだろうか。

真剣にやるから優勝したときの感情表現としてのガッツポーズはむしろ清々しいものだろう。むしろ、淡々としている方がそれこそ八百長疑惑を呼びかねない不自然さが残るはずだ。こうした時代錯誤な見解を外に発表する審議委員会自体、不要論がでてきても不思議ではないだろう。

朝青龍の品格をガッツポーズ程度で問うのであれば、NHKの不祥事問題で「エビジョンイル」とまで揶揄された人物が、横綱審議委員会の委員長をしている方がよっぽど品格が無いのではないだろうか。

伝統が壊れるというが、伝統は壊れながら受け継がれるものである。壊れない伝統は有害な澱みでしかない。華道も茶道も、柔道も、新しい価値を受け入れながら変化し続けている。それを否定すれば、成長ができない。

だから、いつまでも国に公益法人として保護してもらわないといけないのではないだろうか。これだけ興業収入が得られる話題性をせっかく朝青龍がもたらしてくれたのだから、営利法人化して、新しい価値と正面から対峙してもいいかもしれない。

このガッツポーズに対して、保守派のフジテレビコメンテーター木村太郎氏が、「ガッツポーズはウィンブルドンを思わせた。ウィンブルドンは伝統を守りつつも世界からの挑戦者を受け入れ、声を出すなとかガッツポーズをやめろという決まりを変えてきた。日本の大相撲もやっとそういう時期に来たと思った」と発言していたという。

とても的確な指摘だと感じた。ガッツポーズが品位を欠くなんて思う人間はごく少数の時代遅れな人間だけだろう。ウィンブルドンのファンは伝統には変化を伴うことを認識し、変遷を見守ってきた。伝統が壊れダメになったであろうか。むしろ、活気があり世界の舞台として今も多くのファンに楽しまれている。

私はイギリスでも生活したことがあるが、どうも日本でいう伝統とイギリス(欧州)でいう伝統には認識に大きな違いがあるような気がする。前者は変えるべきではないという抵抗の姿勢が強いのに対し、後者はどうやって残すかという未来志向型な気がする。

いずれにしても、良い価値は必ず残るのであって、やはりどうやってそれを残していくかという後者の姿勢があるべき姿だと感じる。

また、細かいことに目くじらを立てたり、無責任な予想をして他人を批判するのは、大人として恥ずかしいことだという反省をメディアを利用する人間はもっと意識すべきである。自分の放言と無責任な姿勢が、子供には「何を言っても許される社会」と映ってしまうのは情けない。

朝青龍の復活を評価=ガッツポーズに苦言も-横審
1月26日19時23分配信 時事通信

 大相撲の横綱審議委員会は26日、東京・両国国技館で定例会合を開き、初場所で復活優勝を遂げた朝青龍を高く評価するとともに、優勝決定戦の後に土俵上で両手を上げてガッツポーズをしたことに批判的な意見が出た。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「注意する」と答えたという。
 記者会見した海老沢勝二委員長は「朝青龍はよくやったという意見が出た。今場所は最近にない活況で、全員が危機感を持って土俵を充実させようとした成果だ」と指摘。朝青龍のガッツポーズについては「いろんな意見があると思う。無意識に出たポーズにも見えるが、勉強すべき課題だろう」と語った。そのほかの言動に対する意見は出なかったという。
 また、委員の任期(10年)を終えて退任する海老沢委員長に代わり、新委員長に鶴田卓彦委員(元日本経済新聞社社長)を選んだ。海老沢氏は委員長を2年務めた。
◇評価してあげないと
 横綱審議委員会・石橋義夫委員 朝青龍は最初は心配だったけど、一生懸命努力したんだろう。それは評価してあげないといけない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090126-00000116-jij-spo

良い伝統的価値が残り続けているものとして、ヨーロッパのクラシック音楽がある。

最近、私はモーツアルトの『オーボエ四重奏』にはまっている。モーツアルトの軽快で明るい音率の代表例のような曲だ。

オーボエはギネスで世界一演奏が難しい楽器と認定されている。そして、吹奏楽などではオーボエ奏者が見つからないことから、そのパートを省かざるを得ないこともあるという。さらに、リードは演奏者が毎回手作りをしなければならず、時間がかかる。

このような手間のかかる楽器だからこそ、このような美しい音色を奏でられるのかもしれない。そして、本物のクラシックには欠かせない楽器である。

手入れが大変で、難しい楽器のオーボエだって、変わりゆく時代の流れの中で、厄介がられることがあっても、その価値(音色の美しさ)は、しっかり伝承され続けている。大相撲も変化に単に抵抗するだけでなく、どうやって良い価値を残していくか考えるべきだろう。

下記のリンクではじめの方が視聴できるのでぜひ聞いてみてほしい。

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01/25/2009

冤罪事件の一例か?

民事訴訟ではあるが、痴漢冤罪事件における供述証拠のみによる事実認定に関係する最高裁判決が出ている。

その要旨は、「痴漢の虚偽申告を理由とする原告Xの被告Yに対する損害賠償請求訴訟において,目撃者が見付からない場合に,これに準ずる立場にある者の証人尋問を実施せず,Yの供述の信用性を肯定して,Xが痴漢行為をしたと認めた原審の判断に違法があるとされた事例」となっている。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081107155057.pdf

簡単に言うと、

1.電車内での通話を注意されたYが、Xに痴漢をされたと警察に連絡した。

2.Xは現行犯逮捕され、勾留、勾留延長がされ、起訴前勾留が可能な期間である最大日数期間の20日間身柄拘束された。

3.勾留期限までの取り調べで、①YとXの供述に食い違いがあること、②犯行時にYと通話していた証人Aの供述とYの供述に食い違いがあることが明らかになり、さらに、Yが捜査に非協力的になったことから、検察官は不起訴とした。

4.XはYの申告が虚偽であったとして、損害賠償を請求した。

5.原審である東京高裁は、Aの供述とYの供述に食い違いがあること(Yは「股間を押し付けられ、『離れてよ』と言った。その後、携帯電話を切るようにXから注意を受けた」と供述しているのに対し、Aは「『変な人が近づいてきた』その後間も無く『電車の中で電話してはいけない』という男性の声が聞こえた」と供述)は、電車内での騒音が原因で、食い違いが生じても不自然ではないと判断。Yの供述に信ぴょう性を認め、原告Xは敗訴。

以上のような事案である。

最高裁は、原審の判断は、Yの「変な人が近づいてきた」という声とXの「電車の中で電話してはいけない」という声の具体的間隔や、その間のYとAの通話のやりとり、Aが感じた騒音の程度などを審理せずに、騒音と推測してYの供述の信用性を認めており、審理不十分であるとして、東京高裁に差戻しの判断をした。

この判例から感じるのは、高裁の判断が最近は最高裁により覆されることが多くなっていることである。この判決を見る限り、高裁の判断はあまりにもお粗末であることは明らかであろう。なぜ、こうした事務処理的な判断となってしまっているのか、非常に問題があるところである。

近年、高裁人事を見ると、藤山裁判官のように、当事者間の証拠偏在の是正を重視した訴訟指揮をして、丁寧な事実認定をする裁判官が高裁に異動してくることが多い*。

一昔前までは、国の方針に反するような判決を書く裁判官は左遷されるというのがもっぱらの噂(?)であった。人材面での改革を進めている様に感じる。

そういう意味でも、最高裁の今回の判断は、下級審に対し、事務処理的な事実認定に対する警鐘なのかもしれない。

*なお、同裁判官については、ネット上でもいろんな意見があるようだ。最近は医療関係訴訟を多く扱っているため、同裁判官を支持する見解に対しては医療関係者による徹底的な批判がなされているのを依然目撃したことがある。

同裁判官の判断が良いか悪いかは別にして、作為的な炎上行為に対しては、ネットマナーとしていかがなものかと感じる。

最近では、医者を批判する見解をHPに載せた専門家に対し、医療関係者による炎上行為がなされたようだ。

また、この件については別の機会に記事にしたいが、いずれにしても、法曹も医者も資格による市場独占の既得権益を持っている以上、それに対する批判については、匿名のインターネットを通じた炎上行為に走るのではなく、真摯に耳を傾けるのが、専門職としてのあるべき姿であると感じる。

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01/23/2009

宣誓やり直しは新たな対立の前触れか!?

そういえば、米国連邦最高裁判所長官が変わってから初めての宣誓が今回のオバマ大統領の宣誓だった。

         Rehnquist1_2写真は前最高裁長官の故・レンキスト氏

2005年にレンキスト前最高裁判所長官が亡くなられてから、もう4年目に入るのかと思うと、月日の経つのがいかに速いか思わされる。

現在の最高裁判所長官のロバーツ氏は、思い起こせば、最初はオコーナー前最高裁判事の依願退職に伴って、ブッシュ大統領に指名され、上院の承認を経ようとした直前に、レンキスト前長官が死亡したため、長官職に再度指名されたという経緯があった。

レンキスト長官に比べると、現長官のロバーツ氏に対する印象はあまり強くない。レンキスト・コート(レンキスト氏が務めた時代の最高裁を指す)は、中道右派色が強かった。

スカリア判事などの極端な右翼思考の強い裁判官が増えつつある中、レンキスト・コートは、レンキスト長官やオコーナー判事に代表されるように、必ずしも保守的な判断をするとは限らず、良くいえばバランスのとれた、悪くいえば場当たり的・カズイスティックな判断で、アメリカの二分された世論をまとめるような判断が多かったというに思う。

         Roberts 写真は現最高裁長官のロバーツ氏

今回のロバーツ長官のニュースを耳にし、時代はどんどん変わっていると感じる。現在の最高裁は、ロバーツ長官を含め、かなり保守色が強い。アメリカの最高裁判事は終身的地位なので、依願退職や死亡がない限り、原状のロバーツ・コートは維持される。

オバマ政権下での退任が予測される人物は、ギンズバーグ判事で、病気を抱えているとかねてより噂されている。しかし、ギンズバーグ判事は、リベラル系判事なので、後任にリベラル系の人が選べれても、現在の体制は変わらないだろう。

しばらく、アメリカの司法は保守的な判断が続くように思う。フランクリン・ルーズベルト大統領は、自らの政策が違憲であると判断した当時の最高裁と深く対立し、Court Packing Planと呼ばれる最高裁改革案を出し、9人体制から15人体制にして、新しい判事の任命権を使って、リベラルな裁判所を実現しようとした。

現在の行政、立法はリベラル派が押さえていることからしても、もしかすると、今回のロバーツ最高裁判所長官の『ミス』は、ルーズベルト時代のような保守派の最高裁判所との対立の前触れ(?)になるかもしれない。

<オバマ大統領>語順間違い宣誓やり直し ホワイトハウスで
1月22日12時55分配信 毎日新聞

 【ワシントン小松健一、及川正也】就任式から一夜明けた21日、オバマ大統領は慌ただしい1日を過ごした。20日の就任宣誓で間違いがあったため、やり直す一幕もあった。

 大統領は午前8時半、ホワイトハウスのウエストウイング(西棟)にある大統領執務室に入った。ブッシュ前大統領が前日に執務机に置いた「第43代(大統領)から第44代へ」との封筒を開封。一人きりで中の手紙を読んだり、「これから始める仕事のことなどを考えていた」(ギブズ大統領報道官)という。

 前日は就任式、昼食会、パレード、マーチングバンドの観覧の後、10カ所で行われた就任を祝う舞踏会を夫人とともに“はしご”。21日午前1時過ぎまで楽しんだが、午前8時45分にはエマニュエル首席補佐官と日程などを打ち合わせ、後は分刻みのスケジュールをこなした。

 21日はホワイトハウスの公開日で、大統領と夫人は、抽選などで選ばれた人々をホワイトハウスに招き1階フロアを案内した。

 一方、就任宣誓のやり直しは、ホワイトハウスで21日夜に行った。20日の「本番」では宣誓のことばを最初に述べるロバーツ連邦最高裁長官が「誠実に大統領の職務を遂行する」と言うべきところを「大統領の職務を誠実に遂行する」と語順を間違え、復唱するオバマ氏が言いよどんだ。

 ロバーツ長官はこの後、オバマ氏に謝罪したが、ホワイトハウス側が「宣誓はすばらしかったが、1カ所順番が違った」(クレイグ大統領法律顧問)として改めて行うことを決めた。ミスなくこなしたロバーツ長官は「改めておめでとう」と笑うと、オバマ氏も「ありがとうございます、長官」と応じた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000040-mai-int

さて、アメリカの裁判関係の(古い?)映画を1つ紹介する。たばこの健康被害を訴えようとする研究者とそれに圧力を加えるたばこ産業。それと癒着するマスメディアの経営層。従来の法廷闘争的な映画ではないが、法廷内外での契約に縛られる人間の葛藤が良く描かれている映画である。

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01/22/2009

過払い金の消滅時効の起算点

なかなか画期的な判断がでました。

消滅時効の起算点については、民法166条1項により、「権利を行使することができる時から進行する」と定められています。

信販会社側は、過払い金発生時には返還請求できるので、この時点を起算点と考えて上告したようです。不当利得返還請求権(過払い金を返せという権利)は、過払い金が発生するたびに個別に発生することになるので、形式的に考えれば、この考え方が妥当なようにも思われます。

しかし、最高裁は、消滅時効の起算点を、返済終了時と判示しました。

過払い金のそもそもの問題は債務者の側が、自分の支払いが過払いに至っていることがわからない状態で、支払い続けてしまうことにあるわけですから、過払い金発生時に、債務者が権利を行使することができるとは言えないという実質的判断があるのでしょう。

ただ、権利を行使することができるというのは、権利行使の法律上の障害がなくなった時をいうので、債務者がその時点をわかるか否かは事実上の障害にすぎません。

そこで、問題はどうやって法律上の障害があるという構成を取るかです。

この点につき、高裁段階では、この事実上の障害を考慮し、返済中は事実上1つの取引が継続し、その契約に基づく弁済義務の履行がなされているとすると、この取引が終了した時点である返済終了時でなければ、不当利得返還請求権(過払い金を返してくれという権利)の行使が可能とは言えないとの理由から、「返済終了時」を「権利行使可能な時」と判断した裁判例がいくつかでていました。

今回の最高裁の判断は、何が法律上の障害に当たり時効が進行しないのか、明確にしています。

まず、今回問題になった貸金契約には、「過払い金が発生した場合には、債務者が信販会社に負う他の債務の弁済として充当する」旨の合意がありました。

そして、こうした合意がある場合に、取引が終了するまで、過払い金を返せというような請求をすることは通常想定していないので、取引継続中はこの合意が過払い金返還請求の法律上の障害になると判断しています。

返済終了時から時効起算=過払い金返還訴訟で初判断-最高裁
1月22日15時18分配信 時事通信

利息制限法の上限を超える金利を支払わされた東京都内の男性が、信販会社に過払い金の返還を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)は22日、返還請求権の消滅時効は、過払い金発生時ではなく返済終了時から起算されるとの初判断を示し、信販会社側の上告を棄却した。約319万円の過払い金全額を支払うよう命じた二審判決が確定した。
 返済を続けている間は時効が進行しないことになり、借り手側に有利な判断。これにより、消費者金融や信販会社のカードローンへの過払い金が、時効により消滅する例はほとんどなくなるとみられる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000101-jij-soci

さて、過払い金といえば、この人、宇都宮健児弁護士。私が最も尊敬する人物の一人である。派遣村の問題の際にも、名誉村長としてかかわっていた。

私はなかなか宇都宮先生のような公益活動をすることはできないが、とても尊敬しており、宇都宮先生は日本の良心のような存在である。

過払い関係の事件は、司法書士も含め多くの法律事務所で扱っているが中には非弁提携などが疑われる事務所もある。そうした中、本当に依頼人のために活動されている弁護士の代表例が宇都宮健児弁護士である。

宇都宮弁護士の本2冊を紹介しておく。

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01/21/2009

就任時の株価下落はアメリカの実体経済そのものを示している。

昨日から今日にかけて、アメリカ国民の馬鹿騒ぎに、日本のマスメディアも同じように馬鹿騒ぎしているから、「この国はどこの国の51州なのだろうか」、と怪訝な気分になる。

ニュースでたびたびオバマ大統領の就任演説のシーンが取り上げられているが、私のように斜に構えてこのシーンを見ると、第2次世界大戦前のドイツの総統に熱狂する民衆と全く同じように思えて仕方がない。

そして、このシーンを見て、「アメリカは良いですね、政治に熱狂できて。日本だとこんなことは起こらない」とテレビ番組の司会者が、何の躊躇もなく発言する姿を見ると、「なぜ自国をそこまで卑下するのだろうか。あんなのは衆愚の骨頂じゃないか。むしろ日本の姿の方が健全な民主主義を示している」と反論したくなる。

ただ、アメリカにも、まともな人々はたくさんいるわけで、皆が就任演説に繰り出して、熱狂して一時的現実逃避を楽しんでいるわけではない。すでに報じられているようにニューヨーク株価が急落して、8000ドルを切ったという。

多くのメディアが、「なぜ就任時にご祝儀的な株の値上がりをしなかったのだろうか」と疑問を示している。多くの人間は、多少なりとも株価は値上がりするか、横ばいで済み、8000ドルは切らないだろうと思ったと思う。

ただ、これこそ市場の冷静な判断だろう。オバマ大統領が選挙戦で唱えてきたChangeは幻想にすぎず、同大統領も魔法使いでも何でもない人間である。

アメリカの現在の不況の原因はここ数年に構築されたものではなく、レーガン政権以降着実にアメリカのガン細胞として成長してきた実体経済の弱さによるものである。

いくら人気がある大統領でも、この数十年間の蓄積により生じた経済の破綻は、4年の任期ではどうすることもできないのである。

このことは、歴史を見れば一目瞭然である。世界恐慌からアメリカが立ち直るまでに要したのは十数年。オバマ政権が二期続いたとしても、その間には回復できないだろう。

アメリカの金融危機をブッシュ政権の責任と結論づける短絡的な人が結構いる。これは大きな間違いで、このブログで何度も指摘しているように、アメリカの金融危機は、アメリカ経済の破綻の序章に過ぎない。

むしろ、イラク戦争によって軍事産業や石油市場への利益が生じていたために、アメリカの経済がここまでもっていたと言った方が正確だろう。

根本的な問題は、アメリカのファンダメンタル(経済の基礎部分)が1980年代以降脆弱になり、日本のような技術的・技能的な優位性がアメリカにはほとんどないという点にある。

アメリカ人もこうしたパフォーマンスに浮かれる人たちばかりではなく、この経済崩壊に真面目に向き合っている人もいる。

結局、今回の株価値下がりは、そうした市場関係者の一部が、「ご祝儀の値上がりなんか与えられない。むしろ、株価が今後下げ止まらない可能性がある。」と判断して、売りに走ったということだろう。

オバマ政権は、金融監視機能の強化と環境政策によるバブル化を進めようとしている。

しかし、環境技術に投資しても、アメリカが0から作りだす技術分野であり、ドイツや日本に比べ、優位性が低いことからすると、この後者の政策が失敗することは目に見えているのであって、アメリカの経済破綻はまだまだ止まる気配はないだろう。

こうしたアメリカの弱さは、為替市場に一番現れるが、以前、次期財務大臣と呼び声の高いミスター円と呼ばれる方は、1ドル70円台の可能性すら指摘していたが、現実味を帯びてきた気もする。

私は、世界の基軸通貨が円になる日も近いと予てから指摘している。ただ、これが実現されるためには、日本も今のような阿呆太郎と揶揄されるような政治家をリーダーにしていると、アメリカの足を引っ張られて、アメリカの51州として、ともに経済破綻の苦痛をしばらくの間感じ続けないといけなくなる。

日本も対岸の幻想に淡い期待を抱くのではなく、 一刻も早く、現実を直視して、政治主導の内需拡大型経済の実現が必要である。

もっとも、定額給付金にはそのような効果がないことは、一部の漢字の読めない人とその仲間たちを除いて、皆しっているだろうが・・・

円、一時87円台=株高で伸び悩み〔NY外為〕(21日)
1月22日1時0分配信 時事通信

 【ニューヨーク21日時事】21日のニューヨーク外国為替市場の円相場は、ボルカー元米連邦準備制度理事会(FRB)議長の悲観的な景気見通しなどをきっかけに対ドルで急伸、当市場としては1995年7月以来、約13年半ぶりの高値となる1ドル=87円10銭をつけた。
 ただその後は、金融機関への追加支援に対する期待感から米株式相場が急伸したのを眺め伸び悩み、午後5時現在は、89円43―53銭と、前日午後5時(89円70―80銭)比27銭の円高・ドル安で推移している。
 ドル反発のきっかけとなったのは、次期財務長官に指名されているガイトナー・ニューヨーク連銀総裁の議会証言。同総裁は、金融システムを安定化させるために包括的な対策を検討していると発言。さらに計画の早期発表に意欲を示したことが好感され、株式相場は急伸しドルも買い戻された。
 市場参加者からは、「為替相場は材料難で、金融株の動向に左右されやすい」(邦銀筋)との指摘が聞かれ、90円台を挟み方向感を探る展開が続きそうだ。
 円は対ユーロでも、2001年12月以来約7年1カ月ぶりの高値となる1ユーロ=112円08銭をつけた。午後5時現在は、116円45―55銭(前日午後5時は115円76―86銭)、対ドルでは同1.3018―3028ドル(同1.2900―2910ドル)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000008-jij-brf

株式インタビュー:年度内の日本株は上値重い、各国の政策効果見極めへ
1月21日14時6分配信 ロイター

 [東京 21日 ロイター] オバマ氏が第44代米大統領に就任した20日、米国株は就任式当日の下げ幅としては過去最大の下げ幅を記録した。イベント通過で材料出尽くしとなったほか、世界的な金融危機への懸念がセンチメントを悪化させた。日経平均は後場に入って下げ渋るものの、米株安と円高を嫌気してさえない動きとなっている。
 ロイターでは株式市場関係者6人に「日本株の先行きを占う」というタイトルで年度末にかけての株価動向を展望するインタビューを行った。
 市場関係者の間では、これまで各国が打ち出した財政出動の効果を見極める必要があり、年度内の株価の上値は重いとの見方が多い。為替動向や欧州の金融不安もかく乱要因になるとみられている。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090121-00000930-reu-bus_all

なお、オバマ政権の政策がなぜ失敗するかということについては、「アメリカ政治」というカテゴリー内の前記事を参照してほしい。

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司法におけるIT化の問題(その2)

先日の司法におけるIT化の問題の続き。

民事訴訟における遠隔裁判の議論についても、疑問を挟まざるを得ない点がある。

ある団体が作成したビデオを先日見たのだが、あまりにも現状にかけ離れた裁判像をイメージしているのである。

まず、裁判官の訴訟指揮に対する過度な期待がある。訴訟指揮はその事件の裁判長の広範な裁量に委ねられるので、必ずしも、すべての裁判官が丁寧に法律的概念を説明しながら、積極的に事案の解明を行うとは限らない。

事実の主張と証拠の提出を当事者の権能と責任とする弁論主義が採用される我が国では、当事者が主張していない事実については、事実認定をして、判決の基礎とすることが許されない。そうすると、当事者が主張しない事実がたとえ証拠調べにより明らかになったとしても、裁判所はその事実はないものとして扱うことになり、この不利益(主張責任)を当事者は負わなければならない。

こうした考え方が民事訴訟の根本にある。そして、裁判所の中立性と裁判所への国民の信頼を害さないためにも、裁判官は積極的な釈明(当事者の主張していない事実に対して、それを指摘し、立証を促すこと)を慎重にしなければならない。

よって、積極的釈明を裁判所に過度に期待することはできない。にもかかわらず、『完全なIT化による』遠隔裁判で期待されている裁判所像は、かなり積極的釈明を行う必要がある形になっている。

また、遠隔裁判については、249条に代表される口頭弁論に関する諸原則(公開主義、双方審尋主義、口頭主義、直接主義)が問題になるだろう。

とりわけ、遠隔裁判では、当事者が口頭弁論期日において、裁判所に実際には出廷せず、別の場所から電話やモニターを使って参加するということだが、こうした方法で一切の口頭弁論を行うことが果たしてなじむのかという問題もあるだろう。

つまり、現行法で、遠隔地居住者との音声による通信を許容しているのは、口頭弁論の前に行われる争点整理手続きにおける①弁論準備手続きと呼ばれる方法の一場面と、②書面による準備手続きと呼ばれる方法の場合のみ許されているにすぎず、準備的口頭弁論というあくまで口頭弁論である手続きにおいては許されていない。

結局、遠隔裁判が訴訟手続きの一部的にしか採用されず、一部の団体が主張するような完全なIT化が実施できないというのは、憲法82条の定める「裁判の対審」が十分に確保できないのではないかという懸念に立脚しているように感じる。

つまり、利便性を追求するあまり、公平な裁判という憲法上要請が害されることは、あってはならないということである。

最近はだいぶ下火になってはいるが、IT化による利便性の追求という動きに対しては、もう少し懐疑的になり、それに伴う負の面をもう少し考える必要があるだろう。

そのことを考える上でも、最近、書籍紹介欄で紹介した、養老孟司氏の『逆さメガネ』という本は参考になる。

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01/20/2009

司法のIT化の2つの問題(その1)

司法業界にも遅ればせながら、IT化の波が来ているようだが、なんでもかんでもIT化しようということには毅然とした立場で、守るべき価値は何かを選別する必要があると思う。

また、IT化は自体は否定しないが、業者主導の動きには必ず利益誘導があるのであって、裁判所がかかわる際には、他の公官庁より一層その辺の配慮をして、慎重な対応をしなければ、癒着等による国民の裁判所への信頼は失いかねない。

IT化の動きの代表例は、①刑事裁判におけるディスプレイ表示、②民事裁判での遠隔裁判などがある。

まず、前者についてであるが、裁判員制度が開始されることにより、生の死体の写真などを残酷なものを裁判員に見せるのは精神的苦痛を伴うので代わりにCG化したものを見せれば良いという見解があるらしい。

被告人の人生および被害者・遺族の人生がかかっている裁判において、生の写真を見ずして、事実認定するということがあっていいのであろうか。

私はこの点には著しい疑問を感じる。ましてや、裁判員が量刑判断にも参加する以上、「行為によって生じた結果」と向き合わずして、正しい量刑判断などできるはずがない。全くもって見当違いなIT化だと思う。

先日公判が開かれたバラバラ殺人事件で、死体の映像がショッキングで、被害者遺族が退廷したというニュースが流れた。これが裁判員制度との関係での公表なのか、それが妥当なのかという記事があったが、その記事の姿勢も、「こんなひどい映像を見せる必要がない」という観点からの価値判断が色濃く出ていると感じる。

私はどうしても、こういう価値判断には疑問を感じる。人の命が如何に残酷に失われたのかこの生の事実から目をそむけてもいいのだろうか。もちろん、被害者遺族の心痛は計り知れない。

しかし、犯人の行為によって、発生した結果がいかなるものかを社会全体が共有して、はじめて、現在の凶悪刑事事件をどう予防していくことができるのかを真剣に考えられるのではないだろうか。

もちろん、退廷した遺族についてどうこういうわけではない。私も遺族ならショックのあまり退廷するだろう。

ただ、一番その悲惨な現実を傍聴人として目の当たりにしたマスメディアの、衝撃的な現実は職業裁判官にのみ見てもらえば良いとして、忌々しい現実からは目をそむけようとする姿勢そのものが、マスメディアとしての役割を果たしていないと思うわけである。

これも一種のIT化、言いかえれば、裁判のバーチャル化ではないだろうか。凶悪事件が増える中、日々起こる犯罪の発生ばかり速報で伝えようとするあまり、個々の事件で発生した結果、つまり人の命の重みがいかに残虐に奪われたかを伝えずに、死体写真が衝撃的すぎると批判する。これでは、凶悪事件にまともに向き合っているとはいえないだろう。

被害者が1人いる→残虐な方法により殺害されたというだけでは、社会全体でその凄惨さを共有したとは言えないのである。もちろん、その映像を新聞に載せろとか言うわけではない。

ただ、少なくとも、量刑判断をする者、および公開の法廷で裁判を傍聴する者は、残虐な犯行とその凄惨な結果について、正面から向き合う機会がなければ、失われた被害者の人命に対して、あまりにもバーチャルな軽いものとして向き合うことしかできないのではないだろうか。殊に、その傍聴人がマスメディアなのであれば、そうしたものに向き合って初めて事件の本質を伝えることができるはずである。

これから逃げようとする姿勢は、マスメディアのあるべき姿として失格だろう。

長くなったので、民事訴訟におけるIT化の問題は次回にする。

【神隠し公判】ショッキング映像…傍聴人「必要あるのか?」
1月20日2時55分配信 産経新聞

 19日に第3回の公判があったバラバラ事件。これまでの公判では、法廷の大型モニターに200個超の生々しい肉片や骨片の写真が映し出され、目を背ける傍聴人が相次いだ。遺体切断の再現映像では、遺族が地裁職員に抱えられて退廷して号泣する一幕もあった。

 ある傍聴人は「私たちにここまで見せる必要があるのか」と疑問を語った。

 ショッキングな映像を傍聴人にまで示すのは、従来の公判では考えられない異例の措置だ。東京地検は14日の第2回公判後、この公判を裁判員裁判の「モデル」と位置づけ、「裁判員にも法廷で見てもらうというメッセージを込めた」と説明した。19日には「裁判員制度は関係なく、立証上必要があった」と修正したが、本音はどちらか。

 裁判員に対する証拠開示のあり方については、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる可能性もある」(中園一郎・日本法医学会理事長)との課題も指摘されている。だからこそ、東京地検や東京地裁は今回の公判で、遺族ら傍聴人に残忍な証拠をあえて示すことで、裁判員になる一般国民が、どの程度の証拠に耐えられるかを推し量った、との見方がある。

 現在、多くの裁判で裁判員制度をにらんだ試行錯誤が続けられている。だが、「現実の公判が、まだ始まっていない裁判員裁判のトレーニングに利用されてはたまらない」(犯罪被害者支援に詳しい武内大徳弁護士)との批判もある。

 この公判は、殺人事件の裁判であって、模擬裁判ではない。被告の有罪無罪を決める以上、裁判員がある程度残酷な映像を見なければならないのは理解できるが、遺族ら傍聴人は裁判員でもない。遺族らを相手に“練習”をするかのような姿勢には、疑問を感じざるを得ない。(小田博士)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000508-san-soci

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01/19/2009

やるべきことやれ!

ワンフレーズ選挙が得意な小泉元総理が一院制を提案し、何の議論もなく自民党の公約にするらしい。これを改革だというのだから、日本語力も乏しいと感じる。

未だ一院制の議論が日本国内で始まってもいないのに、すぐに人気があった首相に言われたから取り入れる。公約とはそんな軽いものなのだろうか。

一院制の話も、改革ではなく、参議院の民主党と交渉し、妥協する方法を知らないから、遅延を招くのであって、これで一院制にすべきというなら、思い道理にできないから、駄々をこねる駄々っ子でしかない。この程度の浅知恵で国民が騙されるとしたら、民度が著しく低いだろうが、私はそんなことにはならないと信じている。

確かに、小泉改革を全部否定すべきではないと思っている。しかし、国家公務員の天下り規制や道路特定財源の一般財源化、特殊法人の徹底的削減などやるべきことをやらずして、国民の目を覆い隠すためだけにこうした聞こえの良い、ワンフレーズ政策には、民度の高い国民であればもう騙されないはずと思うのは私だけであろうか。

議員を削減することは、大いに歓迎すべきである。もし、無駄な議員を純粋に削減して健全な政治体制を作るという発想から来ている政策ならば、なぜ一院制という憲法改正が必要な実現困難な政策を公約にするのであろうか。

実現する気もなく、参議院は無駄だという一部の国民の無知と、議員が多すぎるという多くの国民の不安の双方を利用しようとして、公約にして、上っ面の改革を訴えようということなのだろうか。小泉氏はさらに言えば、引退するのではなかったのだろうか?よく無責任な政策を公約にすべきと言えると感心してしまう。

また、単純に、議院削減を本気で考えているなら、公約にせずとも、今すぐにでも公職選挙法4条を改正してしまえば済むことである。それこそ、民主党が反対するというなら、2/3条項を使って強行採決すればよい。なぜ、それをせずに、一院制なのか。

私は、参議院が無駄という論者の発想が理解できない。衆参ねじれ国会を未だにマスコミなどは悪く取り上げる。しかし、我が国のように議院内閣制をとる国であれば、ねじれ国会こそ最も歓迎すべき政治状況だろう。

なぜか。簡単である。議員がきちんと仕事をする必要があるからだ。民主党が一番恐れているのは、審議拒否を強行することにより、政権担当能力がないと思われることである。他方、自民党の場合は、2/3条項による強行採決を連発することである。

こういう政治状況では、通常の民度の高い国家においては、与野党が政策のすり合わせをする。一方の議院で可決した法案は、他方で修正され、それに納得して、妥協点を探る。これこそまさに望ましい政治の在り方である。

むしろ、今回のアメリカのように、大統領と議会が同じ政党である民主党となってしまう方が、偏った政策ばかりになる危険がある。しかし、我が国では、このねじれ国会について、悪いものとして扱われている。これは残念なことだし、やはり民度の低さを感じてしまう。

現在の素晴らしい状況を利用できないでいる原因は、交渉力がそもそもない与党の政治家、発想力の乏しいマスコミの責任であると同時に、ひいては、マスコミに踊らされた世論を形成して、そうした政治家を選ぶ国民の責任にあることを自覚しなければならないだろう。

マスコミは未だに、小泉待望論などという馬鹿げた主張をする。彼の改革のどの部分が成功し、どの部分が失敗したのか、そうした反省もせずに。

自民党の政治家も本当に次の選挙で、過半数は到底維持できないという危機感を感じているのであれば、どうせ落選するなら、公職選挙法4条を改正し、衆議院の議員定数を現在の480人から400人、参議院の議員定数を242人から100人程度にすべきだろう。

それもやらずに、選挙目当てのワンフレーズ公約はもう沢山だという良識のある有権者が多いことを私は切に望む。

なお、この削減後の定数は、日本の約2倍の人口がいるアメリカでは、下院が435人、上院100人であることから、まずはこのレベルにまでスリム化すべきということから試算した数字である。

<自民>「1院制導入」など政権公約盛り込みを検討
1月19日2時31分配信 毎日新聞

 自民党は18日、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に、国会や選挙制度改革の一環として(1)衆参両院の統合による1院制導入(2)議員定数削減(3)議員歳費削減--などを盛り込む方向で検討に入った。麻生太郎首相(党総裁)は景気回復を前提に、11年度の消費増税も選挙戦の争点に据える方針で、国民の負担増に対する批判をかわす狙いもある。

 首相は18日の自民党大会で、ねじれ国会の現状に触れ「国会の制度やあり方を見直さなければならない。衆参両院で非常に似通っている選挙制度の見直しも必要になる」と指摘。自民党の細田博之幹事長も党大会後、「不都合なところは改革すべきだ」と記者団に強調した。

 1院制をめぐっては、自民党の小泉純一郎元首相が麻生首相に「選挙で攻める材料をつくらないといけない」として公約化を助言している。ただ、導入には憲法改正が必要で、自民党も実施時期は10年後の19年以降などと想定。具体的論議はこれからだ。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090119-00000003-mai-pol

小泉氏、「一院制」を選挙公約に=自民議連、4月に提言
1月16日19時1分配信 時事通信

 衆参両院の統合による一院制移行を目指す自民党有志の議員連盟(会長・衛藤征士郎元防衛庁長官)の総会が16日、党本部で開かれた。顧問の小泉純一郎元首相も出席し、「この議連を一院制への原動力にしたい」とあいさつ。次期衆院選での政権公約(マニフェスト)に盛り込むため、4月をめどに提言をまとめたいとの意向を表明し、了承された。
 総会では、衛藤氏が(1)議員定数を現在の両院合計722から500に削減(2)選挙制度は都道府県単位の大選挙区制を採用(3)2019年に移行-するとの案を提示。来週以降、これをたたき台に議論を進めることを決めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090116-00000172-jij-pol

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01/18/2009

不祥事や批判を巧に利用する弁護士?

追記(1月20日):この記事と同じような問題意識を伝える記事がFactaという雑誌に紹介されている。興味がある人は読んでみると良いだろう。ただ、この記事も、弁護士の増加という入口の問題と、すでに存在する弁護士による非行と自浄作用という退場の問題を混同しているので、注意して読む必要がある。

http://facta.co.jp/article/200902036.html 

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最近、よく弁護士の不祥事を多く耳にする。刑事事件に発展したもの、懲戒事例で済んだもの。

これらを理由に「質の低下だ。雇用の確保ができない。弁護士が貧困層になる。増員するな。」という声を聞くことが多い。

ただ、こんな論理が通じるのかと常に思う。

まず、懲戒されたり、刑事事件に発展する弁護士の8割、9割はベテランの弁護士であって、司法試験の入り口とは関係ない。

次に、就職できないというがなぜ弁護士だけ特別に雇用確保をしなければならないのか。他の一般学生と同じように就職が厳しいことは享受すべきではないか。

さらに、「弁護士が貧困になる」というが、本気でそう思っているとすれば、常識から外れているだろう。このような発言をするまえに、もっと派遣切りなどで苦しむ人々に目を向けるべきである。

それこそ、一般企業では、大企業でも初任給20万円以下のところが最近は通常なのだから、弁護士というだけで、普通の企業への入社を考えないという既存のあり方はもう崩壊しているだろう。現に新人においては、インハウス志望が最近は増えているという話も聞く。

質の悪い弁護士は、退場してもらう。そういう洗浄機能が働く制度を作れば、弁護士の不祥事は解決できるのであって、自分たちの利益が減るからと質の低下を高らかに叫び、世間を誘導(世間に理解してもらおうということかもしれないが・・・)しようというのはあまりにもお粗末な考え方ではないだろうか。

弁護士の懲戒制度は、弁護士自治の観点から、弁護士法の規定を根拠に、身内による自浄作用にゆだねてきた。他方、裁判官は司法権そのものであることから、均衡と抑制、司法権の独立という憲法規定から、対立権力であるとされる国会に委ねている。

憲法上なんの根拠もない弁護士自治は、すでに現代のような自由競争社会では既得権益保護以外のなにものでもないというのが、一般社会から見た感想ではないだろうか。

だとすると、弁護士の懲戒は少なくとも、弁護士会の事項にすべきではない。

憲法が司法権の独立のみを定めていることからすると、懲戒権を裁判所にゆだねるとか、国会にゆだねるとか、もう少し懲戒制度がオープンである必要があるだろう。そういう意味で、そろそろ弁護士法改正議論があっても良いと思う。

いずれにしても、このような決議や報告書を弁護士会が出すたびに、公務員改革に反対する官僚と同じように見られ、弁護士が既得権益を守るのに必死になっていると世間の反感を買っていることは忘れてはいけないだろう。

司法合格増員ペース見直しを
2009年 01月 13日 19:24 JST ロイター

東京弁護士会は13日、司法試験合格者数を10年ごろに年3000人まで増やすという政府計画について「増員ペースが急激すぎる。もっとゆっくり増やしていくべきだ」とする意見書をまとめた。

東京弁護士会は、約5800人の弁護士が所属する全国最大の弁護士会。日弁連は昨年7月、同様に増員ペースを落とすよう求める緊急提言を採択。群馬や大阪などの弁護士会でも計画見直しの決議が相次いでいる。【共同通信】

http://jp.reuters.com/article/kyodoNationalNews/idJP2009011301000748

なお、最近は、「弁護士業務は簡単だ」とか、「弁護士業界に新しい風を与える」と本やテレビというメディアを通じて発言されている方もいる。

ただ、私は個人的には彼らの主張には懐疑的な部分があると思っている。

つまり、彼らの中には、世間の既得権益保護に対する批判を利用して、自分たちの問題が指摘されている行為を正当化しようとしているのではないかと思う人たちもいるためである。

もちろん、日本テレビのコメンテーターをされている元東京地検特捜部長の河上和雄先生のように、いつも的確でまともな法曹らしい発言をしている方も多くいる。河上先生がコメンテーターででていると安心感がある。

ただ、弁護士の発言だから、正しいだろうと思いこんでしまうと、いつぞやの大阪の弁護士の懲戒請求呼びかけ発言のように、信じて懲戒請求をした人に不利益が生じることもあるので、一般人も弁護士を安易に信じてはいけない時代にあるのだろう。

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01/17/2009

芸能ニュースのあり方

休日にワイドショーなどを見ると、最近は政治や社会問題がそういう番組で取り上げられる反面、だいぶ芸能ニュースが相対的に減ってきた気もする。政治のワイドショー化と批判する声もあるだろうが、私はこの傾向には概ね好意的に受け止めている。ただ、未だに一部の芸能ニュースについては、「下らないな」と思うことが多い。

テレビ局には、情報局と報道局という部局があり、ワイドショーなど軽いノリで報道している番組は前者が担当している場合が多く、夕方や夜の時間帯のニュース番組は報道局が担当していることが多いそうだ。

この情報局は、従来から芸能ネタに積極的で、熱愛報道だとかそういう話題を熱心に取り上げ、芸能レポーターと称される人が根掘り葉掘り質問し、下らない情報を公共の電波をつかって、垂れ流していることが多かった。

最近、この手の報道が減った理由として、元ジャーナリストやアナウンサー出身の番組キャスターが情報局制作の番組でも報道志向での番組づくりをしたがることが多く、芸能情報はその枠を狭められているという話を耳にしたことがある。

そういえば、先日取り上げた小倉智明氏がキャスターを務める「とくダネ」でも、最近は前田忠明氏が芸能レポーターというより、コメンテーターとして色々なニュースにコメントしていることの方が多いかもしれない。

いずれにしても、芸能人の熱愛報道とか、結婚報道とか、離婚報道とか不仲説とかどうでもいいと思うのは私だけであろうか。そんな個人のことを報道するより、もっと重大な問題を取り上げたり、犯罪の疑惑追及などに期待したい。

なお、芸能人にプライバシーは無いとかいう人もいるが、これは法律知識に乏しい人のコメントである。芸能人のプライバシー暴露に伴う損害賠償訴訟や名誉毀損の損害賠償訴訟では、報道側が負けることが多い。これが、最近、公益性の高い事件・事故の報道がメインになっているという背景もあるようだ。

ところで、私が注目している俳優に玉木宏氏がいる。注目したのは、フジテレビ系ドラマの「鹿男あをによし」という番組を見たときに、その演技力が気に入ったからである。その後、指揮者役を演じた「のだめカンタービレ」という番組を見て、こうも演じ分けられるのだと感心したわけである。

そう。玉木宏氏は、この指揮者役で世間では先に人気になっていたようだが、私はこのドラマは、「鹿男」を見るまで、見たことがなかったということで、世間からは多少ズレた感性なのかもしれないが・・・

話を元に戻すと、同氏を最近はCMでかなりたくさん見かけることが多いが、先日この俳優について以下のような芸能ニュースが流れていた。

その記事の内容と表題の明らかな違いに、この記事を書いた方の薄っぺらさを感じてしまった。この記事のどこを読んでも、「責められたい」なんていう発言はないと思うのだが・・・。

もっと、この映画のことなど書くべきことはたくさんある気がする。いくら注目を集めるためにキャッチーなものにしたいとしても、芸能記者のレベルの低さを露呈している良い例ではないだろうか。

いずれにしても、芸能人に関する熱愛、破局等の公益に関わらない事項に関する報道が減っているのは民度の高さを示すものとして歓迎すべきと個人的には思う。

玉木宏、セクシーな黒ひょうの高島礼子に攻められたい?(シネマトゥデイ)

14日、ザ・ペニンシュラ東京にて、映画『マダガスカル2』の記者会見が行われ、日本語吹替えキャストの玉木宏、柳沢慎吾、高島礼子、岡田義徳、おぎやはぎの小木博明と矢作兼が登壇した。

 前作から4年が経ち、久々の再会となった玉木ら。動物たちの物語とあって、「隣の人を動物で例えるなら?」という質問があがったのだが、この難問に考えあぐねる一同の中で、玉木だけは「(高島は)黒ひょうかな」と即答。その理由をたずねられると、「攻める感じが……」と思わず納得のコメントで笑いを誘った。

 その一方で、玉木自身は柳沢から「玉ちゃんはね、らくだ!」と太鼓判をおされ、「昔から言われます」と照れ笑い。そんな玉木だが、肝心のアフレコでは「この4年の間に地声が低くなったみたいで、高めの声を出すようにと言われました」と苦労した様子を明かしていた。

 映画『マダガスカル2』は、動物園を飛び出し、マダガスカル島に行き着いたライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリアが、再び動物園に戻ろうとするも、今度はアフリカに行ってしまうというアドベンチャー・コメディ。

映画『マダガスカル2』は3月14日より新宿ピカデリーほかにて全国公開

映画『マダガスカル2』オフィシャルサイト http://www.madagascarinternational.com/intl/jp/

http://sports.nifty.com/cs/headline/details/et-ct-N0016542/1.htm

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01/16/2009

アメリカの警察の恐ろしさ(ロス疑惑報道より)

ちょっと前に、警察の強制した自白などで、冤罪が確定した志布志事件などが話題になったのを覚えているだろうか。

捜査段階で、犯人であると断定した日本の警察の捜査方法にも従来からかなりの批判がされているが、アメリカの警察は日本の警察以上に人権意識が乏しいようだ。

多くの人は、重要参考人・容疑者=被告人=犯人と考えがちである。しかし、これは大きな誤りである。松本サリン事件の被害者河野さんが重要参考人として疑われ、警察・メディアによる二次被害を生んだことはまだ記憶に新しいはずだ。

有罪判決が確定して初めてその被告人が犯人だと断定できるということを忘れてはいけない。

以上の記述から何を言いたいかわかると思うが、このロス市警の「死人に口なし」とでもいわんばかりに、自分たちの意見を発表するという姿勢には驚きを感じる。私もアメリカに数年いたので、アメリカ社会の規範意識の低さや適当さには慣れているが、ここまでくると呆れてしまう。

三浦氏が犯人かどうかはわからない。そして、わからないという事態を招いた責任はロス市警の完全な管理ミスにある。にもかかわらず、平然とこうした発表をしてしまうロス市警には、怒りと恐怖すら感じる。そして、こうした発表を許容する現在のアメリカ社会にも疑問を感じる。

ただ1つの救いは、マークゲラゴス氏のような弁護士がきちんと抗議をしている点だろう。

ロス市警、三浦元社長の白石さん殺害容疑を公式発表 弁護側反発
1月15日8時45分配信 産経新聞

【ロサンゼルス=松尾理也】ロサンゼルス市警は14日、「ロス銃撃事件」で逮捕したものの、昨年10月に留置場で死亡した三浦和義元会社社長=当時(61)=が、交際相手だった白石千鶴子さん=当時(34)=を殺害した容疑者だったと結論づける捜査結果を公式に発表した。

  ・三浦元社長に対する白石千鶴子さん殺害容疑を写真を示しながら正式発表するロサンゼルス市

 白石さんはロス郊外で変死体で発見された。捜査報告では、死因や殺害の状況の詳細は依然、不明としながらも、事件後に元社長が白石さんの銀行口座から多額の現金を引き出すなど、以前から明らかになっていた状況証拠から判断したとしている。

 三浦元社長の弁護にあたっていたゲラゴス弁護士はロサンゼルス・タイムズ紙に、「落ち目の人間をたたくというのはよくある話だが、死んだ人間にむち打つとはめったにないひどい話だ」とコメント。元社長の死で本人からの反論が不可能になった時点で容疑を発表するのは不公平だと訴えた。一連の捜査はすでに終結している。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090115-00000512-san-int

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01/15/2009

えぇ!? いったい何が?

昨日のブログアクセス数が、一日で1664人!Σ( ̄ロ ̄lll)

ヤフーのニュース記事でブログが関連ブログとして紹介されてもせいぜい1日100人の訪問者がいればいいとこ。

本当に驚きました。もしかして、小倉キャスターの記事を書いたから、どこか有名な掲示板にでもさらされたのかな?と思ったり。

すると、原因は、このブログサーバーのニフティーのトップページで「今日の注目ブログ」として紹介されたようです。

興味のある方は、http://guide.cocolog-nifty.com/ にある14日の注目ブログというところを探してみてください。

こういう紹介って一方的に何の通知もなくされるんですね。なにか通知があってから取り上げられるのだと思ってました。(゚ー゚)

多くの人に見てもらえる機会になったのは嬉しいです。今後も不定期にはなりますが、色々な視点で自分の考えなどを紹介できればと思います。

今回を機にこのブログに興味を持ってくれた方がいらしたら、よろしくお願いします。(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

いつになく顔文字を使ってみました。

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01/12/2009

大相撲ととくダネ?

どうでもいい話かもしれないが、どうしても表現の自由の観点から、気になったので一言言いたい。

小倉智昭氏が務めるフジテレビ系列の番組、とくダネに日本相撲協会が抗議し、それについて小倉氏が謝罪したというニュース。

今回、「星を買えばいいのにね」と言った小倉氏発言が問題となっているが、それほど問題だろうか。八百長騒動が裁判に発展し、その判断は確定判決どころか、終局判決すら出ていない。この段階で、そうした騒動を皮肉る発言があったとしても、それは言論の自由の範囲内であって、そもそも、八百長があるという事実の適示すらしていないのだから、名誉毀損の構成要件にすら該当しえないだろう。

仮に当たるとしても、公益法人の騒動を皮肉る発言は、①税制上の優遇を受けられる公益法人に関するもので、「公共の利害にかかわる事実」であって、②その団体の不祥事に対する批判である以上、「公益目的」によるものであり、③騒動の存在自体は「真実」である以上、違法性阻却事由に当たると考えるのが自然であろう。

そうすると、日本相撲協会が自分たちの意に沿わない発言があったからといって、「今後フジテレビには映像提供しないことがありえる」とプレッシャーをかけることは言論抑圧の何物でもない。はっきりいって、日本相撲協会はお粗末すぎる。この程度の発言を許容できずに、プレッシャーをかけるのは、一連の不祥事(大麻問題をはじめとする)について、反省していない証拠ではないだろうか。

また、公益法人である日本相撲協会が、朝青龍騒動により、利益を上げていることも事実ではないだろうか。今場所は満員御礼になるくらいいつもより観客が多いという。これはすなわち、朝青龍の取り組みを見たいという観客が結局多くいて、その人気にあやかり興業収入が伸びることは言うまでもないだろう。

公益法人である日本相撲協会は、もちろん納税において、かなりの優遇措置を受けている。相撲協会の巡業は明らかに、営利活動でしかないと個人的には思うのだが、一般の株式会社に代表される営利法人とは区別され、法人税の支払いにおいて優遇されているのである。

そういう公益法人である相撲協会は、朝青龍騒動により、マスコミに取り上げられることが多くなり、その結果、観客動員数が上がり、収益も上がっているにもかかわらず、マスコミの自己に不都合な八百長騒動を連想させる発言は一切許さないとマスメディアに圧力をかける行為、はたして妥当であろうか。

言論統制に積極的な団体だと思われても仕方ないのではないだろう。

むかし、フランスのサルコジ大統領が力士を「頭にポマードの塊をのせているデブ同士のぶつかり合いの何が面白いのか。知的なスポーツではない」と評したことがある。

私も、さほど大相撲に興味がないので、サルコジの気持もわからないわけではない。

そういう相撲に肩入れする立場にはない私からすると、客観的に見て、どうも大相撲は公益法人としての資質を書いているのではないか、所管の文科省はもう少し厳しく法人のあり方を問いただすべきではないかと思ってしまう。

なお、私も小倉氏の番組内ので発言などを聞いていると、「ん?おかしなことを言っているな」と思うこともある。なので、小倉氏の考え方が正しいとは思っていない。他の記事で何度も指摘しているが、既存のメディアの報道姿勢には疑問があることも事実である。

それ以上に、相撲協会の法令遵守意識の低さ(憲法で保障される表現の自由に配慮することも法令遵守だと私は思う)に姿勢に苛立ちを覚える。

小倉キャスター降板も…朝青龍への発言で協会が抗議
1月12日14時28分配信 スポーツ報知

 小倉智昭キャスター(61)が12日、司会を務めるフジテレビ系「とくダネ!」で、日本相撲協会から横綱・朝青龍に関する「星が買えればいいのにね」という発言に対して抗議を受けたことを明かし、場合によっては責任を取って番組を降板する覚悟を示した。

 番組冒頭で「実は先週の金曜日(9日)の放送のことで、おわびがあります。朝青龍が初場所に出場するかどうかという話題になりました。僕が『星が買えればいいのにね』という悪い冗談といいますか、しんらつな言葉を使いました。そのことに関しまして、相撲協会からおしかりがありまして、相撲協会に対して、横綱・朝青龍関に対して、まるで八百長をすればいいのではないかというような受け止め方ができるような発言は慎んでほしいと、真摯(しんし)な態度で謝ってほしいと言われました。相撲協会と朝青龍関にご迷惑をお掛けしたのであれば、心からおわびをしたいと思います。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 小倉キャスターによると、同協会の広報部長である九重親方(元横綱千代の富士)にプロデューサーが呼び出され、事実確認をした上で「小倉くんに直接話を聞きたい。朝青龍関におわびをしてもらいたい。(12日の)放送でキチッと対処してくれなければ、フジテレビに今後映像とかをお貸しできなくなることがありますよ」と言われたという。

 しかし、小倉キャスターは「この10年間、この番組がどれだけスポーツに力を入れてきたか。相撲の人気に『とくダネ!』は寄与してなかったのかな。そういうことが分かってもらえないのであれば、僕が10年間やってきた人間的な性格の欠如というか、僕自身の否定ということになるんだと思います。もしこれ以上火種が大きくなって、小倉に責任を取れというのであれば、いつでもこの番組の司会をやめさせてもらって結構です」と語った。オープニングの約7分にわたって熱弁をふるった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090112-00000203-sph-ent

なお、小倉氏のブログでは、このオープニングトークの内容を紹介している。

邪推ではあるが、近年、年配キャスターのギャラが高いことが不景気で広告収入の減ったテレビ局にとって負担になっているといわれている。この騒動で、小倉氏が降板することになれば、一番その恩恵を受けられるのは、テレビ局なのかもしれない。

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アメリカ国民が夢から覚める時が近づいている。

私は以前からこのブログで、オバマ政権の経済政策は失敗することを指摘してきた。

指摘1:オバマ政権でもアメリカの景気回復は困難(環境・エネルギーバブルの危険性)

指摘2:アメリカ人に問う―オバマ次期政権の経済政策の問題点

また、以前のYahooブログを確認していただければわかるが、大統領選の時から、オバマ氏に熱狂するアメリカへの危惧と、それを肯定的に報じる日本のメディアへの警鐘を鳴らし続けている。

例1:元副大統領候補のリーバマン上院議員がなぜオバマ候補を支持しなかったかという記事

例2:米リベラルメディアがマケイン候補に不当なイメージを作ろうとした偏向報道についての記事

例3:ペイリン副大統領候補への性差別的報道の存在について指摘した記事その1

例4:ペイリン副大統領候補への性差別的報道の存在について指摘した記事その2

例を挙げればきりがないので、この辺にしておく。

そして、オバマ氏の政治主張は具体性に欠け、「チェンジ」というワンフレーズ選挙がいかに危ないものか指摘してきた。そして、アメリカ大統領選そのものが日本国民の犯した罪ともいうべき小泉旋風と同じ熱狂状態であり、このままではアメリカの将来が不安であるという主張をし続けている。

その、一例ともいうべき最新ニュースを紹介したい。

<オバマ次期大統領>経済再建「国民の犠牲伴う」…TV出演
1月11日18時48分配信 毎日新聞

 【ワシントン大治朋子】オバマ次期米大統領は10日、米ABCテレビのインタビュー(11日放映予定)で、経済の立て直しには「米国民すべての犠牲を必要とするだろう」と述べ、事態の深刻さを改めて強調した。「大統領選期間中に話したことのすべてを、希望通りのペースでできるわけではない」とも指摘。公約の実現には、予想以上に時間がかかるとの見通しを示した。

 ABCテレビが10日、インタビューの一部を公表した。オバマ氏は「構造的な赤字の支払いをどうするのか、資金をどう調達するのか、どのようにシステムを効率化させるのかを検討しなければならない」と話し、「痛み」を伴う改革になるとの考えを強調した。同テレビによると、オバマ氏は経済再建の長期化に伴い、選挙中に示した公約の一部を後退させる必要があるとの見解を明らかにしたという

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090111-00000034-mai-int

どこかで聞いた話じゃないだろうか。

「チェンジ」=「自民党をぶっ壊す。古い政治を打破する。」というデジャブー。

大統領に選ばれた後は、「チェンジには痛みが伴う」=首相になった所信表明で、「改革には痛みが伴う」というデジャブー。

今の日本を見れば、原因がなんであれ、小泉改革が100点満点だったと答える人は100人に1人だろう。現在の世論を見れば、小泉改革のもたらした負の遺産の方が大きいと答える人が多数かもしれない。

いずれにしても、ワンフレーズ選挙は、衆愚政治を生み出す。

衆愚政治の極端な例は、独裁者の誕生で、ヒトラーもムッソリーニも、ベネズエラのチャベスも、ジンバブエのムガベも独裁者は最初は民主的な選挙を通じて誕生している。もちろん、不公正な選挙かもしれないが、民主政の中で誕生してしまっていることは否定できない。

我々はそうした衆愚政治が、国民生活に打撃を与えるという事実を現在の日本とアメリカで目撃しているのかもしれない。もちろん、小泉元総理やオバマ次期大統領が独裁者というつもりはない。

なお、私は小泉改革が全て悪いとかいうような立場の人間ではない。ただ、あの郵政選挙のような国民が熱狂し、その熱狂に身を任せるがままの軽薄な投票行動は現代民主主義国家の国民として恥ずべき愚行だったと思っている。

その結果として、現在の疲弊した社会があることは否めないだろう。これに対しては、「小泉改革のせいで現在の不況があるのではない。アメリカの金融危機のせいだ」と反論があるかもしれない。

しかし、一部の大企業でのモラルハザードと安易な違法の内定取消、派遣切りが結果として生じてしまっているのは事実である。小泉改革のマイナス面は、それを防止・是正する措置を講じなかった不作為にあると思う。

オバマ新政権は、環境バブルという危うい手法をいよいよ取り入れようとしている。

私の予想が外れてくれれば、良いのだが、オバマ政権に関するニュースを聞けば聞くほど、この環境バブル経済化が失敗し、ドルが世界の基軸通貨としての役割を終える日も近いと益々自分の予測に自信を持ってしまうのは残念でならない。

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01/11/2009

地方議会の問題点

これをテーマに、テレビ朝日のサンデープロジェクトで特集をしていた。

これを見て一言。「もっと早くこの問題をえぐり出せ!」

私は数か月前から、この問題を指摘している。サンデープロジェクトで、地方議会の議員数の絶対的数が大きいことは指摘されていない。つまり、議員が無駄に多いということ。官僚機構の縮小も大事だが、無駄な政治家の集団の縮小の方がもっと大事だろう。

以前の記事は、以下から参照してほしい。

・多すぎる議員数(日米の市議会議員数の違い)【2008年9月29日掲載】。 http://blogs.yahoo.co.jp/nothingventurednothinggained777/1578238.html

・議席を減らせば、年間500万円の財源が生まれる【2008年9月29日掲載】。 http://blogs.yahoo.co.jp/nothingventurednothinggained777/1591784.html

・地方議員数を減らせ。調査はネットや電子文献を使え(地方議会の無駄遣い)【2008年10月3日掲載】。 http://blogs.yahoo.co.jp/nothingventurednothinggained777/1712326.html

ただ、地方議会が荒廃しているのは、その住民の責任であることは忘れてはいけない。選挙のたびに、「今まで●●党だから」とか、「●●●●議員にいつも投票しているから」などという貧しい判断ではなく、「この政党は、この候補者はこういう政策を持っているから(例えば、議席を減らすと言っているから)」という理由を胸を張って答えられるような姿勢で判断することが必要だろう。

国政にも通じることだが、政治の腐敗は誰の責任でもない。人の責任にする前に、自分たち有権者の判断の責任であることは忘れてはいけない。

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01/08/2009

日本のスラム化が急増する前触れか

派遣切りされた人の凶行というニュース。

日本の治安の良さは、世界の非常識というくらい珍しいものだった。それが、現在は完全に崩壊している。日本にもスラム街がこの先多く登場し、警察すら入るのを嫌がる危険な地域が増えるかもしれない。

スラム街といっても、様々な意味があり、犯罪多発地域として使う場合もあれば、低所得者層が集まる地域と捉える場合もある。日本の場合は、後者のようなスラム街は実際にはいくつか存在しており、その代表例が部落差別の対象地域である。

関西には未だにこの部落差別が根強く残っており、たとえば、京都や大阪の特定の地域に行くと、町の雰囲気ががらりと変わる。あとで、地元の人などに聞けば、そこが部落差別の対象地域だったとわかることが少なくない。また、日本特有の在日朝鮮人の問題もスラム化地域の問題は起因する。

京都のある地域については、「不法占拠地区であることと在日朝鮮人集落地区(住民の約80%)であることとが相まって、地区の形成当初から今日に至るまで周辺住民から常に差別の対象として扱われてきた」という解説がなされている。

ただ、今後は、日本でも、スラムという言葉の意味が、従来の低所得者層が集まる地域という意味よりも、犯罪の温床となる地域という意味合いで理解されることになる気がする。

もちろん、両者の意味は密接に関連している。

アメリカの黒人低所得者層について、ペンシルベニア大学で歴史学を専門とするThomas J. Sugrue助教授は「スラム化のように一定の地域が人種が所得を理由に周辺地域から隔離された状態になることは、雇用機会の欠如と貧困に起因しており、このことは、都市中心部の貧困地区の分析において最も鮮やかに現れる。」と述べている。

つまり、日本でも、このまま派遣切りや正社員の解雇、内定取消に伴う若者の失業率が上昇すれば、そうした人々が一定の安価な地域に住まざるを得なくなり、そこがスラム化してしまうということである。

また、海外経験がある方は、おそらく感じられているだろうが、日本と海外のホームレスには、1つ大きな違いがある。

それは、マナーの良さである。日本のホームレスとなった方は、概して、目立った物乞いをしたりしない。ひっそりと公園や空き地の隅に住んでいる。これに対し、海外のホームレスは物乞いを当然のようにする。中には執拗に要求してくる場合もある。

これは、今までの日本では、ホームレスであっても、廃品回収業などで、空き缶などを集め生計が立てられていたから、物乞いをしなくてもなんとか生活していたからである。

今後、失業者が増え、ホームレスが増大すれば、物乞いをしなければ生きていけなくなるだろうし、中には犯罪に手を染めてしまう人もでてくることは考えうるだろう。

今回の事件を聞いて、簡単に、この犯人たちが身勝手で、規範意識が低いと断罪するだけで終わらせてはいけないだろう。

私たちも、こうした現実を受け止め、自分自身での自己防衛はもちろん、9月までにあるとされる総選挙で、どの議員・政党がこうした現状を正確に理解して、解決策を示してくれるのかを真剣に考えて、投票行動に出なければならない時期が来ている気がする。

<恐喝>派遣切られた2人逮捕 高校生から1万円脅し取る
1月7日23時50分配信 毎日新聞

 福島県警本宮署は7日、高校生から現金1万円を脅し取ったとして、ともに同県本宮市本宮の元派遣従業員、藤井竜也(20)と高橋俊智(20)の両容疑者を恐喝容疑で逮捕した。

 容疑は、6日午後4時ごろ、同市内の路上で男子高校生2人に「金を貸せ」などと言って、現金1万円を脅し取った疑い。

 同署によると、2人は昨年12月末で派遣先だった同市内の製造業の会社の仕事を失っており、「仕事がないので自分の金に手を付けたくなかった。生活費に使った」と容疑を認めているという。今月に入り、同市内で高校生を狙った同様の恐喝事件が数件起きており、2人は一部の関与をほのめかしているという。2人は同市内のアパートで同居生活していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090107-00000143-mai-soci

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01/02/2009

2009年最初の記事(実業団駅伝から連想した企業の責任)

明けましておめでとうございます。

新年早々、暗い話をするのはいかがなものかと思ったのですが、新年といっても現実から目を背けることはできません。2009年は昨年以上に厳しい世相となることが既に予測されています。しかし、このブログの読者の皆様におきましては、そのような不安が現実化しないことを祈りつつ、2009年が皆様にとって充実した年となることを願っております。

それでは、2009年最初の記事を紹介。

元旦好例の駅伝は、富士通が勝利したらしい。

富士通、9年ぶり栄冠=アンカー勝負制す-全日本実業団駅伝
1月1日14時23分配信 時事通信

 元日恒例の第53回全日本実業団対抗駅伝競走は1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間100キロのコースに37チームが出場して行われ、富士通が7区(15.7キロ)のアンカー勝負を制し、4時間51分55秒で9年ぶり2度目の優勝を果たした。
 富士通は最長4区(22.3キロ)で藤田敦史が2人を抜き2番手に上がり、5区途中からの3チームによる争いをアンカーの松下龍治が最後のスプリント力で制した。
 初優勝を狙った日清食品グループは富士通に1秒差の2位と惜敗。2位とタイム差なしの3位に旭化成が入った。連覇を狙ったコニカミノルタは、6区(11.8キロ)で追い上げたが4位。2年ぶりの優勝を目指した中国電力は、序盤の出遅れが響き7位に終わった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090101-00000039-jij-spo

今回の駅伝は最後かなりのデットヒートしたようである。元旦までコンディションを保ちながら努力された選手には敬意を表したい。私は、長距離走が昔からあまり好きではなく(見るのは好きだが・・・)、なぜ苦しい思いをしてまで走らなければならないのかと思うような人間なので、それを人生の糧とされるマラソンや駅伝選手に対しては、とても感心する。

今年の優勝実業団が富士通ということで、関連する記事を見ていたら1か月前のニュースを発見した。スポーツや選手個人とは関係のないことなので、こうした形で取り上げることに対しては、「オリンピックと政治は区別しろ」という論理と同じ形で、批判の声もあるかもしれない。

しかし、私はスポーツ選手が、その所属チームやスポンサーを代表またはその一員として活動している以上、その所属団体に対する問題記事を取り上げることは、必ずしも公正を欠くとは思えない。したがって、今回は、駅伝優勝をした富士通に関する記事を紹介する。

富士通の100%子会社である富士通総研が、9100万円を経済産業省から不正に受給していたという問題である。

そもそも、この富士通総研という企業については、福井俊彦前日銀総裁が理事長を務めていた過去があり、その在任期間中に村上ファンドのとかかわり合い(出資など)があったことが以前に問題になったことは記憶に残っているだろう。

この事件は、企業による不正受給であり、組織的な詐欺罪(刑法246条1項)の疑いがあるにもかかわらず、読売新聞などが一報を報じただけで、その後処分がどうなったかなどについて、主要なメディアが追及しないことには疑問を持つ。

同社のHPを確認したが、不正受給に至った経緯と関係者の処分状況を明らかにするどころか、あたかも単純なミスであることを強調する内容の報告があるだけで、違法性に対する認識と反省が見られず、不信感を抱いてしまう。

今回の処分であるが、経産省は行政手続法上の努力義務とされる不利益処分の基準の公表は行っていない。したがって、正確な同省による処分相場は不明である。

しかしながら、兵庫県の西宮市が公表している指名停止措置の基準を参考にすると、多くの場合は6か月以下の処分となっている。賄賂が絡むケースや入札妨害で起訴されたケース等刑事上罰すべき行為に当たる悪質な場合であっても、指名停止期間の上限は12か月となっている。

このことから考えると、経済産業省が指名停止期間を16か月としたことは相当重い処分であったことが伺えるだろう。さらに、経産省の公表した資料をみると、他に不正受給が指摘された企業に対しては、指名停止処分がなされていないことからしても、同社の行為の悪質性が推認できる。

富士通総研のHPでは、様々な公官庁からの受注実績が謳われている。公共分野での業務効率化や行政の無駄を省くと謳っているコンサルティング会社である以上、今回の不正受給は企業の社会的責任の見地からも非常に問題であり、額も巨大であることから、単なるミスで済ませることは許されないだろう。

さらに、富士通総研の100%親会社である富士通は、子会社のこの行為について、責任の所在を明らかにすべきと考える。私は以前、国家公務員の知人から、多くの中央官庁や地方自治体のコンピューターシステムには、富士通のIT技術が使われているという話を聞いたことがある(もっとも、裁判所にも導入されているのであるが・・・)。

税金から受注する事業を営んでいる企業であるならば、親会社ぐるみの詐欺行為でないか、そういう企業体質が子会社を含めてないか、取締役には自浄作用としての監視義務があるし、子会社に対しては大株主として、不正行為の責任の追及をする責任がある。

今回は富士通総研であったが、公官庁からの不正な受注や不正受給は後を絶たない。

他の公共分野におけるコンサルティング会社にも同様の問題点がないかなど、マスメディアも政府から公表された事実を右から左に流すだけでなく、Watch Dogとしての責任を果たしてもらいたい。

委託費9100万円を不正受給、経産省が富士通総研を処分

 業務委託費約9100万円を不正に受給したと­して、経済産業省は­28日、富士通総研(東京都)に­対し、補助金交付等停止30か月、指名停止16か月の処分を­行ったと発表した。

 発表によると、同社は同省から少子化につ­いてのアンケートの実施を委託さ­れた後、働いた人数を実際より多く偽るな­どして、2002〜07年度に委託さ­れた業務13件で計約9100万円を不正受給た。会計検査院は07年度の­検査報告で、この­受給を「不当」と指摘して­い­た。

 同省は­同社の­ほか、補助金を不正受給するな­どし­た10社についても、補助金交付等停止な­どの処分とし­た。(2008年11月28日19時34分  読売新聞)

なお、偶然にもこのココログブログのサーバーはニフティーであり、こちらも富士通の66.5%の子会社である。

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