世界の自動車会社は多すぎる!?
2000年頃にある経済評論家が、「世界の自動車会社は多すぎで、日本に2つ、アメリカに1つ、ヨーロッパに2つの自動車会社が存続するのが、自動車産業の将来的展望からいって、望ましい姿だ。」と主張していたのを最近思い出す。
つまり、自動車産業の成長には限界があり、すでにその限界に達している以上、市場自体の拡大は不可能で、あとは既存のパイをどう分配するかという問題で、その結果が、日本に2社、アメリカに1社、ヨーロッパに2社ということだという理論のようだ。
実際に、日本もホンダとトヨタが純国産で、あとはルノーなどの海外系の傘下にある。この分析に説得力があるとは思う。
この話を、以前、私のアメリカ人の友人に話したことがあり、彼は、「確かに、その分析は正しいかもしれない。」と同意していた。
こののような時代が今到来しているのかもしれない。
GM・クライスラー、合併交渉を再開…米紙報道
12月18日13時32分配信 読売新聞http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081218-00000037-yom-bus_all
【ニューヨーク=池松洋】米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は17日、経営危機に陥っている米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーが合併協議を再開したと報じた。
資金支援を検討している米政府に対して、再編の取り組みをアピールする狙いだという。
両社の合併交渉は10月に表面化したが、当時は合併に伴うリストラ費用などの資金支援を米政府から得られなかったことから、11月に交渉中断を発表していた。
しかし、その後の米国市場の販売不振から両社の手持ち資金の流出に歯止めがかからず、年内にも経営破綻(はたん)する危機に直面している。米政府に合併による合理化効果を訴えて、つなぎ融資を受けやすくする狙いがあると見られる。
アメリカの自動車メーカーは、1980年代にジャパンバッシングが盛んだった時代からその技術力の革新力に陰りがある。以前にも指摘したが、自動車産業は特に新しい技術力を持っていない。技術力がなければ、他社に負けるのは当然である。アメリカのビッグ3は、金融など本業とは別の分野で稼いで、自動車という本業の赤字を補てんするような経営を続けていたのであり、破綻するのは当然だった。
不思議なのは、アメリカ国民の多くが、それに気が付いていなかったという点である。私の前述の友人は、「アメリカ国民のほとんどは、アメリカの自動車産会社が1社になるとは思わないだろう。アメリカ人はアメリカ社の技術は高いといまだに信じている」とも述べていた。国産寄りになる傾向があるにしても、客観的な分析は必要だったはずだ。
私は、ビック3には公的資金を導入するべきではなく、今回を機に整理しなければ、近い将来に、完全なアメリカ市場の破綻が迫っていると思っている。つまり、自由主義経済で、経済成長をしてきたアメリカが、仮に日本がかつて金融機関に対してやったような手法で公的資金を導入して救済したとしても、それは自らの理念である自由主義経済とは相いれないものであり、無駄な税金投入でしかないということである。
理想的なのは、ビック3を統合させ、ある程度整理縮小をさせる。その一方で、解雇された人の職能支援や再就職支援に公的資金を直接投入することだろう。
ニューディールのような大規模な政府による経済誘導は、グローバル化が進んでおらず、戦争産業が国の経済を牽引できた時代の話である。
オバマ政権が打ち出そうとしている政策は、100年に1度の愚策と評され、アメリカの国力衰退を招く恐れが高いと思う。
日本では、破綻の危機というマイナス面しか伝えられないが、感情論とは別に、経済原理からビッグ3を救済すべきでないと考えているのは管理人だけではないようだ。
http://diamond.jp/series/worldvoice/10033/?page=2
http://diamond.jp/series/siliconvalley/10013/
また、アメリカ政府も破産による整理を図るべきという考えなのかは気になるところである。
「管理破産」も選択肢に=ビッグ3支援で-米政府
12月19日8時51分配信 時事通信【ワシントン18日時事】米政府は18日、ビッグスリー(3大自動車メーカー)の支援問題で、つなぎ融資と引き換えにゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーを「管理破産」させる選択肢を含めて検討に入った。米メディアが報じた。政府とビッグスリーとの調整は最終段階にあるが、まだ決着は付いていないもようだ。
ペリノ大統領報道官は同日の会見で、「(混乱を最小限に抑えて)軟着陸させる秩序だった破産のやり方はある。選択肢の一つだ」と発言。ただ、「必ずしもそう発表されるとは限らない」とも語った。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、政府がまず資金繰りが特に厳しい両社に数カ月のつなぎ融資を実施。その数カ月間に経営幹部ら関係者を集め、破産法一一条(日本の民事再生法)適用を申請した場合に取られる措置を詰める。
これは事前調整型破産手続きと呼ばれるやり方で、申請後に債権債務の整理に着手する通常の破産手続きに比べ、迅速な再建が可能になる。ただ、法的整理に反対する経営陣や労働組合が同意するかどうかは不透明だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000039-jij-int
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